「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - 首塚-29

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 フィラデルフィア計画の女性の力を借りて、「組織」の地下基地から脱出した青年と少女
 ひとまず、女性と別れ、青年は少女を連れてある場所に向かっていた
 少女は、東区で発生した謎の力により、家を失ってしまったのだ

 一応、こちらが無事である事と、黒服の無事を確かめる為電話し、互いの無事を確認しあった後…一応、少女のその置かれた境遇についても、話しておいた
 黒服に無駄な心労はかけたくなかったが、黙っていてもいずれわかることだ
 ならば、早く伝えた方がいいだろう

 ……とまれ
 ひとまずは、少女に今夜の寝床を提供しなければ
 こんな幼い少女に、野宿させる訳にもいくまい
 そう考え、青年は少女を、東区のある場所へと連れて来ていた

「……?ここは…」
「マンションだよ…一時期、幽霊マンションとも騒がれたらしいけどな」

 そう、死者が続出し、呪われた幽霊マンション、などと噂された事もあるマンションだ
 一階の左端の部屋で死人が出たのを皮切りに、次は二階の左から二番目の部屋、次は、左から三番目の部屋…と、次々と死者を出した
 お祓いなどもされ、死者がでる事はなくなったが、以降も長く風評被害などで住人がいなかった
 しかし……つい数年前、マンション全体が大々的にリフォームされたのをキッカケに、今はほぼ満室である

 ……もっとも
 部分的に、「部屋があるはずの場所に窓がない」と言う不自然さが、外観からも窺えるが

 …とまれ
 青年は、少女を連れて、そこに入っていく
 向かうは、三階の、左から三番目の部屋…

「……?」

 少女は、小さく首をかしげた
 青年が、足を止めた場所
 ……そこは、「壁」にしか見えなかったからだ
 部屋と部屋の間隔を見るに、そこに「扉」があってもおかしくない場所
 ……しかし、少女には、そこに「扉」はなく、ただ「壁」あるようにしか見えなかった

「ねぇ、ちょっと」
「うん?どうした?」

 少女に声をかけられ、青年は首をかしげながら………ドアノブなどないはずのそこに、鍵を差し込んだ

 直後
 そこに、当たり前のように「扉」が現れた

「…………!?」

 驚いた表情を浮かべる少女
 そんな少女の疑問を感じ取ったのだろう、青年は先んじて答えてくる

「…ここは、昔の幽霊騒ぎの時に死人が出た部屋でな。マンション全体がリフォームされた時に、マンションの持ち主が不吉だからって、扉を取っ払って壁で埋めちまった。だから、普通なら、ここに部屋はあるはずはねぇんだがな」

 ……しかし、「扉」は現れて
 鍵を開けた青年は、何ともないように、その扉を開く

「…「潰したはずの部屋への扉がある」って言う。都市伝説ね?」
「あぁ、そう言う奴だな。このマンション内の埋められた部屋、そこが全部、その都市伝説になってる。俺達「首塚」で、そこの部屋は全部抑えてるんだよ」
「……「首塚」……」

 その単語に、複雑そうな表情を浮かべる少女
 …喫茶ルーモアのマスターを殺したのは、「首塚」組織の一員だと、聞いていたからだ
 しかし…「首塚」組織の中でも、首領たる将門との直接対面がない者の仕業だった、という事も、あの黒服から聞いていた
 「首塚」組織は大きく分けると、将門との面識がある「側近」と、そうではないそれ以外のメンバーに分かれているようだ
 その中でも、勝手な行動をしているのは、それ以外の方

 …そして、この青年は、一応は「側近」に当たる
 黒服経由の情報だ、信用していいと思う
 問題は、この青年を信用できるかどうかだが

「…あの童貞魔術師野郎の行方は、こっちでも捜してる最中だよ」

 少女の複雑な心境を察したのか
 ぼそり、青年は呟いた
 その声に滲んでいるのは、怒り
 面識もないルーモアのマスターを殺したその男に対し、青年ははっきりとした怒りを覚えているのだ
 少女も、それを察する

「…前は逃がしたが、今度見つけたら…」

 …呟きながら、青年は少女を部屋の中に案内する

 ……質素な部屋だ
 キッチンと一体になったリビングと、多分、奥にベッドなどがある部屋があるのだろう
 もう一方の扉は、風呂とトイレと見た
 飾り気のない、必要最低限の家具しかない部屋
 そこに

『あら、いらっしゃぁい』

 ……女がいた
 体が半透明な

「…なんだ、今日はこの部屋にいたのかよ」
『何よ、いちゃいけない?』

 青年の面倒臭そうな声に、ぷりぷりと怒っている、推定幽霊
 しかし、彼女は少女に気付くと、あらあら、と近寄ってくる

『あら?どうしたの?その格好…あらら、その浴衣、直さないと着れそうにないわね…』
「ち、ちょっと?」

 突然、何なのだ、この推定幽霊は
 説明を求めるように青年を見上げると、青年は肩をすくめてくる

「この部屋は、幽霊騒動で潰されたって言ったろ?……その、元凶の連続殺人鬼幽霊だ」
『今はもう改心してるもん。人殺さないもん。人畜無害だもん』

 むー!と頬を膨らませる、女の幽霊
 外見はどう見ても20を越しているというのに、言動やら何やら、やけに子供っぽい

「…確か、その幽霊ってお祓いされたんじゃなかった?」
『オリジナルはねー。でも、ほら、その後も噂は続いたでしょ?だから、都市伝説的に私が生まれたのよ』

 私は人殺し嫌いだけどー、と能天気に答える幽霊
 なんと言うか………頭、悪そう

「…寝泊りできる場所知らない?とは聞いたけど。頭悪そうな同居人が欲しいとは言ってないわよ?」
「許せ。こいつが今日、この部屋にいるとは思わなかった。どっかかしらの部屋にいるのは知ってたけど」
『ひどーーい!』

 むー!と、ますます頬を膨らませてきた女幽霊
 …なんだか、頭が痛くなってくる

「…とりあえず、今夜はここで寝とけ。服は、他の奴にでも連絡して用意させとくから」
「あなたは?」
「俺も今日はここで寝る…流石に疲れたしな」

 そう言って、青年はふぁ、と欠伸している
 …そりゃあ、疲れただろう
 この日、「夢の国」の攻撃が始まってから、青年はほぼ走り回っていたのだ
 途中からは、少女を抱えたままずっと動き回っていた
 疲れていない訳がない
 むしろ、普通なら途中で力尽きているところだ
 …夜も遅くなってきた時間
 少女も、この日一日の戦いの疲労もあって、疲れ果ててきている
 狭い繰る眠気には、勝てない

『あら、でも、ベッド一つしかないでしょ?一緒に寝るの?』
「はぁっ!?」

 女幽霊の呑気な言葉に、一瞬、眠気が吹き飛ぶ少女
 ベッド一つっ!?
 確かに、一人暮らし用と思われる部屋ではあるけれど…
 何故、こんな男と一緒に寝なければならないのか
 抗議しようとする少女だが
 それよりも先に、青年が答えた

「いや、俺はそこのソファーで寝るから」
『あら、子供には優しいのね…私には冷たいくせに』
「つるぺったんに優しくする筋合いはねぇ。小学校低学年の子供をソファーで寝かせる訳にもいかないだろ」
『ひどーい!私、Cはあるもん!ギリギリCカップだもん!!』

 ぎゃいぎゃい
 抗議する女幽霊の言葉をスルーして、青年は眠たそうにソファーに転がった
 どうやら、こちらと一緒に寝るという選択肢は初めから無かったようで…それは、いい
 それはいい、の、だが

「…………」

 すたすたすた
 少女は、無言で、ソファーに寝そべっている青年に近づいた

「ん?どうし……」

 ごがっ!!

「がはっ!?」

 そのお腹に、思い切り、全身の力を込めてエルボーをかますっ!!

「誰が小学校低学年よっ!?私はもう10歳よっ!!」

 全力で、そう抗議して
 少女は、ばたん!!と、ベッドのある部屋へと入っていった
 リビングには、腹を抑えて悶える青年と、女幽霊だけが残されて

『本当、あなたって乙女心とか女心がわからない男よねー』

 と、女幽霊が呆れながら、そう呟いたのだった



終わってしまえばいい






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