「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - 花子さんと契約した男の話-64

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匿名ユーザー

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 今宵は、七夕
 さぁ、短冊に、願いを込めて
 願いを託していきましょうか



「と、言うわけで。先輩のお宅の笹に飾ってください」
「……何がどうなってそういう結論に至った」

 獄門寺家の、大きな門を入った先にある玄関
 そこにある、七夕の飾りつけがなされた笹を前に、そんな会話が発生した
 願い事を書いた短冊持参でやってきた在処の姿に、龍一は小さくため息をつく

「……まぁ、飾りたければ、勝手に飾れ」
「いいんですか?」
「……どうせ、花子さんの短冊も飾られているしな」

 そう言って、龍一が一つの短冊を指差した
 どれ、と在処が見ると、「けーやくしゃがいつまでもげんきでいられますように」、と可愛らしい文字で願い事が書かれている
 間違いなく、花子さんの短冊だろう

 笹は、龍一の家族だけではなく、獄門寺家に出入りしている者達の物も飾られているようで、数が多い
 一枚や二枚、混ざりこんでも問題がないのだろう

 それでは、と短冊を飾った在処
 何気なく、笹に飾られている短冊を見回して
 …あれ?と首をかしげる

「先輩」
「……何だ。飾ったなら、帰れよ」
「いえ、夕食もいただいていく気満々な訳ですが……それより、先輩の短冊は?」

 在処が見た範囲で
 龍一の願いが書かれた短冊が、ない
 …龍一の名前が書かれた短冊が、ないのだ
 花子さんの短冊以外、全て名前が書かれているからこそ、それがわかった

「……俺は、短冊は書いていない」

 在処の言葉に、龍一は短く答えた
 その場から立ち去ろうとした龍一に、在処はさらに疑問をぶつける

「どうして?」
「……何かに託さなければいけない願いは、今の俺にはない」

 少し
 ほんの少し、諦めの混じった声で、そう呟いて
 龍一は、在処から逃げるようにこの場を立ち去った



 色とりどりの、願いが書かれた短冊
 その中で、何も書かれていない短冊が、一つ


 まるで書かれなかった願いを知っているかのように
 静かに、そこで揺れていたのだった






fin





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