ゴゴゴゴゴゴゴ・・・・!
薬「・・・そんなに怒るなよ?俺は能力を解除してちっとばかし善良な警官のフリをしただけだ。
それとも、γ波の出し過ぎで頭カッカしちまってんのか?
磯野「・・・!この野郎ッ!!
―グッ!
薬売りの胸ぐらを掴みぐいと持ち上げる磯野・・!
薬「・・おっと、どうやらアイツもスタンド使いだぜ。
身を守らなきゃ・・・マズいんじゃあねえか?
磯野「何ッ!?
振り向いた磯野の目に飛び込んで来たのは、この世に生まれて見ない日は無いと言えるほど見慣れた物体・・
あまりにも見慣れすぎて、一瞬何だか分からなかったが
あの形は間違いなく、アレである。
ドドドドドドドド・・・!
磯野「巨大・・チンコ?
中条「マーラ・ザ・ビックボスッ!!
オラオラオラオラオラオラオララァアアッ!!
―ドバドバドバドバァアーッ!
触手がより合わさって作られた拳のラッシュが磯野へと襲いかかる!
磯野「・・・!!
(うぉおぉおおッ!?チンコがパンチを打ってきやがっただとォ~ッ!!
・・・・だが、捌けないスピードじゃあないぜッ!!)
ウシャアァーッ!
―ガガガガッ・・!
驚異的なスピードでM・T・Bのパンチを捌く磯野!
中条「かかったッ!
―グバァッ!
磯野「ッ!
―ガッシイィ!!
M・T・のB拳が受けられる直前にほどかれ、無数の触手となって磯野の腕をからめ取ると、残りの触手を使い上半身を完全に拘束する・・!
磯野「これは・・・!
中条「今のうちだッ!早く中へ!
中条は薬売りに肩を貸して、校内へ向かって走る!
薬「・・・(まずは侵入成功ってとこだな。
それにしてもちくしょ~・・!この腕くっつくかなぁ~?)
ドドドドドドドド・・・・
磯野「コイツはまるで・・・!陰毛じゃねえかッ!!
―スパスパァアッ!!
―バラバラバラ・・・
切り裂かれた触手が身体についたのを手で払い、磯野の身体がフワリと浮かぶ。
磯野「陰毛ってのはよ・・・
掃除しても掃除しても無くならねえんだよなぁ~?
何でなんだよッ!カーペットをコロコロすると必ずと言っていいほどコロコロにくっついてやがるッ!
クソが・・・苛つく事思い出させやがって~ッ!!
―ガンッ!
磯野が『空中を殴る』と同時に、ボードが動き始める・・
―ザザァ・・ッ!!
中条「・・・何だッ!?
見えない何かがこっちに向かってくるぞッ!!
薬「コイツは・・・空気の波だッ!!
避けろッ!!
―ゴバアァアアーッ!
中条「避けるってどこに・・・・
―ドゴパアァァッ!!
中条「ぐは・・・ッ!
薬「・・・・・がッ!
―ドシャアッ・・!
見えない空気の波は2人を容赦なく強く玄関の壁に叩きつけた。
中条「ぐ・・・、くそが・・ってうおわぁああッ!?
体を起こした中条の目の前には、ついさっきまで遠くにいた筈の磯野の姿があった。
磯野「空気の波に乗れば、常識外れのスピードも出せるんだぜぇッ!!
―グオォッ!!
ボードの切っ先は完全に中条を狙っている・・!
中条「やべ・・防御が間に合わないッ!
―グシャアァッ!!
ゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・
磯野「・・・・
中条「・・・ッ!
T・H「・・・・(早く!さっさと中に入れッ!)
中条「あ、あぁ!分かった!
中条の窮地を救ったのは、風呂戸のスタンドだった。
もう駄目だと諦めかけた瞬間、横っ飛びに飛び出してきた牛の様なスタンドが磯野に組み付きその攻撃を防いだのだ。
ゴゴゴゴゴゴゴ・・・
ゴゴゴゴゴゴゴ・・・
―・・ギリッ・・・!
磯野「・・・っとに、てめぇらはよ~ッ!!
俺の予定をことごとく潰しやがってッ!!
――教室
風呂戸「お嬢様ッ!シャッター閉めろッ!!
いづみ「キャッツ!閉めなさいッ!!
キャッツ「でしッ!
―ズギュゥーンッ!
―ガチッ!
キャッツ・グローブの三本あるコンセント型の尻尾が、
教室の壁にあるコンセントの穴に突き刺さる!
―――――玄関
―ガラガラガラガラガラ・・・・!
磯野「ッ!
―ガシャアァン・・・!
突然、玄関を含めた窓など校舎すべてのシャッターが閉まり、磯野は閉め出しをくらった状況に置かれる・・・・
ゴゴゴゴゴゴゴ・・・・
磯野「なんだ・・・?
誰がシャッターを同時に閉めた?
まだ・・・仲間がいるとでも言うのか?
T・H「(・・・それより、お前、自分身を心配した方が良いぜ?)
組み付き、転倒させた際にT・Hは磯野の上に乗り、マウントポジションとなっている。
磯野「あ~・・・そうだな。
能力を解除してやっと冷静になってきたが・・・
この体勢は確かにマズいな。
T・H「今さら気づいたかッ!
牛に馬乗りになられた気分はどうだァッ!?
―グォッ!
―バキィイッ!
振り下ろすかの様なパンチを磯野の顔面に見舞うT・H!
磯野「・・・・
T・H「ッ!?
不利な体勢にあるはずの、磯野の顔を見てT・H(風呂戸)の背中に冷たいものが流れる・・・
ゴゴゴゴゴゴゴ・・・・
顔面を殴られたにも関わらず、磯野の眼は連日テレビで垂れ流される、お笑い芸人のつまらないギャグを見るかのような眼をしている。
T・H「てめ・・・なんだその眼はッ!!
磯野「・・・フフッ。
まぁ大体想像はついたがな・・・
お前の能力は、強力過ぎる。
本体が近くに見あたらない事を考えれば遠隔操作型だ。
そんなスタンドに格闘でダメージを与えるようなパワーがあるわけがない・・・
そのいかにもパワーのありそうなヴィジョンは見かけ倒し・・・
T・H「・・・・!
磯野「それで・・・だ。
マズいと言ったのは俺がじゃあない。
俺とこんなに近くにいる『お前が』マズいんだよ・・・!
―ズブブ・・・!
T・H「なッ!?体が沈むッ!
T・Hと磯野の体がズブズブと地面に埋まっていく・・・
磯野「後出しだとか、ご都合主義だとか言うんじゃあないぜ・・・
この地域が昔は田んぼだらけだったって、知らなかったか?
波の『振動』により、超局所的な液状化を起こした・・・!
俺とお前の周りだけなッ!
ゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・
T・H「波の振動・・・!?
磯野「波とは振動・・・
お前は物理をもう少し勉強した方が良い。
俺はお前の教師じゃあないから、説明なんか求めるなよ・・・?
―・・ドプ・・・ッ
そう言って磯野は完全に地面の中へ消える・・・同時にT・Hの体も、既に半分以上地面に沈み込んでいた。
T・H「ぐッ!抜け出せない・・!?
引っ張ってやがるのかッ!!
クソオォオオッ!!
懸命にもがくT・Hだが、その体は完全に地面へと呑み込まれていく・・・!
・・・・・・
・・・・
・・・
しばしの静寂が訪れると、磯野だけの姿が地面から浮上してくる。
そして、スタンドスーツを軽くはたき、髪型を整え背を向けたままT・Hにこう告げた。
磯野「ま、スタンドだから死にはしないだろう。
しばらく大人しく埋まってな・・・
ゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・
風呂戸「ぐ・・・・くそ!!
スタンドが捕らえられた・・・地面から抜け出せねぇ・・・!
大和久「抜け出せない?何言ってんだよ、スタンドだから地面を透過するくらい・・・
キャッツ「恐らく、敵さんの能力が作用してるからでし。
どんな能力かは分からないけど、風呂戸しゃんの会話から察するに波を操る敵さんでし。
大和久「波って・・・単純に海みたいな波か?
それとも、超音波とかそういう目に見えない波長みたいなのか?
ドドドドドド・・・
キャッツ「おそらく、後者でし。だとすると・・・
いづみ「だとすると?
キャッツ「敵さんは超強いでし。
風呂戸「俺がやられたんだから当たり前だろッ!
管尾「あ、風呂戸くんやられたんだ?
私はスタンド見えないから分からなかったよ。
川上「ねー、ズルいよねぇ~
「大和久~!何か知ってんのかよ?
そういえばここは教室であった・・・
クラスメイトの1人が大和久に話しかける。
「その転校生が叫んだ瞬間に、シャッターが全部閉まったなんてただ事じゃないぜ?
どうやらこの男子は、シャッターが閉まったことに全く動じない大和久らが、何かを知っていると思ったようである。
大和久「・・・・これはあれだ、一(にのまえ)パワーってやつだよ。
「あ・・・そうか。
じゃあ別に緊急事態とかじゃないんだな?
大和久「まぁ、そのうち開くさ・・・
「じゃあ次の体育はマラソンだけど外に出られないんじゃ自習になるよなッ!よっしゃ~!
大和久「おう。
―ガララ・・ッ!
いづみ「・・?
突然、教室の扉が開き
男子生徒が大和久達へ駆け寄ってくる!
その男子生徒は、三年の越智であった。
管尾「越智先輩・・?
越智「はぁ・・はぁ・・・!
君たち、何か今の状況について知ってるかい!?
大和久「どうかしたのかよ?先輩。
ゴゴゴゴゴゴゴ・・・・!
越智「実は大変な噂が現実になりかけてるんだ。
実は校舎玄関が凄いことになってて・・・爆弾でも落とされたんじゃないかって位、酷い状態さ。
その後すぐ、このシャッター全閉まりの状態になって玄関は見られなくなったんだけど・・・
いづみ「・・誰?
管尾「先輩。先輩もスタンド使いなんだ・・・
確か能力は~『噂を現実に変える』能力。
大和久「あぁ~・・・それは、ここにいるこいつ(いづみ)を狙う、悪~い奴が出てきてよぉ。
そいつと戦うのにあいつ(風呂戸)がやったんだよ。
風呂戸「なんか問題でもあんですかね?
風呂戸が越智に突っかかるような言動をとる。
ゴゴゴゴゴゴ・・・
越智「全くとんでもない事をしてくれたね・・・!
今、一階の教室にいる生徒達の間で噂が広まりつつある・・・
『武装テロ集団がこの学校を占拠しようとしている』って噂がね・・・!
管尾「え・・それってあとどれくらいで・・・?
ハローナスティ「ソノ質問ニハ俺様ガ答エルゼ~!
学校トイウ限ラレタ空間ダカラ・・・多分後30分クライカ、モット早イクライダゼッ!!
越智「昼休みに校庭にはデカい亀裂が出来たし、おそらく噂の進行はかなり早い。
早急に解決しないと生徒全員が危ないよ・・・
大和久「・・・・!
ドドドドドドド・・・・・
風呂戸「俺はまだ負けた訳じゃねえ・・・、とっとと地面から抜け出して第二ラウンドといくかッ!
大和久「動けるのかよ?
風呂戸「ちょいと時間がかかったけどな・・・
地面を『溶かして』抜け出せるぜ。
ゴゴゴゴゴゴ・・・
磯野「・・・ふ~む、力づくでは開けられそうにないなこれは。
―グッ・・
掌をシャッターに押しつけ、振動波を起こしてみるが変化は無い。
磯野「さすがにそこまでは無理か・・・
どこか開いてる場所を探すとしよう。
そう言って、空気に波を起こし、ボードを使って波に乗る。
空中をサーフィンするかの様に高速で移動する磯野がふと上を見上げると、分厚い雲が立ちこめ始めていた・・・
磯野「あぁ、ついでだから屋上も見てみるかな。
・・・雨が降る前に中に入りたいしな。
―クイッ
ボードの先を上に向け、浮上し屋上の近くまで昇る磯野。
その時である。
―ッゴオォオオオッ!!
突然、強烈な吹き下ろす風が起こり磯野は体勢を崩す!
磯野「うぉおおおおーッ!?
(こ、これは・・・ダウンバーストッ!?
まさかこんな場所で・・いや!あの牛の仕業かッ!)
何とか体勢を立て直し、下を見下ろすとそこには先ほど地面に埋め込んだはずのトレンダ・ホーンの姿があった・・・!
磯野「地面を溶かした・・!?
そこまでのエネルギーが・・・
だが、出られたところで貴様のダウンバーストによる風を、俺は既に乗りこなしているぞッ!!
このまま下降噴流に乗って首を跳ね飛ばしてやるッ!!
―ズギュンッ!!
空中の停止状態から、目にも止まらぬ速度で下降する磯野ッ!
その切っ先は正確に首を狙っている。
仮に狙いがずれても、胴体ごと真っ二つにされてしまうであろう。
磯野のスタンドは、それだけの鋭さと速度を備えていた・・・
ドドドドドドドド・・・・!
T・H「北風と太陽って話を知ってるか?
俺だって、風だけでてめえをブチのめせるだなんて思っちゃいねぇさ・・・!
強烈な下降噴流に乗っちまってるが、それじゃあ横や上には行けねえわなッ!!
磯野「ッ!(しまった・・・!だが、奴の攻撃より早く到達してしまえば問題ないッ!
パワーもスピードも俺が上だッ!!)
T・H「ヒート・ウェイブッ!!
―カッ・・
T・Hの両角が輝くッ!!
だが、磯野は既にT・Hの目の前に迫っている!
磯野「遅いぃッ!!
T・H「ッ!!
―ドグシャアァアアッ!!
磯野「ゴフ・・・ッ!
(な、何が・・・
奴の前に見えない壁があるかのように・・・
俺の攻撃を防いだ・・・!?)
ドドドドドドドド・・・・!
T・H「『空気の壁』だ・・!
俺の周りには暖められ上昇しようとする空気が存在する、
降りる空気と昇る空気があればぶつかるに決まってんだろ。
・・・さて、と
それじゃ、いかせてもらうぜ?
磯野「~~~ッ!!
(空気の波では熱は防げないッ!
いや、そもそも間に合
T・H「ヒート・ウェイブッ!!
―ズキャアアァアアアアッ!!
地面をも溶かす超高熱の波が磯野の体を包むッ!!
磯野「ぎにゅあぁああぁあああ~~ッ!!!!!あづぅうえあぁあぁああッ!!??
高熱により暖められた空気は上昇噴流となり、下降噴流とぶつかる!
ぶつかった空気は渦を成し、それは大きな竜巻となって磯野の体を天高く巻き上げていく・・・
磯野「うぉあぁあ~ッ!!
―・・・キラーン。
T・H「運が良けりゃ、海に落ちるだろうよ・・・。
OK、シャッター開けても良いぜ。
ドドドドドド・・・・
磯野
【スタンド】マリンバ
竜巻に巻き上げられ戦場離脱により戦闘不能、生死は不明――リタイア。
―ガラガラガラ・・・
中条「お、開いた。
てことは、あのサーファー野郎をブッ倒したのか・・・
薬「う・・・
中条「大丈夫ですか?
応急処置で縫ってありますが、早く病院に行かないと・・・
薬「(この触手みたいなのがコイツのスタンド能力か・・・?
いや、違うな・・・
つーか、どう見てもチン毛なんだが、ばい菌とか大丈夫か?
―――――――――――――
―ガラガ(ry
「校長!シャッター開きましたよッ!
校長「そうか!
一体何だったのか・・・せっかくのアフタヌーンティーが台無しになってしまったじゃないか。
「そういえば、玄関の方が騒がしかったですね。それが原因じゃないですか?
校長「何?玄関?
あそこには新車で買った私のベンツが停まっているんだぞ?
まさかイタズラ・・・!?
「・・とにかく行ってみましょう!
―――玄関。
校長「こ・・・これは?
たどり着いた玄関の外には、午前中までとは全く違う景色が広がっていた。
「火事でもあったのか・・?
校長「あ!無い!私のベンツがない!!
「ありました・・・あそこ・・・
校長「・・・んなッ!?
どうしてあんな場所にぃ~!?私のベンツゥウエェエエーッ!!
ゴゴゴゴゴゴゴ・・・
【織須田高校名物オブジェ】
校長のベンツ
誰かがイタズラで屋上の縁に設置したらしい。
その落ちそうで落ちない絶妙なバランスは、見た者に「24よりハラハラする」と言わせたが、危ないのですぐに撤去されてしまった。
キャッツ「シャッター開けたでしよ、ご主人!
いづみ「ご苦労様、家に帰ったら単三電池あげるわね。
キャッツ「単三ッ!?やったでし~!!
大和久「おい、風呂戸。
本当にやったんだろうな?
風呂戸「はぁ・・・、今は・・・話しかけないでくれ。
エネルギーを使いすぎた・・・もう、お茶も沸かせねえぜ。
風呂戸はそう言ってグッタリと椅子に体を預ける・・・。
大和久「・・・そうか。
ま、ゆっくり休め。
風呂戸「言われなくてもそうさせてもらうぜ・・・
川上「良かった~、私なんか気が抜けちゃったみたい・・・
眠くなってきちゃった・・
管尾「私も・・・
大和久「おいおい・・・昼飯食ってからどんだけ経ったと思ってんだよ?
川上「大丈夫よ~・・どうせ、今の騒ぎで6限目は自習になるだろうから・・・
大和久「まぁ、良いけどよ?
そこまで話して、ある事に大和久は気が付いた。
ゴゴゴゴゴゴゴ・・・・
大和久「・・・・?
やけに静かだな・・
風呂戸「・・・・・・
川上「・・・・
管尾「・・・・・
越智「・・・おかしい。
このクラス、僕ら以外みんな寝てる・・・
明らかにおかしいのに何故だか僕まで眠くてたまらない・・・!
いづみ「・・・キャッツ・・
一体何が・・・起こってるの?
キャッツ「・・・フガー・・
ムニャムニャ・・・でしししし!もう、お腹いっぱいでしよ・・・
大和久「これは・・・!?
―ドサッ・・・
越智が倒れると、教室内で起きているのは大和久ていづみの2人だけになっていた。
大和久「まさか・・スタンド攻撃!?
まだ敵がいたってのか・・ッ!?
―――――――――
中条「・・・・・すぴー
薬「チョロいもんだぜ・・・
さぁ~て、お仕事お仕事!
フハハハハハハハ・・・ッ!!
薬「・・・あ~。
そういや、その娘ってのがどこのクラスかって情報もねえな・・・。
ったくよ~!下調べもろくにしないで仕事振ってくんなよなぁ~・・!
1階から虱潰しに探していくっきゃねえか。
―ザッ・・・
薬売りが一歩を踏み出す。
―ボンッ!
薬「なッ!?
頭上から何かが破裂するかの様な音に顔を上げた薬売りの顔面に割れた蛍光灯のガラスが降り注ぐッ!
―ザクザクザクゥ・・ッ!
薬「くあッ!!痛ぇ!!
(蛍光灯が勝手に割れるだとッ!?)
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・
―ボンッ!
―ボンッ!
薬「何ぃ~ッ!次々にガラスが降り注いできやがるッ!?
―バッ!
薬売りはそのガラスを回避するが、回避した先も蛍光灯が割れ、またそれを回避する!
薬「・・・・!
(一体何だってんだ!?
俺を誘導してるってのかッ!?)
そして、ガラスのシャワーが止む。
薬売りは初めにいた場所から少し離れた場所・・・だが、廊下の行き止まりに追い込まれていた・・・
薬「なるほどな・・・近づかせないって訳か。
?「いや、そいつは違うぜ・・・
薬「・・・!?
どこか近くから声が聞こえてくる。しかし、その姿は確認出来ない。
―ズバシャアァーッ!!
薬「ワブブファッ!?
み、水か!?
ドドドドドドド・・・・
廊下の壁に取り付けられた、火災報知器・・・その側に、散水ホースを持ってふらふらと立つ大和久が現れる。
大和久「く・・・(マズい・・こいつに近づいた途端一段と眠くなった・・・!
能力を保てねぇ・・・ッ!
―ガクッ・・・
薬「・・・・てめぇの能力は、透明になれるのか?
だが、どうやら限界みたいだなぁ?
ガラスや水でどうにか出来ると思ったのかよ・・・!?あぁん?
ゴゴゴゴゴゴゴ・・・!
大和久「はッ・・・
まさか・・水で倒せるなんか思っちゃいねぇさ・・・
俺の目的はてめぇをここに追い込む事・・・そして中条からてめぇを引き離すことだ・・・!
教室でほかの奴らが寝るのに時間差があったからな・・・
範囲型の能力だとすれば距離が近いほど眠くなるとふんだんだが・・その通りだったぜ。
薬「一発でバレちまうったあ、大した洞察力だな。
しかも俺の能力にこれだけ間近で当てられてまだ眠らずにいるなんて、馬鹿みてえな精神力だ。
・・・だが、それでもお前は眠気の限界だ。
なにが出来るってんだよ?
ゴゴゴゴゴゴゴ・・・・
大和久「てめぇの・・周りをよく見ろ・・・!行き止まりの水浸し・・・だ・・・ぜ
―ドサッ。
そう言うとばったりと倒れ、寝息を立て始める大和久・・・
薬「水浸し・・・?だから何だってんだぁ~ッ!?
このスカポンがぁーッ!!
―バガンッ!!
薬「・・・?
大和久が倒れるのとほぼ同時に、何かが外れるような大きな音が響く。
薬「・・・・・
ゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・!
―――三階、教室
キャッツ「うぅ・・・ご主人・・眠いでし・・・限界でしぃいぃいぃいい・・・
いづみ「ダアホォッ!!
私だって眠いんだよぉおおおッ!!
グダグダ言わずに働けや!!こんボケがぁッ!
―バギャァッ!
キャッツ「でしぃぃいい・・・!でしぃいぃいぃい~・・・
一階、廊下
薬「・・・おいおいおぃ?
マジかよ、この野郎・・・!
ドドドドドドド・・・・!
―バヂヂチィ・・・ッ!
音の正体は、蛍光灯自体が天井から外れた音であった。
落下によりコードが千切れ、むき出しの電線がショートしながら薬売りに向かって伸びてくるッ!!
―グオォオオ・・・!
薬「~~ッ!(イカレてやがるッ!あいつにも水はかかってるってのにッ!!
避ける・・?いや、避けても周り中水浸しだ
掴む・・?いやいや、あんなウネウネしてんのを電気に触れないように掴む精密さは俺には無ぇ・・
ガード・・?出来る訳ねぇだろ!
うぉおあああ!!くそがぁあああッ!!)
―ドバッチィッッ!!
薬「ぐ・・・は・・・ッ!
(マズ・・一瞬意識が飛んだぞ。
だが、電撃を喰らったのは奴も同じ・・・って、え?)
ドドドドドドドド・・・・!
薬売りは、大和久の姿を確認し驚愕する。
大和久の体は宙に浮き、水に接してはいない・・・
正確には、浮いているのではなく吊り上げられていた。
黒光りする触手が彼の体を吊っていたのだ。
薬「触手・・・・!?馬鹿なッ!!
ドドドドドドド・・・・
中条「馬鹿野郎~・・・
無茶しやがって!
俺が起きなかったらどうする気だったんだよッ!?
大和久「・・・ん・・?
俺が・・・無傷・・・って事は上手く行ったって事か。
中条「上手く行ったじゃねえ!下手すりゃ死ぬかもしれなかったんだぜ!?
つーか、なんか痛えと思って起きたら周り中ガラスだらけじゃねえかッ!!
大和久「へっ・・・起きたんだから良いだろ?
薬「・・・!コイツ・・・!俺を移動させたのは、相方を起こすためかッ!
そんな運任せの作戦・・・!
大和久「運も実力の内っていうだろ・・・?
薬「く・・・そがぁあああッ!!ナメくさりやがってッ!!
―ガバアァッ!
満身創痍ながら立ち上がる薬売り!
大和久「・・・!感電してるってのに立ち上がるのかッ!
お~し、やってやるぜ。
中条、降ろしてくれ
中条「ったく・・あんまイジメてやんなよ?
―タッ・・・
触手から降り立ち、両手をポケットに入れてふんぞり返る大和久・・・!
薬「・・・何のつもりだてめぇ。
大和久「これか?
この状態から『抜きな、どっちが早いか勝負しようぜ』って訳だ・・・感電と片手しかないハンデとして、俺様は両手をポケットに入れた状態でスタートしてやるよ。
おら、構えろや。
中条「あんまりイジメんなよ・・・オッサンのプライドがズタズタになっちゃうだろ?
ゴゴゴゴゴ・・・
薬「イジメだぁ~ッ!?クソガキがナメやがってッ!!
乗ってやんよ!吠え面かくんじゃねえぞ!?
中条「クハハ・・ッ!
OK、じゃあ2mまで近づいて、俺が10数えるから10で勝負だ。
大和久「決まりだな。
薬売りと大和久は互いに近づき、大和久はポケットに手を入れ、薬売りは拳銃を構え立つ。
薬「引き金をひく指先より早く動けるってか・・・?ガキが、大人をナメんじゃねえぜ・・!
大和久「・・・・やってみりゃ分かるさ。
中条「じゃあ始めるぜ・・・
『1』ッ!!
カウントが始まる・・・
薬「(・・・負けるはずがねぇ・・・
負けるはずはねぇが、念には念を入れてフライングさせてもらうとするぜ・・・!
あまり早くても可哀想だからな・・・『5』くらいでぶっ放すと
―ボギャアァアアアッ!!!
薬「うぼあぁおぁ~~ッ!?
派手に殴られ、吹き飛ぶ薬売りッ!
薬「な・・!てめぇ!10って言ったらだろッ!!
汚ねぇぞ~ッ!!
大和久「あ゛?
誰がルールを守るって言ったよ?
中条「フヒヒヒヒヒッ!
馬鹿だ!ここに馬鹿がいるッ!
まんまと騙されてやがんのッ!
―バギャアァアッ!
薬「ぶべッ!
M・T・Bの拳が鼻っ柱を強打し、立ち上がろうとした薬売りを打ち倒す!
中条「ふぅ~・・・・
ドドドドドドドド・・・・
中条「俺は今、心底ムカついている・・・
まんまと騙されたてめーの間抜けさにとすっかり騙してくれたお前にな・・・!
殺しはしない・・・だが、半年ほどベッドでネンネしてもらおうか・・・ッ!!
大和久「おぅ、俺も混ぜろよ。
・・・学校中メチャメチャにしてくれやがって。
覚悟出来てんだろうなぁ?
薬「ぐ・・・!
中条「マーラ・ザ・ビックボスッ!!
大和久「オーバー・チュアーッ!!
薬「しゃらくせぇーッ!スリーピ
2人「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラララララァアアアアッ!!!!
―ドゴドゴドゴドゴドゴドゴッ!!
中条と大和久の容赦ない拳が、薬売りの体を砕くッ!
薬「~~ッ!!(何か昔も2人がかりで殴られたような気がするぶぁああッ!!
―ドバッギャアァアアンッ!!!
薬「ギッ・・ニャァアーーッ!!
ゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・
―ピク・・ピク・・・・
中条「ふぅ~・・・すっきりしたぜ。
大和久「おう、後はコイツに敗北感ってやつをキッチリ植え付けとかなきゃいけねえよな?
そう言って、馬乗りになり薬売りの首に手をかける大和久。
―グッ・・・
?「待て!その必要はないッ!
2人「ッ!?
井川「その男の身柄は我々が引き受ける。
大和久「井川・・刑事?
中条「なぜ学校に・・・?
井川「なぜって・・・そりゃあ僕は警察だからね。
通報があれば駆けつけるよ。
中条「誰か通報したって事か・・・ま、よく考えれば当然だよな。
井川「・・で、そこでノビてる奴が犯人なんだろ?
とりあえず手錠だけ掛けさせ・・・て?
大和久「?
どうかしたんすか?
井川「コイツ・・・!警官殺しの重要参考人だッ!!
ほら、大和久くんをひき殺すそうとした・・・
大和久「あー・・・そういやこんな顔だった気がするな。
井川「これは、大手柄だね・・・さぁ立て!
薬「ぐ・・・てめぇ・・警察
―バキィッ!
薬「ぐぁッ!
井川「私は立てと言ったんだ・・・!
勝手に喋るなよ・・・
中条「(・・おっかねぇ~)
大和久「(案外キレやすいのかもな・・・)
井川「ゴホン・・
と、とにかくこれで事件は一気に進展する筈だ。
ご協力に感謝ッ!
―ビッ。
中条と大和久に軽く敬礼し、井川は薬売りを連れてその場から去っていった・・・・
中条「・・・行ったな。
大和久「あぁ・・・そういや、他の奴らは起きたのか?
中条「だと思うぜ?
ともかくこれで一を狙う奴らを撃退出来たな。
だけどこんなんが、ちょくちょくあったらたまんねぇなぁ・・・
ゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・
薬売りの男
【スタンド】スリーピング・フォレスト
2人がかりでフルボッコ→逮捕連行
―ブロロロ・・・・
薬「痛・・・ちくしょう、奴らめ・・・!
しこたまブン殴りやがってッ!
警察車両の後部座席で薬売りが忌々しげな様子で煙草に火を付ける。
その手に、手錠はかかっていない。
?「・・・大失態だな。
俺が助けなかったらまた刑務所にぶち込まれる所だったぞ?
だが、一の娘の周りにスタンド使いが複数いたのと、同じく娘を狙う奴らがいたのは計算外だった。
まぁ、仕方ない所ではあるな。
ゴゴゴゴゴゴゴ・・・・
薬「あのサーファー野郎か・・・どこのどいつだ?
「一を狙う奴らはウヨウヨいるが・・・
その中でも【ニウソク王国】・・・
元々は何もない国だったが、十数年前石油を越える新資源『アラキニウム』が大量に埋もれていることが発見された。
その膨大な資源を盾に最近アラブ連邦から独立した国だ。
薬「その国と、一と何の関係があんだよ?
「その中にある最大の採掘場を、一が押さえている。
そのおかげで一は絶大な権力と資金を手に入れ、今この国を牛耳っている。
奴らはそれが気にくわないのさ。
薬「つまり金か・・・
「ま、そういう事だな。
・・・・そろそろ着くぞ。
まだ他のメンバーには会ってないんだろう?
薬「とりあえず、この手を治せる野郎がいると良いんだがなぁ・・・
ゴゴゴゴゴゴゴ・・・・・・
角田「な・・・何て事だ・・・
井川・・警部・・・?
―ゴォオオォ・・・
炎上するパトカーの前で角田(刑事)は立ち尽くしていた・・・
私の名前は中条万次郎。
最近影が薄くなりつつある15歳・・・
どうして私の周りには、こうもおかしな奴らが集まるのだろう・・・?
「しっかし、転校初日に狙われるなんて・・・お前の親父ってあくどい事してんだなぁ?
こいつは大和久・・・
良いのは顔だけ、頭は悪い、性格も悪・・・くはないが暑苦しい野郎だ。
「ちょっと言い過ぎだよッ!
もう少し気を使わないとダメだよ?
こいつは管尾・・・
今は女だが、元々は男だ。
数少ないマトモな奴なのだが、最近こいつの目を見て話が出来ない・・・何故だ?
「父がやっている事は私も良く知らないんだけど・・・
今度会ったら聞いてみるつもりよ・・・!
こいつは一いづみ・・・
この日本で一番権力のあるらしい男を父に持つ女。
金持ちなので性格はクソだと私は感じている。
「ねぇねぇ、次お父さんに会うのっていつなの?毎日会ってるの?
こいつは川上・・・
大和久の彼女で比較的常識はあるのだが、何故かこの女は私に絡んでこない・・・
「・・・・(あ・・そういや、降星にデジカメ忘れた。
まいった、おっぱい写真を集めなきゃならないのによぉ~)
コイツは風呂戸・・・
一の護衛として転校してきたのだが、多分変態。
なぜなら女子と話すときに胸をガン見・・・いや、胸しか見ていないからだ。
中条がそんな事を考えながら校門に差し掛かると、見慣れない男が道を遮る・・・
中条「・・・?
ゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・
男「中条万次郎・・・!
男は、今時珍しい格好をしていた。
短い学ランに(いわゆる短ラン)ダッボダボのズボン(ボンタン)ぺったんこの鞄、そしてリーゼント・・・
いわゆるツッパリというやつだ。
中条「・・・・?ん・・・あー、失礼。
どちら様でしたっけ?
大和久「あ゛?んだてめぇ、イジメちまうぞ?
男「・・・・・・
ゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・
にらみ合う三人の間に不穏な空気が流れる・・・
―ガバッ!!
中条&大和久「ッ!?
管尾「あッ!こ、これは・・
川上「ちょっと嘘!何よッ!
いづみ「・・・こんな場所で
風呂戸「まさかの!
一同「土下座だとぉ~ッ!?
―バアァアア~~ンッ!!
男「頼むッ!!江藤先輩の敵を討ってくれッ!この通りだ!
ドドドドドドド・・・!
中条「な・・何だよッ!いきなり土下座とか・・意味分からねえ・・・
ってか、お前誰だよッ!?
男「あ・・あぁ・・・そうかッ!
俺の名前は『田村』・・・
江藤先輩の舎弟だ。コイツを見れば分かるだろ・・・
『ガルネリウス』ッ!
―バアァアンッ!
言葉と共に飛び出すヘラクレスオオカブトのような姿をした小型のスタンド!
中条「あ!お前は・・・!
大和久「・・・誰だ?
いづみ「キャッツ・・・網と虫かごなんてどこから持ってきたのよ? 要らないわよ、あんなの・・・
キャッツ「でし!
管尾「全く分からない・・・
川上「私も・・・
中条「何の用だ?つーか頼みごとを聞く義理もねぇんだがなぁ・・・
大和久「まぁ待てよ、聞いてやろうぜ。
俺もあのハ・・・江藤を知らない訳じゃあないし
それに
男が白昼、公衆の面前でここまでするっつーのはよっぽどの事だ・・・・
田村「ありがてぇ・・・大和久礼司・・
あんた、漢だ・・・!
薬「・・・そんなに怒るなよ?俺は能力を解除してちっとばかし善良な警官のフリをしただけだ。
それとも、γ波の出し過ぎで頭カッカしちまってんのか?
磯野「・・・!この野郎ッ!!
―グッ!
薬売りの胸ぐらを掴みぐいと持ち上げる磯野・・!
薬「・・おっと、どうやらアイツもスタンド使いだぜ。
身を守らなきゃ・・・マズいんじゃあねえか?
磯野「何ッ!?
振り向いた磯野の目に飛び込んで来たのは、この世に生まれて見ない日は無いと言えるほど見慣れた物体・・
あまりにも見慣れすぎて、一瞬何だか分からなかったが
あの形は間違いなく、アレである。
ドドドドドドドド・・・!
磯野「巨大・・チンコ?
中条「マーラ・ザ・ビックボスッ!!
オラオラオラオラオラオラオララァアアッ!!
―ドバドバドバドバァアーッ!
触手がより合わさって作られた拳のラッシュが磯野へと襲いかかる!
磯野「・・・!!
(うぉおぉおおッ!?チンコがパンチを打ってきやがっただとォ~ッ!!
・・・・だが、捌けないスピードじゃあないぜッ!!)
ウシャアァーッ!
―ガガガガッ・・!
驚異的なスピードでM・T・Bのパンチを捌く磯野!
中条「かかったッ!
―グバァッ!
磯野「ッ!
―ガッシイィ!!
M・T・のB拳が受けられる直前にほどかれ、無数の触手となって磯野の腕をからめ取ると、残りの触手を使い上半身を完全に拘束する・・!
磯野「これは・・・!
中条「今のうちだッ!早く中へ!
中条は薬売りに肩を貸して、校内へ向かって走る!
薬「・・・(まずは侵入成功ってとこだな。
それにしてもちくしょ~・・!この腕くっつくかなぁ~?)
ドドドドドドドド・・・・
磯野「コイツはまるで・・・!陰毛じゃねえかッ!!
―スパスパァアッ!!
―バラバラバラ・・・
切り裂かれた触手が身体についたのを手で払い、磯野の身体がフワリと浮かぶ。
磯野「陰毛ってのはよ・・・
掃除しても掃除しても無くならねえんだよなぁ~?
何でなんだよッ!カーペットをコロコロすると必ずと言っていいほどコロコロにくっついてやがるッ!
クソが・・・苛つく事思い出させやがって~ッ!!
―ガンッ!
磯野が『空中を殴る』と同時に、ボードが動き始める・・
―ザザァ・・ッ!!
中条「・・・何だッ!?
見えない何かがこっちに向かってくるぞッ!!
薬「コイツは・・・空気の波だッ!!
避けろッ!!
―ゴバアァアアーッ!
中条「避けるってどこに・・・・
―ドゴパアァァッ!!
中条「ぐは・・・ッ!
薬「・・・・・がッ!
―ドシャアッ・・!
見えない空気の波は2人を容赦なく強く玄関の壁に叩きつけた。
中条「ぐ・・・、くそが・・ってうおわぁああッ!?
体を起こした中条の目の前には、ついさっきまで遠くにいた筈の磯野の姿があった。
磯野「空気の波に乗れば、常識外れのスピードも出せるんだぜぇッ!!
―グオォッ!!
ボードの切っ先は完全に中条を狙っている・・!
中条「やべ・・防御が間に合わないッ!
―グシャアァッ!!
ゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・
磯野「・・・・
中条「・・・ッ!
T・H「・・・・(早く!さっさと中に入れッ!)
中条「あ、あぁ!分かった!
中条の窮地を救ったのは、風呂戸のスタンドだった。
もう駄目だと諦めかけた瞬間、横っ飛びに飛び出してきた牛の様なスタンドが磯野に組み付きその攻撃を防いだのだ。
ゴゴゴゴゴゴゴ・・・
ゴゴゴゴゴゴゴ・・・
―・・ギリッ・・・!
磯野「・・・っとに、てめぇらはよ~ッ!!
俺の予定をことごとく潰しやがってッ!!
――教室
風呂戸「お嬢様ッ!シャッター閉めろッ!!
いづみ「キャッツ!閉めなさいッ!!
キャッツ「でしッ!
―ズギュゥーンッ!
―ガチッ!
キャッツ・グローブの三本あるコンセント型の尻尾が、
教室の壁にあるコンセントの穴に突き刺さる!
―――――玄関
―ガラガラガラガラガラ・・・・!
磯野「ッ!
―ガシャアァン・・・!
突然、玄関を含めた窓など校舎すべてのシャッターが閉まり、磯野は閉め出しをくらった状況に置かれる・・・・
ゴゴゴゴゴゴゴ・・・・
磯野「なんだ・・・?
誰がシャッターを同時に閉めた?
まだ・・・仲間がいるとでも言うのか?
T・H「(・・・それより、お前、自分身を心配した方が良いぜ?)
組み付き、転倒させた際にT・Hは磯野の上に乗り、マウントポジションとなっている。
磯野「あ~・・・そうだな。
能力を解除してやっと冷静になってきたが・・・
この体勢は確かにマズいな。
T・H「今さら気づいたかッ!
牛に馬乗りになられた気分はどうだァッ!?
―グォッ!
―バキィイッ!
振り下ろすかの様なパンチを磯野の顔面に見舞うT・H!
磯野「・・・・
T・H「ッ!?
不利な体勢にあるはずの、磯野の顔を見てT・H(風呂戸)の背中に冷たいものが流れる・・・
ゴゴゴゴゴゴゴ・・・・
顔面を殴られたにも関わらず、磯野の眼は連日テレビで垂れ流される、お笑い芸人のつまらないギャグを見るかのような眼をしている。
T・H「てめ・・・なんだその眼はッ!!
磯野「・・・フフッ。
まぁ大体想像はついたがな・・・
お前の能力は、強力過ぎる。
本体が近くに見あたらない事を考えれば遠隔操作型だ。
そんなスタンドに格闘でダメージを与えるようなパワーがあるわけがない・・・
そのいかにもパワーのありそうなヴィジョンは見かけ倒し・・・
T・H「・・・・!
磯野「それで・・・だ。
マズいと言ったのは俺がじゃあない。
俺とこんなに近くにいる『お前が』マズいんだよ・・・!
―ズブブ・・・!
T・H「なッ!?体が沈むッ!
T・Hと磯野の体がズブズブと地面に埋まっていく・・・
磯野「後出しだとか、ご都合主義だとか言うんじゃあないぜ・・・
この地域が昔は田んぼだらけだったって、知らなかったか?
波の『振動』により、超局所的な液状化を起こした・・・!
俺とお前の周りだけなッ!
ゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・
T・H「波の振動・・・!?
磯野「波とは振動・・・
お前は物理をもう少し勉強した方が良い。
俺はお前の教師じゃあないから、説明なんか求めるなよ・・・?
―・・ドプ・・・ッ
そう言って磯野は完全に地面の中へ消える・・・同時にT・Hの体も、既に半分以上地面に沈み込んでいた。
T・H「ぐッ!抜け出せない・・!?
引っ張ってやがるのかッ!!
クソオォオオッ!!
懸命にもがくT・Hだが、その体は完全に地面へと呑み込まれていく・・・!
・・・・・・
・・・・
・・・
しばしの静寂が訪れると、磯野だけの姿が地面から浮上してくる。
そして、スタンドスーツを軽くはたき、髪型を整え背を向けたままT・Hにこう告げた。
磯野「ま、スタンドだから死にはしないだろう。
しばらく大人しく埋まってな・・・
ゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・
風呂戸「ぐ・・・・くそ!!
スタンドが捕らえられた・・・地面から抜け出せねぇ・・・!
大和久「抜け出せない?何言ってんだよ、スタンドだから地面を透過するくらい・・・
キャッツ「恐らく、敵さんの能力が作用してるからでし。
どんな能力かは分からないけど、風呂戸しゃんの会話から察するに波を操る敵さんでし。
大和久「波って・・・単純に海みたいな波か?
それとも、超音波とかそういう目に見えない波長みたいなのか?
ドドドドドド・・・
キャッツ「おそらく、後者でし。だとすると・・・
いづみ「だとすると?
キャッツ「敵さんは超強いでし。
風呂戸「俺がやられたんだから当たり前だろッ!
管尾「あ、風呂戸くんやられたんだ?
私はスタンド見えないから分からなかったよ。
川上「ねー、ズルいよねぇ~
「大和久~!何か知ってんのかよ?
そういえばここは教室であった・・・
クラスメイトの1人が大和久に話しかける。
「その転校生が叫んだ瞬間に、シャッターが全部閉まったなんてただ事じゃないぜ?
どうやらこの男子は、シャッターが閉まったことに全く動じない大和久らが、何かを知っていると思ったようである。
大和久「・・・・これはあれだ、一(にのまえ)パワーってやつだよ。
「あ・・・そうか。
じゃあ別に緊急事態とかじゃないんだな?
大和久「まぁ、そのうち開くさ・・・
「じゃあ次の体育はマラソンだけど外に出られないんじゃ自習になるよなッ!よっしゃ~!
大和久「おう。
―ガララ・・ッ!
いづみ「・・?
突然、教室の扉が開き
男子生徒が大和久達へ駆け寄ってくる!
その男子生徒は、三年の越智であった。
管尾「越智先輩・・?
越智「はぁ・・はぁ・・・!
君たち、何か今の状況について知ってるかい!?
大和久「どうかしたのかよ?先輩。
ゴゴゴゴゴゴゴ・・・・!
越智「実は大変な噂が現実になりかけてるんだ。
実は校舎玄関が凄いことになってて・・・爆弾でも落とされたんじゃないかって位、酷い状態さ。
その後すぐ、このシャッター全閉まりの状態になって玄関は見られなくなったんだけど・・・
いづみ「・・誰?
管尾「先輩。先輩もスタンド使いなんだ・・・
確か能力は~『噂を現実に変える』能力。
大和久「あぁ~・・・それは、ここにいるこいつ(いづみ)を狙う、悪~い奴が出てきてよぉ。
そいつと戦うのにあいつ(風呂戸)がやったんだよ。
風呂戸「なんか問題でもあんですかね?
風呂戸が越智に突っかかるような言動をとる。
ゴゴゴゴゴゴ・・・
越智「全くとんでもない事をしてくれたね・・・!
今、一階の教室にいる生徒達の間で噂が広まりつつある・・・
『武装テロ集団がこの学校を占拠しようとしている』って噂がね・・・!
管尾「え・・それってあとどれくらいで・・・?
ハローナスティ「ソノ質問ニハ俺様ガ答エルゼ~!
学校トイウ限ラレタ空間ダカラ・・・多分後30分クライカ、モット早イクライダゼッ!!
越智「昼休みに校庭にはデカい亀裂が出来たし、おそらく噂の進行はかなり早い。
早急に解決しないと生徒全員が危ないよ・・・
大和久「・・・・!
ドドドドドドド・・・・・
風呂戸「俺はまだ負けた訳じゃねえ・・・、とっとと地面から抜け出して第二ラウンドといくかッ!
大和久「動けるのかよ?
風呂戸「ちょいと時間がかかったけどな・・・
地面を『溶かして』抜け出せるぜ。
ゴゴゴゴゴゴ・・・
磯野「・・・ふ~む、力づくでは開けられそうにないなこれは。
―グッ・・
掌をシャッターに押しつけ、振動波を起こしてみるが変化は無い。
磯野「さすがにそこまでは無理か・・・
どこか開いてる場所を探すとしよう。
そう言って、空気に波を起こし、ボードを使って波に乗る。
空中をサーフィンするかの様に高速で移動する磯野がふと上を見上げると、分厚い雲が立ちこめ始めていた・・・
磯野「あぁ、ついでだから屋上も見てみるかな。
・・・雨が降る前に中に入りたいしな。
―クイッ
ボードの先を上に向け、浮上し屋上の近くまで昇る磯野。
その時である。
―ッゴオォオオオッ!!
突然、強烈な吹き下ろす風が起こり磯野は体勢を崩す!
磯野「うぉおおおおーッ!?
(こ、これは・・・ダウンバーストッ!?
まさかこんな場所で・・いや!あの牛の仕業かッ!)
何とか体勢を立て直し、下を見下ろすとそこには先ほど地面に埋め込んだはずのトレンダ・ホーンの姿があった・・・!
磯野「地面を溶かした・・!?
そこまでのエネルギーが・・・
だが、出られたところで貴様のダウンバーストによる風を、俺は既に乗りこなしているぞッ!!
このまま下降噴流に乗って首を跳ね飛ばしてやるッ!!
―ズギュンッ!!
空中の停止状態から、目にも止まらぬ速度で下降する磯野ッ!
その切っ先は正確に首を狙っている。
仮に狙いがずれても、胴体ごと真っ二つにされてしまうであろう。
磯野のスタンドは、それだけの鋭さと速度を備えていた・・・
ドドドドドドドド・・・・!
T・H「北風と太陽って話を知ってるか?
俺だって、風だけでてめえをブチのめせるだなんて思っちゃいねぇさ・・・!
強烈な下降噴流に乗っちまってるが、それじゃあ横や上には行けねえわなッ!!
磯野「ッ!(しまった・・・!だが、奴の攻撃より早く到達してしまえば問題ないッ!
パワーもスピードも俺が上だッ!!)
T・H「ヒート・ウェイブッ!!
―カッ・・
T・Hの両角が輝くッ!!
だが、磯野は既にT・Hの目の前に迫っている!
磯野「遅いぃッ!!
T・H「ッ!!
―ドグシャアァアアッ!!
磯野「ゴフ・・・ッ!
(な、何が・・・
奴の前に見えない壁があるかのように・・・
俺の攻撃を防いだ・・・!?)
ドドドドドドドド・・・・!
T・H「『空気の壁』だ・・!
俺の周りには暖められ上昇しようとする空気が存在する、
降りる空気と昇る空気があればぶつかるに決まってんだろ。
・・・さて、と
それじゃ、いかせてもらうぜ?
磯野「~~~ッ!!
(空気の波では熱は防げないッ!
いや、そもそも間に合
T・H「ヒート・ウェイブッ!!
―ズキャアアァアアアアッ!!
地面をも溶かす超高熱の波が磯野の体を包むッ!!
磯野「ぎにゅあぁああぁあああ~~ッ!!!!!あづぅうえあぁあぁああッ!!??
高熱により暖められた空気は上昇噴流となり、下降噴流とぶつかる!
ぶつかった空気は渦を成し、それは大きな竜巻となって磯野の体を天高く巻き上げていく・・・
磯野「うぉあぁあ~ッ!!
―・・・キラーン。
T・H「運が良けりゃ、海に落ちるだろうよ・・・。
OK、シャッター開けても良いぜ。
ドドドドドド・・・・
磯野
【スタンド】マリンバ
竜巻に巻き上げられ戦場離脱により戦闘不能、生死は不明――リタイア。
―ガラガラガラ・・・
中条「お、開いた。
てことは、あのサーファー野郎をブッ倒したのか・・・
薬「う・・・
中条「大丈夫ですか?
応急処置で縫ってありますが、早く病院に行かないと・・・
薬「(この触手みたいなのがコイツのスタンド能力か・・・?
いや、違うな・・・
つーか、どう見てもチン毛なんだが、ばい菌とか大丈夫か?
―――――――――――――
―ガラガ(ry
「校長!シャッター開きましたよッ!
校長「そうか!
一体何だったのか・・・せっかくのアフタヌーンティーが台無しになってしまったじゃないか。
「そういえば、玄関の方が騒がしかったですね。それが原因じゃないですか?
校長「何?玄関?
あそこには新車で買った私のベンツが停まっているんだぞ?
まさかイタズラ・・・!?
「・・とにかく行ってみましょう!
―――玄関。
校長「こ・・・これは?
たどり着いた玄関の外には、午前中までとは全く違う景色が広がっていた。
「火事でもあったのか・・?
校長「あ!無い!私のベンツがない!!
「ありました・・・あそこ・・・
校長「・・・んなッ!?
どうしてあんな場所にぃ~!?私のベンツゥウエェエエーッ!!
ゴゴゴゴゴゴゴ・・・
【織須田高校名物オブジェ】
校長のベンツ
誰かがイタズラで屋上の縁に設置したらしい。
その落ちそうで落ちない絶妙なバランスは、見た者に「24よりハラハラする」と言わせたが、危ないのですぐに撤去されてしまった。
キャッツ「シャッター開けたでしよ、ご主人!
いづみ「ご苦労様、家に帰ったら単三電池あげるわね。
キャッツ「単三ッ!?やったでし~!!
大和久「おい、風呂戸。
本当にやったんだろうな?
風呂戸「はぁ・・・、今は・・・話しかけないでくれ。
エネルギーを使いすぎた・・・もう、お茶も沸かせねえぜ。
風呂戸はそう言ってグッタリと椅子に体を預ける・・・。
大和久「・・・そうか。
ま、ゆっくり休め。
風呂戸「言われなくてもそうさせてもらうぜ・・・
川上「良かった~、私なんか気が抜けちゃったみたい・・・
眠くなってきちゃった・・
管尾「私も・・・
大和久「おいおい・・・昼飯食ってからどんだけ経ったと思ってんだよ?
川上「大丈夫よ~・・どうせ、今の騒ぎで6限目は自習になるだろうから・・・
大和久「まぁ、良いけどよ?
そこまで話して、ある事に大和久は気が付いた。
ゴゴゴゴゴゴゴ・・・・
大和久「・・・・?
やけに静かだな・・
風呂戸「・・・・・・
川上「・・・・
管尾「・・・・・
越智「・・・おかしい。
このクラス、僕ら以外みんな寝てる・・・
明らかにおかしいのに何故だか僕まで眠くてたまらない・・・!
いづみ「・・・キャッツ・・
一体何が・・・起こってるの?
キャッツ「・・・フガー・・
ムニャムニャ・・・でしししし!もう、お腹いっぱいでしよ・・・
大和久「これは・・・!?
―ドサッ・・・
越智が倒れると、教室内で起きているのは大和久ていづみの2人だけになっていた。
大和久「まさか・・スタンド攻撃!?
まだ敵がいたってのか・・ッ!?
―――――――――
中条「・・・・・すぴー
薬「チョロいもんだぜ・・・
さぁ~て、お仕事お仕事!
フハハハハハハハ・・・ッ!!
薬「・・・あ~。
そういや、その娘ってのがどこのクラスかって情報もねえな・・・。
ったくよ~!下調べもろくにしないで仕事振ってくんなよなぁ~・・!
1階から虱潰しに探していくっきゃねえか。
―ザッ・・・
薬売りが一歩を踏み出す。
―ボンッ!
薬「なッ!?
頭上から何かが破裂するかの様な音に顔を上げた薬売りの顔面に割れた蛍光灯のガラスが降り注ぐッ!
―ザクザクザクゥ・・ッ!
薬「くあッ!!痛ぇ!!
(蛍光灯が勝手に割れるだとッ!?)
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・
―ボンッ!
―ボンッ!
薬「何ぃ~ッ!次々にガラスが降り注いできやがるッ!?
―バッ!
薬売りはそのガラスを回避するが、回避した先も蛍光灯が割れ、またそれを回避する!
薬「・・・・!
(一体何だってんだ!?
俺を誘導してるってのかッ!?)
そして、ガラスのシャワーが止む。
薬売りは初めにいた場所から少し離れた場所・・・だが、廊下の行き止まりに追い込まれていた・・・
薬「なるほどな・・・近づかせないって訳か。
?「いや、そいつは違うぜ・・・
薬「・・・!?
どこか近くから声が聞こえてくる。しかし、その姿は確認出来ない。
―ズバシャアァーッ!!
薬「ワブブファッ!?
み、水か!?
ドドドドドドド・・・・
廊下の壁に取り付けられた、火災報知器・・・その側に、散水ホースを持ってふらふらと立つ大和久が現れる。
大和久「く・・・(マズい・・こいつに近づいた途端一段と眠くなった・・・!
能力を保てねぇ・・・ッ!
―ガクッ・・・
薬「・・・・てめぇの能力は、透明になれるのか?
だが、どうやら限界みたいだなぁ?
ガラスや水でどうにか出来ると思ったのかよ・・・!?あぁん?
ゴゴゴゴゴゴゴ・・・!
大和久「はッ・・・
まさか・・水で倒せるなんか思っちゃいねぇさ・・・
俺の目的はてめぇをここに追い込む事・・・そして中条からてめぇを引き離すことだ・・・!
教室でほかの奴らが寝るのに時間差があったからな・・・
範囲型の能力だとすれば距離が近いほど眠くなるとふんだんだが・・その通りだったぜ。
薬「一発でバレちまうったあ、大した洞察力だな。
しかも俺の能力にこれだけ間近で当てられてまだ眠らずにいるなんて、馬鹿みてえな精神力だ。
・・・だが、それでもお前は眠気の限界だ。
なにが出来るってんだよ?
ゴゴゴゴゴゴゴ・・・・
大和久「てめぇの・・周りをよく見ろ・・・!行き止まりの水浸し・・・だ・・・ぜ
―ドサッ。
そう言うとばったりと倒れ、寝息を立て始める大和久・・・
薬「水浸し・・・?だから何だってんだぁ~ッ!?
このスカポンがぁーッ!!
―バガンッ!!
薬「・・・?
大和久が倒れるのとほぼ同時に、何かが外れるような大きな音が響く。
薬「・・・・・
ゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・!
―――三階、教室
キャッツ「うぅ・・・ご主人・・眠いでし・・・限界でしぃいぃいぃいい・・・
いづみ「ダアホォッ!!
私だって眠いんだよぉおおおッ!!
グダグダ言わずに働けや!!こんボケがぁッ!
―バギャァッ!
キャッツ「でしぃぃいい・・・!でしぃいぃいぃい~・・・
一階、廊下
薬「・・・おいおいおぃ?
マジかよ、この野郎・・・!
ドドドドドドド・・・・!
―バヂヂチィ・・・ッ!
音の正体は、蛍光灯自体が天井から外れた音であった。
落下によりコードが千切れ、むき出しの電線がショートしながら薬売りに向かって伸びてくるッ!!
―グオォオオ・・・!
薬「~~ッ!(イカレてやがるッ!あいつにも水はかかってるってのにッ!!
避ける・・?いや、避けても周り中水浸しだ
掴む・・?いやいや、あんなウネウネしてんのを電気に触れないように掴む精密さは俺には無ぇ・・
ガード・・?出来る訳ねぇだろ!
うぉおあああ!!くそがぁあああッ!!)
―ドバッチィッッ!!
薬「ぐ・・・は・・・ッ!
(マズ・・一瞬意識が飛んだぞ。
だが、電撃を喰らったのは奴も同じ・・・って、え?)
ドドドドドドドド・・・・!
薬売りは、大和久の姿を確認し驚愕する。
大和久の体は宙に浮き、水に接してはいない・・・
正確には、浮いているのではなく吊り上げられていた。
黒光りする触手が彼の体を吊っていたのだ。
薬「触手・・・・!?馬鹿なッ!!
ドドドドドドド・・・・
中条「馬鹿野郎~・・・
無茶しやがって!
俺が起きなかったらどうする気だったんだよッ!?
大和久「・・・ん・・?
俺が・・・無傷・・・って事は上手く行ったって事か。
中条「上手く行ったじゃねえ!下手すりゃ死ぬかもしれなかったんだぜ!?
つーか、なんか痛えと思って起きたら周り中ガラスだらけじゃねえかッ!!
大和久「へっ・・・起きたんだから良いだろ?
薬「・・・!コイツ・・・!俺を移動させたのは、相方を起こすためかッ!
そんな運任せの作戦・・・!
大和久「運も実力の内っていうだろ・・・?
薬「く・・・そがぁあああッ!!ナメくさりやがってッ!!
―ガバアァッ!
満身創痍ながら立ち上がる薬売り!
大和久「・・・!感電してるってのに立ち上がるのかッ!
お~し、やってやるぜ。
中条、降ろしてくれ
中条「ったく・・あんまイジメてやんなよ?
―タッ・・・
触手から降り立ち、両手をポケットに入れてふんぞり返る大和久・・・!
薬「・・・何のつもりだてめぇ。
大和久「これか?
この状態から『抜きな、どっちが早いか勝負しようぜ』って訳だ・・・感電と片手しかないハンデとして、俺様は両手をポケットに入れた状態でスタートしてやるよ。
おら、構えろや。
中条「あんまりイジメんなよ・・・オッサンのプライドがズタズタになっちゃうだろ?
ゴゴゴゴゴ・・・
薬「イジメだぁ~ッ!?クソガキがナメやがってッ!!
乗ってやんよ!吠え面かくんじゃねえぞ!?
中条「クハハ・・ッ!
OK、じゃあ2mまで近づいて、俺が10数えるから10で勝負だ。
大和久「決まりだな。
薬売りと大和久は互いに近づき、大和久はポケットに手を入れ、薬売りは拳銃を構え立つ。
薬「引き金をひく指先より早く動けるってか・・・?ガキが、大人をナメんじゃねえぜ・・!
大和久「・・・・やってみりゃ分かるさ。
中条「じゃあ始めるぜ・・・
『1』ッ!!
カウントが始まる・・・
薬「(・・・負けるはずがねぇ・・・
負けるはずはねぇが、念には念を入れてフライングさせてもらうとするぜ・・・!
あまり早くても可哀想だからな・・・『5』くらいでぶっ放すと
―ボギャアァアアアッ!!!
薬「うぼあぁおぁ~~ッ!?
派手に殴られ、吹き飛ぶ薬売りッ!
薬「な・・!てめぇ!10って言ったらだろッ!!
汚ねぇぞ~ッ!!
大和久「あ゛?
誰がルールを守るって言ったよ?
中条「フヒヒヒヒヒッ!
馬鹿だ!ここに馬鹿がいるッ!
まんまと騙されてやがんのッ!
―バギャアァアッ!
薬「ぶべッ!
M・T・Bの拳が鼻っ柱を強打し、立ち上がろうとした薬売りを打ち倒す!
中条「ふぅ~・・・・
ドドドドドドドド・・・・
中条「俺は今、心底ムカついている・・・
まんまと騙されたてめーの間抜けさにとすっかり騙してくれたお前にな・・・!
殺しはしない・・・だが、半年ほどベッドでネンネしてもらおうか・・・ッ!!
大和久「おぅ、俺も混ぜろよ。
・・・学校中メチャメチャにしてくれやがって。
覚悟出来てんだろうなぁ?
薬「ぐ・・・!
中条「マーラ・ザ・ビックボスッ!!
大和久「オーバー・チュアーッ!!
薬「しゃらくせぇーッ!スリーピ
2人「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラララララァアアアアッ!!!!
―ドゴドゴドゴドゴドゴドゴッ!!
中条と大和久の容赦ない拳が、薬売りの体を砕くッ!
薬「~~ッ!!(何か昔も2人がかりで殴られたような気がするぶぁああッ!!
―ドバッギャアァアアンッ!!!
薬「ギッ・・ニャァアーーッ!!
ゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・
―ピク・・ピク・・・・
中条「ふぅ~・・・すっきりしたぜ。
大和久「おう、後はコイツに敗北感ってやつをキッチリ植え付けとかなきゃいけねえよな?
そう言って、馬乗りになり薬売りの首に手をかける大和久。
―グッ・・・
?「待て!その必要はないッ!
2人「ッ!?
井川「その男の身柄は我々が引き受ける。
大和久「井川・・刑事?
中条「なぜ学校に・・・?
井川「なぜって・・・そりゃあ僕は警察だからね。
通報があれば駆けつけるよ。
中条「誰か通報したって事か・・・ま、よく考えれば当然だよな。
井川「・・で、そこでノビてる奴が犯人なんだろ?
とりあえず手錠だけ掛けさせ・・・て?
大和久「?
どうかしたんすか?
井川「コイツ・・・!警官殺しの重要参考人だッ!!
ほら、大和久くんをひき殺すそうとした・・・
大和久「あー・・・そういやこんな顔だった気がするな。
井川「これは、大手柄だね・・・さぁ立て!
薬「ぐ・・・てめぇ・・警察
―バキィッ!
薬「ぐぁッ!
井川「私は立てと言ったんだ・・・!
勝手に喋るなよ・・・
中条「(・・おっかねぇ~)
大和久「(案外キレやすいのかもな・・・)
井川「ゴホン・・
と、とにかくこれで事件は一気に進展する筈だ。
ご協力に感謝ッ!
―ビッ。
中条と大和久に軽く敬礼し、井川は薬売りを連れてその場から去っていった・・・・
中条「・・・行ったな。
大和久「あぁ・・・そういや、他の奴らは起きたのか?
中条「だと思うぜ?
ともかくこれで一を狙う奴らを撃退出来たな。
だけどこんなんが、ちょくちょくあったらたまんねぇなぁ・・・
ゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・
薬売りの男
【スタンド】スリーピング・フォレスト
2人がかりでフルボッコ→逮捕連行
―ブロロロ・・・・
薬「痛・・・ちくしょう、奴らめ・・・!
しこたまブン殴りやがってッ!
警察車両の後部座席で薬売りが忌々しげな様子で煙草に火を付ける。
その手に、手錠はかかっていない。
?「・・・大失態だな。
俺が助けなかったらまた刑務所にぶち込まれる所だったぞ?
だが、一の娘の周りにスタンド使いが複数いたのと、同じく娘を狙う奴らがいたのは計算外だった。
まぁ、仕方ない所ではあるな。
ゴゴゴゴゴゴゴ・・・・
薬「あのサーファー野郎か・・・どこのどいつだ?
「一を狙う奴らはウヨウヨいるが・・・
その中でも【ニウソク王国】・・・
元々は何もない国だったが、十数年前石油を越える新資源『アラキニウム』が大量に埋もれていることが発見された。
その膨大な資源を盾に最近アラブ連邦から独立した国だ。
薬「その国と、一と何の関係があんだよ?
「その中にある最大の採掘場を、一が押さえている。
そのおかげで一は絶大な権力と資金を手に入れ、今この国を牛耳っている。
奴らはそれが気にくわないのさ。
薬「つまり金か・・・
「ま、そういう事だな。
・・・・そろそろ着くぞ。
まだ他のメンバーには会ってないんだろう?
薬「とりあえず、この手を治せる野郎がいると良いんだがなぁ・・・
ゴゴゴゴゴゴゴ・・・・・・
角田「な・・・何て事だ・・・
井川・・警部・・・?
―ゴォオオォ・・・
炎上するパトカーの前で角田(刑事)は立ち尽くしていた・・・
私の名前は中条万次郎。
最近影が薄くなりつつある15歳・・・
どうして私の周りには、こうもおかしな奴らが集まるのだろう・・・?
「しっかし、転校初日に狙われるなんて・・・お前の親父ってあくどい事してんだなぁ?
こいつは大和久・・・
良いのは顔だけ、頭は悪い、性格も悪・・・くはないが暑苦しい野郎だ。
「ちょっと言い過ぎだよッ!
もう少し気を使わないとダメだよ?
こいつは管尾・・・
今は女だが、元々は男だ。
数少ないマトモな奴なのだが、最近こいつの目を見て話が出来ない・・・何故だ?
「父がやっている事は私も良く知らないんだけど・・・
今度会ったら聞いてみるつもりよ・・・!
こいつは一いづみ・・・
この日本で一番権力のあるらしい男を父に持つ女。
金持ちなので性格はクソだと私は感じている。
「ねぇねぇ、次お父さんに会うのっていつなの?毎日会ってるの?
こいつは川上・・・
大和久の彼女で比較的常識はあるのだが、何故かこの女は私に絡んでこない・・・
「・・・・(あ・・そういや、降星にデジカメ忘れた。
まいった、おっぱい写真を集めなきゃならないのによぉ~)
コイツは風呂戸・・・
一の護衛として転校してきたのだが、多分変態。
なぜなら女子と話すときに胸をガン見・・・いや、胸しか見ていないからだ。
中条がそんな事を考えながら校門に差し掛かると、見慣れない男が道を遮る・・・
中条「・・・?
ゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・
男「中条万次郎・・・!
男は、今時珍しい格好をしていた。
短い学ランに(いわゆる短ラン)ダッボダボのズボン(ボンタン)ぺったんこの鞄、そしてリーゼント・・・
いわゆるツッパリというやつだ。
中条「・・・・?ん・・・あー、失礼。
どちら様でしたっけ?
大和久「あ゛?んだてめぇ、イジメちまうぞ?
男「・・・・・・
ゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・
にらみ合う三人の間に不穏な空気が流れる・・・
―ガバッ!!
中条&大和久「ッ!?
管尾「あッ!こ、これは・・
川上「ちょっと嘘!何よッ!
いづみ「・・・こんな場所で
風呂戸「まさかの!
一同「土下座だとぉ~ッ!?
―バアァアア~~ンッ!!
男「頼むッ!!江藤先輩の敵を討ってくれッ!この通りだ!
ドドドドドドド・・・!
中条「な・・何だよッ!いきなり土下座とか・・意味分からねえ・・・
ってか、お前誰だよッ!?
男「あ・・あぁ・・・そうかッ!
俺の名前は『田村』・・・
江藤先輩の舎弟だ。コイツを見れば分かるだろ・・・
『ガルネリウス』ッ!
―バアァアンッ!
言葉と共に飛び出すヘラクレスオオカブトのような姿をした小型のスタンド!
中条「あ!お前は・・・!
大和久「・・・誰だ?
いづみ「キャッツ・・・網と虫かごなんてどこから持ってきたのよ? 要らないわよ、あんなの・・・
キャッツ「でし!
管尾「全く分からない・・・
川上「私も・・・
中条「何の用だ?つーか頼みごとを聞く義理もねぇんだがなぁ・・・
大和久「まぁ待てよ、聞いてやろうぜ。
俺もあのハ・・・江藤を知らない訳じゃあないし
それに
男が白昼、公衆の面前でここまでするっつーのはよっぽどの事だ・・・・
田村「ありがてぇ・・・大和久礼司・・
あんた、漢だ・・・!