大怪獣バトル ウルトラアドベンチャーの第1話

第1話
開戦! 大怪獣バトル


ウルトラマンや怪獣たちの戦いから遥かに時代の流れた世界。

主人公の少年・御蔵(みくら)イオが、友人のダイと、ゲーム『大怪獣バトル』で対決している。
イオの操る怪獣古代怪獣ゴモラが、ダイの操る宇宙恐竜ゼットンを撃破する。

イオ「ようし やったぁ!
ダイ「そんな… ゼットンがゴモラに負けるなんて…」

友人の少女アカネや、他の友人たちが感嘆する。

イオ「どんなに強い怪獣にも苦手なことはある そこを自分の得意技で突けば 勝つチャンスはいつでもあるさ」
ダイ「怪獣についての知識じゃ 怪獣ハカセの御蔵にかなうヤツはいないもんなぁ 鳴き声や足あとだけで名前当てちゃうくらいだしな」
アカネ「敵を知り己を知れば百戦危うからずってやつね」
イオ「…敵お尻? なに?」
アカネ「…もうバカッ!! 学校の勉強も怪獣のことと同じくらいできればねー」


イオ、ダイ、アカネが帰り道を行く。

イオ「でもさ 怪獣をきっかけに いろんなことわかったりするよ 一兆度とか四次元とかも知ったし 多々良島って漢字で書ける?」
アカネ「そりゃま そういうこともあるかもしれないけど 怪獣はずっと昔に滅びちゃったのよ」
イオ「そうなんだよね… もっと昔に生まれて 本物の怪獣に会いたかったな」
ダイ「本物が出たら 御蔵なんかこわくてチビッちゃうじゃないか?」
イオ「そ… そんなことあるもんか!!
アカネ「どうだか」

周囲が急に暗くなる。

ダイ「ん?」
アカネ「なにかしら?」
イオ「あっ」

一同の上空を、ZAP SPACYの宇宙船が行く。

イオ「ZAPの宇宙船だ!
アカネ「宇宙港に降りるんだわ!」
ダイ「見に行こうぜ!
イオ「うん!


イオたちは宇宙港で、金網越しに、ZAPの宇宙船を見ている。

アカネ「あれが宇宙のかなたまで行ってきたのよね」
ダイ「すげーよなぁ」
アカネ「イオのお父さんもあんなのに乗って宇宙に行ってるんでしょ?」
イオ「うん もうずいぶん会ってないなー」
声「ガォオオオォン」
イオ「!」
アカネ「どうしたの?」
イオ「声… 怪獣の声が!
アカネ「またまたァ イオはなんでも怪獣なんだから 宇宙船のエンジンの音でしょ」
イオ「違う!」
声「ガァアオォ…」
イオ「……ホラ また聞こえた!」
ダイ「…おい あれなんだ!?」

彼方の空が渦巻き、次第に穴となってゆく。

イオ「空に穴が…!? あの中から聞こえてくる… この声は… ゴルザの声」

超古代怪獣ゴルザが、空間を割くようにして虚空から出現する。

ゴルザ「ガアアオォン
アカネ「か… 怪獣!? まさか そんな…!」
イオ「…ゴルザ 本物のゴルザだ!

ゴルザが宇宙港の建物に近づいてゆく。

『こちら宇宙港 緊急事態発生!! 怪獣が……!! すべての宇宙船の発着中止!! こっちに来るぞ!! 避難しろ!!」

さらに火柱を上げて、奇獣ガンQが現れる。

『なんだ!? もう1体現れたぞ!!』『いったいどうなってるんだ!? 絶滅したはずの怪獣が2体も…』

ガンQ「キュキュキュキュ

イオ「…ガンQまで現れた!! いったいどうして…」
ダイ「なにしてるんだ 御蔵!」
アカネ「にげなきゃ!!」
イオ「え う… うん !」

イオが、ダイやアカネと共に避難しようとする。
ふと視線を感じて、明後日の方を見る。

イオ「今 何かいた… たしかあれは…」

ダイとアカネが走り去るが、イオは単身、その視線の方へ行ってみる。

イオ「…… いない… あ …何だろ これ?」

地面に何かが落ちている。
怪獣使いのアイテム・バトルナイザーだと、イオは知る由もない。
画面上に、ゴモラの姿が映し出されている。

イオ「…ゴモラ?」

木陰から何者かが、イオを見ている。

「……」

激しい衝撃音。
見ると、ゴルザとガンQの攻撃で、宇宙港の建物が破壊されている。

イオ「はっ 宇宙港の建物が…! …なんとかしなくちゃ このままじゃ… で… でも… ぼくには何もできない……! くそっ……!!

イオが思わずバトルナイザーを握りしめると、バトルナイザーが光り始める。

イオ「え… なんだ!?

バトルナイザーが空中に、激しい光を放つ。

イオ「わっ な… なにが… !

光の中から、怪獣ゴモラが巨大な姿を現して、実体となって地上に降り立つ。

イオ「うわあああぁぁ
ゴモラ「グルルルル……
イオ「ゴ… ゴモラ… ゴモラだ!! (だめだ やられる……!!)」

ゴルザもイオの方へ突進してくる。

ゴルザ「グワアアオォン
イオ「! ゴルザがこっちに……!! …!」

ゴモラが突進して、ゴルザに一撃を見舞う。
ゴモラはまるでイオの盾となるように、ゴルザと睨み合っている。

ゴモラ「ガルル…
ゴルザ「グアウゥ…
イオ「! …… ゴモラが… ぼくを守ってくれた…!? …そんなわけないよな ただゴルザを敵と思って向かっていっただけだよな …でも…」
ゴモラ「グルルル…

ゴルザの額にエネルギーが集中してゆく。

イオ「ああっ ゴルザの超音波光線だ!!

ゴルザが額から、超音波光線を放つ。
だがゴモラはそれを避けずに、真っ向から受け止める。

イオ「ゴモラはどうして 光線を避けようとしないんだろう」

ゴモラは光線を浴びつつ、イオの方へ視線を向ける。

イオ「…やっぱり… ゴモラはぼくを守ろうとしてくれてるんだ… ゴモラ 負けるな!! 戦え!!

その言葉を合図にしたように、ゴモラが突進し始める。
ゴルザは再び、超音波光線の構えに入る。

イオ「…また超音波光線を使う気だ! ゴモラ! 尻尾攻撃だ!!

ゴモラが尻尾を強烈にゴルザにたたきつけ、超音波光線は明後日の方向へ放たれる。

イオ「よし! (ゴモラにはぼくの言うことが… 考えてることがわかるんだ!!)」

ガンQの攻撃が、ゴモラに炸裂する。

イオ「あっ
ゴモラ「グワッ
ガンQ「キュキュキュキュ
イオ「そうだ ガンQもいたんだ!! くそっ 2対1か!! どうする!?
ガンQ「キュキュキュ
ゴルザ「グワァァ

イオ (…そうだ こういうときは… どちらか一方に攻撃を集中して 先に倒してしまうんだ …どっちからだ? ゴルザか? それともガンQ…)

ガンQが吸引能力を発動し、周囲の物体を吸収にかかる。

イオ「あっ ガンQの体内吸収だ!!
ゴモラ「ギシャ──ッ

周囲の自動車や瓦礫が一掃され、ゴモラの姿もない。

ガンQ「キュキュキュ
ゴルザ「グ…

ガンQに吸収されたと思われたゴモラが地中から飛び出して、ガンQに一撃を見舞う。

イオ「よしっ!!

ガンQの巨体が大きく宙を舞う。
ゴルザは三たび、超音波光線にか前に入る。

イオ「ゴルザが!! ゴモラ!! ガンQを尻尾で打つんだ!!

ゴモラは、落下してくるガンQに、尻尾を叩きつける。
ガンQがゴルザの光線の的となり、爆散する。

ゴルザ「グ…
ゴモラ「グオオオ

ゴルザが地中に逃れて、姿を消す。

イオ「逃げた… やった!! ゴルザとガンQに勝ったぞ!!
ゴモラ「グワアアアアン

ゴモラが光と化して、バトルナイザーの中に戻る。

イオ「あ これは…」

バトルナイザーのデータ画面の中で、ゴモラが唸り声をあげている。

ゴモラ「グルル…」
イオ「すごいや! あのゴモラがぼくの思いどおりに動くなんて……!! すご…」

イオは急に気が遠くなり、その場に倒れてしまう。


どこからから、友好怪獣ピグモンが現れて、イオの顔を覗き込む。
イオは静かに寝息をたてている……


第1話 開戦! 大怪獣バトル / おわり

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最終更新:2022年07月15日 18:06