アットウィキロゴ

「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - 合わせ鏡のアクマ-06

最終更新:

匿名ユーザー

- view
だれでも歓迎! 編集

合わせ鏡のアクマ 06


「・・・平和だなぁ」
あれからも『生首』の襲撃は一切なく、俺は肩透かしを喰らったかのような感覚を覚えていた。
(にしても動きが一切ないなんてな・・・一体なにを考えているんだ?)
「ちょっと、ボーっとしてないで話をちゃんと聞きなさいよ!」
「ん?ああ、悪い」
こいつ・・・『姫』さんとの昼休み交流もずっと続いていた。
もっとも最近はあまりにも何も起こらないため、『姫』さんも都市伝説以外のことを話すようになってきたのだが。
「おかしいと思わない?私ずっとこの町の都市伝説の情報は集めてるのよ。
 でも今までここまで何もなかったのは初めてよ。そりゃ町全体でなら多少はあるけど・・・」
「つまりなにか、この辺りでの都市伝説の噂がなりを潜めてるってことなのか?」
いいことなんじゃないのか?物騒な話がないってことは。
「都市伝説にも物騒な話とそうじゃない話があるわ。問題は、両方とも聞かないってことなの」
『姫』さんは深く息を吸うと、ゆっくりと話始めた。
「なんでもない小さな都市伝説も、大きな事件になりそうな都市伝説も、
 今までは絶対にこの辺りでも起こってたわ。でもそれが今はないの・・・
  もしかしたら、何か大きな都市伝説がが動いてるんじゃないかって思うのよ」
「・・・どゆこと?」
「たとえば、密林を1頭のお腹を空かせた虎が歩いていたとするわ。
 もしも虎が近くにいる時に声を出してしまえば、その動物はたちまち虎に襲われるでしょうね」
「大きな都市伝説が動くことに反応して、
 他の都市伝説がおとなしくなってるっていうのか?まるで都市伝説を生き物みたいに扱うんだな」
「少なくとも『トイレの花子さん』や『テケテケ』みたいなのは生き物に近いと思うわ。
 だって元は人間なのよ?都市伝説になったとしても思考能力は持っているに決まってるわ」
「・・・なぁ、『姫』さん」
「なによ?」
「ひとつ聞くけどよ・・・もし都市伝説と人間が出合ったら、友達になれると思うか?」
「なに言ってるの、当たり前じゃない」
『姫』さんはそう断言すると弁当を片付け始めた。
「もっとも、全部が全部友達になれるとはさすがに思わないけどね」
「・・・だよな」

*


「ああ、そうだ忘れてたわ」
そう言うと『姫』さんはポーンと折りたたまれた紙切れを投げてきた。
「これは?」
「それ放課後までに目を通しておいてね、それじゃ!」
早口にそういうと『姫』さんは階段を駆け下りていった。
「何が書いてあるのかな?」
「さぁな、読んでみなきゃ分からん」
「じゃあ早く開けて読んでよ」
うるさいぞタダ飯食らいの駄目悪魔め。
「駄目悪魔!?ひどい言いようじゃないか!僕、傷ついちゃうよ?」
「ああ、傷つけ」
喚くアクマを無視して紙を開く。
「えーっと、なになに・・・
 [今日の18時に校舎裏で待ってなさい]
                       ・・・は?」

「ラブレターですわね」
いや断言されても。
「じゃあ、否定してほしかったんですの?普通は貰ったら嬉しいものだと思いますわ」
「だって、あの『姫』さんだぞ?ありえん」
「・・・その『姫』さんだからこそありえるのですわ」ボソッ
「じゃあさー、果たし状っていうのは?」
「あー・・・ありえなくもない」
「果たし状なわけありませんわよ。
  今時こんな風にラブレター気味な果たし状を送る人が・・・」
「案外いるぞ、俺の友達の一人に中学でやった奴がいる」
「・・・第一、これが『姫』さんのものだとは限らないでしょう?」
「おお、そうか!」
名前は書いてないしな・・・って、じゃあ誰が?
「匂いを嗅いでもいんのですけれど・・・待っていればとりあえず、分かりますわよ」

*


「それじゃあ、一度家に戻るぞ」
「え、待ってるんじゃないの?」
「教科書とか置いてきても十分間に合うんだからいいだろ?」
「それぐらいはいいんじゃありませんの?・・・まさか契約者様、終わった後に巡回を」
げ、バレたか。
「駄目ですわよ!ワタクシ一人でも十分だと何度も言ってるじゃありませんの!」
「わぁー!待て待て、お前の力を信用してないわけじゃないんだ!むしろすっごく信頼してる」
「え・・・そ、そうですの?」
「でもな、どうせ『生首』は俺を狙ってるんだから俺が外にいないときっと出てこないぞ?
 それならいっそ、俺が鏡を持ってザクロと巡回してたほうが遭遇したときに好都合じゃないか」
「それは・・・そうですけど」
「いいか、俺はお前達の契約者なんだぞ。契約したらはい、後はお前達だけで戦ってくれ・・・
 そんな契約者なんて、俺はゴメンだ。俺達はパートナーなんだ。俺だけが引っ込んでるわけにはいかねぇんだよ」
「契約者様・・・分かりました、いざとなればワタクシが全力でカバーいたしますわ!」
分かってくれたか、よしよし。
「・・・僕だけと契約してた時はブツブツ文句ばっかり言ってたくせに」
黙れ、お前はほとんど俺にまかせっきりだったじゃないか。
「よし、そうと決まれば早く家に帰ろう。万が一時間に遅れたら相手に迷惑だしな」

「・・・いたずらという可能性は考えてなかったな」
現在時刻、18時30分。まだ校舎に残ってる人もいるかもしれないが、そろそろ総下校時間だぞ?
「一体誰なんだよ・・・あんな紙書いたのは」
「私だけど?」
背後から声がしたので振り向いてみると、『姫』さんが角から顔を出していた。
「・・・マジであんただったのか。そりゃ予想外だ」
「にしては驚いてないみたいじゃないの」
「ああ、実は少しだけ予想にいれてた」
「そう・・・じゃあ、あなたを驚かせてあげましょうか」
「ふーん。で、一体何をするっていうんだ?」
それには答えず、『姫』さんは角から出てきた。

*


「・・・な!?」
「驚いた?」
クスクスと笑う『姫』さんには・・・・・・首から下が、なかった。
つまり、『生首』
「そうか・・・ようやく分かったぞ。あんたが『生首』の本体か」
「ええ、そうよ」
頭が回転し、言葉が紡ぎだされていく。
「薄々違和感は感じてた。だけどそれがなんなのかは分からなかった。
 家庭科室のキュー○ー人形や服屋のマネキン。
 このふたつに共通した違和感・・・それは『動きが単純だった』ことだ。
 つまりあれは遠隔操作されている、いわばラジコンのようなものだった。
 動かすことはできるが、慣れないうちは思うように操れない。
 つまり、お前の能力は【首を飛ばして操る】・・・それも、人形のな。違うか?」
「あら・・・随分と頭がいいのね。お姉さんびっくりしちゃったわ」
いつもの『姫』さんの声に、副音声のように違う声が混じる。
「訂正箇所があるとすれば、憑依している人間の首は飛ばせるのよ」
「・・・憑依型の都市伝説は、初めて見たな」
「あら、じゃあ私があなたの『初めて』ってわけね。嬉しいわ」
「変な言い方するな」
相手のペースに乗せられないように、気を張りながら間合いを測る。
『生首』は宙を舞うから、かなり早い。
「俺を襲おうとするのは、家庭科室で返り討ちにしてやったからか?」
「ええ、あんな風に互いを信じあって行動してるのを見ると殺意がわくの。
 生前、私は恋人に裏切られて、殺されたあげくに遺体をバラバラにされたわ。
 信じてた恋人に裏切られ、体はどこかに散らばり・・・散々な目に遭ったの。
 だからね、私は信頼しあっている人達が同じような目に遭って死んでしまえばいいと思っているわ」
「・・・なるほど、都市伝説としては『自分の体を捜す生首』ってところか。
 しかも、恋人を恨むだけでは飽き足らず人に憑依して幸せを邪魔する・・・タチ悪い都市伝説だ」
「あなたはそう思うでしょうね、信頼できる人がいるから。
  でも、その相手に裏切られた時のショックは信頼が深いほど大きいわ。私もそうだった」

*


落ち着け、相手の言葉に惑わされちゃいけない。
第一、ザクロも離れた位置から様子を伺ってるんだ。相手は一体、なんとかなるはずだ。
「にしても、単身で来るとは随分余裕なんだな」
「あら、そんなことないわ。マネキン三体と戦わせた時に実力は分かった、とても一人では勝てそうになかったわね」
「矛盾してるぞ、勝てないならなんで・・・まさか!」
「ええ、だから策を考えたのよ」
『生首』がニヤリと笑った。
「契約者様!」
ザクロの声が聞こえ、慌てて地面に伏せる。
今まで頭のあった場所を、包丁を咥えた(というか口にくっつけた)マネキンの首が通り抜けていく。
「あらあら、けっこう勘が働くのね。もう少し反応が遅ければ怪我じゃすまなかったわよ?」
『生首』が余裕をみせて話している。
慌てて周囲を見渡すと、十体近くのマネキンが周りを取り囲んでいた。
隣にザクロが降り立つ。
「契約者様、ここはワタクシが抑えますから鏡を!」
いくらザクロでも11対1では無謀すぎる。しかし、合わせ鏡を作らなければアクマは力を発揮できない。
ここはザクロの言うとおり、なんとしてでも鏡を取ってこなければ。
「分かった!無理はするなよ!!」
全部言い終わる前にマネキンの首と首の間を走り抜けようとする。
それに反応してマネキンの首が道を塞ごうとする・・・と、そのマネキンに向けて炎が放たれた。
マネキンの首が力を失ったように地面に落ち、その空いた一角を抜けていく。
鏡を置いてあるところまではそんなに遠くはない、戻るまで持ってくれザクロ!

「・・・【火を吹く】能力ですか、随分と派手な能力をお持ちなのね?」
「そんなことはないですわ」
実は契約してから今まで、コンロの電池が切れたときの着火にしか使っていなかった能力についてそうコメントし、
鏡を置いてある校舎に背を向けて、ザクロは『生首』達と対峙していた。
(三体ほど校舎の中に入れてしまいましたわね・・・契約者様、どうかご無事で)
「では、始めましょうか・・・行きなさい」
武器を持ったマネキンの首達が押し寄せてくるのを、ザクロは不敵な笑いを浮かべながら見つめていた。




タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
記事メニュー
最近更新されたスレッド
ウィキ募集バナー