今宵は、七夕
さぁ、短冊に、願いを込めて
願いを託していきましょうか
さぁ、短冊に、願いを込めて
願いを託していきましょうか
「と、言うわけで。先輩のお宅の笹に飾ってください」
「……何がどうなってそういう結論に至った」
「……何がどうなってそういう結論に至った」
獄門寺家の、大きな門を入った先にある玄関
そこにある、七夕の飾りつけがなされた笹を前に、そんな会話が発生した
願い事を書いた短冊持参でやってきた在処の姿に、龍一は小さくため息をつく
そこにある、七夕の飾りつけがなされた笹を前に、そんな会話が発生した
願い事を書いた短冊持参でやってきた在処の姿に、龍一は小さくため息をつく
「……まぁ、飾りたければ、勝手に飾れ」
「いいんですか?」
「……どうせ、花子さんの短冊も飾られているしな」
「いいんですか?」
「……どうせ、花子さんの短冊も飾られているしな」
そう言って、龍一が一つの短冊を指差した
どれ、と在処が見ると、「けーやくしゃがいつまでもげんきでいられますように」、と可愛らしい文字で願い事が書かれている
間違いなく、花子さんの短冊だろう
どれ、と在処が見ると、「けーやくしゃがいつまでもげんきでいられますように」、と可愛らしい文字で願い事が書かれている
間違いなく、花子さんの短冊だろう
笹は、龍一の家族だけではなく、獄門寺家に出入りしている者達の物も飾られているようで、数が多い
一枚や二枚、混ざりこんでも問題がないのだろう
一枚や二枚、混ざりこんでも問題がないのだろう
それでは、と短冊を飾った在処
何気なく、笹に飾られている短冊を見回して
…あれ?と首をかしげる
何気なく、笹に飾られている短冊を見回して
…あれ?と首をかしげる
「先輩」
「……何だ。飾ったなら、帰れよ」
「いえ、夕食もいただいていく気満々な訳ですが……それより、先輩の短冊は?」
「……何だ。飾ったなら、帰れよ」
「いえ、夕食もいただいていく気満々な訳ですが……それより、先輩の短冊は?」
在処が見た範囲で
龍一の願いが書かれた短冊が、ない
…龍一の名前が書かれた短冊が、ないのだ
花子さんの短冊以外、全て名前が書かれているからこそ、それがわかった
龍一の願いが書かれた短冊が、ない
…龍一の名前が書かれた短冊が、ないのだ
花子さんの短冊以外、全て名前が書かれているからこそ、それがわかった
「……俺は、短冊は書いていない」
在処の言葉に、龍一は短く答えた
その場から立ち去ろうとした龍一に、在処はさらに疑問をぶつける
その場から立ち去ろうとした龍一に、在処はさらに疑問をぶつける
「どうして?」
「……何かに託さなければいけない願いは、今の俺にはない」
「……何かに託さなければいけない願いは、今の俺にはない」
少し
ほんの少し、諦めの混じった声で、そう呟いて
龍一は、在処から逃げるようにこの場を立ち去った
ほんの少し、諦めの混じった声で、そう呟いて
龍一は、在処から逃げるようにこの場を立ち去った
色とりどりの、願いが書かれた短冊
その中で、何も書かれていない短冊が、一つ
その中で、何も書かれていない短冊が、一つ
まるで書かれなかった願いを知っているかのように
静かに、そこで揺れていたのだった
静かに、そこで揺れていたのだった
fin