DRAGON QUEST ダイの大冒険(アニメ第1作)の最終回

※ 原作漫画版の最終回は、本家エンディングドットコムをご覧ください



圧倒的なバランの攻撃の前に
クロコダインも傷つき、倒れた。

レオナの回復呪文(ベホマ)により復活するダイ。
必殺のアバンストラッシュと
獣王会心撃がバランを襲う。

今、最後の戦いが始まろうとしていた。




ダイよ立ち上がれ!
勇者の道は永遠に!




魔王軍六大軍団長の1人、竜騎将バランは、主人公ダイの父親であった。
ダイは、仲間のポップ、レオナ、クロコダインと共に、バランに挑む。
激戦の末、ダイとクロコダインの同時攻撃がバランに炸裂し、激しい爆煙が上がる。

ポップ「き、決まった!」

クロコダインが、バランに受けた目の傷を抱え、ひざまづく。

ダイ「あっ、クロコダイン!?」
クロコダイン「ぶ…… 無事だったか、ダイ」
ポップ「だ、大丈夫かよ、おっさん?」
ダイ「目をやられちゃったの!?」
クロコダイン「こ、このくらい、どうってことはない」

祖母ナバラと共に隠れていた占い師のメルルが、飛び出して、クロコダインの傷を診る。

ナバラ「あっ、メルル、お待ち!」
ポップ「メルル?」
メルル「大丈夫。瞼を切られただけで、眼球は傷ついていないみたいです」
ポップ「あんたたち、まだ逃げてなかったのかよ!?」
ナバラ「逃げたかったんだけどね。この子がどうしても、お前さんのことが気になるらしくてな」
ポップ「え……!?」
メルル「わ、私だって簡単な回復呪文くらいできます」
ダイ「いけない! 手当はレオナに任せて、早く逃げるんだ!」
クロコダイン「ダイの言う通りだ、お嬢さん。他の奴らはともかく、今、我々の戦っている相手は、地上最強の男なのだ」
ポップ「でもよ、いくら何でもあんなすげぇのを食らっちゃぁ、な? ……あっ!?」

爆煙がやみ、バランが無傷の姿で現れる。

ダイ「や、やっぱり!」
レオナ「竜闘気(ドラゴニックオーラ)を全開にして、全身を防御したんだわ!」
ポップ「す、すげぇ…… どど、どうしようもねぇ! アバンストラッシュと獣王会心撃を同時にブチ込んでも無傷じゃ、打つ手がねぇじゃねぇかよ!」
ダイ「……いや、効いてる」
一同「えっ!?」

バランの額から、血が流れる。

レオナ「血!?」
ポップ「ち、血だ」
メルル「私たちと同じ、赤い血だわ!」

バラン (何!? ば、馬鹿な…… 私の竜闘気を貫き、肉体を傷つけたというのか!? 如何に仲間の助力を得たとはいえ、あんな小さな子供が!? 恐るべき子だ、我が子ながら。だが、あの子だけの力ではない。仲間たちの力が、大きく作用している。その絆を断ち切ってしまわぬ限り、ダイの力は果てしなく大きくなる。下手をすれば、この私をも脅かすほどに……)

ダイ「クロコダイン、俺たちの技は全く効かなかったわけじゃないんだ!」
クロコダイン「こうなったら、奴が倒れるか、我々が倒れるか、力尽きるまで技を振るうのみ!」
バラン「残念だが、同じ手は二度と食わん。あのような奇策でギガブレイクをかわすことは、もうできまい。だが、万に一つということもある。その子は恐ろしい可能性を秘めている。私はこの場で、残る全精力を傾けて、ダイの力の源を奪う!」
ダイ「何!?」
一同「えっ!?」
ダイ「俺の力の…… 源!?」
バラン「うぅおおぉ──っ!!」

バランが全身に闘気を漲らせたかと思うと、突如、その闘気が消える。

クロコダイン「と、闘気が消えた!?」
ダイ「何をするつもりなんだ!?」
バラン「はあぁぁ──っっ!!」

バランの気合と共に、ダイの額の(ドラゴン)の紋章が、ひとりでに現れる。

ダイ「ど、どうしたんだ!? 紋章が、勝手に!? わああぁぁ──っっ!?」

バランの紋章の輝きを受けて、ダイが頭を押さえて苦しみだす。
激しい音が響き、一同も耳を押さえて苦しむ。

ポップ「な、何だ、この音は!?」
クロコダイン「きょ、共鳴しているんだ! 2人の竜の紋章が!」
バラン「ダイよ! お前の、お前の記憶を奪う!! ディーノに戻るのだ!!」
ダイ「うわぁぁっ!! 頭が割れそうだぁぁ!!」

ダイの脳裏に、仲間たちの姿が現れ、そして次々に消えてゆく。

ダイ「レ、レオナ!! ヒュンケル、マァム!! 爺ちゃん!! 消えてく…… 僕の想い出が、やめてくれぇぇ──っっ!」


デルムリン島、ダイの育ての親のブラス老。
花瓶が風に煽られ、床に落ちて割れる。

ブラス「何じゃ? 一体、この胸騒ぎは。ダイの身の上に、何か起こっているというのか?」


ダイの仲間のマァムは、修行途中の森の中で、泉で渇きを潤している。

マァム「静かね。心が洗われるようだわ」

胸につけているペンダント「アバンのしるし」が、日光を受けて輝く。

マァム「ダイが…… ダイが苦しんでる? 苦しんでるんだわ。わかる、私にはわかるわ」


同じく修行中のダイの仲間のヒュンケルは、廃墟を訪れている。
彼もまた、「アバンのしるし」に、何かを感じとる。

ヒュンケル「むっ? ダイたちに…… もしや!?」


レオナ「一体、何なの!? バランは、何を狙っているの!?」
クロコダイン「記憶喪失だ」
一同「えっ!?」
ポップ「じゃ、記憶を吸い取る呪文か何かだっていうのか、あれは!?」
クロコダイン「いや、恐らく竜の紋章の共鳴を利用して、全エネルギーを集中し、思念波に変えて、ダイの頭脳に送り込んでいるのだろう。ちょうど、大きな波が小さな波を掻き消してしまうように、膨大なエネルギーが、まだ小さなダイのエネルギーを消す。その結果……」
レオナ「ダイは、全ての記憶を失うっていうの!?」
ポップ「そんな!?」
レオナ「嫌よ! そんなの、絶対に嫌!!」

ポップが共鳴に堪えつつ、立ち上がる。

メルル「あっ、ポップさん!?」
ナバラ「おやめ!」
ポップ「俺に…… 俺に今できることは、この体を捨てて、全力でぶつかって行くことだけだ!! わああぁぁ──っっ!!」

ポップが杖を振るい、バラン目がけて突進する。

バラン「はぁぁっ!!」
ポップ「わぁっ!?」

バランが闘気を放つや、ポップが一発でふっ飛ばされる。

バラン「死ぬ気か? 『美しい友情』とかのために」
ポップ「そ、それが…… どうしたってんだよ!? ダイと俺たちが戦ってきた想い出を、おめぇなんかに、おめぇなんかに消されてたまるか!!」
バラン「美しい友情も、そこまでだ!」
レオナ「やめて!」

レオナもまた立ち上がり、ポップと共にバランに挑む。

レオナ「あなたには、そんな権利なんか無い! たとえあなたが本当の父親だとしても、ダイくんが必死に生き抜いてきた人生を、奪う権利なんか無い!!」
バラン「薄汚れたお前ら人間どもに、俺の心の傷がわかってたまるか!!」

バランの前に、ポップとレオナがまとめてふっ飛ばされ、地面に叩きつけられる。

クロコダイン「ポップ、レオナ!? す、凄まじい闘気(オーラ)の力だ!」
バラン「もう邪魔はさせん」

大地が割れ、地面から竜巻が立ち上る。
ダイとバランは、竜巻のような壁に完全に包まれる。

壁の中は別世界と化し、バランの前で、ダイが力尽きて倒れている。

バラン「この世界は、思念波で作った壁の中の別の世界。表の世界からの邪魔は、もう入らない。ディーノよ! 余計な思い出は捨てて、父との新しい人生を始めるのだ!」


デルムリン島で、ブラスがダイの身を案じている。

ブラス「ダイよ…… 何が起こったのじゃ!? ダイ──っっ!!」


マァムは「アバンのしるし」を手に、祈りを捧げている。

マァム「ごめんね、ダイ。私は一緒に戦うことができない…… 今、私にできることは、ただあなたのために祈ることだけ……」


ヒュンケルは、ダイのもとへ急いでいる。

ヒュンケル「がんばれ、ダイ! 如何なることがあろうと、俺が到着するまで生き延びていろよ!!」


バラン「ダイよ! すべて忘れ、ディーノとして生まれ変わるのだ!!」

ダイの手が微かに動く。

バラン「むっ!?」
ダイ「渡さない……」
バラン「まさか!?」
ダイ「渡さない……!」
バラン「そ、そんな馬鹿な!?」
ダイ「俺の、一番大事なものは渡さない! 友達との思い出を、渡してたまるかぁ!!」

ダイが力強く立ち上がり、額に竜の紋章が輝く。

バラン (な、何という奴! 竜の紋章の力までも退けてしまったというのか!?)
ダイ「みんな…… みんな! 俺に力を貸してくれ!!」
バラン「無駄だ! お前の声は表には届かん。そして表からの声もお前には……」
声「ダイ!」
バラン「うっ!?」

ポップの姿が現れ、バランの側を横切る。

声「ダイ!」「ダイ!」

続いてマァム、ヒュンケル、レオナ、クロコダイン、ブラスの姿が、次々に現れる。

バラン「こ、こんなことが……!?」

仲間たちの幻影が、ダイのもとに集う。

バラン「ま、幻か!? こんなことが!?」
ダイ「たとえ誰であろうと、友達との思い出を奪うなんて、許せない!!」

ダイの闘気が光の剣と化して、ダイの手に握られる。
仲間たちの幻影も光となり、剣と一体化し、剣身がまばゆく輝く。

バラン「こ、これが…… ディーノの闘気なのか!?」

ダイ「アバ──ンストラ──ッシュ!!

バラン「わああぁぁ──っっ!!」

ダイの渾身の力を込めた剣撃が、バランに炸裂する。

ダイとバランを囲っていた壁が、粉々に砕かれる。
ダイが憔悴しきって倒れ、一同が駆け寄る。

一同「ダイ!」「ダイ!」

バランは上空で、その様子を見降ろしている。

バラン「ディーノはすでに、私に匹敵する力を持った。これが友情の力か…… しかし、この次に会うときは、対等の力を持つ敵として、相まみえる。油断はせぬぞ! 我がライバルよ!!」

バランが、空の彼方へと飛び去る。

異常なまでの人間への憎悪を残したまま、
バランは去った。


魔王軍本拠地の奇岩城で、魔軍司令ハドラーが、ダイとバランと戦いのことを知る。

ハドラー「な、何とあやつ、あのバランさえも退けてしまった…… 一体どこまで成長するのだ!?」

魔界の支配者、大魔王バーンの声が響く。

バーン「ハドラーよ──」
ハドラー「大魔王バーン様!」
バーン「最早ダイとの戦い、一刻の猶予もならぬ。ダイを倒さねば、世界を我らのものにすることも叶わぬ──」
ハドラー「必ず、必ずやダイを!」
バーン「ダイとの戦いは、我らの運命を変えることになるやもしれぬ──」


一方で、ダイと仲間たち。

一同「ダイ!」「ダイ!」

ダイが意識を取り戻す。

一同「ダイ!」「ダイ!」
ダイ「ポップ、レオナ…… みんな、無事だったんだね! みんな、ありがとう。みんなの心が届いた! そのお陰で戦えたんだ。マァムもヒュンケルも、そして、爺ちゃんも一緒だった!」
レオナ「信じ合い、そして支え合ってきた私たちの心は、いつも一つよ」
ダイ「うん!」
ポップ「そうさ! たとえ、どんなに離れ離れでもな。俺たちゃ、仲間だもんな!」
ダイ「みんな! これからも…… 僕と一緒に戦ってくれるかい?」

ポップはダイの肩をポンと叩き、ウインクで答える。

レオナ「うん!」
クロコダイン「ダイ、これからも頼むぞ」
ダイ「みんな…… みんな、ありがとう!」
ポップ「まぁ~、僕ちゃんがいなけりゃ、何にもできないんだから、しょうがねぇやなぁ、まったく」
ゴメ「ピィ、ピィ」
ポップ「ちょっと、何だよぉ!?」


一同が帰途につく。

ダイがふと足を止め、夕陽をみつめる。
マァム、ヒュンケル、ブラスの姿、そして師のアバンの姿が、夕陽に重なる。

ポップ「おい、ダイ!! モタモタしてると、おいってっちゃうぞ!!」
ダイ「あっ、待ってよぉ!!」
ポップ「遅い遅い!! 足が短いんだから、おめぇはよぉ!!」
一同「アハハハハハ!!」



少年は一つの苦難を乗り越えた。
されど勇者の道は。遠く険しい。
ダイよ進め、勇者の道を──



進め 勇者の道を……

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最終更新:2020年09月30日 07:15