◇
そして帳が降りる。
吹きすさぶ紫煙が図書室全体を覆った後、そこに立っているものは一人だった。
滞留する淀んだ空気、甘ったるい匂いとぼんやりした明かりが点滅する空間の中央。
からりと音をたて、傾いた机からランタンが滑り落ちる。
入れ替わりに机の縁を掴むものがあった。
後方によろめく身体を支えようとした、ソフィア・チェリー・ブロッサムの腕だった。
「…………っ」
ソフィアは足の痛みに耐えながら、身体を机に預けている。
痛む右足を持ち上げ、正面にある椅子の上に乗せた。
脹脛と太腿、二本のボルトが脚に突き刺さっている。
ソフィアは傷口の状態を確認し、抜くべきでないと判断した。
ボルトは貫通していない。特に太腿の傷は、抜いてしまえば大量出血に至る可能性がある。
即席の応急処置を施しながら周囲を確認する。
状況的に、図書室の戦闘は終了したと判断できた。
敵対者の全て、今や動きを止めている。
メリリン・"メカーニカ"・ミリアンはプレートで身を固めたまま、本棚に突っ込むようにして沈黙していた。
堅牢な防御力を誇っていた鉄板も、隙間から入り込む煙には無力だったらしい。
その数メートル離れた場所で、本棚の影からジェーン・マッドハッターの腕が飛び出しているのが見えた。
床に転がった腕は弛緩し、彼女の状態を伝えている。
そして、その直ぐ近くの壁際に蹲るようにして、ジェイ・ハリックが倒れているのが見えた。
決着だ。今やソフィアの敵は全て、無力化されている。
変わり果てた姿で帰還した彼女の、凄まじい超力によって。
「ルクレツィア……」
血の止まりきらない足を引きずりながら、ソフィアはその肉塊に近づいていった。
図書室の中央にて、ぐずぐずと赤黒い何かが胎動している。
崩れかけた腕に握られた煙管から絶え間なく煙が溢れ出し、室内に紫色の催眠香が渦を巻いている。
肉塊、ルクレツィア・ファルネーゼの成れの果てが、今やまともな意識を保っていないことは明らかだった。
か細いうめき声を漏らしながら、肉を露出した血みどろの顔貌、そこに張り付いた焦点の合わない眼球を痙攣させている。
突出した回復力を持つ彼女をして、死に瀕するほどの肉体損壊が齎した覚醒か。あるいは暴走と呼ぶべきモノなのか。
煙管が吐き出す紫煙の量は常態の数十倍にまで増幅され、図書室という閉鎖空間にいる全員を巻き込んだ。
頭部の破壊という、再生の追いつかない死を超え、壊れたリミッターを更に壊し、血の令嬢は新たな生命に新生しようとしているのか。
『楽園の切符(パラディーソ・ビリエット)』。
吸い込んだ者に夢を見せる、煙管の紫煙。ルクレツィアの、超力の本質であった。
自らの壊れた枷(リミッター)を更に壊した怪物は、本来ならば意識混濁を前提条件としていた筈の幻惑能力を、問答無用で押し付けている。
しかし、進化した超力をもってしても、例外存在は揺るがない。
前後不覚の状態で、敵味方の区別なく解き放たれた紫煙の渦中、ソフィアだけは意識を保つことが出来ていた。
「ルクレツィア……いったい何が……」
ソフィアは肉塊の前に立つ。
ルクレツィアの状態は、死と再生の間で揺蕩う幽鬼の如くであった。
紫煙の発生と再生能力が暴走し、傷口を塞いだ端から化膿し、爆裂し、血が吹き出る。
凄惨な有り様だ。
一秒ごとに死に瀕し、足掻きながら無理やり再生して血液を撒き散らす。
想像を絶する痛みの渦中で、血の令嬢は苦しんでいる。
見たことのない苦痛の表情で、迫る死を遠ざけている。
「貴女は……どうして、そこまで……っ!」
あまりの惨状に、ソフィアはつい、血まみれの肩に触れてしまって、息を呑みながら手を引っ込めた。
ルクレツィアはいま、死の瀬戸際にいる。
その抵抗に、自らの能力が悪影響を及ぼしてしまう可能性に思い至ったのだ。
「ご、ごめんなさい……わたくし……!」
ソフィアの触れた部位が、再生の途切れた腕がぼとりと落ちる。
なのに、血まみれの令嬢は、
「……は……ぁ!」
目玉を裏返し、恍惚の表情で笑った。
「ルクレツィア……貴女……」
「……ぁぁぁ」
すり寄るように、じゃれるように、ソフィアに向かって頭を擦り付けようとしてくる。
ふと、思い出す声があった。
『―――私の全身を撫でて欲しいのです。無効化能力をお持ちの方に撫でてもらうのは、とても気持ちが良いので』
血の令嬢は、いまでも痛みを求めている。
「貴女という人は……どこまで……」
呆れながら、それでもソフィアは、少し笑ってしまった。
目の前の女は醜い。唾棄すべき悪だ。紛うことなき巨悪。
だけどそんな悪が、帰ってきた。
こんな、つまらない小悪党のもとに。
「待っていてください。ルクレツィア」
肉塊に背を向けて、ソフィアは敵に向き直る。
ルクレツィアはまだ死んでいない。助けられるかは分からない。
だけど可能性があるならば、それはソフィアに掛かっている。
もう一度『彼』に会うために。
そのために、この血に塗れた悪が必要、だから。
敵を、殺そう。そう思った。今なら出来る気がした。
己の悪性を、受け入れた今ならば。
「すぐに終わりますから」
足を引きずりながら、夢に落ちた囚人達の元に向かう。
順にトドメを刺すだけの、簡単な作業になるだろう。
ここには3つの首輪がある。
齎される恩赦ポイントを使えば、瀕死のルクレツィアを救えるだろうか。
1つ目は、メリリン・"メカーニカ"・ミリアン。
プレートで身を固めたまま、本棚に突っ込むようにして沈黙している。
2つ目はジェイ・ハリック。
壁際に蹲るようにして倒れているのが見えた。
3つ目はジェーン・マッドハッター。
本棚の影から倒れたジェーンの腕が飛び出しているのが―――
まて、腕は、
「……まさか」
腕は、腕はどこへ――――
「隙だらけだよ、エージェント」
ありえない方向から聞こえた声。
脇腹に突き刺さる激痛に、ソフィアは己の失策を理解した。
◇
側面から飛来した三発のボルトがソフィアの腹部に突き刺さる。
痛みと衝撃によって床に転倒した彼女へと、走り込む影があった。
ジェーン・マッドハッターは身を潜めていた机の下から転がり出ると同時、回収していたボルトガンを連射していた。
更に敵の見せた絶大の隙を逃さず、床を蹴って接近する。
「……な……ぜっ!」
咄嗟に腹部を押さえながら、身を捩るソフィアは見た。
ジェーンの肩、その少し上に随伴するドローン。
先程までボルトガンが装着されていた筈の場所に、全く別の機材が装着されている。
中型の送風機(ファン)だった。
ジェーンの前方に漂う紫煙を吹き晴らし、呼吸可能な空間、活動可能な道を作り出している。
ドローンから取り外したボルトガンと、送風機ドローン。
メリリンがギリギリの判断でジェーンへと送った生命線。
配られた手札を死蔵せず、畳み掛けるべく殺し屋が走る。
床に転がったソフィアへと、トドメを刺すべく、さらにボルトガンの引き金が引かれるが――
「―――くそっ」
かちりと虚しい音が響くのみ。
弾切れだった。
ジェーンは鉄くずと化したボルトガンを投げ捨て、走り込んだ勢いそのままに、ソフィアの胴を蹴り上げる。
「なんでっ! アンタは!」
跳ね上がったソフィアの身体。
なぜ、自分はこれほどに苛立っているのだろうと、ジェーンは思った。
「なんでこんなこと、してるんだよっ!」
ここに来たときから、ソフィアの答えを聞いたときから。
抑えきれない怒りと困惑が、彼女の身体を支配していた。
「なんで、こんなことっ!」
ゴロゴロと身体を捻りながら転がったソフィアの手が、何かをつかみ、思い切り引き寄せる。
「―――っ!?」
それは図書室の床に敷かれたカーペットだった。
足を取れられたジェーンの身体が傾き、背中から勢いよく転倒する。
立ち上がり、反転攻勢に移行するソフィアの狙いは明らかだった。
ジェーンが起きる前に近づいて、浮遊する送風ドローンを破壊する。
ドローンはジェーンの生命線だ。必ずしも肉弾戦に勝利する必要などない。
壊してしまえば、それだけで趨勢は決まるのだから。
メリリンが気を失う直前、ジェーンに随伴するよう設定したドローンは、自ら逃げることが出来ない。
そもそもジェーンから離れてしまえば本末転倒なのだ。
起き上がろうとしていたジェーンの顔面に、お返しとばかりに膝蹴りを入れ。
宙に浮かぶ機械に、ソフィアは手を伸ばし――
その身体が重く沈む。
鼻血まみれの顔面で、直撃したソフィア膝にしがみつくようにして、ジェーンは意識を保っていた。
「ふざけんなよ……ッ」
どうして、裏切られたような気持ちになっているのだろう。
ジェーンはもう一度自問する。
「なんでだよ……ッ!」
それほどまでに、妬いていたのか。
それほどまでに、焦がれていたのか。
あの日、苦しみながらも、正義を信じようと足掻いていた彼女に。
世界に生きる価値はあると。
守る価値はあるのだと。
迷いながらも、疑いながらも、信じたいと願っていた彼女を、自分はどこかで――
太腿に刺さっていたボルトを掴む。
全力を込め、それを引き抜く。
鮮血が吹き出て、激痛に咽ぶ声が聞こえた。
大量の出血によってソフィアの足が力を失い、血の海に崩れ落ちた。
「ドミニカは、まだ戦ってるよ」
忌まわしい力と共に生きてきた。
制御することも出来ず、間違えてばかりの人生で。
『―――善行こそが、私の本懐ですから』
ジェーンと同じように、人を害することしか出来ない力を与えられた女がいた。
諦めてしまったジェーンとは違って、彼女は善きもので在りたいと願い続けていた。
歪んだ力を抱えて、それでも正しく、生きようとしている人が、今も正しさの為に戦っているのに。
「アンタには正しい力があって、正しい生き方が出来て……」
だから、ジェーンは悔しかったのだ。
いつか、ソフィアに終わらせてもらえるなら、それでいいかもしれないと、思ったこともあった。
己を捕まえてくれたのが、彼女でよかったと。
「アンタは正しく、生きられたのに……ッ!」
正しい意思と正しい力、兼ね揃えた正義の存在。
本当にそんな人が居るなら、世界に生きる価値があると信じてみてもいい。
ジェーン・マッドハッターは処刑台に消えるけれど、来世ってものがあるならば、また生きてみたっていい。
そう、思えた日があったのに。
こんなのは、まるで、裏切りじゃないか。
「だったら、その正しさが……何を保証するっていうんですか……?」
「…………え?」
ソフィアが、自らの右掌をジェーンの脇腹に押し付けていた。
次いで、その上から、左の拳を釘を打つように叩き込む。
「―――が……は……!」
ジェーンの腹部に打ち込まれたそれは、刃が中程でへし折れた木製ナイフだった。
ジェイから奪い取ったもの。突き刺さっていた刀身を引き抜き。
全身から血を流しながら、桜花はガクガクと震える足で立ち上がる。
「正しく生き抜いて、正義を貫いて、それで? 報われなかった人はどうなるんです?」
かつて、正義を背に前に戦った桜花はいま。
「わたくしはもう、正しさのためなんかには、戦えない。
なぜなら、今のわたくしは……」
死にかけの醜き肉塊、ルクレツィアという巨悪を背後に、守るようにして。
「あれの友人、なのですから」
悪として、そこに立っていた。
「そう……残念よ。本当に」
それぞれの傷口を押さえながら、二人の女は対峙する。
互いに多くの血を失い、止血もままならないまま戦闘を継続している。
しかし趨勢は、僅かにジェーンの側に傾いていた。
噎せたソフィアの口端から、血が零れ落ちる。
腹部と太股の傷は明らかなる重傷だった。
それでも彼女は一歩も引かず、戦闘を継続しようとしている。
おそらくあと一度か、二度の激突で決着に至るだろう。
両者、同時に前進する。
しかしその直前、ジェーンは見た。
「…………な」
それを背にした状態のソフィアは、未だ気づいていない。
図書室の中央、動きを止めていた肉塊が、にわかに活動を再開したのだ。
あまりの不気味さに、ジェーンが一歩下がる。
不可解な動きに、ソフィアが異常に気づき、ようやく背後を見た。
肉塊の表面が激しく波打っていた。
まるで、ソフィアの言葉に喜んでいるかのように。
はしゃいでいるかのように。
蠢き、膨張し、爆裂し、そして―――
枯れた樹木が早送りで成長するように、赤黒い枝が伸びだした。
異常をきたした細胞分裂の暴走するままに、急激に肥大化する腕部の筋繊維が繋がり合い、巨大な触手のようにしなる。
そして、唸りを上げながら急旋回したそれが、背後からソフィアを持ち上げた。
吹き飛んだ身体はジェーンの横を通り抜け、図書室南側の通路まで運ばれていく。
それは実に乱暴な動きではあったが、見ようによっては窮地から友を救うための対処なのかもしれなかった。
満身創痍のソフィアを戦場から逃がす。
あるいは、その存在はこれから発生する事態には、邪魔であると判断したのかもしれない。
「ふ……ふふ…………は…………は」
メキメキと、紅の樹木が育っていく。
無数の腕と足が増殖し、人の身体を捨てていく。
血の令嬢、いや、いまや人と呼ぶには異様に尽きる姿に変貌した存在を。
「ははははははははははははは!!!!!!」
ジェーンは、呆然と見つめながら、端的にこう呼んだ。
「……怪物(モンスター)め」
◇
脇腹からぼたぼたと溢れ出す鮮血。
赤色に染まった刑務服を両手で押さえつけながら、ジェーンは怪物の誕生を目撃する。
図書室の中央、真紅の肉塊が炸裂する。
メキメキと枝葉のように伸びる無数の腕が室内全域を覆っていく。
誰も逃さない、全てを喰らい、咀嚼せんと告げるように。
「ははははははははッ!」
けたたましい笑い声が響き渡る。
それは歓喜の嬌声であり、激痛の絶叫でもあった。
「あァ―――痛い―――イダジ―――イダギ―――イがあああああああ!! あはははははははははッ!!」
狂奔。正気を失うほどの損傷、想像を絶する痛みの中で、令嬢は喜んでいる。
人生で最大級の苦痛によって、人生最大の恍惚を得る。
壊れていく精神、平常な思考すら保てず無様に跳ね回る己の狂態を、心底面白がっている。
美しく終わっても良かった。
人生最高の恐怖と痛みの中で、史上のフィナーレを飾ることも出来たのに。
もう名前も思い出せない誰か、友人と呼んでくれた誰かのために。
生き恥を晒した果てに、こんな痛みにであえるなんて。
既にまともに言葉も発せない口が、凶悪にねじ曲がる。
―――あア、ホントウに、ユウジョウとは、ヨイモノですね。
人体の血を絞り尽くす勢いで再生する肉塊に、先が在るとは思えない。
怪物に残された時間は残り僅かだ。
このまま無理に動き続ければ、あと数分も保つまい。
しかし、数分もあればこと足りるだろう。
この場の敵を一掃するには、友の敵を根絶やしにするには、充分であった。
数十メートル伸びた無数の肉腕、展開された枝が鞭のように旋回し、本棚を貫通して飛来する。
血の刃がいとも容易く机を真っ二つに切り裂き。
天井に吊られたシャンデリアを落とし、施設を内側からミキサーにかけるような暴力を炸裂させる。
迫りくる斬線の嵐、出現した等活地獄。
その最前線に、ジェーン・マッドハッターは立っている。
「……はぁ……はぁ……っ!」
背後を振り返る余裕などない。
目の前の脅威に、全意識を動員している。
未だにメリリンが起きる気配はなく、援護は見込めなかった。
やはり対面する怪物を倒し、紫煙を止めるしかない状況。
「ごほっ……ぐ……」
ソフィアより多少マシだったというだけで、彼女もまた相当の深手を負っている。
その上、徐々に意識が朦朧としてきた。
送風機一台ではやはり限界があったのだろう。
少しずつ、ジェーンにも紫煙の影響が及んでいる。
「はぁ……はぁ……は―――」
迷っている時間はない。
ジェーンは荒い息を整え、両腕を前に突き出し身体と水平方向に傾けて、構えのような体勢をとる。
それは何らかの流派に則ったものではない、ジェーンの我流だ。
そもそも、ジェーンは一度も武術のようなものを習ったことはない。
習う必要なんてなかった。
超力に覚醒して以降、人の殺し方は全て、超力が教えてくれたから。
「は―――あああッ!!」
飛来した枝の一本、超速の斬撃に対し、ジェーンは握る長物をぶつける。
それは何の変哲もない紙束。
先ほどまでの戦闘で、図書室の床に撒き散らされた、雑誌などを折り曲げ丸めて作った。子どもの玩具のような剣。
軽く、吹けば飛ぶような強度であるはずのそれが、肉の枝を切り裂き、一太刀で切断する。
「アアアアアアアア"ア"ア"ア"ア"ッッ!!!!」
怪物が悲鳴とも嬌声ともつかない雄叫びを上げている。
切断された腕の断面から大量の血が吹き出し、ジェーンの頭上から赤い雨が降ってくる。
構わず続けて二連、ジェーンの手元が動いた。
伸び上がり、側面から背後のメリリン或いはジェイを狙おうとしていた腕へ、超高速で飛来したナットが突き刺さる。
ジェーンの指弾によって繰り出された迎撃が、迂回した攻撃をも縫い留め、触手のように蠢く腕の動きを封じたのだ。
更にその隙を縫って、ジェーンの胴を薙ぎ払わんとしていた第3の腕を、しかし蹴り上げられたランタンの角がズタズタに引き裂いて押し留めた。
ジェーンの超力、『屰罵討(マーダーズ・マスタリー)』。
敵の脅威度は跳ね上がったものの、もうここに無効化能力者はいない。
開帳された殺し屋の真髄は、余すことなく人体を破壊する。
災害(カラミティ)とまで呼ばれた女の暴力。
連続して放たれる常識外の攻撃を、尽く裂き、穿ち、切断する。
たとえ敵が怪物であろうと、人外の形に至ろうと、彼女の前では関係ない。
人体で構成される物質ある限り、ジェーンの付与する殺傷力は如何なる守りをも貫通して破壊する。
しかしジェーンもまた、窮地であることに変わりなかった。
動き続ける必要に駆られ、脇腹の傷口を止血することもままならない。
迎撃が精一杯で、攻勢に出ることが出来ないまま、体力を削られている。
静かな部屋に、怪物の腕が空間を切り裂く音と、くぐもった呻きだけが響き続けた。
「ォん……が……ぇ」
右から回り込んできた腕を、椅子の前脚で地面に縫い留める。
「ぞぃ……あ……」
左下から伸び上がってきた腕を、刑務服の上着で受け止め、締め上げて押し潰す。
「ああああ…………ああああああ…………!!」
何度、そんな不毛な攻防を繰り返したのだろう。
敵の返り血を浴び続け、ジェーンもまたすっかり紅に染められた頃。
霞む意識の中、僅かに敵の変化を見た。
少しずつ、肉塊の動きが鈍くなっている。
再生力に陰りが見えた。
このまま持久戦を続ければ勝てるかもしれない。
「……く……そ……」
しかし、先に限界が訪れたのはジェーンの側だった。
「……痛……ッ!」
撃ち漏らした腕の一本が肩口を切り裂き、後ろにのけぞる。
本棚にもたれ掛かるようにして、ギリギリのところで転倒を避けた。
もはや意識を保つだけで精一杯であり、倒れてしまったら起き上がれる保証はない。
身体に蓄積された紫煙も看過できない量となっている。
先程から奇妙な幻覚が視界の端にちらつき、怪物に焦点を合わせることすら、もうすぐ出来なくなる予兆があった。
「…………ごめん、メリリン、ドミニカ……ここまでみたいだ」
高速で迫りくる怪物の腕。
もう身体がついていかない。腕が上がらなかった。
力の抜けた手から、紙で作った剣がこぼれ、足元に落ちる。
「………あ……れ……」
しかし振るわれた腕は上方に逸れた。
ジェーンの身体を避けるように、本棚だけを切り裂いて。
いや、違う。動いたのはジェーンの側だった。
単純に、身体を支えていられなくなった足が力を失い、崩れ落ちた事が功を奏し、腕の一撃を回避していたのだ。
それは神の気まぐれのような、単なる幸運に過ぎない。
「あ……私……もう……立ってることも……できないんだ……」
足も、腕も、言うことを聞かない。
今度こそ、限界だった。
そして、引き戻された腕が容赦なく襲いかかり、ジェーンの首を刎ねようとして。
死の寸前、彼女は、どこか遠くの方で、
―――コンコン、と。
誰かがドアをノックするような、気の抜けた音を聞いた気がした。
◇
赤い血の跡が、キャンバスに筆で線を引いたように走っている。
真っ白い床の上をズルズルと這いずって、その女は進んでいた。
「……っ……ぁ……」
ソフィア・チェリー・ブロッサムは温室ブロックの壁際にたどり着き、壁伝いに身を持ち上げる。
「っ……ご……ほ……」
視界には腹立たしいほどに間の抜けた景色が広がっていた。
人工光を浴びて立派に育った観葉植物が並んでいる。
喉をせり上がってきた血を吐き出し、酸素を取り入れた。
こんなところで休んでいる場合ではない。
しかし、ならば、一体どこへ行くという。
血を流しすぎていた。意識が朦朧として、思考が上手くまとまらない。
さっきまで自分がどの方向へ動いていたのかも分からない。
図書室の戦場から逃げようとしていたのか、戻ろうとしていたのか。
そもそも、どうやってこの温室に来たのかも曖昧だった。
「…………」
右の太腿に圧迫止血を施してはいるが、血の勢いを止めることが出来ない。
腹部の傷も時間が経つほどに重大な深手に変わっていったのだろう。
流れる血が黒い。内臓が傷ついている証拠だった。
だけど、全て、関係ない。
行かなければならない。しかし何処へ。
まとまらない思考のまま、ソフィアは立ち上がろうとして、そのまま前のめりに倒れ伏した。
「……だめ……まだ眠っちゃ……」
目を閉じればもう、起き上がれないことは分かっていた。
温室の床に、赤い筆が引かれていく。
「……行かないと……」
何処へ行くのだろう。
図書室に戻って、ルクレツィアを救うためか。
別の場所に行って、自らを救うための、恩赦ポイント――つまり未使用の首輪でも落ちていることを願うのか。
どちらも、まるで現実的ではないと分かっている。
「行かなきゃ……」
何処を目指しているのだろう。ソフィアは自分でも分からなかった。
間違えを重ねるために、醜く生きるために。
殺すために。間違え続けるために、今も己は身体を稼働させている。
それだけは分かるけれど。
既に下半身の感覚がない。
身体を転がして、仰向けに体勢を変え、そこでいよいよ、指一本動かせなくなった。
朦朧とする意識の中、痛みだけが明確だった。
ソフィアは思う。これが罰なのだろうかと。
悪に堕ちた者への、罰。だとしたら神様は意地の悪やつだと、苦笑する。
世界を救っても、何の救いもないというのに、悪への応報だけは律儀に下すのだから。
馬鹿馬鹿しい。ならば、尚のこと、最後の選択を後悔することができない。
メアリーを止める。なんて、誂えたような正義。
それすら、ふいにして、血の令嬢の友であることを選んだ。
そのことに、今に至るも後悔はない。
令嬢は帰ってきた。
嫌悪すべき血の怪物、残虐非道の女、それでも彼女はソフィアに報いようとしたのだ。
「悔いが……あると……すれば……」
彼女の紫煙は、ついぞソフィアに夢を見せることはなかった。
あの図書室で充満した空気をどれだけ吸い込んだところで、例外の存在は揺るがない。
今ほど意識が混濁した状態もないだろうに、『楽園の切符』はソフィアにだけは配られない。
呆気なく眠りこけた囚人たちのことを、ソフィアは狂おしいほど妬まく思う。
「ゆめを……みたかった……」
ルクレツィアの歪な友情の結実を、きっともう見ることは叶わない。
死に際にあっても、誰かが迎えに来るような幻想が与えられることすらない。
視界には青空のホログラフィック。
とても明るい温室の中、たった一人で、ソフィアは最期を迎えようとしている。
「あのひとに……あいたかった……」
記憶の中の『彼』に、もう一度会えたなら、ソフィアは満たされたのだろうか。
納得を得て、救われたのだろうか。
分からないし、知る機会も与えられないだろうけど。
このまま死んだって、きっと再会することは出来ないだろうから。
「あいたいよ……」
涙が頬を伝う。
「あいたいよ……しどー、くん」
滲みながら閉ざされていく視界、偽物の空との間に。
『……ふむ、その"しどーくん"、というのは嵐求(ラング)の話か?』
真っ黒い影が割り込んだ。
「―――――――は?」
既に瞳はまともな機能を失っている。
ぼやけた青色の中に、陽炎のように不定形のヒトガタが映って見える程度の視界で。
聴覚もとうに狂っている。だが、聞き間違いではない。
ソフィアが彼の名を聞き間違えることなど、ありえない。
“嵐求 士堂(ラング・シドー)”。
最愛の彼の名を。
『そうか。いや、昔、ヤツから婚約者が居ると聞いたことがあってな。
お前の髪色を見て思い出した。俺と近い超力を持った女というから、少し印象に残っていた』
「う……そ……なんで……」
なぜ、改変後の世界で、ソフィア以外に、その名を知っている者がいる。
なぜ、あまつさえ旧知の仲のように、彼を語る者がいるのだ。
『生憎とな、俺の精神はそう出来ている。
世界が変わろうが肉体が変わろうが、魂を取り込まれようが、俺の思考だけは何者にも侵せない』
「あなた……だれ……」
『さあな、自分の名前すら忘れてしまった。しがない魂の残骸だよ』
そしてその魂すら、もうじき消える。
そう、男は語った。
事実として、男の影はとても不安定で、吹けば飛ぶような陽炎にすぎなかった。
だけど―――
「彼は、そこに……いるの?」
ソフィアは無意識に手を伸ばす。
今にも消えそうな陽炎にむかって。
そこにあるというのか。
彼の記憶。ソフィアの知らない、彼の物語が。
世界に残されていたというのか。
『ここにあるのは記憶だけだ。俺の憶えている奴が、いるだけだ』
それでも、あったのだ。
世界から消え去った彼の、何も残されなかった彼の。
ずっと探し求めていた、彼の痕跡が、ここに、まだ。
涙が溢れ出る。
これは報いなのか。いや、きっと違う。
『そうか、ならば俺も、そろそろ幕を下ろそう。
ではな士堂。悪くない生き恥だった。
最期にお前の痕跡に会えたのだ。柄じゃないことも、やってみるものだな―――』
これはもっと悪辣な罰だ。
それを証明するように、触れた陽炎が弾けて消えて。
帳の向こうから、怪物の正体が顕になった。
「あら、あなた。たしかルクレツィアのお友達ね」
黒いドレスと銀の髪。
青白い掌が、ソフィアの手を包んでいる。
「丁度いいわ。迎えに行きましょう? 一緒に」
銀の顎が、桜花の花弁を喰んでいる。
「ごめんね、しどーくん……」
求めていたものは何だったのだろう。
食いちぎられていく意識の中で、最期にソフィアは考えていた。
彼と再開したかったのか。
彼が報われる最期が欲しかったのか。
せめて夢で会いたかったのか。
血の令嬢と友人になってでも。
自らが悪に堕ちてでも。
怪物の一部に成り果ててでも。
触れたいと願った。
何だっていいから、彼の痕跡に触れたかった。
それだけで、よかったのに。
ここは深淵(アビス)、正義の最奥。
正しく生きた果てに、何も得られない因果なら。
「……こんなせかい、こわれてしまえ」
【ソフィア・チェリー・ブロッサム 死亡】
◇
図書室に踏み入った足は青白く、細く華奢な少女のものだった。
漆黒のドレスが翻り、漂う紫煙と暖色の明かりによく映える。
踊るような歩みの後から銀の長髪がたなびいて、きらきらと残光を残していく。
その怪物は、かつて『檻の中の魔神』と呼ばれていた。
ルクレツィアの異型と化した腕が伸び、銀の少女に叩きつけられる。
しかし超スピードで放たれた鞭の一撃は呆気なく片手で止められ、掴まれた箇所からグズグズと萎びて落ちた。
超力の無効化。
触れる範囲に限定されるものの、それによって銀鈴はルクレツィアの再生力を断ち切っている。
例外存在としての力を振るう少女に、大した感動は見られない。
枯れた腕を放り捨て、銀鈴は歩きながら両手を前に突き出す。
右手には拳銃――グロック19。左手は無手―――否、指で作った鉄砲を構え。
「――ばん」
鉛の礫と空気の弾丸が同時に発射された。
「――ばんばんばんばんばん」
連射される左右の実弾銃と超力銃。
ルクレツィアの血濡れの身体に次々と孔が空く。
対面する存在を無感動に蜂の巣に変えながら、銀鈴は前進し続ける。
我喰いを胃に収め、超力の使用が解禁されたにも関わらず。
銀鈴には一切感動した様子がなかった。
それもそのはず、彼女にとってすればこんなもの、もともと出来た概念の劣化にすぎないのだ。
超力無効化も、超力による銃も、気配の希薄化も、念動力も。
風を操る力も、氷を操るつ力も、炎を操る力も、なにもかも。
すべて、銀鈴はかつて、たった一人で出来たのだ。
そして出来ないことも、いずれ出来るようになる筈だった。
誕生日を迎えるたびに、使える力が増え、元から使えた力は強化された。
それを12回繰り返す頃には、既に地球上で不可能な概念など、数えるほどになっていた。
あのまま生まれた土地に留まり歳を重ねていれば、どれほどの魔神が完成していたのだろう。
ちょっとしたきっかけで両親の言いつけを破り、外の世界に出なければ。
たった一度、運命の歯車が狂わなければ。
彼女は全てを支配する器だった。
もとより現存するほぼ全ての超力を支配(Control)するための―――
「やっぱり、また会えた」
それは一にして全。他者(かぞく)など、もとより必要としていない。
根底にはあるものは、『銀鈴』か『人間』かという大別のみ。
素足で肉塊を踏みつけながら、少女は再会を祝して笑いかける。
「少し痩せたかしら、ルクレツィア?」
「…………………」
ルクレツィアは今や声を発することも出来ずに、ビクビクと痙攣を続けていた。
瀕死の生命を再生によって無理やり繋いでいる状況に、無効化能力を帯びた足が容赦なく触れている、どうしようもない詰みである。
ゆっくりと、力を込められた足が、肉の中に沈んでいく。
血にまみれた悍ましき怪物を、銀鈴は他の人間に対するものと全く別け隔てなく、平等な目線で見つめていた。
「おいで、ソフィアも待っているわ」
息絶えるその時まで。
平等に、愛おしそうに、楽しそうに、人(むし)に向ける視線のままで。
【ルクレツィア・ファルネーゼ 死亡】
◇
「メリリン……メリリン起きて……!」
ふわふわと酩酊する頭を強引に振り回され、私の意識はようやく覚醒した。
とにかくめちゃくちゃアタマが痛い。
徹夜で飲んで昼に起きた時の二日酔いみたいに気分が悪くて吐きそうだ。
なんだか懐かしい夢を見ていたような気がするけれど、余韻もなにもかも吹き飛んでしまう。
目をパチパチ瞬いて、どうにか視界を確保する。
戻って来る図書室の風景と、私の肩を揺するジェーンと、それから、
「ジェーン! その、お腹……!」
ジェーンの腹部が真っ赤に染まっていた。
私が気を失ってからも戦闘が続いていたのだろう。
彼女はたった一人で戦っていたのだ。
心配と申し訳無さに血の気が引く。
「大丈夫……血は……なんとか止めてるから」
「ソフィアは……メアリーは……あの煙管の奴は……どうなったの?」
「いや……もう、そんな状況じゃない。いますぐ、ここから離れないと……」
尋常ではない様子の彼女に、立ち上がるよう促され。
何がなんだか分からないまま、足に力を入れようとしたとき、私は見た。
「―――まぁ、まだ人間さんが隠れていたのね」
ジェーンの背後に、漆黒の影が立っていた。
「はじめましてかしら。私は銀鈴―――」
発言の終わりを待たず、振り返らずに放たれたジェーンの指弾。
それを掌で受け止め、銀髪の少女は少しだけ口を尖らせる。
「お返事は、相手の言葉を最後まで聞きいてからするものよ」
ばん、と。
子どもの遊びのように軽い一声。
対照的に、足を撃たれたジェーンは苦痛の呻きを漏らしながら崩れ落ちた。
「よかったら、あなたたちも……あら?」
ぴんと伸ばした指の先が、私とジェーンを交互に捉えている。
「……ホンジョウ、サリヤ、ソフィア、ルクレツィア……そっか。
わたしったら、ついたくさん食べてしまったみたい」
何を言っているのか、私にはまるでわからない。
ただ分かることもある。
さっきのは、サリヤの超力だった。
つまり、こいつは―――
「あと一人しかお腹に入らなくて、ごめんなさいね」
エントランスで遭遇したときよりも、数段上の怪物に変貌している。
何か、ひどく恐ろしい。
おぞましいモノが目の前にいる。
「―――要選哪一個呢,(どち、らに、しよ、うか、な)」
銀の少女の指が、私と、ジェーンとの間を、行き来している。
囁くような、ジェーンの声が聞こえた。
「メリリン、逃げていいよ。私はどうせこの足だ、時間だけ稼ぐから」
無理だ。
私だって、プレートで固めた状態じゃ逃げ切れない。
不気味な指の動きを、私たちは見ていることしか出来なくて。
「―――就照老天爺說的吧(てん、のかみ、さまの、いう、とお、り)
止まった。
指が、私に向けられた指が―――
「―――オイ、なに他人(ひと)の女(モン)勝手に喰おうとしてんだ、テメェ」
横合いから放たれた蹴撃によって、少女の身体ごと吹き飛んだ。
黒いドレスが、本棚に直撃してそのまま倒れ、舞い上がるホコリに姿が掻き消える。
ゆらりと立ち上がったその姿は、シルエットが少しだけ変わっていた。
「痛いわ」
渾身の衝撃波と物理的な力によって千切れた右腕を、少女は事もなさげに見下ろして。
「こんなに痛いの、何年ぶりかしら」
呆気なく再生させた。
「死にぞこないのエリザベート・バートリを追ってみりゃあ……んだよ、結局お前と絡むのかよ」
私とジェーンの前に立つ、真っ白い髪の男には、頬に古傷が刻まれている。
どうやらこれは、都合のいい幻覚とか、そういうものではないようで。
あいつが来た。
粗暴で乱暴で危険な男。
ストリートに君臨する、孤高のギャングスタ。
まだまだ気を抜いていいような状況じゃない。
安堵なんて、していいわけがない。
それは分かっていたんだけど。
だけど、私は不覚にも―――
「よォ、助けにきたぜ。メリリン」
「だから……メリリン言うな。ローマン」
このときばかりは、あまり強く訂正することが出来なかった。
【D–4/ブラックペンタゴン1F 北西ブロック(中央) 図書室/一日目・午前】
【ネイ・ローマン】
[状態]:額に銃創、全身にダメージ(小) 、疲労(中)、右手首にボルトによる刺し傷
[道具]:デイパック(幾つかの食糧と酒)
[恩赦P]:99pt
[方針]
基本.やりたいようにやる。
0.銀鈴に対処する。
1.ブラックペンタゴンでルーサーを探す。
2.ルーサー・キングを殺す。
3.ハヤト=ミナセと出会ったら……。
※ルメス=ヘインヴェラート、ジョニー・ハイドアウトと情報交換しました。
【ジェーン・マッドハッター】
[状態]:全身にダメージ(大)、腹部に刺し傷。
[道具]:デジタルウォッチ
[恩赦P]:0pt
[方針]
基本.無事に刑務作業を終える
0.銀鈴に対処する。
1. 山頂の改変能力者に対処。
2.死なないで。ドミニカ
※ドミニカと知っている刑務者について情報を交換しました
【メリリン・"メカーニカ"・ミリアン】
[状態]:全身にダメージ(中)、フルプレートアーマー装備、軽い打ち身
[道具]:デジタルウォッチ、生成ドローン1機、ラジコン1機。
[恩赦P]:0pt
[方針]
基本.生き延びる。出られる程度の恩赦は欲しい。サリヤ・K・レストマンを終わらせる。
0.銀鈴に対処する。
1. 山頂の改編能力者に対処。
2サリヤ・K・レストマンを終わらせる。
3.ローマンに従いブラックペンタゴンを調査する?
※ドミニカと知っている刑務者について情報を交換しました。
【銀鈴】
[状態]:健康、我喰い
[道具]:グロック19(装弾数21/22)、予備弾倉×1、デイパック(手榴弾×2、催涙弾×2、食料一食分)、黒いドレス、銀鈴の首輪
[恩赦P]:18pt
[方針]
基本.アビスの超力無効化装置を破壊する。
0.目の前の人間さんと話をする。
1.ジェイで遊びながらブラックペンタゴンを探索する。
2.人間を可愛がる。その過程で、いろんな超力を見てみたい。
※今まで自国で殺した人物の名前を全て覚えています。もしかしたら参加者と関わりがある人物も含まれているかもしれません。
※サッズ・マルティンによる拷問を経験しています。
※名簿で受刑者の姓名はすべて確認しています。
※システムAに彼女の超力が使われていることが真実であるとは限りません。また、使われていた場合にも、彼女一人の超力であるとは限りません。
※我喰いの肉体を内側から完全に掌握しています。
※現在のシリンダー状況
Chamber1:銀鈴(女性、以下の人格を完全支配下に置いています)
Chamber2:本条清彦(男性、挙動不審な根暗、気配希薄化能力、人格凍結)
Chamber3:ソフィア・チェリー・ブロッサム(女性、無効化能力、人格凍結)
Chamber4:ルクレツィア・ファルネーゼ(女性、再生及び幻惑能力、人格凍結)
Chamber5:サリヤ・K・レストマン(女性、詳細不明、空気銃能力、人格凍結)
Chamber6:欠番
【本条 清彦】
[状態]:銀鈴と同化
[道具]:なし
[恩赦P]:――
[方針]
基本.―――。
0.――――。
※銀鈴に肉体の主導権を奪われています。
【ジェイ・ハリック】
[状態]:疲労(大)、全身にダメージ(中)、昏睡中
[道具]:
[恩赦P]:0pt
[方針]
基本.生き延びる。チャンスがあれば恩赦Pを稼ぎたい。
0.昏睡中。
1.銀鈴の友人として振る舞いつつ、耐え忍んで機会を待つ。
2.呼延光、本条清彦、バルタザール・デリージュ、銀鈴に対する恐怖と警戒。
最終更新:2025年07月29日 09:46