大した事じゃない(後編) ◆CFbj666Xrw
「………………」
暗闇の中、少女は一人立っていた。
その耳には受話器が当てられている。受話器の向こうからは声がする。
「…………そう。すごいね」
その話に相槌を打つ。
受話器の向こうから聞こえてくるのは底抜けに明るく希望に満ちた声だった。
「…………そう、だね」
少女はただそれに合わせ、何事もなく振る舞い続ける。
明るい声が響いてくるのに、少女の様子は変わりない。
「――――――っ」
暖まる様子など何も無い。
部屋は暗く、訪れる冷え冷えとした夜気が全てを包みゆく。
「………………」
相槌を打っていた唇も動きを止めて。
少女はただただ聞いていた。
「………………」
受話器の向こうからは声がする。
明るく楽しい、暖かさに喜ぶ声がする。
「…………そう」
だから少女は相槌を打つ。
想いを見せる事無く言葉を返す。
「……そうだね。それはきっと……素晴らしい未来だよ……」
少女の想いは秘められる。
誰一人、その心を知る者など居はしない。
暗闇の中、少女は一人立っていた。
その耳には受話器が当てられている。受話器の向こうからは声がする。
「…………そう。すごいね」
その話に相槌を打つ。
受話器の向こうから聞こえてくるのは底抜けに明るく希望に満ちた声だった。
「…………そう、だね」
少女はただそれに合わせ、何事もなく振る舞い続ける。
明るい声が響いてくるのに、少女の様子は変わりない。
「――――――っ」
暖まる様子など何も無い。
部屋は暗く、訪れる冷え冷えとした夜気が全てを包みゆく。
「………………」
相槌を打っていた唇も動きを止めて。
少女はただただ聞いていた。
「………………」
受話器の向こうからは声がする。
明るく楽しい、暖かさに喜ぶ声がする。
「…………そう」
だから少女は相槌を打つ。
想いを見せる事無く言葉を返す。
「……そうだね。それはきっと……素晴らしい未来だよ……」
少女の想いは秘められる。
誰一人、その心を知る者など居はしない。
時間はこれより少し遡る。
* * *
「……それじゃ小太郎は、友人の墓を作ってるから遅れてるのね?」
「多分。わたしは小太郎君がどうするか決める前に別れたから、実際にどうしたかは知らない。
だけどもうここに寄る時間は無いと思う」
なのははシャナと双葉に学校で有った簡単な概略を説明していた。
といっても自分がそこで何が有ったかまでは詳しく話さず、要点だけを掻い摘む。
小太郎と森で会い、神社を経て学校に向かった事。小太郎からその時点のシャナ達の情報は聞いている事。
学校で小太郎の親友ネギの死が判明した事。
まだ居るかは判らないが学校に梨花、リンク、小狼という反ジェダ派の集団が生き残っている事。
それ以外も居たが殺し合いに乗った者との戦いの結果として死んだ事。
コナンは明らかに殺し合いを否定していて、ネギもそのようだった事。
ただしリリスは確かにこの島に居て、コナンとネギを僕と言った事を付け加える。
「ごめんね、詳しくは聞いてないんだ。わたしはあまり長くそこに居られなかったから」
「そう。まあいいわ」
与えられた思案の材料にシャナは考え込んだ。
ネギとコナンが殺し合いに乗っていないのにリリスがそう言っているという事は、どちらかが嘘なのか。
当人が死んでしまった以上、彼らと一緒に居た者達に訊くしかない。
もっとも死んでしまった者については、気の毒だと思うがシャナには関係のない話だった。
問題はそれが紫穂の話の真偽に繋がる事だ。
(紫穂が起きたら問いつめてみようかな)
その思考をさておいて、シャナは話の続きを促す。なのはは頷き、言った。
「ここまでは小太郎君からの伝言だと思って。
ここから……参加者について情報を交換したいんだけど良いかな」
「小太郎から既に聞いてるんでしょう。
その後で私が出会ったのは、リルルとトリエラという女。それからのび太という男の子よ」
シャナは語る。
のび太という少年は泣き虫で心が弱くこの殺し合いに乗っていたが、心から反省して改心した事。
リルルとトリエラという二人の少女は……シャナの敵である事。
「敵? 殺し合いに乗っているの?」
「さあね。でも奴らは私の敵で、危険よ。おまえが会った時は交渉も可能かもしれないわね」
なのははそれ以上は追求せず、ただその三人の容姿などを聞いた。
それから再び、なのはが話しだした。
「多分。わたしは小太郎君がどうするか決める前に別れたから、実際にどうしたかは知らない。
だけどもうここに寄る時間は無いと思う」
なのははシャナと双葉に学校で有った簡単な概略を説明していた。
といっても自分がそこで何が有ったかまでは詳しく話さず、要点だけを掻い摘む。
小太郎と森で会い、神社を経て学校に向かった事。小太郎からその時点のシャナ達の情報は聞いている事。
学校で小太郎の親友ネギの死が判明した事。
まだ居るかは判らないが学校に梨花、リンク、小狼という反ジェダ派の集団が生き残っている事。
それ以外も居たが殺し合いに乗った者との戦いの結果として死んだ事。
コナンは明らかに殺し合いを否定していて、ネギもそのようだった事。
ただしリリスは確かにこの島に居て、コナンとネギを僕と言った事を付け加える。
「ごめんね、詳しくは聞いてないんだ。わたしはあまり長くそこに居られなかったから」
「そう。まあいいわ」
与えられた思案の材料にシャナは考え込んだ。
ネギとコナンが殺し合いに乗っていないのにリリスがそう言っているという事は、どちらかが嘘なのか。
当人が死んでしまった以上、彼らと一緒に居た者達に訊くしかない。
もっとも死んでしまった者については、気の毒だと思うがシャナには関係のない話だった。
問題はそれが紫穂の話の真偽に繋がる事だ。
(紫穂が起きたら問いつめてみようかな)
その思考をさておいて、シャナは話の続きを促す。なのはは頷き、言った。
「ここまでは小太郎君からの伝言だと思って。
ここから……参加者について情報を交換したいんだけど良いかな」
「小太郎から既に聞いてるんでしょう。
その後で私が出会ったのは、リルルとトリエラという女。それからのび太という男の子よ」
シャナは語る。
のび太という少年は泣き虫で心が弱くこの殺し合いに乗っていたが、心から反省して改心した事。
リルルとトリエラという二人の少女は……シャナの敵である事。
「敵? 殺し合いに乗っているの?」
「さあね。でも奴らは私の敵で、危険よ。おまえが会った時は交渉も可能かもしれないわね」
なのははそれ以上は追求せず、ただその三人の容姿などを聞いた。
それから再び、なのはが話しだした。
「それじゃまず……南に行くなら、アリサちゃんを保護してもらえないかな」
「誰、それは」
「アリサ・バニングス。わたしの……お友達。
ここから真南に森から出て、そこから少し西にある森を焼き払った所に……多分、まだ居るから。
とても落ち込んで混乱していると思うから、守ってあげてほしいの」
双葉は、続けてアリサの特徴について話すなのはの瞳に、一欠片だけ光を見た気がした。
見間違いかと目をこすった。
――なのはの目は相変わらず黒く虚無色に澱んでいる。
その目を見て双葉の胸に再び怒りの火が燻った。
「待てよ。なんでそいつを放ってきたんだ。友達なんだろ?」
「……わたしは、アリサちゃんと一緒に居られないから。だからただ守ってほしいの」
「一緒に居られないってなんだよそれ! ちょっとは説明しろよ!!」
なのははその言葉をただじっと聞いている。答えは、無い。
「答えろよ、高町なのは!」
憤る双葉をシャナの手が制止した。静かに問う。
「それはただのお願い?」
なのはは首を振った。
「代わりにコキュートスが今どこに有るかを教えるよ」
シャナは息を呑む。そして聞いた。
「教えなさい、何処?」
なのははそれを交渉の成立とみなして、答えた。
山小屋から島の中央に向かっているニケ達の事と、インデックスの持つコキュートスの事を。
小太郎の仲間であるエヴァもそこに居ると付け加えた。
「これでお話はおしまい」
なのはは話を締めくくると。
「わたしは力を回復させるために夜の間は隠れて休むつもり。だから……また明日」
そう言ってあっさりと、別れた。
「誰、それは」
「アリサ・バニングス。わたしの……お友達。
ここから真南に森から出て、そこから少し西にある森を焼き払った所に……多分、まだ居るから。
とても落ち込んで混乱していると思うから、守ってあげてほしいの」
双葉は、続けてアリサの特徴について話すなのはの瞳に、一欠片だけ光を見た気がした。
見間違いかと目をこすった。
――なのはの目は相変わらず黒く虚無色に澱んでいる。
その目を見て双葉の胸に再び怒りの火が燻った。
「待てよ。なんでそいつを放ってきたんだ。友達なんだろ?」
「……わたしは、アリサちゃんと一緒に居られないから。だからただ守ってほしいの」
「一緒に居られないってなんだよそれ! ちょっとは説明しろよ!!」
なのははその言葉をただじっと聞いている。答えは、無い。
「答えろよ、高町なのは!」
憤る双葉をシャナの手が制止した。静かに問う。
「それはただのお願い?」
なのはは首を振った。
「代わりにコキュートスが今どこに有るかを教えるよ」
シャナは息を呑む。そして聞いた。
「教えなさい、何処?」
なのははそれを交渉の成立とみなして、答えた。
山小屋から島の中央に向かっているニケ達の事と、インデックスの持つコキュートスの事を。
小太郎の仲間であるエヴァもそこに居ると付け加えた。
「これでお話はおしまい」
なのはは話を締めくくると。
「わたしは力を回復させるために夜の間は隠れて休むつもり。だから……また明日」
そう言ってあっさりと、別れた。
* * *
「……冷静なだけかと思ったけど、意外と感情的な奴だったわね」
なのはが立ち去り、移動の支度をするシャナはぽつりとそんな事を漏らしていた。
「感情的? あれのどこがだよ、機械よりも冷たかったじゃねーか」
その言葉に双葉は苛立つ。双葉から見たなのはの印象は『ひどい奴』だった。
人の心をなんとも思わないひどい奴だ。
「冷たいし、乱暴だし、それに傷付いた友達を放って来るなんてぜったい許さねえ」
「私達にその友達を助けてくれと言ったのもあいつよ」
「そりゃそうだけど……放ってきたのもあいつなんだろ」
どんな理由があったって、傷付いた友達を放っておくなんてやって良いはずがない。
それもこんな危険な島で。
「それがおかしいのよ」
しかしシャナは指摘する。
「あいつは冷静に、そして合理的に物を考えているわ。観察力も判断力も高い」
それは言うまでもない事だ。
紫穂とシャナの戦いの直後を見て即座にシャナに殺意が無い事を見抜き、
更に事前情報とは容姿が違う上に初対面の相手が誰かを、経緯や状況から即座に推測した。
そして紫穂を操ったと見られる危険な武器を、ある程度利用できると判断し提案した。
力を消耗したから夜中は隠れて回復するという方針にも冷静さが垣間見える。
「挙げ句に死ぬのと比べれば心が壊れる事なんて大した事じゃない、とまで言い切ったわ」
「それがどうしたんだよ」
噛み付く双葉に、シャナは言った。
「それじゃどうして、あいつはその友達を置いてきたのよ」
「…………え?」
双葉はぽかんと口を開けた。
確かになのはがした事はひどい事だろう。こんな島で傷心の友達を放って行くなんて最低だ。
だから双葉は怒った。
それを冷徹な思考の末に出された結論だと思い、許せないと罵った。だけど。
「本当に冷静なら、無理にでも一緒に居ればいいでしょう?
相手の都合なんて考えず、心がどうなろうと関係無く、命だけを守ればいい。
足手まといになるからとしても、どこかに隠れて休むなら連れて行った方がマシね。
最悪ばらばらに逃げれば囮にはなるわけだし。
逆に心底完璧に友達を見捨ててどうでも良いと思っているなら、私達に助けを求めたりしない」
なのはのアリサに対する答えは、冷徹で合理的な思考ではない。
「筋が通ってないのよ、あいつの行動は」
なのはが立ち去り、移動の支度をするシャナはぽつりとそんな事を漏らしていた。
「感情的? あれのどこがだよ、機械よりも冷たかったじゃねーか」
その言葉に双葉は苛立つ。双葉から見たなのはの印象は『ひどい奴』だった。
人の心をなんとも思わないひどい奴だ。
「冷たいし、乱暴だし、それに傷付いた友達を放って来るなんてぜったい許さねえ」
「私達にその友達を助けてくれと言ったのもあいつよ」
「そりゃそうだけど……放ってきたのもあいつなんだろ」
どんな理由があったって、傷付いた友達を放っておくなんてやって良いはずがない。
それもこんな危険な島で。
「それがおかしいのよ」
しかしシャナは指摘する。
「あいつは冷静に、そして合理的に物を考えているわ。観察力も判断力も高い」
それは言うまでもない事だ。
紫穂とシャナの戦いの直後を見て即座にシャナに殺意が無い事を見抜き、
更に事前情報とは容姿が違う上に初対面の相手が誰かを、経緯や状況から即座に推測した。
そして紫穂を操ったと見られる危険な武器を、ある程度利用できると判断し提案した。
力を消耗したから夜中は隠れて回復するという方針にも冷静さが垣間見える。
「挙げ句に死ぬのと比べれば心が壊れる事なんて大した事じゃない、とまで言い切ったわ」
「それがどうしたんだよ」
噛み付く双葉に、シャナは言った。
「それじゃどうして、あいつはその友達を置いてきたのよ」
「…………え?」
双葉はぽかんと口を開けた。
確かになのはがした事はひどい事だろう。こんな島で傷心の友達を放って行くなんて最低だ。
だから双葉は怒った。
それを冷徹な思考の末に出された結論だと思い、許せないと罵った。だけど。
「本当に冷静なら、無理にでも一緒に居ればいいでしょう?
相手の都合なんて考えず、心がどうなろうと関係無く、命だけを守ればいい。
足手まといになるからとしても、どこかに隠れて休むなら連れて行った方がマシね。
最悪ばらばらに逃げれば囮にはなるわけだし。
逆に心底完璧に友達を見捨ててどうでも良いと思っているなら、私達に助けを求めたりしない」
なのはのアリサに対する答えは、冷徹で合理的な思考ではない。
「筋が通ってないのよ、あいつの行動は」
そしてシャナは知っている。
合理的で冷静に、ただ機械のように忠実に使命を果たし続けるはずだった自分を狂わせたもの。
それは言葉にして認めたくはないが――恋愛感情であり。広義の言葉で言うならば感情全般だった。
強い感情は理性を狂わせる。
それはつまり逆に言うと、こういう事だ。
「行動に矛盾が有るのは感情で動いた証よ」
感情のみが合理的かつ理性的な思考に矛盾する判断を差し挟む。
「あいつがどういう理由で友達を置いてきたのかまでは判らないわ。
でもあいつはまだ、たまに理性より感情を優先して行動する位には感情的なのよ」
シャナははそれ以上踏み込まず、素っ気ない言葉で話を終えた。
合理的で冷静に、ただ機械のように忠実に使命を果たし続けるはずだった自分を狂わせたもの。
それは言葉にして認めたくはないが――恋愛感情であり。広義の言葉で言うならば感情全般だった。
強い感情は理性を狂わせる。
それはつまり逆に言うと、こういう事だ。
「行動に矛盾が有るのは感情で動いた証よ」
感情のみが合理的かつ理性的な思考に矛盾する判断を差し挟む。
「あいつがどういう理由で友達を置いてきたのかまでは判らないわ。
でもあいつはまだ、たまに理性より感情を優先して行動する位には感情的なのよ」
シャナははそれ以上踏み込まず、素っ気ない言葉で話を終えた。
そして双葉は思い出した。
つい先程、双葉となのはが初めて出会った廃病院のお手洗いで有った事を。
なのはは洗っていた。手なんて見えもしない暗闇の中で、ただただ手を洗い続けていた。
手が擦り切れ血が吹き出ても手を洗い続けていたのに。
双葉はそれを見て、怖いと思った。理屈に合わない、全く理解出来ない行動に恐怖を覚えた。
だけどあれが感情から出た行動だというのなら、それはどんな感情から出たのだろう。
あんなに冷静で合理的な判断をする人間があそこまで筋の通らない行動をするなんて、
一体どれほど痛切な感情が噴き出していたのだろう。
つい先程、双葉となのはが初めて出会った廃病院のお手洗いで有った事を。
なのはは洗っていた。手なんて見えもしない暗闇の中で、ただただ手を洗い続けていた。
手が擦り切れ血が吹き出ても手を洗い続けていたのに。
双葉はそれを見て、怖いと思った。理屈に合わない、全く理解出来ない行動に恐怖を覚えた。
だけどあれが感情から出た行動だというのなら、それはどんな感情から出たのだろう。
あんなに冷静で合理的な判断をする人間があそこまで筋の通らない行動をするなんて、
一体どれほど痛切な感情が噴き出していたのだろう。
「……謝らなきゃ」
だから自然とその言葉が口をついた。
「高町なのはに?」
「そうだよ。あたし、あいつにひどい事を言ったから……謝らなきゃいけない。
それから一発か二発くらい殴らせて……謝らないと!」
「あいつが生存の為なら心が壊れるなんて『大した事じゃない』と言ったのは変わりないのよ?
おまえはその事に怒っていたんでしょう」
「それでも! ……あたしは誤解して言い過ぎてたから、その分は謝るんだ」
「無理ね」
だがシャナはそれを冷たく否定する。
「時々筋が通らない判断をしてるといっても、あいつは概ね合理的に行動しているのよ。
隠れる場所も理性に基づき判断し、捜しても姿を見せないはずよ。おまえではもう見つからない」
「でも!」
それでも諦めきれない双葉に対して、シャナは軽く双葉の腹を叩いた。
「痛ぅ!?」
「大体、おまえは怪我してる事を忘れたの? なのはにも手加減して止められたのに。
ちょっと走る位なら大丈夫みたいだけど、動きすぎると傷が開く。
一人で行動なんて出来るわけないじゃない」
思い返す。なのはがしたのは髪をひっぱるのと、力を調節してシャナに向けて投げるだけ。
小太郎から双葉の怪我の事も聞いていたのだろうか。
どちらも乱暴には違いないが、傷に障る事の無い処置だった。
シャナは続けざまに状況を指摘する。
「大体、紫穂の事はどうするのよ。アリサっていう子は?」
「………………」
紫穂は置いていけない。高町なのはの友達だというアリサを捜さないといけない。
「言っておくけど、私は十八時のリリスを諦めたわけじゃないわ。行くつもりよ。
その途中で時間の許す範囲、アリサを捜して保護するだけ。
……コキュートスも回収に迎えるなら行きたいけど、これだって時間が無ければ後回しよ」
それはつまり、シャナはなのは捜しなど付き合うつもりはない。
「足手まといを何人も抱え込む余裕なんて無いわ。
少なくとも戦いになったら、意識の無い紫穂を守ってなんていられない。
おまえが付いてくるにせよなんにせよ、紫穂の面倒はおまえが見るのよ
怪我人とはいえ、私は双葉に足手まといと避難する位は期待してるんだから」
シャナの言葉は双葉を完全に封じ込んだ。
双葉は、なのはを追えなかった。
「判ったわね」
双葉は悔しげに頷いた。
だから自然とその言葉が口をついた。
「高町なのはに?」
「そうだよ。あたし、あいつにひどい事を言ったから……謝らなきゃいけない。
それから一発か二発くらい殴らせて……謝らないと!」
「あいつが生存の為なら心が壊れるなんて『大した事じゃない』と言ったのは変わりないのよ?
おまえはその事に怒っていたんでしょう」
「それでも! ……あたしは誤解して言い過ぎてたから、その分は謝るんだ」
「無理ね」
だがシャナはそれを冷たく否定する。
「時々筋が通らない判断をしてるといっても、あいつは概ね合理的に行動しているのよ。
隠れる場所も理性に基づき判断し、捜しても姿を見せないはずよ。おまえではもう見つからない」
「でも!」
それでも諦めきれない双葉に対して、シャナは軽く双葉の腹を叩いた。
「痛ぅ!?」
「大体、おまえは怪我してる事を忘れたの? なのはにも手加減して止められたのに。
ちょっと走る位なら大丈夫みたいだけど、動きすぎると傷が開く。
一人で行動なんて出来るわけないじゃない」
思い返す。なのはがしたのは髪をひっぱるのと、力を調節してシャナに向けて投げるだけ。
小太郎から双葉の怪我の事も聞いていたのだろうか。
どちらも乱暴には違いないが、傷に障る事の無い処置だった。
シャナは続けざまに状況を指摘する。
「大体、紫穂の事はどうするのよ。アリサっていう子は?」
「………………」
紫穂は置いていけない。高町なのはの友達だというアリサを捜さないといけない。
「言っておくけど、私は十八時のリリスを諦めたわけじゃないわ。行くつもりよ。
その途中で時間の許す範囲、アリサを捜して保護するだけ。
……コキュートスも回収に迎えるなら行きたいけど、これだって時間が無ければ後回しよ」
それはつまり、シャナはなのは捜しなど付き合うつもりはない。
「足手まといを何人も抱え込む余裕なんて無いわ。
少なくとも戦いになったら、意識の無い紫穂を守ってなんていられない。
おまえが付いてくるにせよなんにせよ、紫穂の面倒はおまえが見るのよ
怪我人とはいえ、私は双葉に足手まといと避難する位は期待してるんだから」
シャナの言葉は双葉を完全に封じ込んだ。
双葉は、なのはを追えなかった。
「判ったわね」
双葉は悔しげに頷いた。
* * *
場面は移る。
シャナ達やなのはが居る島北西の森から、遥か東。
G-5からH-5に跨るシェルターの一室で、一人の少年が作業に耽っていた。
トマだ。
焼け落ちた参號夷腕坊の傀儡糸を修理するのがその目的である。
トマが代用品として選んだのはカーボンファイバーだった。
硬質なこの繊維は主にプラスチックを強化する為に使われる。
その強度、摩擦係数の小ささ、対摩耗性の高さは傀儡糸の代用として打って付けだ。
ただ一つ欠点が有ったとすれば、それは加工がしにくい事だった。
「ふう。まさか布から糸にばらすのにこれほど苦労するとは思いませんでしたよ」
傀儡糸を修理するには当然布状から糸状にばらす必要がある。
しかしカーボンファイバーは極めて強固で、生半可な刃物など通さないのだ。
それはそれで有用な特性なので防具を作るのに役立つと思い別に残したが、
本命の糸状への加工には随分と手こずっていた。
なんとか熱に弱い事に気づかなければ、この素材を傀儡糸に使うのは諦めていたかもしれない。
シャナ達やなのはが居る島北西の森から、遥か東。
G-5からH-5に跨るシェルターの一室で、一人の少年が作業に耽っていた。
トマだ。
焼け落ちた参號夷腕坊の傀儡糸を修理するのがその目的である。
トマが代用品として選んだのはカーボンファイバーだった。
硬質なこの繊維は主にプラスチックを強化する為に使われる。
その強度、摩擦係数の小ささ、対摩耗性の高さは傀儡糸の代用として打って付けだ。
ただ一つ欠点が有ったとすれば、それは加工がしにくい事だった。
「ふう。まさか布から糸にばらすのにこれほど苦労するとは思いませんでしたよ」
傀儡糸を修理するには当然布状から糸状にばらす必要がある。
しかしカーボンファイバーは極めて強固で、生半可な刃物など通さないのだ。
それはそれで有用な特性なので防具を作るのに役立つと思い別に残したが、
本命の糸状への加工には随分と手こずっていた。
なんとか熱に弱い事に気づかなければ、この素材を傀儡糸に使うのは諦めていたかもしれない。
「でもこれでようやく修理を始められそうです」
トマはふぅと一息を吐いて伸びをすると。
「その前に少し気分転換でもしますか」
気分転換にシェルターを探検してみる事にした。
気になるのはあのずらりと部屋が並んだ通路だ。あそこにはきっと何かがあるに違いない。
何時戻るか判らないはやてやアリサを待たずに調べておいたって良いだろう。
「…………モンスターが居たりなんて、しませんよね」
トマは麻酔銃を右手に握ると、おっかなびっくりシェルターの探険を始めた。
トマはふぅと一息を吐いて伸びをすると。
「その前に少し気分転換でもしますか」
気分転換にシェルターを探検してみる事にした。
気になるのはあのずらりと部屋が並んだ通路だ。あそこにはきっと何かがあるに違いない。
何時戻るか判らないはやてやアリサを待たずに調べておいたって良いだろう。
「…………モンスターが居たりなんて、しませんよね」
トマは麻酔銃を右手に握ると、おっかなびっくりシェルターの探険を始めた。
* * *
彼女はそっと息を潜めていた。
機械の隙間に身を隠し、ゆっくりと傷の再生を待っている。
(本当に散々だったわ)
何時間か前、のび太に散々追いかけ回された白レンだ。
あれからしばらくして忌々しい子豚化は解けたものの、派手に動く気にはなれなかった。
そもそも半日近く前に受けたダメージがまだ治癒しきっていないのだ。
仮にも人でなき者として情けない体たらくである。
(イシドロを使い捨てて逃げ延びたのはいいけど、その状態で追いかけっこなんてつくづく運が無いわ。
殺害数も増やせなかったし、傷を治すならご褒美を狙うよりもう休んでた方がマシかしら。
……もう、どうしてこう上手くいかないのよ)
ガリガリと木の板(近くの森から持ち込み)で爪を研いで苛立ちを発散する。
白レンは今、白猫の姿を取っていた。人が入れないような狭い隙間に隠れるためだ。
もうすぐ夜が来る。多くの人間達が眠りに就くであろう夜の闇がやってくる。
子供達が夢の中に無防備な心をさらけ出し眠る時間。
それは夢魔である白レンにとって最も有用な時間と言って良い。
相手が自発的に眠っているなら、エーテライトを使っても使わずとも夢に干渉する事は容易いだろう。
上手くつけ込んでイシドロのような手駒を作る事が出来れば重畳。
たとえ失敗した所で、夢魔の力で夢に干渉している状勢なら殺害も容易のはずだ
それに備えて少しでも休み、体力を回復しておきたかった。
だから白レンは子豚化が解けた今も白猫姿で、森の奥の工場に隠れて体を休めている。
(子供達が寝静まる時間になったら、獲物を捜しに……)
じりりりりりん。
「ひゃ!?」
突然の音に思わず無様な声を上げた。
すぐにハッと冷静になり、物陰から周囲の様子を窺う。
じりりりりりん、じりりりりりんと音を立てているのは電話だった。
その電話は部屋の一部としてさり気なく、風景に調和して存在していた。
(……何よ、驚かせて)
腹立たしい気持ちと共に少し興味が湧いた。この電話は何処の誰から掛かってきたのだろう?
おそらく島の別の場所に居る誰かのはずだ。上手く話せば何かしら情報を聞き出せるかもしれない。
それにきっと、この機会は貴重だ。
電話は島中に点在しているのかも知れない。だが電話した時、相手が居る可能性はそう高くない筈だ。
丁度その時間、その建物の電話の近くに居なければならないのだから。
それ以外の時に電話を見つけても意味の無い物にしか思えまい。
(電話の向こうは何処の誰かしら)
白レンはゆっくりと鳴り響く電話機へ近づいていく。
……その背中に、影が差した。
機械の隙間に身を隠し、ゆっくりと傷の再生を待っている。
(本当に散々だったわ)
何時間か前、のび太に散々追いかけ回された白レンだ。
あれからしばらくして忌々しい子豚化は解けたものの、派手に動く気にはなれなかった。
そもそも半日近く前に受けたダメージがまだ治癒しきっていないのだ。
仮にも人でなき者として情けない体たらくである。
(イシドロを使い捨てて逃げ延びたのはいいけど、その状態で追いかけっこなんてつくづく運が無いわ。
殺害数も増やせなかったし、傷を治すならご褒美を狙うよりもう休んでた方がマシかしら。
……もう、どうしてこう上手くいかないのよ)
ガリガリと木の板(近くの森から持ち込み)で爪を研いで苛立ちを発散する。
白レンは今、白猫の姿を取っていた。人が入れないような狭い隙間に隠れるためだ。
もうすぐ夜が来る。多くの人間達が眠りに就くであろう夜の闇がやってくる。
子供達が夢の中に無防備な心をさらけ出し眠る時間。
それは夢魔である白レンにとって最も有用な時間と言って良い。
相手が自発的に眠っているなら、エーテライトを使っても使わずとも夢に干渉する事は容易いだろう。
上手くつけ込んでイシドロのような手駒を作る事が出来れば重畳。
たとえ失敗した所で、夢魔の力で夢に干渉している状勢なら殺害も容易のはずだ
それに備えて少しでも休み、体力を回復しておきたかった。
だから白レンは子豚化が解けた今も白猫姿で、森の奥の工場に隠れて体を休めている。
(子供達が寝静まる時間になったら、獲物を捜しに……)
じりりりりりん。
「ひゃ!?」
突然の音に思わず無様な声を上げた。
すぐにハッと冷静になり、物陰から周囲の様子を窺う。
じりりりりりん、じりりりりりんと音を立てているのは電話だった。
その電話は部屋の一部としてさり気なく、風景に調和して存在していた。
(……何よ、驚かせて)
腹立たしい気持ちと共に少し興味が湧いた。この電話は何処の誰から掛かってきたのだろう?
おそらく島の別の場所に居る誰かのはずだ。上手く話せば何かしら情報を聞き出せるかもしれない。
それにきっと、この機会は貴重だ。
電話は島中に点在しているのかも知れない。だが電話した時、相手が居る可能性はそう高くない筈だ。
丁度その時間、その建物の電話の近くに居なければならないのだから。
それ以外の時に電話を見つけても意味の無い物にしか思えまい。
(電話の向こうは何処の誰かしら)
白レンはゆっくりと鳴り響く電話機へ近づいていく。
……その背中に、影が差した。
* * *
「…………出ませんね」
トマは受話器を手に考え込んでいた。
予想通り、あの通路に並んでいた部屋の中には寝室以外の部屋が存在した。
幾つ目かの部屋を開けた所でトマが見たのは、たくさんの機械装置が設置された部屋だった。
そういうよく判らない道具が大好きなトマは、当然のように目を輝かせてそれを弄り始める。
しかし当然の如くその大半は見ただけで理解できる代物ではなかった。
その中で一つだけすぐに理解できたのは――通信装置。
トマの世界には、ミカカ草という電話のような機能を持つ不思議な草が有った。
通信装置はそれによく似ており、更に魔技師であるトマにはその使い方を大体理解できたのだ。
通信装置がボタン一つで島の各施設への直通回線を開ける親切設定だった事も幸いした。
「多分、使い方はこれで正しいと思うんですけど……」
だからといって必ずしも相手が出るとは限らない。
試してみたのは[A-3:ファクトリアルタウン]への直通回線だが、誰も居ないのだろうか。
トマはしばらく呼び出し音を聞いて待ち続け……がちゃりと、受話器を取る音がした。
「もしもし?」という声が受話器の向こうから聞こえる。
トマは思わず、ぱあっと笑顔を浮かべていた。
トマは受話器を手に考え込んでいた。
予想通り、あの通路に並んでいた部屋の中には寝室以外の部屋が存在した。
幾つ目かの部屋を開けた所でトマが見たのは、たくさんの機械装置が設置された部屋だった。
そういうよく判らない道具が大好きなトマは、当然のように目を輝かせてそれを弄り始める。
しかし当然の如くその大半は見ただけで理解できる代物ではなかった。
その中で一つだけすぐに理解できたのは――通信装置。
トマの世界には、ミカカ草という電話のような機能を持つ不思議な草が有った。
通信装置はそれによく似ており、更に魔技師であるトマにはその使い方を大体理解できたのだ。
通信装置がボタン一つで島の各施設への直通回線を開ける親切設定だった事も幸いした。
「多分、使い方はこれで正しいと思うんですけど……」
だからといって必ずしも相手が出るとは限らない。
試してみたのは[A-3:ファクトリアルタウン]への直通回線だが、誰も居ないのだろうか。
トマはしばらく呼び出し音を聞いて待ち続け……がちゃりと、受話器を取る音がした。
「もしもし?」という声が受話器の向こうから聞こえる。
トマは思わず、ぱあっと笑顔を浮かべていた。
「もしもし、そこはファクトリアルタウンですか? 僕はトマといいます」
(場所は……言わない方が良いですよね)
思わずシェルターという居場所まで即座に言い掛かって自省した。
電話の相手が何者かも判らないのだ、もっと慎重に対応した方が良い。そう思いながらも言葉が弾む。
「はい、トマといいます。ところであなたはどなたでしょう? ……“白”さん、ですか? はい、判りました」
なにせ情報が貴重なこの島で、会った事も無い相手と情報交換が出来るのだ。
トマにとってこれほどありがたい話は無い。
「それで“白”さん、情報交換をお願いできますか?」
だから慎重に慎重にと思いながらも、楽しげに言葉を交わす。
受話器の向こうの相手も同じ目的と同じ想いを抱いてくれるといいなと思いながら。
「僕の目的ですか? 僕の目的は仲間を集めて、この島を脱出する事です。
だから得たい情報は、この島を脱出するために必要なものですね」
トマは弾んだ声で情報交換を進めていった。
(場所は……言わない方が良いですよね)
思わずシェルターという居場所まで即座に言い掛かって自省した。
電話の相手が何者かも判らないのだ、もっと慎重に対応した方が良い。そう思いながらも言葉が弾む。
「はい、トマといいます。ところであなたはどなたでしょう? ……“白”さん、ですか? はい、判りました」
なにせ情報が貴重なこの島で、会った事も無い相手と情報交換が出来るのだ。
トマにとってこれほどありがたい話は無い。
「それで“白”さん、情報交換をお願いできますか?」
だから慎重に慎重にと思いながらも、楽しげに言葉を交わす。
受話器の向こうの相手も同じ目的と同じ想いを抱いてくれるといいなと思いながら。
「僕の目的ですか? 僕の目的は仲間を集めて、この島を脱出する事です。
だから得たい情報は、この島を脱出するために必要なものですね」
トマは弾んだ声で情報交換を進めていった。
* * *
白レンは人の姿に戻って電話の受話器を取ろうとした。
だがその直前に、耳がぴくんと立つ。物音を耳にしたのだ。
ゆっくりと後ろを振り返るとそこには、夕日を背に一人の少女が立っていた。
「にゃあ!?」
慌てて物陰に飛び込み姿を隠す。ごく普通の猫の鳴き真似おまけ付き。
(こいつ、いつの間にっ)
まだ多少の距離は有ったが、電話に気を取られた為に接近に気付くのが遅れて危ないところだった。
もう少し遅れれば人の姿に戻り電話を取るところを見られていただろう。
そうなれば猫のふりが出来ないのはもちろん、参加者として確実になる。下手をすれば襲われるかもしれない。
白レンはそれを嫌い、猫のフリをして隠れ続ける事にした。
少女はそんな白レンを目で追い隠れ場所を見つめていたが、しばらくしてゆっくり電話に近づく。
そして受話器を手に取って、言った。
「もしもし?」
すぐに返事がある。
『もしもし、そこはファクトリアルタウンですか? 僕はトマといいます』
「トマ……?」
電話の向こうからの声を聞き、少女はオウム返しに呟いた。
『はい、トマといいます。ところであなたはどなたでしょう?』
少女は少し口を噤む。
それから物陰に潜んだ白レンに目をやって、言った。
「……“白”だよ。そう呼んで」
『“白”さん、ですか? はい、判りました』
だがその直前に、耳がぴくんと立つ。物音を耳にしたのだ。
ゆっくりと後ろを振り返るとそこには、夕日を背に一人の少女が立っていた。
「にゃあ!?」
慌てて物陰に飛び込み姿を隠す。ごく普通の猫の鳴き真似おまけ付き。
(こいつ、いつの間にっ)
まだ多少の距離は有ったが、電話に気を取られた為に接近に気付くのが遅れて危ないところだった。
もう少し遅れれば人の姿に戻り電話を取るところを見られていただろう。
そうなれば猫のふりが出来ないのはもちろん、参加者として確実になる。下手をすれば襲われるかもしれない。
白レンはそれを嫌い、猫のフリをして隠れ続ける事にした。
少女はそんな白レンを目で追い隠れ場所を見つめていたが、しばらくしてゆっくり電話に近づく。
そして受話器を手に取って、言った。
「もしもし?」
すぐに返事がある。
『もしもし、そこはファクトリアルタウンですか? 僕はトマといいます』
「トマ……?」
電話の向こうからの声を聞き、少女はオウム返しに呟いた。
『はい、トマといいます。ところであなたはどなたでしょう?』
少女は少し口を噤む。
それから物陰に潜んだ白レンに目をやって、言った。
「……“白”だよ。そう呼んで」
『“白”さん、ですか? はい、判りました』
当然、白レンは猫の鋭敏な耳を立ててその会話を聞いている。
(へえ。なんだか面白い事になってるみたいね)
白レンは物陰から少女を見つめて思索する。
彼女は“白”という明らかな偽名を名乗った。直前に見た白レンから連想した即興だろう。
この状況で偽名を名乗るのはそうおかしな事ではない。
電話の相手が信用出来るかは判らないし、その上に電話の相手はここが何処か判っているようだった。
誰が何時何処に居たかなんて信用できない相手には教えたくない。
しかし少女は電話を取る前ではなく、電話の相手の名前を聞いた後に偽名を使う事にしたらしい。
それはつまり、トマという電話の相手には特別、自分がここに居ると知られたくない事を意味している。
互いに声を聴いただけでは判らない相手だというのにだ。
(へえ。なんだか面白い事になってるみたいね)
白レンは物陰から少女を見つめて思索する。
彼女は“白”という明らかな偽名を名乗った。直前に見た白レンから連想した即興だろう。
この状況で偽名を名乗るのはそうおかしな事ではない。
電話の相手が信用出来るかは判らないし、その上に電話の相手はここが何処か判っているようだった。
誰が何時何処に居たかなんて信用できない相手には教えたくない。
しかし少女は電話を取る前ではなく、電話の相手の名前を聞いた後に偽名を使う事にしたらしい。
それはつまり、トマという電話の相手には特別、自分がここに居ると知られたくない事を意味している。
互いに声を聴いただけでは判らない相手だというのにだ。
『それで“白”さん、情報交換をお願いできますか?』
「うん、良いよ。でもその前に……トマ君は何を目的に、どんな情報が欲しいの?」
『僕の目的ですか? 僕の目的は仲間を集めて、この島を脱出する事です。
だから得たい情報は、この島を脱出するために必要なものですね』
あっさりと返る素直で真っ直ぐな答え。
“白”は誰にともなく頷くと、懐から一束の紙を取りだした。
「そう、それじゃこんなのはどうかな。
このファクトリアルタウンに遺されていた、ある参加者による研究メモみたいだよ」
『誰かが残したメモ? どんな内容ですか?』
「大まかな所は『この島の何処か見つけられる場所に、島の動力炉が有るはずだ』という物でね……」
“白”を名乗る少女は語る。泉光子郎という少年が残した、この島に関する推測を。
「うん、良いよ。でもその前に……トマ君は何を目的に、どんな情報が欲しいの?」
『僕の目的ですか? 僕の目的は仲間を集めて、この島を脱出する事です。
だから得たい情報は、この島を脱出するために必要なものですね』
あっさりと返る素直で真っ直ぐな答え。
“白”は誰にともなく頷くと、懐から一束の紙を取りだした。
「そう、それじゃこんなのはどうかな。
このファクトリアルタウンに遺されていた、ある参加者による研究メモみたいだよ」
『誰かが残したメモ? どんな内容ですか?』
「大まかな所は『この島の何処か見つけられる場所に、島の動力炉が有るはずだ』という物でね……」
“白”を名乗る少女は語る。泉光子郎という少年が残した、この島に関する推測を。
(……退屈ね)
白レンにとってはあまり面白くない話だった。
そもそもこのゲーム盤を破綻させようというのは白レンの望むところではない。
しかし“白”とトマを止める必要が無い事も判っていた。
(どうせ辿り着く事は無いだろうし)
ジェダには首輪の爆破という切り札が有る。
首輪を外せない限りゲーム盤が覆る事はないし、恐らく外す事も困難だ。
ゲーム内に何らかの監視を用意している可能性だって高いだろう。
このゲームに乗っている白レンにとっても不愉快な事だが、ジェダは手強いのだ。
だからその後に続く会話も大して気にしないで聞き流す。
白レンにとってはあまり面白くない話だった。
そもそもこのゲーム盤を破綻させようというのは白レンの望むところではない。
しかし“白”とトマを止める必要が無い事も判っていた。
(どうせ辿り着く事は無いだろうし)
ジェダには首輪の爆破という切り札が有る。
首輪を外せない限りゲーム盤が覆る事はないし、恐らく外す事も困難だ。
ゲーム内に何らかの監視を用意している可能性だって高いだろう。
このゲームに乗っている白レンにとっても不愉快な事だが、ジェダは手強いのだ。
だからその後に続く会話も大して気にしないで聞き流す。
『ふむふむ動力炉ですか。興味深いですね』
「トマ君の方にはそういう物はあるかな?」
『有るかもしれませんけど、見て判るか正直自信無いです』
“白”はその答えを予期していたように気にも止めなかった。
「じゃあ……首輪について、何かわかるかな?」
『す、すみません。調べたいんですが、まだ。せめて現物が手に入れば良いんですが、手に入れる方法が……』
誰かを殺すか、死体から剥ぐ。トマはそれをはっきりと言えずにいた。
つまりトマは今の所、そのくらいに善良な思考をする人間なのだ。
『情報交換を持ちかけたのにこんな調子ですみません』
ぺこぺこと低姿勢な様子が受話器の向こうからでも伝わってきた。
「ううん、良いよ。それじゃここに連れて来られた人の中で、トマ君の知り合いは誰かな?
もしかしたら何か力になれるかもしれない」
「トマ君の方にはそういう物はあるかな?」
『有るかもしれませんけど、見て判るか正直自信無いです』
“白”はその答えを予期していたように気にも止めなかった。
「じゃあ……首輪について、何かわかるかな?」
『す、すみません。調べたいんですが、まだ。せめて現物が手に入れば良いんですが、手に入れる方法が……』
誰かを殺すか、死体から剥ぐ。トマはそれをはっきりと言えずにいた。
つまりトマは今の所、そのくらいに善良な思考をする人間なのだ。
『情報交換を持ちかけたのにこんな調子ですみません』
ぺこぺこと低姿勢な様子が受話器の向こうからでも伝わってきた。
「ううん、良いよ。それじゃここに連れて来られた人の中で、トマ君の知り合いは誰かな?
もしかしたら何か力になれるかもしれない」
(ふうん、これみたいね)
白レンは会話に意識を向ける。
“白”と名乗る少女は確実にトマに仲間が居るような言い方をした。
『僕の知り合いですか? 勇者さん――えっとニケさん、それからククリさんにジュジュさんです。容姿は……』
「ニケ君なら知ってるよ」
果たして少女はその答えを用意していたかのように話し出す。
「学校に居た人達に聞いたんだけれどね。彼なら島南西の山岳地帯から、島の中央付近に向かっているはずだよ。
何人かの仲間と一緒にね」
『本当ですか! 流石は勇者さんだ』
受話器の向こうから聞こえる声は嬉しげだった。喜びと満足と、未来への希望に満ちていた。
「どうするの。お友達なんでしょう、行ってあげたら?」
『いえ、今すぐというわけには……少し修理している物も有りますし、仲間もその内に帰ってくるでしょうから』
そして穏やかな安心を秘めていた。
「そう、仲間が居るんだ」
『はい、そうです。あ、お話しましょうか。僕は情報を貰ってばかりですし』
“白”は少しだけ沈黙して、それから言った。
「じゃあ……そうだね。危険人物も含めて、トマ君がこの島で会った人達を順番に教えてもらおうかな。
何時何処でどんな風に会ったのかも加えてくれると嬉しいな」
『はい!』
元気な返答と共に、トマは話しだした。
本当に明るく、未来への希望に満ちた声で話を始めた。
白レンは会話に意識を向ける。
“白”と名乗る少女は確実にトマに仲間が居るような言い方をした。
『僕の知り合いですか? 勇者さん――えっとニケさん、それからククリさんにジュジュさんです。容姿は……』
「ニケ君なら知ってるよ」
果たして少女はその答えを用意していたかのように話し出す。
「学校に居た人達に聞いたんだけれどね。彼なら島南西の山岳地帯から、島の中央付近に向かっているはずだよ。
何人かの仲間と一緒にね」
『本当ですか! 流石は勇者さんだ』
受話器の向こうから聞こえる声は嬉しげだった。喜びと満足と、未来への希望に満ちていた。
「どうするの。お友達なんでしょう、行ってあげたら?」
『いえ、今すぐというわけには……少し修理している物も有りますし、仲間もその内に帰ってくるでしょうから』
そして穏やかな安心を秘めていた。
「そう、仲間が居るんだ」
『はい、そうです。あ、お話しましょうか。僕は情報を貰ってばかりですし』
“白”は少しだけ沈黙して、それから言った。
「じゃあ……そうだね。危険人物も含めて、トマ君がこの島で会った人達を順番に教えてもらおうかな。
何時何処でどんな風に会ったのかも加えてくれると嬉しいな」
『はい!』
元気な返答と共に、トマは話しだした。
本当に明るく、未来への希望に満ちた声で話を始めた。
『まず最初に遭遇したのは、どうやら殺し合いに乗った人だったようです』
一人目の情報は敵のものだった。
『時刻は朝方の開始直後で、場所は……F-4の森ですね。
耳が動物みたいな耳をした女の子です。そういえば尻尾も有ったかな?
自分の事をアルルゥって言ってました。最初は僕が敵と誤解されたんだと思ったんですけど、
誤解だと言っても、元の世界に帰るって不思議なモンスターを二種類も呼び出して攻撃してきたんです』
続けてそれらのモンスターについてや、少女の詳しい外見についての説明が続く。
“白”は地図を広げてF-4の森を確認する。……現在地からは、遠い。
『それでなんとか生き延びたんですけど、毒にやられて死にそうになって。そこを助けてくれたのがトリエラさんです』
「…………トリエラさん、だね」
“白”の相槌には若干の間があった。だけどトマがそれに気付くことは無い。
『はい、毒消しを貰って助かりました。お返しにナイフに鞘を作ってあげたんです。結構器用なんですよ、僕』
「時間と場所は?」
『かなり大体ですけど……8時から9時頃でしょうか。10時という事は無いです。場所は変わりません』
「どういう武器を使うようだった?」
『ナイフとそれから……銃、というものみたいです。シグと言ってたと思います』
少女の指が地図をなぞる。F-4から島の北西部、B-2周辺に。
受話器の向こうにも届かない微かな声で呟く。
「16時頃にこうなら、向かったのはまず西。それなら10時か11時頃は…………」
指をF-4に戻す。そこから再び、ゆっくりと指を西になぞる。森を抜けて島の中央付近の学校へ。
――辿り着く前に指を止めた。
指は森と学校の間、E-4エリアを指して止まっている。
「ナイフと拳銃…………まさか、ね」
呟きは小さい。
『“白”さん? ……どうかしたんですか?』
「ううん、なんでもないよ。気のせいだから」
少女は地図から指を上げた。その表情からは如何なる感情を読みとることも出来ない。
『気のせいですか? それなら良いんですけど』
「それより話の続きをお願い」
『あ、はい。わかりました』
トマは再び話し出す。
一人目の情報は敵のものだった。
『時刻は朝方の開始直後で、場所は……F-4の森ですね。
耳が動物みたいな耳をした女の子です。そういえば尻尾も有ったかな?
自分の事をアルルゥって言ってました。最初は僕が敵と誤解されたんだと思ったんですけど、
誤解だと言っても、元の世界に帰るって不思議なモンスターを二種類も呼び出して攻撃してきたんです』
続けてそれらのモンスターについてや、少女の詳しい外見についての説明が続く。
“白”は地図を広げてF-4の森を確認する。……現在地からは、遠い。
『それでなんとか生き延びたんですけど、毒にやられて死にそうになって。そこを助けてくれたのがトリエラさんです』
「…………トリエラさん、だね」
“白”の相槌には若干の間があった。だけどトマがそれに気付くことは無い。
『はい、毒消しを貰って助かりました。お返しにナイフに鞘を作ってあげたんです。結構器用なんですよ、僕』
「時間と場所は?」
『かなり大体ですけど……8時から9時頃でしょうか。10時という事は無いです。場所は変わりません』
「どういう武器を使うようだった?」
『ナイフとそれから……銃、というものみたいです。シグと言ってたと思います』
少女の指が地図をなぞる。F-4から島の北西部、B-2周辺に。
受話器の向こうにも届かない微かな声で呟く。
「16時頃にこうなら、向かったのはまず西。それなら10時か11時頃は…………」
指をF-4に戻す。そこから再び、ゆっくりと指を西になぞる。森を抜けて島の中央付近の学校へ。
――辿り着く前に指を止めた。
指は森と学校の間、E-4エリアを指して止まっている。
「ナイフと拳銃…………まさか、ね」
呟きは小さい。
『“白”さん? ……どうかしたんですか?』
「ううん、なんでもないよ。気のせいだから」
少女は地図から指を上げた。その表情からは如何なる感情を読みとることも出来ない。
『気のせいですか? それなら良いんですけど』
「それより話の続きをお願い」
『あ、はい。わかりました』
トマは再び話し出す。
『その時、トリエラさんには首輪の外し方と島からの脱出手段を宿題にされたんですけど……
はは、知っての通り殆ど進んでないんです。これじゃトリエラさんに顔向け出来ませんね』
申し訳なさそうな苦笑いが受話器から聞こえる。
「仕方ないよ、それは難しい宿題だもの」
『すみません。それでトリエラさんと別れた後ですが、少し南に向かいました。
えーっと、あれはお昼過ぎ位でしょうか。F-5辺りの道路で……』
少女の指がゆっくりと地図を南下して、F-5の道路に差し掛かり。
『八神はやてさんと出会いました』
はは、知っての通り殆ど進んでないんです。これじゃトリエラさんに顔向け出来ませんね』
申し訳なさそうな苦笑いが受話器から聞こえる。
「仕方ないよ、それは難しい宿題だもの」
『すみません。それでトリエラさんと別れた後ですが、少し南に向かいました。
えーっと、あれはお昼過ぎ位でしょうか。F-5辺りの道路で……』
少女の指がゆっくりと地図を南下して、F-5の道路に差し掛かり。
『八神はやてさんと出会いました』
――ピタリと、凍り付くように指が止まった。
* * *
トマは思い返す。あの時の出会いを。
あれはきっと幸せな邂逅だった。
一時期は人を殺して生き残ろうか思い悩んだトマと、一時的にそう思い悩んでいたはやて。
トマはあの悩みが有ったから、はやての悩みを僅かながら一緒に背負えたのだと思う。
はやては悩みを自分から告白してくれたが、同じ経緯が無ければトマははやてを怖れていたかもしれない。
「はやてさんは凄く落ち込んでいて……でもしばらく話して悩みを明かしたりして、すぐに仲良くなれました。
それで、一緒にがんばって前に進もうって」
アルルゥに殺されかけたのが逆境なら、トリエラと出会った事は転機。
そしてはやてとの出会いは、本格的な未来への前進だったと思う。
「その後、レックスという少年に襲われて……はやてさんが居なければ殺されていたと思います。
更に不気味なヒナっていう人形も襲ってきて、レックスには凄い魔法を撃たれて……本当に絶対絶命でした」
『………………』
ヒナという人形がジュジュの名前を喋っていた事は気になる。だけどトマは今、それをしまい込む事にした。
“白”には関係が無いだろうし、それにこんな希望に満ちた話をするのだから。
「でもはやてさんがレンという子から託さ……渡して貰った」
少し湿っぽくなりそうな事も今だけは置いておいて。
「武装錬金という物を使って――ヘルメスドライブって言うそうです。
それではやてさんと僕は、はやてさんの知り合いのアリサさんの所に転移したんです!
あれは本当に凄いです。あんな危機から一気に仲間の居場所に行けるなんて」
『…………そう。すごいね』
トマはひたすらに、聞いた人に元気が出そうなとびっきり明るい話を続けた。
「はい! アリサさんも怪我はしてたけど無事で、3人のチームを結成……じゃない。
アリサさんの持っていた杖の、カレイドルビーさんと3人と1本のチームを結成できたんです。
それでその場所の、僕の今居るシェルターを探索したり、ご飯を食べたりしたんです。
この時、はやてさんがチキンカレーを作ってくれたんですけどこれが本当に絶品で。
いつか機会が有ったら“白”さんもごちそうしてもらいましょう。すごく美味しいんですよ」
『…………そう、だね』
「それで、それでですね」
夷腕坊に乗る誰かと戦った事も割愛。そもそも何も判らない。
「少し前にそのヘルメスドライブっていう武装錬金がまた使えるようになったんです。
だからはやてさんとアリサさんにはお友達に会いに行ってもらいました。
高町なのはさんの所です」
『――――――っ』
トマは気付かない。
「今頃はみんなで笑いあってるだろうなあ。うーん、なんだか羨ましくなってきそうです。
そうそう、はやてさんは凄い魔法使いなんですけど、なのはさんも魔法使いで戦闘ではもっと強いそうです。
アリサさんもカレイドルビーという杖のおかげでとっても強くて。
こんな人達が三人揃ったらもう怖い物無しですよね」
『………………』
トマは何も知らない。
「他にもはやてさんには、家族のヴィータさんや親友のフェイトさんって人も居て、
この人達も殺し合いに乗るような人じゃなくて、その上にやっぱり凄く強い魔法使いだそうです。
この島には、ゲームに抵抗するとっても強い魔法使いの人がこんなにたくさん居るんですよ。
もうほんと希望が持てそうです」
『…………そう』
トマには想像すらできない。
「勇者さんも仲間を集めて行動してるみたいですし、はやてさん達もそれと合流しているかもしれませんね。
このシェルターに帰って来る頃には凄い反ジェダの集団が出来てますよ、きっと!
そしてみんなでジェダを倒して、みんなで生きて帰るんです」
『……そうだね。それはきっと……素晴らしい未来だよ……』
「はい!」
トマに出来たのは、ほんの少し気にする事だけだ。
「あの……ところで“白”さん?」
『…………なに?』
気付くまでは届かない、ほんの少しだけ気になったこと。
「なんだか元気が無いみたいですけど……どうしたんですか?」
『………………』
返事は短い沈黙の後だった。
あれはきっと幸せな邂逅だった。
一時期は人を殺して生き残ろうか思い悩んだトマと、一時的にそう思い悩んでいたはやて。
トマはあの悩みが有ったから、はやての悩みを僅かながら一緒に背負えたのだと思う。
はやては悩みを自分から告白してくれたが、同じ経緯が無ければトマははやてを怖れていたかもしれない。
「はやてさんは凄く落ち込んでいて……でもしばらく話して悩みを明かしたりして、すぐに仲良くなれました。
それで、一緒にがんばって前に進もうって」
アルルゥに殺されかけたのが逆境なら、トリエラと出会った事は転機。
そしてはやてとの出会いは、本格的な未来への前進だったと思う。
「その後、レックスという少年に襲われて……はやてさんが居なければ殺されていたと思います。
更に不気味なヒナっていう人形も襲ってきて、レックスには凄い魔法を撃たれて……本当に絶対絶命でした」
『………………』
ヒナという人形がジュジュの名前を喋っていた事は気になる。だけどトマは今、それをしまい込む事にした。
“白”には関係が無いだろうし、それにこんな希望に満ちた話をするのだから。
「でもはやてさんがレンという子から託さ……渡して貰った」
少し湿っぽくなりそうな事も今だけは置いておいて。
「武装錬金という物を使って――ヘルメスドライブって言うそうです。
それではやてさんと僕は、はやてさんの知り合いのアリサさんの所に転移したんです!
あれは本当に凄いです。あんな危機から一気に仲間の居場所に行けるなんて」
『…………そう。すごいね』
トマはひたすらに、聞いた人に元気が出そうなとびっきり明るい話を続けた。
「はい! アリサさんも怪我はしてたけど無事で、3人のチームを結成……じゃない。
アリサさんの持っていた杖の、カレイドルビーさんと3人と1本のチームを結成できたんです。
それでその場所の、僕の今居るシェルターを探索したり、ご飯を食べたりしたんです。
この時、はやてさんがチキンカレーを作ってくれたんですけどこれが本当に絶品で。
いつか機会が有ったら“白”さんもごちそうしてもらいましょう。すごく美味しいんですよ」
『…………そう、だね』
「それで、それでですね」
夷腕坊に乗る誰かと戦った事も割愛。そもそも何も判らない。
「少し前にそのヘルメスドライブっていう武装錬金がまた使えるようになったんです。
だからはやてさんとアリサさんにはお友達に会いに行ってもらいました。
高町なのはさんの所です」
『――――――っ』
トマは気付かない。
「今頃はみんなで笑いあってるだろうなあ。うーん、なんだか羨ましくなってきそうです。
そうそう、はやてさんは凄い魔法使いなんですけど、なのはさんも魔法使いで戦闘ではもっと強いそうです。
アリサさんもカレイドルビーという杖のおかげでとっても強くて。
こんな人達が三人揃ったらもう怖い物無しですよね」
『………………』
トマは何も知らない。
「他にもはやてさんには、家族のヴィータさんや親友のフェイトさんって人も居て、
この人達も殺し合いに乗るような人じゃなくて、その上にやっぱり凄く強い魔法使いだそうです。
この島には、ゲームに抵抗するとっても強い魔法使いの人がこんなにたくさん居るんですよ。
もうほんと希望が持てそうです」
『…………そう』
トマには想像すらできない。
「勇者さんも仲間を集めて行動してるみたいですし、はやてさん達もそれと合流しているかもしれませんね。
このシェルターに帰って来る頃には凄い反ジェダの集団が出来てますよ、きっと!
そしてみんなでジェダを倒して、みんなで生きて帰るんです」
『……そうだね。それはきっと……素晴らしい未来だよ……』
「はい!」
トマに出来たのは、ほんの少し気にする事だけだ。
「あの……ところで“白”さん?」
『…………なに?』
気付くまでは届かない、ほんの少しだけ気になったこと。
「なんだか元気が無いみたいですけど……どうしたんですか?」
『………………』
返事は短い沈黙の後だった。
『…………大した事じゃないよ』
* * *
「それじゃもう切るよ、トマ君。……また明日ね」
『あ、はい。また明日!』
少女はゆっくりと、震える手で受話器を置いた。
――長い、静止。
…………そして。
『あ、はい。また明日!』
少女はゆっくりと、震える手で受話器を置いた。
――長い、静止。
…………そして。
“白”を名乗った少女は、膝から床に崩れ落ちた。
やがて唐突に、口を開く。
「フェイトちゃんは殺されて、ここに眠り目覚めない」
呟きをもらす。
「はやてちゃんはわたしが殺してしまったし」
嘆きを詠う。
「ヴィータちゃんは、はやてちゃんの死によって消えていく」
哀しみの歌。
「アリサちゃんは生きているけど、心はわたしが壊してしまった」
虚無へと続く旋律は。
「わたしの指は、可笑しなくらいに血に濡れて」
高町なのはの心を絡めとり。
「輝く未来は…………何処に……有る…………?」
奈落の底に堕ちていく。
「フェイトちゃんは殺されて、ここに眠り目覚めない」
呟きをもらす。
「はやてちゃんはわたしが殺してしまったし」
嘆きを詠う。
「ヴィータちゃんは、はやてちゃんの死によって消えていく」
哀しみの歌。
「アリサちゃんは生きているけど、心はわたしが壊してしまった」
虚無へと続く旋律は。
「わたしの指は、可笑しなくらいに血に濡れて」
高町なのはの心を絡めとり。
「輝く未来は…………何処に……有る…………?」
奈落の底に堕ちていく。
* * *
(へえ……そういう事)
白レンは大まかな状況を類推した。
目の前の少女の正体など色々な事を。
(高町なのは。それがあなたの名前なのね)
フェイト、はやて、ヴィータ、アリサと並ぶ名前はそれだけだ。
八神はやては高町なのはの元に転移し、しかしそこで何かが有った。
結果として八神はやては死に、一緒にこの近くに転移したアリサも心を壊した。
事件の詳細は判らないが、要素を組み合わせると概ねそんな所だろう。
そして高町なのはは、心に深い傷を負った。
(それにトマという奴は、こいつを極めて戦闘力の高い魔法使いだと言ったわね)
“魔法使い”という単語は白レンの世界において特別な意味を持つ言葉だが、
これは世界も術式の体系も違うならそれほどアテにならない。ちなみに通常は“魔術師”と呼ぶ。
しかし白レンの世界に置ける魔法使いに当てはまるにせよしないにせよ、なのはは間違いなく力を持った魔術師だ。
(この近距離で注意すれば確かに感じる。今は魔力が枯渇しかかってるけど、こいつとんでもない魔術回路持ちね。
マナを集めるスキルでも有るのかしら、魔力の回復速度も人間にしては規格外じゃない……)
マナとは白レンの世界の魔術用語で、生物体内のオドに対して世界に満ちている魔力の事を指す。
纏めてしまえば周辺に充ちる魔力を吸って自らの力を回復する事だ。
(この調子じゃ一晩しっかり寝れば膨大な魔力が全快する。全くもって化け物ね)
白レンは大まかな状況を類推した。
目の前の少女の正体など色々な事を。
(高町なのは。それがあなたの名前なのね)
フェイト、はやて、ヴィータ、アリサと並ぶ名前はそれだけだ。
八神はやては高町なのはの元に転移し、しかしそこで何かが有った。
結果として八神はやては死に、一緒にこの近くに転移したアリサも心を壊した。
事件の詳細は判らないが、要素を組み合わせると概ねそんな所だろう。
そして高町なのはは、心に深い傷を負った。
(それにトマという奴は、こいつを極めて戦闘力の高い魔法使いだと言ったわね)
“魔法使い”という単語は白レンの世界において特別な意味を持つ言葉だが、
これは世界も術式の体系も違うならそれほどアテにならない。ちなみに通常は“魔術師”と呼ぶ。
しかし白レンの世界に置ける魔法使いに当てはまるにせよしないにせよ、なのはは間違いなく力を持った魔術師だ。
(この近距離で注意すれば確かに感じる。今は魔力が枯渇しかかってるけど、こいつとんでもない魔術回路持ちね。
マナを集めるスキルでも有るのかしら、魔力の回復速度も人間にしては規格外じゃない……)
マナとは白レンの世界の魔術用語で、生物体内のオドに対して世界に満ちている魔力の事を指す。
纏めてしまえば周辺に充ちる魔力を吸って自らの力を回復する事だ。
(この調子じゃ一晩しっかり寝れば膨大な魔力が全快する。全くもって化け物ね)
「…………まだ。この部屋じゃ、ダメ……」
白レンの視線の先で、高町なのはは全身に力を篭めて起きあがった。
幽鬼のようにおぼつかない足取りで、それでも転ばないようにしっかりと壁に手を付けて歩き出す。
「休まなきゃ……放送を聞いてそれから……見つからずにゆっくりと眠れる部屋に……」
高町なのはは恐らくその為にこの工場・ファクトリアルタウンを訪れたのだろう。
白レンは白猫の姿のままそれに追随した。
なのはは一度だけ白レンを振り返る。それだけで視線を外して、またゆっくりと歩いていった。
(でも最低限の警戒はされてる。話通りだわ)
なんとなくだが確信がある。喪心状態とはいえ、おそらく普通の奇襲など通じまい。
ここまで心がボロボロの状態でも、休む場所と時間を選ぶ理性は未だ健在なのだ。
といっても勿論、白レンもここまで魔力が枯渇した相手に負けるとは思わない。
奇襲が出来なくとも力の差で叩き潰す事は容易だと考えている。
それをしないのは単にローリターンに挑む必要性を感じないだけだ。
「……ジェダを倒して……生きてる人だけでも逃がすために……生きなきゃ……戦わなきゃ…………!」
高町なのはは進もうとする。
もう未来などないというのに。
希望など無い事を知っているのに。
進んでも何も得られない事を知っているのに。
最早その瞳に輝きは無く、全ては破綻し砕け散り、目的も理由も意味も価値も何も無いのに。
………………。
(これはきっと、最高の獲物だ)
白レンは企む。
なのはの強大な魔力は尽き果てて、抵抗力など残っていない。
だけど一晩眠れば全快し、強大な魔力を取り戻すだろう。
(夢の中で心を支配してしまえば、その力が全て私の為に振るわれる)
操る事など容易い。
少女の心は無数に傷付いているのだから。
友達を殺され、殺し、終わらせ、壊した負い目に苦しんでいるのだから。
だから――。
白レンの視線の先で、高町なのはは全身に力を篭めて起きあがった。
幽鬼のようにおぼつかない足取りで、それでも転ばないようにしっかりと壁に手を付けて歩き出す。
「休まなきゃ……放送を聞いてそれから……見つからずにゆっくりと眠れる部屋に……」
高町なのはは恐らくその為にこの工場・ファクトリアルタウンを訪れたのだろう。
白レンは白猫の姿のままそれに追随した。
なのはは一度だけ白レンを振り返る。それだけで視線を外して、またゆっくりと歩いていった。
(でも最低限の警戒はされてる。話通りだわ)
なんとなくだが確信がある。喪心状態とはいえ、おそらく普通の奇襲など通じまい。
ここまで心がボロボロの状態でも、休む場所と時間を選ぶ理性は未だ健在なのだ。
といっても勿論、白レンもここまで魔力が枯渇した相手に負けるとは思わない。
奇襲が出来なくとも力の差で叩き潰す事は容易だと考えている。
それをしないのは単にローリターンに挑む必要性を感じないだけだ。
「……ジェダを倒して……生きてる人だけでも逃がすために……生きなきゃ……戦わなきゃ…………!」
高町なのはは進もうとする。
もう未来などないというのに。
希望など無い事を知っているのに。
進んでも何も得られない事を知っているのに。
最早その瞳に輝きは無く、全ては破綻し砕け散り、目的も理由も意味も価値も何も無いのに。
………………。
(これはきっと、最高の獲物だ)
白レンは企む。
なのはの強大な魔力は尽き果てて、抵抗力など残っていない。
だけど一晩眠れば全快し、強大な魔力を取り戻すだろう。
(夢の中で心を支配してしまえば、その力が全て私の為に振るわれる)
操る事など容易い。
少女の心は無数に傷付いているのだから。
友達を殺され、殺し、終わらせ、壊した負い目に苦しんでいるのだから。
だから――。
(その負い目、じっくりと可愛がってあげる)
――白い夢魔は密やかに笑った。
【B-3/廃病院/1日目/夕方】
【廃病院組】
【シャナ@灼眼のシャナ】
[状態]:しろがね化
[装備]:マスターソード@ぜルダの伝説(重量感あり、使えない事は無い)
[道具]:支給品一式(水少量、パン一個消費)、包帯、ビュティの首輪
[思考]:
第一行動方針:途中でアリサを捜しつつ、急いで18時までにB-7のタワーを目指す。
第二行動方針:出来れば山岳地帯から中央に向かっている山小屋組と合流したい。
基本行動方針:ジェダを討滅する。自動人形(と認識した相手)は、全て破壊する。
[備考]:義体のトリエラ、及びロボットのリルルを自動人形の一種だと認識しました。
【廃病院組】
【シャナ@灼眼のシャナ】
[状態]:しろがね化
[装備]:マスターソード@ぜルダの伝説(重量感あり、使えない事は無い)
[道具]:支給品一式(水少量、パン一個消費)、包帯、ビュティの首輪
[思考]:
第一行動方針:途中でアリサを捜しつつ、急いで18時までにB-7のタワーを目指す。
第二行動方針:出来れば山岳地帯から中央に向かっている山小屋組と合流したい。
基本行動方針:ジェダを討滅する。自動人形(と認識した相手)は、全て破壊する。
[備考]:義体のトリエラ、及びロボットのリルルを自動人形の一種だと認識しました。
【吉永双葉@吉永さん家のガーゴイル】
[状態]:腹部の銃創と胸部の刺傷は塞がったが、激しい運動は禁物。全身に打撲や擦り傷。
[服装]:血のついたオーバーオール、腹部にカラフルな包帯。
[装備]:メガネ@ぱにぽに、コキリの剣(泥がついている)@ゼルダの伝説
[道具]:基本支給品一式(水少量、パン一個消費)、ショックガン@ドラえもん、きんのたま@ポケットモンスター、包帯
[思考]:気絶している間、紫穂の面倒を見る。アリサを捜したい。
第一行動方針:今のところ、シャナに付いていく?
第二行動方針:梨々と合流
基本行動方針:このふざけた殺し合いを終わらせ、脱出する
[状態]:腹部の銃創と胸部の刺傷は塞がったが、激しい運動は禁物。全身に打撲や擦り傷。
[服装]:血のついたオーバーオール、腹部にカラフルな包帯。
[装備]:メガネ@ぱにぽに、コキリの剣(泥がついている)@ゼルダの伝説
[道具]:基本支給品一式(水少量、パン一個消費)、ショックガン@ドラえもん、きんのたま@ポケットモンスター、包帯
[思考]:気絶している間、紫穂の面倒を見る。アリサを捜したい。
第一行動方針:今のところ、シャナに付いていく?
第二行動方針:梨々と合流
基本行動方針:このふざけた殺し合いを終わらせ、脱出する
【三宮紫穂@絶対可憐チルドレン】
[状態]:気絶、邪剣による精神汚染&能力の残留は不明
[装備]:ワルサーPPK(銀の銃弾7/7)@パタリロ!、七夜の短刀@MELTY BLOOD
スクール水着@魔法先生ネギま!、全身黒タイツ@名探偵コナン
[道具]:支給品一式×2(水少量、パン一個消費)、デスノート(ダミー)@DEATH NOTE、血濡れの庭師の鋏@ローゼンメイデン、包帯
[服装]:スクール水着の上に全身タイツを重ね着
[思考]: 気絶中。
第一行動方針:???
第ニ行動方針:誰も信用しない。状況に応じてステルスor扇動マーダーor対主催のどのスタンスもとれるように構えておく
第三行動方針:利用できそうな仲間を探す
基本行動方針:元の世界に帰るためには手段を選ばない。自分の安全は最優先。
[状態]:気絶、邪剣による精神汚染&能力の残留は不明
[装備]:ワルサーPPK(銀の銃弾7/7)@パタリロ!、七夜の短刀@MELTY BLOOD
スクール水着@魔法先生ネギま!、全身黒タイツ@名探偵コナン
[道具]:支給品一式×2(水少量、パン一個消費)、デスノート(ダミー)@DEATH NOTE、血濡れの庭師の鋏@ローゼンメイデン、包帯
[服装]:スクール水着の上に全身タイツを重ね着
[思考]: 気絶中。
第一行動方針:???
第ニ行動方針:誰も信用しない。状況に応じてステルスor扇動マーダーor対主催のどのスタンスもとれるように構えておく
第三行動方針:利用できそうな仲間を探す
基本行動方針:元の世界に帰るためには手段を選ばない。自分の安全は最優先。
【A-3/工場/1日目/夕方】
【白い魔】
【高町なのは@魔法少女リリカルなのは】
[状態]:魔力枯渇寸前、軽度の耳鳴り・聴覚への衝撃による頭痛、
孤独感、全てに対する絶望、理性と狂気?
[装備]:ミニ八卦炉@東方Project、クロウカード×1(翔)@カードキャプターさくら
[道具]:
[思考]:――――
第一行動方針:回復の為に休憩。放送を聞いた後は睡眠。
基本行動方針:ジェダを倒して生き残りで脱出?
【白い魔】
【高町なのは@魔法少女リリカルなのは】
[状態]:魔力枯渇寸前、軽度の耳鳴り・聴覚への衝撃による頭痛、
孤独感、全てに対する絶望、理性と狂気?
[装備]:ミニ八卦炉@東方Project、クロウカード×1(翔)@カードキャプターさくら
[道具]:
[思考]:――――
第一行動方針:回復の為に休憩。放送を聞いた後は睡眠。
基本行動方針:ジェダを倒して生き残りで脱出?
【白レン@MELTY BLOOD】
[状態]:白猫状態、腹部に中ダメージ(回復中)、軽度の疲労、体の所々に擦り傷
[装備]:エーテライト×3@MELTY BLOOD
[道具]:支給品一式、ころばし屋@ドラえもん、小銭入れ(10円玉×5、100円玉×3)
[服装]:白猫状態。元の姿に戻れば、いつもの白いドレスになる。
[思考]:放送を聞いて、こいつ(なのは)が眠りに就いて……それからね。
第一行動方針:なのはが眠りに就いたら夢に干渉し心を支配、操り人形にする。
第二行動方針:ご褒美は欲しいが、傷を治す以外でも良く、特に急がない。
第三行動方針:機会が有ればレンについて情報を集めたい。べ、別にレンが気になるわけじゃないんだから。
基本行動方針:優勝して志貴を手に入れる。
[状態]:白猫状態、腹部に中ダメージ(回復中)、軽度の疲労、体の所々に擦り傷
[装備]:エーテライト×3@MELTY BLOOD
[道具]:支給品一式、ころばし屋@ドラえもん、小銭入れ(10円玉×5、100円玉×3)
[服装]:白猫状態。元の姿に戻れば、いつもの白いドレスになる。
[思考]:放送を聞いて、こいつ(なのは)が眠りに就いて……それからね。
第一行動方針:なのはが眠りに就いたら夢に干渉し心を支配、操り人形にする。
第二行動方針:ご褒美は欲しいが、傷を治す以外でも良く、特に急がない。
第三行動方針:機会が有ればレンについて情報を集めたい。べ、別にレンが気になるわけじゃないんだから。
基本行動方針:優勝して志貴を手に入れる。
【H-5/シェルター地下/1日目/夕方】
【トマ@魔法陣グルグル】
[状態]:健康。アズュール使用で少し疲労。
[装備]:麻酔銃(残弾6)@サモンナイト3、アズュール@灼眼のシャナ
[道具]:基本支給品、ハズレセット(アビシオン人形、割り箸鉄砲、便座カバーなど)、
参號夷腕坊@るろうに剣心(口のあたりが少し焼けている) はやて特製チキンカレー入りタッパー
[思考]:“白”さんありがとうございます。……これからどうしようかな。
第一行動方針:参號夷腕坊の修理。
第二行動方針:他の参加者と情報と物の交換を進める。必要ならその場で道具の作成も行う。
第三行動方針:シェルターを本拠地に店を開けるか確かめる。
第四行動方針:情報と物を集め、『首輪の解除』『島からの脱出』の方法を考える。
第五行動方針:ジュジュの安否が気がかり。
第六行動方針:できれば『首輪』の現物を手に入れたいんだけど……無理かな?
第七行動方針:できれば、トリエラと再び会いたい。それまでは死ぬわけには行かない。
基本行動方針:ニケたちとの合流。及び、全員が脱出できる方法を探す。
※ハズレセットのうち、豆腐セット、もずくセット、トイレの消臭剤、根性はちまきを使用しました。
割り箸鉄砲の輪ゴムは、まだ残りがあります。
【トマ@魔法陣グルグル】
[状態]:健康。アズュール使用で少し疲労。
[装備]:麻酔銃(残弾6)@サモンナイト3、アズュール@灼眼のシャナ
[道具]:基本支給品、ハズレセット(アビシオン人形、割り箸鉄砲、便座カバーなど)、
参號夷腕坊@るろうに剣心(口のあたりが少し焼けている) はやて特製チキンカレー入りタッパー
[思考]:“白”さんありがとうございます。……これからどうしようかな。
第一行動方針:参號夷腕坊の修理。
第二行動方針:他の参加者と情報と物の交換を進める。必要ならその場で道具の作成も行う。
第三行動方針:シェルターを本拠地に店を開けるか確かめる。
第四行動方針:情報と物を集め、『首輪の解除』『島からの脱出』の方法を考える。
第五行動方針:ジュジュの安否が気がかり。
第六行動方針:できれば『首輪』の現物を手に入れたいんだけど……無理かな?
第七行動方針:できれば、トリエラと再び会いたい。それまでは死ぬわけには行かない。
基本行動方針:ニケたちとの合流。及び、全員が脱出できる方法を探す。
※ハズレセットのうち、豆腐セット、もずくセット、トイレの消臭剤、根性はちまきを使用しました。
割り箸鉄砲の輪ゴムは、まだ残りがあります。
≪170:あの日あの時あの場所で(前編) | 時系列,投下順に読む | 172:「最悪」の向こう側≫ | |
≪170:あの日あの時あの場所で(前編) ≪166:全ての終わり、一つの始まり――そして誰かいなくなった(前編) |
なのはのSSを読む トマのSSを読む シャナ,双葉,紫穂のSSを読む のび太のSSを読む |
175:第一回定時放送≫ | 178:ライジングゲーム≫ 177:電話越しの希望、放送越しの絶望≫ 183:血と涙がまだ足りない≫ 180:いつか見た、懐かしい未来≫ |