00【ひづけ】 ◆qp1M9UH9gw
【5】
「……本気で言ってるの?それ」
Xのその質問に、弥子は首を縦に振ってみせた。
彼女の宣言は、彼にとっても予想外なものであった。
自分の命を削りかねないというのに、彼女には何の躊躇いも無かったのである。
ネウロに操られる人形だとしか認識していなかったが、一体どこにそんな勇気があるのか。
「死ぬかもしれないんだよ?大体、生き返るかどうかも分からないんだし」
「それでも、やってみる価値はあると思うの」
もし成功したら、その時は
アンクの助力をして欲しい。
付け加える様に、弥子はそう言ってみせた。
「なんで……そこまでしてネウロを生き返らせようとしたいのさ」
Xだって、今ネウロが蘇ってくれたらどれだけ幸福だろうか。
だが、そんな都合の良い話なんて滅多に起こらないのが世の常であり、
そんな命懸けのギャンブルに挑むなど正気の沙汰ではない。
どの様な意思が、彼女をそこまで駆り立てるのだろうか。
「……私……今までずっとアンクや杏子さんの後ろを歩くばっかりで……これまで何もできなかった……」
ぽつりぽつりと、弥子が理由を述べていく。
確かに、これまでの弥子はアンク達に護られてばかりで、彼らの為に何一つ貢献できていない。
杏子の肉体を復活させる事だってまだ未達成だし、そもそもあれはXにソウルジェムを渡されていなかったら不可能た。
結局の所、弥子はまだ誰かの役に立っていないのである。
「だから……もし誰かの為にできる事があるなら……私……それに賭けてみたいの」
殺し合いの犠牲者が出る度に、何もできない自分が嫌になって。
そんな、何の役にも立ててない自分を変えたかった。
そして今、弥子の目の前にはその願望を叶えるチャンスがある。
例え賭けの範囲の話であったとしても、誰かの為になれるなら、その可能性に縋りたい。
「…………やっぱり信じられないよ……ネウロが……ネウロが、死んじゃうなんて……そんなの、認めたくないよ……!」
そして何より――ネウロに死んでほしくなかった。
あんなサディズムの塊の様な魔人だが、それでも一緒にいて悪い気はしなかった。
突然転がり込んで、いつの間にか弥子の日常の一部になっていたのである。
辛い事もある――というか辛い事ばかりある生活だが、それでもその"日常"が壊れてほしくなかったのだ。
「それに……私なんかがいるより……ネウロが生きてた方が……きっと、皆の為になると思うの……だから、ね」
無理やり作った笑顔から紡がれた言葉は、震えていた。
やはり彼女は、これから起こる事に恐れを抱いている。
だがしかし、彼女が言った事は紛れもなく本心であり、本気で自分の命を賭けるつもりなのだ。
「……ふーん、そっか」
ゆっくりと、Xが立ち上がる。
まるで幽霊の様に緩慢に、弥子がいる方向へ顔を向ける。
バイザーの奥にあったのは――口元に三日月を浮かべた"X"の顔だった。
「だったら、アンタの御言葉に甘えさせてもらうよ」
その瞬間、Xは持ち前の瞬発力で弥子に飛びかかる。
何が起こったのか理解する前に、彼女の意識は暗転するのであった。
【6】
弥子のいた場所から少しばかり離れた場所で、龍騎とアンクの勝負は繰り広げられていた。
ここならば巻き添えを食らう者がいないからか、アンクも存分に戦う事ができる。
ドラグセイバーによる斬撃を、アンクは手にした「aegis=L」で受け流す。
シナプスで製作された防具だけあって、耐久力は一級品のものだ。
これがあるお陰で、アンクは未だ斬撃を食らわずに済んでいるのである。
アンクの方も、クリュサオルで龍騎の装甲に傷を付けようとするのだが、彼の立ち回りも中々のもので、一向にダメージを与えられない。
流石は大組織の幹部だけの事はある――実に気に喰わないが、敵の実力を認めざるを得なかった。
激しい打ち合いの末、龍騎のドラグセイバーが弾き飛ばされる。
剣が弾かれる程度で済んだのは、メダルの消費を躊躇ったアンクが、クリュサオルを最低限の出力で扱っていたからだ。
もしも大出力状態ならば被害を被っていただろう――そういう意味では、龍騎は幸運と言えた。
武器も持たずに挑むのは危険と考えたのか、龍騎は一旦後退し、カードデッキからカードを一枚取り出す。
そして、黒い剣が描かれたそのカードを、左腕に取り付けられたガントレット――ドラグバイザーに差し込んだ。
-SOWRD VENT-
これまで太刀一本でアンクと戦っていた龍騎が、ここで二本目の太刀を召喚した。
今まで獲物としてきたドラグセイバーと色違いのそれは、仮面ライダーリュウガが使う剣である。
本来ならば龍騎が使用する武器ではないのだが、ドラグブラッカーとの契約によって使用可能になったのだ。
後に引けなくなった龍騎の攻撃は、これまで以上の激しさであった。
流石にアンクも余裕が無くなってきたのか、徐々に防戦一方となってくる。
しかし、ただ攻撃に晒され続けるのを容認する程、アンクは我慢強くは無い。
一瞬の隙の内に火球を龍騎に向けて発射し、彼を吹き飛ばす。
そうする事で、アンクは敵と距離を取る事に成功するのであった。
「フン……流石グリードといった所か」
龍騎が、そんな事を言いながら起き上がる。
彼のその様子からして、まだ余力は十分残っているようだ。
だがそれはアンクの方も同じで、この程度ではほとんど疲労していない。
このまま戦い続けていれば、恐らく先に音を上げるのは龍騎の方だろう。
明確な根拠は無いが、今のアンクにはそう思えてしまう程の自信があった。
何しろ、火災現場跡でメダルを拾ってから、すこぶる体の調子が良いのである。
今のコンディションならば、どんな局面だろうが切り抜けられる筈だ。
そんな慢心とすら言える感情が、アンクにはあったのだ。
何にせよ、アンクはこの戦いで負けるつもりなど毛頭ない。
陣営を奪われない為にも、必ず勝利しなければならないのだ。
だがそれは、龍騎とて同じ事である――彼も陣営を手にする為に、全力でアンクを潰しかかっている。
-AD VENT-
龍騎がカードをバイザーに差し込んだと同時に現れるのは、真紅の東洋龍――ドラグレッターである。
咆哮を上げると、龍はアンクに向けて、口から火炎弾を発射した。
アンクはグリードとしての身体能力とイージスを駆使する事で、どうにか直撃を回避する。
火炎弾は全て地面と衝突し、それらは爆発して周囲を煙で満たしていった。
アンクの視界も同様に煙で充満しており、それを利用した奇襲を警戒した彼は、空へと飛翔する。
-FINAL VENT-
その電子音が鳴り響いた直後、アンクは目を見開いた。
彼の視線の先にあったのは、自身と同じ目線になる位置まで浮遊する龍騎と、二体の東洋龍である。
赤と黒の双龍は、宙に浮かんでいく龍騎の周りを飛んでいる。
そして、アンクが瞬きしたその瞬間――龍騎の渾身の蹴りが炸裂した。
滞空している今のアンクに、それを回避する術はない。
真正面から受け止める以外に、彼に出来る事は無いのである。
構えた「aegis=L」が、龍騎の必殺の一撃と激突する。
ダメージは受けなかったものの、生じた衝撃までは吸収できず、バランスを崩したアンクは弾き飛ばされる様に地面に衝突した。
手放してしまった武装を取り戻す為と、アンクは起き上がろうとする。
しかし、彼が立ち上がるより早く、目の前に現れた龍騎の腕が、彼の肉体を貫いた。
肉体の内部を弄られ、激痛がアンクの全身を駆け巡る。
元々高い龍騎のスペックに、
アポロガイストの戦闘技術が加わっているのだ。
腕の力だけでグリードの肉体を貫く事は、彼には十分可能なのである。
「……ほお?グリードの肉体とはこうなっているの――かッ!」
龍騎が勢い良く腕を抜き取ると、セルメダルが周囲に飛び散った。
アンクの体内を弄っていた龍騎の左手には、二枚のメダルが握られている。
それら二枚はいずれも、鳥類の絵柄が目立つ赤色の物であった。
「……!?俺のメダル……返せ……ッ!」
「返せと言われて返す奴がおるか、馬鹿者め」
嘲る様にそう言ってみせると、龍騎は首元にメダルを放り投げる。
どうやらライダーの装甲の上からでも首輪は機能してくれるようで、
二枚のコアメダルはそのまま龍騎に吸い込まれていった。
「雌雄は決したな……どうだアンクよ、命乞いをすれば助けてやらん事もないぞ?」
「ッ!ふざけんな!誰がテメェなんかに媚びるかッ!」
「だろうな――では、潔く死ぬがいいッ!」
龍騎が、手にしたドラグセイバーを振り上げる。
この一撃でアンクの脳天をかち割り、とどめを刺す気でいるのだ。
だがしかし、腕を振って軌道をずらせば、攻撃の回避は十分可能である。
まだこんな場所で、呆気なく消滅するする訳にはいかない――!
アンクが右腕を振るおうとした、その瞬間。
龍騎の影が、何の前触れもなく消失した。
いや、消失したのではない――何者かによって殴り飛ばされたのである。
龍騎の代わりにアンクの傍にいたのは、この場にいる誰もが知る存在であった。
「貴様は確か……ワイルドタイガーか!」
「覚えてくれてたか、そりゃ嬉しいぜ」
殴り飛ばされた龍騎が、その男の名前を呼んだ。
"ワイルドタイガー"――この殺し合いにおいて、堂々と真木に反抗してみせた命知らずだ。
こんな都合の良いタイミングで現れるとは、流石"ヒーロー"を自称するだけの事はある。
「なんだ貴様は……私に二人ががりで戦いを挑むつもりか?」
「……ああ、それなんだけどよ」
そう言うと、"ワイルドタイガー"は龍騎に向けてある物を見せつけた。
反れたその白い物体は、龍騎――もといアポロガイストの生命線となる道具である。
「そ、それは、パーフェクターではないか!今すぐそれを私に渡すのだ!」
「やっぱアンタのか。返してやってもいいぜ……ただし、一旦お前が身を引くってのが条件だけどな」
「……!?お前何勝手に決めてんだ!?」
"ワイルドタイガー"が出した交渉に、アンクが思わず動揺する。
まだ十分戦えるというのに、あえて相手を逃すなど馬鹿のやる事だ。
それなのに、一体この男は何を考えているのだ。
"ヒーロー"の立場であれば、此処は加勢するのが普通ではないのか。
「……良かろう、今日の所は見逃してやるのだ」
「よし、交渉成立ってワケだな」
アンクの事などお構いなしに、"ワイルドタイガー"がパーフェクターを放り投げる。
投げられたそれは、くるくると身を回しながら龍騎の元に渡るのだ。
パーフェクターが彼の頭上近くまで近づいたその瞬間――鳴り響いたのは、一発の銃声だった。
飛んできた弾丸はパーフェクターに見事直撃し、ばらばらになった欠片が地面に散らばる。
アンクが自身の武器であるシュラウドマグナムで、龍騎の手に渡りかけていたパーフェクターを破壊したのだ。
一瞬だけ、世界を沈黙が支配した。
交渉を行った二人は、ただ茫然とする他無かった。
ただ一人――銃口を龍騎に向けたアンクだけが、冷静に敵の姿を見据えている。
「ぱ、パぱ、ぱ、パぱパ、ぱぱ、ぱぱぱパ、パ、パパぱ、ぱ、パ、パパ、ぱ」
アンク達の事などお構いなしに、龍騎は突然"ぱ"の一文字を連呼し続ける。
恐らく"ぱ"から続く単語を言いたいのだろうが、驚愕のあまり呂律が回っていないのだ。
しばらくすると"ぱ"の連呼は止み、僅かな静寂を挟んだ後に、龍騎は叫ぶ。
「パーフェクターがぁああぁああぁあぁぁぁぁぁぁぁぁぁあぁぁあぁぁぁぁぁぁ!!!!」
パーフェクターが、アポロガイストの生命の源が、破壊された。
彼はこれを使って相手の生命力を吸い取り、短い寿命を延ばしているのだ。
これが破壊されたという事は、つまりもう生命力の吸収は不可能となったという事である。
もう寿命を延ばせない――これまで朧気だった"死"が、現実味を帯びた瞬間であった。
落ちた破片を拾い集め、必死になって元の形に戻そうとする。
そんな事で復活する訳もなく、パーフェクターはすぐにばらばらになってしまう。
数回ほどそういう無駄な作業を繰り返した後に、龍騎は顔をあげてアンク達を見据えた。
彼の表情は仮面に隠れて窺い知れないが、怒り狂っているのは間違いないだろう。
「よくも……よくもパーフェクターを破壊してくれたなッ!」
龍騎にとって、アンクは仮面ライダー以上に憎たらしい存在となっていた。
これまで自分の人生を支えてきた道具を破壊されたのだから、無理もないだろう。
「最早あの小娘の事などどうでもいいッ!貴様が一番腹立たしいぞ、アンクッ!」
「そいつはありがたい話だな」
パーフェクターを破壊したのは、アンクがそれに対し危機感を抱いていたからである。
臨戦態勢に移った際に、アポロガイストはパーフェクターを頭部から外していたのだ。
それを見れば、あの道具が戦闘面で役立つものだと判断するのは容易である。
だからこそ、彼にさらなる力を与えるであろうパーフェクターを再度使用させる訳にはいかなかったのだ。
「俺を無視して話進めるからそうなるんだ……で、どうするんだ?タイガーの方は知らんが、俺はまだ戦えるぞ」
「……ッ!今日の所はここで勘弁してやるのだ……!」
パーフェクターを破壊され、更に二対一という人数差。
流石にこの状況で戦うのは無理と判断したのか、龍騎はあっさりと負けを認めた。
こういう場面で冷静になれる辺り、間抜けそうに見えても組織の幹部なのだろう。
「だが忘れるな!私は貴様らにとって大迷惑な存在である事を!次に会った時こそが、貴様らの最期となるのだッ!」
古典的な悪役の台詞を吐いて、龍騎は鏡の世界に逃げ込んだのであった。
【7】
「……礼は言わねえぞ」
アポロガイストが去った後、沈黙を破ったのはアンクであった。
その言葉は、他でもない"ワイルドタイガー"へと向けられたものである。
「いやいいって、そんなもん最初から求めてねえよ」
アンクの無礼な発言に対し、彼は不快感さえ混じらせずにそう言ってみせた。
最初の会場で思った通り、この男は映司の様に無償で人助けをする奴なのだろう。
命を賭ける場面が訪れたとしても、平気で自分の命を天秤にかけるに違いない。
「アンタの連れの
桂木弥子って娘に頼まれてな。
困ってる奴を助けるのは"ヒーロー"として当然だろ?」
「……またアイツか」
どうやらこの男が来たのも、弥子の差し金らしい。
映司の件といい、どうもあの女は横槍を入れるのが好きなようだ。
尤も、彼女のお陰で窮地を救われた事があるのもまた事実。
その点については、あの甘い女を少しは褒めてやってもいいかもしれない。
「俺はアイツの所に戻る。お前は……好きにしろ」
本来ならば、主催の打倒を狙う"ワイルドタイガー"はアンクにとっては邪魔者だ。
一応優勝を狙うつもりでいる以上、彼は早めに排除しておくべき存在だろう。
だが、もし仮に"ワイルドタイガー"を始末したとしたら、弥子は何と言うだろうか。
きっと酷く怒るだろうから、また下らない事でストレスを溜める羽目になりかねない。
だから、不本意ながら助けられた礼として、一度は見逃してやってもいいだろうと考えたのだ。
別に情が沸いた訳ではない。これも考えあっての行動なのである。
アンクは踵を返し、翼を広げ飛翔しようとする――が、彼が空へ羽ばたく事は無かった。
"ワイルドタイガー"の拳が、彼の身体を背中から貫いていたからである。
「ガッ……ァ……!?」
「こうやって腹をブチ抜けば、コアを取り出せるんだろ?
……コア一枚にセルを五十も使ったんだし、これ位のお釣りは貰わないとなァ」
その言葉で、アンクは事の真相に気付く。
この男が都合の良いタイミングで来れたのは、最初から待ち伏せをしていたからだ。
それまで飛び込もうとしなかったのは、コアメダルを奪う方法、あるいはタイミングを見計らう為か。
交渉を行ったのも、本当は手っ取り早く戦闘を終わらせたかったからに違いない。
何にせよ、アンクは騙されたのだ――"ヒーロー"の皮を被った怪物の存在に、気付けなかった。
"ワイルドタイガー"が手を引っ込めると、急激に全身から力が抜けていった。
グリードとしての姿は保てなくなり、元の泉信吾の肉体に戻ってしまう。
今体内に存在するコアメダルは五枚――ウナギとカマキリの二枚を奪われてしまったのである。
「殺しはしねえさ、あの娘から"助けてくれ"ってお願いされてるしな」
「助けてくれ」と頼まれたが、それは決して無事を保障する訳ではない。
馬鹿げた屁理屈であるし、そんなふざけた解釈をした"ワイルドタイガー"を今すぐ殺してやりたいが、
力を奪われた今となっては、どれだけ殺意を抱いても無駄な話である。
「じゃあなアンク、生きてたらまた会おうぜ」
「待て……待ちやが……れ……ッ!」
どれだけ願えど、"ワイルドタイガー"との距離は遠くなっていく。
おまけに、奴は落ちていたクリュサオルと「aegis=L」、そして先程の攻撃で放出されたセルメダルをしっかり回収しているのだ。
幾ら怒気を孕めようが、最早何の意味も無い事は重々承知だが、それでも激怒せずにはいられない。
「許さねえぞ……ワイルド……タイ、ガー…………ッ!」
"ワイルドタイガー"が去った今、残されたのは屈辱感に悶えるアンクのみ。
スーツの内側でほくそ笑む怨敵の本性には、まだ彼は気付けない。
【一日目 夜】
【E-4 路上】
【アンク@仮面ライダーOOO】
【所属】赤・リーダー
【状態】ダメージ(大)、疲労(大)、覚悟、屈辱感、仮面ライダーへの嫌悪感
【首輪】130枚:0枚
【コア】タカ(感情A)、クジャク:1、コンドル:2、カンガルー
【装備】シュラウドマグナム+ボムメモリ@仮面ライダーW
【道具】基本支給品×5(その中からパン二つなし)、ケータッチ@仮面ライダーディケイド
大量の缶詰@現実、地の石@仮面ライダーディケイド、T2ジョーカーメモリ@仮面ライダーW、不明支給品1~2
【思考・状況】
基本:映司と決着を付ける。その後、赤陣営を優勝させる。
0.ワイルド……タイ、ガー……ッ!
1.優勝はするつもりだが、殺し合いにはやや否定的。
2.もう一人のアンクのメダルを回収する。
3.すぐに命を投げ出す「仮面ライダー」が不愉快。
【備考】
※本編第45話、他のグリード達にメダルを与えた直後からの参戦
※翔太郎と
アストレアを殺害したのを映司と勘違いしています。
※コアメダルは全て「泉信吾の肉体」に取り込んでいます。
【X@魔人探偵脳噛ネウロ】
【所属】緑
【状態】疲労(中)、鏑木・T・虎徹の姿に変身中
【首輪】220枚:0枚
【コア】タカ(感情L):1、カマキリ:1、ウナギ:1
【装備】ベレッタ(8/15)@まどか☆マギカ、ワイルドタイガー1minuteのスーツ@TIGER&BUNNY
超振動光子剣クリュサオル@そらのおとしもの、イージス・エル@そらのおとしもの
【道具】基本支給品一式×4、詳細名簿@オリジナル、{“箱”の部品×28、ナイフ}@魔人探偵脳噛ネウロ、アゾット剣@Fate/Zero、
ベレッタの予備マガジン(15/15)@まどか☆マギカ、T2ゾーンメモリ@仮面ライダーW、
佐倉杏子の衣服、ランダム支給品0~1(X:確認済み)
【思考・状況】
基本:自分の正体が知りたい。
1.今は『ワイルドタイガー』として行動する。
2.下記(思考4)レベルの参加者に勝つため、もっと強力な武器を探す。
3.
バーサーカーや
セイバー、アストレア(全員名前は知らない)にとても興味がある。
4.ISとその製作者、及び魔法少女にちょっと興味。
5.
阿万音鈴羽(苗字は知らない)にもちょっと興味はあるが優先順位は低め。
6.殺し合いそのものに興味はない。
【備考】
※本編22話終了後からの参加。
※能力の制限に気付きました。
※Xの変身は、ISの使用者識別機能をギリギリごまかせます。
※傷の回復にもセルメダルが消費されます。
※アゾット剣は
織斑一夏の支給品でした。
※タカ(感情L)のコアメダルが、Xに何かしらの影響を与えている可能性があります。
少なくとも今はXに干渉できませんが、彼が再び衰弱した場合はどうなるか不明です。
【一日目 深夜】
【?-?】
【アポロガイスト@仮面ライダーディケイド】
【所属】赤
【状態】疲労(小)、ダメージ(中) 、精神疲労(大)、絶望
【首輪】60枚:0枚
【コア】パンダ、タカ(十枚目)、クジャク:1
【装備】龍騎のカードデッキ(+リュウガのカード)@仮面ライダーディケイド
【道具】基本支給品、ランダム支給品0~1
【思考・状況】
基本:参加者の命の炎を吸いながら生き残る……筈だったのだ……。
1.???
2.リーダーとして優勝する為にも、アンクを撃破して陣営を奪う。
3.ディケイドはいずれ必ず、この手で倒してやるのだ。
4.真木のバックには大ショッカーがいるのではないか?
【備考】
※参戦時期は少なくともスーパーアポロガイストになるよりも前です。
※アポロガイストの各武装は変身すれば現れます。
※加頭から仮面ライダーWの世界の情報を得ました。
※この殺し合いには大ショッカーが関わっているのではと考えています。
※龍騎のデッキには、二重契約でリュウガのカードも一緒に入っています。
※パーフェクターは破壊されました。
……。
…………。
………………。
……………………。
『……たまえ』
『起きたまえ』
『君の貪欲な脳は、その程度で諦めるのか』
『我を滅ぼした頭脳は、こんな所で生存を放棄するというのか』
『膳立ては既に出来ている……後は君が目覚めるだけだ』
『さあ起きたまえ、脳細胞(ニューロン)の申し子よ――――!』
【8】
――弥子達は、パーフェクターを用いれば蘇生が可能ではないかと推測したが、それは相当難しいだろう。
外部から与えられた傷が原因で死亡したのだから、その傷を修復しない限りは、いくら生命力を与えようが瞬く間にそれは減衰していく。
射殺されたのなら銃痕を消し去り、胴を断ち切られたのなら泣き別れになった肉体を繋げねばならないのだ。
もしそういった手当をしなければ、仮に"命の炎"を吹き込んで蘇生させたとしても、死の瞬間の苦痛を味あわせた末に再び死亡させるのがオチである。
そんな事情もあって、仮に"命の炎"を与えたとしても、本当の意味で生き返るのは、死体がほぼ損傷のない状態の者か、自己再生能力を持った者だけなのだ。
だが、仮に自己再生能力を持っていたとしても、死んでいる以上「死亡してしまう程の傷」を負っているのは間違いない。
その傷を癒すには、再生能力の高さは勿論、大量のメダルが必要不可欠になってくる。
それ故に、"命の炎"を用いての蘇生はかなり厳しいと断言してしまってもいいのだ。
さて、ネウロの制限は少々特殊で、所持しているメダルの枚数がそのまま魔力の量に換算される。
セルメダルを百枚所持していればDRを叩きのめした頃と同程度に、十枚所持していれば衰弱しきった状態になるのだ。
メダルを失えば失うほど、ネウロは弱体化していくという訳だ。
だがこれは、逆に言えば"メダルが百枚を超えれば強化されていく"という事でもある。
当然、魔力が増えるほど戦闘能力、そして再生能力も上昇していく。
命の炎を与えられた後にネウロに渡されたセルメダルは、弥子の120枚とXの50枚、そしてコンドルのコアメダルが一枚。
総数220枚に匹敵する量のメダルは、ネウロに著しい魔力の増幅を促した。
無残なまでの肉体の損傷は見る見る内に回復し、戦う為の気力が湧き上がる。
しかし、ネウロの復活を約束させるのにはまだ足りない――さらに傷を癒す必要があった。
だが、どういう運命の吹き回しなのか。
偶然にも彼を発見したのは、治癒魔法に特化した魔法少女である
美樹さやかだった。
瀕死の状態にあったネウロを見つけた彼女は、すぐさま駆け寄って治療を行う。
それによって肉体の再生はさらに加速し、その結果――――。
「……意識が戻った!」
意識を取り戻してから最初に耳にしたのは、聞き覚えのない少女の声であった。
眼を開いてみると、青髪の少女が自分に何かしているのが見える。
穴の開いた胸部で淡い青色の光が煌めいており、そこの痛みは徐々に引いてきている。
察するに、この光は怪我を治癒する効果があるらしい。
段々と、これまでの記憶を思い出してきた。
自分は確か、
ウヴァにいいようにやられた末に体内から焼き殺されたのである。
思えば、自嘲したくなる程に無様な最期であった。
あのような馬鹿に命を刈り取られるなど、過去最大級の失態だ。
あの虫頭だけは、次に出会ったら徹底的に拷問してやらねば気が済まない。
二度と自分に歯向かえない奴隷に仕立て上げれば、鬱憤も多少は下がるだろう。
それにしても、どうして自分はこうして現世に存在していられるのだろうか。
特に自分から何かした訳でもないというのに、一体何が起こっているのか。
周囲を見渡してみると、黒いジャケットの男が目に入ってきた。
それ以外にも、男のすぐ傍で横たわっている少女が一人。
その金髪の少女は、ネウロが地上にやって来てから、恐らく最も長い時間を過ごした者だった。
大方、空腹のあまり行き倒れてしまったとか、そういう下らない事情があったのだろう。
あの娘が次に目覚めたのなら、どんな暴言で責めてやろうか。
そんなとりとめも無い事を、考えている最中だった。
「……脈が無い。こいつはもう死んでる」
そんな言葉が、耳に入ってきた。
横たわる弥子の脈が、既に消えていると。
治癒を行っていた少女の手が止まり、表情に嘆きが浮かび上がる。
男の方も、自分の無念さを体現する様に顔を顰めてみせた。
だが、ネウロとしては二人の反応などどうでもいい。
弥子の脈が無いというただ一点だけが、彼の心を大きく揺さぶっていた。
桂木弥子が、死んだ。
もう二度と、口を開く事は無い。
弥子がそうであった様に、ネウロもまた楽観視していた。
自分の助手がそう簡単に死ぬとは思えないなどと、高を括っていたのだ。
だが、現に弥子は死んだ事で、それが甘い推測である事を思い知らされた。
治癒された筈の胸部が痛む。
その痛みは、ウヴァに惨殺された屈辱感と、弥子の死を知った喪失感から来るものか。
自身の奥の手を封じられたXは、こんな感覚を味わっていたのだろうか。
そうか、ようやく理解できた。
この失意が、この苦しみこそが――――。
「――――これが、敗北か」
【一日目 夜】
【E-4 住宅地】
※
脳噛ネウロの左腕と右足がネウロの近くにあります。
【
大道克己@仮面ライダーW】
【所属】無
【状態】健康
【首輪】15枚:0枚
【コア】ワニ
【装備】T2エターナルメモリ+ロストドライバー+T2ユニコーンメモリ@仮面ライダーW、
【道具】基本支給品、NEVERのレザージャケット×?-3@仮面ライダーW 、カンドロイド数種@仮面ライダーオーズ
【思考・状況】
基本:主催を打倒し、出来る限り多くの参加者を解放する。
0.重傷を負った男(ネウロ)から詳しい話を聞く。
1.さやかが欲しい。その為にも心身ともに鍛えてやる。
2.T2を任せられる程にさやかが心身共に強くなったなら、ユニコーンのメモリを返してやる。
3.T2ガイアメモリは不用意に人の手に渡す訳にはいかない。
4.財団Xの男(加頭)とはいつか決着をつける
5.
園咲冴子はいつか潰す。
【備考】
※参戦時期はRETURNS中、ユートピア・ドーパント撃破直後です。
※回復には酵素の代わりにメダルを消費します。
※仮面ライダーという名をライダーベルト(ガタック)の説明書から知りました。ただしエターナルが仮面ライダーかどうかは分かっていません。
※魔法少女に関する知識を得ました。
※NEVERのレザージャケットがあと何着あるのかは不明です(現在は三着消費)。
※さやかの事を気に掛けています。
※
加頭順の名前を知りません。ただ姿を見たり、声を聞けば分かります。
※仮面ライダーエターナルブルーフレアのマキシマムドライブ『エターナルレクイエム』は、制限下においてメダル消費60枚で最大の範囲に効果を及ぼします。
エターナルレクイエムの『T2以外の全てのガイアメモリの機能を永久的に強制停止させる』効果は、最大射程距離は半径五キロ四方(エリア四マス分)となります。
また発動コストにセルメダル10枚が設定されており、それ以上メダル消費の上乗せをせず使用すると、半径二千五百メートル四方(エリア一マス分)に効果を及ぼします。
なお、参加者個人という『点に対して作用する』必殺技としての威力は、メダルの消費数を増減させても上下することはありません。
メダル消費量で性能に制限を受けるのは、あくまでMAPの広範囲に『面として作用する』ガイアメモリの機能停止に関する能力だけです。
【美樹さやか@魔法少女まどか☆マギカ】
【所属】青
【状態】健康
【首輪】20枚:0枚
【コア】シャチ(放送まで使用不可)
【装備】ソウルジェム(さやか)@魔法少女まどか☆マギカ、NEVERのレザージャケット@仮面ライダーW、ライダーベルト(ガタック)@仮面ライダーディケイド
【道具】基本支給品、克己のハーモニカ@仮面ライダーW
【思考・状況】
基本:正義の魔法少女として悪を倒す。
0.傷だらけの人(ネウロ)を治す。
1.克己と協力して悪を倒してゆく。
2.克己やガタックゼクターが教えてくれた正義を忘れない。
3.T2ガイアメモリは不用意に人の手に渡してはならない。
4.財団Xの男(加頭)とはいつか決着をつける
5.マミさんと共に戦いたい。まどかは遭遇次第保護。
6.
暁美ほむらや佐倉杏子とは戦わなければならない。
【備考】
※参戦時期はキュゥべえから魔法少女のからくりを聞いた直後です。
※ソウルジェムがこの場で濁るのか、また濁っている際はどの程度濁っているのかは不明です。
※回復にはソウルジェムの穢れの代わりにメダルを消費します。
※NEVERに関する知識を得ました。
【脳噛ネウロ@魔人探偵脳噛ネウロ】
【所属】黄
【状態】ダメージ(極大)、右肩に銃創、右手の平に傷、全身に火傷(以上、全て再生中)
疲労(極大)、左腕&右足切断、弥子の死に対する動揺
【首輪】60枚(消費中):0枚
【コア】コンドル:1(放送まで使用不可)
【装備】魔界777ツ能力@魔人探偵脳噛ネウロ、魔帝7ツ兵器@魔人探偵脳噛ネウロ
【道具】基本支給品一式
【思考・状況】
基本:真木の「謎」を味わい尽くす。
0.???
※DR戦後からの参戦。
※
ノブナガ、キュゥべえと情報交換をしました。魔法少女の真実を知っています。
※魔界777ツ能力、魔帝7ツ兵器は他人に支給されたもの以外は使用できます。しかし、魔界777ツ能力は一つにつき一度しか使用できません。
現在「妖謡・魔」「激痛の翼」「透け透けの鎧」「醜い姿見」を使用しました。
※制限に関しては第84話の「
絞【ちっそく】」を参照。
【9】
目覚めて早々、自分は死ぬのだな、と思った。
もう目を開けるのさえ億劫で、瞼を閉じればすぐに眠りについてしまうだろう。
もし眠ったとしたら、きっともう二度とは目覚めない事も理解できていた。
恐らく、気絶させられた後に、パーフェクターで"命の炎"を根こそぎ奪われたのだろう。
それを行ったのは他でもないX本人である事など、推理しなくても分かっている。
後悔なんて、ある訳ない――なんて事は決して無く。
やりたい事は山ほどあったし、それを成し遂げれなかった悔しさだって相当のものだ。
だが、それら以上に大きかったのは、ただ一つの事柄への不安であった。
"命の炎"が奪った後、Xはどうしたのだろうか。
もうこの場にいない彼は、果たしてネウロに"命の炎"を与えたのか。
今はただ、そればかりが気がかりであった。
頭を僅かに動かして、ネウロの方に目を向ける。
そこにあったのは、僅かではあるが呼吸をしているネウロの姿だった。
ああ、良かった――Xはちゃんと、約束を果たしてくれたのか。
本当なら、ネウロが目覚めるまで起きていたかった。
一言だけでもいいから、彼と言葉を交わしたかった。
だが、そんな意思などお構い無しに、身体は睡眠を欲し続ける。
きっとあと数分も経たない内に、自分は睡魔に負けるのだろう。
名残惜しいが、そればっかりはどうにもならない運命であった。
「……ネウ、ロ」
思い出されるのは、ネウロとの最後の会話。
お前の日付はいつになったら変わるのかと、淡々とした口調でそう言われた。
あの言葉は、今まで受けたどんな暴言よりも自分の心に重く響いていた。
「私の日付……変われた、かな?」
この瞬間に、自分はあの頃から少しは変われただろうか?
自分の中にある時計の針を、1ミリでも動かせれただろうか?
それを知る術がないが、変わっていれば嬉しいな、と。
自分の行いが、僅かでも希望となってくれれば幸せだ、と。
それだけを願いながら、弥子は深く長い眠りに就く。
――――それっきり、彼女が目を開く事は無かった。
【桂木弥子@魔人探偵脳噛ネウロ 死亡】
※桂木弥子の遺体の傍に以下の支給品が放置されています。
「基本支給品一式、桂木弥子の携帯電話+あかねちゃん@魔人探偵脳噛ネウロ、ソウルジェム(杏子)@魔法少女まどか☆マギカ、
魔界の瘴気の詰った瓶@魔人探偵脳噛ネウロ、
衛宮切嗣の試薬@Fate/Zero、赤い箱(佐倉杏子)」
最終更新:2014年07月01日 00:19