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「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - ギザ十と幽霊少女とご先祖様と組織の狗-03

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ギザ十と幽霊少女とご先祖様と組織の狗 03


黒犬の処理後、巨大アナコンダを路上に放置したまま帰宅した俺たちの前に例の如く黒服が現れたのは、翌日の夕方の事だった。
丁度、三人分の夕飯をちゃぶ台に盛りつけていた俺に黒服は読めない曖昧な表情で首を傾げてくる。
「あなたはいつも、一人で三人分の料理を食べるのですか?」
「俺は夕飯はガッツリ食べる方なんだよ、それで何のようだ?」
正直、「組織」に、処分者(の幽霊)を匿っている事を知られるのは不味い。
あまりボロが出ないうちに追い出した方が賢明だろう。
「ふむ、今日、私がここに来た理由は二つあります」
「勿体ぶらずに早く言え」
「おや、今日はいつも以上に不機嫌ですな、何か不都合でもお有りで?」
「別に、ただ早く用事を済ませてくれないと飯が冷める」
そう言いながら視線の端で鏡を覗くと、既に俺の渾身の豆腐ハンバーグに箸を付け和気藹々と食事を始めている、糞餓鬼とロリ婆の様子が見えた。
「成る程、まあ良いでしょう、一つ目の用事はこれ、今回の報酬です」
そう言いながら、何処からともなく取り出された「契約書」を手渡してくる。
「そして、もう一つの用件とは、貴方に少しばかりご忠告を、と思いましてね」
「忠告?」
「そう今回の件、只でさえ世間を賑わせていた事件です、もう少し秘密裏に事を進める事は出来なかったのか、という事です」
「…………」
「今回の事後処理の為に「組織」がどれ程、手を煩わされたのかお分かりですか?」
そんなこと、知らんがな…
「まあ、単刀直入に言いますと、これ以上派手に動くようであれば貴方自身を処理させて頂く事にもなりかねないのです、その事、努々お忘れなきようお願いします」
そう一方的に言い捨てると黒服は扉を出て行った。
「相変わらず、むかつく奴らねー」
背後からかけられた声に振り向くと、そこには既に食事を終えて茶を啜る糞餓鬼が一人。
「まあ、でも今回は俺も悪いしなー」
流石に、巨大アナコンダを住宅街に放置したまま逃げたのは不味かったようだ。
「けど、まあ、むかつくっちゃ、むかつよな……」
「そうそう、私もあいつらの所為で殺されたしー」
それも自業自得だけどな、心の中で突っ込む俺に気付かずさらに続ける糞餓鬼、あいつらの陰口を叩き合うのが楽しいのだろう、珍しく笑顔を俺に向けてくる。
「何か、あいつらをギャフンと言わせられないかしらね」
「ギャフンねー……お前、たまに古くさい言い回しするよな」
「う、うるさいわね、で、あるの? ないの?」
「いや、そう急に言われてもなぁ……あ」
「あ?」
「ん、いや、ちょっと、昔本で読んだ怪談話を思い出してな……上手くいけば組織どもにギャフンと言わせられる、かも」
そう言いながら、ニヤリと嗤うと、先ほど黒服に手渡されたばかりの「契約書」を見る、どんな都市伝説とも契約出来るこれさえあれば……。
くっくっくと、黒い笑みを漏らしながら、さっそく組織の鼻を明かす為に行動を開始する俺であった。

「ん、ところで、さっきから姿が見えないけど、ご先祖様はどうした?」
「は、今更何言ってんの? ご先祖ちゃんなら、お腹いっぱいになって、もうとっくに寝ちゃってるわよ」
ちくしょう、こいつらもいつかギャフンと言わせてやる……。

*



新しい「契約書」が青白い光を放つ、
契約によって生み出された一冊のノートを前に俺の傍らに座る少女が首を傾げた。
「ジャ○ニカ……学習帳?」
「あー…うん、確かに……一見ただのジャ○ニカ学習帳に見えるな…」
俺自身も、まさかジャ○ニカ学習帳が生み出されるとは思ってもみず、少々呆気にとられてしまう
が、学習帳の中に書かれた記述を読み、それが俺の望んだ都市伝説である事を確信する。
「この内容、間違いない、人工怪談作成ノート、通称「太郎さんのノート」だ!」
「……何それ」
「まあ知らんか、マイナーだしな、これはな……」
太郎さんのノート、それはとある小学校で生み出された怪談の一つである。
その小学校には、全国的にもっともポピュラーであるだろう「トイレの花子さん」の怪談が例に漏れず存在した。
ある時、心優しい一人の生徒が、クラスメートたちに提案した。
「花子さんは誰もいなくなった夜の学校で一人寂しくトイレに籠もっていて可哀相だ、僕たちで花子さんが寂しくならないように恋人を作ってあげよう!」
トイレの花子さんにとって大きなお世話であり甚だ迷惑千万であっただろう、その提案はクラスメートたちの支持を得て実行される事になった。
優しく格好良く力持ちな男の子、子供達が精一杯考えだした理想の太郎さん像は一冊のノートへと纏められる事となる、そして子供達に作られた「太郎さん」は、いつしか学校に伝わる一つの怪談として人々に語り継がれるようになった。
それから数十年後、「太郎さん」の誕生秘話を知らない一人の少年が古びた一冊のノートを旧校舎で手に入れる。
そこに書かれた「太郎さん」が気にくわなかった少年は、ノートに書かれた設定を書き換える事にした。
「優しい幽霊ではなく子供を襲う悪い幽霊の方が面白い、格好良い姿の幽霊なんて怖くない、もっと怖い姿に、全身は血まみれ腕は片手しかなく足は三本、大きく裂けた口で殺した子供を頭からバリバリと食べてしまう」
内容を書き換えられたノートがその後どうなったのかは分からない、しかしそれからというもの、その小学校では頻繁に児童が行方不明になり、いつしかそれは「太郎さん」の仕業と噂されるようになったという。
そんな太郎さんのノートに関する逸話を話し終えた俺に、少女は首を傾げている。
「そんなもんと契約してどうするの?」
「この都市伝説、いや学校の怪談か? まあ兎に角、この話のキモはノートの内容を書き換える事で「太郎さん」という都市伝説が変容すると言う事だ、例えばこう書き足すと……」
そう言いながら太郎さんの設定に―太郎さんは「組織」に怨みを持ち「黒服」を付け狙い攻撃する―と書き足す。
「これで、太郎さんは対「組織」専用アタッカー都市伝説となった、黒服達の慌てふためく姿が想像できるぜ」
「おーー成る程、成る程! 私も何か書かせて!」
俺から鉛筆を引ったくると少女はすらすらとノートに設定を書込んでいく、横から覗き込んでみると
俺の書いた太郎さんの設定の下に、さらに必殺技という項目が出来ており、そこにはこう追加されていた。
―太郎さんの必殺技は”バニシングブラックライトニング”これを喰らった「黒服」は死ぬ―
「ほう、そう来るか……ならば俺はこうだ」
―太郎さんは、悪の組織「組織」と戦う為、その姿を”怪談仮面TAROⅢ”へと変身する―
「じゃあじゃあ、こんなのはどう?」
―太郎さんは、その身に宿る異能の力”エーテライズインフィニティ”によって傷ついても瞬時に再生される―
「やるな、では俺は…」
―太郎さんは、「組織」を倒す為に開発された巨大ロボット”伝説巨人ラバトリーZ”のパイロットである―
「じゃあ、私は……あ、ご先祖ちゃん、おはよう、え、自分も書く?」
―太郎さんは、秘剣”外道黒屠瞬獄陣”の使い手である、その一撃は山をも砕くという―
「ふっ、流石は俺のご先祖様、恐ろしい設定を思い付くもんだぜ……俺も負けてられんな」
「私も負けないからね、次、私が書く番!」
こうして、いつしか止まらなくなってしまった俺たちは、その身から迸るリビドーのままに「太郎さんノート」を厨二臭い裏歴史ノートへと魔改造していくのであった。

「やば、やりすぎた…なんだこの対花子さん専用エターナルラブハートって…」
「勢いって怖いよね……ちょっと、これ、どうする?」
「まぁ、この内容だったら俺達には実害無いだろうし……放っておくか」
「……そだね」



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