「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - Tさん-14a

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「私を誰だか分かっているかね?」
 老人はTさんと呼ばれる青年に問う。彼は老人を見て、
「≪夢の国≫の創始者。だろう?」
 顔を見たことはないがこんな所にいる人間なんてそうそう候補はいないからな。
 と彼は言う。
「その通りだ」
 老人はうなずき、
「そして、真の≪夢の国≫の王だ」
 どこからともなく現れた黒いパレードを追加補充した。
「ってかTさん遅え! 俺超危なかったんだけど」
「ああすまん。リカちゃんが契約者の位置を特定する間に赤い靴コンビを地下カジノに放りこんできたら少し遅れた」
 自分の契約者の文句を聞き流している青年。契約者の少女もまあいいや。と言い、言葉の矛先を老人に向けた。
「真の王ってなんなんだよ偉そうに、契約者の嬢ちゃんを利用してたひきこもりのくせして」
「病に伏せっていたのでな」
 老人は楽しそうに嗤う。そして面白い話でも聞かせるかのように、
「それも新鮮な臓器でこの通り、無事に復活を果たしたよ。これで王権をあんな小娘に委ねることもない」
 と言った。
「あなた、もしや」
 何かに気づいたような黒服の男に老人は視線を向ける。
「んー? 貴様はいつか私に刃向った≪夢の国の地下道≫と≪夢の国の地下カジノ≫の契約者か。
そしてそっちの貴様は、……ああ、そうだ。一年前攫った餓鬼共を攫い返しに来た人間か。
貴様のせいで私の復活は一年遅れてしまったよ。今回もいろいろと手を尽くしていたようだな。
しかしそれも今となっては私はこうして目覚め、貴様らは両方とも都市伝説の身か。ハハハ、これは良い!
 黒服、お前の想像の通り餓鬼共の臓器はこの通り私の血肉となっているよ!
 売り払うよりも遥かにマシな使い方だろう? ハハハハハハハハッ!」
「あなたはっ」
 黒服が彼にしては珍しく、怒気ともいえる感情を露わにする。しかし老人は意に介さず、
「ここに来れたということは、貴様らは≪夢の国≫の関係者に列せられるようだな。まったく、やっかいな」
 そう言うと≪夢の国≫の創始者たる老人は≪夢の国≫の契約者に命令を下す。
「行け小娘、そこの二人、それに一緒に連れてきた人間の小娘も人形も共に呑みこんでしまえ」
「……っ、は……はい」
 ≪夢の国≫の契約者は息も絶え絶えになりながら立ち、ナイフを構える。
「おいおい、あの子無理してんじゃねえの?」
「だからどうした?」
 青年の契約者の少女の言葉に老人は心底どうでもよさそうに答える。
 クソ爺め、
 そう少女がつぶやいた瞬間、≪夢の国≫の契約者が動き出した。それと同時に、
 ――ジリリリリリリリリ
 契約者の持ったままの携帯が鳴り始める。
「パレード、行って」
 ≪夢の国≫の契約者はパレードに指示を出し、携帯は放り捨てた。
パレードが≪夢の国≫の契約者を追い越して青年たちに接近。
 携帯のワンコールが響く。
「くっ」
「破ぁ!!」
 銃を慌てて構える黒服を手で制して青年は叫ぶ。同時に発射された白光がパレードを轟音とともに消し飛ばす。
 携帯のワンコールが響く。
「後ろです!」
 黒服の言葉に反応して振り返った青年は振り下ろされてくるナイフを発光する手で受け止める。
 携帯のワンコールが響く。
「このナイフが折れてくれると幸せだな」
 その言葉と共にナイフに光が移り、ナイフは飴細工のように折れ曲がり、逆の手で掌底を叩きこもうとする。
「もうっ!」
「黒服さん!」
「はいっ!」
 不意打ちが失敗したのを見て青年から苛立たしげに退く≪夢の国≫の契約者に黒服が接近する。
 いざつかみかかるというところで≪夢の国≫の契約者は近場に転移。パレードがどこからともなく現れる。
 携帯のワンコールが響く。
「っ!」
 腕が痛むのか、片腕を抑えて身を折った≪夢の国≫の契約者に青年の契約者の少女が突っ込む。
「このっ!」
 蹴りを放つが≪夢の国≫の契約者はあっさりと避ける。
「それ!」
 そこに少女の肩から裁ちばさみを持った人形が突き刺しにかかる。
 顔が一瞬驚きに彩られた≪夢の国≫の契約者だがすぐさま後方へ転移。その間に先程増援したパレードが青年に消される音が響く。
「残念っ、……でした!」
 ≪夢の国≫の契約者はいつの間にか鉈を取り出しており、乱暴に振りまわす。
 携帯のワンコールが響く。
「おっと」
 Tさんの契約者の少女は鉈を見るなり一歩退く。
「まあそう拒否しないでくれよな」
 少女の額には冷や汗、しかし笑みが宿っている。
 ――ジリリリリリリリリ
 携帯のワンコールが響き、繋がった。
 『こちらは留守番サービスセンターです』
 間髪入れずかわいらしい声が入る。
『もしもし、わたしリカちゃん、今、あなたのうしろにいるの』
 瞬間、少女の肩に居た人形が消えた。
 そして電話で告げられた通りの、≪夢の国≫の契約者の背後に裁ちばさみを振り下ろす人形が現れる。
 ミッ○ーが≪夢の国≫の契約者に手振りで危険を知らせる。
 そこから漠然と危険を感じ取った≪夢の国≫の契約者はその場からとっさに離脱。
 彼女が移動し、空を切った裁ちばさみを横目に見つつ状況を確認する一瞬の隙に、
 いつの間にか目の前には黒服と青年がいた。
「お薬です」
 そう言う黒服の手には水晶がいくつか握りこまれており、
「すべての呪縛から解放されたら、幸せだよなぁ」
 青年の声と共に水晶に光が宿り、

「「破ぁ!!」」

 口内に黒服の手が突きこまれ、体内で水晶のパワーストーンとしての力を能力超過で発する。
 すなわち浄化。
 彼女を縛る呪いが浄化される。腕の呪印も消え失せ、彼女を縛る一切の拘束がはじけ飛ぼうとする。
 ――フム、
「≪夢の国の地下トンネル≫か」
 黒服と青年の後ろに≪夢の国≫の創始者が立っていた。手には肉厚のナイフが一振り、
「な」
「くっ!」
 青年が黒服の腕を引っ張る。
 それによって黒服がすんでのところで老人が振り降ろしていたナイフを回避する。
「あれが発動したのはここが≪夢の国≫の中でもあるし、地上地下という括り以上に異常な空間だから、か?」
 老人は転移で少し退き、
「呑め、奇形共!」
 パレードが青年たちを丸ごと呑みこもうと迫った。
「っの!」
 青年がとっさに振り返り手を向けるが、
「餓鬼共を討つのか?」
「っ!」
 老人の言葉にビクリと動きを止める。
「甘いなぁ、もう助からんのは分かっているだろうに。今まで散々消していただろう?」
「おい、やばっ?」
 青年が動きを止めた一瞬の隙に側面からも現れたパレードは彼等を一人残さず包み込み、その身の内へと呑みこんだ。



            ●



「ハハハハハハハハハハハハハハハハハ!」
 老人は愉快に笑っていた。
「ここまでたどり着ける可能性のある数少ない者たちがこうして潰えたわけだ」
 老人はそう言うと己の契約者へと顔を向ける。
「もう使い物にならんか?」
 青年と黒服が放った白光に体内を侵され、倒れたまま動かなかった契約者はやがてゆっくりと身を起こし始めた。
「あな……たは」
「ほう」
 生きていたか、老人がそのしぶとさに感心していると、
「あなたは、≪夢の国≫に何をさせているんですか」
「なに?」
 ≪夢の国≫の契約者は立ち上がる。その眼には確かに意思と、理性の光が見てとれ、
「そうか、あれは私の制御を解除するための、おそらくは宝玉の類か」
 老人はそこで合点が行く。≪夢の国≫の契約者は老人を見据え、
「あなたは、子供たちに夢を与えるはずの≪夢の国≫に何をさせているのかわかってるの!?」
 言う。
 老人はそれを聞くと何を馬鹿な、と首を振り、
「フム、それは違うな」
 きっぱりと告げた。
「≪夢の国≫は、私の国だ。私の利益のためにのみ動く、国だ」

「あなたは」
 ≪夢の国≫の契約者の抗議をぴしゃりと遮り老人はパレードを呼び出す。
「また何もかも忘れて私に仕えるがいい」
 手の振りと共にパレードが行進する。
「みんな!」
 ≪夢の国≫の契約者がパレードに声をかけるが彼らは一切反応しない。
「≪夢の国≫は私の国だと言っただろう?」
 わからんか?
 そう言って老人は嗤う。
「私の所有物なのだよ。王の権利を委譲されていただけの契約者にはもう≪夢の国≫は扱えん」
「っ、」
 睨みつける≪夢の国≫の契約者。その反抗的な態度を見て不快そうに老人は眉をひそめる。
「まったく、完全に支配したはずの状態でも私の意図しないことをしおる小娘が、
貴様のせいで町の侵攻も思うように進んでいない。……まあいい、もう私は復活を遂げたのだしな。契約者など用済みだ」
 嗤って告げる。
「パレードに呑みこまれて私の一部になるがいい」
 その声を合図にして≪夢の国≫のパレードが≪夢の国≫の契約者に殺到した。
「っつ!」
 目を瞑り来るべき衝撃に備えていた≪夢の国≫の契約者だが、
 いつまでたっても衝撃は来なかった。
「なんだと?」
 そして閉じた瞼の向こう、老人の驚くような声も聞こえてくる。
「?」
 彼女は目を開けた。
 そこには、
「マスコット風情が」
 憎々しげにつぶやく老人から彼女を庇うように、首のないミッ○ーがパレードと対峙していた。




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