夢現聖杯儀典:re@ ウィキ

願い潰しの銀幕

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――――きっと、誰もが挫折した諦め人なのだろう。













『あらら、早くも戦闘を始めちゃった主従がいるみたいだねぇ』
(……どうして)
『そりゃあ僕達は聖杯を取る為に戦争をしているんだ、当たり前じゃないか』

スタンと別れ、廊下を歩いていたみく達の耳には確かに耳をつんざくような轟音が聞こえてきた。
何も知らない者でも違和感を感じさせる音だ、聖杯戦争を知っている者が聞いたら一発でわかる。
みく達の預かり知らぬ所で誰かが暴れている。
それも、こんな目立つ所では誰も襲ってこないだろうと高をくくっていた学校の近くでだ。
いきなりの戦闘。安全地帯への侵食。
未だ覚悟が定まっていないみくにとって、恐怖以外の何物でもない。
何故、そうも簡単に人を傷つけることができるのか。
願いを叶える為とはいえ、こんなのは間違っている。

『いいかい? 此処にいる主従は誰もが願いを叶えなくちゃって躍起になってる人達ばかりだ。
 言い換えると、皆追い詰められているんだよ。聖杯っていう奇跡に縋りたくなるぐらいに』
(だから、人を殺してもいいっていうの?)
『そうしないと、死ぬからねぇ。殺すか、死ぬか。二択しかこの世界には残っていない。
 そもそもの話、この世界は一週間しか保たないんだぜ? 迷う時間すら惜しいってのに、みくにゃちゃんはうだうだと。
 前にも言ったよね? 手を汚せもしない奴がこの世界では真っ先に堕ちていくんだ。
 今更、君に失うものなんてない。負け猫のまま死ぬなんて本意じゃないって顔に書いてあるよ。
 それでも、悩んで決断できないんだったら仕方がないさ。不服だけど、僕の過負荷でその罪悪感を――』
(やめてよ! みくはそんなの、望んでない!)
『――冗談さ。僕の大切なマスターに酷いことはしないよ。何て言ったって僕達は仲良しだからね。
 そもそも、数分しか効かない代物を使っても、ねぇ……?』
(役立たず!)
『おいおいそんな冷たい言葉で迫られちゃあ、困っちゃうな。僕は泣き虫なんだ、ぴーぴーとみっともなく泣いちゃうよ』

だって、人殺しはいけないことだから。
聖杯を手に入れ、生きて帰る過程で必要なことだとしても。
それは決して犯してはならない行為だ。

『ねぇ、みくにゃちゃん。君はそんなにも無関係に生まれて、無意味に生きて、無価値に死にたいのかい?
 倫理観というちっぽけなものと共倒れ。それこそ、君の望む結末ではないと僕は思うな。
 いつまでもそうやって“前川さん”を気取ってるなよ、戯れている時間はもうとっくに終わっているんだ。
 それとも、君の願いは見ず知らずの他人に譲ってやる程、軽いものだったのかい?』
(違う! みくの願いをバカにするなら――!)
『馬鹿にしていないさ。むしろ、僕は夢を追う女の子っていうやつは大好きだよ。ほら、王道ヒロインはいつだって輝いてるからね!
 僕もそういう女の子とへらへらと日常を送りたかったんだけど、縁がなくてねぇ。
 おっと、話が逸れちゃった。僕が言いたいのはたった一言。そう、殺すも死ぬも、全部君が決めることだ』

果たして最後の一人になった時、前川みくは“前川みく”のままでいられるのか。
見えぬ恐怖が、何よりも怖く、みくは一歩も前へと進めない。
だから、球磨川は当然その【普通】を嘲笑うのだろう。
自分とは違い、破綻している彼とみくは水と油であり、仲良く混ざり合う事は決してない。

『――――僕は君のサーヴァントだ。どんな決断を下そうとも、笑って受け入れるよ。
 それだけさ。これは君だけの戦争じゃない、僕“達”の戦争なんだから』

しかし、彼の口から出た言葉も、声色も、思いの外、真剣で。
へらへらと惨めったらしい彼のカッコつけが自分の胸を打ったのが腹立たしい。
無力なみくは、離れようにも離れられず、球磨川を信じる他ないのだ。

『さぁてと。言いたいことも言ったし、僕は屋上で日光浴をしてくるよ』

半端者で、情けない自分を裏切らない。
その言葉を信じたい。けれど、彼の持つ気持ち悪さがどうしても素直に受け入れられない。
普通は何処まで言っても普通であり、過負荷とは交わらないのだから。












竜ヶ峰帝人の日常は、偽りだ。
彼の考える中でも最も幸せだった時間が再現されていようとも、違和感は拭えない。
通う学校もクラスメイトも違う。
けれど、正臣と杏里は変わらず存在する。
否、存在してくれる。
だからこそ、帝人は現実と変わらず自分を演じることができた。
彼らがいなかったら、今頃自分はボロを出して他の主従に襲われていたかもしれない。
それ程に、二人の存在は自分にとって安寧をもたらすものだった。
例え、偽りであっても、二人は友達だ。
彼らがマスターである可能性に蓋をして、帝人は今日も学校へと行く。

(こうして見ていると、やっぱり池袋とは違うや)

通う学校が遠距離である為に、バスを使っているがこれもまた中々にいい。
狭苦しい車内には自分と同じく新都に住む学生達が押し詰められ、朝の通勤ラッシュ時の電車を思い出させてくれる。
とはいえ、人と物で溢れている池袋とは違い、冬木はゆったりとした景色が多く、栄えた街ではない。
改て、自分のいた世界とは違うのだと再認識する。
キレた奴らが集う雑多な故郷に思いを馳せると、少しだけセンチメンタルな気持ちが浮かんでくる。

(違う所と同じ所が混ざってて、なんだか落ち着かないや)

しかし、いつまでも郷愁に浸っている余裕はない。
此処はある意味、キレた奴らなんか問題にならないぐらい、ヤバイ奴らが跋扈しているのだから。
マスターとサーヴァント。
言葉にするだけでも平凡とは程遠く、彼が望んだ異常を体現している。
異常を当然とする彼らに帝人はたまらなく――。

(此処にもダラーズがあるし、僕が愛用していたチャットもそのまんま。創始者もご丁寧に僕になっている)

――思考を元に戻す。
その隙間を埋めるように、今の自分が置かれている状況を整理する。
竜ヶ峰帝人の立場は元の世界とほぼ変わらない。
ダラーズの創始者。ごく一般的な男子高校生。
それだけ。ほんの、それだけ。
増えた武器はサーヴァントであるクレア・スタンフィールド
異常に対抗できる唯一の異能。
だが、唯一の名に恥じない力を持っている。

(慎重にいかないと。一週間とはいえ、最初から全力疾走なんて馬鹿がやることだ)
(だが、攻める時は容赦なくいかせてもらう。その辺りの判断は俺任せでいいだろう?)
(はい。僕は戦闘に関してはからっきしなので、アサシンさんに頼るしかありません)
(心得た。何、俺は絶対に死なん。何故なら――)
(その先は言わなくても知ってます)
(…………そうか)

我が強く、自分の要求に対しても気に入らなければ突っぱねると思っていたが、彼は意外と人の話を聞く。
最初の出会いでも口にしていたが、クレアは自分のことを雇い主と評している。
だからなのか、自分の命令に対してもむやみやたらと異論を挟まない。
もっとも、あまりにも理に適っていないと反論が返ってくるので、それなりの理論武装が必要ではあるけれど。
自分さえ暴走しなければ、彼は最高の切り札として機能してくれるはずだ。

(ともかく、学校に着いたら俺は辺りを回ってくる。危難があったら令呪で呼べ)
(は、はぁ)
(心配しなくても、一度請け負った仕事は完遂するさ。だから、お前は俺を信じろ)
(わかりました。アサシンさんのこと、僕は信じています)
(それでいい。物分りがいい奴は嫌いじゃない)

考え事をしていたらいつの間にかに学校が近づいてきたようだ。
もしかすると、この学校が戦場になるかもしれない。
平凡を異常が侵食していく。
夢にまで見たゲームの世界が、此処には現実として存在する。
そんなふざけた妄想を考えるだけでも――――ワクワクしてくるのだ。
否応にも、帝人の心を高ぶらせる聖杯戦争という非日常。
それはずっと待ち望んでいたスリルある世界。
けれど、正臣達を巻き込むことを考えると、吹き上がるテンションを下降を見せた。
まだ、自分の中には平穏が残っている。
彼らを捨て去ることは、やはり――できない。












結論から言うと、超鈴音ネギ・スプリングフィールドの死体を発見できなかった。
血の跡、薙ぎ倒された木々、幾つも穿たれた大穴。
見つけられたのはここで戦闘があったという証拠だけ。
直にNPCも騒動の調査に駆けつけてくるかもしれない。
故に、くまなく探す余裕など無く、鈴音は失意のまま立ち去る他なかった。

(できれば、生きていてほしいなんて。感傷が過ぎる)

結局、ホームルームにもネギは現れなかった。
副担任の教諭は適当にはぐらかすだけで、真実はわからない。
もっとも、原因不明の轟音など、関係ない人間達からするとどう対応していいかわかったものではない。

(授業も一応は続けているが、裏ではネギ坊主への連絡だったり、警察へと連絡したり対応に追われているようだがネ)

轟音も殆どの生徒が登校する前であったので、あまり広まっていなかった。
そもそも、突然轟音が響いてびっくりしましたなんて、ネタにしては面白くない。
生徒達の関心は移ろいやすい。直に、何事もなかったように日常が戻ってくるだろう。

(元凶のサーヴァントがこの学校にいるとしたら――危険はまだ続く)

学校自体が戦闘にでも巻き込まれない限りは平和だが、そんな平和など存在しない。
今回の一件でよくわかった。
他者を排斥することに全く躊躇のない主従なら、場所など関係なく仕掛けてくる。
形振り構わず攻めてくるのなら、学校内とはいえ、油断はできない。
問題は、明日菜だ。いつも通り過ごすようにとは言ってるが、お人好しの彼女のことだ。
ひ弱なマスターから助けを乞われたら、ついつい手を貸してしまうだろう。
鈴音としては彼女には自分のことだけを考えてほしいがそうもいくまい。
神楽坂明日菜の本質はお人好しだ。
この根源は、自分達とは違った世界線を歩もうが変わらなかったらしい。
それは、鈴音にとっては好ましいことであり、クラスメイトだった彼女の琴線に触れるものだった。

(それに、アーティファクトがない明日菜サンは戦力としては数えられない。
 おとなしくしておいてくれるとありがたいんだが、そうはいかないだろうネ)

登校時に合流した南条光達と談笑している明日菜は一見するといつも通りだ。
馬鹿をやって、ぷんすかと怒って、それらを宥められて。
鈴音の知る神楽坂明日菜を今の所は演じていた。
しかし、綻びはすぐそこにまで迫っている。
鈴音も認めるしかない。
ネギは、死んでしまったのだ、と。
仮契約が解けた時点で、生存は絶望視だ。
跡地で戦っていたのは紛れも無く、ネギであり、その結果は敗北である、と。
無理にでも決めつけないと、鈴音は先へと進めない。
それは、明日菜にも当てはまることだ。
もしも、彼女がネギの死を知ってしまったら――そのハリボテは剥がれるだろう。
望んだ日常は永遠に還ってこない。もしかすると、心が壊れ、自ら生命を絶つかもしれない。
一見強そうに見えて、彼女の有り様はひどく脆い。
ちょっとの躓きがきっかけでどこまでも堕ちていく様が予想できる。

(まあ、マスターのケアも私の領分ヨ。何とか、切り抜けていくしかない。
 その為にも、学校で戦うサーヴァントには時空跳躍弾でご退場願わないといけないネ)

だから、鈴音が護らなくてはならない、騙し続けなければならない。
自分の願いを叶える為。
そして、友達だった少女が再びあのひだまりへと帰れるように。
ネギが欠けてしまっても変わらずいるだろう友達がなんとかしてくれると信じて。
超鈴音は今できる最善をこなし続けるしかないのだ。












正義の味方に必要なものは何か。
それは、力であり、意志であり、仲間であり。
力はサーヴァントであるライダー――ニコラ・テスラ
意志は、自分の胸で燃え滾る熱い心。
そして、最後の一つである仲間も、テスラの報告で得ることができる。
空の騎士と名乗ったライダーとの接触は既に、光の耳にも入っている。
交渉の場は設けており、夕方にでも会う約束が取り付けられるかもしれない。

(いける、いけるんだ! 誠心誠意で向き合えば、わかってくれる人もいる)

思いを信じて貫けば、結果は付いてくる。
殺し合わなくてはならない人とだって、わかりあえるのだ。
それが、光にとってたまらなく嬉しくて、救いだった。
聖杯戦争の中にも、正義は在る。
間違っていることを間違っていると言えるのは、素晴らしいことだ。
その真っ直ぐさが、この聖杯戦争を変えていけると光は愚直に信じている。

「いやにご機嫌ですね、とミサカは怪訝な顔をして見つめます」
「そうか? アタシはいつもこんな調子だけど」

もしかすると、聖杯戦争に真っ向から反抗するのが自分だけかもしれない。
南条光以外は、ヒーローを否定するのかもしれない。
そんな不安がずっと心の中で蟠っていた。
絶対に諦めない。暗闇には逃げない。
強い言葉で自分を奮い立たせてはいるが、光はまだ子供なのだ。
現実と願いに阻まれ、いつかは折れるかもしれないと不安がる、子供だ。
テスラの前でこそ気丈に振る舞っているが、悪い可能性だって考えてしまう。

「ヒーローを目指すんだ、これぐらい元気でなくちゃさ。
 アタシらしく輝けるように、真っ直ぐ頑張って夢を叶えるんだ!」

けれど。それでは、ヒーローにはなれない。
恐怖を押し殺し、歯を食いしばって前を向く。
きっと、その果てで報われると思うから。

(マスターは強いな。その輝きは尊ばれるべきものだ)
(ライダーにそう言われると……て、照れるなぁ)

テスラが言う輝きは今も、自分の中にあるのか。
常に自問自答しながら投げかけてはいるものの、やはり不安は残る。
身体と意識に輝きを注ぎ、南条光という存在を見失わない。
機械に油をさすように、注意をする。
そんな些細なチェックで、光の心身は落ち着きを見せるし、たったの数分で十分だ。
心の掛金が外れる事のないように強く。

(ならば、その輝きに応えるのが――私の役目だ。遍くモノを護る。
 それはマスターも例外ではない)
(うん、頼りにしてるからな!)

この右手が伸びる限り。
明日菜も、紗南も、ミサカも、全部護ってみせる。
例え、偽りであっても、彼女達は自分にとって大切なクラスメイトだから。
その彼女達に危難が迫ったら――――きっと、自分は酷く動揺するだろう。












丁度、時間的に言うと三時間目だろう。
自分以外、誰もいない剣道場。
スタンは授業の休み時間、此処で竹刀を握っていた。
やはり、剣を握ると気分も落ち着いてくる。自分が自分で在り続ける想いを、再確認できる。
下した決意を忘れない為に。日常に埋没して、日和らない為に。剣は人を傷つける武器だという認識を、見失わない為に。
その習慣は記憶を取り戻す前からもあったらしく、手元には剣道場の鍵もしっかりと確保されていた。
剣を振りに行く途中、委員長である前川みくには無駄に心配されてしまったが、何とか誤魔化すこともできた。

(やっほー、マスターさん。戻ってきたよー)
(アーチャーか。ったく、無理矢理に学校に行かせやがって。文句はいっぱいあるんだからな、覚悟しとけよ)
(まあまあ。戦果はぶんどってきたんだから固いこと言わないの。
 それと、念話の中ぐらい、アーチャーじゃなくて瑞鶴って呼んで欲しいんだけどな。
 ほらほらー、はーやーくーっ、呼んでってばー)

戻ってきて早々、からかってくる瑞鶴に対して、小言をぶつくさと言いつつも、許してしまうのは、スタンが甘いからだろう。
アリーザといい、瑞鶴といい、ぐいぐいと引っ張る女性には、どうも流されてしまう。
だが、そうも言ってはいられない。彼女にも言われた通り、自分だけの幸せを見つけるには、まずはっきりとした態度を取らなくては。
いいからさっさと戦果を報告しろと急かし、スタンは竹刀を一振り。
それを見て、瑞鶴もぶつくさ言いながらも報告をつらつらと喋り始めた。

(同盟、か。確かに、俺達の力だけで最後まで勝ち抜くってのは辛いよな)
(そうそう。情けないことだけどさ、私一人で戦い抜くのは厳しいね。一瞬で間合いを詰めてくる機械人形、それを平然と操るサーヴァント……あ~怖かった。
 アレは間違いなく、今の私じゃ倒せなさそうだね。本体は貧弱っぽいから一気に決めれば勝算はない訳じゃないけどね)

瑞鶴による報告を一通り聞き終えても尚、決意は揺らがない。
絶対に勝ち抜く。聖杯でお嬢様の幸せをやり直す。
その為なら何だってする。
一時であれど、背中だって預ける。
後ろから剣を突き立てて裏切りだってしてみせる。
願いの成就に不要なものは、全部切り捨てる。

(ごめんね。私がもっと強ければこんな策に頼ることなんてなかったのに)
(気にしちゃいねぇよ。そんなこと言われたら、こっちが申し訳ねぇ。頼りにしてるんだからな、瑞鶴)

その対象が、誰であっても。
恐怖に震える女の子であっても。

(それにしても、小さな女の子か。見境なしだな、聖杯戦争)
(資質があれば誰でも参加できるからね。人種性別年齢区別なし)
(…………そっか)
(怖いなら、マスターさんができないなら私がしてあげるよ? そーいうのも私の役目だし)
(――いいや、俺がやる。俺がやらなくちゃいけない。
 それと、その子さ…………車椅子に乗っていなかったか?)
(いいや。普通にお姫様抱っこされてたけど?)
(……ちょっと、気になってさ)

殺すのはこの手だ。血で汚し、後戻りを絶つのは自分の剣だ。
人殺しの咎は、瑞鶴ではなく、スタンが背負う重みである。
それを忘れて、アリーザの幸せなど願えるものか。
自分のエゴを貫く過程で、他の人にとって大切な誰かを殺す重みは、拭わない。
わかっていたはずだ、覚悟していたはずだ。
自分が為すことは正義とは程遠いことを。

(へぇ、可愛い子だったの? マスターさんも男の子だもんねぇ)
(うっせぇ、そういうことじゃないっ! それよりも、学校周辺の索敵、頼むぞ)
(了解了解っと。介入できそうならしてもいいんでしょ?)
(ああ、その辺りはアーチャーに任せる。有益そうなら俺も考えるさ。
 さっきの同盟も含めて、一緒にな)

けれど、それが諦める道理にはならないということも、わかっている。
青い理想で踏み出す若造だということも承知の上で、スタンは選んだ。
前途の不確かさに怯えても、願いの正誤には怯えないことを。












本田未央、ネギ・スプリングフィールドは黒だった。
あやめが持ち帰ってきた情報からして、この学校には複数のマスターが潜んでいる事は間違いないだろう。
音無結弦はすぐ近くにあった危難に気づけたことに感謝しつつ、溜息を付いた。
休み時間で騒がしい教室の中で、音無は一人、憂鬱な表情を浮かべこめかみを抑える。
正直、拙い。自分達は隠れるだけが取り柄の弱小主従である。
そんな主従のすぐ近くにマスターが複数いたなんて肝が冷える話だ。

(ひやひやするな。ちょっとの失態で俺達の正体がバレたら、即お陀仏だ。
 生かしておいて害はあっても、利は全く無い)

幸いなことに、音無達の正体は全くバレていない。
真面目ではあるが、気さくな生徒会長という皮を被り、何とかやり過ごしている。
今はまだ焦る時ではない。故に、落ち着いた対応を取ることができる。

(時間が経つにつれて、リスクも膨れ上がる。俺達が生き残れる確率も下がっていく)

自分達には武器がない。
社会的立場を糧に、策を練ることでしか戦えない。
だから、今を生き残れたとしても、先行きは全くないのだ。
音無達の目的は聖杯である。
その奪取には最後の一組になる必要があり、自分達だけでその目的を達成するには些か厳しすぎる。

(だから、戦える武器を増やしたい。お人好しの庇護に入るというのは……さすがに楽観が過ぎるか。
 そもそも、この聖杯戦争で善意ある参加者がいるかどうかすらわからないからな)

周りは全て敵で、自分達に牙をむく。
信じることなんて到底出来やしない。
そもそも、対等の強さでもない限り、どちらかが搾取されるのはある種当然のことだ。
茫洋に生きてきた過去の経験から、それは痛い程にわかっている。

(ゆり、以外は)

故に、そんな打算抜きに付き合えるのは、死後の世界で共に青春を過ごした友達だけである。
たった一人。
この世界にいる仲間達の中で、唯一違和感を感じさせる行動を取る少女が、仲村ゆりだった。
今日も学校には来ていないみたいだが、今頃どこを彷徨い歩いているやら。
携帯に連絡を入れても全く手に取らないし、メールの返事さえ返してくれないと日向が嘆いていた。

(これで全くの無関係なら、リスクだけを背負い込むことになるが……)

もしもの話、キャスターなどに脅されているだけで情報を収集して回らせてるだけなら。
自分の立場がバレる可能性が高まり、無駄に危険な橋を渡ることになる。

(そうも言ってられないよなあ)

けれど、このまま隠れ続けている訳にはいかない。
今の自分達に必要なのは情報と武器だ。
他の主従と同盟を組みたくとも、メリットがあまりなく受け入れてもらえるかわからないけれど。
ゆりなら、話が通じる可能性が高い。
あの傍若無人なゴーイングマイウェイな少女でも何だかんだで優しいことを、音無は知っている。
そんな彼女を利用する自分の汚さに嫌気がさすが、四の五の言っていられる場合ではない。
勝たなければならないのだ。死を覆し、もう一度彼女に会う為にも。
自分勝手な願いと馬鹿にされようが、最後まで貫いてみせる。
惚れた女の笑顔で、人はこうも簡単に動いてしまうのだ。
若さの原動力もバカにはできないと、音無は思った。












「それじゃあ、頼むよ。アーチャー。どでかい花火を打ち上げようじゃないか」

「畏まりました。では、私達の戦争を始めましょう」












「畜生、が!」

霧嶋董香はブチ切れていた。それはもう、額に青筋ができるぐらいに。
二時間目までは受けたものの、どうにも気が乗らず屋上でサボタージュしていたらあの狙撃である。
別に授業をフケたのをチクられたとか、ヴェールヌイの報告が頭を抱えるやつだったとかではない。
挑発されている。つまるところ、意地があるならここまで来てみろとおちょくられているのだ。

(マスター、落ち着くんだ。これはどう考えても罠だ)
(わかってる。けど、アレは放っておいたらヤバイだろ! 少なくとも、一方的に狙われているんだぞ!)

わざわざグラウンドに牽制の一撃を撃ち込んで、舐めているのか。
それとも、自分に狙いを定めたのを外したのか。
どちらにせよ、このままでは危険だ。

(とりあえず、離れよう。此処にいたら狙われる)

急いで校内へと戻ろうと、立ち上がった時。

『あれあれ~、何処に行くんだい? そんな焦った顔をしてさ』
「…………っ!」

振り返ると、そこには気持ち悪い笑みを浮かべた少年がいつの間にかに立っていた。
それは、相対しているだけでも怖気が走り、とてもじゃないが直視できない。
球磨川禊という少年は、そういう生き物だ。
居るだけで人を不快にさせ、堕落へと導く過負荷なのだから。

『ちょっと、僕と小粋なトークでもしようぜ? 大丈夫、これでも話題には事欠かさない自信はあるんだ。
 さぁ、手始めに君のバストサイズとパンツの色を教えてもらってもいいかな?』
「アーチャーッ!」
「了解」

ぞくり、と脊髄が氷で刺し貫かれた気分だった。
我慢などできるはずがない。
それは、横に控えていたヴェールヌイも同じだ。
即座に現界に、艤装を展開。
砲口は震えているが、問題ない。そのまま撃ち抜けば彼を殺せる。
あの忌々しい顔を穴だらけにすることができる。
弾の反動に逆らわず、流れるように制御し、ヴェールヌイは引き金を引いた。

『危ないなあ。最近の美少女は武器持ちが増えたけど、僕として女の子には後ろに下がって応援してもらいたいんだよね』

しかし、空を叩く火薬の咆哮は一向に聞こえなかった。
何故と考える前に、自分の手元に展開していた艤装が消えていることに気づき、ヴェールヌイは顔を青ざめる。
再び、念じても艤装は消えたまま。
冷静沈着なヴェールヌイがここまで動揺するのは、トーカは初めて見る。

『だから、君の【艤装】を【なかったこと】にした。そういうのは危ないし』
「ふざけるな……! 返せ、私の艤装を、何処へやった!!」
『おいおい、砲口を向けてきた奴がそんなことを言うなよ。僕は危うく殺されそうになった被害者だぜ?
 責められるのは君達だろう? 正当防衛って知らないのかい』

べらべらと言葉を並び立てる球磨川に対して、トーカ達は何も言葉を返せなかった。
何もかもが異質過ぎる。サーヴァントとしても、その人格も到底理解が及ばない。

『だから、僕は悪くない』

にたりと笑い、両の掌に螺子を持った時、トーカはこの場の敗北を悟った。
これ以上、球磨川と戦っても得るものはない。
それどころか、自分達の大切なモノさえも【なかったこと】にされるかもしれない。

「逃げるぞ、アーチャー!」

トーカ達の判断は迅速だった。
この戦場に留まる理由はなく、下す決断は退却しか残っていない。
未だに呆然としているヴェールヌイを無理やり抱え込み、屋上の柵をひとっ飛びする。
喰種としての身体能力をフルに活かせば、この程度のことは造作も無い。
二人で宙を滑空し、そのまま着地。
後ろを振り向かず、勢い良く跳躍しその場を離れていく。
あの空気が蔓延する学校など一秒たりともいたくない。
その気持ちで、隠れるに適した裏の森に辿り着くのに時間はかからなかった。

「私の、艤装が……どうして、どこへ、この艤装がなければ、私は」
「…………っ」

ただ相対していただけなのに、ガクガクと震えてしまった。
爪先から頭部に至るまで、全てが気持ち悪い。
碌な人生を送っていなかったトーカでさえも、アレは別格だと感じてしまう。
あの粘ついた笑みに、軽い声。
できることなら二度と見たくないし、聞きたくない。
そして、心が折れかかっている自分達はこれからどうしたらいいのだろう。

「そうだな、丁度いい所に来てくれたよ、お前達は」

瞬間、ヴェールヌイの身体がゴム鞠のように吹き飛んだ。
細々とした木々を薙ぎ倒しながら、何処までも。
突如現れてヴェールヌイを蹴り飛ばした男は一言で言うと“赤”だった。
俗世間の喧騒と汚濁からまるで乖離してるかのように、クレア・スタンフィールドは悠然と、そこにいた。

「よぉ、早速で悪いが――――ちょっと寝てろ」

クレアの繰り出した掌底はトーカの目には全く映らなかった。
衝撃が背中に走った時には、トーカはもう地面へと屈服している。
幾らサーヴァントが相手だとはいえ、喰種としてある一定の強さを誇る自分が押し倒されることに全く抵抗できないなんて。

「マスター……っ!」
「おっと、動くな。それと、俺が必要だと感じたこと以外は喋るな。別にお前程度はどうにでもなるんだが、いざ抵抗されると面倒だ。
 ついつい殺してしまっては、な。そもそも、お前の雇い主はこちらの手の内にあるんだ。
 死なせたら困るのはお前の方だ。なぁに、できることなら、此方も穏便に済ませたい。ラブアンドピースってやつだ」

復活してきたヴェールヌイが近寄ってこない事を見て、トーカは自分達が詰んでいることを自覚する。
背中に当てられた足はいつでも自分の心臓を踏み潰せるように
彼の意志一つで、自分達はゴミのように殺されてしまう。
だから、機を伺ってこの状況を脱しなければならない。

「さてと。とりあえず、持ってる情報全てを吐け」
「誰が……吐くか!」
「おいおい、状況がわかってないのか?」
「バッカじゃねぇの……っ! 脅されるぐらいで全部ぶちまけるなんてするかよ。
 んな弱い覚悟で、私は此処に来てねぇんだ!」
「……そうか」

ここで弱々しく吐いてしまえば、とことん喰らい尽くされる。
この世は弱肉強食で、意地を張れなかった奴等から振るい落とされるのだから。
強く、意志を持て。力では負けても、やり直したいという想いだけは誰にも負けてはいけない。

「残念だ」

そんなもの、痛みの前では無意味だと気づかずに。
ぐしゃりと、右の掌が潰れた。一秒足らずの出来事だった。
踏み潰され、折れ曲がった指先。粉々に割れた爪。手の甲は肉がはみ出しており、微細な骨が顔を見せている。
痛いと感じた時には全てが遅かった。唸り声のような醜い音が口からは漏れだした。
悲鳴を上げたくても、口元は地面へと縫い付けられており、声を出すことすら敵わない。

「もう一度聞く。お前の持っている情報、全てを吐け」
「ふざけ、ん、な」

今度は、左の掌がミンチになった。
丹念に踏み潰された掌はもはや原型を留めていない。
地面へと押し付けられ、肉と骨、筋に神経がクレアの足によって混ざり、土へと還っていく。
自分の掌が擂り潰される経験は初めてだった。
血管が歪み、筋が弾け、骨が砕け、神経が折れていく。
吹き出した血は土を赤へと染めるには十分な量だ。
圧迫感がなくなる頃には、もう何も残っていなかった。

「お前の持っている情報を、全て吐け」
「は、く……かよ」

頭が、割れた。
優しく嫋やかに壊れない程度に足で軽く蹴り叩かれる。
それだけでは足りなかったのか、無理やり顔を挙げさせられて一発ストレート。
鼻が曲がり、骨と血が飛び出してきた。綺麗な顔立ちが今では血塗れで台無しだ。
口の中に指を入れられて歯も砕かれる。
塗りたくられた自分の血は、酷くマズかった。
噛み付こうにも歯がないのなら意味が無い。

「吐け。俺に手間を掛けさせるな」

左足首に指先を突っ込まれた。
鋭い痛みが頭の中に蔓延する。
この程度なら、喰種として戦った時、何度も経験した。
まだ、平気だ。抵抗の意思を露わにできる。
けれど。彼はその先へと踏み出した。
そこで、終わりであるならどれだけ楽だったことか。
ぐちゅぐちゅとかき混ぜられる。
ビーフシチューを作るように優しくねっとりと。
その音は耳に入れるだけでも奇怪さが感じ取られ、気持ちが悪い。

「――――――――――――――――――――ぁ」

穴から吹き出した血が制服を汚し、身体を赤へと染めていく。
まるで噴水のようだ。ぶしゅりと汚らしい音を立てて身体の内側から大切なモノが消えてしまった。
それとは裏腹に、無理やり這い出された骨と血管をぽきぽきと砕かれた時は面白い。
気持ちのいい音だな、とどこか他人行儀な気持ちだった。

「動くなと言っただろ」
「あー、ちゃー」
「違うだろ? 今、お前が吐くべき言葉はもっとあるはずだ」

見てられないと駆けたヴェールヌイを再び蹴り飛ばし、クレアは問いかける。
何度でも何度でも、満足する答えが得られるまで彼はこの拷問を続けるだろう。
それが一番てっとり早いやり方だ。
どれだけ意志が強かろうが慢性的に痛みを与えれば直ぐに吐く。
吐かないなら、吐くまで痛めるまでだ。

「吐け」

今度は左足首がかき混ぜられた。
耐え難い灼熱感は身体を包み込み、トーカの想いを何処かへと置き去りにしていく。
音が遠く、視界は紅く、感触は薄い。
自分を模っていた四肢という繋がりが絶たれたことには、もう何の感慨も浮かばなかった。
何を、願ったんだっけ。誰を、護りたかったんだっけ。
つい数時間前までは鮮明に浮かんだ人達のことを思い出せない。
あれだけ取り戻したいと叫んだ居場所は血で真っ赤だ。
諦めないことを、やり直すことを選んで足掻いた結果が、これだった。
かくんかくんと操り人形のように痙攣させながら、トーカは虚無を見つめて笑う。

「は、はは、ははっ、はぁっ、はっ、はは」
「壊れる前に吐け」

今度は右の肩が抉られた。痛みは慣れ過ぎてわからない。
なんて無様。なんて、世界。
これが戦いだ。願いを懸けて、生命を奪い合う聖杯戦争だ。
口から漏れた血液を舐め取り、にへらと嗤う。
全てが残酷に色褪せていく。
尊かったものが、価値あるものが、美しかったものが、全て辱められてしまう。
愛も、絆も、誇りも、願いも、全てが。
魂が悲鳴を上げ、諦めを訴えた。

――諦める時だ、トーカ。

視界の端で道化師が無様な自分を嘲笑う。
もう、どうにでもなればいい。
地獄のような過去を乗り越えたと思ったら、また地獄が待っていたなんて悪い冗談だ。
けれど、生きる為とはいえ、人を喰うことを肯定した自分には、お似合いの結末だと思った。
トーカが全ての情報をクレアへと明け渡すのは必然だった。
喰種の情報、願いは何か。サーヴァントの真名は、宝具は、できることは。
全てを打ち明けて楽になりたかった。
何も考えたくなかった。

「よし。次は令呪だ。サーヴァントに命令しろ」

告げられた内容は二つ。

【クレア達主従には危害を加えるな】
【それ以外の主従に対して見つけ次第殺せ】

言うなれば、鉄砲玉だ。死ぬ間際まで、使い捨てられる立場にされてしまった。
トーカ達の生命はクレアの掌の中で転がされている。
いつ握り潰されてもおかしくはなく、この場を乗り切った所で未来はない。
誰かと手を取り合うこと無く、孤独に戦い朽ちていく。
いっそのこと、死んでしまおうか。生きていても、もうどうしようもない。

「悪いが、そんな目をしても俺には全く響かないな」

それでも、何故だか知らないけれど。
死ぬという選択肢だけは選べなかった。
まだ、痛みと絶望の片隅に、彼の顔が残っているから。
金木研とちゃんと話をしたいという願いが果たされていないから。
心が折れて、ボロボロになって、諦めがあっても。
死ぬという逃げだけはしたくなかった。

本当に、中途半端だ。

だから、こうなった。今の状況は自業自得だ。
蹴り飛ばされ、ヴェールヌイの元へと転がっていく。
今にも泣きそうな顔で、ありありと絶望の二文字が浮かべている彼女に、申し訳がたたなかった。
護れなかった後悔か、それとも、無様な有様である自分を憐れんでいるのか。
どちらにせよ、自分達は完膚なきまでに負けてしまった。
それだけが、全てだった。

「これで――!」

視界が歪み、堕ちていく。
ぼしゅん、と鈍い音を立てて世界が変わる。
それは深い闇の底で、もう二度と這い上がれないかと錯覚するかのようで。
もしも次があるなら、今度こそ覚悟を決めて戦いたい。
そう、思った。












時空跳躍弾。それは一定の範囲に存在する人間を数時間先の未来へと飛ばす銃弾だ。
できるかぎり戦いを避けたい時、相手の強さに底が見えない時。
鈴音がベストな状態でないなど、色々な状況で使われる。
そして、それは今であった。
鈴音が彼らを見つけた時には既に、トーカはズタボロの屑同然と成り果てていた。
見るも耐えない拷問を何の感慨も浮かべずにやるあのサーヴァントは即座に危険だと判断できた。
もしかすると、彼がネギを殺したかもしれない。
いっそ、魔法で殲滅してしまおうか。

(何を、バカなことを)

どうやら、自分で思っているよりもネギが死んだという事実を割り切れてないらしい。
こんな状態で命を張った戦いなどできるはずがない。
もっとも、鈴音はサーヴァントの気配を察知し、偵察に来ただけだ。
このまま直ぐ立ち去れば彼らにはばれないかもしれない。
しかし、幾らステルス迷彩のコートを身に着けているとはいえ、油断など出来るはずもなく。
やはり、時空跳躍弾で一旦場を仕切り直す。

(冷静にならないと、ネ)

彼の次の標的が明日菜になる可能性だってあるのだ。
此処で数時間先の未来へと跳ばして対策を練るなり、罠を張っておくなりしておくべきである。
だから、ここで決める。
受けても弾いても躱しても、障壁ごと一定の空間を削り取れる時空跳躍弾を、初見で防ぐのはほぼ無理だ。
弾丸を指先で強く弾き、鋭く穿つ。
それで、この奇襲は終わるはずだった。

(躱した!? まさか、時空跳躍弾がバレていた!?)
「……そこか」

あろうことか、あの男は背後からの奇襲にも関わらず、完全に読み切ったのだ。
それも効果範囲外へときっちりと。
拷問を受け憔悴していたトーカ達は未来へと送り込めたが、肝心のクレアは見事に躱してしまった。
弾丸が飛んできた方向からこちらの位置はもうバレてしまっただろう。
急いで撤退の準備をすべく、即座に踵を返す。
地面を強く踏みしめて跳躍。
木々の隙間を縫うように、森の中を全速力で駆けて行く。

(自身に時空跳躍弾を撃つのは最終手段。ここで、私が消えたら明日菜サンが無防備になってしまう)

後方から這い寄る気配は依然として消えず、逆に距離は少しずつ縮まっている。
このままでは追いつかれる。直接戦闘ができない訳ではないが、自分の本領は魔術を繰り、頭で策を練ることだ。
後方でこそ輝くが故に、前衛で戦うのはご遠慮願いたい。

『やっほー、揃いも揃って馬鹿騒ぎをしてるね! 仲間外れは寂しいからさ、僕も混ぜてよ!』

そんな思惑を邪魔するかのように、行く手を遮る螺子の群れが木々ごと鈴音へと突き刺さった。
飛び退る余裕なんてない。致命傷は避けたものの、コートはボロボロになっている。
まるで友達に対して、気軽に挨拶をするかのように。
鈴音の前へと現れた少年はにっこりと笑みを浮かべて現れた。

『おいおい、そんなに怖がらなくてもいいんだぜ? 僕はこれでも優しい優しいサーヴァントとして座でも通っているんだ』

嘘をつけ。鈴音は心中で悪態をつきながら、眼前の少年――球磨川禊を注意深く観察する。
見れば見る程に気持ち悪さが滲み出し、高揚していた気分もたちまちに不快なものとなってしまう。
口の中いっぱいに血の味が広がる。熱を帯びた肺が、ぎりぎりと痛む。
弾かれるように身構え、とたんに鈍い痛みが肺の奥を走り、鈴音は眼前の少年が最大級の厄ネタだと認識する。
胸元を抑えて何度も細い呼吸を繰り返しても、拭えない気持ち悪さは最強の武器だろう。

『そういえば、そっちに女の子二人組が来なかった? 突然顔色を悪くして逃げちゃったんだけど心配だなー。
 ねぇ、君もそう思うだろ? 返事ははいかYESでお願いね!』
「……っ!」
『――――おいおい。人と話す時は目を合わしてちゃんと答えなきゃ駄目じゃないか。
 ところで、その服なかなかになかなかだね。科学的な意匠も悪くはないけれど、僕はやっぱり裸エプロンかな?』

そして、何を話したいのかが、さっぱりわからない。
鈴音の天才的な頭脳をもってしても、球磨川禊という過負荷を理解することができない。
理解できないというのは、それだけで多大な恐怖を感じる。
少なくとも、友好的な関係を築けないという意味では満点だ。
やはり、彼は危険である。
先程の赤い男よりも、とてつもなく厄介なことをしでかしそうで気が気でならない。

「新手か。面倒なことになってはきたが、やることは変わらん」

追いついてきたクレアを相手取りながら、球磨川を退ける。
鈴音からすると奇跡でも怒らない限りできはしないことで、それこそ、時空跳躍弾による逃走を真剣に企てなければならないものだ。
それは、どうしようもない絶望だった。それは、抗いようがない絶対だった。
腕の一本はなくなる覚悟で戦わなければ、生き残れない。
歯を食いしばり、鈴音は臨戦態勢を整えた時。

『いやぁ、やる気満々のとこ悪いんだけどさ、ちょっと待ってくれない?
 ああ、それと――【三騎全員】逃げたら容赦なく螺子伏せるよ』

拍子抜けするような球磨川の声で場の空気が幾らか和らいだ。
待ったのポーズを取り、突如、球磨川は宙から取り出した螺子を木々へと突き刺し、消していく。
螺子が突き刺さった木が次々と何処かへといき、視界が露わになる。

『彼女を隠す木々を【なかったことにした】。
 横槍なんてカッコ悪いぜ? 正々堂々、出て来いよ』
「……何よ、気持ち悪い面構えしちゃってさ」

消された木々によって、道ができ、その先には如何にも機嫌が悪そうな少女が弓を構えていた。
武器からしてアーチャーだと確信。全員が集まった瞬間を狙って討ち取ろうという算段であろう。
本当に油断ならない戦場だ。目先の敵だけではなく、広範囲に視野を持たなければいけないなんて。

『隙あらば、一網打尽ってのは嫌いじゃないぜ、貧乳美少女ちゃん』
「誰が貧乳よ! 気持ち悪い上に碌なことをしないわね、アンタ!」

球磨川の顔を見てますます顔の表情が渋くなる少女――瑞鶴は油断なく、辺りを見回している。
今、ここには四騎ものサーヴァントが集結している。
迂闊に動くと袋叩きになるのが関の山だ。
全員、それがわかっているからこそ動けない。
否、動けないのだろう。

『さてと、総勢四騎もサーヴァントが集まるなんて結構に珍しいこともあるんだ。
 ここは一つ――――腹を割って仲良くしようぜ?』

しかし、そんなセオリーなど球磨川禊は知ったことではない。
鈴音は手に転がした弾丸をいつでも放つ準備をし、クレアは悠々と佇み、瑞鶴は弓を握る力を強める。

「信用出来ないわね。アンタの面を見て、はいそうですかって頷く人はいないと思うわ」
『おいおい、僕は戦いに来たんじゃないんだ。そもそも、僕は君達に明確な危害を加えていないだろう?』

全員が敵。だというのに、球磨川は気にもとめずにへらへらとした態度をとり続ける。
両手を広げ、螺子を投げ捨てて人懐っこい笑みで、如何にも心の底からそう望んでいると言わんばかりに。
汚泥を呑み込むかのような不快感を抑え、鈴音は次の言葉を待った。

『ただ戦うだけじゃつまらない、だから親睦を深めたくてね。お誂え向きに、此処にはサーヴァントしかいない。
 サーヴァント同士、仲良く友情でも、深めようよ。君達も、消耗するならもっと先がいいだろう?』

ぬるい友情と、無駄な努力と、むなしい勝利。
灰色の世界で、球磨川だけが鮮やかな色彩で不吉に輝いていた。













『ちょっと急ぎ過ぎちゃったかなあ』

四騎による邂逅から数分後、森に残っていたのは球磨川一人だけだった。
結局、彼の呼びかけに応える者はあの場では誰一人としていなかった。
当然、自分の願いなんて球磨川のような得体のしれないサーヴァントに打ち明けるなどありえない。
漂ったのは何とも言えない微妙な空気だけだった。
球磨川を利用し、三者はそれぞれ一時撤退すべきと考え、霊体化しようとしたが、何の螺子も埋め込まずに撤退などさせてしまうのはどうも気に入らない。
やるなら、徹底的に。場を廻して掻き乱すのは過負荷のお得意である。

『まあ、別の形で埋め込めたから良しとしよっか』

故に、彼は次の一手を切った。マスターも含めて、全員をごちゃ混ぜにすることで、ぬるい友情を更に深める場を用意した。
それが、電子上でのチャットである。
マスターであるみくがよく利用している場所だが、匿名性も高い。
これならば、マスター共々交流を深めることができるだろう。
全員にアドレスの書いたメモを押し渡したが、果たして何人来ることか。

『誰も来なかったら寂しいなあ。来なかったら――悲しみのあまり、みくにゃちゃんの大切なものを壊しちゃうかも』

裏切り前提、背後を常に気にしなければならないとはいえ、数を揃えるという利点はこの聖杯戦争では強い。
そんな中に自分のような最弱が入るのは分が悪い賭けでしかない。
けれど、分の悪い賭けなんていつものことだし、そういう勝負の世界で生きていた。

『今回ばっかりは勝ちに行かなきゃね。あのだっさーい道化師に敗北を刻んでやる為にも』

彼処にいたサーヴァントは全員同盟を組むことの利を弁えている。
全員が聖杯を望んでいる。そして、なるべくスマートに勝ち残りたいということも。
ならば、一時の友情もまた、策の一つとして受け入れられるはずだ。

『――――勝つのは、僕だ』

もっとも、興味が惹かれることに遭遇したら全力でちょっかいをかけるし、裏切りもするけれど。

『しかし、狙撃手の人は待ちぼうけを食らっているだろうね。あんなに目立つことをしたのに誰も来ないって。
 大体のサーヴァントはさっきので打ち切りだし』

思考を変えて、狙撃手のことに思いを馳せる。
正直、今となってはどうでもいい。わざわざ探しに学校を出るのは面倒くさいし、マスターであるみくから離れ過ぎるのも適切な判断ではない。
地団駄を踏む狙撃手のことを考えると、それはもうおかしくて笑ってしまうし煽りたいが、ここは我慢だ。
次に会う機会があれば、全身全霊を以って、弄くり廻してやろう。

『けれど、打ち切りの後には新連載がやってくるのが漫画ではセオリーだよね』

これが美少女狙撃手なら断然ヤル気が出るか、もしも冴えないおっさん狙撃手なら球磨川のヤル気も半減だ。
ならば、近場の美少女でも漁りに行こうと、ふと中等部の校舎へと目を向けると。
粘ついた笑みを再び、浮かべ――。













今川ヨシモトによる狙撃音は、当然中等部の校舎にも届いた。
授業中だった為、誰一人飛び出す者はいなかったものの、やはりざわめきは大きい。
その中でも、光の動揺は傍から見てもわかる程だった。
まさか、学校が戦場になるなんて。想定はしていたが、こんなにも早くサーヴァントが攻めてくるなんて。
どうしたらいい、と自問自答を繰り返す。
最善の選択肢は何か。
迎え撃つべく、相手サーヴァントへとテスラを向かわせるべきか。
それとも、隙を突かれることのないように、この教室から戦況を多面的に見るべきか。
決めるのは自分自身だ。テスラの判断に任せるという形に逃げるのは好ましくない。
何を救うか、何を切り捨てるか。何を尊ぶべきか。
戦闘はテスラに任せっきりなのだ。どのような選択を取るかぐらい、光が決めなくてはマスターとしては恥ずかしい。

(アタシはどうしたらいい? どうすれば、皆を護り切れる?)
(マスター。もし、選べぬなら)
(大丈夫、ライダー。これはアタシが選ばなくちゃならないことだ。
 ”一緒に”頑張るって決めたから)
(そうか……)

テスラが頼れるサーヴァントだからこそ、甘えたくない。
だからこそ、光は悩む。選ぶ時が来ている。
自分の決断が、誰かの生命を握っていることを理解する時が迫っているのだ。
そう考えると、手が震えてくる。
もしも、判断を間違えた結果、誰かが死ぬことになったら。
そんな予想をしてしまい、怖くて怖くてたまらない。

「先生! ちょっとトイレに行ってきます!!!!」

そして、悩み抜いた末に出た結論が、とりあえず動こうだった。
教諭の返事も友人の制止も待たずに光は教室を抜け、廊下を直走る。
階段を駆け下りながら、狙撃を行った方向をきっと睨む。

(わからない。何が正しいかなんてアタシにはわからない!)

光は選べない。どの選択肢が正しいか、見分けることができず一歩を踏み出せない。
どれだけ輝きを持とうと、アイドルとして活躍しようと、彼女はごく普通の女子中学生だ。
戦場の経験などない故に、いざ危難が迫ってきても、素早く動けるかわからない。
それでも、動かなくては何も護れない。このまま迷うぐらいなら、真っ直ぐに突き進む。

(けれど、黙ってるのはもっと嫌だ! 動かないで後悔するのは、絶対嫌だ!)
(それが、お前の答えか。マスター)
(ああ! だから、ライダー!)
『やあ、随分と慌ててるじゃないか。それじゃあ、聖杯戦争関係者だって丸わかりだよ?』

漸く、玄関へと辿り着いた時。その動きは途中で静止された。
眼前に現れたサーヴァントが、光の足を踏みとどませる。
テスラも実体化し、光を護るように前へと立ち、警戒を怠らない。

『ひとますさ。君のパンツの色を教えてくれないかな?』



【C-2/学園/一日目 午後】

【前川みく@アイドルマスターシンデレラガールズ(アニメ)】
[状態]健康、イライラ増幅中、前川さん
[令呪]残り三画
[装備]なし
[道具]学生服、ネコミミ(しまってある)
[金銭状況]普通。
[思考・状況]
基本行動方針:聖杯を取る。
1.人を殺すことに躊躇。
[備考]
本田未央と同じクラスです。学級委員長です。
本田未央と同じ事務所に所属しています、デビューはまだしていません。
事務所の女子寮に住んでいます。他のアイドルもいますが、詳細は後続の書き手に任せます。

【ルーザー(球磨川禊)@めだかボックス】
[状態]『僕の身体はいつだって健康さ』
[装備]『いつもの学生服だよ』
[道具]『螺子がたくさんあるよ、お望みとあらば裸エプロンも取り出せるよ!』
[思考・状況]
基本行動方針:『聖杯、ゲットだぜ!』
1.『みくにゃちゃんはいじりがいがある。じっくりねっとり過負荷らしく仲良くしよう』
2.『それはそうと、僕はいつになったらみくにゃちゃんを裸エプロンにできるんだい?』
3.『道化師(ジョーカー)はみんな僕の友達―――だと思ってたんだけどね』
4.『ぬるい友情を深めようぜ、サーヴァントもマスターも関係なくさ。その為にも色々とちょっかいをかけないとね』
[備考]
瑞鶴、鈴音、クレアへとチャットルームの誘いをかけました。
帝人と加蓮が使っていた場所です。

【竜ヶ峰帝人@デュラララ!!】
[状態]健康
[令呪]残り三画
[装備]
[道具]
[金銭状況]割と貧困
[思考・状況]
基本行動方針:不透明。聖杯は欲しいが、人を殺す覚悟はない。
1.わからない。今はただ日常を過ごす他ない。
[備考]
とあるサイトのチャットルームで北条加蓮と知り合っていますが、名前、顔は知りません。
他の参加者で開示されているのは現状【ちゃんみお】だけです。他にもいるかもしれません。
チャットのHNは『田中太郎』。

【アサシン(クレア・スタンフィールド)@バッカーノ!】
[状態]健康
[装備]
[道具]なし
[思考・状況]
基本行動方針:聖杯は俺が奪う。
1.とりあえず、マスターは護る。
2.他参加者、サーヴァントは殺せる隙があるなら、遠慮なく殺す。利用できるものは利用し尽くしてから始末する。
[備考]
チャットルームへと誘われました。

【音無結弦@Angel Beats!】
[状態]健康
[令呪]残り三画
[装備]学生服
[道具]鞄(勉強道具一式及び生徒会用資料)、メモ帳(本田未央及び仲村ゆりについて記載)
[金銭状況]一人暮らしができる程度。自由な金はあまりない。
[思考・状況]
基本行動方針:あやめと二人で聖杯を手に入れる。
1.生徒会長としての役目を全うしつつ、学校内や周辺にマスターがいないか探る。平行してあやめを『紹介』する人間も探す。
2.戦闘を行っていたサーヴァントのマスターを特定できたならば暗殺を検討する。
3.放課後になったら本田未央の自宅に赴く。
4.ゆりと接触したい。
5.あやめと親交を深めたい。
[備考]
高校では生徒会長の役職に就いています。
B-4にあるアパートに一人暮らし。
コンビニ店員等複数人にあやめを『紹介』しました。これで当座は凌げますが、具体的にどの程度保つかは後続の書き手に任せます。
ネギ・スプリングフィールド、本田未央を聖杯戦争関係者だと確信しました。サーヴァントの情報も聞いています。

【アサシン(あやめ)@missing】
[状態]霊体化
[装備]臙脂色の服
[道具]なし
[思考・状況]
基本行動方針:ますたー(音無)に従う。
1.ますたーに全てを捧げる。
[備考]
音無に絵本を買ってもらいました。今は家に置いています。

【スタン@グランブルーファンタジー】
[状態]健康
[令呪]残り三画
[装備]竹刀
[道具]教材一式
[金銭状況]学生並み
[思考・状況]
基本行動方針:聖杯を取る。
1.ひとまず今日は学校で過ごす。
[備考]
装備の剣はアパートに置いてきています。

【アーチャー(瑞鶴)@艦隊これくしょん】
[状態]健康、球磨川と相対したことによる精神疲弊
[装備]
[道具]なし
[思考・状況]
基本行動方針:聖杯を取る。
1.響をこちらに引き入れたい。
2.あのキャスターはいずれ何とかしないと……。球磨川の提案は渡りに船だが……?
[備考]
キャスター(ギー)、マスターの少女(八神はやて)、レプリカ(エレクトロ・ゾルダート)、アーチャー(ヴェールヌイ)、北条加蓮を確認しました。
チャットルームへと誘われましたが、球磨川の気持ち悪さから乗り気ではありません。

【神楽坂明日菜@魔法先生ネギま!(アニメ)】
[状態]疲労(小)
[令呪]残り3画
[装備]学園の制服
[道具]学校鞄(授業の用意が入っている)、死んだパクティオーカード、スマートフォン
[金銭状況]それなり
[思考・状況]
基本行動方針:死にたくない
1.皆がいる麻帆良学園に帰りたい
2.でもだからって、そのために人を殺しちゃうと……
3.とりあえず、キャスター(超鈴音)と学園で落ち合う
4.キャスターは何しにいったんだろう?
[備考]
大きめの住宅が居住地として割り当てられました
そこで1人暮らしをしています
鈴音の工房を認識しているかどうかは後続の書き手にお任せします
スマートフォンの扱いに慣れていません(電話がなんとかできる程度)

【キャスター(超鈴音)@魔法先生ネギま!】
[状態]霊体、魔力消費(それなり) 、球磨川と相対したことによる精神疲弊
[装備]改良強化服、ステルス迷彩付きコート
[道具]時空跳躍弾(数発)
[思考・状況]
基本行動方針:願いを叶える
1. ネギが死んだことを認めるしかない。それによる若干の鬱屈。
2.明日菜が優勝への決意を固めるまで、とりあえず待つ
3.それまでは防衛が中心になるが、出来ることは何でもしておく
[備考]
ある程度の金を元の世界で稼いでいたこともあり、1日目が始まるまでは主に超が稼いでいました
無人偵察機を飛ばしています。どこへ向かったかは後続の方にお任せします
レプリカ(エレクトロゾルダート)と交戦、その正体と実力、攻性防禦の仕組みをある程度理解しています
強化服を改良して電撃を飛び道具として飛ばす機能とシールドを張って敵の攻撃を受け止める機能を追加しました
B-6/神楽坂明日菜の家の真下の地下水道の広場に工房を構えています
工房にT-ANK-α3改が数体待機しています
チャットルームへと誘われましたが、球磨川の気持ち悪さから乗り気ではありません。

御坂妹@とある魔術の禁書目録】
[状態]健康
[令呪]残り3画
[装備]学園の制服、専用のゴーグル
[道具]学校鞄(授業の用意と小型の拳銃が入っている)
[金銭状況]普通(マンションで一人暮らしができる程度)
[思考・状況]
基本行動方針:元の世界へ生還する
1.協力者を探します、とミサカは今後の方針を示します
2.そのために周辺の主従の情報を得る、とミサカはゾルダートを偵察に出します
3.偵察に行ったゾルダート達が無事に帰ってくるといいのですが、とミサカは心配になります
4.学園で体育の着替えを利用してマスターを探ろうか?とミサカは思案します
5.光を巻き込みたくない、けれど――とミサカは親友に複雑な思いを抱いています
[備考]
自宅にはゴーグルと、クローゼット内にサブマシンガンや鋼鉄破りなどの銃器があります
衣服は御坂美琴の趣味に合ったものが割り当てられました
ペンダントの購入に大金(少なくとも数万円)を使いました
自宅で黒猫を飼っています


【レプリカ(エレクトロゾルダート)@アカツキ電光戦記】
[状態](13号~20号)、健康、無我
[装備]電光被服
[道具]電光機関、数字のペンダント
[思考・状況]
基本行動方針:ミサカに一万年の栄光を!
1.ミサカに従う
2.ミサカの元に残り、護衛する
[備考]

【南条光@アイドルマスターシンデレラガールズ】
[状態]健康、焦り
[令呪]残り三画
[装備]なし
[道具]学校鞄(中身は勉強道具一式)
[金銭状況]それなり(光が所持していた金銭に加え、ライダーが稼いできた日銭が含まれている)
[思考・状況]
基本行動方針:打倒聖杯!
1.聖杯戦争を止めるために動く。しかし、その為に動いた結果、何かを失うことへの恐れ。
2.眼前のサーヴァント……何かが変だ。
3.無関係な人を巻き込みたくない、特にミサカ。
[備考]
C-9にある邸宅に一人暮らし。

【ライダー(ニコラ・テスラ)@黄雷のガクトゥーン ~What a shining braves~】
[状態]健康
[装備]なし
[道具]メモ帳、ペン、スマートフォン
[思考・状況]
基本行動方針:聖杯を破壊し、マスター(南条光)を元いた世界に帰す。
0.サーヴァント(球磨川)へと対処。
1.マスターを守護する。
2.空の騎士のマスターの連絡を待つ。
[備考]
一日目深夜にC-9全域を索敵していました。少なくとも一日目深夜の間にC-9にサーヴァントの気配を持った者はいませんでした。
主従同士で会う約束をライダー(ガン・フォール)と交わしました。連絡先を渡しました。
個人でスマホを持ってます。

【C-2/学園の裏山/一日目 午後】

【霧嶋董香@東京喰種】
[状態] 両掌がミンチ、左右の指が欠損&骨折、鼻骨骨折、歯欠損、額から出血、両足首抉り傷(骨が剥き出し)、
    右肩刺突痕、痛覚神経不能、内蔵にダメージ、肋骨に罅、全身重度の打撲、出血多量
    (喰種の恩恵によって回復中)
[令呪]残り一画
[装備]なし。
[道具]鞄(ノートや筆記用具など学校で必要なもの)
[金銭状況]学生並み
[思考・状況]
基本行動方針:つらい。
1.つかれた。
2.たすけて。
[備考]
詳しい食糧事情は不明ですが、少なくとも今すぐ倒れるということはありません。詳細は後続の書き手に任せます。
時空跳躍弾によって、数時間先の未来へと飛ばされました。

【アーチャー(ヴェールヌイ)@艦隊これくしょん】
[状態]健康、『不死鳥の名は我にあり(Финикс)』残り2回
[装備]なし
[道具]なし
[思考・状況]
基本行動方針:マスターと共に戦う。
1.絶望。
[備考]
マスターの少女(八神はやて)とサーヴァントの男(キャスター・ギー)、レプリカ(エレクトロ・ゾルダート)、北条加蓮、アーチャー(瑞鶴)を確認しました。
北条加蓮をレプリカのマスターではないかと疑っていますが、半信半疑です。
【クレア達主従には危害を加えるな】
【それ以外の主従に対して見つけ次第殺せ】
上記二つの令呪をかけられています。
時空跳躍弾によって、数時間先の未来へと飛ばされました。

【C-3/マンション付近/1日目 午後】

千鳥チコ@ハチワンダイバー】
[状態]健康
[令呪]残り三画
[装備]なし
[道具]財布や腕時計など遠出に役たつ物が入ったバッグ、マグネット将棋セット、和菓子いくつか
[金銭状況]無駄遣いしても生活に苦がない程度。
[思考・状況]
基本行動方針:攻めて、攻めて、攻め続ける。攻めの手を切らない。
1.待ち。
2.校庭襲撃終了後、参加者が発見できたら彼らを襲撃。
 発見できなかった場合、別の場所を襲撃。襲撃場所は深山町に限定。
3.夜間の戦闘に備えて仮眠を取るタイミングを図る。

[備考]
※校庭狙撃がルールに抵触する可能性も考えています。ただ、この一撃でペナルティを受けるほどではないとも考えています。

【C-3/マンション屋上/1日目 午後】

【今川ヨシモト@戦国乙女シリーズ】
[状態]健康
[装備]ヨシモトの弓矢
[道具]なし
[思考・状況]
基本行動方針:マスターに従いますわ!
0.何で、誰も来ませんの!?
1.その後、チコと共に場所を移して校庭の様子を観察。
2.参加者を発見した場合チコに報告、襲撃準備を整える。
 発見できなかった場合、別の場所を襲撃。襲撃場所は深山町に限定。
3.同時に、チコの周囲を警戒。サーヴァントらしき人物がいたらチコに報告して牽制を加える。
4.夜間、遠方からC-7の橋を監視。怪しい動きをしている人物が居れば襲撃。

[備考]
※本人の技量+スキル「海道一の弓取り」によって超ロングレンジの射撃が可能です。
 ただし、エリアを跨ぐような超ロングレンジ射撃の場合は目標物が大きくないと命中精度は著しく下がります。
 宝具『烈風真空波』であろうと人を撃ちぬくのは限りなく不可能に近いです。





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028:迷いの園-Guilt- 投下順 030:Nowhere/嘘の世界であなたと二人
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020:アンダードッグ・ファンタズム 前川みく 038:考察フラグメント
ルーザー(球磨川禊) 034:ワイルドルーザー/ブレイブウィナー
009:灰色の夢 竜ヶ峰帝人 054:前川みく抹殺計画
アサシン(クレア・スタンフィールド)
013:白銀の凶鳥、飛翔せり 音無結弦 038:考察フラグメント
017:伸ばされた夢-シンデレラは右手を伸ばす- アサシン(あやめ)
020:アンダードッグ・ファンタズム スタン 036:日常フラグメント
023:回転悲劇/邂逅戦闘/力の顕現 アーチャー(瑞鶴)
026:夢現ガランドウ 神楽坂明日菜
キャスター(超鈴音)
御坂妹 041:Send E-mail
レプリカ(エレクトロゾルダート)
南条光 034:ワイルドルーザー/ブレイブウィナー
022:老兵は死なず、ただ戦うのみ ライダー(ニコラ・テスラ)
024:マギステル・マギ 霧嶋董香 030:Nowhere/嘘の世界であなたと二人
023:回転悲劇/邂逅
023:戦闘/力の顕現
アーチャー(ヴェールヌイ)
007:鬨の声を放て 千鳥チコ 057:戦の真は千の信に顕現する
アーチャー(今川ヨシモト) 043:落陽の帰路/岐路

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