合わせ鏡のアクマ 07
「契約者、右からくるよ!」
「うおぉ!?」
転びそうになりながらも前傾して襲いかかるマネキンの首を避ける。
こいつら前に戦ったマネキンより早いぞ・・・
「ずっと動きがないと思ったら・・・策ってのはこれか!」
「誰にも見つからないようにこっそり数を増やしつつ、動きをより機敏にしていった・・・ってとこかな?左!」
「このっ!」
よし、教室が見えてきた。
「契約者!前、前!!」
「のわぁあああ!?」
先回りしていたのか、前方からもマネキンの首が襲いかかってきた。
「ちく・・・しょうがっ!」
体が反応し、マネキンの首に拳を叩き込む。
マネキンが吹っ飛び、天井にぶちあたる。
「・・・?」
そんなに力を入れたつもりはなかったんだが。
「ちょっと、契約者早く!」
「わ、分かってるわ!」
教室に入って自分の机に置いてあった鏡をしっかりと持つ。
続けて教室に俺を追っかけてたマネキンの首が三体全部入ってくる・・・だが、少し遅かったな。
「アクマ、やれ!」
「はいはい・・・ごめんよ!」
実体化したアクマがマネキンたちの前に躍り出る。そのままワン、ツー、スリーパンチで全員ノックアウト。
「お前本当強いよな、お前がもっとやる気になってくれればザクロにも楽させてやれるのに」
「僕にはザクロみたいなスピードがないから無理。それより、加勢に行くんでしょ?」
「おお、そうだった。待ってろザクロ!」
床に散らばったマネキンを無視して廊下に出て、『生首』達とザクロのいる校舎裏までひたすら走る。
「うおぉ!?」
転びそうになりながらも前傾して襲いかかるマネキンの首を避ける。
こいつら前に戦ったマネキンより早いぞ・・・
「ずっと動きがないと思ったら・・・策ってのはこれか!」
「誰にも見つからないようにこっそり数を増やしつつ、動きをより機敏にしていった・・・ってとこかな?左!」
「このっ!」
よし、教室が見えてきた。
「契約者!前、前!!」
「のわぁあああ!?」
先回りしていたのか、前方からもマネキンの首が襲いかかってきた。
「ちく・・・しょうがっ!」
体が反応し、マネキンの首に拳を叩き込む。
マネキンが吹っ飛び、天井にぶちあたる。
「・・・?」
そんなに力を入れたつもりはなかったんだが。
「ちょっと、契約者早く!」
「わ、分かってるわ!」
教室に入って自分の机に置いてあった鏡をしっかりと持つ。
続けて教室に俺を追っかけてたマネキンの首が三体全部入ってくる・・・だが、少し遅かったな。
「アクマ、やれ!」
「はいはい・・・ごめんよ!」
実体化したアクマがマネキンたちの前に躍り出る。そのままワン、ツー、スリーパンチで全員ノックアウト。
「お前本当強いよな、お前がもっとやる気になってくれればザクロにも楽させてやれるのに」
「僕にはザクロみたいなスピードがないから無理。それより、加勢に行くんでしょ?」
「おお、そうだった。待ってろザクロ!」
床に散らばったマネキンを無視して廊下に出て、『生首』達とザクロのいる校舎裏までひたすら走る。
「ザクロ!」
ようやく校舎裏にたどり着き、パートナーに呼びかける。
ようやく校舎裏にたどり着き、パートナーに呼びかける。
*
「契約者様!」
ザクロは軽く振り向いて応え・・・襲いかかってきたマネキンを叩き伏せる。
「三体ほど逃してしまいましたが・・・その様子では大丈夫だったようですわね」
「ああ、アクマに殴らせたからしばらく動けねーだろ。歪んでたし」
「くっ・・・」
『生首』があせりの表情を見せた。その周りにはマネキンの首が二体残っている。
「すごいなザクロ・・・ひとりで五体も倒したのか」
「いえ、正確には全部で九体でしたので四体ですわ」
自分を誇ることもなく雄々しく立つザクロだが、その息は荒い。
「ゆっくり休めザクロ・・・残りは、俺達がやる」
「・・・はい」
「え、僕達だけでやるの?」
「当たり前だ、こんなに疲れてるザクロに連戦させる気か?」
アクマは不満そうだが、既に戦闘態勢に入っていた。
「・・・だっ!」
アクマが一息でマネキンの一体に肉薄した・・・かと思うと次の瞬間には、
マネキンは背後の木に叩きつけられていた。くっきりと顔に拳の痕を残して。
「ちっ、行けぇ!」
残ったマネキンが一人で立っている俺に向かって猛然と突っ込んでくる。
鏡を手放すわけにはいかないので足に力を溜め渾身の蹴りを
「契約者様のお手を煩わせるわけにはいきませんわ」
・・・放とうとした瞬間、ザクロが眼前に現れてマネキンに噛みつく。
メキリ、と嫌な音をたてて大半を噛み砕かれたマネキンをザクロが地面に放る。
「なんだ、俺の出番はなしかよ。もう少し休んでてもいいんだぞ?」
「何においても主を危険から守るのが犬の性分というものですわ」
そう言って笑うと、ザクロは『生首』に言い放った。
「さ、もうあなただけですわよ?」
「くそ・・・!」
悔しげな表情を見せる『生首』・・・・・・それを見た俺の足は、少しずつ前に進んでいた。
ザクロは軽く振り向いて応え・・・襲いかかってきたマネキンを叩き伏せる。
「三体ほど逃してしまいましたが・・・その様子では大丈夫だったようですわね」
「ああ、アクマに殴らせたからしばらく動けねーだろ。歪んでたし」
「くっ・・・」
『生首』があせりの表情を見せた。その周りにはマネキンの首が二体残っている。
「すごいなザクロ・・・ひとりで五体も倒したのか」
「いえ、正確には全部で九体でしたので四体ですわ」
自分を誇ることもなく雄々しく立つザクロだが、その息は荒い。
「ゆっくり休めザクロ・・・残りは、俺達がやる」
「・・・はい」
「え、僕達だけでやるの?」
「当たり前だ、こんなに疲れてるザクロに連戦させる気か?」
アクマは不満そうだが、既に戦闘態勢に入っていた。
「・・・だっ!」
アクマが一息でマネキンの一体に肉薄した・・・かと思うと次の瞬間には、
マネキンは背後の木に叩きつけられていた。くっきりと顔に拳の痕を残して。
「ちっ、行けぇ!」
残ったマネキンが一人で立っている俺に向かって猛然と突っ込んでくる。
鏡を手放すわけにはいかないので足に力を溜め渾身の蹴りを
「契約者様のお手を煩わせるわけにはいきませんわ」
・・・放とうとした瞬間、ザクロが眼前に現れてマネキンに噛みつく。
メキリ、と嫌な音をたてて大半を噛み砕かれたマネキンをザクロが地面に放る。
「なんだ、俺の出番はなしかよ。もう少し休んでてもいいんだぞ?」
「何においても主を危険から守るのが犬の性分というものですわ」
そう言って笑うと、ザクロは『生首』に言い放った。
「さ、もうあなただけですわよ?」
「くそ・・・!」
悔しげな表情を見せる『生首』・・・・・・それを見た俺の足は、少しずつ前に進んでいた。
*
「契約者様?」
ザクロが声をかけてくる。だが、今はそれに答えている時ではない。
「なぁ、『生首』さんよ」
俺は『生首』に向かって話しかけていた。
「なによ、言っておくけど私は一筋縄でやられたりなんか」
「そうじゃない、お前さ・・・
やり直す気はないか?」
『生首』は意味がわからないというように表情を変える。
「つまりだな、人を恨んだりするのなんてやめて人と協力を・・・」
「黙りなさい!」
『生首』は怒りの表情をみせて叫ぶ。
「あんたなんかに分かるものですか!信じてた、愛する人に殺されて体をバラバラにされて
幸せそうにのうのうと暮らしてるあんたなんかに・・・人に裏切られる苦しみが、分かるものですかっ!」
『生首』の叫びは止まらない。
「この子だってそうよ!学年一の美人だって褒められて、周りに人が集まってきても・・・
みんなが見てるのは『学年一の美人』のこの子。誰もこの子の内面なんて見てくれないわ!
本音で話せるような友達はできず、この子は孤独なのよ。外面だけ見てるような人達は、
状況が変わったらすぐに手のひらを返すことをこの子は分かってる・・・だから、周りの人を信じられない。
裏切りの苦しみを知らないあなたに・・・孤独を知らないあなたに・・・
分かるわけがないっ!」
最後に絶叫し、『生首』が突っ込んでくる。俺はそれを避けず・・・『生首』が左肩に噛みついた。
「いっ・・・ッ!」
予想以上の痛みに声が漏れそうになる。
「契約者様!?」
慌てて『生首』を引き剥がそうとするザクロを手で制す。
噛みつきながら肩の上で涙をボロボロこぼす『生首』を、俺は右手でなでてやった。
「はいふふ!」
「待て、噛みつきながらしゃべるな!」
噛みつきながらこちらを睨む『生首』の頭をなでつつ、俺は静かに話し始めた。
ザクロが声をかけてくる。だが、今はそれに答えている時ではない。
「なぁ、『生首』さんよ」
俺は『生首』に向かって話しかけていた。
「なによ、言っておくけど私は一筋縄でやられたりなんか」
「そうじゃない、お前さ・・・
やり直す気はないか?」
『生首』は意味がわからないというように表情を変える。
「つまりだな、人を恨んだりするのなんてやめて人と協力を・・・」
「黙りなさい!」
『生首』は怒りの表情をみせて叫ぶ。
「あんたなんかに分かるものですか!信じてた、愛する人に殺されて体をバラバラにされて
幸せそうにのうのうと暮らしてるあんたなんかに・・・人に裏切られる苦しみが、分かるものですかっ!」
『生首』の叫びは止まらない。
「この子だってそうよ!学年一の美人だって褒められて、周りに人が集まってきても・・・
みんなが見てるのは『学年一の美人』のこの子。誰もこの子の内面なんて見てくれないわ!
本音で話せるような友達はできず、この子は孤独なのよ。外面だけ見てるような人達は、
状況が変わったらすぐに手のひらを返すことをこの子は分かってる・・・だから、周りの人を信じられない。
裏切りの苦しみを知らないあなたに・・・孤独を知らないあなたに・・・
分かるわけがないっ!」
最後に絶叫し、『生首』が突っ込んでくる。俺はそれを避けず・・・『生首』が左肩に噛みついた。
「いっ・・・ッ!」
予想以上の痛みに声が漏れそうになる。
「契約者様!?」
慌てて『生首』を引き剥がそうとするザクロを手で制す。
噛みつきながら肩の上で涙をボロボロこぼす『生首』を、俺は右手でなでてやった。
「はいふふ!」
「待て、噛みつきながらしゃべるな!」
噛みつきながらこちらを睨む『生首』の頭をなでつつ、俺は静かに話し始めた。
*
「確かに俺は、裏切られる苦しみも孤独も分からないかもしれねぇ。
だけどな、そんな幸せに生きてる俺だからこそお前『等』言えることがある」
大きく息を吸い、はっきり言い放つ。
「裏切られたからどうした!孤独だからどうした!
こんなガサツで駄目人間の俺でも、こうやって努力して幸せ手に入れてるんだ。
お前達はどうなんだ?人をもう一度信じてみようとしたのか?勇気を持って人に話したかけたか?」
震える『生首』に、その奥にいる『姫』さんに向かって、言葉を畳み掛ける。
「どんなに暗い崖の底にいてもな、そこで諦めてたら何も変わらねぇ、
崖下から出ようと死ぬまで足掻いて諦めない心があれば、人はいくらでもどん底から這い上がれるんだ!」
『生首』をギュッと抱いて、最後の言葉を言ってやる。
「だから・・・一緒に、足掻こうぜ?不幸な今を変えて、幸せな明日を迎えるためによ」
「・・・バカみたい」
『生首』は俺の肩を開放すると、そう言って
「でもね、あんたみたいなバカは・・・嫌いじゃないわ」
――微笑んだ。
だけどな、そんな幸せに生きてる俺だからこそお前『等』言えることがある」
大きく息を吸い、はっきり言い放つ。
「裏切られたからどうした!孤独だからどうした!
こんなガサツで駄目人間の俺でも、こうやって努力して幸せ手に入れてるんだ。
お前達はどうなんだ?人をもう一度信じてみようとしたのか?勇気を持って人に話したかけたか?」
震える『生首』に、その奥にいる『姫』さんに向かって、言葉を畳み掛ける。
「どんなに暗い崖の底にいてもな、そこで諦めてたら何も変わらねぇ、
崖下から出ようと死ぬまで足掻いて諦めない心があれば、人はいくらでもどん底から這い上がれるんだ!」
『生首』をギュッと抱いて、最後の言葉を言ってやる。
「だから・・・一緒に、足掻こうぜ?不幸な今を変えて、幸せな明日を迎えるためによ」
「・・・バカみたい」
『生首』は俺の肩を開放すると、そう言って
「でもね、あんたみたいなバカは・・・嫌いじゃないわ」
――微笑んだ。
「ここよ」
「体育倉庫かよ、よく見つからなかったな・・・」
「ここは古くなった道具を入れてある本当にただの倉庫だから、人が来ないらしいのよ」
そう言うと『生首』は倉庫の上にある小窓から中に入り、俺は倉庫の扉を開けた。
埃っぽい倉庫の中、奥の跳び箱に隠れたマットの上に『姫』さんの体は横たわっていた。
「・・・あなたの言うとおり、私は今まで自分を嘆いてばかりでもう一度人を信じようとはしなかったわ」
『姫』さんの体の上に浮かびながら、『生首』が話し始めた。
「だからね、まずあなたを信じてあげるわ。だからあなたも・・・」
「分かってる、期待に応えられるかは知らないけどな」
「ふふ、それでもいいのよ」
あの後俺は『生首』ある提案をし、『生首』はそれに交換条件をつけた。
俺の提案は『今後、人を襲わず静かに暮らしてほしい』ということ。
それに対する『生首』の交換条件は、『「姫」さんと上辺だけでない、本当の友達になってほしい』というものだった。
その条件を俺は受け入れ、『生首』もまた俺の提案を了承した。
「体育倉庫かよ、よく見つからなかったな・・・」
「ここは古くなった道具を入れてある本当にただの倉庫だから、人が来ないらしいのよ」
そう言うと『生首』は倉庫の上にある小窓から中に入り、俺は倉庫の扉を開けた。
埃っぽい倉庫の中、奥の跳び箱に隠れたマットの上に『姫』さんの体は横たわっていた。
「・・・あなたの言うとおり、私は今まで自分を嘆いてばかりでもう一度人を信じようとはしなかったわ」
『姫』さんの体の上に浮かびながら、『生首』が話し始めた。
「だからね、まずあなたを信じてあげるわ。だからあなたも・・・」
「分かってる、期待に応えられるかは知らないけどな」
「ふふ、それでもいいのよ」
あの後俺は『生首』ある提案をし、『生首』はそれに交換条件をつけた。
俺の提案は『今後、人を襲わず静かに暮らしてほしい』ということ。
それに対する『生首』の交換条件は、『「姫」さんと上辺だけでない、本当の友達になってほしい』というものだった。
その条件を俺は受け入れ、『生首』もまた俺の提案を了承した。
*
「それじゃ、そろそろ始めるわ」
そう言うと『生首』は『姫』さんの体の、首があった部分に首の根元を当て・・・
あっという間に離れていたことが信じられないくらいピッタリと首と胴体がくっついた。
『姫』さんの体がブルリと震えて、静かに呼吸を始めた。
「・・・これでいいわ」
声のした方向に目を向けると、髪の長い女の『生首』が宙に浮いていた。
「なんだ、随分キレイじゃないか」
「ふふ、ありがとう」
「なんでこんなにキレイな人を殺したのかね・・・っと」
慌てて口を閉じる。
「いいのよ、あなたのおかげで吹っ切れたわ。それじゃあその子を頼んだわよ」
そう言って『生首』は小窓から出て行こうとし・・・
「あ、そうそう」
振り向いて話し始めた。
「マネキンの調達・調整をしてる時に思ったんだけど・・・最近、静かすぎると思わない?」
どこかで聞いたような話だな。
「あなたも、気をつけたほうがいいかもしれないわよ・・・じゃあ、縁があったらまた会いましょ」
世間話なのか警告なのか、よく分からない話をして『生首』は外へ出て行った。
そう言うと『生首』は『姫』さんの体の、首があった部分に首の根元を当て・・・
あっという間に離れていたことが信じられないくらいピッタリと首と胴体がくっついた。
『姫』さんの体がブルリと震えて、静かに呼吸を始めた。
「・・・これでいいわ」
声のした方向に目を向けると、髪の長い女の『生首』が宙に浮いていた。
「なんだ、随分キレイじゃないか」
「ふふ、ありがとう」
「なんでこんなにキレイな人を殺したのかね・・・っと」
慌てて口を閉じる。
「いいのよ、あなたのおかげで吹っ切れたわ。それじゃあその子を頼んだわよ」
そう言って『生首』は小窓から出て行こうとし・・・
「あ、そうそう」
振り向いて話し始めた。
「マネキンの調達・調整をしてる時に思ったんだけど・・・最近、静かすぎると思わない?」
どこかで聞いたような話だな。
「あなたも、気をつけたほうがいいかもしれないわよ・・・じゃあ、縁があったらまた会いましょ」
世間話なのか警告なのか、よく分からない話をして『生首』は外へ出て行った。
「・・・どう思う?」
『生首』が飛び去ってしばらく。俺は横に居る二人のパートナーに声をかけた。
「信憑性はあるね、たしかに静かかもしれない」
「ワタクシもそう思いますわ。警戒しておいてもいいかもしれませんわね」
「そっか・・・」
二人の答えに、これからの不安を感じながら俺はさっき噛まれた傷を触り・・・
「あれ、ない?」
鏡を使って確認しても、傷はおろか歯型も残っていない。
「おかしいな、確か血も出てたはずなのに・・・歯型すらないってどういうことだよ」
「それはたぶん、都市伝説と契約した弊害ね」
・・・後ろを振り返ると、『姫』さんがマットから起き上がっていた。
『生首』が飛び去ってしばらく。俺は横に居る二人のパートナーに声をかけた。
「信憑性はあるね、たしかに静かかもしれない」
「ワタクシもそう思いますわ。警戒しておいてもいいかもしれませんわね」
「そっか・・・」
二人の答えに、これからの不安を感じながら俺はさっき噛まれた傷を触り・・・
「あれ、ない?」
鏡を使って確認しても、傷はおろか歯型も残っていない。
「おかしいな、確か血も出てたはずなのに・・・歯型すらないってどういうことだよ」
「それはたぶん、都市伝説と契約した弊害ね」
・・・後ろを振り返ると、『姫』さんがマットから起き上がっていた。
*
「都市伝説に深く関わりすぎると、だんだんと体が人間離れしていくんですって」
「えっと・・・やぁ、『姫』さん。おはよう」
「この時間帯でおはようは間違ってるわ」
『姫』さんは立ち上がると俺の隣に来て腰を下ろした。
「それで、どこまで?」
「どこまで知ってるのか、ってこと?そうね、契約とかくらいなら分かるわ」
『姫』さんが言うには、『生首』が『姫』さんの記憶を読み取ったように
『姫』さんも『生首』の持っていた都市伝説の知識を得たらしいのだ。
「・・・ってことはつまり、俺らのこと最初から知ってたってこと?」
「少なくとも、家庭科室の一件があるまではただのオカルト好きかとも思ってたわ。
彼女のほうは疑ってたみたいだけどね。そして家庭科室の話をしたら案の定引っかかって」
どうも日中は『姫』さんに主導権が、日没から日の出までは『生首』に主導権があったらしい。
「本当はね、昼休みに会うたび『生首』のことを言いたかった・・・
でも、言った瞬間にこの関係が崩れてしまうんじゃないかって思ったら怖くて・・・」
『姫』さんにしてみれば、高校に来て初めて自分と趣味の合う人間を見つけて話せたのだ。
俺は目に涙を浮かべた『姫』さんの首に手を回し・・・・・・締め上げた。
「いたっ、痛い!なにするのよ!」
「ばーか、今更そんなこと気にしてうじうじしてんな」
立ち上がり、『姫』さんに手を差し出す。
「俺達はもう『友達』だろ?いいか、『姫』さん。
本当の友達はそんな程度のカミングアウトで離れたりはしないもんなんだ。だからもっと気楽になれ」
「・・・名前」
ボソッと『姫』さんがつぶやく。
「××君、私を呼ぶときなんか他人行儀よね。だから、それやめて」
「あー・・・そんなつもりはないんだがな。じゃあ、こうかな・・・帰ろうぜ、姫さん」
「本当は名前で呼んでほしいんだけど・・・妥協してあげる」
そう言うと姫さんは俺の手を取って言った。
「それじゃあ、一緒に帰りましょう」
この後、姫さんを家に送ってアクマがドラマを見れずに泣き叫んだりしたが・・・
俺に秘密を共有する新しい『友達』ができ、一連の『生首』騒動は無事に終わりを迎えたのである。
「えっと・・・やぁ、『姫』さん。おはよう」
「この時間帯でおはようは間違ってるわ」
『姫』さんは立ち上がると俺の隣に来て腰を下ろした。
「それで、どこまで?」
「どこまで知ってるのか、ってこと?そうね、契約とかくらいなら分かるわ」
『姫』さんが言うには、『生首』が『姫』さんの記憶を読み取ったように
『姫』さんも『生首』の持っていた都市伝説の知識を得たらしいのだ。
「・・・ってことはつまり、俺らのこと最初から知ってたってこと?」
「少なくとも、家庭科室の一件があるまではただのオカルト好きかとも思ってたわ。
彼女のほうは疑ってたみたいだけどね。そして家庭科室の話をしたら案の定引っかかって」
どうも日中は『姫』さんに主導権が、日没から日の出までは『生首』に主導権があったらしい。
「本当はね、昼休みに会うたび『生首』のことを言いたかった・・・
でも、言った瞬間にこの関係が崩れてしまうんじゃないかって思ったら怖くて・・・」
『姫』さんにしてみれば、高校に来て初めて自分と趣味の合う人間を見つけて話せたのだ。
俺は目に涙を浮かべた『姫』さんの首に手を回し・・・・・・締め上げた。
「いたっ、痛い!なにするのよ!」
「ばーか、今更そんなこと気にしてうじうじしてんな」
立ち上がり、『姫』さんに手を差し出す。
「俺達はもう『友達』だろ?いいか、『姫』さん。
本当の友達はそんな程度のカミングアウトで離れたりはしないもんなんだ。だからもっと気楽になれ」
「・・・名前」
ボソッと『姫』さんがつぶやく。
「××君、私を呼ぶときなんか他人行儀よね。だから、それやめて」
「あー・・・そんなつもりはないんだがな。じゃあ、こうかな・・・帰ろうぜ、姫さん」
「本当は名前で呼んでほしいんだけど・・・妥協してあげる」
そう言うと姫さんは俺の手を取って言った。
「それじゃあ、一緒に帰りましょう」
この後、姫さんを家に送ってアクマがドラマを見れずに泣き叫んだりしたが・・・
俺に秘密を共有する新しい『友達』ができ、一連の『生首』騒動は無事に終わりを迎えたのである。