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連載 - 我が願いに踊れ贄共・彼は閃光のごとく-08c

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匿名ユーザー

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 レクイエムの治療が、終わって
 ようやく、まともに体を動かせる状態になったのだろう
 ロリスが、ふらりと自力で立ち上がる

「………すまない」
「これくらい、かまわんさ」

 この会話、純粋に治療してくれたことへの感謝とその返事でもあるのだが…もう一つ、意味がある
 まぁ、ローゼにはわからない事だし、気づいても特に意味のない事だが

「えぇと…ロリスさんは、エイブラハムを裏切りましたの?」
「……俺の上司は元々、あの男ではない」

 ローゼの問いかけに、ロリスは短くそう答えた
 その答えに、ローゼは小さく首をかしげる

「…?それは、どういう事ですの?」
「あの…ロリスは元々、「教会」上層部の……その「上」の、直属の存在なんです」

 直接は言わず、やや遠回しの答えをするチェリー
 …それは、つまり
 「教会」のトップ直属、と言うことか
 ロリスの戦闘力ならば、納得ではあるが…

 ……あぁ
 なるほど、とレクイエムは納得する

「そちらの命令で、エイブラハムの懐に潜り込んでいた……ようは、スパイか」
「…そうだ。あの男が真に救世主候補であるかどうかの調査と……いざと言う時の始末を任されていた」

 この様だが、と皮肉気に、ロリスは笑う
 手も足も出なかった
 それは、事実
 ……そして
 己の能力では、エイブラハムを殺せない
 それを、実感させられたのだ

「あなたの能力でも倒せない、となると、厄介ですわね…」
「……あれは、通常の攻撃では、殺せない。いくつか方法は思い浮かぶが……少なくとも、俺はその手段を持っていないし、それで殺せるかどうかの確信もない」

 手詰まりだ、と
 そう、ロリスは口にした

 ローゼもレクイエムも、やや深刻に眉を寄せる

 通常の攻撃では殺せない
 …ならば、どうすれば倒せるのか、殺せるのか
 方法がわかれば、対処のしようもあるが…

「……あ、そうですわ」

 ふと、思い出したようにローゼは口を開く

「今、学校町のあちらこちらで、エイブラハムの子飼いが暴れているようですの……止められません?」
「…無理だ。あいつらへの命令権限はゲルトラウデとメルセデスに任せられている」
「………また、あの男か」

 メルセデスと言う名前に反応したように、レクイエムがぽつりとつぶやいた
 やけに濃密な憎悪を感じたような気がしたのは気のせいだろうか
 「殺しておくべきだった…!」とか呟いているようにも見えたが

「どちらにせよ……あの子飼い連中は、本来「教会」への所属が許されないような存在も多い。説得して止めるつもりなら、覚悟が必要だろう」
「そうですの…」

 やや、悲しそうな表情をうかべたローゼ
 優しい少女なのだろう、そう、ロリスは判断した
 倒す事よりも、説得する事を望んでいる
 ……それですべて片付くならば、どれだけ、世界は平和になれるだろうか
 甘い、と思うと同時に、その純粋な願いを羨ましくも思う

 倒すことなく、自主的に破壊活動をとめさせる方法は、ない訳ではない
 ただ…その方法は、「エイブラハム・ヴィシャスを倒す事」だ
 あの男の権威にすがって暴れている子飼い連中は、それで大人しくなるだろう
 だが、現状、その手段がないだけだが

 ……小さく、ため息をつく
 今は、思い悩んでいる場合ではない
 …自分にできる事を、やるべきだ

「…「組織」の上層部よ。俺に、協力できることはあるか?」
「協力…ですの?」
「……そうだ。エイブラハム・ヴィシャスを倒す為ならば、いくらでも協力しよう」
「わ、私も!」

 せっかく、「組織」の上層部と接触できたのだ
 自分に協力できるならば、いくらでも協力しよう



 この街を、焦土へと変えてしまわぬ、その為にも




to be … ?






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