Nova Musichaとは、イタリアのレーベルCrampsのアルバムシリーズ。
概説
Crampsは1970年代のイタリア・ミラノに存在したロックレーベルである。
主にプログレッシブロックを取り扱っており、その中にはArea、Arti + Mestieriなど現在でも音楽通に名が知られるバンドも所属していた。ジャズやクラシックの要素がふんだんに使われた前衛的かつメロディアスなバンド達は人気が高く、70年代のイタリアンロックを代表するユニークなレーベルとされている。
主にプログレッシブロックを取り扱っており、その中にはArea、Arti + Mestieriなど現在でも音楽通に名が知られるバンドも所属していた。ジャズやクラシックの要素がふんだんに使われた前衛的かつメロディアスなバンド達は人気が高く、70年代のイタリアンロックを代表するユニークなレーベルとされている。
そんなCrampsの独自性をよく表しているシリーズがNova Musichaである。
このシリーズではクラシック方面の前衛・実験音楽の名曲をコンパイルし、一つ一つに美しいジャケットを付けて発売した。そのジャケットのデザイン性の高さ・内容の先進性から現代の音楽界にも影響を与えているシリーズである。
特に日本ではストレンジデイズが大赤字を出しながらシリーズすべてを再発しているため、非常に認知度が高い。
このシリーズではクラシック方面の前衛・実験音楽の名曲をコンパイルし、一つ一つに美しいジャケットを付けて発売した。そのジャケットのデザイン性の高さ・内容の先進性から現代の音楽界にも影響を与えているシリーズである。
特に日本ではストレンジデイズが大赤字を出しながらシリーズすべてを再発しているため、非常に認知度が高い。
アルバムリスト
- n.1 John Cage
かの有名なJohn Cageのアルバム。彼の十八番である「プリペアド・ピアノ」を使った作品や有名な「4分33秒」などが収められた、彼のベストアルバムと言える作品。シリーズ中で最も有名な作品であり、現在でもCDショップで新品が売っている。
- n.2 "Tamaran" Juan Hidalgo
Juan HidalgoはイタリアのFluxusと呼ばれた芸術集団"ZAJ"の中心人物。本作はプリペアドピアノを用いたミニマル・ミュージックといった趣であり、アヴァンギャルドでありながら流麗である。
- n.3 "In Sara Menchen, Christ and Beethoven there were men and women" Robert Ashley
Robert Ashleyはアメリカの音楽団体"ONCE"の設立者の一人。彼は声の録音を機械で変調させる作品を多く作っており、本作はその代表である。実は韻を踏んであり、初期のヒップホップとして取り上げられることもしばしば。
- n.4 "La Caccia" Walter Marchetti
Juan HidalgoとともにZAJの中核をなしたのがWalter Marchettiである。本作では虫笛や鳥笛などを使い、人工的なサウンドスケープを作っている。ジャングルの奥底に来たような気分になること請け合い。
- n.5 "Finale" Paolo Castaldi
現代音楽とクラシックの領域で活躍した音楽家による作品。最初の内はクラシック音楽の伝統に則ったものであるが、徐々に前衛音楽へと崩れていくものである。Frank Zappaなど後々のロックに大きな影響を与えた。
- n.6 "Four principles on Ireland and other pieces" Cornelius Cardew
Stockhausenの最もよき理解者の一人であったCornelius Cardewによるピアノソロ集。彼は左翼思想に傾倒していたのだが、それを反映したような革命歌・労働歌を奏でている。シリーズ中最も前衛感は少ないが、楽曲解釈のレベルの非常に高い一作。大変人気がある。
- n.7 "Luna Cinese" Costin Miereanu
Costin Miereanuはミュージック・コンクレートの隠れた作曲家。ルーマニアの伝統音楽とErik Satieの技法を駆使し、朗読やノイズなど多様な音素材を組み合わせた作品に仕上がっている。ジャケットが大変美しいのでレコードの人気も高い。
- n.8 "Tempo Furioso" Martin Davorin-Jagodić
映画や演劇分野でも活躍したMartin Davorin-Jagodićの唯一作。ラジオや環境音などが交差するミュージック・コンクレートでありながらも、一種のアンビエントとしても聴ける特異な作品。
- n.9 Musica Su Schemi "Gruppo Di Improvvisazione"
イタリアの伝説的な即興音楽バンドの作品。このバンドには後々「ニューシネマパラダイス」などの映画音楽家として世界的に著名になるEnnio Morriconeが所属していた。
本作では完全アコースティックでありながらも電子音楽の知見が活用された即興演奏が繰り広げられ、アコースティックの可能性の広さを感じさせる作品である。
本作では完全アコースティックでありながらも電子音楽の知見が活用された即興演奏が繰り広げられ、アコースティックの可能性の広さを感じさせる作品である。
- n.10 "En rouge et noir" Miguel Ángel Coria
Miguel Ángel Coriaはスペイン出身の現代音楽作曲家。プリペアドピアノの短い主題がどんどんと発展していく様が楽しめる作品である。
- n.11 "Bird and Person Dyning" Alvin Lucier
Alvin Lucierは20世紀後半のアメリカ現代音楽を代表する作曲家。彼は音のフィードバックに注目した作品で知られているが、今作でもタイトル通り「鳥の鳴き声」と「人の叫び」が活用されている。このアルバムは現代音楽の名盤としても知られている。
- n.12 (欠番)
- n.13 "Rrose Sélavy" Juan Hidalgo
ここでn.2でも登場したJuan Hidalgoが再登場。トイピアノによる優しい音楽をどんどん変調していき、最終的にはノイジーで凶暴な音楽へと変化させていく。ちなみにRrose SelevyはMarcel Duchampの女装時の名だがMarcel DuchampのアフォリズムでRrose Selavyが登場するのはアフォリズム13らしい。n.12が欠番となり本作がn.13となっている所以かもしれない。
- n.14 "First Records" Petr Kotik
アメリカのフルート奏者Petr Kotikの作品。23の楽曲を自由に組み合わせて演奏する代表作「ひそやかに」のNo.1とNo.11を演奏している。しかしただ演奏しただけではなく、限界までテープ速度を落として録音しており独特の音響が楽しめる。
- n.15 "In terram utopicam" Walter Marchetti
n.4からWalter Marchettiも再登場。ピアノと小石を用いた演奏や手製楽器などを用いたよりFluxus色の強い演奏を繰り広げている。
- n.16 "Microphone" David Tudor
4分33秒の初演の演奏者としても知られるDavid Tudorによるノイズ作品。大阪万博での演奏らしい。立体的に迫る音像は誰が聴いても迫力を受けることだろう。
- n.17 "Cheap Imitation" John Cage
Erik Stieの晩年の作品 "Socrate"をJohn Cageがアレンジしようとした際著作権に関する問題のため許可されず、急遽リズムをそのままに音の高さをランダムに決定した作品。Erik SatieとJohn Cageに共通する神秘思想の一端が垣間見られる演奏である。
- n.18 "La Maquina De Cantar" Horacio Vaggione
アルゼンチン出身、スペインからヨーロッパの現代音楽界に飛び出した音楽家Horacio Vaggioneの電子音楽作品。「歌う機械」を意味するタイトル通り、非常にメロディアスで美しい作品となっている。
- n.19 "Cantare la Voce" Demetrio Stratos
Crampsの看板バンドであったAreaのボーカリスト・Demetrio Stratosのソロ作。ホーミーやオペラなどを取り入れた変幻自在の彼のボーカルには圧倒されること間違いない。
関連話題
- Carmps・・・Nova Musichaを発表したレーベル
- Diverso・・・Nova Musichaの兄弟シリーズ。こちらは即興演奏やフリージャズを中心にコンパイルしている。