忍者ハットリくん ニンニンふるさと大作戦の巻のオープニング

ある春の日。
ハットリくんが野原で、座禅を組んでいる。
ケン一やシンゾウが木刀を手にして、木陰から飛び出す。

ケン一たち「それっ!」「え──い!」
ハットリ「ニニン!」

ハットリくんは余裕でかわす。
続いて、ツバメが飛び出してくる。

ツバメ「ハットリ様ぁ! たぁ──っ!」
ケン一「やったぁ!」

ツバメの木刀がハットリくんを捉えたと思いきや、忍者装束だけを残し、ハットリくんはいない。

ケン一「なぁんだ、服だけか」
ツバメ「悔しい、また逃げられたわ」

ハットリくんはふんどし一丁で、木の上で高笑いしている。

ハットリ「ハハハ! 忍法うつせみでござる。まだまだ修行が足りんでござるな」


ケン一が野原に大の字になり、退屈そうに空を見上げる。

ケン一「あ~あ。それにしても、せっかくの春休みだっていうのに、つまんないなぁ」
獅子丸「あれっ? 何か来るワン」

1羽のタカが飛来し、竹筒を放って、飛び去る。

ケン一「何なの? それ」
ハットリ「伊賀流、手紙筒でござる」
ケン一「手紙?」

竹筒の中には、白紙が入っているのみ。

ケン一「真っ白じゃないか」
ハットリ「任せるでござる」

ハットリくんがその紙を、公園の水場に浸すと、手紙の文面が浮き上がって来る。

ケン一「文字が出てきた!」
ツバメ「なぁんだ、水透かしだったのね」
ハットリ「これは、伊賀の父上からでござる」
シンゾウ「えっ、父上から!? ねぇ、何て書いてあるの!?」
獅子丸「読んで読んで!」
ハットリ「『拝啓、春花盛りを迎え、そこもとにおいては健勝と存じ候』──」
ケン一「な、何それ? 日本語?」
ハットリ「はは、これは失礼。父上の手紙文はちと難しいゆえ、拙者がわかりやすく読むでござる。『季節もあたたかくなり、花咲く春になりましたが、元気ですか』──」

父も母も、それから村の衆も元気で
毎日、一生懸命暮しておる。

ところで、お前たちがお世話になっているお礼に
ケン一くんや夢子さんたちを、
伊賀の里にご招待したいと思うのじゃ。
母さんも、お前たちが帰って来るのを楽しみにして
忍者料理をたくさん作って待っておる。

きっと帰って来ておくれ。
待っておるぞ。

ケン一「ふぅ~ん。行きたいなぁ! 僕、絶対行くよ!」
ツバメ「そうね…… 私もしばらく帰ってないわ」
シンゾウ「母の上のごはんか…… あのタケノコごはん、食べたいなぁ」
獅子丸「俺も俺も! 伊賀のチクワごはん、食べたいワン!」
シンゾウ「思い出したら俺、帰りたくなっちゃったぁ!」


ケン一はその夜、両親に事情を話す。

ケン一「ねぇねぇ、行っていいでしょ? パパ」
パパ「う~ん……」
ママ「でも、子供たちだけで旅行するなんて……」
シンゾウ「大丈夫! 兄上がついてるもん!」
ハットリ「可愛い子には旅をさせろと、昔の人も言ってるではござらんか」
ケン一「そう! そうだよ、パパ。それに僕、ハットリくんたちが行っていた忍者学校で、ばっちり修行してきたいんだ」
パパ「修行か…… ふぅむ。まぁ、そういうことなら。ねぇ、ママ」
ママ「そうねぇ……」
パパ「よぉし、行ってこい!」
一同「やったぁ!」「やったぁ!」


ケン一やハットリくんたちが、夜空を見上げる。

ツバメ「まぁ、綺麗なお星さま」
ハットリ「明日もきっと、良いお天気でござるな」
ケン一「楽しい旅行になるね、きっと!」

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最終更新:2024年11月30日 13:26