クレイとアリシア 2-498様
なあ、お前。ブン殴られた事ってあるか?
ケンカをやったことがある奴なら多分わかるだろ。アレだ。
特に顔面をやられるとやばい。頭がクラクラするし、歯も欠ける。下手すりゃ死ぬ。
そうでなくても、殴られた後は青あざやら内出血で酷いもんだ。
シロウトの殴り合いだってコレだよ。もっと早く、スマートにぶん殴れる技術を持ってる奴からやられるとさ、ほんのちょっとだけ違うんだぜ。
今のオレがそう。
硬い拳が鼻面へ叩きつけられる。そうするとそこからから後頭部へと一瞬で衝撃が抜ける。まるでペシャンコになって鼻と後頭部がくっついたような感触だ。
その後ゴツンと鈍い音を聞く。頭ン中からね。そして耳や目から、何かが勢い良く飛び出すような、そんな嫌な感触。最後に、目の中に火花が散って、酷く焦げ臭いような、血の鉄くさいような臭いを感じる。
痛みを感じるヒマなんてない。その一撃で体の自由が奪われる。平行感覚が失われる。
言うことを聞かない体を動かそうにも、うまく行かない。たとえるなら、重く粘り気のある水の中でもがいているような感じだ。もしも水銀の中でもがいたならば、こんな感じなのかもしれない。
浮いた脳ミソがなにやら警告を発する。あらがうことの出来ない浮遊感。
オレをぶん殴ったのは、この酒場に雇われてる殴り屋で拳闘士崩れのケイナス(犬っぽい種族)だ。ちょっとケンカしたくらいでぶん殴りやがって。同種族はやらねぇでオレだけかよバカヤロウ。
そう考える一瞬だか一時間だかがとにかく時間が流れ、オレはクソ汚い酒場の床の上に後頭部から崩れ落ちた。
「この薄汚ねぇ野良猫を捨ててこい!」
ヤロウ言ってくれるぜ。獲物を持ってたらてめぇなんぞ…
そして、心のなかの負け惜しみすら最期まで言えず。オレは気を失った
ケンカをやったことがある奴なら多分わかるだろ。アレだ。
特に顔面をやられるとやばい。頭がクラクラするし、歯も欠ける。下手すりゃ死ぬ。
そうでなくても、殴られた後は青あざやら内出血で酷いもんだ。
シロウトの殴り合いだってコレだよ。もっと早く、スマートにぶん殴れる技術を持ってる奴からやられるとさ、ほんのちょっとだけ違うんだぜ。
今のオレがそう。
硬い拳が鼻面へ叩きつけられる。そうするとそこからから後頭部へと一瞬で衝撃が抜ける。まるでペシャンコになって鼻と後頭部がくっついたような感触だ。
その後ゴツンと鈍い音を聞く。頭ン中からね。そして耳や目から、何かが勢い良く飛び出すような、そんな嫌な感触。最後に、目の中に火花が散って、酷く焦げ臭いような、血の鉄くさいような臭いを感じる。
痛みを感じるヒマなんてない。その一撃で体の自由が奪われる。平行感覚が失われる。
言うことを聞かない体を動かそうにも、うまく行かない。たとえるなら、重く粘り気のある水の中でもがいているような感じだ。もしも水銀の中でもがいたならば、こんな感じなのかもしれない。
浮いた脳ミソがなにやら警告を発する。あらがうことの出来ない浮遊感。
オレをぶん殴ったのは、この酒場に雇われてる殴り屋で拳闘士崩れのケイナス(犬っぽい種族)だ。ちょっとケンカしたくらいでぶん殴りやがって。同種族はやらねぇでオレだけかよバカヤロウ。
そう考える一瞬だか一時間だかがとにかく時間が流れ、オレはクソ汚い酒場の床の上に後頭部から崩れ落ちた。
「この薄汚ねぇ野良猫を捨ててこい!」
ヤロウ言ってくれるぜ。獲物を持ってたらてめぇなんぞ…
そして、心のなかの負け惜しみすら最期まで言えず。オレは気を失った
「あの…大丈夫ですか?」
そんな言葉をかけられてクレイは目を覚ました。目を開けると、ちょうど右肩のあたりにエリン(人間っぽい)の少女が膝立ちして彼の顔をのぞき込んでいる。数の少ないエリンがどんな速度で成長するかはよくわからないが、知り合いのエリンの家族に当てはめて見ると、だいたい13~4位だと思えた。黒い髪に白っぽい毛のない肌。実に平均的なエリンの姿であった。
「大丈夫じゃねぇよ」
クレイは毒づき、上半身を起こした。駄犬にぶん殴られた鼻面が酷く痛む。顔を下に向けると生暖かい感触があり、かなりの量の鼻血が流れ出てきた。意識のないまま仰向けに転がされていたが、どうやら窒息はしなかったようだ。
どうやらかなりの威力で打たれたらしい。
痛みに顔をしかめながら周りを見回すと、どうやら路地裏のようだった。
酒場でケイナス(イヌっぽい種族)の拳闘士とケンカして一撃でノックアウトされ、そのままここに捨てられたらしい。
殴り合いには多少自信があったが、拳闘士崩れと素手でやり合うには分が悪い。。
「あいつめ、思い切りぶん殴りやがって」
クレイがもしもフィーリニア(ネコ科猛獣っぽい種族)で無かったら顔面陥没の重傷くらい負っていたかもしれない。
彼は舌打ちをし、ジャケットの内ポケットを探った。いつも薄い財布が無事な事を確認できて安心する。
「で、何の用だ?」
ややつっけんどんに少女に尋ねる。
「あの…だってこんなところで…」
「財布ならやらんぞ。オレが目覚めて残念だったな」
少女に皮肉を言って立ち上がろうとしたが、足によく力が入らない。脳震盪の後遺症はもうしばらくなおりそうもない。と言うよりも、そもそも自分がどれくらいここに転がっていたかも定かではないのだ。
「私物盗りじゃありません!」
「もの盗りじゃなかったらさっさと向こうへいけ」
「だから違います!」
クレイは、自分を助け起こそうとする小柄な少女の手を払うと、調子を整えながらたっぷりと時間をかけて立ち上がる。
「あの…お願い。私を…」
「なんだ?おまえ売ってるのかよ。ガキの癖にちょっと悪趣味過ぎるぜおい」
顔をしかめて少女を見る。小さい娼婦?に対する嘲りの言葉がいくつか思いついたが、言おうとする前に消えた。悲しげな表情をした少女の顔に、それを投げかける事は出来ない。
「…違うんです。私、娼館から逃げ出してきたんです」
うつむいた少女は、驚くべき事を言った。
そんな言葉をかけられてクレイは目を覚ました。目を開けると、ちょうど右肩のあたりにエリン(人間っぽい)の少女が膝立ちして彼の顔をのぞき込んでいる。数の少ないエリンがどんな速度で成長するかはよくわからないが、知り合いのエリンの家族に当てはめて見ると、だいたい13~4位だと思えた。黒い髪に白っぽい毛のない肌。実に平均的なエリンの姿であった。
「大丈夫じゃねぇよ」
クレイは毒づき、上半身を起こした。駄犬にぶん殴られた鼻面が酷く痛む。顔を下に向けると生暖かい感触があり、かなりの量の鼻血が流れ出てきた。意識のないまま仰向けに転がされていたが、どうやら窒息はしなかったようだ。
どうやらかなりの威力で打たれたらしい。
痛みに顔をしかめながら周りを見回すと、どうやら路地裏のようだった。
酒場でケイナス(イヌっぽい種族)の拳闘士とケンカして一撃でノックアウトされ、そのままここに捨てられたらしい。
殴り合いには多少自信があったが、拳闘士崩れと素手でやり合うには分が悪い。。
「あいつめ、思い切りぶん殴りやがって」
クレイがもしもフィーリニア(ネコ科猛獣っぽい種族)で無かったら顔面陥没の重傷くらい負っていたかもしれない。
彼は舌打ちをし、ジャケットの内ポケットを探った。いつも薄い財布が無事な事を確認できて安心する。
「で、何の用だ?」
ややつっけんどんに少女に尋ねる。
「あの…だってこんなところで…」
「財布ならやらんぞ。オレが目覚めて残念だったな」
少女に皮肉を言って立ち上がろうとしたが、足によく力が入らない。脳震盪の後遺症はもうしばらくなおりそうもない。と言うよりも、そもそも自分がどれくらいここに転がっていたかも定かではないのだ。
「私物盗りじゃありません!」
「もの盗りじゃなかったらさっさと向こうへいけ」
「だから違います!」
クレイは、自分を助け起こそうとする小柄な少女の手を払うと、調子を整えながらたっぷりと時間をかけて立ち上がる。
「あの…お願い。私を…」
「なんだ?おまえ売ってるのかよ。ガキの癖にちょっと悪趣味過ぎるぜおい」
顔をしかめて少女を見る。小さい娼婦?に対する嘲りの言葉がいくつか思いついたが、言おうとする前に消えた。悲しげな表情をした少女の顔に、それを投げかける事は出来ない。
「…違うんです。私、娼館から逃げ出してきたんです」
うつむいた少女は、驚くべき事を言った。
「はぁ?」
クレイは思わず間抜けた声を上げる。
「あ…でもまだ私処女ですよ?」
少女の発した意味の解らない発言はどうでも良いとして、娼館から逃げ出した?しかも仕込み前に?クレイは頭を抱えたい思い出少女をみやった。
「父さんの借金の形に連れて行かれたの。父さんは首を括ったけれど、それでも許してもらえなかった」
「で、オレに助けろっていいたいのか?何でオレだよ。誰かエリンの連中を頼れ」
少女は潤んだ目をクレイに向ける。
「だって、逃げ出して初めてであったのがあなたなんですもの…それに、知り合いなんて居ないし」
「ダメだ。お前は娼館に連れて行く」
「そんなっ!」
すがりついてくる少女の後ろ襟をつかんで引きはがすとクレイは諭すように言う。
「最近オレはついてないんだ。面倒ごとにつきあうのはごめんだぜ。機会があったら抱きにいってやるから、おと…」
おとなしくしていろ。という言葉は、怒号と足音にかき消された。居たぞ!捕まえろ!
罵る声と殺気だった気配が暗い路地にあふれる。声の方向をみると、数人の男が暗い路地を駆けてくる。棒を持った者もいる。そのあまりの剣幕に、どうやら自分も無事にすまなさそうな雰囲気を感じる。
「おいおい、一体なんだってんだよ」
訪ねるまもなく、棒を持った男が殴りかかってきた。あわててしゃがんで避けた上を、めくらめっぽうに振られた棒が通りすぎ、建物の煉瓦を砕く。
クレイは立ち上がるついでにそいつの急所を蹴飛ばした。しゃっとした感触がし、蹴られた男は ぐえ と、いう苦しげな声とともに崩れ落ちる。いったいどんな痛みか想像に難くなかったが、そんなことにはかまっていられない。
「畜生っ!」
クレイは叫ぶと、少女を担ぎ上げて走り出した。全くもってついていない。毒づきながら彼は路地裏を走る。ビンを蹴飛ばし、ゴミ箱を倒し、がらくたを放り投げ、やっとのことで追っ手をまくことに成功した。
彼は手を膝について、どうにか呼吸を落ち着かせようと深呼吸をくりかえす。少女はほんの30キロ程度であったが、長時間担いで走るのはさすがに骨が折れる。
「おまえの、せいで、おれ、は、人生を棒に、ふったかもしれん」
ようやく言葉を紡ぐことが出来る程度まで回復し、少女に毒づいた。
「ごめんなさい」
彼女は土下座して謝る。ガス灯の明かりにつややかな髪が光った。
「ほら、オレんとこに行くぞ。それと、オレはクレイってんだ」
ため息混じりにそういい、少女を引き起こした。
クレイは思わず間抜けた声を上げる。
「あ…でもまだ私処女ですよ?」
少女の発した意味の解らない発言はどうでも良いとして、娼館から逃げ出した?しかも仕込み前に?クレイは頭を抱えたい思い出少女をみやった。
「父さんの借金の形に連れて行かれたの。父さんは首を括ったけれど、それでも許してもらえなかった」
「で、オレに助けろっていいたいのか?何でオレだよ。誰かエリンの連中を頼れ」
少女は潤んだ目をクレイに向ける。
「だって、逃げ出して初めてであったのがあなたなんですもの…それに、知り合いなんて居ないし」
「ダメだ。お前は娼館に連れて行く」
「そんなっ!」
すがりついてくる少女の後ろ襟をつかんで引きはがすとクレイは諭すように言う。
「最近オレはついてないんだ。面倒ごとにつきあうのはごめんだぜ。機会があったら抱きにいってやるから、おと…」
おとなしくしていろ。という言葉は、怒号と足音にかき消された。居たぞ!捕まえろ!
罵る声と殺気だった気配が暗い路地にあふれる。声の方向をみると、数人の男が暗い路地を駆けてくる。棒を持った者もいる。そのあまりの剣幕に、どうやら自分も無事にすまなさそうな雰囲気を感じる。
「おいおい、一体なんだってんだよ」
訪ねるまもなく、棒を持った男が殴りかかってきた。あわててしゃがんで避けた上を、めくらめっぽうに振られた棒が通りすぎ、建物の煉瓦を砕く。
クレイは立ち上がるついでにそいつの急所を蹴飛ばした。しゃっとした感触がし、蹴られた男は ぐえ と、いう苦しげな声とともに崩れ落ちる。いったいどんな痛みか想像に難くなかったが、そんなことにはかまっていられない。
「畜生っ!」
クレイは叫ぶと、少女を担ぎ上げて走り出した。全くもってついていない。毒づきながら彼は路地裏を走る。ビンを蹴飛ばし、ゴミ箱を倒し、がらくたを放り投げ、やっとのことで追っ手をまくことに成功した。
彼は手を膝について、どうにか呼吸を落ち着かせようと深呼吸をくりかえす。少女はほんの30キロ程度であったが、長時間担いで走るのはさすがに骨が折れる。
「おまえの、せいで、おれ、は、人生を棒に、ふったかもしれん」
ようやく言葉を紡ぐことが出来る程度まで回復し、少女に毒づいた。
「ごめんなさい」
彼女は土下座して謝る。ガス灯の明かりにつややかな髪が光った。
「ほら、オレんとこに行くぞ。それと、オレはクレイってんだ」
ため息混じりにそういい、少女を引き起こした。
「女を家に入れたのは初めてだよ。まあベッドにでも座っててくれ」
クレイの部屋は、他の男所帯同様に酷く散らかっていて、足の踏み場もないようだった。
新聞や雑誌、読みかけの本。衣類がそこかしこに放りだされ混沌とした雰囲気を作っている。彼はガス灯に火を灯すと、お湯を沸かし始める。
「クソ、なんだってんだよ。逃げる必要なんて無かったのにな」
雰囲気に飲まれてしまったのが良くなかったのだろう。今更後悔しても遅い。彼は落ち着かない気分を紛らわそうと、ヒゲをしごき、肩に耳の後ろをこすりつけた。
「…で、名前はなんて言うんだ?」
「…アリシアです」
アリシアね。クレイはそう言うと、椅子をアリシアの前に置き、前後逆向きに座った。
背もたれを両股で挟んで、さらに上に顎を乗せた格好だ。
正面から見つめると、彼女は目を伏せる。エリンの美醜はよくわからないが、彼女はどうなのだろう。エリンと言う種族は顔の表情で細かいコミュニケーションをとるというが、その意味も実を言えばわかり辛い。そもそも、この大陸ではエリン自体が少ない。海を渡った南方にある大陸に行くと、人口の7割がエリンというがあまり実感がわかない。
名前以外を聞くと、彼女はぽつぽつと答えてくれた。
「エリンも、あまりオレたちと変わらないんだな」
そんな感想をもちながら、時間が過ぎる。
「紅茶やコーヒーなんてしゃれたモンは無いが、まあこれでも飲めよ」
ちょうど切りの良いところでお湯が沸き、クレイは蜂蜜をお湯で割って干しレモンを浮かべるとアリシアに差し出した。
「ありがとう」
クレイはアリシアの横に座って、自分もその飲み物をすする。
「お前、これからどうすんだ?」
この先の重要な問題である。アリシアはわからないとだけ答え、カップから暖かい飲み物をすする。蜂蜜の甘さとレモンの酸味が口いっぱいに広がる。
「…おいしい」
この問題で深刻に悩んでいるのはアリシアだけではない。クレイも連中に捕まって酷い目にあわされる可能性があった。
「明日警察に行かなきゃな」
「だめよ…警察もみんなグルなんだって…娼館の人がいってた」
なるほどな。それは単なるはったりか真実だかは解らないが、向こうがそう言っているということは、何らかのつながりがあるのかもしれない。
「だが正直、ああ言う連中に関わるのはごめんだぜ」
アリシアは、考え込んだ様子でなにも答えなかった。クレイは額に手をあててしばらく考えたが、これもすぐに答えが出そうになかった。時計を見るとすでに一時を回っている。
クレイは今日何度目か解らないため息をつき、アリシアに背を向けるようにごろりと横になった。そろそろ、この街とおさらばだな。そんな予感がする。ただ、何にしても休まないわけにはいかない。
「とりあえずだ。まずは寝ろよ。しばらくかくまってやるから」
アリシアも、今日何度目かのありがとうを言い、クレイの背中に自分のせをくっつける。
一人用のベッドはやはり狭い。くっつきあった背中にクレイの体温を感じながら、アリシアはこれからどうするかをずっと考え続けていた。
クレイの部屋は、他の男所帯同様に酷く散らかっていて、足の踏み場もないようだった。
新聞や雑誌、読みかけの本。衣類がそこかしこに放りだされ混沌とした雰囲気を作っている。彼はガス灯に火を灯すと、お湯を沸かし始める。
「クソ、なんだってんだよ。逃げる必要なんて無かったのにな」
雰囲気に飲まれてしまったのが良くなかったのだろう。今更後悔しても遅い。彼は落ち着かない気分を紛らわそうと、ヒゲをしごき、肩に耳の後ろをこすりつけた。
「…で、名前はなんて言うんだ?」
「…アリシアです」
アリシアね。クレイはそう言うと、椅子をアリシアの前に置き、前後逆向きに座った。
背もたれを両股で挟んで、さらに上に顎を乗せた格好だ。
正面から見つめると、彼女は目を伏せる。エリンの美醜はよくわからないが、彼女はどうなのだろう。エリンと言う種族は顔の表情で細かいコミュニケーションをとるというが、その意味も実を言えばわかり辛い。そもそも、この大陸ではエリン自体が少ない。海を渡った南方にある大陸に行くと、人口の7割がエリンというがあまり実感がわかない。
名前以外を聞くと、彼女はぽつぽつと答えてくれた。
「エリンも、あまりオレたちと変わらないんだな」
そんな感想をもちながら、時間が過ぎる。
「紅茶やコーヒーなんてしゃれたモンは無いが、まあこれでも飲めよ」
ちょうど切りの良いところでお湯が沸き、クレイは蜂蜜をお湯で割って干しレモンを浮かべるとアリシアに差し出した。
「ありがとう」
クレイはアリシアの横に座って、自分もその飲み物をすする。
「お前、これからどうすんだ?」
この先の重要な問題である。アリシアはわからないとだけ答え、カップから暖かい飲み物をすする。蜂蜜の甘さとレモンの酸味が口いっぱいに広がる。
「…おいしい」
この問題で深刻に悩んでいるのはアリシアだけではない。クレイも連中に捕まって酷い目にあわされる可能性があった。
「明日警察に行かなきゃな」
「だめよ…警察もみんなグルなんだって…娼館の人がいってた」
なるほどな。それは単なるはったりか真実だかは解らないが、向こうがそう言っているということは、何らかのつながりがあるのかもしれない。
「だが正直、ああ言う連中に関わるのはごめんだぜ」
アリシアは、考え込んだ様子でなにも答えなかった。クレイは額に手をあててしばらく考えたが、これもすぐに答えが出そうになかった。時計を見るとすでに一時を回っている。
クレイは今日何度目か解らないため息をつき、アリシアに背を向けるようにごろりと横になった。そろそろ、この街とおさらばだな。そんな予感がする。ただ、何にしても休まないわけにはいかない。
「とりあえずだ。まずは寝ろよ。しばらくかくまってやるから」
アリシアも、今日何度目かのありがとうを言い、クレイの背中に自分のせをくっつける。
一人用のベッドはやはり狭い。くっつきあった背中にクレイの体温を感じながら、アリシアはこれからどうするかをずっと考え続けていた。
衣擦れの音と、ベッドの揺れでクレイは目を覚ました。時計を見ると三時を指している。
(まだ二時間も休んでいない)心臓が大きく波打って、寝不足であることをことさらに強調する。鼓動にあわせて痛む鼻面を左手の掌でさすると、思った以上に腫れていた。
それにしてもベッドが揺れるなんて、とんだ寝相の悪さだなこのお嬢ちゃんは。毒づきながらアリシアの方を向くと、想像だにしなかった光景が目に飛び込んできた。
薄明かりのなか、彼女が裸で座っている。その怪しくも幻想的な後景に、クレイは目を剥き、次にあわてて飛び起きた。
「…ちょっとまて。お前一体何を…!」
「クレイさん」
アリシアが思い詰めたような表情でクレイの足にすがる。
「お願い…お礼は…私出来ることといったら体で払うしかないの」
「ままま、待て待て」
掌をアリシアにむけ、待てのポーズをしながら、クレイはこの上なく焦っていた。まだ助けるともいった覚えはないし、そもそもエリンの少女に迫られても困る。
「お願い…助けて」
懇願するアリシアの目に、並ならぬ覚悟が見える。クレイはごくりと唾を飲み込んだ。
「…つったっておまえ、さっき処女だって言ってたじゃねぇの。いくらなんでもそれはもらえねぇぜ」
全く、体は武器とはよく言ったものだ。しかし、迫られた時点もう既にクレイは詰んでいる。ここまでするアリシアを、娼館に連れて行けるほど彼は非常な人間ではなかった。
選択肢は彼女を助けるという一択だけ。無報酬で?いや彼女の体で?
無償で助けてやればいいさ、とクレイの頭のどこかが告げる。だが、この際に久々性欲を発散すればいいさ、との声も聞こえる。クレイは無情な人間では決してないが、同時に聖人君子でもない。彼は、人は欲望の前に弱いものさと心の中で呟き、解ったとアリシアの頬にふれた。
そういえば、エリンはどうやるんだろうな。アリシアが、布団の上をじりじりと移動し、クレイのひざの上に乗る。少しのけぞり気味のクレイの目を、彼女はその青い目でじっと見つめる。そして彼女は顎をあげ、目を閉じながらくれいの口元に顔を近づけた。
「やさしく…キスして」
二人の唇が触れ合った。クレイは目を閉じたアリシアを見る。余りにも近いため彼女の顔がぼやけて見えた。
暖かい。これがキスというものだろうか。エリンと違って、そこまで唇を上手く動かせないため、触れ合わせているだけな気がする。これからどうすればいい?そんな疑問が浮かんだ。種族が違えばそれの作法も違う。少なくとも、以前やったことのあるケイナスの女とは付き合い切れなかった。
(いろいろな作法を体験するか…。悪趣味ってのはそういうことだよなぁ)
ある程度経験があれば、相手に任せてもいいだろう、だが、ここでリードしないといけないのは明らかにクレイのほうだった。
(まだ二時間も休んでいない)心臓が大きく波打って、寝不足であることをことさらに強調する。鼓動にあわせて痛む鼻面を左手の掌でさすると、思った以上に腫れていた。
それにしてもベッドが揺れるなんて、とんだ寝相の悪さだなこのお嬢ちゃんは。毒づきながらアリシアの方を向くと、想像だにしなかった光景が目に飛び込んできた。
薄明かりのなか、彼女が裸で座っている。その怪しくも幻想的な後景に、クレイは目を剥き、次にあわてて飛び起きた。
「…ちょっとまて。お前一体何を…!」
「クレイさん」
アリシアが思い詰めたような表情でクレイの足にすがる。
「お願い…お礼は…私出来ることといったら体で払うしかないの」
「ままま、待て待て」
掌をアリシアにむけ、待てのポーズをしながら、クレイはこの上なく焦っていた。まだ助けるともいった覚えはないし、そもそもエリンの少女に迫られても困る。
「お願い…助けて」
懇願するアリシアの目に、並ならぬ覚悟が見える。クレイはごくりと唾を飲み込んだ。
「…つったっておまえ、さっき処女だって言ってたじゃねぇの。いくらなんでもそれはもらえねぇぜ」
全く、体は武器とはよく言ったものだ。しかし、迫られた時点もう既にクレイは詰んでいる。ここまでするアリシアを、娼館に連れて行けるほど彼は非常な人間ではなかった。
選択肢は彼女を助けるという一択だけ。無報酬で?いや彼女の体で?
無償で助けてやればいいさ、とクレイの頭のどこかが告げる。だが、この際に久々性欲を発散すればいいさ、との声も聞こえる。クレイは無情な人間では決してないが、同時に聖人君子でもない。彼は、人は欲望の前に弱いものさと心の中で呟き、解ったとアリシアの頬にふれた。
そういえば、エリンはどうやるんだろうな。アリシアが、布団の上をじりじりと移動し、クレイのひざの上に乗る。少しのけぞり気味のクレイの目を、彼女はその青い目でじっと見つめる。そして彼女は顎をあげ、目を閉じながらくれいの口元に顔を近づけた。
「やさしく…キスして」
二人の唇が触れ合った。クレイは目を閉じたアリシアを見る。余りにも近いため彼女の顔がぼやけて見えた。
暖かい。これがキスというものだろうか。エリンと違って、そこまで唇を上手く動かせないため、触れ合わせているだけな気がする。これからどうすればいい?そんな疑問が浮かんだ。種族が違えばそれの作法も違う。少なくとも、以前やったことのあるケイナスの女とは付き合い切れなかった。
(いろいろな作法を体験するか…。悪趣味ってのはそういうことだよなぁ)
ある程度経験があれば、相手に任せてもいいだろう、だが、ここでリードしないといけないのは明らかにクレイのほうだった。
「…なあ、アリシア。"オレ達流" にやってもいいか?」
おずおずと尋ねてみると、アリシアが頷く。ここからはフィーリニア流だ。
クレイはアリシアの髪の匂いをかぐ。首から上をやさしく愛撫しながら髪を舐める。そして耳、頬。盛り上がっただけの鼻。毛のない肌はクレイが舐めると少し赤みを帯びる。エリンという種族はよほど肌が弱いのだろう。舌の突起で傷つけないように隅々まで舐める。
小さな唇を舐めると。アリシアは少し口を開けた。その隙間から舌を入れると、彼女はためらうようにその舌を舐め返した。少しだけの甘みとレモンが香った。
二人は不器用に舌を絡ませる。エリンの滑らかな舌の表面を、フィーリニアのざらついた舌が這う。クレイはそのまま彼女の口の中に舌を這わせる。牙のない、つるつるとした歯がある。アリシアも彼のキバに舌を這わせる。興奮に息が上がる。クレイはアリシアを押し倒し、首筋からむねにかけてを口と舌で愛撫する。まだふくらみきっていない乳房の突起を乳房ごと吸い、先端を舌で転がす。さすった腹部は余りにもやわらかい。
まるで壊れ物だ。
クレイの舌は、アリシアの肌に這った後を残しながら、もっとも敏感な場所へと下りていく。閉じた秘所の匂いをかぐ。発情した同属の女とはまったく違った匂い。彼はアリシアをうつぶせにすると、そのまま下半身だけを抱き上げる。うつぶせになったまま尻だけ上げた状態にさせると、始めてみるエリンのそこがあらわになる。
少しだけ毛の生えたアリシアの秘所は、少しだけ濡れた陰唇を露出していた。クレイはまだ肉付きの薄い双丘をこね回し、閉じた入り口と菊門を舐める。尻尾がないのは奇妙な感触だった。
尻尾の付け根は性感帯だ、エリンはどうなのだろう。そんな思いがあるかどうかはわからない。ただ執拗に撫で回し舐め回す。だんだんとアリシアの呼吸が荒くなっていく。クレイは、同属の女にはない入り口の襞を広げ、奥にまで舌を這わせる。陰核を包皮からむき出し、舌先でこね回す。そのたびに、アリシアはビクビクと体をはねさせる。
彼はアリシアのまたぐらに顔を突っ込んだまま服を脱ぎ捨てる。上着を放り投げ、ベルトを外し足を蹴ってズボンを下ろす。あっあっという、初々しくかわいいよがり声に興奮が高まる。
再び、うつ伏せから仰向けへ。クレイはアリシアの股を舐るのをやめて、その上に覆いかぶさり動きを止める。荒い息をつきながら、アリシアがぼうっとした目を開き、呆けた表情のままクレイを見上げた。
「これから、その…やるんだが…本当にいいのか?」
中断するなど、野暮でバカらしい行為以外何者でもなかったが、クレイ律儀に確認する。
こくんと頷く彼女が急にかわいく思えてくる。
「じゃあ、オレのも弄ってくれるか?舐めたり、しごいたり」
クレイが下になり、アリシアを乗せる。二つ巴の格好になりながら、二人は互いのものを愛撫しあう。アリシアは、恐る恐るクレイのこわばりを舐めながらも、下半身を彼に押し付け、快感をむさぼる。
おずおずと尋ねてみると、アリシアが頷く。ここからはフィーリニア流だ。
クレイはアリシアの髪の匂いをかぐ。首から上をやさしく愛撫しながら髪を舐める。そして耳、頬。盛り上がっただけの鼻。毛のない肌はクレイが舐めると少し赤みを帯びる。エリンという種族はよほど肌が弱いのだろう。舌の突起で傷つけないように隅々まで舐める。
小さな唇を舐めると。アリシアは少し口を開けた。その隙間から舌を入れると、彼女はためらうようにその舌を舐め返した。少しだけの甘みとレモンが香った。
二人は不器用に舌を絡ませる。エリンの滑らかな舌の表面を、フィーリニアのざらついた舌が這う。クレイはそのまま彼女の口の中に舌を這わせる。牙のない、つるつるとした歯がある。アリシアも彼のキバに舌を這わせる。興奮に息が上がる。クレイはアリシアを押し倒し、首筋からむねにかけてを口と舌で愛撫する。まだふくらみきっていない乳房の突起を乳房ごと吸い、先端を舌で転がす。さすった腹部は余りにもやわらかい。
まるで壊れ物だ。
クレイの舌は、アリシアの肌に這った後を残しながら、もっとも敏感な場所へと下りていく。閉じた秘所の匂いをかぐ。発情した同属の女とはまったく違った匂い。彼はアリシアをうつぶせにすると、そのまま下半身だけを抱き上げる。うつぶせになったまま尻だけ上げた状態にさせると、始めてみるエリンのそこがあらわになる。
少しだけ毛の生えたアリシアの秘所は、少しだけ濡れた陰唇を露出していた。クレイはまだ肉付きの薄い双丘をこね回し、閉じた入り口と菊門を舐める。尻尾がないのは奇妙な感触だった。
尻尾の付け根は性感帯だ、エリンはどうなのだろう。そんな思いがあるかどうかはわからない。ただ執拗に撫で回し舐め回す。だんだんとアリシアの呼吸が荒くなっていく。クレイは、同属の女にはない入り口の襞を広げ、奥にまで舌を這わせる。陰核を包皮からむき出し、舌先でこね回す。そのたびに、アリシアはビクビクと体をはねさせる。
彼はアリシアのまたぐらに顔を突っ込んだまま服を脱ぎ捨てる。上着を放り投げ、ベルトを外し足を蹴ってズボンを下ろす。あっあっという、初々しくかわいいよがり声に興奮が高まる。
再び、うつ伏せから仰向けへ。クレイはアリシアの股を舐るのをやめて、その上に覆いかぶさり動きを止める。荒い息をつきながら、アリシアがぼうっとした目を開き、呆けた表情のままクレイを見上げた。
「これから、その…やるんだが…本当にいいのか?」
中断するなど、野暮でバカらしい行為以外何者でもなかったが、クレイ律儀に確認する。
こくんと頷く彼女が急にかわいく思えてくる。
「じゃあ、オレのも弄ってくれるか?舐めたり、しごいたり」
クレイが下になり、アリシアを乗せる。二つ巴の格好になりながら、二人は互いのものを愛撫しあう。アリシアは、恐る恐るクレイのこわばりを舐めながらも、下半身を彼に押し付け、快感をむさぼる。
「ちょっとまってくれ」
いくらぎこちない手つき口つきといっても、やはり感じるものは感じる。普通なら、ざらついた舌で舐めあげられるため、早々にやめて交わるところだが、タイミングを逸した上に、射精しそうになっていた。
クレイはふうと呼吸を整え、前戯を中断されて、少し不満げなアリシアを四つ這いにさせると、後ろに位置して両手で彼女の腰を支えた。
「そろそろいくぜ」
アリシアがごくりと喉をならし、ためらいがちに首を縦に振った。そしてクレイも覚悟を決める。
自分を彼女の膣口にあてがい、ゆっくりと挿入する。初めて体験する柔らかさに、クレイはたじろいだ。同族の搾り取るような収縮も、ケイナスの急角度にうねる感触もない。
ただ柔らかく暖かい。彼女の呼吸にあわせて収縮する沼にはまり、彼はもがいた。
だがまだ溺れてしまうわけにはいかない。
更に突きいれると、つぷんとした感触がほんのすこしだけあり、アリシアの腰が跳ねた。
「痛っ」
クレイは腰をとめた。今更ながらに彼女が処女であったことを思い出す。だが、アリシアはそれ以上何も言わない。彼を受け入れるために待っているのだ。
その様子が何となく解り、彼はまた腰を突き入れる。そこまで長大ではないフィーリニアの肉茎ではあったが、やはり体格差は無視できない。ゆっくりと傷をつけぬよう腰を前後させながら、かれの先端はようやく子宮口を叩いた。
アリシアのなかに自分をおさめきったクレイは、大きく息を吐き出し、耐えていたアリシアに背中から体を重ねた。そしてゆっくりと体を抱くと、その細い首筋を傷つけないように咥える。もう達してしまいそうだったが、それに耐えて腰を揺する。尻尾が立ち上がりつま先に力がこもる。かれはうめきながら腰をいっぱいに突き出す。細い彼の先が、アリシアの子宮口にはまる。その快感に抗しきれずに彼は一度目の精を放った。
アリシアの胎内に、暖かいほとばしりが染み渡る。ああと彼女は歓喜の声を上げた。だがクレイはまだ終わらない。硬くいきり立ったもので、膣内をかき回し責め立てる。細い先端は容赦なく子宮口をたたき、根本の棘が秘肉を引っかき回す。彼は歳もいかないエリンの少女の蜜壺に溺れ、のたうち回った。彼が精を放つ度に、アリシアは嬌声をあげ快楽に悶えた。久方ぶりの濃密な時間にクレイはこの上なく満たされる。これが報酬ならまあわるくないだろう。そう考えるくらいの余裕が出てきた頃、彼の快楽は、訪れるのと同じくらい早く引き始めた。
何時の間にか正常位で交わっていたようで、クレイの正面に、汗にまみれたアリシアの顔があった。汗の玉を舐めると、塩辛さと共に彼女の匂いを感じる。かれは始めたときと同じように、アリシアの体を舐め回す。今度はアリシアも彼を舐め返したが、あまり上手くいかないようだ。
「無理に舐めなくていい。手で撫でてくれ」
いくらぎこちない手つき口つきといっても、やはり感じるものは感じる。普通なら、ざらついた舌で舐めあげられるため、早々にやめて交わるところだが、タイミングを逸した上に、射精しそうになっていた。
クレイはふうと呼吸を整え、前戯を中断されて、少し不満げなアリシアを四つ這いにさせると、後ろに位置して両手で彼女の腰を支えた。
「そろそろいくぜ」
アリシアがごくりと喉をならし、ためらいがちに首を縦に振った。そしてクレイも覚悟を決める。
自分を彼女の膣口にあてがい、ゆっくりと挿入する。初めて体験する柔らかさに、クレイはたじろいだ。同族の搾り取るような収縮も、ケイナスの急角度にうねる感触もない。
ただ柔らかく暖かい。彼女の呼吸にあわせて収縮する沼にはまり、彼はもがいた。
だがまだ溺れてしまうわけにはいかない。
更に突きいれると、つぷんとした感触がほんのすこしだけあり、アリシアの腰が跳ねた。
「痛っ」
クレイは腰をとめた。今更ながらに彼女が処女であったことを思い出す。だが、アリシアはそれ以上何も言わない。彼を受け入れるために待っているのだ。
その様子が何となく解り、彼はまた腰を突き入れる。そこまで長大ではないフィーリニアの肉茎ではあったが、やはり体格差は無視できない。ゆっくりと傷をつけぬよう腰を前後させながら、かれの先端はようやく子宮口を叩いた。
アリシアのなかに自分をおさめきったクレイは、大きく息を吐き出し、耐えていたアリシアに背中から体を重ねた。そしてゆっくりと体を抱くと、その細い首筋を傷つけないように咥える。もう達してしまいそうだったが、それに耐えて腰を揺する。尻尾が立ち上がりつま先に力がこもる。かれはうめきながら腰をいっぱいに突き出す。細い彼の先が、アリシアの子宮口にはまる。その快感に抗しきれずに彼は一度目の精を放った。
アリシアの胎内に、暖かいほとばしりが染み渡る。ああと彼女は歓喜の声を上げた。だがクレイはまだ終わらない。硬くいきり立ったもので、膣内をかき回し責め立てる。細い先端は容赦なく子宮口をたたき、根本の棘が秘肉を引っかき回す。彼は歳もいかないエリンの少女の蜜壺に溺れ、のたうち回った。彼が精を放つ度に、アリシアは嬌声をあげ快楽に悶えた。久方ぶりの濃密な時間にクレイはこの上なく満たされる。これが報酬ならまあわるくないだろう。そう考えるくらいの余裕が出てきた頃、彼の快楽は、訪れるのと同じくらい早く引き始めた。
何時の間にか正常位で交わっていたようで、クレイの正面に、汗にまみれたアリシアの顔があった。汗の玉を舐めると、塩辛さと共に彼女の匂いを感じる。かれは始めたときと同じように、アリシアの体を舐め回す。今度はアリシアも彼を舐め返したが、あまり上手くいかないようだ。
「無理に舐めなくていい。手で撫でてくれ」
つながったまま、互いに上半身を起こし後戯を楽しむ。少なくとも、フィーリニアの男とエリンの女の組み合わせはわるくは無いかもしれないとクレイは思う。
「オレが安全な街まで連れて行ってやるよ。アテがあるのを思い出した。」
これは本当の話である。それに、街を出られれば相手もあきらめるだろう。連れ戻すというよりも逃げた彼女を見せしめにするのが多分目的なのだ。
「…ありがとう」
いいってことよ。彼はにやりとして腰を引く。ごぽっという音とともに、彼女の膣口から大量の粘液があふれ、シーツに新しい染みを作る。最期の余韻に浸る間もなくクレイはあわてて体をのけぞらせた。そしてはっとしたように、驚いて声の出せないアリシアに待てのポーズを送る。同族同士だと、引き抜く際に殴られる事がある。無意識に手が出てしまうらしい。青あざあるのは円満の証 とまで言われるくらいだ。
まあまあ、と照れ隠しをしながらかれはシーツに目を落とす。昨日まではなかった染みが広がるその中に、赤黒いものを見つける。それは処女を失った証だった。
クレイは、何故か彼女がたまらなく愛しくなり、もう一度抱き寄せた。
「オレが安全な街まで連れて行ってやるよ。アテがあるのを思い出した。」
これは本当の話である。それに、街を出られれば相手もあきらめるだろう。連れ戻すというよりも逃げた彼女を見せしめにするのが多分目的なのだ。
「…ありがとう」
いいってことよ。彼はにやりとして腰を引く。ごぽっという音とともに、彼女の膣口から大量の粘液があふれ、シーツに新しい染みを作る。最期の余韻に浸る間もなくクレイはあわてて体をのけぞらせた。そしてはっとしたように、驚いて声の出せないアリシアに待てのポーズを送る。同族同士だと、引き抜く際に殴られる事がある。無意識に手が出てしまうらしい。青あざあるのは円満の証 とまで言われるくらいだ。
まあまあ、と照れ隠しをしながらかれはシーツに目を落とす。昨日まではなかった染みが広がるその中に、赤黒いものを見つける。それは処女を失った証だった。
クレイは、何故か彼女がたまらなく愛しくなり、もう一度抱き寄せた。
その後、二人は無事別の街へと逃げ延びることができた。
悪趣味と言われながらも一緒に住み、アリシアは給仕の、クレイは闘技士養成場の仕事をしているという。
悪趣味と言われながらも一緒に住み、アリシアは給仕の、クレイは闘技士養成場の仕事をしているという。