「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - Tさん-14b

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 …ぷぅん
 それは、静かに飛び続ける
 あちらこちらにチラシが張られているが、それはそんな物に興味はなかった
 そもそも、それに文字を読めるだけの知能はない

 ぷぅん、ぷぅん
 それは、静かに飛び続けた
 目の前から迫ってくるパレードにも気付かずに

 ぷぅん、ぷぅん、ぷぅうぅぅぅうう………
 ……………



 その日
 一匹の、黒こげの蝿が、夢の国に取り込まれたが
 恐らく、それはこの事態に、なんら影響を及ぼす事はないだろう



             ●




 そう、ないはずだった。

 しかし、世界一有名なネズミたるそのマスコットはその時にちょうど首が切断されていた。
 首が無くなっていてもマスコットは≪夢の国≫の一部だ。
媚薬の蠅程度に飲まれることはない。しかし、完全に蠅を取り込んだわけでもなかったのだ。
媚薬の蠅を取り込み、マスコットが最初に見た者が≪夢の国≫の契約者だった。
 そこで媚薬の蠅の能力は緩やかながらに発動した。しかし、それもまたマスコットには意味を持たないものだった。
 完全であるならば。


 マスコットが契約者を見た。その瞬間、無理やりに、歪んだ愛を求めさせる媚薬の蠅は、
歪んでいた彼が、≪夢の国≫の一部たる彼等が誰を愛すべきなのかを思い出させたのだ。
 マスコットは他のマスコットにも自分たちの本分を思い出してもらおうと思った。
しかし、彼等は思い出すことはなかった。そもそも言葉すら通じないモノが多かった。
ならば自分のように欠損があるマスコットはどうだろうか? 
そう思ったが結果は体の欠損したマスコットを破壊し、また復活させなければならないというものだった。

 どうやら全てを思い出したのは自分だけらしい。
マスコットは自覚した。契約者たる少女を筆頭に、≪夢の国≫の在り方は歪められていたのだ。
 歪めている存在の正体もすぐに分かった。≪夢の国≫の創始者たる老人が契約者を操っているのだ。
少女の近くにいればすぐに分かった。復活しつつある老人の意識が介入しているのも傍目にははっきりと分かったし、
少女の傍で共に戦った契約者や都市伝説のうちの幾人かも、こちらの状態に気が付いているかのような言葉が散見された。
しかしその事態にたいして彼は何もできなかった。
≪夢の国≫の一部でしかない彼には≪夢の国≫を支配下に置く老人には勝てない。
せめて契約者の少女が完全に操られる前に自分が自我を取り戻していればいいと思ったがそんなものは既に後の祭りだった。

 マスコットは諦めていた。自分のこの状況も再生してしまえばおそらく帳消しになる程度のものでしかない偶然の産物に過ぎない。
 だが、マスコットは出来得る限り頑張ろうと思った。
 それは彼等が本来愛すべき者たちの一人である契約者の少女を護ろうと思ったからであったし、それに希望もあった。


  ――近日中、学校町にて≪夢の国≫が大きなパレードを開催する。
     各々方注意されたし。――

 そう書かれた紙を見つけたからだ。自分たちに気づいているモノがいる。それは小さいが確かな希望だった。
 町への侵攻が開始された。しかしマスコットは契約者から離れようとはしなかった。彼女の周りには護衛のパレードがたくさんいた。
いざとなれば子供たちから奪った臓器によってもうほとんど目覚める寸前にまで回復していた創始者が何かしらの手を打つだろうとも思った。
しかし、真の彼女の味方は今の≪夢の国≫では一人もいなかったのだから。
 そう、
 彼を除いては。

 奇跡は起きた。自分たちにひどく近しい匂いを感じる黒服と、
過去に殺したと思っていた――いや、まだ自我がほんの一握り残っていたころの契約者の少女がなんとか瀕死で済ませていた青年が≪夢の国≫を操る老人の所まで来たのだ。
 彼等は自分たちの命と引き換えに契約者の少女を呪縛から解放した。

 ならば、

 契約者の少女を、我々が認めるべき≪夢の国≫の本当の王たる者を護るのは――

      彼の役目だった。



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