ウルトラマンR/Bの第24話


カツミ「母さんの活躍で、ルーゴサイトを
クリスタルにすることに成功した」
イサミ「ガス状から固体に相転移。
さすがだぜ、母さん。まだまだ敵わないな!」
カツミ「もう少しで異次元に
封印できるとこだったのに」

サキ「これは完全に消滅させなければ、
意味が無い」

イサミ「美剣の奴が、また邪魔してきやがった。
あいつ、そんなに地球を爆破したいのかっての」
カツミ「結局、ルーゴサイトは
怪獣化してしまった……!」
イサミ「最終決戦が近づいてきた、
って感じだな!」



ミオがアイゼンタワーで、コンピューター相手に奮闘している。

ダーリン「何やってるんですか!? 早く避難してくださぁ~い!!」
ミオ「愛染くんの遺したデータに、何か役に立つものがあるはず!」


カツミとイサミは、サキの変身した怪獣グルジオレギーナとの戦いに敗れ、気を失って倒れている。
父のウシオと妹のアサヒが、車で駆けつける。

アサヒ「カツ兄、イサ兄!?」
ウシオ「カツミ、イサミ、しっかりしろ! 車に乗せよう」
アサヒ「はい!」

そばに、2人のルーブジャイロが転がっている。

(ミオ『これだけは約束して。絶対に2人を、ウルトラマンにさせないで! 私を信じて…… お願い』)



私はハッピー



ダーリン「データ、出しま~す」

画面に「ひみつ AZ計画」なるファイルが表示される。

ミオ「AZ、計画……」
ダーリン「パスワードを入れてください」
ミオ「ハイ、ダーリン。パスワードを教えて」
ダーリン「これは、第一級機密です!」
ミオ「そんな固いこと言わないで~! 私とあなたの仲じゃない?」
ダーリン「駄目です!」
ミオ「ケチ!」


綾香市の人々が逃げ惑う。
サキのもとに、ダーリンのドローンが飛来する。

ダーリン「お待たせ~!」
サキ「ハイ、ダーリン。例の作戦を準備するんだ」
ダーリン「それには時間が必要です」
サキ「時間は、私が稼ぐ」

音声『グルジオレギーナ』

サキが怪獣グルジオレギーナに変身し、ルーゴサイトに立ち向かう。

サキ「うわああぁぁ──っっ!!」


ウシオの車の中で、カツミが意識を取り戻す。

アサヒ「カツ兄、大丈夫?」
カツミ「ア、アサヒ…… い、一体、ここは?」
アサヒ「綾香市の外れです」
カツミ「おい、イサミ、起きろ! 目ぇ覚ませ、イサミ!」
イサミ「うぅ……ん」

カツミとイサミが飛び出し、アサヒも続く。
グルジオレギーナとルーゴサイトの、激しい戦いが繰り広げられている。

カツミ「あれがルーゴサイトの怪獣形態!?」
イサミ「あんなのと戦うのか!」
カツミ「やるしかない」
カツミ・イサミ「俺色に──」

カツミとイサミが変身しようとするものの、ルーブジャイロが無い。

イサミ「カツ兄、ジャイロが!?」
カツミ「俺のも!?」
ウシオ「お前たちのジャイロは、俺が預かった!」

ウシオが、厳しい視線を向けている。

ウシオ「乗れ」
カツミ「どういうことだよ、父さん!?」
イサミ「冗談言ってる場合じゃないよ! 今すぐあいつを止めないと!」
ウシオ「これは母さんとの約束だ! たとえ何があろうと、俺はお前たちをウルトラマンにはさせない!」
カツミ「父さん!」

車から、アラーム音が響く。
カーテレビの録画映像で、ミオが語りかけている。

ミオ『はい、皆、揃ってるかなぁ~? 皆がこれを見てるってことは、合流場所に着いたのね?』
イサミ「母さん……」
ミオ『うーたんに、2人をウルトラマンにしないように、お願いしました。その理由は、以前話したよね』
一同「……」

ミオは異次元にいたとき、カツミとイサミがウルトラマンとなり、ルーゴサイトに敗れ去る未来を見ていた──

ミオ『心配しないで。地球を救う方法があるから! ちょっと遅くなるけど、必ずそこに行くから、待ってて。あと、カツミ、イサミ。万が一そこにも危険が及ぶようなことがあれば、そのときは非常事態よ。あなたたちの力で、家族を守ってあげて。……それじゃ、また後で!』

ミオが明るい仕草で手を振り、映像が切れる。

カツミ「母さんはどうやって、地球を救うつもりなんだ?」
イサミ「いくら母さんでも、そんなことできないっしょ!」
ウシオ「俺は、母さんを信じる。地球を救う方法を完成させて…… 必ずここに来てくれる!」


ミオはアイゼンタワーで、手当たり次第にパスワードを試している。

ダーリン「ブッブー! 違います」
ミオ「石橋に、当たって砕けろ!」
ダーリン「ブッブー!」
ミオ「安全第一!」
ダーリン「ブッブー!」
ミオ「愛染第一!」
ダーリン「ブッブー!」
ミオ「違うか……」


グルジオレギーナとルーゴサイトの激闘が続く。

サキ「まだ…… もう少し!」


アサヒ「ツルちゃん……」

カツミ「父さんに止める権利は無いはずだ!」
イサミ「俺たちは自分の意志で!」
ウシオ「駄目だと言ったら駄目だ!! ……父さんは、湊家の家長だ。家族を守る義務がある!」
カツミ「お願いだ…… 父さん、行かせてくれ!」
ウシオ「駄目だ!! 皆一緒に、ここで母さんを待つんだ」


地面に光の帯が立ち上り、四方からアイゼンタワーへと伸びてゆく。

サキ「来た……!」


ダーリン「レイライン、発動しました!」
ミオ「あっ!? もう、時間が無い!」


イサミ「ひょっとすると、今のがレイライン?」
カツミ「レイライン?」
イサミ「あいつが言ってた。レイラインの終着点には、とてつもないパワーが生まれるって。そのパワーと美剣の生命エネルギーを爆発させれば、地球爆破も可能だって」
アサヒ「ツルちゃん……」
カツミ「そうなれば、美剣だけじゃない。この町の人も。いや、この星の皆が犠牲に…… ねぇ、父さん。父さんは家族が助かれば、それでいいの!?」
イサミ「クワトロMを支えてくれたこの町の人たち、皆、家族じゃん!」
ウシオ「……」

アサヒが、無我夢中で駆け出す。
カツミが咄嗟に、アサヒを制する。

カツミ「アサヒ!? 待て!」
アサヒ「離してぇ!! 私、行きます! こんな私でも、何かできることがあるかもしれません!」
カツミ「お前が行っても、どうしようもないだろ!?」
アサヒ「だって、ツルちゃんは私の大切な友達です!! 私、ツルちゃんに死んでほしくない!! 助けてあげたいんです!! 離してくださぁい!!」
カツミ「アサヒ! アサヒぃ!! ……わかった。お前の想いは、全部俺たちに任せろ! な?」
イサミ「そうだ。俺とカツ兄で何とかする。心配すんな、アサヒ」

カツミとイサミの言葉に、アサヒが涙ぐみつつ、頷く。
無言で背を向けていたウシオが、振り向く。

ウシオ「なぜ…… お前たちだけが、犠牲にならなければならないんだ?」
カツミ「俺たちは、ウルトラマンだから! この星に生きとし生けるもの、すべての命を救うのが使命なんだ!」
イサミ「カツ兄の言う通りだ。それに恐らく母さんは、アイゼンタワーにいる!」

カツミとイサミが、駆け出そうとする。

ウシオ「待て! 乗れ」
カツミたち「……」
ウシオ「アイゼンタワーに行くんじゃないのか? お前たちだけで行かせるわけにはいかんだろ!!」
カツミ「父さん……!」


サキ「あと…… 少し! わああぁぁ──っっ!!」


カツミとイサミたちは、ウシオの車でアイゼンタワーを目指す。


サキ「ハイ、ダーリン、バリアーを張って!!」
ダーリン「ラジャー! バリアー、始動~!」

ルーゴサイトとグルジオレギーナとの戦いで、瓦礫が舞い、ウシオの車にも瓦礫が降り注ぐ。

ウシオ「危なぁい!!」

ウシオが咄嗟にハンドルを切るものの、車は瓦礫で足止めされてしまう。
アサヒが夢中で、車から飛び出す。

ウシオ「アサヒ!?」

ウシオが慌てて、アサヒを追う。
さらに無数の瓦礫が飛来する。

ウシオ「アサヒぃ──っ!!」

ウシオが咄嗟にアサヒの盾となり、自ら瓦礫を浴びる。

ウシオ「うっ、うぅっ……!」
アサヒ「お父さん!? お父さん!! 大丈夫!?」
カツミ「父さん!?」
イサミ「大丈夫!?」


ミオ「あれも違う、これも違う! うぅん…… もう、面倒くさぁ──い!!」
ダーリン「ピンポ──ン! 正解!! パスワード、一致しましたぁ!」
ミオ「え……? 当たっ……ちゃっ……た?」
ダーリン「ファイル・オープン!」

愛染の秘蔵ファイルの内容が公開され、ミオが目を見張る。

ミオ「これは…… 大型ハドロン衝突型加速器! 量子ビームを高速で衝突させて、ディメンションホールを作り出す!? 愛染くんは、ウルトラマンになって異次元に飛び出そうとしてた…… それにしても、とんでもない物を完成させていたのね!」


カツミとイサミは、負傷したウシオを、車内に運び込む。

カツミ「父さん、ここにいて」
ウシオ「待て。……トランク」

カツミたちが車のトランクを開けると、ルーブジャイロがある。

カツミ「父さん…… いいのか?」
イサミ「母さんとの約束……」
ウシオ「お前たちに意見されて、へへ、父さんちょっと、嬉しかったかも…… いつの間にか、大人になりやがって」
カツミ「……」
ウシオ「きっと母さんだって、許してくれるさ。カツミ、イサミ。皆のために、思いっきり働いてくれ!」
カツミ「……ありがとう、父さん」
アサヒ「カツ兄、イサ兄。ツルちゃんを助けてあげて!」


グルジオレギーナが強烈な攻撃を繰り出すが、ルーゴサイトには一向に通用しない。
逆にルーゴサイトの猛攻が、グルジオレギーナに降り注ぐ。

サキ「うぅっ!? ハイ、ダーリン、怪獣拘束システムを発動!! トラクタービームのターゲットをルーゴサイトに!!」
ダーリン「はぁい! トラクタービーム、発射!」

アイゼンタワーからビームが放たれ、ルーゴサイトの動きを封じる、

サキ「1300年間、この時を待っていた!!」

サキが険しい顔でクリスタルを鷲掴みにし、渾身の力を込める。

サキ「レイエネルギーと、このクリスタルの力で! 今度こそこの星諸共、お前を、お前を倒す!! うぉおおぉ──っっ!!」

ダーリン「レイエネルギー、数値急上昇!」
ミオ「まずい!! どちらが勝っても、このままじゃ地球はおしまい!!」

サキ「これが…… 最後のクリスタル!!」


カツミ・イサミ「俺色に染め上げろ、ルーブ!」「セレクト・クリスタル!」

音声『ウルトラマンタロウ!』『ウルトラマンギンガ!』
音声『ウルトラマンロッソ フレイム!』『ウルトラマンブル アクア!』

カツミとイサミが、ウルトラマンロッソとブルに変身して、地上に降り立つ。

ミオ「そんな……!? うーたん、何やってんのよぉ!?」

ルーゴサイトの放った最強光線ゲネシスレクエムを、ロッソとブルが食い止める。
サキの視界の中、かつてサキの兄2人が、命懸けで自分を守った光景がだぶる。

(『お前は…… 生きろ』)

サキ「兄さん……」

サキが涙ぐみ、その手からクリスタルが零れ落ちていく。

ダーリン「レイエネルギー、数値低下!」

ロッソとブルが攻撃に耐えきれず、吹っ飛ばされる。
それでも2人はなお、力を振り絞って立ち上がる。

ロッソ・ブル「来い!」
サキ「兄さん…… 兄さぁん!!」

グルジオレギーナが、ロッソとブルの前に飛び出し、盾となる。
ルーゴサイトのゲネシスレクエムが、グルジオレギーナに直撃し、胴を貫通する。

サキの体が宙に放り出される──

アサヒ「ツルちゃぁぁん!!」
ロッソ・ブル「美剣ぃぃ!?」

ウルトラマンロッソはウインドに、ウルトラマンブルはグランドに変身し、ルーゴサイトへ立ち向かってゆく。


アサヒ「ツルちゃぁん!! ツルちゃぁん!!」

瓦礫の散乱する中に、サキがボロボロの姿で倒れている。
アサヒが駆け寄る。

アサヒ「ツルちゃん、ツルちゃぁん!! 死んじゃ嫌だぁ!! ツルちゃぁん!!」

サキがアサヒの腕の中で、微かに目を開く。

サキ「私の、名前は…… グリージョ……」
アサヒ「グリージョ……?」
サキ「あなたたちなら、出来るはず…… 3人が力を合わせれば……」

サキが弱々しく差し出したルーブジャイロを、アサヒが受け取る。
サキの目が次第に、閉じてゆく。

アサヒ「しっかりしてぇ!!」

アサヒの涙の滲む頬を、サキが力ない手で、優しく触れる。

サキ「もういいよ…… もう、十分…… お前たちに逢えて……」
アサヒ「え……」
サキ「私は…… ハッピー……」

サキが初めての笑顔を浮かべ、事切れる。
その体が無数の光の粒子と化し、空へ昇ってゆく。

アサヒがサキに渡した飴玉だけが、乾いた音と共に、地面に転がる。


アサヒ「ツルちゃああぁぁ──ん!!」


(続く)



※ この続きは、ウルトラマンR/Bの最終回をご覧ください

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最終更新:2020年09月30日 07:17