ポストコラプス・カノン > ゴルト戦役

ゴルト戦役(英:Gault Campaign)とは、絶滅危惧暦(E.F.)79年1月21日から始まった、旧瑞連合(OLZU)における一連の防空戦である。

目次 ゴルト戦役
1.前史
2.タイムライン
3.用語

年月日:EF79年1月21日~12月30日
場所:旧瑞連合本土、のちにゴルト宙域
結果:人類側(旧瑞連合)の勝利
交戦勢力
悪性軌道起源種(MOB)
・衛星群「ゴルト」
旧瑞連合
ヌーベルオリュンポス
プライムオーダー
天州同盟
指導者・指揮官
アスタロト51-D衛星
・「イソヒト」 [*1]
宮藤ノブミツ
加藤ジロウ
ジェラルド・ウォールバーグ
秋庭カツジ
前史
E.F.79年1月10日、スポナー衛星のうち「ゴルト群」に分類される一群のスポナー衛星は、その全ての再活性化が確認された。これらのスポナー衛星は一週間程度の間沈黙を守っていた。
天州同盟(LSS)の軌道監視団は、それぞれの内部に高エネルギー反応があることを観測しており、何らかのタイミングでそれらが解放される、つまりスポナー衛星は大規模かつ即時のMOBの生産に向けてエネルギーをため込んでいる状態であると1月17日に報告していた。翌日、OLZU上層部は、復興が進んできている瑞州南部の情勢を鑑み、この事実を公表しないことを決定した。

画像

タイムライン
EF79年1月10日: 「ゴルト群」、再活性化。
17日: ゴルト群再活性化についての詳細レポートをLSSがOLZU上層部に報告。
18日: 大統領令79-0118A。前日のレポートについて特号国家機密とし、公開しないことが決定される。
21日: 13時18分、ゴルト群に属するアスタロト51-D衛星からMOB「エンダードラゴン」の超大型種個体が排出されるのを皮切りに、ゴルト群の各衛星からMOBが猛烈な勢いで生産、射出。
20分、連邦軍およびLSS、全部隊にデフコン1を発令。落下MOBに対する迎撃準備。
29分、LSSが落着予想地域を首都・新京と推定。OLZU上層部が近辺に非常事態宣言と避難命令を発出。同時刻、連邦幕僚監部は首都防衛作戦計画F-21を発動し、首都近辺の部隊が出撃を開始。
46分、最初の接敵がLSS第91降下猟兵大隊によって報告される。後に言う「新京防空戦」。
14時51分、新京方面で討ち漏らしたMOBの一群が近海州舞原に進行。舞原駐屯地の部隊は民間人の避難援護を決断。
55分、第501特別試験中隊(シプリペジウム隊)の試験機、XLS-78-02[ES] シーボーグ・プレクスが殿を務めるため舞原駐屯地から出撃するも、適性を持たない搭乗者の目黒シンイチロウ一尉は機体制御を失い付近の舞原女子高等学院に墜落。直後、墜落現場周辺にいた三沢アヤナが同機に乗り込み、適性持ちであることが判明する。
15時10分までに、迫っているMOB群を三沢機が一掃。またこの一群を率いていた大型種MOBの「ゾンビ」を単独撃破。
14分、連邦軍の捜索救難LSが墜落現場周辺に急行、プレクスを発見。三沢とともに保護。
22日: LSSの軌道戦闘艦隊がゴルト群への艦砲射撃を試みるが、大量に湧いたMOBによりダメージをほぼ与えられず撤退。
8月12日: 演習中のシプリペジウム隊が所属不明LS数機による襲撃を受ける。シーボーグ・キャノン(百里機)とガンナーシーボーグII(ナハ機、小牧機)が大破、陸戦型シーボーグII(各務原機)が中破するもプレクス(三沢機)が撃退に成功。物的証拠および尋問、目撃情報から、後にこの襲撃は「キャピタルズ」所属企業の手によるものだと確定。
17日: シプリペジウム隊の機体補充としてELS-71C[AS] シーボーグII・アサルトが1機、EGLS-71C-GX ガンナーシーボーグ改が3機搬入され、書類上は部隊の運用環境が広がる(陸戦→宇宙戦可能)。この補充と引き換えに、隊長:百里シンジや副隊長:ディアナ・E・ナハの「プライムオーダー」入りが取引される。
9月20日: 演習名目によるプライムオーダーの秘密作戦が展開、キャピタルズ所属の特殊部隊「I3部隊」が壊滅に追い込まれる。
10月29日: オペレーション・スタードロップ完遂に向けたテストケースとして、休眠中のフラウロス31-A衛星の排除任務をシプリペジウム隊らが実行。休眠から回復した同衛星による大型ガスト種の生成もあったが、シプリペジウム隊がこれを撃破。シプリペジウム隊の宙間作戦能力実証。
12月30日: オペレーション・スタードロップ第3段階「 落日 (サンセット)」発動。アスタロト51-Dに対する総攻撃を実施。投入された戦力の中でシプリペジウム隊が最も戦果を稼ぎ、大型エンダードラゴン種を5体撃破した他、プレクス(三沢機)が総司令官級超大型エンダードラゴン種「イソヒト」を撃破。アスタロト51-Dの防衛戦力は壊滅し、連邦軍・LSSの総攻撃によって爆破消滅。ゴルト群は機能を停止した。
用語
・「イソヒト」
アスタロト51-D衛星から排出された、総司令官級超大型エンダードラゴン種につけられたコードネーム。体躯が異様に大きく、100mはあるだろうとみなされている。ゴルト群を守るように宇宙空間を遊泳しており、同衛星群を指令するアスタロト51-D衛星の意思の代弁者、またはその象徴とみなされている。星墜とし作戦における優先撃破対象の一つ。

・衛星群「ゴルト」/ゴルト群
南部北アメリカ一帯を射程に納めるスポナー衛星の一団。しばらく休眠状態にあったものの、79年1月に再活性化が確認されMOBを大量に生産、首都地域に投下する。エンダードラゴンを排出するアスタロト51-D衛星は、本衛星群の中で最初に再活性化が確認され、本機の再活性化後に他の衛星が再活性化していることから、指令衛星としての役割を担っているとも考えられている。

第501特別試験中隊
旧瑞連合(OLZU)連邦軍のLS部隊。ダイバー計画に基づくLSの試験運用を行っていた部隊で、紆余曲折の末、民間人の三沢アヤナが、同隊で試験されていたダイバー計画試作二号機・XLS-78-02[ES] シーボーグ・プレクスのパイロット適性を持つことが判明。その後プレクスの戦闘能力の高さゆえに、三沢を臨時に陸曹長待遇とし、戦力化される。いくつかの戦いを経て、戦果を稼いだ本部隊はオペレーション・スタードロップの中核とみなされるようになる。

星墜とし作戦 (オペレーション・スタードロップ)
ゴルト群ならびに指令衛星アスタロト51-Dの撃破を大目標とする作戦。他の衛星群とは異なり、ゴルト群の衛星は瑞州首都に対する攻撃が特に苛烈であるために最重要撃破対象として策定された。以下の三軸で構成される。
1 - 支配権 (ドミニオン):宇宙空間での橋頭堡確保。
2 - 優勢 (スペリオル):アスタロト51-Dを除く、ゴルト群周辺衛星の掃討。
3 - 落日 (サンセット):アスタロト51-Dを取り巻くMOB群の排除。総司令官級超大型エンダードラゴン種「イソヒト」および衛星自体の撃破。

+ ボツ
空挺邀撃

迎撃支援に向かう、連邦軍のMC-71P シーボーグII。

1月21日13時18分、ゴルト群に属するアスタロト51-D衛星からMOB「エンダードラゴン」の超大型種個体が排出されたことを皮切りに、ゴルト群の各衛星からMOBが猛烈な勢いで生産、射出された。この事実を知った連邦軍は、20分には全軍にデルコン1を発令し、落下するMOBの迎撃準備態勢を取らせると共に、宙兵隊の軌道監視団に落着予想地域の特定を急がせた。30分には特定作業が完了し、落着地域は首都・新京を中心とする一帯と予測され、OLZU上層部が近辺に非常事態宣言と避難命令を発した。同時刻、ミッドコース段階での迎撃や地表防護のため、裂敵機(MC)の部隊が各基地から出撃を始めている。

13時46分、最初の接敵が降下中の宇宙州同盟(LSS)第509降下猟兵 [*2] 機によって報告されると、空挺邀撃に参加した他部隊もそれに続いた。このとき、LSS第871観測小隊 [*3] はMC-71P[E] EWACシーボーグ3機にて出撃し、防空エリアにおける目標探知・迎撃管制を担当していたが、新京上空空域の管制が3機をもってしても「実質的に不可能」になるほど、降下中のMOBの数が膨大であることを報告している。

50分、他のMOB群に紛れる形で「エンダードラゴン」の通常種個体が数体降下中であることを第871小隊の2番機<スネークピット12>が探知。「エンダードラゴン」は飛翔型MOBに分類され、超大型種でなくとも対処が難しい個体であり、防空エリア上層部を守備していた連邦陸軍第567機動空挺中隊 [*4] がその対処に向かったが、53分にはそのうちの一体により、この戦闘においてMC部隊初の被撃墜機が生じた(10番機<スパイラル25>)。

時間が経つに連れMOBの総数は増加し続け、空挺邀撃では殲滅しきれなかったMOBが地上に落着し、侵攻を始めるようになった。また空挺MCの部隊を運んでいた輸送機が、その輸送中に飛翔型MOB「ブレイズ」や「ガスト」「ファントム」に囲まれて撃墜されるなどの悲劇も起きている。16時56分にはMC-65D ドライス4機で構成されていた第398機動支援小隊 [*5] が全滅した。

対空戦闘
地上では、近隣の基地から緊急出撃した部隊が続々と到着し、対空防御に当たっていた。しかし通常種による波状攻撃は空挺邀撃部隊との共同でなんとか耐えしのいでいたものの、超大型種が続々と降下し始めると状況は一変し、対空射撃が命中すれど有効打にならない、という事態が頻発するようになる。

この戦闘の中でも特にはたらきが際立っていたのは、連邦陸軍第501機動打撃中隊である。特に同隊隊長の三沢マサキ一尉<シペリペジウム01>は、手ずから改修したMC-71G シーボーグIIの専用機を駆って、超大型種のMOBを落着前に3体、落着後に4体撃破することに成功し、元より高かったキルスコアを13まで伸ばしている。彼の指揮のもと、シペリペジウム隊は八面六臂の働きを見せ、隊長機以外にも複数体の超大型種を撃破する隊員が表れた。しかし流石に宇宙から絶え間なく送られ続けるMOBを相手に消耗しきった地上部隊も、特に対MOB戦に特化していない機甲科などの通常部隊などから、次第に喪失数を増やしていった。

14時57分に連邦軍が最初に失陥した新京東部エリアでは、ネスト構築の動きが確認されている。このとき東部エリアに落着したMOBは、「洞窟グモ」などネストを構築するのに重要と推定されているMOBの他にも、通常MOBでも戦闘に参加せずネストの建築資材を運んでいたりするなどの現象が観測されており、これが後の撤退命令およびネスト強襲作戦の立案に繋がる。

宇宙戦
宇宙においては、数的不利を悟ったLSS司令部により、スポナー衛星の破壊作戦が大急ぎで策定されていた。この任を負った3個航宙大隊や宇宙艦隊が14時30分までには出撃準備を整え、先鋒艦はすでに出撃している状況にあったが、14時41分、軌道監視団はゴルト衛星群周辺に夥しい数の「エンダードラゴン」「ガスト」「ブレイズ」「ファントム」や拠点防衛型MOB「シュルカー」が漂っていることを発見した。

この情報は直ちにLSS司令部に通報されたが、先鋒のメンデレーエフ級軌道強襲艦・CES-05 ゲーリュサックは既に攻撃圏内におり、夥しい数のMOBからのスウェーム攻撃を被った。ゲーリュサックの直掩を担当していた第215直掩小隊 [*6] や臨時で割り当てられていた第267直掩小隊 [*7] のMC8機、そしてゲーリュサック自体も善戦したが、「エンダードラゴン」の超大型種個体の出現にはなすすべもなく、17時28分にはゲーリュサックが轟沈、17時39分には直掩MCのうち最後まで残っていたサランジェ中尉機<ビュレット01>も撃墜され、ゲーリュサック隊は全滅した。

先立つこと14時50分、LSS司令部はゲーリュサック救援のために艦隊を進めるかどうかで意見が分かれており、軍部はゲーリュサック救援を強固に主張した一方、研究組織上がりの文民で構成される「機関閥」は彼我の戦力差から無謀な行為であると反対した。軍部の最高指導者である西村ゴウイチロウ代将は機関閥の理解の無さに業を煮やし、独断でCES-01 メンデレーエフおよびCES-10 ボルツマンの出撃命令を下した。

二隻は15時23分までに現場宙域に到達したが、既にゲーリュサックはMOBの大群に取り囲まれており、二隻が近づける状況にはなく、逆に二隻も包囲外層のMOBからの攻撃を受けることになる。メンデレーエフの直掩部隊である第211直掩小隊の隊長、長尾シュンイチ中尉<ピリオディック11>は最新鋭のMC、MC-79E ドルネラスを駆り、超大型種MOBを5個体撃破する戦果を挙げエースパイロットと認定されたものの、しかし状況は好転することなく、二隻は包囲網を突破しきれないまま、僚艦の撃沈を見守る結果となってしまった。

撤退命令
これ以上の消耗をよしとしなかったOLZU上層部は、連邦軍統合幕僚監部やLSS司令部に、落着MOBの掃討を中止、現地部隊を撤退させよとの命令を18時51分に下す。これ以上の被害拡大を望まない統合幕僚長らが抵抗したものの、結局は撤退命令を飲まざるを得ず、指揮下部隊にも撤退の指示を発した。この点について、OLZUは考え無しに撤退命令を出しているわけではなく、「通常MOBでさえ戦闘に参加せずネスト構築の作業に参加していることから、いったん引き上げることで全ての落着個体をネスト構築作業に集中させ、ある程度までネストが組みあがった時点で反撃を開始」するという筋書きのもとの命令であった。当然現地部隊では反対する者も多かったが、文民統制の原則には逆らえず、脆弱な歩兵部隊から順に退却していった。

一方で、MOBが人間らを見失い戦闘行動を見せない距離にまで下がったMC部隊は、ネストを中心とする包囲網を形成し、その包囲網の外側で避難する民間人たちの援護に当たった。

戦闘後、LSSの西村代将は、最高司令部の許可なしに独断で軌道強襲艦を動かしたという点について訴追され、軍法会議が開かれるまでの数週間、代理を立てた上で代将の任を暫定解除、大佐扱いで謹慎処分となった。しかし数日後、東部ネスト攻略作戦が連邦軍とLSSの合同で開始されるとともに、嫌疑取り消しの上代将に復帰、再びLSSの軍司令官として活躍することになる。

最終更新:2025年08月04日 21:14

*1 アスタロト51-Dから排出されたエンダードラゴンの超大型種個体に付けられたコードネーム。

*2 隊長:片岡タカノブ大尉。

*3 隊長:デニス・E・マツナガ大尉。

*4 隊長:間内クラヒト1等陸尉。

*5 隊長:賀島ショウタロウ2等陸尉。死後、二階級特進して3等陸佐。

*6 隊長:エリック・ド・サランジェ中尉。

*7 隊長:中前シゲトシ中尉。