ゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・
?1「さて・・・と、どうするかな。
?2「どうするっても、今から大臣の娘をさらいにいくしかねぇだろ?
江藤「・・・(コイツら、さっきの女が目的なのか)
?1「ちょっと確認してみる。
―Prrrr・・・
あ、もしもし?ベンちゃん?
そそそそ、俺だよ!
ちょ~っと聞きたいんだけどさぁ?
言われた車を襲撃したら娘じゃなくて一般人が乗ってたんですけど?
え?・・・うん、うん。
悪党以外殺さないもんね、説得しとくよ!
・・うん、うん。あい了解~!
―ピッ・・・
?1「・・・放っといて織須田高校に向かえとさ。
そこに娘がいるそうだ。
?2「お前・・・そんなキャラだったっけ?
まぁ、それは良いが殺さないってのはどういう事だ?
ゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・
?1「お前はどうか知らんが、俺たちは正義の執行者だ・・・
車のドアを開け、中から黒服の死体を引きずり降ろしながら男が答える。
?1「だから罪の無い一般人を殺す事はしない。
殺していいのは・・・
―ガッ・・・
降ろした死体の頭に足を乗せる男・・・
?1「一みたいな悪党と、それに組みするコイツらみたいなクズだけだ・・・ッ!
分かったら乗れ。さっさと行くぞ。
?2「はいはい・・・分かりましたよ。
―・・チャッ
その言葉と共に後頭部へ押し当てられていた堅い物が離され、男は車へと歩き出す・・・
江藤「・・・(助かったのか?)
ゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・
?2「あ・・・そうだ、忘れてたわ。
―クルッ。
男が振り向く。
その手には拳銃が握られており、銃口は江藤へ向けられていた。
江藤「ッ!?
?2「俺は正義の執行者じゃなかったわ。
人を殺せりゃあそれでいいのよ。
?1「やめろッ!!
――ガンガンッ!!
もう一人の男の抑制もきかず、男は引き金を引く。
次の瞬間には無慈悲に頭を打ち抜かれた学生の死体が転がっている筈であった・・・が
ドドドドドドドド・・・・!
?2「なん・・・だと?
江藤「・・・!
?1「・・・あり得ん。あり得るはずがない・・・ッ!
黒服「・・・先輩!
大丈夫ですか!?
ドドドドドドドド・・・・
先ほど、足蹴にされていた黒服が江藤と男の間に割って入り、その身を盾にして銃弾を防いでいた。
?2「死体が動いただと・・・ッ!?
黒服「ガルネリウス・・・ッ!
江藤「・・!
田村ッ!!死体にとりついて・・お前大丈夫かよッ!?
轡を外された江藤が叫ぶ。
黒服(田村)「えぇ、大丈夫ですよ。スタンドがやられなきゃ俺は痛くも痒くも無いですから。
江藤「そういや、そうだったな・・だが、どうしてここに?
田村「俺は・・先輩が女に入れ込むようになってから、ずっと尾けてました。
いつか、昔みたいな尖った漢に戻るのを待ってたんです・・・
江藤「戻るも何もねぇぜ・・・髪の毛は抜けても牙は抜けちゃいねぇッ!
ただその牙を彼女を守るために使おうと決めただけだッ!
田村「それが腑抜けちまってるって言うんだよおッ!!
他の学校の奴らに何て言われてるかアンタァ知らないだろッ!!
『ストッキング番長』とか『ハゲ番長』って言われてるんだぞッ!!!悔しくないのかよッ!!
今だって拳銃突きつけられた位でこんな奴らにビビっちまってッ!!
これじゃアンタ、ただのハゲじゃねえかぁッ!!
江藤「・・・!!
?2「おいぃ・・・?
今のは聞き捨てならねぇなぁ?
『こんな奴ら』だと?
興をそがれたんでこのまま学校へ行こうと思ったが
殺る気がフツフツと湧いてきたぜぇッ!
?1「おい、中島ッ!やめろ!
中島「うるせぇッ!俺に指図すんじゃねぇッ!
俺は人間を殺せりゃそれで良いんだッ!!
さっきだって全員殺っちまいやがって・・・俺にも殺させろ!
?「殺したら、ボスの命令に逆らう事になるんだぞ・・・!
男は忌々しげに脅しをかけるが、中島と呼ばれた男に耳を貸す様子はなかった。
中島「構わねえ・・・!
てめぇ一人でさっさと行けよ、急いでんだろ?
それと、命令が終わって帰ったらボスに伝えとけ。
『追っ手をかければ、全員殺す』・・ってな!
?「・・・・後悔するぞ。
中島「後悔?
ふはははははッ!生まれてこの方したことねえよッ!!
―バタン・・・ッ。
―ブロロロロ・・・・
男が立ち去ると、嫌な空気が周囲に満ちあふれる・・・
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・
江藤「・・・!(もしかして、これが殺気ってやつか)
田村「え、江藤先輩!何とかしてくださいッ!!
江藤「いや、怒らせたのお前だし・・・
田村「だってあんなに怒るなんて思わなかったんですよ!
江藤「だよな・・・ご都合主義ってやつか。
中島「何をごちゃごちゃ言ってやがるッ!!
江藤「何でもねぇよ!
・・・田村、腕の縄ァほどいてくれ。
田村「はいッ!
江藤「オッサン、ちょっと待ってろよ・・・
中島「・・・・・
―パサッ
ほどけた縄が地面に落ちる。
江藤は大きく腰を伸ばして
二、三度肩を回す・・・
ドドドドドド・・・
江藤「待たせたなぁ・・・オッサンよぉ。
ボッコボコにしてやんっかんな?
田村「さすが先輩!ヨッ!男の中の男!!
中島「(ほぉ~ぅ・・・さっきまでビビってた野郎が生意気な口聞くじゃねえのッ!)
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・!
中島「そんじゃあ・・・ブッ殺すとしますかぁッ!!
―ドギャドギャドギャンッ!!
何の躊躇もなく弾丸を発射する覆面の男・・・
通常であれば次の瞬間には絶命し倒れる標的がそこにいるはずであった。
だが
ドドドドドドドド・・・・!
江藤「セクシャル・バイオレット・・・!
中島「な・・・にッ!?
隆起した地面が盾となり銃弾を受け止めていた・・・
江藤「弾丸を弾いたりは流石に無理だがよぉ~・・受け止める事なら朝飯前だぜッ!!
田村「さすが・・・・先ッッ輩!!
中島「・・・こいつは驚いた。お前『も』スタンド使いかよ?
まぁ、スタンド使いは引かれ合うって事か。・・・ったく、この町はどうなってんだか。
田村「先輩ッ!コイツお前『も』って言ったッ!!
『も』ってッ!!
江藤「あぁ・・聞こえたぜぇ。
昨日今日と連戦かよ・・・
最近やたらとスタンド使いと会うんだよなぁ~・・・
中島「はぁ~ん・・お前もかよ。
て、事はそれなりに実戦経験もあるって事だよな?
・・・面白えッ!殺りがいがあるってモンよ!!
そう言って、中島は拳銃を捨てる・・・
田村「あ、チャンス!
うしゃあぁあーッ!!死にさらせぇーーッ!!!
江藤「馬鹿やめろ!
―グバアァアアッ!!
江藤の制止も聞かず、田村(黒服)は目の前の男へと飛びかかるッ!
中島「阿呆が・・・!
―・・・スッ
田村「何だそりゃぁッ!?
両手を前に突きだして嫌々のポーズかよッ!?
―ズ・・・ブッ!
田村の動きが直前で止まる・・・
田村「・・・・え?こ、これはッ!
中島「救いようのねぇ阿呆だな・・・!
ゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・
中島の掌からは無数の刃が生えており、その刃は田村(黒服)の身体を貫通し動きを止めていた・・・
田村「・・・ゴフッ!
中島「まず一人・・・!
江藤「た、田村ぁーーッ!!
ドドドドドドド・・・・
―キーンコーンカーンコーン・・・お昼の時間でし!本日購買部にて焼きそばパンが二割引でし!
生徒諸君は購買部へ急ぐでしッ!!
中条「うおぉおおおおぉお~~ッ!!
どけどけぇー!焼きそばパンッ!!
―ダダダダダダッ!!
チャイムと同時に購買部へ向けて疾走する中条!
中条「(ここは三階、購買部は一階!廊下を一直線に駆け抜け端にある階段へ向かいたいところだが・・・この時間は混雑必至ッ!
敢えてベランダから出て端の教室まで抜けていくッ!!)
―ダダダダダダ・・・ッ!
中条「(くッ・・!やはり階段はすし詰め状態か・・・
だがしかぁ~しッ!!
俺にはスタンドがある!
マーラ・ザ・ビックボスッ!!)
「早く行けよ!売り切れちまうだろ!
「うっせー!行きたくても前が詰まってんだよ!
「きゃあッ!誰かお尻触った!!
―ガヤガヤ・・・
中条「(いっけぇ~ッ!!)
―シュルシュルシュル・・・
生徒「ん、何だ?
―グイィッ!!
ビックボスの触手を目の前の生徒達の隙間にねじ込み、横に押しのける・・・
これにより、十戒のように中条の目の前にある人の海が割れていくッ!
中条「フヒヒッ!これで焼きそばパンは俺のものだあぁあ~ッ!!
―・・ザッ!
購買部に一番乗り・・・ではなかったが、まだ生徒はまばらにしかいない。確実に目当ての物はまだあるだろう。
中条「おばちゃん!焼きそばパン二つ頂戴!
・・・しかし
おばちゃん「ごめんねぇ~、売り切れちゃったのよ・・・
中条「な・・・馬鹿な・・・!
ありえないッ!
(まさか新手のスタンド使いの仕業か・・・!? )
ゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・
中条「んな訳ねぇか・・・
考えてみりゃ一階の三年の奴らの方が断然早く着くんだもんなぁ・・・早く三年になりたいぜ。
―ガララ・・・ッ。
目当ての物が買えなかったため、別の物を購入し教室に戻る。
大和久「おぅ中条、焼きそばパン買わねえか?
そこには大量の焼きそばパンを売りさばく大和久の姿があった・・・
中条「んなッ!?な、何で!?
O・C「ご説明しましょう。
実はマスターは授業が終わる前から購買部へ行っていたのです。
大和久「(お前・・勝手に出てくんなよ)
中条「あ・・・まさか・・・!スタンドを使ってッ!
O・C「そう・・・あなた方が見ていたのは教室に座っていたマスターの過去の姿・・・
本当はとっくに居なかったのです・・・!
中条「・・・・!(昨日もだったが、スタンドの使い方がセコいな)
大和久「いるのかよ?
お前なら知り合い特価で250円で良いぜ?
中条「250円って・・定価じゃねえかよ。一体いくらで売ってんだ?
大和久「あ?400円だよ。
握手つきで400円。
・・・はい、毎度~。
パンを買った女子生徒にお釣りを渡す際にさり気なく手を握るように添えて渡す大和久・・・
お釣りを受け取った女子はその場を離れた後、友人とキャイキャイ騒いでいた。
中条「あ・・なるほどそういう事か。
大和久「セコいとか思ってんだろ。
手紙返すのだって金がかかんだ・・・察しろよ。
それに見た目が良いってのは天が与えた一種の才能だ。
その才能を使って彼女らに使う金を稼いでるんだ。しかもちょっとした触れ合いのオマケ付き・・・
あ、お前にこの苦労は分からねえか。なんかごめんな?
中条「んだと!てめぇッ!!
大和久「本当の事だろうがッ!!
川上「・・・(また喧嘩してる・・でもこれでいて本当、仲が良いのよねぇ)
―ガタッ!
いづみ「静かにしてくれるかしら!?
無言で座っていた転校生が、中条達に不快感を示す。
ゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・
中条「すんません、一さん。
・・・あれ?お昼ないんすか?しかも一人?
内心「やっちまった」と中条は思った。
今の言い方は明らかに馬鹿にした口調であったから。
午前中・・毅然とした態度で彼女を猛烈に批判した委員長は
父親が急遽、海外転勤になったらしく放課後にお別れ会が行われる予定だ。
やもすれば自分も同じ目にあうかも知れない・・・
だが、返ってきたのは予想外の答えであった。
いづみ「ここの購買部はカードも使えなくて困るわね!
というか、いつもはお付きの黒崎が食事の手配をしてるのッ!
それに転校初日だし・・・今日はたまたま・・・たまたまよ!
目にうっすらと涙を浮かべ気丈に振る舞おうとするいづみ。
もしかしたら案外打たれ弱いのかもしれない・・・そんな事を中条が考えていると、自分の顔の脇からにゅっと腕が伸びるのが見えた。
いづみ「・・・・なに?焼きそばパン?
大和久「飯も金もねぇんだろ?
今日は特別に奢ってやるよ。
オラ、机こっちに持って来い。
中条「・・・!(コイツッ!計算なのか!?マジでこんなくせぇ事平気で出来る性格かッ!?)
川上「(朝撃たれたってのに、甘いなぁ・・・ホント。)
いづみ「・・・毒が入ってたりしないでしょうね?
大和久「アホか。する訳ねぇだろ。
オラ、とっとと食えよ!昼休み終わっちまうぞ?
いづみは促されるままに焼きそばパンを頬張る・・・
―もむ・・もむ・・・・
いづみ「・・・おいしい。
大和久「だろ?これに牛乳が最高に合うんだぜ。
中条「(味オンチめ・・・)
と、ここで中条はある事を思い出す。
そういえば、今朝大和久はえらく不機嫌であった・・・
中条「なぁおい、お前朝超キレてなかったか?
大和久「あ?キレてねぇよ。
単に目が疲れてて時計がよく見えてなかっただけだ。
中条「時計が?時間なんか気にしてたのか?
大和久「・・・飯時に言わせる気か?
中条「あぁ~・・そう言う事。
いづみ「最初に案内してもらったのがトイレだったのはそういう事だったのね・・・
川上「礼司・・もしかして目ぇ悪くなった?
大和久「あぁ?んな訳ねえよ。昔から両目とも2,0だぜ。
川上「ちょっとこれ読んで見て。
そう言って教科書を見せる川上
大和久「・・・ん?・・・
・・・
中条「読めねえのか?
川上「今度2人でメガネ屋に行こうか?ね?選んであげるからさ。
いづみ「ちょっと・・・!あなた何よ?馴れ馴れしいわよッ!
川上「彼女なんだから当然でしょ?
いづみ「・・・・・・
ゴゴゴゴゴゴゴ・・・・
和みかけていた空気が、再び冷えはじめる・・・
中条「(あぁ・・川上、さよならだな。
あんまり話した事はねえが、お前のこと嫌いじゃなかったぜ・・・)
大和久「・・・おい、一。
一つ言っておくが、俺は他人の権力を盾に威張りくさる奴ってのが大嫌いなんだ。
俺と結婚したいなら、親の力に頼らねぇでてめぇ自身の魅力でコイツ(川上)から俺を奪ってみせろ・・・!
中条「(こ・・・こいつッ!
いきなり結婚とか頭オカシいんじゃねえのッ!?どんだけ自信あるんだよ!?)
ドドドドドドド・・・・
いづみ「・・・・わかったわ。
中条「・・・え?
いづみ「本当はこの女に、ブラジル当たりに行ってもらおうと思ったけど、あなたがそう言うなら仕方ないわね・・・・
正々堂々・・・あなたから『結婚してくれ』と言わせてみせるわッ!!
川上「フン・・・やれるもんならやってみなさいッ!!
川上「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ!
いづみ「ほぅ・・・突きの速さ比べか、面白い。受けて立つ!
無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄!
―ゴガッ!ゴガガガガガガガッ・・・!
昼休みの教室で突如として始まる闘い・・・
互いの拳がぶつかる度に、空気は激しく振動し窓ガラスにヒビが入るッ!
いづみ「無・・・・駄アァッ!!
―グワアッ!!
一瞬の隙を突き、いづみが強烈なパンチを放つ!
川上「ッ!オァアアッ!!
―ドガッシイィイイッ!!
超反応を見せた川上が、そのパンチを受け止めるとほぼ同時、2人を中心とした衝撃波が発生し
中条と大和久、そして哀れにも周辺にいた無関係のクラスメイトが吹き飛ばされるッ!!
いづみ「今の一撃を受け止めるとは・・・貴様やるなッ!
川上「フン・・・もしかして今のが本気のパンチだってのか?
ほんのちょいとブレザーの袖が破れただけだぜ・・・!
いづみ「減らず口をッ!!
ならば力の差を思い知らせてやる・・・!
無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄アァッ!!
川上「オオラオラオラオラオラオラオラッ!!
―バギャギャギャギャギャギャ・・・ッ!!
互いが互いの拳をぶつけ合う衝撃で、今度は2人の身体が宙へと浮き上がって行く・・・・
中条「す・・・すげぇ・・・!
大和久「これが・・・Sランク同士の闘い・・・!
息をのみ、傍観する2人を無視し、拳をぶつけ合う2人はやがて舞台を外へと移し
宙に浮いたまま闘いながら、彼方へと消えてゆく・・・!
ドドドドドドドドドド・・・・
?1「さて・・・と、どうするかな。
?2「どうするっても、今から大臣の娘をさらいにいくしかねぇだろ?
江藤「・・・(コイツら、さっきの女が目的なのか)
?1「ちょっと確認してみる。
―Prrrr・・・
あ、もしもし?ベンちゃん?
そそそそ、俺だよ!
ちょ~っと聞きたいんだけどさぁ?
言われた車を襲撃したら娘じゃなくて一般人が乗ってたんですけど?
え?・・・うん、うん。
悪党以外殺さないもんね、説得しとくよ!
・・うん、うん。あい了解~!
―ピッ・・・
?1「・・・放っといて織須田高校に向かえとさ。
そこに娘がいるそうだ。
?2「お前・・・そんなキャラだったっけ?
まぁ、それは良いが殺さないってのはどういう事だ?
ゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・
?1「お前はどうか知らんが、俺たちは正義の執行者だ・・・
車のドアを開け、中から黒服の死体を引きずり降ろしながら男が答える。
?1「だから罪の無い一般人を殺す事はしない。
殺していいのは・・・
―ガッ・・・
降ろした死体の頭に足を乗せる男・・・
?1「一みたいな悪党と、それに組みするコイツらみたいなクズだけだ・・・ッ!
分かったら乗れ。さっさと行くぞ。
?2「はいはい・・・分かりましたよ。
―・・チャッ
その言葉と共に後頭部へ押し当てられていた堅い物が離され、男は車へと歩き出す・・・
江藤「・・・(助かったのか?)
ゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・
?2「あ・・・そうだ、忘れてたわ。
―クルッ。
男が振り向く。
その手には拳銃が握られており、銃口は江藤へ向けられていた。
江藤「ッ!?
?2「俺は正義の執行者じゃなかったわ。
人を殺せりゃあそれでいいのよ。
?1「やめろッ!!
――ガンガンッ!!
もう一人の男の抑制もきかず、男は引き金を引く。
次の瞬間には無慈悲に頭を打ち抜かれた学生の死体が転がっている筈であった・・・が
ドドドドドドドド・・・・!
?2「なん・・・だと?
江藤「・・・!
?1「・・・あり得ん。あり得るはずがない・・・ッ!
黒服「・・・先輩!
大丈夫ですか!?
ドドドドドドドド・・・・
先ほど、足蹴にされていた黒服が江藤と男の間に割って入り、その身を盾にして銃弾を防いでいた。
?2「死体が動いただと・・・ッ!?
黒服「ガルネリウス・・・ッ!
江藤「・・!
田村ッ!!死体にとりついて・・お前大丈夫かよッ!?
轡を外された江藤が叫ぶ。
黒服(田村)「えぇ、大丈夫ですよ。スタンドがやられなきゃ俺は痛くも痒くも無いですから。
江藤「そういや、そうだったな・・だが、どうしてここに?
田村「俺は・・先輩が女に入れ込むようになってから、ずっと尾けてました。
いつか、昔みたいな尖った漢に戻るのを待ってたんです・・・
江藤「戻るも何もねぇぜ・・・髪の毛は抜けても牙は抜けちゃいねぇッ!
ただその牙を彼女を守るために使おうと決めただけだッ!
田村「それが腑抜けちまってるって言うんだよおッ!!
他の学校の奴らに何て言われてるかアンタァ知らないだろッ!!
『ストッキング番長』とか『ハゲ番長』って言われてるんだぞッ!!!悔しくないのかよッ!!
今だって拳銃突きつけられた位でこんな奴らにビビっちまってッ!!
これじゃアンタ、ただのハゲじゃねえかぁッ!!
江藤「・・・!!
?2「おいぃ・・・?
今のは聞き捨てならねぇなぁ?
『こんな奴ら』だと?
興をそがれたんでこのまま学校へ行こうと思ったが
殺る気がフツフツと湧いてきたぜぇッ!
?1「おい、中島ッ!やめろ!
中島「うるせぇッ!俺に指図すんじゃねぇッ!
俺は人間を殺せりゃそれで良いんだッ!!
さっきだって全員殺っちまいやがって・・・俺にも殺させろ!
?「殺したら、ボスの命令に逆らう事になるんだぞ・・・!
男は忌々しげに脅しをかけるが、中島と呼ばれた男に耳を貸す様子はなかった。
中島「構わねえ・・・!
てめぇ一人でさっさと行けよ、急いでんだろ?
それと、命令が終わって帰ったらボスに伝えとけ。
『追っ手をかければ、全員殺す』・・ってな!
?「・・・・後悔するぞ。
中島「後悔?
ふはははははッ!生まれてこの方したことねえよッ!!
―バタン・・・ッ。
―ブロロロロ・・・・
男が立ち去ると、嫌な空気が周囲に満ちあふれる・・・
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・
江藤「・・・!(もしかして、これが殺気ってやつか)
田村「え、江藤先輩!何とかしてくださいッ!!
江藤「いや、怒らせたのお前だし・・・
田村「だってあんなに怒るなんて思わなかったんですよ!
江藤「だよな・・・ご都合主義ってやつか。
中島「何をごちゃごちゃ言ってやがるッ!!
江藤「何でもねぇよ!
・・・田村、腕の縄ァほどいてくれ。
田村「はいッ!
江藤「オッサン、ちょっと待ってろよ・・・
中島「・・・・・
―パサッ
ほどけた縄が地面に落ちる。
江藤は大きく腰を伸ばして
二、三度肩を回す・・・
ドドドドドド・・・
江藤「待たせたなぁ・・・オッサンよぉ。
ボッコボコにしてやんっかんな?
田村「さすが先輩!ヨッ!男の中の男!!
中島「(ほぉ~ぅ・・・さっきまでビビってた野郎が生意気な口聞くじゃねえのッ!)
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・!
中島「そんじゃあ・・・ブッ殺すとしますかぁッ!!
―ドギャドギャドギャンッ!!
何の躊躇もなく弾丸を発射する覆面の男・・・
通常であれば次の瞬間には絶命し倒れる標的がそこにいるはずであった。
だが
ドドドドドドドド・・・・!
江藤「セクシャル・バイオレット・・・!
中島「な・・・にッ!?
隆起した地面が盾となり銃弾を受け止めていた・・・
江藤「弾丸を弾いたりは流石に無理だがよぉ~・・受け止める事なら朝飯前だぜッ!!
田村「さすが・・・・先ッッ輩!!
中島「・・・こいつは驚いた。お前『も』スタンド使いかよ?
まぁ、スタンド使いは引かれ合うって事か。・・・ったく、この町はどうなってんだか。
田村「先輩ッ!コイツお前『も』って言ったッ!!
『も』ってッ!!
江藤「あぁ・・聞こえたぜぇ。
昨日今日と連戦かよ・・・
最近やたらとスタンド使いと会うんだよなぁ~・・・
中島「はぁ~ん・・お前もかよ。
て、事はそれなりに実戦経験もあるって事だよな?
・・・面白えッ!殺りがいがあるってモンよ!!
そう言って、中島は拳銃を捨てる・・・
田村「あ、チャンス!
うしゃあぁあーッ!!死にさらせぇーーッ!!!
江藤「馬鹿やめろ!
―グバアァアアッ!!
江藤の制止も聞かず、田村(黒服)は目の前の男へと飛びかかるッ!
中島「阿呆が・・・!
―・・・スッ
田村「何だそりゃぁッ!?
両手を前に突きだして嫌々のポーズかよッ!?
―ズ・・・ブッ!
田村の動きが直前で止まる・・・
田村「・・・・え?こ、これはッ!
中島「救いようのねぇ阿呆だな・・・!
ゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・
中島の掌からは無数の刃が生えており、その刃は田村(黒服)の身体を貫通し動きを止めていた・・・
田村「・・・ゴフッ!
中島「まず一人・・・!
江藤「た、田村ぁーーッ!!
ドドドドドドド・・・・
―キーンコーンカーンコーン・・・お昼の時間でし!本日購買部にて焼きそばパンが二割引でし!
生徒諸君は購買部へ急ぐでしッ!!
中条「うおぉおおおおぉお~~ッ!!
どけどけぇー!焼きそばパンッ!!
―ダダダダダダッ!!
チャイムと同時に購買部へ向けて疾走する中条!
中条「(ここは三階、購買部は一階!廊下を一直線に駆け抜け端にある階段へ向かいたいところだが・・・この時間は混雑必至ッ!
敢えてベランダから出て端の教室まで抜けていくッ!!)
―ダダダダダダ・・・ッ!
中条「(くッ・・!やはり階段はすし詰め状態か・・・
だがしかぁ~しッ!!
俺にはスタンドがある!
マーラ・ザ・ビックボスッ!!)
「早く行けよ!売り切れちまうだろ!
「うっせー!行きたくても前が詰まってんだよ!
「きゃあッ!誰かお尻触った!!
―ガヤガヤ・・・
中条「(いっけぇ~ッ!!)
―シュルシュルシュル・・・
生徒「ん、何だ?
―グイィッ!!
ビックボスの触手を目の前の生徒達の隙間にねじ込み、横に押しのける・・・
これにより、十戒のように中条の目の前にある人の海が割れていくッ!
中条「フヒヒッ!これで焼きそばパンは俺のものだあぁあ~ッ!!
―・・ザッ!
購買部に一番乗り・・・ではなかったが、まだ生徒はまばらにしかいない。確実に目当ての物はまだあるだろう。
中条「おばちゃん!焼きそばパン二つ頂戴!
・・・しかし
おばちゃん「ごめんねぇ~、売り切れちゃったのよ・・・
中条「な・・・馬鹿な・・・!
ありえないッ!
(まさか新手のスタンド使いの仕業か・・・!? )
ゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・
中条「んな訳ねぇか・・・
考えてみりゃ一階の三年の奴らの方が断然早く着くんだもんなぁ・・・早く三年になりたいぜ。
―ガララ・・・ッ。
目当ての物が買えなかったため、別の物を購入し教室に戻る。
大和久「おぅ中条、焼きそばパン買わねえか?
そこには大量の焼きそばパンを売りさばく大和久の姿があった・・・
中条「んなッ!?な、何で!?
O・C「ご説明しましょう。
実はマスターは授業が終わる前から購買部へ行っていたのです。
大和久「(お前・・勝手に出てくんなよ)
中条「あ・・・まさか・・・!スタンドを使ってッ!
O・C「そう・・・あなた方が見ていたのは教室に座っていたマスターの過去の姿・・・
本当はとっくに居なかったのです・・・!
中条「・・・・!(昨日もだったが、スタンドの使い方がセコいな)
大和久「いるのかよ?
お前なら知り合い特価で250円で良いぜ?
中条「250円って・・定価じゃねえかよ。一体いくらで売ってんだ?
大和久「あ?400円だよ。
握手つきで400円。
・・・はい、毎度~。
パンを買った女子生徒にお釣りを渡す際にさり気なく手を握るように添えて渡す大和久・・・
お釣りを受け取った女子はその場を離れた後、友人とキャイキャイ騒いでいた。
中条「あ・・なるほどそういう事か。
大和久「セコいとか思ってんだろ。
手紙返すのだって金がかかんだ・・・察しろよ。
それに見た目が良いってのは天が与えた一種の才能だ。
その才能を使って彼女らに使う金を稼いでるんだ。しかもちょっとした触れ合いのオマケ付き・・・
あ、お前にこの苦労は分からねえか。なんかごめんな?
中条「んだと!てめぇッ!!
大和久「本当の事だろうがッ!!
川上「・・・(また喧嘩してる・・でもこれでいて本当、仲が良いのよねぇ)
―ガタッ!
いづみ「静かにしてくれるかしら!?
無言で座っていた転校生が、中条達に不快感を示す。
ゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・
中条「すんません、一さん。
・・・あれ?お昼ないんすか?しかも一人?
内心「やっちまった」と中条は思った。
今の言い方は明らかに馬鹿にした口調であったから。
午前中・・毅然とした態度で彼女を猛烈に批判した委員長は
父親が急遽、海外転勤になったらしく放課後にお別れ会が行われる予定だ。
やもすれば自分も同じ目にあうかも知れない・・・
だが、返ってきたのは予想外の答えであった。
いづみ「ここの購買部はカードも使えなくて困るわね!
というか、いつもはお付きの黒崎が食事の手配をしてるのッ!
それに転校初日だし・・・今日はたまたま・・・たまたまよ!
目にうっすらと涙を浮かべ気丈に振る舞おうとするいづみ。
もしかしたら案外打たれ弱いのかもしれない・・・そんな事を中条が考えていると、自分の顔の脇からにゅっと腕が伸びるのが見えた。
いづみ「・・・・なに?焼きそばパン?
大和久「飯も金もねぇんだろ?
今日は特別に奢ってやるよ。
オラ、机こっちに持って来い。
中条「・・・!(コイツッ!計算なのか!?マジでこんなくせぇ事平気で出来る性格かッ!?)
川上「(朝撃たれたってのに、甘いなぁ・・・ホント。)
いづみ「・・・毒が入ってたりしないでしょうね?
大和久「アホか。する訳ねぇだろ。
オラ、とっとと食えよ!昼休み終わっちまうぞ?
いづみは促されるままに焼きそばパンを頬張る・・・
―もむ・・もむ・・・・
いづみ「・・・おいしい。
大和久「だろ?これに牛乳が最高に合うんだぜ。
中条「(味オンチめ・・・)
と、ここで中条はある事を思い出す。
そういえば、今朝大和久はえらく不機嫌であった・・・
中条「なぁおい、お前朝超キレてなかったか?
大和久「あ?キレてねぇよ。
単に目が疲れてて時計がよく見えてなかっただけだ。
中条「時計が?時間なんか気にしてたのか?
大和久「・・・飯時に言わせる気か?
中条「あぁ~・・そう言う事。
いづみ「最初に案内してもらったのがトイレだったのはそういう事だったのね・・・
川上「礼司・・もしかして目ぇ悪くなった?
大和久「あぁ?んな訳ねえよ。昔から両目とも2,0だぜ。
川上「ちょっとこれ読んで見て。
そう言って教科書を見せる川上
大和久「・・・ん?・・・
・・・
中条「読めねえのか?
川上「今度2人でメガネ屋に行こうか?ね?選んであげるからさ。
いづみ「ちょっと・・・!あなた何よ?馴れ馴れしいわよッ!
川上「彼女なんだから当然でしょ?
いづみ「・・・・・・
ゴゴゴゴゴゴゴ・・・・
和みかけていた空気が、再び冷えはじめる・・・
中条「(あぁ・・川上、さよならだな。
あんまり話した事はねえが、お前のこと嫌いじゃなかったぜ・・・)
大和久「・・・おい、一。
一つ言っておくが、俺は他人の権力を盾に威張りくさる奴ってのが大嫌いなんだ。
俺と結婚したいなら、親の力に頼らねぇでてめぇ自身の魅力でコイツ(川上)から俺を奪ってみせろ・・・!
中条「(こ・・・こいつッ!
いきなり結婚とか頭オカシいんじゃねえのッ!?どんだけ自信あるんだよ!?)
ドドドドドドド・・・・
いづみ「・・・・わかったわ。
中条「・・・え?
いづみ「本当はこの女に、ブラジル当たりに行ってもらおうと思ったけど、あなたがそう言うなら仕方ないわね・・・・
正々堂々・・・あなたから『結婚してくれ』と言わせてみせるわッ!!
川上「フン・・・やれるもんならやってみなさいッ!!
川上「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ!
いづみ「ほぅ・・・突きの速さ比べか、面白い。受けて立つ!
無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄!
―ゴガッ!ゴガガガガガガガッ・・・!
昼休みの教室で突如として始まる闘い・・・
互いの拳がぶつかる度に、空気は激しく振動し窓ガラスにヒビが入るッ!
いづみ「無・・・・駄アァッ!!
―グワアッ!!
一瞬の隙を突き、いづみが強烈なパンチを放つ!
川上「ッ!オァアアッ!!
―ドガッシイィイイッ!!
超反応を見せた川上が、そのパンチを受け止めるとほぼ同時、2人を中心とした衝撃波が発生し
中条と大和久、そして哀れにも周辺にいた無関係のクラスメイトが吹き飛ばされるッ!!
いづみ「今の一撃を受け止めるとは・・・貴様やるなッ!
川上「フン・・・もしかして今のが本気のパンチだってのか?
ほんのちょいとブレザーの袖が破れただけだぜ・・・!
いづみ「減らず口をッ!!
ならば力の差を思い知らせてやる・・・!
無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄アァッ!!
川上「オオラオラオラオラオラオラオラッ!!
―バギャギャギャギャギャギャ・・・ッ!!
互いが互いの拳をぶつけ合う衝撃で、今度は2人の身体が宙へと浮き上がって行く・・・・
中条「す・・・すげぇ・・・!
大和久「これが・・・Sランク同士の闘い・・・!
息をのみ、傍観する2人を無視し、拳をぶつけ合う2人はやがて舞台を外へと移し
宙に浮いたまま闘いながら、彼方へと消えてゆく・・・!
ドドドドドドドドドド・・・・