学校町南地区某所。
Tさんと呼ばれる男は懇意の情報屋兼占い師の男と向かい合って立っていた。
「エンジェルさんエンジェルさんおこしください」
情報屋のその言葉と共におっさんが現れる。
「どうせ今回も大したことわからんぜ?」
エンジェルさんを喚んだ情報屋が言う。
「かまわないよ」
やってくれ。と対する男が答える。
「じゃあ」
情報屋がペンを持つとエンジェルさんがペンの中へと消える。
「夢の国の居場所はどこだ」
情報屋が持っているペンが動き出し、もう片方の手に持ったメモ帳に文字が書かれる。その文字とは、
『西*****の****』
「文字化けだ」
やっぱりな。と多少の落胆と共に情報屋が言う。
「毎度毎度すまないな」
男はそうねぎらうように言って金の入った封筒を取り出す。
「まいどあり~」
情報屋は受け取りつつ、
「こっちも夢の国には因縁があるし、あんたみたいな奴に夢の国を倒してもらえたらうれしいなあとか考えてるよ」
お得意さんだしな。と笑う情報屋に男は、
「そうか」
と答え、まあ、とつなげ、
「ここのエンジェルさんの情報は早くて助かる。夢の国が侵攻を開始する前から注意をくれたのはありがたかった。結局後手には回ってしまったが、なんとかなりそうだ」
「うむ、俺に感謝したまえ」
ペンから誇らしげな声が聞こえる。
「あまり褒めんでくれ、おっさんが調子に乗る」
なにやらうんざり口調で情報屋。
男は笑い、一息つくと表情を改める。
「あと、他にもいくつか知りたいことがある」
「何が知りたいんだ?」
「いくらかの契約者と都市伝説の居場所を知りたい」
はぁ、と驚いたような男の声。
「りょ~かい、高くつくよ?」
「金なら問題ない。昔稼いだ」
なぜかお守り風の財布をそれごと渡す男。
「……そうかい」
情報屋はその財布のセンスに呆れながら受け取った。
「では」
情報屋は再びペンとメモ帳を構える。
「エンジェルさんエンジェルさん、おこしください――――」
Tさんと呼ばれる男は懇意の情報屋兼占い師の男と向かい合って立っていた。
「エンジェルさんエンジェルさんおこしください」
情報屋のその言葉と共におっさんが現れる。
「どうせ今回も大したことわからんぜ?」
エンジェルさんを喚んだ情報屋が言う。
「かまわないよ」
やってくれ。と対する男が答える。
「じゃあ」
情報屋がペンを持つとエンジェルさんがペンの中へと消える。
「夢の国の居場所はどこだ」
情報屋が持っているペンが動き出し、もう片方の手に持ったメモ帳に文字が書かれる。その文字とは、
『西*****の****』
「文字化けだ」
やっぱりな。と多少の落胆と共に情報屋が言う。
「毎度毎度すまないな」
男はそうねぎらうように言って金の入った封筒を取り出す。
「まいどあり~」
情報屋は受け取りつつ、
「こっちも夢の国には因縁があるし、あんたみたいな奴に夢の国を倒してもらえたらうれしいなあとか考えてるよ」
お得意さんだしな。と笑う情報屋に男は、
「そうか」
と答え、まあ、とつなげ、
「ここのエンジェルさんの情報は早くて助かる。夢の国が侵攻を開始する前から注意をくれたのはありがたかった。結局後手には回ってしまったが、なんとかなりそうだ」
「うむ、俺に感謝したまえ」
ペンから誇らしげな声が聞こえる。
「あまり褒めんでくれ、おっさんが調子に乗る」
なにやらうんざり口調で情報屋。
男は笑い、一息つくと表情を改める。
「あと、他にもいくつか知りたいことがある」
「何が知りたいんだ?」
「いくらかの契約者と都市伝説の居場所を知りたい」
はぁ、と驚いたような男の声。
「りょ~かい、高くつくよ?」
「金なら問題ない。昔稼いだ」
なぜかお守り風の財布をそれごと渡す男。
「……そうかい」
情報屋はその財布のセンスに呆れながら受け取った。
「では」
情報屋は再びペンとメモ帳を構える。
「エンジェルさんエンジェルさん、おこしください――――」
●
「あ"-……」
情報屋はぐったりして壁にもたれている。
「大丈夫か?」
「ああ」
「にしても、都市伝説多すぎるだろ、この町」
「まあな」
「しかもほとんど文字化けしてやがる」
メモ帳を確認した情報屋は次にペンを見て、
「役に立たねえな~。エンジェルさん」
「何を言うか! そもそももっと曖昧な場所を書きだすのが占いであってだな」
なにやらペンがわめくのを情報屋は無視して、
「さて、まあこんな結果だが、こんなこと調べてどうするんだ?」
メモ帳の切れ端をいくつか男に渡す。
「ん、夢の国に対抗するための作戦のために、な」
あれは一人では勝てない。と男は言う。
「ふ~ん」
まじまじと情報屋は男を見て、
「初めて会った時と変わったか? お前」
「……さてな」
男は悟ったような顔で明後日の方向を見る。しばし無言が続き、続き、続き……
「……」
「………」
「…………」
「そ、そうだ!」
情報屋がどこかにいった男の意識をこちらに戻らせるために多少焦った声で言う。
振り向いた男に情報屋は訊ねる。
「西地区にある喫茶店のマスターが殺された話を知っているか?」
「ルーモアのマスターのことか?」
確認を取るように男は言う。
「そうだ、知ってたか」
「あそこにはよく行っていた」
不意にしんみりした空気が流れる。しかし、それを断ち切るように情報屋が続ける。
「じゃ、じゃあ、そのマスターを殺した奴が所属している組織については知っているか?」
「何?」
疑問顔の男を見て、そっちは知らなかったか。と情報屋。
「≪平将門の首塚≫って知ってるか?」
情報屋は平将門の首塚と組織との確執を男に語る。
「――それで、緩い規律のせいで暴れまわっている構成員もいるんだそうだ」
「その暴れまわってる奴がマスターを殺した、と」
苦い顔で男が言う。情報屋はそんな男を見て、
「まあ気を付けろよ? また何かこの町に入ってきたみたいだしな」
「まだ何か?」
尋ねる男に、特別にタダで教えてやるよ。と情報屋が前置きし、話す。
「ハーメルンの笛吹きがこの町に越してきたらしい」
それは、
「ニュースで騒がれていた、アレか」
男の感想に情報屋はうなずく。
「ああ、結構古い部類の都市伝説で能力はおそらく子供攫いとネズミの操作、そして契約者付きらしくてな、組織の人間が殺されているらしい」
まあこっちについてはこれ以上の情報はねえや。と情報屋、
「何にしても最近この町の情勢は不安定すぎる。気ぃ付けとけよ」
と話を閉める。
「ん、分かった」
男はそう言うと情報屋から離れていく。
情報屋もそれを見送っていたが、しかし、そこで声がした。
「私の質問に答えろ! 答えろ!」
「おい!?」
情報屋の驚きの声、男も振り向き、
「なんだ?」
と声を上げる。
「返事した。答える! 答える!」
「いやいやアンサー今のは『質問は何ですか?』のなんだ? じゃなくて『いったい何なんだよ?』のなんだ? であってつまり勝手に質問すんじゃねえ!」
情報屋が自身の契約しているもう一つの都市伝説、怪人アンサーに制止の声をかけるがアンサーは止まらない。
彼は質問する。
「契約者の妹はどうなる? どうなる?」
情報屋が息をのんだ。
問いかけられた男は少し考え、
「……正確には答えられんな」
「答えられないなら、痛い目見る! 見る!」
「あ、おいっ!」
情報屋の背後に唐突に現れたフードつきの長いコートを着た頭しかない男が突撃する。
「ただ」
男は指を弾く。すると男の周りに半透明の白い幕が張られた。
それにアンサーがはじかれる。
「妹さんを指定して未だに夢の国が居場所として出てくるなら、」
一拍置いて、
「まだ希望はあるんじゃないかな」
曖昧に結論を出す。
それは、
「どういう?」
情報屋の質問に、男は希望的で悪いが。とことわりを入れつつ、
「妹さん名指しで探すことができるということはアレと同化していないということだろ」
おそらくな。と付け足す男。
「そうならいいな」
情報屋はあまり希望的ではない言葉とは裏腹に安堵に似た色の声をあげる。男もうなずき、また歩き出す。と、
「あ、おい!」
情報屋の呼び止めるような言葉に男はまた振り返る。
「アンサーが迷惑かけた分だ!」
そう言って情報屋は最初に貰った封筒を男に放る。
「もってけ!」
「ありがたく頂くよ」
男が封筒を受け取ると、アンサーの声が聞こえた。
「質問に答えたので契約者に痛い目を! 痛い目を!」
「はぁ!? ちょ、ちょっとま――」
いきなりのことに驚きとっさに自らをかばう情報屋を包むように、先程男が渡したお守り風の財布から男が出したのと同じ白い光の膜が現れた。
「くらうぇっ!?」
それに弾かれアンサーは吹き飛ぶ。
「む、なかなかお守りとしては優秀か?」
男はそれを見て何やら考察しているようだ。
情報屋はぐったりして壁にもたれている。
「大丈夫か?」
「ああ」
「にしても、都市伝説多すぎるだろ、この町」
「まあな」
「しかもほとんど文字化けしてやがる」
メモ帳を確認した情報屋は次にペンを見て、
「役に立たねえな~。エンジェルさん」
「何を言うか! そもそももっと曖昧な場所を書きだすのが占いであってだな」
なにやらペンがわめくのを情報屋は無視して、
「さて、まあこんな結果だが、こんなこと調べてどうするんだ?」
メモ帳の切れ端をいくつか男に渡す。
「ん、夢の国に対抗するための作戦のために、な」
あれは一人では勝てない。と男は言う。
「ふ~ん」
まじまじと情報屋は男を見て、
「初めて会った時と変わったか? お前」
「……さてな」
男は悟ったような顔で明後日の方向を見る。しばし無言が続き、続き、続き……
「……」
「………」
「…………」
「そ、そうだ!」
情報屋がどこかにいった男の意識をこちらに戻らせるために多少焦った声で言う。
振り向いた男に情報屋は訊ねる。
「西地区にある喫茶店のマスターが殺された話を知っているか?」
「ルーモアのマスターのことか?」
確認を取るように男は言う。
「そうだ、知ってたか」
「あそこにはよく行っていた」
不意にしんみりした空気が流れる。しかし、それを断ち切るように情報屋が続ける。
「じゃ、じゃあ、そのマスターを殺した奴が所属している組織については知っているか?」
「何?」
疑問顔の男を見て、そっちは知らなかったか。と情報屋。
「≪平将門の首塚≫って知ってるか?」
情報屋は平将門の首塚と組織との確執を男に語る。
「――それで、緩い規律のせいで暴れまわっている構成員もいるんだそうだ」
「その暴れまわってる奴がマスターを殺した、と」
苦い顔で男が言う。情報屋はそんな男を見て、
「まあ気を付けろよ? また何かこの町に入ってきたみたいだしな」
「まだ何か?」
尋ねる男に、特別にタダで教えてやるよ。と情報屋が前置きし、話す。
「ハーメルンの笛吹きがこの町に越してきたらしい」
それは、
「ニュースで騒がれていた、アレか」
男の感想に情報屋はうなずく。
「ああ、結構古い部類の都市伝説で能力はおそらく子供攫いとネズミの操作、そして契約者付きらしくてな、組織の人間が殺されているらしい」
まあこっちについてはこれ以上の情報はねえや。と情報屋、
「何にしても最近この町の情勢は不安定すぎる。気ぃ付けとけよ」
と話を閉める。
「ん、分かった」
男はそう言うと情報屋から離れていく。
情報屋もそれを見送っていたが、しかし、そこで声がした。
「私の質問に答えろ! 答えろ!」
「おい!?」
情報屋の驚きの声、男も振り向き、
「なんだ?」
と声を上げる。
「返事した。答える! 答える!」
「いやいやアンサー今のは『質問は何ですか?』のなんだ? じゃなくて『いったい何なんだよ?』のなんだ? であってつまり勝手に質問すんじゃねえ!」
情報屋が自身の契約しているもう一つの都市伝説、怪人アンサーに制止の声をかけるがアンサーは止まらない。
彼は質問する。
「契約者の妹はどうなる? どうなる?」
情報屋が息をのんだ。
問いかけられた男は少し考え、
「……正確には答えられんな」
「答えられないなら、痛い目見る! 見る!」
「あ、おいっ!」
情報屋の背後に唐突に現れたフードつきの長いコートを着た頭しかない男が突撃する。
「ただ」
男は指を弾く。すると男の周りに半透明の白い幕が張られた。
それにアンサーがはじかれる。
「妹さんを指定して未だに夢の国が居場所として出てくるなら、」
一拍置いて、
「まだ希望はあるんじゃないかな」
曖昧に結論を出す。
それは、
「どういう?」
情報屋の質問に、男は希望的で悪いが。とことわりを入れつつ、
「妹さん名指しで探すことができるということはアレと同化していないということだろ」
おそらくな。と付け足す男。
「そうならいいな」
情報屋はあまり希望的ではない言葉とは裏腹に安堵に似た色の声をあげる。男もうなずき、また歩き出す。と、
「あ、おい!」
情報屋の呼び止めるような言葉に男はまた振り返る。
「アンサーが迷惑かけた分だ!」
そう言って情報屋は最初に貰った封筒を男に放る。
「もってけ!」
「ありがたく頂くよ」
男が封筒を受け取ると、アンサーの声が聞こえた。
「質問に答えたので契約者に痛い目を! 痛い目を!」
「はぁ!? ちょ、ちょっとま――」
いきなりのことに驚きとっさに自らをかばう情報屋を包むように、先程男が渡したお守り風の財布から男が出したのと同じ白い光の膜が現れた。
「くらうぇっ!?」
それに弾かれアンサーは吹き飛ぶ。
「む、なかなかお守りとしては優秀か?」
男はそれを見て何やら考察しているようだ。
寺生まれはスゴイ、情報屋は感動を覚えずにはいられなかった。