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「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - 合わせ鏡のアクマ-14

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合わせ鏡のアクマ 14


「やっぱ、休みの日はこうでなくっちゃなー」
ああ、昼頃まで布団の上で惰眠をむさぼることができるなんて幸せだ・・・
ピンポーン
「契約者、誰か来てるけど」
無視だ、俺は寝ていたいんだ。
ピンポーン
「また鳴りましたわよ?」
「・・・誰だよ、もう」
現在時刻・・・うおっ、11時回ってやがる!
着替えとか部屋の掃除を終わらせたのが午前9時。
2時間近くもの間、俺はずっとダラダラしていたわけだ・・・
ピンポーン
「はいはい、今出ますよ」

ガチャ
「どちら様d「やっほー××!遊びにきt」
バタン ガチャ
「・・・あの、契約者様?」
「ザクロ、毛を梳かしてやるからそこで寝て待ってろ」
「おーい、開けてくれないかなー?ねぇってばちょっとー!」
「契約者ー、姫さん困ってるけど」
「困らせておけ。ザクロの毛を梳かしたら昼飯作るからな」
「契約者様、いくらなんでも放置は」
「・・・泣くよ?私大声で泣くよ?恥も外聞もかなぐり捨てて泣きますよ?」
「周囲の迷惑になるのでやめたほうがいいですわ」
「あー、そうだな。早いうちに回収しとくか。梳かしたらなー」
「・・・・・・・・・ひっく」
「姫さん泣いてるよー?」
「あいつ最近、テンション高くて付き合うのが面倒なんだ」
「開けてよ~、お願いだから。放置はいやー!!」

*


「焼きうどんできたぞー」
「わーい!」
「久しぶりに焼きうどん見たわね。麺類ってウチじゃ人気ないのよねー」
「・・・なんで押しかけてきたお前に昼飯作ってやってるんだろうな、俺」
というか昼飯くらい食べるか持ってくるかしてくれ。ただでさえ食費多いんだから・・・
「ところで、アクマって悪魔らしくないわよね」
「ほへ?」
アクマ、せめて飲み込んでから返事しろ。
姫さんがテーブルに置いてあった鏡をいじりながら話を続ける
「確かにピエロみたいな格好してるし、紫色な尻尾もあるけど。
               それがなければただのミニサイズの人間にしか見えないわよ?」
「そんなこと僕に言われても・・・」
「ところで、何しに来たんだ?たかりに来たとか言うなら追い出すぞ」
「ほほこほはんあへほ」
「飲み込んでから話せ」


「美味しかったー!私の料理より美味しかったのがちょっと許せないけど」
「そりゃどうも。中学じゃ料理部に所属してたからな・・・・・・で?」
「分かってるわよ、せっかちね・・・最近、町で誘拐騒ぎが起こってるのは知ってる?」
「当たり前だ、テレビであんなに大々的にやってたらな」
最初に消えたのは山にピクニックへ行ったという小学4年生が10人。
この最初の事件だけは、「山の奥に子供が入っていくのを見た」という目撃証言がある。
その後、公園から子供が消えたり、下校中の小学生が帰ってこなかったりと被害が大きいこと。
そしていまだ犯行声明のようなものがないというのもこれだけ騒がれている原因なんだろう。
「・・・で、その誘拐事件がなんだ・・・都市伝説の仕業だと?」
「そうよ」
断定するからには根拠があるんだろうな。
「根拠ってほどじゃないけど、目星はついているわ」
ただ、と姫さんは前置きをした。

*


「もし、この私の予想が当たっていたら・・・今回、手は出さないほうがいいわよ」
「ん?どーいうこった」
「似た話をね、ここ最近聞いたのよ・・・・・・絶対に関わってはいけない都市伝説って触れ込みで」
「なんだそりゃ。どこでそんな情報を仕入れてくるんだよ」
「それは秘密、なぜならその方がかっこいいから」
顎に指を当ててキラーン☆とかやってるところ悪いが、あんまりかっこよくないぞ。
「大体どんな都市伝説かも分からないのに手を出すなって言われてもな」
そもそも、まだ関わると決めたわけじゃないし。
「あれ、あんただったらなんも考えずに首突っ込むかと思ったけど」
「そんなことないぞ。俺だって正直都市伝説と関わるのは嫌だ」
「でも、やってくれって頼まれたら断らないタイプでしょ」
ぐっ・・・!
「図星ね」
「ふん!お人好しとでもなんでも言いやがれ!」
「いいんじゃなーい?困ってる人を助けるなんてかっこいいじゃない」
「かっこつけるためにやってるわけじゃないぞ」
「分かってるわよ」
「あのさ二人とも、話がズレてるから戻して戻して」
「おっと、そうだったな。で、その都市伝説ってなんなんだ」
「んー、確定したわけじゃないのよ?あくまで私の持ってる情報の中で一番可能性が高いものが・・・」
「いいから、教えてくれ」
「・・・・・・『夢の国』よ。聞いたことはあるでしょ?ひとつくらい」


『夢の国』・・・・・・それは、世界各国にある某巨大テーマパークにまつわる都市伝説群の総称だ。
テーマパーク自体の固有名詞を出すことは憚られるため、このように名前付けされている。
いわく、そこに入った子供の一部は監禁され、内臓を抜き取られてしまう。
いわく、その地下には各国のテーマパークへ続く巨大な地下通路がある。
いわく、夢の国を模倣しようとする者は秘密裏に消されてしまう。
よくもまぁ、ひとつのテーマパークにここまで都市伝説が集約されるもんだ。

*


「私にこれを伝えてくれた人も、実際に遭遇した人から聞いたらしいんだけど・・・」
「けど、なんだ?」
「・・・その人、ほとんど手も足も出ずに『夢の国』に倒されちゃったんだってさ」
ちょっと待て、倒されたのに生きてるっていうのか?
「例外中の例外、契約していた都市伝説の能力で自らを都市伝説と変えて生き延びたそうよ」
ズキン、と胸が痛んだ気がした。
都市伝説と深く関われば、その人自身に影響が出ることすらあるという。
そして最後には都市伝説の力に耐え切れず身を滅ぼすか、自らが都市伝説と成り果てるかもしれないのだ。
 ・・・そして、俺にもその影響は出始めている。
二つの都市伝説と契約したことにより、筋力や治癒力が常人の域を外れだしている。
このままいけば、いずれは俺も『超人』として人から畏怖される存在になりかねない。
「おーい、聞いてるー?」「契約者ー、どしたの?」
 ・・・もっとも、そんな心配は今のところ必要なさそうだが。
「まぁ姫さんがそこまで言うなら、この件には触れないようにしておく・・・でも、放ってはおけないな」
「じゃあ墓場行こうよ、墓場。なんだっけ、たしか換気扇だったか・・・」
「『怪奇同盟』な。お前の目当ては帰りのアイスだろ、そうだろ?」
「えへへ・・・バレた?」
「・・・とにかく、無茶はしないでね」      「ああ、約束する」
「・・・アンタが傷つくのは、見たくないし」      「なんか言ったか?」
「私にも力があればなー、って言ったの!」
「いや、まぁ手伝うとは言ったがまだ契約諦めてなかったのか?」
「いいじゃないの!アンタがまた一人で戦っているんじゃないかと思うと私すごく心ぱ」ピンポーン
「誰か来たな、今日は客の多い日だ・・・まったく」
なんかモゴモゴしてる姫さんの前に、来客に気付いて姿を消したアクマが持ち出したアイスを置いて玄関に手をかけた。
「はいはい、何の御用でしょう・・・か・・・・・・・え?」
「どうしたのー、宅配便ー?」
姫さんの声が聞こえたのか、硬直している俺に目の前の人物から声がかかる。

「兄さん、いつから彼女なんてできたんですか?」
思わぬ来客こと俺の妹は・・・・・・ニコリと笑って質問した。

*


 ・・・・・・なぜ、こんなことになっているのだろう。
「ほら、兄さん!早く片付けてください!!」
「いやいや、十分片付いてるじゃん。神経質すぎないか?ほらスマイルスマイル・・・」
「なに言ってるんですか!彼女を部屋に入れるならもっと見栄張ってピッカピカにしないと!」
「いや、彼女じゃなくて友達・・・」
「じゃあ言い換えます。女の子を部屋に入れるときはやりすぎなくらい掃除してください!」
あえて言おう、彼女はこれでも小学生だ。より正確に言うなら歳の差は4だからギリギリ小6だ。
昔から随分と世話焼きな我が妹は、同じ家にいた頃はいつもくっついてきて俺の行動に目を光らせていた。
部屋が少しちらかっていれば無断で部屋に入り掃除を開始。これを始めたのが確か彼女が小3の時。
母親を手伝う・・・と言って料理を練習してきた彼女の料理が食卓を占めるようになったのは小4の秋だったか。
小さい頃はよく俺にピッタリくっついて遊んでいたがものだが、小2の終わり頃からだっただろうか。
季節が変わるごとに精神的にもすくすくと成長していった我が妹はその器用さを存分に発揮し・・・
いつしか、まるで俺の世話を焼くことが仕事のような行動を始めた。いやどこの過保護な母ちゃんだ。
「へくしっ」
「風邪か?」
「んんー、そんなことは・・・」
とにかく、俺にとって妹は天敵のようなものだった。部屋がちらかってる云々とか、反論する余地がなかったからな。
そしてこの妹から日常生活を取り戻すため、俺は掃除に料理にと努力を始めたのだ。
 ・・・まぁ、妹にはその努力が今でも通じていないようだが。

「終わったから入っていいですよー」
「あ、はい」
ワンルーム、台所・トイレそしてまさかのバスルーム付きという家から外に追いやられていた姫さんだが・・・
「え、ちょっと待ってこれさっきの部屋?なんか心なしか部屋全体が明るくなってない!?」
「汚れてた窓もきっちり拭き掃除しましたから」
「電球も埃がついてるっていうからキレイにしたしな」
「・・・信じられないわよ、私夢なんか見てないわよね?」
それは普段から部屋の掃除もやっている俺への当て付けか何かなのか?
「どちらかというと、今まで見ていた部屋が悪夢なんです」
「そこまでひどくねぇよ!!」

*


「最初驚いたのよ、『思ったよりもキレイなのね』って。まさかまだ進化するとは・・・」
「私の手にかかればこの程度、造作もありません」
「こら、調子に乗るな」こつん
「・・・痛いです」
「そんなに強く小突いたつもりはなかったんだが?」
「むー。子供と高校生じゃ感じ方が違うんです」
「子供ならなんでも許されると思うなよ。今のはお前が調子に乗ったのが悪いんだ」
「だからって私に痛い思いをさせるのはどうなんですか」
「わかったわかった、イタイのイタイのとんでいけー」
「そこまで子供じゃなーい!」
「え、なにこの兄妹。かわいい」
「え、そうか?」
「なんで兄さんが反応するんですか!」ペシン


 ・・・で、
「何しに来たんだ?」
「決まってるじゃないですか」
何を今更、と言いたげな表情で妹は言葉を続ける。
「兄さんを、連れ戻しに来ました」
「・・・え?・・・・・・・えぇー!!?」
なぜそこで姫さんが驚くんだ。
「何度も電話で言っただろう・・・・・・断る、と」
「納得できません。家からでも高校には通えます」
「しっかし、電話かけてこなくなったから諦めたもんだと思ってたが」
「さすがに10時過ぎまで兄さんが起きていると知っていても、電話するのはやめておこうと思いました」
「そーかそーか、兄思いのいい妹だな。ついでに連れ戻すのも諦めてくれ」
「それはできません」
断固として妹は自分の主張を曲げようとはしない。
・・・・・・頑固なのは、お互い様か。

*


「そもそも、兄さんが一人暮らしを一年以上続けていられるとは思えません」
妹が、追撃を放つ。
「今の掃除の状況を見てください。兄さんは良いと思っていても、そこにはまだ穴があります。
 それに食事だってどうですか?冷蔵庫の中身を見ましたが魚が見当たりませんよ?
 魚料理が苦手だからといって、食べないのは良くありません。肉より魚の方が日本人には合っていますし」
姫さんがあっけにとられている。しかし、妹はこの程度で追撃をやめる人間ではない。
「いえ、魚だけではありませんね・・・肉も少なかった気がします。
 ひょっとして野菜さえ食べればいいと思ってませんか?大事なのはバランスですよ。
 それから、彼女を家に呼ぶなら「彼女じゃない!」・・・友達を呼ぶなら、もっと念入りに掃除してください」
妹はそれから、いかに俺の生活に穴や綻びがあるか・・・家を軽く見ただけで得られた情報で俺を攻めた。
そして、妹が締めの一言を放つ。
「やっぱり、兄さんは私が居なければ駄目ですね・・・」
ふぅ、と溜息をつく妹・・・だが、俺の視線に気付き顔を強張らせた。
「・・・お前がいなければ何も出来ない、だって?」
怒りに任せて、言葉を放つ。
「ふざけるな!なにを保護者気取りで話しているんだ!お前にいちいち言われる筋合いはない!!」
「で、でもにいさ」
「でももだってもない!お前はただ優越感に浸りたいだけじゃないのか?
 自分を基準にして、自分より上手く物事を進められない人間を嘲笑いたいだけじゃないのか!」
「・・・・・・っ!」
妹が、唇を噛む。姫さんは事態についていけないのだろう、黙って俺達を横で眺めていた。
俺も分かっている、妹がそんなつもりではないことくらい。
だが、俺は怒りを止められなかった。世間よりちょっと過保護な両親と、さらに過保護な妹に対して・・・
「自分はもう成長したんだ」と、そう伝えたかっただけだったのに。

あの日、一人暮らしをしたいと頼んだ俺に、父は了承の意をくれたが母と妹は・・・特に妹は猛烈に反対した。
兄さんが一人で暮らせるものかと、借りた家で強盗に襲われでもしたらどうするのだと・・・
いつものような過保護な発言を俺は流せず・・・・・・妹の頬を叩いた。
叩かれたことが信じられないかのように頬を押さえながら、俺を呆然と見つめている妹。
目に涙をためて「どうして・・・」と呟く妹を置き去りにして、俺は洗面所に駆け込んだ。

*


蛇口を捻ると、水がドバッと出て顔に跳ねた。しかし、そんなことは気にならない。
我慢できないほどの吐き気と共に、胃の中身がこみ上げてくる。
吐く―――吐く吐くはく吐くハクはく吐く吐くハク吐くハクはく吐くはくハクはう吐く・・・・・・・・・
何故だ、何故俺は妹を殴った?殴る必要があったのか、妹は殴られなければいけなかったのか?
違う、妹は悪くない。俺が勝手にあいつを悪に仕立て上げて理不尽に暴力を振るったのだ。
蛇口から流れ出す水を手で掬い、口をゆすぐ。水を吐き出すと、口内に残っていた分も吸い込まれていった。
荒い息を整えようと、ゆっくり深呼吸して顔を上げる。鏡には、妹に暴力を振るった男の顔があった。
鏡を殴る。殴る殴るなぐる殴る割れた殴って殴った殴るがまた殴るなぐる血ごと殴る鏡を殴る・・・・・・・・・

許せなかった こんなにも弱い自分を心配してくれた妹を殴った俺自身が許せなかった。

結局、洗面台の前で割れた鏡を血塗れの手で殴り続けていた俺を、発見して止めたのは泣き顔の妹だった。
妹は全体重をかけて俺を床へ引き倒し、馬乗りの状態で必死に手を押さえつけた。
周りが見えなくなり、抵抗する俺に何度も何度も何度も名前で呼びかけて正気に戻してくれた。
それからは、俺から妹に話しかけることはほとんどなくなった。
妹も俺の意思を感じたのか、それとも俺を嫌いになったのか・・・極力、話してこないようになった。
たまに俺に家に残ってほしいと声をかけてきたが、俺が無視するとそれ以上は話してこなかった。
しばらくして俺の入居先が決まった後、妹は主張を少し変えてきた。
「もう決まってしまったことはしかたありません・・・でも、私は絶対に兄さんを連れ戻します」
それからは俺たちの仲も徐々に昔のように戻ったが、それでもやはり溝はできていた。
ほどなく俺は一人暮らしを始め、新しい高校に通い始めた。
妹からは、電話で頻繁に近況報告をさせられた。
料理はちゃんと作れてる?ああ、作れているさ。
掃除サボってない?部屋はこまめに掃除してるよ。
学校には慣れた?ああ、どこになにがあるのかもキッチリ覚えたさ。
友達はできたの?同じ学校のやつもいるんだぞ?心配ねーよ。
ねぇ、家に戻ってきてよ。・・・駄目だ、それはできない。
・・・じゃあ、またね。ああ、またな。
こんなやり取りも、いつしか少なくなり・・・最近はほとんど連絡をしていなかったことに気付く。
都市伝説のことにかかりっきりで、こちらから連絡をする暇がなかったのだ。

*


「・・・ごめん、言い過ぎた」
「兄さんが・・・兄さんが謝る必要なんて、ありません」
「いや・・・それに最近、連絡してなかったし」
「だから・・・・・・兄さんが謝る必要なんてどこにもないんです・・・」
妹は震えていた。
「兄さんがやりたいって言ったことに、口出したりして・・・
 悪いのは私なのに、なんで兄さんは謝るんですか?どうして・・・」
「お前の言い分も分かるからさ。本当は年上の俺のほうが抑えなきゃいけないのに」
「・・・兄さんがそんな心配する必要はありませんよ。私、怒ってなんかいませんし」
だんだんと妹の表情が元に戻る。体の震えも収まっていた。
「それじゃあ、今日のところは私は帰ります。また来ますよ」
「ああ、いつでも来い。だけど絶対に家には戻らん」
「ふふ、まだまだ折れそうにないですね・・・」
玄関で靴を履こうとした妹が・・・振り返ってテーブルを指差した。
「兄さん、鏡を出しっぱなしにするのは良くありません。落ちて割れたら困るでしょう?」
「あ、ああ気をつけるさ・・・・・・あ、ちょっと待て」
扉を開けようとした妹に声をかける。そばに近寄って囁いた。
「お前のことは、好きだからな・・・・・・変な意味じゃなく」
「私も好きですよ、兄さんのこと・・・・・・家族として」
ははは、ふふふとお互いに笑い合う。さすがに聞こえなかったか姫さんは首をかしげていた。
「それじゃ、さようなら」
こうして、妹という嵐は去っていった・・・まぁ、数日経ったらまたやってきそうだけど。
「・・・私も、そろそろ帰るわ」
「あ、ああ。すまなかったな、長いことつき合わせてしまったみたいで」
「いや、それはいいんだけどねー・・・・・・好きって何よ好きって」ボソッ
「どうした?」
「え、ううん。なんでもないわ。あはははは・・・」
姫さんが明らかに作り笑いをしている・・・正直、笑顔が引きつってて怖い。
「じゃあねー」
バタンと扉が閉まると、部屋に静寂が戻ってきた。

*


まぁ、その沈黙も長くは続かない。
「・・・終わったー?」
アクマがひょっこり鏡から顔を出す。
「ああ、終わった。嵐は過ぎ去った」
「嵐ってなんのことですの?」
おおう、ザクロお前どこに行ってたんだ。
「人が扉の前に立ったので窓から抜け出していました・・・それより、借りましたわよ」
「え?・・・うわっ、携帯よだれついてるぞ!」
「し、仕方なかったのですわ!口で咥えないと運べないのですから!」
「あれ、携帯電話持ってったってことは、墓場行ってきたの?」
「ええ、一応使い方は知っていたので・・・それで、ある情報が入ったんですの」
「情報だぁ?」
ザクロが『墓場の声』から得た情報を話し始める。
「今回の事件の大半は、姫様のにらんだとおり・・・『夢の国』が関与しているようですわ」
「ちょっと待て、大半ってどういうことだ?」
「あの方によりますと、『目撃例のあった山の方の失踪事件、そっちは別の都市伝説です』と」
「じゃあ、なんだっていうんだ?」
「なんでも『神隠し』だそうですわ」
「・・・『神隠し』だと?」
「ええ、間違いないそうですわ。山の墓地からの情報らしいですし」
「・・・『神隠し』かぁ、気が進まないねぇ」
「なにか問題でも?」
「いや、実は昔・・・東北の方に住んでた頃に『神隠し』に遭ったらしいんだよ。
 実際は少しの間、姿が見えなくなったってだけで・・・まぁなにぶん小さい頃の話なんだけどな。
 山の方から帰ってきた俺見て近所の婆さんが『神隠しじゃ!』なんて言うもんだから以来親が過保護に・・・」
「『神隠し』伝承でもあったのかな?不運だったね、大事になって」
「ああ・・・まぁ、そっちの方は手がつけられそうだからやるか。」
「わかった!」 「わかりましたわ」
「じゃあまず予定を立てるぞ。今度の土曜に山へ行って調査をしてみようと思うんだが・・・」
こうして、俺たちは近々『神隠し』と戦うことになったのだった・・・・・・隠された子供達を、助けるために。




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