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しばるセンス・オブ・ロス

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しばるセンス・オブ・ロス ◆LxH6hCs9JU



 なにがなんだかわけがわからなかった。
 目の前に立つ、今までは味方だと信じて疑わなかった存在が、胸元の命に狙いを定めている。
 悲痛そうでもなく、狂気に塗れてもおらず、見慣れた冷静沈着な表情でもって、少女の人生にチェックをかけていた。

 リリア・シュルツを苛めたのは、ただの混乱。
 命の危機を自覚するよりも先に、なぜ、どうして、なんで、という疑問に押し潰される。
 だから、彼が引き金を絞り、弾丸が胸元に命中し、短かった生涯がここで潰えるなんてことは、イメージできるはずがなかった。

 逃げなければ、なんて思考は当然働かない。
 胸に宿る疑問が、危機感を凌駕する。
 ワケが、わからなかった。

 ママの彼氏は、
 スー・ベー・イルの陸軍少佐は、
 トラヴァスは――なぜリリアに銃を向けるのか?

 彼女にはわからなかったのだと思う。
 そして、彼にもわかりはしなかったのだろう。
 娘にこんなものを向ける父親の気持ちなど、わかりたくもない。

 ――ヴィルヘルム・シュルツは表情一つ変えず、心中でのみ毒づいた。


 ◇ ◇ ◇


 そろそろ今日のランチでも考えようか――そんな時刻。

 温かくなって明るくなった街を、相良宗介とリリアの二人が歩いていた。
 飛行場から出発した彼らに、具体的な目的地はない。
 天気がいいから出かけよう、その程度の意識で、町を歩いて回っていた。
 前を歩いていたのは、リリア。後ろを歩くのは、宗介。
 見慣れない街並みにはしゃぐリリアを、宗介は優しい瞳を浮かべて眺めていた。

「ねぇ、見て宗介! これはなんのお店かしら? こんなの、イクスでも見たことがないわ!」

 それはさながら、女の子のウィンドウショッピングに付き合う口下手な男の子の図だった。
 少女が舗装された街路を縦横無尽に駆け回り、少年が大股で静かにそれを追いかける。
 リリアは満面の笑みを浮かべて、宗介は相変わらずの仏頂面で笑みはなく、街を行く。

「あ、ここはレストランみたい。ちょうどお昼だし、なにか……って、コックさんがいないか」

 ああ、どこかでフルーツ味の携帯食料でも調達できれば僥倖だ、と宗介は思った。
 リリアはもっと味にこだわったものが食べたいのだろうが、あいにく宗介にシェフを務められるほどの腕はない。
 しかもリリアが指差すレストランとは、よく見れば懐石料理店のようだった。

「このへん、お店屋がいっぱいよね。近くに飛行場もあったし、観光地かなにかなのかしら」

 顎に人差し指を添えて、天を仰ぐリリア。仕草だけの、考えているポーズ。
 彼女にはわからないだろうが、世界各地を渡り歩いてきた宗介にはわかる。
 この街の外観は、明らかに日本のそれだ。となればここは日本のどこか、もしくはそれを模したものなのだろう。

「にしても、食料くらいもっとマシなものを用意できなかったのかしら。あんなんじゃ味気ないわよ、まったく」

 今度は、この企画の首謀者たちに対して文句を言っている。
 しかもそれが、支給された食料のお粗末さに関してというから、またなんとやらだ。
 宗介とリリアのデイパックに入っていたのは、保存性に優れたカンパンの缶詰である。開封する気にすらなれなかった。

「……ねぇ、宗介」
「なんだ」

 リリアの呼びかけに、即座に応じる宗介。
 対応に早さがあっても、リリアはなぜか不服そうだった。

「さっきから相槌の一つも返してくれないけど、どうしたのよ?」
「問題ない。続けてくれ」
「続けてくれって……はぁ、もういいわよ」

 男の沈黙は女の機嫌を損ねる。宗介が黙りこくっているものだから、リリアまでもが仏頂面になってしまった。
 年頃の女の子の心の機微を察しろ、なんて命令は相良軍曹にとっては難易度の高い注文である。
 特に考え事をしていれば必然、女の子の話し相手になろうなどという気は起きない。

 ……それでも、リリアが懸命に空元気を見せようとしていることだけはわかった。

 彼女の実母、アリソン・ウェッティングトン・シュルツの死を知ったのが朝。現在が昼。
 浅羽なる少年との一悶着を計算に入れても、消費した時間は大きかった。
 結局、あれからリリアは疲れるまで泣き、宗介はリリアが泣き止むまで胸を貸し、気がつけばこんな時刻だ。
 随分と遅い出発になってしまったと、宗介は後悔の念を抱かずにはいられない。

 今頃、“彼女たち”はどうしているのだろうか――。

 開始からわずか六時間でメリッサ・マオが死んだ。冷静に考えてみれば、これは由々しき事態である。

 メリッサ・マオ曹長――コールサイン“ウルズ2”――日頃から宗介とクルツの二人を牽引してきた、姉貴分。
 AS(アーム・スレイブ)の操縦技術はもちろんのこと、白兵戦においても男顔負けの実力を誇るスペシャリストだ。
 そんな彼女が六時間とて生き延びること叶わなかったという、異常と言ってしまえる事態。
 要因はなんだったのか。装備の不足か、コンディションの不調か、単純な実力差か。

 ――お荷物を背負ってしまった、と考えられなくもない。

 この地で宗介が遭遇した人間といえば、リリアとあの浅羽という少年の二人、おまけで謎のマネキン人形だけだ。
 それだけの情報で他の参加者たちと自分たちミスリル所属の者の差を推し量ることなどできないが、
 やはりどのような劣悪な状況下を想定したとしても、マオの早期離脱を只事で済ますわけにはいかない。
 故に宗介は、想像してしまう。

 ここはマオが早々に死んでしまうような、紛れもない戦場であり――なら、“彼女たち”は?

 と。
 心配と不安がどれだけ肥大化しようと、相良宗介という男はそれで足を止めるほどアマチュアではない。
 そう、自分の意思では決して、足を止めたりなどしないのだ。
 厄介なのは、この身を雁字搦めにして離さない荒縄とも言える“弱者”の存在。

 それが、目の前の“母を亡くした少女”だった。

 “彼女たち”のことを、“千鳥かなめ”と“テレサ・テスタロッサ”のことを思えば、足は途端に動き出す。
 が、リリアが無理やりに作り出している笑顔を見ると、動き出した足は途端に止まってしまう。
 精一杯の空元気とやせ我慢。リリアの顔から滲み出る感情を、宗介は手に取るように察することができた。できて、しまった。

 もし、正午の放送で“彼女たち”の名が呼ばれるようなことがあれば、宗介は心の底から後悔することになるだろう。
 ひょっとしたら、それでリリアを恨むこともあるかもしれない。それくらい、わかっているのに。
 なのに、宗介はリリアの傍を離れることができなかった。

 誰に頼まれたわけでもない、自分で下した決断だというのに、煮え切らない。
 かつての自分が、今の相良宗介を見たらどう思うだろうか。
 そんな問いは、自虐にしかならなかった。

「リリア」

 彼女の名前を呼ぶ。
 鮮やかな栗毛の髪が、視線の先で揺れた。
 リリアは虚勢の笑顔を宗介に向け、なに宗介、と呼び返す。

「…………」

 そんなリリアの顔を見ていると……宗介は彼女にかける言葉を見失った。

「もう。そんな石像みたいな顔してると、幸せが逃げてくわよ」
「……リリア」
「だからなに。わたしの名前、呼んでてそんなに気持ちがいいのかしら?」
「敵だ。下がっていろ」

 えっ、とリリアが背後を振り返った。
 その先に、一目で敵とわかる存在が居た。
 否、“在った”。

「……飛行場で襲ってきたやつと、同じ?」
「そのようだ。今回は凶器が見当たらないが、な」

 あのときは薄暗い深夜だったが、今は明るい昼のため、容易に素顔を見ることができる。
 街路の奥で悠然と構える、着物姿の――体つきだけを見て判断する――女性。
 凹凸だけの顔、起伏に富んだスタイル、生気の感じられない立ち姿。
 数時間前に宗介とリリアを襲ったあれと同種の、マネキン人形だった。

「おばけにしても、こう真昼間に出てこられちゃね。怖がる気もなくなるっていうか」
「リリア、注意していてくれ」
「大丈夫でしょ。なにが狙いか知らないけど、今回も――」
「いや、注意するのはあれではない。近辺に潜んでいるだろう、あれを嗾けてきた張本人だ」

 二度目ということもあって緊張感を欠いているリリアに、宗介は警戒を促す。
 目の前のマネキン人形は、前回の交戦を踏まえるなら大した脅威ではない。
 しかし、敵は敵。相対するなら油断も躊躇もなく、実直に殲滅してこそ専門家だ。
 かといって、即座に撃ち殺すのも芸がない。それが二回目ともなれば、打つ手は練るべきだろう。

 真に警戒するべきは、マネキン人形ではなく、マネキン人形の背後に潜む人物。
 あれがなんらかの機械によって遠隔操作されていると仮定し、想定する。
 黒幕の狙い、段取り、最終的な目的――過程の末を見据え、対策を即時考案。
 二度目となる今回は、相手側からのさらなるアプローチも十分にありえると、宗介はそう判断した。

「では――行ってくる」
「――うん、気をつけて」

 マネキンの動きに合わせ、宗介も動く。
 敵は無手、行動は突進、標的は二人の内の一人、同じく向かっていった宗介だった。
 リリアは後方にて待機。周囲を気にかけながら、宗介の動向を見守る。

 突進の勢いに乗せて、マネキンが両腕を伸ばす。
 宗介は走りながらに身を屈め、接触を避けた。
 体勢を元に戻しながら、マネキンの左胴に蹴りを放つ。
 マネキンは悲鳴もなく路面に倒れ、衝撃で左腕が折れた。

 弱い。
 速度も耐久度もあれから進歩なく、改善点が見当たらない。
 二度目ともなれば人形自体になにかしら仕込んでくるかと思ったが、用途は単なる囮なのだろうか。

 宗介は倒れたまま起き上がろうともしないマネキン人形を見下ろしつつ、
 その視線をやがて街中、周囲の景色へと転じさせ、
 マネキンから注意が外れた、
 一瞬、

 チリン、

 とどこかで澄んだ音色が鳴り響き、
 次の瞬間にはマネキン人形の顔がぶくぶくと膨れ上がり、
 中で寄生虫が蠢いているかのごとく膨張と凝縮を繰り返し、末に破裂――爆砕。

 宗介のすぐ足下で、爆炎と爆風と大爆発が生まれた。


 ◇ ◇ ◇


 その決定的瞬間を、リリアは見逃してしまった。
 周囲を警戒しておけと、事前に宗介から助言を受けていたがために。
 彼の言動を鵜呑みにする程度には、信頼を置いていたから。だから、見逃してしまった。

 気づかせてくれたのは、音。
 目をやって真っ先に捉えたのは、吹き飛ぶ宗介の身。
 可燃性物質もない白昼の路上で盛大に燃える炎は、どこか異質だった。

 しばし、体が硬直する。
 突然の出来事に理解が追いつけず、脳が体に信号を送れないでいる。
 空元気なんて、あっという間にどこかへ消し飛んだ。
 まさかの事態が、リリアに驚愕を与える。

「――宗介!」

 叫び、駆け出したのは、たっぷり九秒ほどかけてからのことだった。
 爆風に身を弄ばれ、アスファルトを何十回と転がった宗介の身に、走って寄り縋る。
 うつ伏せになっていた体を強引に仰向けにし、全身くまなく目をやった。
 初めて見る、宗介の苦痛に歪む顔がそこにあった。

「…………」

 リリアは顔面蒼白の状態で、息を呑んだ。
 なにも言葉が出てこない。
 たとえなにか喋れたとしても、宗介は喋り返せない。
 爆発に巻き込まれた人間を前には、絶句するしかないと知った。

「……ソー、スケ」

 それでも、リリアは声を振り絞った。

「しっかり……しっかりしなさいよ、ソースケぇ!」

 宗介の状態は、見るからに深刻だった。
 苦痛に歪む顔の半面は、赤く滴る血に彩られている。頭部からの出血。傷は吹き飛ばされた際、地面に打ち付けたものだった。
 黒い厚手の上着はところどころが破けている。露出した先の肌は、火傷を負っているようにも見えた。
 骨や内臓がどうなってしまっているかは、さすがに素人目ではわからない。

「とりあえず、血を止めて……火傷は冷やして……ああ~っ、それよりも!」

 冷静になれ!
 とリリアは両手で拳を作り、自身のこめかみにそれぞれあてがった。
 ガン、ガン、ガン、と乱暴に数回叩いて、気合を入れなおす。

「うしっ!」

 今はなによりもまず、避難だ。
 宗介が言っていた。警戒しろ、と。まだ、終わってなんかいないのだ。
 リリアは宗介の両脇に腕を滑り込ませ、重たい男の体を引き摺って運んだ。

 すぐ近くにあった建物へ入る。
 どの道、男一人を引き摺りながらでは、長い距離を移動することなどできない。
 ならせめて、カモ撃ちにはされないよう遮蔽物の多い屋内に移らなければ、との判断だった。

 建物の中には、皮肉なことに何十体もの数のマネキン人形が立っていた。
 リリアが入った店はどうやらブティックらしく、マネキンはどれもこれも綺麗な洋服で着飾っている。
 ショーウィンドウから見える外の光景に注意しつつ、リリアはなるべく店の奥まで宗介を運び、彼から手を離した。

 床には蛇が這ったような赤い血の軌跡が出来上がっていたが、構ってはいられない。
 リリアは宗介の体を探り、彼が所持していた拳銃を手にする。
 この場面、優先すべきは治療よりもまず自衛だろう。
 手負いとなった二人を、爆発を引き起こした張本人が仕留めにくるとも限らないから。

 リリアは半ば確信にも似た感覚を覚え、店外に目を向けた。
 ショーウィンドウの向こう側では、宗介の肌を焼いた炎が、今も煌々と燃えている。

 人影は、まだ、ない。
 人影は、いずれ、やってくる。
 人影は、そうして、やってきた。

「えっ――」

 リリアは店の入り口へと銃を向け、またもや固まる。
 ショーウィンドウ越しにちらりと映ったその姿には、見覚えがあった。
 規則的な速度で歩み、一瞬も躊躇することなく店内へと侵入してきた、事の首謀者。
 穏やかな顔つきに、知的な眼鏡がこれでもかというくらい似合う、大人の男性。
 リリアと目が合ったその瞬間から一時も逸らすことなく、近づいてくる彼。
 よく見ると目元がそっくりな――少女と男性が今、対面を果たす。

「こんにちは。久しぶりですね」

 かけられた言葉は、面識の有無を明白にするものだった。
 用いられた言語は、相手がリリアだからこそ通じるベゼル語だった。

「どうして……」

 リリアは、こんにちは、とも、久しぶり、とも返さない。

「ママが、死んだっていうのに……」

 ただ、銃を握る手に力を込めて。
 ただ、睨みつける双眸に涙を溜めて。
 ただ、理解不能な不条理に憤りを孕んで。

「……トラヴァス少佐っ! どうしてあなたが、こんなことやってるのよ!」

 リリアは、母の好きだった人を問い詰めた。


 ◇ ◇ ◇


 とある街のとある洋服店で、親子の再会があった――なんてことは、親しか知らない事実。
 子の側は、自分が子であることなど認識していない。故の純粋な怒り、そして敵意と殺意。
 わかっていたことだった。これでも上手くいってるほうだ。悪かったのは運と巡り合わせ。

 トラヴァスは、およそ最悪と呼べる形でリリアと再会してしまった。

 だがそんな“最悪”くらいでは、彼は揺るがない。
 表情一つ変えず、非情な仕事に徹する。

「僕の名前を覚えてくれていたようで。光栄ですよ、リリアーヌさん」
「そうじゃないでしょ? どうして、そんな風に……」
「マネキンの人形を嗾けたのも、それを爆破させたのも、彼を傷つけたのも、全て僕の仕業です」
「なっ……!?」
「聞きたいのは、こんなところですか?」
「違う! そんなこと、わかってる。わかっちゃうわよ。わからないのは……なんでトラヴァス少佐が……!」

 言葉の整理がついていないらしいリリアは、いやいやと首を振りつつも、トラヴァスを睨みつける。
 彼女の泣き顔を見るのがつらかった。彼女に銃を突きつけられるのが痛かった。
 彼女に銃を向けなければならないのが、一番痛かった。

「君と彼には、申し訳ないことをしていると思っています」
「なら、今すぐそれを下ろしてよ! それで、一緒に宗介の治療、手伝ってよ……っ」
「それはできません。僕にも立場というものがありまして、今それを危うくするわけにはいかないんですよ」

 トラヴァスはリリアのすぐ傍まで歩み寄り、屈んだ。
 リリアの構える銃がすぐそこにあると知りながらも、彼女の荷物に手を伸ばし、これを奪い取る。

「じゃあ、わたしのことも……」

 また距離を取ろうとするトラヴァスに、リリアは言った。
 後に続く言葉は、言う側にも聞く側にも、必要なかった。
 トラヴァスは質問の意図を察し、正直に答える。

「僕に、君を傷つけることはできません」

 そう言って、銃を下ろした。
 それを見ても、リリアは銃を下ろさない。

「そこにいる彼にも、できれば生き延びて欲しい。リリアーヌさんなら応急処置くらいはできるでしょう。ぜひ助けてあげてください」

 白々しさしか感じられない台詞を、淡々と口にするトラヴァス。
 リリアは悔しそうに歯を食いしばり、キッとトラヴァスの顔を睨みなおした。

「そして君には、もっともっと長生きして欲しい。これは、本心からの言葉です」

 皮肉にしかならない祝福を、優しい笑顔に乗せてリリアに送る。
 リリアは、鬼の形相で怒っていた。
 目尻に溜まっていた涙は、とっくのとうに零れ落ちていた。

「……待ってよ」

 奪い取った荷物を手に、傷だらけの男女を残し、トラヴァスは洋服店から去ろうとする。
 完全に背を向けた後、リリアは背後からか細く語りかけてきた。

「お願いだから、待って」

 トラヴァスは止まらない。止まりたくても止まれない。彼女のためを思えば、なおのこと止まれない。

「そんなんじゃ全然、わかんないわよ。もっと、わかるように説明してよ……」

 リリアの懇願を聞きながら、これ以上の優しさは振りまけないと自身に言い聞かせながら、

「……撃ちたいというのなら、どうぞ。僕はきっと、彼女の待つ天国とは別の場所に落ちるでしょうね」

 この場に残すべきただ一つの非情の言葉を、告げた。

「……うっ」

 リリアから返ってくる言葉は、なかった。
 背中に銃弾が穿たれることを十分に覚悟し、しかしついに、制裁は下されなかった。
 せめて罵詈雑言の一つでももらえれば、いくらかは救いになっただろうに。

 洋服店の出入り口を潜り、トラヴァスは外へ出る。
 近くの炎からくる熱気と、暖かな陽光が、じわりと汗を滲ませる。
 店内に取り残されたリリアには一瞥も寄越さず、その場を去っていった。

「……ああ」

 不幸な再会だった。
 彼女と彼が無事に長生きできることだけを、今は望む。

「――見逃したのか?」

 爆発の痕跡、燃え上がるアスファルトを通り過ぎたところで、声をかけられた。
 トラヴァスの眼前に、凛とした佇まいの少女が一人、待ち構えるように立っていた。
 和服の上にジャケットという異種なる組み合わせが、一目で彼女の存在を認知させる。

 “狩人”と“少佐”に与した三人目――すなわち、“和服”の少女。

 “和服”は手に無骨なナイフを携え、気だるそうにトラヴァスの進行を阻む。
 威圧感で立ち止まらせ、そして投げる質問は、『見逃したのか』の一言。
 『殺したのか』――ではなく、半ば最初から答えを知っている風に、“和服”は訊いてきた。

「彼に報告しますか?」

 故にトラヴァスは、“少佐”として答える。
 イエス、ノーの直接的な答えではなく、わかりきった答えを省いた上での質問返し。
 “和服”もまたすぐに“少佐”の意図を察し、

「少し気になってたんだ。“あんたみたいなの”が、なんで“あいつみたいなの”と一緒にいるのかってな」

 例に倣うようにして、遠回しな言動で返す。
 “少佐”は、なるほど、と一言口にし、

「私にもまた、彼とは違うところで目論見があるんですよ。それはもしかしたら、君の邪魔になることかもしれない」
「邪魔、ね……オレはそうは思えないけどな」
「それはよかった。私としても、不要な敵は作りたくありませんので」

 言って“少佐”は、微かに笑った。
 あんな最悪な対面の直後に、微笑むことができる――なら、この仕事はまだやっていけるだろう。
 トラヴァスは再びの自信を獲得し、改めて“和服”に訊いた。

「彼に報告しますか?」
「やめとく」

 嘆息し、“和服”はナイフを仕舞った。

「一から十まであいつの思い通り、ってのも気に食わないからな」

 彼女の凶刃がリリアたち二人に届かなくなったことを、トラヴァスは幸運に思う。



【C-5/市街・ブティック/一日目・昼】

リリアーヌ・アイカシア・コラソン・ウィッティングトン・シュルツ@リリアとトレイズ】
[状態]:健康、深い深い哀しみ
[装備]:IMI ジェリコ941(16/16+1)
[道具]:なし
[思考・状況]
基本:がんばって生きる。憎しみや復讐に囚われるような生き方してる人を止める。
0:なんで……。
1:今は宗介の治療に専念。
2:トラヴァスの行動について考える。
3:トレイズが心配。トレイズと合流する。

【相良宗介@フルメタル・パニック!】
[状態]:気絶、頭部出血、全身各所に火傷及び擦り傷・打撲(他、骨や内臓にも損傷の可能性あり)
[装備]:サバイバルナイフ
[道具]:デイパック、支給品一式(確認済みランダム支給品0~2個所持)、予備マガジン×4
[思考・状況]
0:…………(気絶中)。
1:リリアの傍に居る。
2:かなめとテッサとの合流。
3:マオの仇をとる?


 ◇ ◇ ◇


 ――そして舞台はまた、ここに。

 太陽は昇れど、店員や客による賑わいが蘇ることはない、無人のデパート。
 その階層中ほど、婦人服売り場の一角に、白い長衣を着た男性が浮いている。
 なにに吊らされるでもなく宙を舞う姿は、“紅世の王”たる彼の、力の一端にすぎない。

「手袋の上に指輪、というのもまた妙ではあるが……これはなかなか、上等な品のようだ」

 宙に浮く男性、“狩人”フリアグネの手には、純白の手袋が。
 純白の手袋に包まれた十本の指には、十個の指輪が。
 十個の指輪を嵌める手には、薄い白の炎が。

 力が指輪に伝わり、連鎖は炎を生んで、炎上、発現する。
 フリアグネはおもむろに、両の掌を交差させるように振り払った。
 掌に灯っていた薄い白の炎が散り、十の指より十の指輪が抜け落ちる。
 指輪に嵌められた宝石の奥で、薄い白の炎が宿り、それぞれ宙を駆け回った。
 フリアグネの両腕が指揮棒のように動作し、それに呼応するように、指輪も踊る。

「――飛べ」

 不意の号令に、指輪が即座の反応を見せた。
 ゆったりと宙を舞っていた十個のそれは、途端に弾丸の性質を持ち、売り場に佇むマネキンの群れを襲った。
 夏物の新作衣装がモデルごと、薄い白の炎を纏う弾丸に焼かれ、貫かれ、粉砕される。
 十ある内の一つは時折、小規模な爆発を起こし、マネキンを完膚なきまでに破壊する。

「――戻れ」

 フリアグネが指示すると、十の指輪は帰省本能に促されるように、彼の指へと戻っていった。
 マネキンを派手に粉砕したもの、爆発を起こしたもの、どれも指輪自体に損傷は見当たらない。
 攻撃力は込める“存在の力”しだいだが、使い勝手と耐久力は申し分ない。
 手持ちの武器は近接戦闘用の『吸血鬼(ブルートザオガー)』のみ。
 これはこれで強力な宝具だが、その特性ゆえ、なかなかに融通が利かない武器でもある。
 新たに入手した指輪が飛び道具であるという利点は大きく、コレクターとして歓喜を得るには十分だった。

 十個で一式のその指輪――名称は『コルデー』。
 自在法よりも宝具を活用した戦いを好むフリアグネとしては、願ってもない献上品と言えた。

「ご苦労だったね、“少佐”。“和服”も。『ダンスパーティー』は役に立ったかな?」
「ええ。フリアグネ様のご説明どおりの力を発揮してくれました」
「うふふ……“和服”には感謝しないといけないね。おかげで、“粗悪品”にも使い道が見えた」

 床に降り立ち、トラヴァス“少佐”とそんなやり取りを交わすフリアグネ。
 婦人服売り場のカウンターには“和服”が座っており、手の平の容器からスプーンでなにかを口に運んでいた。

「“和服”はなにを食べているんだい?」
「アイスクリームのようです。『コルデー』を持っていた少年の荷物に紛れていまして」
「ふむ。そういえば、人の世ではそろそろ食事の時間か。“少佐”、君も今の内に済ませておくといい」
「では、お言葉に甘えて。フリアグネ様は、食事は取られないのですか?」
「私は食には執着しないほうでね。“紅世の徒”やフレイムヘイズの中には、そういった楽しみを持つ者もいるが」

 トラヴァスは、デパートの食品売り場から拝借した携帯食料を昼食として取り、小休止。
 フリアグネもまた、新たに手に入れた二つの宝具――コレクションを眺めながら、悦に浸っていた。
 “和服”は、トラヴァスが口止め料として渡したアイスクリームを黙々と食べている。
 時計を見ると、次の放送が近かった。

 ――『粗悪品共の舞踏会』、再演。

 今回の奇怪な事件もまた、すべては“狩人”フリアグネの暗躍によるものだった。
 しかし、一度は利用価値なしとして戦術に組み込まずにおいた粗悪品――“燐子”を、なぜ今になって再利用などしたのか。
 発端は、“和服”が所持していたハンドベル型の宝具、『ダンスパーティー』の存在をフリアグネが知ったことによる。

 宝具『ダンスパーティー』。これはフリアグネの説明によれば、“燐子”を爆発させる道具らしい。
 もともとは、敵の“燐子”を問答無用で潰すフレイムヘイズ向きの宝具なのだが、
 “燐子”の精製を得意とするフリアグネは、自らが生み出した駒を爆弾に変えることで活用していたようだ。
 爆発自体も、“燐子”に込められた“存在の力”を起爆剤とするため、他の宝具に比べても扱いは容易い。
 特性さえ知っていれば、“存在の力”を扱えぬ“少佐”にだって使えるだろう――とは、フリアグネの言である。

 その発言でトラヴァスは、『ダンスパーティー』に興味を持ってしまった。正しくは、興味を持った振りをした。
 フリアグネがこれを手にするということは、無尽蔵の爆弾を得るも同様。それは好ましくない展開だ。
 まずはその性能のほどを熟知し、対策を練らねばならない。と、そんな判断をあのときは下した。

 それが、不幸の始まりであり、リリアとの再会の引き金ともなったのかもしれない。
 フリアグネは『ダンスパーティー』と交換ということで、支給品の一つであるナイフを、“和服”に手渡した。
 トラヴァスはフリアグネから『ダンスパーティー』を預かり、これを試験運用してみることにした。
 『粗悪品共の舞踏会』のときと同様、デパートを一時的な拠点とし、トラヴァスが現地に赴くという形で。

 これには“燐子”に関心を抱いたらしい“和服”が同行。
 言い出したのは“和服”だが、フリアグネの側から見れば、トラヴァスの監視役としても機能したことだろう。
 実際、彼女の目があったせいで“仕事”がやりづらかった。
 仮に彼女がいなければ、『ダンスパーティー』は動作不良を起こし、“燐子”はまたもや敗北――という結末にもできた。

 トラヴァスの仕事は、フリアグネの行動を影ながらコントロールし、被害を最小限に抑えることである。
 あくまでも最小限が狙いであり、それを完全な“ゼロ”に抑えられるほど、トラヴァスは己を過信してはいない。
 “和服”と共に赴く、『ダンスパーティー』の試験運用。今回ばかりは、幾らかの犠牲もやむなしか、と覚悟していた。
 そうして出会ってしまったのが、よりにもよってリリアなのである。

 トラヴァスが愛すべき人。命に代えても守りたい大切な存在。それが、アリソンが残してくれたリリア・シュルツだった。
 本来なら、彼女を保護し命がけで守り抜くことこそが父親としての本懐なのだろうが、今のトラヴァスにはそれもできない。
 汚い仕事は依然継続中であり、フリアグネを攻略する目処は“まだ”立っていないから。
 主催者側からのアプローチも、“まだ”期待できる段階ではないから。
 リリアを思えば思うほど、フリアグネ一派の“少佐”という立ち位置は、“まだ”崩すわけにはいかないのだから。
 ……この“まだ”が早い内に解消されることこそ、トラヴァスが抱く“二番目”の願いだった。

 運もある程度は味方し、フリアグネの実質的な殺害数はゼロに抑えられている。
 だからといって仕事が上手くいっているかと言えば、トラヴァスは苦い顔を浮かべる他ない。
 被害は食い止められているが、フリアグネは着実にその力を増しつつある。
 新たに加わった“和服”のこともあるため、今後の仕事はもっとやりづらくなるだろう。

 今回の一件で、“和服”は“少佐”のことをどう思っただろうか。
 彼女は、トラヴァスがリリアたちを襲うことを躊躇ったこと、トドメを刺さなかったことを分析し、あえて沈黙している。
 行動だけで背徳者と見なされてもおかしくはないが、彼女も彼女で腹に一物を抱えている人間だ。
 アイスクリーム六個で口止めすることには成功したが、今後フリアグネに情報を漏らさないとも限らない。
 あの洋服店内でのやり取りが外に漏れていたとするなら、トラヴァスの目的にも、気づいてはいるのかもしれない。

 フリアグネ自身も、今回の一件を訝っている様子がある。
 『コルデー』の所持者は、『ダンスパーティー』による“燐子”の爆発に巻き込まれ死亡した――。
 そう報告してはみたが、はたしてどこまで信じてくれただろうか。
 彼は聡明なる“紅世の王”だ。トラヴァスの報告を、なんの疑いも持たず信用するなどありえはしない。
 だからこそ最低限、献上品で機嫌を取り、信用度の底上げを図る。
 結果フリアグネの戦力が増したとしても、この立ち位置は危うくするわけにはいかない。
 せいぜいがボロを出さないよう、非情に徹するしか――結局は、それくらいしかできないのだった。

 リリアと対峙してしまった痛みを癒す術は、ここにはない。
 口に運ぶ固形の携帯食料はパサパサしていた、味気がなかった。
 妻と、娘と、王子様とで囲んだ食卓が、恋しくなる――わけにはいかない。

 簡素な食事を終え、トラヴァスは胸元のポケットから一枚の封書を取り出す。
 それは、リリアの荷物に紛れていた手紙。アリソンからリリアに宛てた、遺書だった。

 リリアはきっと、これを読んだのだろう。読んでなお、母の死を受け止め、この場を生きようとしていた。
 手紙の内容が直筆なところを見ると、もしかしたらじかに会ってもいたのかもしれない。
 辛かっただろうに、苦しかっただろうに、たくさん悲しんだろうに。
 トラヴァスは、リリアのそんな罅割れた心を砕いてしまったのだ。
 なんて、

「……なんて、酷い」

 フリアグネにも、“和服”にも聞こえないくらい小さな声で、トラヴァスは自嘲した。
 同時に、願う。誰に向けてでもなく、ただの父親としての願いを、虚空に流す。

 王子様――どうか、名ばかりの英雄に代わり、リリアを守ってあげてください。

「さて」

 トラヴァスが食事を終え、“和服”もアイスを食べ終えたところで、フリアグネが号令を出す。
 彼の周りには、婦人服売り場のマネキン人形――否、爆弾が計二十体、多種多様な衣服を着こなし直立している。
 込める“存在の力”は最小に押さえ、『ダンスパーティー』で爆破することを前提に量産した“燐子”たち。
 フリアグネはこれらを伴い、再びの戦場へと赴く。

「フリアグネ様。さすがにその数での大群列挙はいかがなものかと」
「うん? ああ、心配ないよ“少佐”。彼女たちには、ステージに上るときがくるまでこの中に入ってもらう」
「……まるで、悪趣味なお人形遊びだな」

 作られた“燐子”たちが片っ端から“狩人”のデイパックに入っていく。
 その光景を見ながら、“和服”は呆れたようにため息をつき、“少佐”はわずかな恐怖を感じた。

「正午の放送を聞き届けた後、再びこの地を発つ。うふふ……次なる狩りでは、どんな獲物に出会えるかな!」

 ならばその獲物は私が逃がしてみせましょう、と。
 トラヴァスは眼鏡の奥の瞳に、静かなる熱意を燃やすのだった。




【C-5/百貨店/一日目・昼(放送直前)】


【フリアグネ@灼眼のシャナ】
[状態]:健康
[装備]:吸血鬼(ブルートザオガー)@灼眼のシャナ、ダンスパーティー@灼眼のシャナ、コルデー@灼眼のシャナ
[道具]:デイパック、支給品一式×2、酒数本、狐の面@戯言シリーズ、マネキンの“燐子”×20@現地調達、不明支給品0~1個
[思考・状況]
基本:『愛しのマリアンヌ』のため、生き残りを目指す。
1:放送を聞き終えた後、百貨店より出立。再び狩りに赴く。
2:トラヴァスと両儀式の両名と共に参加者を減らす。しかし両者にも警戒。
3:他の参加者が(吸血鬼のような)未知の宝具を持っていたら蒐集したい。
4:他の「名簿で名前を伏せられた9人」の中に『愛しのマリアンヌ』がいるかどうか不安。いたらどうする?
[備考]
坂井悠二を攫う直前より参加。
※封絶使用不可能。
※“燐子”の精製は可能。が、意思総体を持たせることはできず、また個々の能力も本来に比べ大きく劣る。


【トラヴァス@リリアとトレイズ】
[状態]:健康
[装備]:ワルサーP38(6/8、消音機付き)、フルート@キノの旅(残弾6/9、消音器つき)
[道具]:デイパック、支給品一式、不明支給品0~1個、フルートの予備マガジン×3、アリソンの手紙
[思考・状況]
基本:殺し合いに乗っている風を装いつつ、殺し合いに乗っている者を減らしコントロールする。
1:当面、フリアグネと両儀式の両名と『同盟』を組んだフリをし、彼らの行動をさりげなくコントロールする。
2:殺し合いに乗っている者を見つけたら『同盟』に組み込むことを検討する。無理なようなら戦って倒す。
3:殺し合いに乗っていない者を見つけたら、上手く戦闘を避ける。最悪でもトドメは刺さないようにして去る。
4:ダメで元々だが、主催者側からの接触を待つ。あるいは、主催者側から送り込まれた者と接触する。
5:坂井悠二の動向に興味。できることならもう一度会ってみたい。


【両儀式@空の境界】
[状態]:健康
[装備]:エリミネイター・00@戯言シリーズ
[道具]:デイパック、支給品一式、ハーゲンダッツ(ストロベリー味)×5@空の境界
[思考・状況]
基本:ゲームを出来るだけ早く終了させ、"人類最悪"を殺す。
1:ひとまずフリアグネとトラヴァスについていく。不都合だと感じたら殺す。
[備考]
※参戦時期は「忘却録音」後、「殺人考察(後)」前です。


【ダンスパーティー@灼眼のシャナ】
両儀式に支給された。
“狩人”フリアグネのコレクションの一つ。ハンドベル型の宝具。
鳴らすことで“燐子”を爆破させることができる。爆発力は“燐子”が持つ“存在の力”の大きさに依存する。
上記以外にも特別な使い方があり、フリアグネはこれを用いて『都喰らい』の発動を目論んだ。

【エリミネイター・00@戯言シリーズ】
フリアグネに支給された。
澄百合学園の一年生、西条玉藻が愛用する得物の1つ。
見るからに派手で無骨なナイフ。

【コルデー@灼眼のシャナ】
リリアに支給された。
“駆掠の礫”カシャが所有していた指輪型の宝具。十個の指輪で一式だが、単体でも機能はする。
“存在の力”を込めることで指輪の宝石に使い手の炎の色が宿り、弾丸として飛ばしたり、爆発させたりすることが可能。
弾丸として飛ばされた指輪は使い手の意思によって自由に操作でき、爆発を起こしても指輪自体が損壊することはない。

【マネキンの“燐子”@現地調達】
フリアグネが百貨店の婦人服売り場で精製した“燐子”。精製した時点での数は計二十体。
込められた“存在の力”は極めて少なく、意思総体を持たなければ単体の戦闘力も低い。
基本的にはフリアグネの命令にのみ従う。


※フリアグネが持っていたデイパック(肩紐片方破損)は百貨店に破棄。リリアから奪ったデイパックを代用しています。


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時系列順に読む
前:群青――(Madonna) 次:CROSS†POINT――(交錯点)

前:リリアとソウスケ〈そして二人は、〉 リリアーヌ・アイカシア・コラソン・ウィッティングトン・シュルツ 次:ふたりの護りたいという気持ち、ふたりの不安。
前:リリアとソウスケ〈そして二人は、〉 相良宗介 次:ふたりの護りたいという気持ち、ふたりの不安。
前:BREAK IN フリアグネ 次:硫黄の炎に焼かれても
前:BREAK IN トラヴァス 次:硫黄の炎に焼かれても
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