命の危険を助けられた
それは、いいとしよう
自分を助けた存在が、女性と少女であった事実
やや情けないが、それもいいとしよう
それは、いいとしよう
自分を助けた存在が、女性と少女であった事実
やや情けないが、それもいいとしよう
ただ
自分を助けた、その女性が
突然、頭が残念な様子になったあげく、目を回して気絶した
自分を助けた、その女性が
突然、頭が残念な様子になったあげく、目を回して気絶した
……………ククージィと共に世界中を回り、様々な事に巻き込まれてきたが
こんな時、どんな表情をすればいいのか
俺には、わからなかった
こんな時、どんな表情をすればいいのか
俺には、わからなかった
……ただ
あいつなら、どうするだろうか、と思った
あの甘ったるい、優しすぎるお人好しのスウィート・ポイズンだったら、こんな時どうするだろうか、と
とっさにそう考えてしまうあたり、やはり自分はスウィート・ポイズン中毒者であるのだと自覚する
また、症状が進んだようにすら思える
あいつなら、どうするだろうか、と思った
あの甘ったるい、優しすぎるお人好しのスウィート・ポイズンだったら、こんな時どうするだろうか、と
とっさにそう考えてしまうあたり、やはり自分はスウィート・ポイズン中毒者であるのだと自覚する
また、症状が進んだようにすら思える
それでもいいか、と祐樹はこっそりと考える
そう考えるようになったのも、兄二人…血のつながった家族が自分に存在する事がわかったからなのだろうか
家族と呼べる存在はククージィだけ
そう考えていたころの虚無感は、最近では成りを潜めていた
そう考えるようになったのも、兄二人…血のつながった家族が自分に存在する事がわかったからなのだろうか
家族と呼べる存在はククージィだけ
そう考えていたころの虚無感は、最近では成りを潜めていた
…………だから、こそ
スウィート・ポイズンの為にビター・ポイズンを狩るだけでは、なく
スウィート・ポイズンのように、誰かに手を差し伸べて、助けてみたい
…そう、考えたのかもしれない
スウィート・ポイズンの為にビター・ポイズンを狩るだけでは、なく
スウィート・ポイズンのように、誰かに手を差し伸べて、助けてみたい
…そう、考えたのかもしれない
「晶さんっ!?そんな、ひんし状態のポ〇モン(アニメ版)みたいに目を回してないで起きてください、晶さーーーんっ!?」
ゆさゆさ
気絶している晶を揺さぶる雪絵
あまり強く揺さぶっては逆効果であると考えたのか、それなりに加減して揺さぶっている
気絶している晶を揺さぶる雪絵
あまり強く揺さぶっては逆効果であると考えたのか、それなりに加減して揺さぶっている
…とりあえず、祐樹は晶の傍らに膝をついた
念の為、脈を確認しておく……うん、流石に死んだ訳ではない
ただ、雪降る中、雪の上に倒れっぱなしと言うのは、良くないだろう
ただでさえ、動き回る氷の彫刻やら、突然襲い掛かってくる契約者やらがうろうろしているのだ
命を助けられたのだ、恩は返すべきだろう
念の為、脈を確認しておく……うん、流石に死んだ訳ではない
ただ、雪降る中、雪の上に倒れっぱなしと言うのは、良くないだろう
ただでさえ、動き回る氷の彫刻やら、突然襲い掛かってくる契約者やらがうろうろしているのだ
命を助けられたのだ、恩は返すべきだろう
「…この人を、安全な場所に運ぶ。構わないだろうか?」
「え…あ、はい。バイクも移動させないといけませんし」
「え…あ、はい。バイクも移動させないといけませんし」
祐樹の言葉に、こくり、と頷く雪絵
それじゃあ、と、祐樹は晶の体を抱き上げようとした
抱き上げようと…
………
…………
……………
それじゃあ、と、祐樹は晶の体を抱き上げようとした
抱き上げようと…
………
…………
……………
「………もしかして、持ち上げられないでいるんじゃないんですよね?」
ギク
「…そんな事はない」
…嘘である
はっきりと、嘘である
祐樹は、晶の体を抱き上げられないでいた
はっきりと、嘘である
祐樹は、晶の体を抱き上げられないでいた
明日 晶と言ううら若き乙女の為に言い訳しよう
決して、彼女の体が重たい訳ではない
単に、祐樹が一般的な20歳男子よりも非力なだけである
決して、彼女の体が重たい訳ではない
単に、祐樹が一般的な20歳男子よりも非力なだけである
祐樹の父親は、都市伝説である
つまり、そう考えると、祐樹の体には半分は、人間ではない存在の血が流れている事になっている
そういった存在は、通常より身体能力が優れている事も多いのだが
……残念ながら、祐樹はそういった事実には恵まれていなかった
いっそ、平均的な人間より、若干非力なくらいである
流石に、知り合いでもある「仲介者」よりはマシだが
ククージィと契約しても、吸血鬼の怪力も身につかなかったので…まぁ、そちらの方向が向いていないのだろう、純粋に
つまり、そう考えると、祐樹の体には半分は、人間ではない存在の血が流れている事になっている
そういった存在は、通常より身体能力が優れている事も多いのだが
……残念ながら、祐樹はそういった事実には恵まれていなかった
いっそ、平均的な人間より、若干非力なくらいである
流石に、知り合いでもある「仲介者」よりはマシだが
ククージィと契約しても、吸血鬼の怪力も身につかなかったので…まぁ、そちらの方向が向いていないのだろう、純粋に
とりあえず、抱き上げるのは不可能
ならば、どうするか?
……背負うしかないだろう
そちらなら、まぁ、できなくもないはずである
と、言うか、背負うことすらできなかったら、流石に困る
ならば、どうするか?
……背負うしかないだろう
そちらなら、まぁ、できなくもないはずである
と、言うか、背負うことすらできなかったら、流石に困る
晶の体を背負った祐樹
…現在進行形で、晶はぐるぐる目を回したままだ
一般的に見て美人の範疇に入るはずの晶だが、目を回した状態では美人も台無しである
…現在進行形で、晶はぐるぐる目を回したままだ
一般的に見て美人の範疇に入るはずの晶だが、目を回した状態では美人も台無しである
見れば、雪絵は既にバイクを起こしている
小柄な彼女には大仕事のはずだが、それでも平気でバイクを引いてきている
………小柄な少女である雪絵に力で負けた気がして、彼女の正体を知らない祐樹は若干、落ち込む
小柄な彼女には大仕事のはずだが、それでも平気でバイクを引いてきている
………小柄な少女である雪絵に力で負けた気がして、彼女の正体を知らない祐樹は若干、落ち込む
「あの、安全な場所、と言いましたけど、どこまで…」
「俺の家だ」
「俺の家だ」
………………
何故だろうか
ただ質問に答えただけだと言うのに、冷たい視線が雪絵から祐樹に向けられた
何故だろうか
ただ質問に答えただけだと言うのに、冷たい視線が雪絵から祐樹に向けられた
「…えぇと、子供なのでよくわかりませんが、本人の同意を得てからが一番だと思います」
「何か誤解を受けているように聞こえるが、意識を取り戻すまで寝かせるだけだ。ククージィもいてくれれば安全だから」
「何か誤解を受けているように聞こえるが、意識を取り戻すまで寝かせるだけだ。ククージィもいてくれれば安全だから」
そうは言っても、「ククージィ」と言うのが何者なのか、どんな存在なのかを知らない雪絵には伝わらないだろうが
少なくとも祐樹には住居兼店舗である家が、一番近い安全圏であると把握したのだ
兄のところを頼るのは心苦しいし、どちらもここからは遠い(さらに言えば、天地の住居は「組織」が管理するマンションである為、天地には悪いができれば近寄りたくない)
少なくとも祐樹には住居兼店舗である家が、一番近い安全圏であると把握したのだ
兄のところを頼るのは心苦しいし、どちらもここからは遠い(さらに言えば、天地の住居は「組織」が管理するマンションである為、天地には悪いができれば近寄りたくない)
「そうですか…それでは、そこに向いましょうか。また、あの氷の彫像に遭遇しない事を祈りながら」
「あぁ」
「あぁ」
………ククージィが、こちらに近づいてきてくれているのがわかる
合流できれば、氷の頂上に襲われても問題ない
合流できれば、氷の頂上に襲われても問題ない
祐樹が背負っている晶は、どうやら気絶状態から睡眠状態に入ったようである
耳元に寝息が聞こえ、背負った体は小さく呼吸しているのがわかる
耳元に寝息が聞こえ、背負った体は小さく呼吸しているのがわかる
この明日 晶と言う女性に、祐樹は若干の興味を抱いた
強い、優秀な能力を持ちながら、目の前であっさりと気絶してしまった、この女性に
強いけれど、制限付きの能力
制限を超えればあっさりと気絶してしまうと言う、ある意味でのか弱さ
強いけれど弱い、そのアンバランスさに
強い、優秀な能力を持ちながら、目の前であっさりと気絶してしまった、この女性に
強いけれど、制限付きの能力
制限を超えればあっさりと気絶してしまうと言う、ある意味でのか弱さ
強いけれど弱い、そのアンバランスさに
本来、他人への興味が薄い祐樹だったが
だがしかし、はっきりと、まだ、ほんのわずかではあるものの
明日 晶に対し、興味と好意を抱いたのだった
だがしかし、はっきりと、まだ、ほんのわずかではあるものの
明日 晶に対し、興味と好意を抱いたのだった
to be … ?