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連載 - 黒服Hと呪われた歌の契約者-04

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黒服Hと呪われた歌の契約者 04


 …ぎしり
 ぎしり、ぎしり
 聞こえてくる、足音

 ……怖い
 正直、逃げ出したいと、彼女は考えていた
 しかし、逃げるわけにはいかない
 「鮫島事件」を阻止する為にも、ここを動くわけには
 そもそも、ここは家の中
 …逃げ場など、あるのだろうか?

「あー。これはヤバイねー」
「ホラー映画で無理して死亡するフラグキター」
「さようなら。あなたが死んだら私たちも死ぬけど」

 なんて酷い私たち
 元は私であるはずなのに、どうしてこんなにも違うんだろう

 少女の思考を、迫り来る何者かの恐怖と、自分たちへの怒りと……迫り来る尿意が、襲い掛かってくる
 どうしよう
 どうしようどうしようどうしようどうしようどうしようどうしよう

 混ぜこぜの思考で、パニックに陥りかけた時
 …部屋の扉が、そっと、開かれた

「っ!!」

 この、瞬間
 恐怖が、臨界点まで達し
 それは、尿意へと直結…

「大丈夫か?」
「あ……」

 …そこに、いたのは
 自分の担当の、黒服
 しゅるり、その髪が不気味に伸びているが…間違いなく、黒服だ

「き、来てくれたの?」
「メールで向かうと連絡していたんだが…」

 え?マジ??
 ……あ

「あ、携帯の充電切れてるー」
「あー、そう言えば、すっかり忘れてたよねー」
「ずっと動かないんだから、携帯は充電しとくべきだよ、いや、マジで」

 煩い私たち
 仕方ないじゃない、切羽詰ってたんだから

「と、とりあえず、助けにきてくれたのね?」
「あぁ……君が、暗部に狙われる恐れは高いからな」

 そう言って、黒服はゆっくりと、少女に近づいてくる
 髪の隙間から見える表情は、本当に少女を心配しているものだった

「…合わせ鏡を発動していたか」
「う、うん、こうすれば、「鮫島事件」を防げるかもしれないでしょ?」
「問題は、いつ発動するかわからなくて動けないって事だけどねー」
「尿意、89%を越えました!!そろそろ臨界点です!!」
「どうする!?どうする私!?流石に人前でお漏らしはこの年齢ではちょっと!!」

 私達ぃいいいい!!!!!!
 バラさないで!
 それをバラしちゃらめぇえええ!!!!!!

「うん?……あぁ、そうだよなぁ。手洗いにもいけないものな」
「そ、そう、なの」

 …そう、だから、その
 「鮫島事件」の発動タイミングを教えてくれると嬉しいなー…
 少女が、そんな期待を込めて、黒服を見上げると
 黒服は優しく微笑んで…

 …そっと
 少女に、それを手渡した

「え?」

 きょとん、と少女はそれを見つめる

 あの、その……

「…これは?」
「おまるだ」

 きっぱりと
 黒服は、堂々と言い切った

「したくなったら、これですればいい」

 ちょっとぉおおおお!!!!!!!??????

「さすが黒服H!!「組織」でも1,2を争う変態!!!私達の予想の斜め上を行く!!」
「そこに痺れてでも憧れないっ!!!!」
「ペットボトルもどうか、と思ったけどおまるで来たかー。しかもアヒル」
「やばくない?これにまたがる様子とか、絵的にやばくない??」

 しゅるしゅるしゅるしゅるしゅる
 …気のせい、だろうか 
 黒服の髪が、ますます伸びているような

「何、遠慮することはない。また、ここに脅威が忍び寄るかもしれないから、責任もって俺が傍にいる。たとえ、何があろうとも………もちろん、じっくりと見守って居るさ、あぁ、どんな状態でも」

 …………あぁ
 どうか、誰か助けてください
 少女は、ただ願わずにはいられないのだった



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