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「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - 合わせ鏡のアクマ-11

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合わせ鏡のアクマ 11


「・・・・・・んー」
「姫さん来ないね」
「いや、俺がちょっと早く来すぎてるってのもあるんだが・・・」
現在時刻は午前10時13分。ここへの到着時間は午前9時38分。
待たせたら悪いなーと思って早く来すぎたのは余計な心配だったらしい。
「あれ、早いのね」
「・・・姫さんが遅すぎるんだ」
やっときた姫さんに直球で文句を言ってやる。
「女の子はね、準備に時間がかかるものなのよ」
「あー、そうかい。それより早く行こうぜ」
姫さんの家は俺と同じく東区にあるらしいから、そんなに遠くはない。
「じゃあ、行きましょうか」
姫さんに先導されて、姫さんの家に向けて俺は歩き始めた。

「ところで、今回の用件はなんなんだ?」
都市伝説がどうとかってところまでしか聞けなかったからな。
「ふふん、聞いて驚きなさい。私が毎日家に帰ってから調べてようやく見つけた都市伝説。それは・・・」
「それは?」
「それはね・・・『呪いのネット動画』よ!」

『呪いのビデオ』といえば、某有名ホラー映画から派生した都市伝説である。
それを見たものは呪われ、1週間後に死を迎える・・・
昨今はビデオに代わって『呪いのDVD』なんてのもあるらしいが・・・まさかネット動画まであるとはな。

「ついに昨日、そのネット動画のページを見つけたのよ」
「というか家にパソコンがあるなんて羨ましいな、おい」
俺の家には冷蔵庫とかテレビとかそんな電化製品しかない。ノートパソコンくらいは俺も欲しいんだけどな・・・
「とにかく、それをあなたに退治してもらいたいわけ」
確かにネット動画ともなれば、被害は尋常じゃない数だろう。早急に対処しなければいけない。
だが・・・

*


「どうやって倒すんだよ、ネット動画なんて。俺にハッキング技術なんてないぞ?」
「なに言ってるの、その手の都市伝説は中から本体が出てくるのがほとんどなのよ?」
「つまり、出てきたところをやっつければいいのか?」
「そうなるわね・・・ところでザクロちゃんは?」
「ここにいますわよ」
キョロキョロやっても見えないぞ、上だよ上。
「・・・あ」
ザクロは電信柱の上に立っていた。ザクロは普段、人目につかないために昼間は屋根の上とかを歩いている。
「器用なのね、ザクロちゃんって」
「犬の身体能力は人間よりはるかに上なんだ。ましてや、ザクロは都市伝説だぞ」
「それもそうね・・・あ、もう着くわよ」

「普通の一軒家」
「一軒家だね」
「一軒家ですわね」
「・・・あんたたち、どんな家を想像してたわけ?」
べ、別に変なことは考えてないぞ。意外性を狙って賃貸住宅とかそんなことは考えてなかった!
「まぁいいわ・・・入って」

「ぬいぐるみ・・・だと」
「私の趣味じゃないわ!お父さんとかお母さんが勝手に持ってきたのが捨てられないだけなのよ!」
へー・・・なんだ、可愛いところがあるのかとちょっと期待したのに。
「悪かったわね可愛くなくて」
「それより早くそのネット動画を見せてくれ」
「分かってるわよ・・・」
ぶつぶつ言いながらも、姫さんはパソコンを操作し始めた。
ちなみにノートじゃない、デスク型だ。羨ましすぎる。
操作している間に俺は窓を開けて、ザクロを中に入れた。
もちろんタオルで足についた泥を拭いてやる・・・まぁ、ほとんどついてないけど、一応な。
目的のページを見つけられたらしく、姫さんがこちらを振り向いた。

*


「準備はいい?」
「ああ」
「それじゃあ開くわよ・・・」
姫さんがマウスをカチリと動かす。

 ・・・

 ・・・・・・

 ・・・・・・・・・

「ページが消えてる・・・」
姫さんが床に手をついてガクーっとなってた。
ページが消されたってことは・・・ニセモノだったのか?
いや、もしかしたら退治されたのかもしれない・・・どこかの契約者によって。
「ま、まぁそう気を落とすなよ・・・ほら、戦わずに済んだわけだし」
「す、少しくらいアンタの役に立とうと思ったのに・・・くぅ~」
「なんだ姫さん、まだ気にしてるのか?」
「だって命がけで助けてもらったのよ?感謝してもし足りないくらいよ」
「・・・あのな、姫さんがそんな風に思う必要はないんだ。俺が助けたいと思って勝手に助けただけなんだからな」
「でも」
「それに、こうやって協力してくれるだけで俺は嬉しいんだ」
助け合える『仲間』がいること。それが何よりも俺の生活に潤いを与えてくれている。
「・・・分かったわ、私これからも頑張るから。アンタの役に立てるように」
「無茶はするなよ?」
「しないわよ・・・」
そんな会話をしていると、姫さんはゴロンとベッドの上に横になった。
「・・・契約かぁ」
「契約がどうかしたか?」
ちょいちょいと招きよせられて、ベッドの端に座る。

*


「したいなー・・・って」
「おいおい、冗談だろ?」
「いや、したい。すっごくしたい」
「後悔するぞ?」
「するかなぁ?」
「失うものとかあるし」
「大丈夫だよ・・・アンタがいるから」
「・・・そもそも機会がないだろ」
「だから、チャンスは逃したくないの」
「はぁ・・・分かった、手伝ってやる」
「ほんと!?ありがとー」
「うわっぷ」
姫さんは俺の首をつかんでグイッ、とベッドに引き倒した。
ちょ・・・首がくるし・・・
「私信じてたわ!あなたなら手伝ってくれるって・・・」
「だ・・・ちょっと・・・離してくれ・・・腕を巻きつけるな・・・苦しい・・・」
このままだと命の危険があるので、なんとか姫さんを引き剥がそうとする。
 ・・・あと、ついでに教えといた方がいいよな。
「あー・・・姫さ・・ん?・・・扉から誰かが・・・部屋覗いて・・・る・・・」
「へ?」
うん、やっぱり足音とか気付いてなかったみたいだな。ザクロが気付いて部屋から出たのも。
契約とかは聞かれてなかったみたいだからなんとかな・・・・・・?
「姫さん?」
姫さんは少し開いた扉の向こうを凝視していた。そこから男の声が聞こえてくる。

「・・・あ、もしもし母さん?今日の夕飯は赤飯にしないか。
 あ、なんでって娘に彼氏ができたんだぞ?これは私達が孫の顔を見られる日もちか」
「なに娘の会話盗み聞きしてるのよバカぁー!!」
「ごふっ!!」
 ・・・盗み聞き男こと姫さんのお父さんは、姫さんの背負い投げをまともに受け、廊下に叩きつけらた。

*


「どうも、この子の父親です」
「あ、どうも初めまして」
さっき娘に投げられたことを微塵にも感じさせないこの余裕・・・いや、背中さすってるな。
「いやぁ、娘に彼氏ができたと聞いてはいましたがこんなに早く連れてくるとは」
「だから彼氏じゃ、ない!」
姫さんはさっきからずっとこの調子だ。でもな、姫さん。顔真っ赤にして怒りながら否定しても・・・
「はっはっは、なにを隠す必要があるというんだ。なかなかかっこいい男の子じゃないか」
ほらな、こういう風になるんだよ。しかたないな、フォローしてやるか・・・
「いえ、俺は姫さんの彼氏ではなくただの友達ですよ。こんな可愛い子が俺の彼女だなんて、バチが当たります」
「・・・そうなのかい?」
「そ、そうよ!」
あれ、歯切れが悪いな。せっかくフォローしたんだからビシッと言ってくれないと・・・まぁ納得してくれたからいいか。
「それより、なんでこんなに早く帰ってきたのよ?」
「可愛い娘に会う為に決まってるじゃ・・・あ、いや元々今日は午前だけの予定だったんだ。
 少し早く帰してもらっただけで・・・うん、だから父親に手刀を向けないでくれお願いだ私はまだ死にたくない!」
 ・・・確かに姫さんは男と比べても腕っ節の強い方だが、にしてもこの人は弱すぎるんじゃないだろうか。
「もう・・・とにかく、もう彼には帰ってもらうから。なにか言いたいことがあるならその後にしてよね」
「えぇー、もう彼は帰るのかい?泊まっていきんしゃい、布団もあるzうごぉ!?」
「・・・あ、先に部屋に荷物取りに行ってて。私もうちょっと時間かけるから」
「あー・・・分かった」
「ぎゃっ!ちょ・・・待ってくれ!これ以上されたら背骨が歪んでしま」
「歪め!!」
 ・・・振り返ると姫さんが倒れた父親の背中に踵落としを決めたところだった。
しかもそのまま後ろに下がって・・・ああ、助走のためか。つかなにやる気だよ。
姫さんの父親に同情しつつ、二階にある姫さんの部屋に向かうため階段に足をかけ・・・
「・・・家族、か」
自分の家族のことを一瞬頭に浮かべ・・・すぐに振り払って、俺は階段を上り始めた。

こうして、俺の姫さん宅訪問は無事に終わったのである・・・一人の怪我人を残しながら。
「ひくっ・・・お父さんなんだぞぉ・・・」

*


アクマよりさらにひどい扱いされてるお父さんですが、これでも部長格なんです。かなり稼いでます。
愛妻家で子供も可愛がるお父さんなんだけど、娘にボッコボコにされるほど弱い。
でも、娘の一番の理解者なんだ。そっと娘を見守って「なに覗き見してるの!」と投げ飛ばされるんだ。
でも、そんなお父さんが俺は好きです。


姫さんの戦闘力が高すぎるけど気にしたら負けだよ。




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