* *
ズボッ
ビアンコ「ごわあぁぁぁぁぁぁぁぁ・・・ッ!」
スタンドの腕を引き抜かれ、俺はガクリと地面に崩れ落ちた。
嘘だろ・・・
どうして・・・「教祖」が・・・
どうして・・・「教祖」が・・・
教祖「君が死ぬ前に教えてあげたいことがある。冥土の土産に、と言ってはなんだがね」
ビアンコ「・・・!」
立ち上がろうとしたが、既に手足に力が入らなくなっていた。
教祖「君の仲間たちが今いる所の近くに・・・教会があるだろう?
凄く有名な教会だ。何せレオナルド・ダ・ヴィンチの『最後の晩餐』が壁画にあるんだからね。
それで、その『最後の晩餐』なんだが・・・まぁわかると思うがイエス・キリストと12人の使徒が描かれているわけだ。
その12人の中に“裏切り者”がいる・・・そうキリストが語ったシーンを描いているのが『最後の晩餐』だ、わかるね?」
凄く有名な教会だ。何せレオナルド・ダ・ヴィンチの『最後の晩餐』が壁画にあるんだからね。
それで、その『最後の晩餐』なんだが・・・まぁわかると思うがイエス・キリストと12人の使徒が描かれているわけだ。
その12人の中に“裏切り者”がいる・・・そうキリストが語ったシーンを描いているのが『最後の晩餐』だ、わかるね?」
ビアンコ「う・・・ぐ」
何を言ってやがるんだ・・・このクソ野郎・・・
教祖「それで、だ。君たちが信頼しきっていたパッショーネの中にも“裏切り者”がいた・・・と言ったら信じるかい?」
ビアンコ「な・・・に・・・!」
俺は目を見開いた。
そんな馬鹿な・・・偉そうな口でハッタリをかますのはやめろ・・・!
教祖「信じられないような顔だね。だが“真実”なんだ。パッショーネの諜報員に一人・・・ね。
今日も来ているよ。“一緒に来るはずだった仲間たちを皆殺しにして”ね・・・」
今日も来ているよ。“一緒に来るはずだった仲間たちを皆殺しにして”ね・・・」
ビアンコ「・・・!!」
不意に、今日ボスらと落ち合ったときの会話が思い出された。
“列車で来るはずのチームが・・・
全滅した可能性が・・・”
全滅した可能性が・・・”
教祖「君の仲間たちに“嘘の情報を前もって伝えた”のも彼だ。諜報員の言うことだからねぇ~、信じるわけだよ。しかしねぇ~・・・フフフッ」
ビアンコ「ふざ・・・けてん・・・じゃあ・・・ねぇぞテメェ━━━━ッ!!」
全力を込め、『エイフェックス・ツイン』のストレートを教祖に叩き込んだ。
ブゥン!
拳は勢いよく風を切る。
ビアンコ(は・・・速ぇ!)
瞬きよりも短い時間で、教祖は俺の後ろに回りこみやがった。
一体どんな能力なんだ・・・?
一体どんな能力なんだ・・・?
教祖「あまり動かないほうがいいぞビアンコ。暴れると内蔵が飛び出すからな・・・」
ビアンコ「うるせぇ・・・この際内蔵なんかどうでもいいんだッ!」
なんとしてでも俺は・・・アイツらに会って・・・
このことを伝えてやらねぇとッ!
このことを伝えてやらねぇとッ!
教祖「おや、逃げるつもりか? もう遅いぞ、君の仲間たちはとっくに突入しているだろうからな。
あの建物は我々の所有物だが誰も使っていない・・・空き家だ。そこに奴らを閉じ込め、我らが応報部隊と武装した兵士が『挟み撃ち』にする・・・これが我々の作戦だったんだ」
あの建物は我々の所有物だが誰も使っていない・・・空き家だ。そこに奴らを閉じ込め、我らが応報部隊と武装した兵士が『挟み撃ち』にする・・・これが我々の作戦だったんだ」
ビアンコ「ッ・・・!」
ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド
なんつーこった・・・
俺たちが『挟み撃ち』にするはずだったのに・・・
逆に・・・俺たちが・・・
逆に・・・俺たちが・・・
ビアンコ「ウォォォォォォォォォ!!」
俺がここで雄叫びをあげても、
アイツらには・・・届かない。
アイツらには・・・届かない。
教祖「分かってくれたのなら、そろそろ死んでもらおう」
ビアンコ「させ・・・るか・・・よ」
俺は教祖を睨みつけた。
今まで誰にも向けたことがない、
いや、俺が「いま、ここで初めて」向けた、“殺意ある目”だった。
いや、俺が「いま、ここで初めて」向けた、“殺意ある目”だった。
* *
キイィィィィィ~~~
ロッソ「うっ・・・」
耳鳴りがひどい。
さっきも感じたが、今はさらにひどくなっている。
さっきも感じたが、今はさらにひどくなっている。
ビアンコはまだ見つからない。
彼の「感情」の存在は確認できるのに・・・
彼の「感情」の存在は確認できるのに・・・
ロッソ「ハァ・・・ハァ・・・」
息が荒いのは走ったせいか、それとも憂いの感情からか。
耳鳴りがするのは疲れからか、それとも・・・それとも、不幸の・・・
??「よかった。どうなるかと思ったけど、ほとんど『予定通り』に進んだわ」
ロッソ「!?」
女性の声が聞こえた。
俺は素早く見回したが、辺りには誰もいない。
俺は素早く見回したが、辺りには誰もいない。
ロッソ「誰だッ!」
??「いや~ねぇ、“私”よ私。ずーっと貴方のことを見てたでしょうが」
ロッソ「・・・?」
“ずっと見ていた”?
まさか、付けられていたのか?
まさか、付けられていたのか?
ロッソ(そんなはずは・・・)
フッ
ロッソ「!」
後方に気配を感じて、俺は振り返る。
ロッソ「・・・なぁッ!?」
あまりの驚きに、喉が痛くなるほどの大声をあげてしまった。
そこにいたのは、確かに「ずっと俺のことを見ていた」であろう存在だった・・・
そこにいたのは、確かに「ずっと俺のことを見ていた」であろう存在だった・・・
ロッソ「『ガーネット・クロウ』・・・?」
ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド
ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド
何がどうしたんだ?
俺のスタンド『ガーネット・クロウ』が・・・
俺に“話しかけた”・・・?
俺に“話しかけた”・・・?
妙な女性の声で・・・
それに、なぜあんなに“遠く”にいるんだ?
俺のスタンドはあそこまで遠くに行けないはずなのに・・・
俺のスタンドはあそこまで遠くに行けないはずなのに・・・
ロッソ「も・・・戻ってこいッ!」
G・C『・・・・・・』
俺が念じても、一切の返答が無かった。
??「ウフフフフフ・・・何言ってんのよ? 気づかないの?」
ロッソ「!」
また“声”が聞こえた。
・・・これは『ガーネット・クロウ』が喋っているんじゃあない。
“その後ろに、誰かがいたんだ”。
“その後ろに、誰かがいたんだ”。
スゥーッ
『ガーネット・クロウ』が横に移動すると、一人の女性が姿を現した。
??「ロッソ・アマランティーノ・・・貴方のスタンドは“私が頂いた”わ」
ロッソ「・・・なんだって?」
意味が理解できなくて、思わず声をあげた。
??『Bee~~~~~ッ! 考ェリャ分カルコトダロ~~~、ガッ!』
ロッソ「!?」
今度は、どこからともなく一体の小型スタンドが現れた。
頭に葉っぱが付いた、昆虫のような小人だった。
頭に葉っぱが付いた、昆虫のような小人だった。
??「貴方、『シスター・レイ』にそんなこと言われたらオシマイよ。コイツも物分かりが悪いんだから」
S・R『ウッセェ~~~~ッ! 余計ナコト言ウナ、ウンコビッチ、ガッ! BBBBBee~~~~~~~ッ!』
ロッソ「・・・」
??「あ、申し遅れたわね。私は『ティーグレ』って呼ばれてるわ」
ティーグレ・・・という女性は、『ガーネット・クロウ』を引き連れたままこちらに歩いてきた。
ロッソ(『ガーネット・クロウ』が・・・奪われた?)
どういうことだ?
そんな攻撃を受けた記憶がないぞ・・・
そんな攻撃を受けた記憶がないぞ・・・
ティーグレ「“耳鳴り”みたいな音がしたでしょう? それがこの『シスター・レイ』の能力・・・」
ロッソ「・・・!」
ティーグレ「『スタンド音波』を流して、人間の精神を操作できる・・・幻覚を見せたり、こんな風にスタンドを乗っとることもできるのよ。
まぁ正確には、スタンドを『一人歩き』させてから、音波で命令するんだけどね」
まぁ正確には、スタンドを『一人歩き』させてから、音波で命令するんだけどね」
ロッソ(おいおい・・・)
彼女の言っていることが事実なら・・・
冗談じゃあないぞ・・・
スタンドが無けりゃ、なんの攻撃手段も無いじゃないか・・・!
スタンドが無けりゃ、なんの攻撃手段も無いじゃないか・・・!
この状況、“かなりヤバい”のでは?
ロッソ「・・・!」ダッ
てんとう虫の「ブローチ」が入った内ポケットに手を伸ばしながら、俺は“戦略的撤退”を図ろうとした。
が・・・
が・・・
バゴォ!!
ロッソ「ッ!」
その瞬間、頭部に凄まじい衝撃が加わる。
そのまま俺は地面に倒れこんだ。
そのまま俺は地面に倒れこんだ。
ティーグレ「これでよし・・・と」
ティーグレは俺の上に浮かぶ『ガーネット・クロウ』の傍に立ち、俺を見下ろした。
ロッソ「・・・!」
S・R『BBBBBBee~~~ッ! ヤッパ“ガーネット・クロウ”ハ強力ダァ~~~~、ゼッ!』
ロッソ「う・・・」
ティーグレ「ちなみに言っとくとね、貴方の仲間を引き離したのも私のスタンドよ。
一人からは全員を認識できなくさせて、全員からは一人を認識できなくさせた・・・狙い通りのターゲットには当たらなかったんだけどね」
一人からは全員を認識できなくさせて、全員からは一人を認識できなくさせた・・・狙い通りのターゲットには当たらなかったんだけどね」
このスタンドが・・・ビアンコを隠した張本人か・・・
と、“いつもの俺なら”思うところだった。
しかし今の俺は、猛烈な『絶望感』に苦しめられていた。
しかし今の俺は、猛烈な『絶望感』に苦しめられていた。
ロッソ(嘘だ・・・もう、だめだ・・・!)
逃げたくても“逃げられない”。
助けを呼びたくても“呼ぶ気にもならない”。
助けを呼びたくても“呼ぶ気にもならない”。
S・R『BBBee~~~ッ! 今ノ一発デ“感情”ヲ操作シテヤッタ~~~~~、ゾッ!』
ティーグレは地面に伏して震える俺を見下ろしながら言った。
ティーグレ「私はね・・・兄をギャングに殺されたの・・・もともとギャングだったんだけど、“上の命令”で消されたのよ。
だから私は・・・
だから私は・・・
ギャングが死ぬほど憎いんだァァァァァ━━━━━!!
全員四肢をもいで内蔵引っ張り出してやりてぇんだァァァ━━━━━━━!!」
全員四肢をもいで内蔵引っ張り出してやりてぇんだァァァ━━━━━━━!!」
ドウッ! ドウッ!
ロッソ「が・・・がう・・・ッ!」
『ガーネット・クロウ』が容赦なく俺の身体を殴りつける。
そのたびに“感情”が書き換えられ、ありとあらゆる『負の感情』が俺の精神を打ちのめした。
憎悪、悲嘆、嫌悪、嫉妬、憤慨、恐怖、恥辱、寂寥、遺恨、憂鬱、苦悶、後悔、困惑、欲情、
無念、疑心、劣等感、敗北感、虚無感、倦怠感、閉塞感、罪悪感、不快感、孤独感、
無念、疑心、劣等感、敗北感、虚無感、倦怠感、閉塞感、罪悪感、不快感、孤独感、
何もかもが俺の心の中になだれ込んでくる。
ティーグレ「私はアンタのスタンドが欲しかったのよ! 『感情を操る』なんて素敵な能力じゃない!
コレを使って全員をなぶり殺してやるわッ! こうやってあらゆる『ネガティブな感情』を流し込んで、地獄の苦しみを味わせてからねェェェ━━━━ッ!!」
コレを使って全員をなぶり殺してやるわッ! こうやってあらゆる『ネガティブな感情』を流し込んで、地獄の苦しみを味わせてからねェェェ━━━━ッ!!」
キイィィィィィ~~~!!
ロッソ「ぐあぁぁぁッ!」
『ガーネット・クロウ』の攻撃に加え、精神に影響を与える『スタンド音波』が俺の脳内に鳴り響いた。
二つのスタンドのダブル攻撃・・・ってわけか・・・
ダメだ・・・もう耐えられない。
①このまま精神的なショックで死ぬのが先か、
②ティーグレにトドメを刺されるのが先か、
③苦痛のあまり俺が舌を噛み切るのが先か、
②ティーグレにトドメを刺されるのが先か、
③苦痛のあまり俺が舌を噛み切るのが先か、
いずれにせよ俺はお仕舞いだ。
こんな場所に無惨な形で死ぬ。
こんな場所に無惨な形で死ぬ。
どうしてこうも俺の人生は狂ったんだ。
あの時はぐれた友人のせいか、
いややっぱりビアンコのせいか、
違う───俺のせいに決まっている。
いややっぱりビアンコのせいか、
違う───俺のせいに決まっている。
こんな死に方をするなら生まれてこなければよかったんだ。
大して世の中に貢献したわけでもない。
大して世の中に貢献したわけでもない。
あぁもういいや。
ジョルノも死ぬ。イザベラも死ぬ。みんな死ぬ。すべては「無」に帰すんだ。
ジョルノも死ぬ。イザベラも死ぬ。みんな死ぬ。すべては「無」に帰すんだ。
死ぬのは怖いが、もうどうにでもなれ。
S・R『BBBBBBee~~~~~~ッ! ドウダ今ノ気分ハ~~~~~~、ヨッ!!』
ティーグレ「このまま楽にはさせないわッ! 苦しんでからくたばってもらうッ!!」
ティーグレは懐からピストルを取り出した。
なんだ、選択肢は②か。
なんだ、選択肢は②か。
後はすべてティーグレに任せるように、俺は仰向けになった。
ティーグレ「イヤッハアアア━━━━━!!」
死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ
死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ
死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ
死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ
死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ
全滅する全滅する全滅する全滅する全滅する全滅する全滅する全滅する全滅する全滅する全滅する全滅する全滅する全滅する全滅する
全滅する全滅する全滅する全滅する全滅する全滅する全滅する全滅する全滅する全滅する全滅する全滅する全滅する全滅する全滅する
全滅する全滅する全滅する全滅する全滅する全滅する全滅する全滅する全滅する全滅する全滅する全滅する全滅する全滅する全滅する
全滅する全滅する全滅する全滅する全滅する全滅する全滅する全滅する全滅する全滅する全滅する全滅する全滅する全滅する全滅する
全滅する全滅する全滅する全滅する全滅する全滅する全滅する全滅する全滅する全滅する全滅する全滅する全滅する全滅する全滅する
全滅する全滅する全滅する全滅する全滅する全滅する全滅する全滅する全滅する全滅する全滅する全滅する全滅する全滅する全滅する
全滅する全滅する全滅する全滅する全滅する全滅する全滅する全滅する全滅する全滅する全滅する全滅する全滅する全滅する全滅する
S・R『オッケエェェェェ~~~、イッ!!』
カチッ
ダ ン ! !
・・・・・・・
ロッソ「・・・?」
弾丸が来ない・・・?
俺はゆっくりと体を起こそうとした。
俺はゆっくりと体を起こそうとした。
ティーグレ「ゴベエェェ・・・」ボトボトボト
ロッソ「・・・うッ!」
それを見た途端、俺は思わず目を背けた。
ティーグレは頭部を破壊されていたのだ。
彼女の赤黒い血液と脳漿とが、俺の上に滴り落ちていた。
彼女の赤黒い血液と脳漿とが、俺の上に滴り落ちていた。
S・R『ナンダ・・・ト』
ピシ・・・ピシ
ピシ・・・ピシ
ドサッ
バリーン!
バリーン!
ティーグレが倒れると同時に、『シスター・レイ』は粉々に砕け散ってしまった。
・・・・・・
ロッソ「何が・・・起こったんだ?」
まるで“ティーグレ自身が、頭に弾を食らった”ようだった・・・
ロッソ(・・・“反射”・・・)
“攻撃の反射”? どこかで聞いたような・・・
ロッソ「・・・! まさかッ!」
ハッと気づいた俺は、内ポケットの中の『てんとう虫』を取り出した。
ロッソ「・・・!」
やっぱり。
ぺしゃんこに潰れた鉛の弾が、『てんとう虫』に引っ付いていたのだ。
確か・・・『ゴールド・エクスペリエンス』で創られた生命は“攻撃をそのまま返す”という特性を持っているのだ。
ティーグレの撃った弾は、偶然にもコレに当たったのだろう。
ティーグレの撃った弾は、偶然にもコレに当たったのだろう。
ロッソ「・・・“偶然”」
“偶然”、だったんだろうか? これは・・・
もし・・・
俺が既に『てんとう虫』を“放してしまっていたら”?
諦めて“仰向けになっていなかったら”?
ティーグレが、(苦しめるために)頭部ではなく心臓を“狙っていなかったら”?
諦めて“仰向けになっていなかったら”?
ティーグレが、(苦しめるために)頭部ではなく心臓を“狙っていなかったら”?
ロッソ「・・・・・・」
偶然・・・
そんなものよりももっと大きな、それこそ神懸り的な力が、俺には感じられた。
そんなものよりももっと大きな、それこそ神懸り的な力が、俺には感じられた。
ロッソ「ジョルノさん・・・」
俺は『てんとう虫』を握りしめて言った。
ロッソ「今ようやくわかりました・・・これが『運命』なんですね・・・!」
単なる“偶然”ではない。
これこそが有るべき『いま』なのだ。
これこそが有るべき『いま』なのだ。
神は俺を生かしてくれた。
だから・・・この先どうなるかわからないが、諦めずに精一杯闘おう。
そして願わくば、ネアポリスに喜びに満ちて帰りたい。
だから・・・この先どうなるかわからないが、諦めずに精一杯闘おう。
そして願わくば、ネアポリスに喜びに満ちて帰りたい。
そう思いつつ、俺は立ち上がった。
『ガーネット・クロウ』は俺の傍で、静かに次の命令を待っていた。
『ガーネット・クロウ』は俺の傍で、静かに次の命令を待っていた。
応報部隊)ティーグレ/スタンド名『シスター・レイ』 →死亡。
* *
ヴェルデ『ボス! これは“罠”の可能性が高いッ! 今すぐここから出ましょうッ!』
リモーネ「なんだと・・・?」
ド ヒ ュ ン !!
ビオンド「のあッ!!」
ジョルノ「!」 リモーネ「!」
トランシーバーからヴェルデの声が響いた途端、突然の銃声がビオンドを襲っていた。
??「気付くのおっせー、こんなバカ共と“一緒に仕事してた”なんて・・・」
ジョルノ「・・・!」
リモーネ「て・・・テメェは・・・ッ!」
背後に数人の武装した男たちを従え、一人の青年がジョルノとリモーネの前に現れた。
??「FPSじゃよー『バックキル』っつってなァー、敵の背後から隙を見て撃つのが定石・・・ってかァー!」
ジョルノ「ス・・・『スカッコ』!」
───彼は“元”パッショーネの諜報員。
ジョルノたちを裏切り、『教団』に寝返った張本人である。
ジョルノたちを裏切り、『教団』に寝返った張本人である。
リモーネ「おのれ・・・裏切りやがったな!」
リモーネは歯を剥き出してスカッコを睨んだ。
スカッコ「だってさァーこっちの方が金いっぱい貰えるんだもん。も~一生遊んで暮らせる金が入ってくるんだよ!
ことわざっぽく言うなら・・・『真面目なギャングより不真面目な宗教集団』ってかァー!」
ことわざっぽく言うなら・・・『真面目なギャングより不真面目な宗教集団』ってかァー!」
リモーネ「ふざけんなよボケナスがァァァッ!!」ズオォォォッ!
激昂したリモーネがスタンドを解き放つ。
もう少しで、命を捨ててスカッコへ突進してしまいそうな勢いだ。
もう少しで、命を捨ててスカッコへ突進してしまいそうな勢いだ。
スカッコ「まぁまぁー、あんまりピリピリすると身体に悪いよー。つってもその前に撃っちゃうけどね、ソイツみたいに・・・って、あれ?」
ビオンド「ヘタクソ、ちゃんと脳ミソの真ん中狙え」
ビオンドは何事もなかったかのようにその場に立っていた。
彼は穴の空いた五本指の『グローブ』を手に持っている。
彼は穴の空いた五本指の『グローブ』を手に持っている。
ビオンド「『タイプ:ワイルド』・・・触れたトコロの“状態”だけを『グローブ』にして引っ張りだせる能力だよ!」
そう言いながら、ビオンドは『グローブ』を手にはめ、近くの壁を殴った。
ガ ン ッ !
すると『グローブ』は消えてなくなり、壁にはポッカリと綺麗な穴が開いた。
スカッコ「うわっ、めんどくせー能力だなー。ボス以外は楽勝だと思ってたのに・・・」
スカッコはだるそうに頭を掻いた。
リモーネ「ボス・・・コイツらを滅する許可を乞う!」
リモーネは怒りの形相を崩さずに言った。
ジョルノ「そうですね・・・許可したいところですが、今は分が悪い。
その前に、『ジョースター家伝統』の手段を使わせて頂きましょう」
その前に、『ジョースター家伝統』の手段を使わせて頂きましょう」
スカッコ「?」
ジョルノ「“一時撤退”」パチン
ブウウウウウウウウウウウウウウウ~~~~~~~!!
男ども「ぬおぉぉぉぉ━━━━━ッ!?」
突然、壁という壁がアブの群れに変わり、男たちは慌てふためいた。
スカッコ「おおおおお!! 待て待て焦んな!」
バシッ 「うぎゃあァァァ━━━!!」
うっかりアブを叩いたら最後、跳ね返った攻撃に身を晒すことになる。
スカッコ「・・・チッ!」
スカッコが気づいたときには、既にジョルノらの姿は無くなっていた。
スカッコ「くっそおおおお油断した、ぜっっってーに逃がさねぇ!!」
* *
ビアンコ「『エイフェックス・ツイン』ッ!!」 ズアァァァ!
ブ ン !
教祖「うむ・・・いつまで悪あがきを続ける気かね? いい加減苦しかろう」
教祖は、また俺の背後まで高速移動しながら言った。
完全にナメやがって・・・!
鈍感な俺にだってわかるぜ・・・
テメェが“苦しめるためにワザと弄んでる”ってことぐらいよォ!
テメェが“苦しめるためにワザと弄んでる”ってことぐらいよォ!
ぜってーに・・・
ぜってーにコイツの能力を解き明かしてやる・・・ッ!
ぜってーにコイツの能力を解き明かしてやる・・・ッ!
アイツらが裏切りを知ったならば、いつかこっちにやって来るはずだ。
それまでに・・・
それまでに・・・
教祖「哀れな男だ・・・そんなにも生き延びたいのか?」
ビアンコ「あぁ・・・生きてりゃ楽しいこと・・・いっぱいあるからよ・・・」
足下には無数の砂利がある。
コイツをカルニチーノのときみたいに“壁”に反射させて死角からぶつければ、デカいダメージを与えられるかもしれねぇ。
コイツをカルニチーノのときみたいに“壁”に反射させて死角からぶつければ、デカいダメージを与えられるかもしれねぇ。
その前に、試しておきたいことがあった。
「奴の能力を解き明かすために」・・・
「奴の能力を解き明かすために」・・・
ビアンコ「俺はまだまだ若ぇしよォ・・・もっと人生楽しみてぇんだ。だから・・・ぜってーに生きてネアポリスに帰るッ!」
ポイッ
俺は砂利の一つを適当な所へ放り投げた。
そしてすかさず、『エイフェックス・ツイン』を教祖に仕向ける!
そしてすかさず、『エイフェックス・ツイン』を教祖に仕向ける!
グオォォォ!
シュンッ!
シュンッ!
またまた、教祖は俺の背後へ回りこんだ。
教祖「無駄だ。どんなことをしても君は助からない。
過去に君がギャングの味方をした時点で、君の人生は狂った。ここで没する運命となってしまったのだよ!」
過去に君がギャングの味方をした時点で、君の人生は狂った。ここで没する運命となってしまったのだよ!」
ビアンコ「あァ~、だったらその狂った人生、今『元通りになった』かもな」
教祖「なに?」
俺は背後に回った教祖に振り返りながら言った。
ビアンコ「テメェよォ、なんでさっきからこっちに攻撃してこない? 俺の周りをグルグルグルグル・・・苦しめるにしたって、完全に動けないくらいにボコってもいいだろ?
それともなんだ・・・“俺の近くに、何かあんのか”?」
それともなんだ・・・“俺の近くに、何かあんのか”?」
教祖「・・・・・・」
ビアンコ「なんか理由がありそうだよな・・・例えば、“俺の近くに寄ると、その高速移動ができねぇ”とか・・・」
教祖「・・・ほう」
教祖はまったく顔色を変えずに声を漏らした。
ビアンコ「ほうった石の動きで分かったぜ・・・おめぇが移動したとき、“石も一緒に加速した”。
つまりよ~、おめぇが速いんじゃあなくて、“俺が遅くなってる”ってオチじゃね? 俺の周りの“空間ごと”なァ!」
つまりよ~、おめぇが速いんじゃあなくて、“俺が遅くなってる”ってオチじゃね? 俺の周りの“空間ごと”なァ!」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
教祖「・・・ふ、フフフッ。なかなか鋭いじゃあないか・・・
意外だったよ。闇雲に襲ってきているだけだと思っていたが・・・」
意外だったよ。闇雲に襲ってきているだけだと思っていたが・・・」
教祖は目を閉じてうなずいた。
ビアンコ「だったらこっちにも勝機がある・・・おめぇ、これしきの程度で俺が動けないとでも思ったか?」
ダン!
教祖「!」
教祖の意表を突き、一気に奴に接近する。
その際、俺は自分の真後ろに“壁”を張っておき、それを蹴るようにしてダッシュしていた。
───要するに、陸上で使う「スターティングブロック」の代わりにしたのだ。
エネルギーが跳ね返るおかげで、加速力も倍増だぜ・・・
───要するに、陸上で使う「スターティングブロック」の代わりにしたのだ。
エネルギーが跳ね返るおかげで、加速力も倍増だぜ・・・
ビアンコ「俺の方から接近すりゃあ、能力の意味はねぇよなぁ!
俺のスタンドとテメェのスタンド、どっちが速ぇかガチンコだッ!」
俺のスタンドとテメェのスタンド、どっちが速ぇかガチンコだッ!」
ゴオォォォォ!
教祖「・・・そうか、本当にお互いのスタンドで勝負して良いのだな?」
教祖が意味深なことを言ったが、俺は気にも留めずに攻め込んだ。
ビアンコ「ドルミ━━━━━━ラ!!」
ブオォォォン!!
・・・・・・
ビアンコ「!?」
攻撃が・・・
“届かなかった”・・・?
“届かなかった”・・・?
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
バカな、確実に奴に命中する間合いだったのに・・・!
教祖「ドルミーラ(寝ていろ)か・・・
笑止。それは私のセリフだァッ!!」
笑止。それは私のセリフだァッ!!」
ズガアアァ━━━ン!!
ビアンコ「・・・・・・」
ドサッ・・・
頭をやられた。
砕かれた・・・いや、吹っ飛ばされたか?
砕かれた・・・いや、吹っ飛ばされたか?
ビアンコ「・・・!」
・・・なぁ~んだ、“そういうことか”。
分かっちまったよ・・・くだらねぇ・・・
分かっちまったよ・・・くだらねぇ・・・
この教祖とやら、もしかしたら「大したことない奴」かもしんねぇぞ・・・
まぁ、今さら気づいても意味ねぇけどな。
まぁ、今さら気づいても意味ねぇけどな。
いやぁ、負けた負けた。
教祖「フフフハハハハハハ! 始めからかくも殺されていれば・・・ぬッ!? ぐあああああッ!!」
教祖の悲鳴が聞こえた。
すげぇや・・・まさか成功するとはな・・・
走り出すとき、砂利の一つを後ろ向きに投げてやったんだ。
“壁”に反射して、あわよくば教祖に当たればな~・・・なんて思ってたんだが・・・
“壁”に反射して、あわよくば教祖に当たればな~・・・なんて思ってたんだが・・・
教祖「く・・・フフッ・・・最後の最期まで・・・抜け目のない男だったな、ビアンコ・・・
我が敵として尊敬に値する。私の左目の『聖痕』に石を撃ちこむとは・・・」
我が敵として尊敬に値する。私の左目の『聖痕』に石を撃ちこむとは・・・」
そりゃどーも。
俺も最後におめぇに誉められるとは思ってなかったよ。
俺も最後におめぇに誉められるとは思ってなかったよ。
教祖「私としてはねぇ、君の“壁”の存在をずっと警戒していたのだが・・・君が一枚上手だったようだ。
・・・だが残念ながら、『運命』には逆らえなかったようだがね・・・」
・・・だが残念ながら、『運命』には逆らえなかったようだがね・・・」
いやいや、結果的におめぇに一発ケガさせられて、俺は満足だぜ。
まぁ、あとはロッソたちに任せるとするさ。
ところでよ・・・
・・・やっぱ“神サマ”って、いるのかもしれねぇな。
色んな人間に、色んな人生を与えてくれる。
生まれてから死ぬまで幸福の絶頂な奴もいれば、ただツラいだけの一生を送る奴もいる。
生まれてから死ぬまで幸福の絶頂な奴もいれば、ただツラいだけの一生を送る奴もいる。
でも、“それでいいんだよ”。
最終的には、「生きた」ってことには変わりねぇんだからよ。
俺の場合・・・なんだか楽しいのかダルいのかよく分からん人生だったが・・・
ただ一つ言えることは・・・
「幸せだったよ」。
* *
ロッソ「ハァ・・・ハァ・・・」
嘘だろ・・・
勘弁してくれ・・・
勘弁してくれ・・・
さっきまでハッキリ感じられたビアンコの感情が・・・
いきなり、“途絶えた”・・・!
いきなり、“途絶えた”・・・!
それはナシでしょう、ビアンコさん・・・
失神とかでもしててくださいよ・・・
失神とかでもしててくださいよ・・・
俺はビアンコの感情を察知した方向へ、全速で走り続けた。
『ガーネット・クロウ』に殴りつけられた身体には無惨な痣が無数に残っていたが、心臓を撃ち抜かれて失血するより遥かにマシだった。
────────
ロッソ「ハァ・・・ハァ・・・」
ビアンコに再会するまで、それからさほど時間はかからなかった。
ロッソ「・・・ビアンコさん!!」
路地裏の奥────
俺が彼に初めて出会った場所と似ていた。
教会風の建物。
その眼前にしては些か不釣り合いで・・・物騒な、血溜まりの中に・・・
その眼前にしては些か不釣り合いで・・・物騒な、血溜まりの中に・・・
俺は走って彼に近づく。
ロッソ「・・・ビアンコさん?」
・・・間違いなかった。
俺は、気持ちが整理できないまま、ずっとしばらく彼を見続けていた。
そして、乱れた息が整ってきたころ・・・
心の中に大きな穴が開いたのを自覚し、ひっそりと呟いた。
ロッソ「ビアンコさん・・・」
ビアンコ/スタンド名『エイフェックス・ツイン』 → 死亡。
to be continued...
使用したスタンド