「先生! ちょっとトイレに行ってきます!!!!」
中等部にあるミサカのいる教室。
突如校庭の方から爆撃音が上がってしばらく経ったが、未だに生徒はもちろん教師も穏やかでなく、ざわめきは収まっていなかった。
そんな中、光が手を上げてトイレに行くと声を上げて、席を立った。
教室にいる人数の半分ほどが光に注意を向けたが、それを意に介することなく光はずんずんと教室の扉へ向けて歩いていく。
突如校庭の方から爆撃音が上がってしばらく経ったが、未だに生徒はもちろん教師も穏やかでなく、ざわめきは収まっていなかった。
そんな中、光が手を上げてトイレに行くと声を上げて、席を立った。
教室にいる人数の半分ほどが光に注意を向けたが、それを意に介することなく光はずんずんと教室の扉へ向けて歩いていく。
「ひか――」
当然、ミサカも今は危ないと警告しようとしたが、間に合わずに光は教室の外へ消えていった。
『ミサカ、あの爆撃音はおそらくサーヴァントのものかと思われます』
ホームルームに現れなかったネギのこともあり、中等部校舎に絞って見回りをさせていたゾルダートが霊体の状態で全員戻ってくる。
魔力供給のパスが全員に行き渡っているためか、霊体でも何人いるかがミサカにはすぐわかった。
魔力供給のパスが全員に行き渡っているためか、霊体でも何人いるかがミサカにはすぐわかった。
『確かにそのようです、とミサカは心中穏やかではないことをひた隠しながら肯定します』
『襲撃者は――』
『学園にはいないでしょう、とミサカは校庭の惨状を見て推測します』
『襲撃者は――』
『学園にはいないでしょう、とミサカは校庭の惨状を見て推測します』
ミサカは教室の窓際に立って、見るも無残な姿となり果てた校庭を見やる。
それは校庭というよりは、もはやクレーターに近かった。
今までスポーツができるよう細かいクリーム色の砂で覆われていた地面はことごとく抉られ、赤みがかった土を空に晒している。
しかし、その赤い土の形状をよく見れば校舎に向かって凸な放物線状に赤い土が押しのけられているのがわかる。
おそらく、先ほどの爆撃は放物線の向いている方向の逆からこちらに向かって着弾したものであろう。
爆撃がどれほど凄まじいものでも、爆発の痕跡はその軌道によって如何様にも姿を変える。
痕跡の様子から弾丸の軌道を逆算し、それがどこから放たれたものかを推し測るなど戦闘経験が豊富なミサカには赤子の手を捻るよりも簡単なことだ。
そのため、下手人は校舎外から狙撃し、それもここから全く視認できないような超遠距離から攻撃できるアーチャーだろうと推測することができた。
それは校庭というよりは、もはやクレーターに近かった。
今までスポーツができるよう細かいクリーム色の砂で覆われていた地面はことごとく抉られ、赤みがかった土を空に晒している。
しかし、その赤い土の形状をよく見れば校舎に向かって凸な放物線状に赤い土が押しのけられているのがわかる。
おそらく、先ほどの爆撃は放物線の向いている方向の逆からこちらに向かって着弾したものであろう。
爆撃がどれほど凄まじいものでも、爆発の痕跡はその軌道によって如何様にも姿を変える。
痕跡の様子から弾丸の軌道を逆算し、それがどこから放たれたものかを推し測るなど戦闘経験が豊富なミサカには赤子の手を捻るよりも簡単なことだ。
そのため、下手人は校舎外から狙撃し、それもここから全く視認できないような超遠距離から攻撃できるアーチャーだろうと推測することができた。
『敵はここから東に約1キロから2キロ離れた場所から狙撃しているアーチャーです。気をつけてください、とミサカは注意を促します』
『しかしミサカ、そこまで離れた敵にどう対処を?』
『場合によっては我々が校庭に出て敵のいる方角へ電光弾を――』
『それでは敵の恰好の的になってしまって非常に危険です、とミサカはゾルダートの提案を即時却下します』
『ですが、いつ敵の第二波爆撃が来るかわかりません。ミサカの身の安全の方が優先です!』
『下手に姿を見せては敵の思う壷です、とミサカはこれは罠であることを見抜きつつ判断します』
『しかしミサカ、そこまで離れた敵にどう対処を?』
『場合によっては我々が校庭に出て敵のいる方角へ電光弾を――』
『それでは敵の恰好の的になってしまって非常に危険です、とミサカはゾルダートの提案を即時却下します』
『ですが、いつ敵の第二波爆撃が来るかわかりません。ミサカの身の安全の方が優先です!』
『下手に姿を見せては敵の思う壷です、とミサカはこれは罠であることを見抜きつつ判断します』
あの爆撃は言わば敵の牽制射撃だ。
敢えて敵のいない校庭を攻撃することで学校に潜む主従に揺さぶりをかけておびき出そうとしているのだろう。
超遠距離から学校の校庭を正確に撃ち抜くことのできるアーチャーの視力の前に姿を現しては、一方的に狙われるという不味い状況になる。
敢えて敵のいない校庭を攻撃することで学校に潜む主従に揺さぶりをかけておびき出そうとしているのだろう。
超遠距離から学校の校庭を正確に撃ち抜くことのできるアーチャーの視力の前に姿を現しては、一方的に狙われるという不味い状況になる。
『では、何故敵はあのような周りくどい真似を?あの威力の狙撃ができるのであれば人員が密集している校舎を狙うはずです』
『敵は過度にNPCを虐殺する気はないのでしょう、とミサカは見ています』
『敵は過度にNPCを虐殺する気はないのでしょう、とミサカは見ています』
その敵が具体的に何を考えているかはわからないが、最低限の分別はわきまえているらしい。
だが、未だに予断を許さない状況なのは確かだ。
突然トイレに行ってしまった光――強張った顔からして怖かったのだろうか?――のことも心配だし、襲撃者をなんとかしたいゾルダートの気持ちもわかる。
だが、未だに予断を許さない状況なのは確かだ。
突然トイレに行ってしまった光――強張った顔からして怖かったのだろうか?――のことも心配だし、襲撃者をなんとかしたいゾルダートの気持ちもわかる。
『一先ず、こちらからも校庭に牽制射撃を打ち込んで敵の出方を伺いましょう、とミサカは方針を固めます。
その過程で校内にサーヴァントがいないか索敵しつつ、校庭に電光弾を打ち込んだ後は速やかに戻ってきてください、とミサカはゾルダートに命じます』
『仮にサーヴァントを発見すれば、我々はどう動けば?』
『サーヴァントがいた旨を報告するだけで大丈夫です、とミサカは命を無駄にするなと暗に示します』
『『『『『『『『はっ!』』』』』』』』
その過程で校内にサーヴァントがいないか索敵しつつ、校庭に電光弾を打ち込んだ後は速やかに戻ってきてください、とミサカはゾルダートに命じます』
『仮にサーヴァントを発見すれば、我々はどう動けば?』
『サーヴァントがいた旨を報告するだけで大丈夫です、とミサカは命を無駄にするなと暗に示します』
『『『『『『『『はっ!』』』』』』』』
こちらからの返答代わりの牽制射撃…それを見て敵がどう動くかに警戒しておかなければならない。
また、いつ射程外から狙撃されてもおかしくないことから、これからしばらくの間はゾルダートを実体化させて行動させるタイミングを見極めなければならないと、ミサカは思った。
また、いつ射程外から狙撃されてもおかしくないことから、これからしばらくの間はゾルダートを実体化させて行動させるタイミングを見極めなければならないと、ミサカは思った。
◇
ミサカから命じられた校庭への射撃。
それは各員は霊体の状態で予めミサカから伝えられたポイントに行き、一瞬のみ霊体を解除し、校庭に向かって電光弾を発射するものであった。
敵に視認されない学園の校舎内から射撃することで安全を確保しつつ行動でき、比較的周囲に放つ魔力の少ないゾルダートを別々の地点に別れさせることで、
仮にサーヴァントが学園内にいたとしても感知されづらく、騒ぎが起こる可能性を低くすることができる。
だが、ミサカはここで一つの可能性を見落としていた。
それは各員は霊体の状態で予めミサカから伝えられたポイントに行き、一瞬のみ霊体を解除し、校庭に向かって電光弾を発射するものであった。
敵に視認されない学園の校舎内から射撃することで安全を確保しつつ行動でき、比較的周囲に放つ魔力の少ないゾルダートを別々の地点に別れさせることで、
仮にサーヴァントが学園内にいたとしても感知されづらく、騒ぎが起こる可能性を低くすることができる。
だが、ミサカはここで一つの可能性を見落としていた。
「どうする14号、まさか玄関にサーヴァントが二体もいようとは…」
「……」
「……」
射撃ポイント付近にサーヴァントがいる可能性である。
13号と14号は校舎の玄関からある程度距離の開いた廊下で急遽実体化し、互いに連絡を取り合う。
二人はミサカに示された場所に移動するべく中等部校舎の玄関に近づく途中で、サーヴァントの気配を察知したのだ。
それも二体。それなりに近づいた上で判明したため多少の声と戦闘の余波とも取れる轟音が聞こえたが、その姿は確認できていない。
13号と14号は校舎の玄関からある程度距離の開いた廊下で急遽実体化し、互いに連絡を取り合う。
二人はミサカに示された場所に移動するべく中等部校舎の玄関に近づく途中で、サーヴァントの気配を察知したのだ。
それも二体。それなりに近づいた上で判明したため多少の声と戦闘の余波とも取れる轟音が聞こえたが、その姿は確認できていない。
「若い男の方が先に攻勢をかけたらしいな。かなり好戦的ととれる。このまま戻ろうにも奴が次にミサカを狙わないとは限らん――聞いているのか14号?」
「あ……ああ。聞いているとも」
「あ……ああ。聞いているとも」
13号は、あの二人をこのまま放っておいてはミサカの身が危ないかもしれないと語る。
それを14号はどこか不快そうな表情で、汗を流しつつ聞いていた。
それを14号はどこか不快そうな表情で、汗を流しつつ聞いていた。
「ここは割って入ってでも、あの若い方のサーヴァントを止めるべきだ」
「いや…やめておいた方がいいだろう」
「いや…やめておいた方がいいだろう」
13号は僅かに動揺して14号を見る。
この状況で、まさか同胞である14号が自身とは反対の意向を示すとは思っていなかったのだ。
この状況で、まさか同胞である14号が自身とは反対の意向を示すとは思っていなかったのだ。
「何故だ?確かにミサカの命令には反するが、もう一方と同盟を結べばミサカの助けにもなるはずだ」
「あの場に俺達が割り込んでもとてもではないが太刀打ちはできんだろう。むしろ、乱入すれば俺達の顔が知られて他の者にも手が及ぶやもしれん」
「あの場に俺達が割り込んでもとてもではないが太刀打ちはできんだろう。むしろ、乱入すれば俺達の顔が知られて他の者にも手が及ぶやもしれん」
14号はあくまで慎重策を採った。
ここでどちらかのサーヴァントに挑んでも、二人だけでは到底手の届かない相手であることはあの場を支配していた雰囲気だけでわかる。
この場に多人数の同胞がいるならまだしも、少人数で特攻してはこちら側が想定以上の害を被るだろう。
ここでどちらかのサーヴァントに挑んでも、二人だけでは到底手の届かない相手であることはあの場を支配していた雰囲気だけでわかる。
この場に多人数の同胞がいるならまだしも、少人数で特攻してはこちら側が想定以上の害を被るだろう。
「なら、どちらかが犠牲になれば!」
「一人が生き残っても追跡されれば、それこそミサカが危ない。それに…俺は仲間が無駄死をするところを見たくない」
「一人が生き残っても追跡されれば、それこそミサカが危ない。それに…俺は仲間が無駄死をするところを見たくない」
とにかく、あの場は勝手に事態が収束してくれることを祈りつつ、ミサカにサーヴァントがいたことを伝える方が先決である事を13号に伝える。
14号は若い方のサーヴァントの声を聞いたことで不快な心持ちになり、一刻も早くあの場から離れたかったこともある。
だが、それ以上に仲間が何もできずに消滅していくところはあまり見たくない、というのが本音だった。
14号は若い方のサーヴァントの声を聞いたことで不快な心持ちになり、一刻も早くあの場から離れたかったこともある。
だが、それ以上に仲間が何もできずに消滅していくところはあまり見たくない、というのが本音だった。
蹂躙され、惨めな姿で散っていく3号を見た時の言葉にできぬ感情は、今でも忘れられない。
あれと同じ感情をミサカも感じていたのかと思うと、『命を無駄にするな』と言われた理由もわかる気がした。
あれと同じ感情をミサカも感じていたのかと思うと、『命を無駄にするな』と言われた理由もわかる気がした。
「わかった…今はお前の言うことに従おう、14号」
「なら、霊体化してミサカの元に戻るぞ。奴等がいつこちらの気配に気付くかわからん」
「なら、霊体化してミサカの元に戻るぞ。奴等がいつこちらの気配に気付くかわからん」
そして二人は霊体化し、上階にあるミサカの教室へ戻っていく。
視界の端で踊る道化師のせいか、14号の不快な気持ちは数倍に膨れ上がっていた。
【C-2/学園/一日目 午後】
【御坂妹@とある魔術の禁書目録】
[状態]健康
[令呪]残り3画
[装備]学園の制服、専用のゴーグル
[道具]学校鞄(授業の用意と小型の拳銃が入っている)
[金銭状況]普通(マンションで一人暮らしができる程度)
[思考・状況]
基本行動方針:元の世界へ生還する
0.光には無事でいていほしい、とミサカはトイレにいった光が心配になります
1.協力者を探します、とミサカは今後の方針を示します
2.そのために周辺の主従の情報を得る、とミサカはゾルダートを偵察に出します
3.偵察に行ったゾルダート達が無事に帰ってくるといいのですが、とミサカは心配になります
4.学園で体育の着替えを利用してマスターを探ろうか?とミサカは思案します
5.光を巻き込みたくない、けれど――とミサカは親友に複雑な思いを抱いています
6.こちらからの牽制射撃により襲撃者はどう出るでしょうか、とミサカはアーチャーを警戒します
[備考]
自宅にはゴーグルと、クローゼット内にサブマシンガンや鋼鉄破りなどの銃器があります
衣服は御坂美琴の趣味に合ったものが割り当てられました
ペンダントの購入に大金(少なくとも数万円)を使いました
自宅で黒猫を飼っています
襲撃者のアーチャー(今川ヨシモト)がここから東(C-3)にいるとあたりをつけています
[状態]健康
[令呪]残り3画
[装備]学園の制服、専用のゴーグル
[道具]学校鞄(授業の用意と小型の拳銃が入っている)
[金銭状況]普通(マンションで一人暮らしができる程度)
[思考・状況]
基本行動方針:元の世界へ生還する
0.光には無事でいていほしい、とミサカはトイレにいった光が心配になります
1.協力者を探します、とミサカは今後の方針を示します
2.そのために周辺の主従の情報を得る、とミサカはゾルダートを偵察に出します
3.偵察に行ったゾルダート達が無事に帰ってくるといいのですが、とミサカは心配になります
4.学園で体育の着替えを利用してマスターを探ろうか?とミサカは思案します
5.光を巻き込みたくない、けれど――とミサカは親友に複雑な思いを抱いています
6.こちらからの牽制射撃により襲撃者はどう出るでしょうか、とミサカはアーチャーを警戒します
[備考]
自宅にはゴーグルと、クローゼット内にサブマシンガンや鋼鉄破りなどの銃器があります
衣服は御坂美琴の趣味に合ったものが割り当てられました
ペンダントの購入に大金(少なくとも数万円)を使いました
自宅で黒猫を飼っています
襲撃者のアーチャー(今川ヨシモト)がここから東(C-3)にいるとあたりをつけています
【レプリカ(エレクトロゾルダート)@アカツキ電光戦記】
[状態](13号、15号~20号)、健康、無我
[装備]電光被服
[道具]電光機関、数字のペンダント
[思考・状況]
基本行動方針:ミサカに一万年の栄光を!
1.ミサカに従う
2.ミサカの元に残り、護衛する
[備考]
15~20号により、校庭へ向かって牽制射撃の電光弾(ブリッツクーゲル)が発射されました。
13号と14号は玄関口にサーヴァント(ニコラ・テスラ及び球磨川禊)がいたことから、これを行っておりません。
[状態](13号、15号~20号)、健康、無我
[装備]電光被服
[道具]電光機関、数字のペンダント
[思考・状況]
基本行動方針:ミサカに一万年の栄光を!
1.ミサカに従う
2.ミサカの元に残り、護衛する
[備考]
15~20号により、校庭へ向かって牽制射撃の電光弾(ブリッツクーゲル)が発射されました。
13号と14号は玄関口にサーヴァント(ニコラ・テスラ及び球磨川禊)がいたことから、これを行っておりません。
【レプリカ(エレクトロゾルダート)@アカツキ電光戦記】
[状態](14号)、不快な感情、無我…?
[装備]電光被服
[道具]電光機関、数字のペンダント
[思考・状況]
基本行動方針:ミサカに一万年の栄光を!
1.ミサカに従う
2.ミサカの元に残り、護衛する
3.仲間が何もできずに消滅していくところはあまり見たくない
[備考]
[状態](14号)、不快な感情、無我…?
[装備]電光被服
[道具]電光機関、数字のペンダント
[思考・状況]
基本行動方針:ミサカに一万年の栄光を!
1.ミサカに従う
2.ミサカの元に残り、護衛する
3.仲間が何もできずに消滅していくところはあまり見たくない
[備考]
BACK | NEXT | |
040:果ての夢 | 投下順 | 042:生贄の逆さ磔 |
029:願い潰しの銀幕 | 時系列順 | 030:Nowhere/嘘の世界であなたと二人 |
BACK | 登場キャラ | NEXT |
029:願い潰しの銀幕 | 御坂妹 | 036:日常フラグメント |
レプリカ(エレクトロ・ゾルダート) |