ゴゴゴゴゴゴゴ・・・・・
御子神「さて・・・君たちに集まってもらったのは他でもない。
作戦を決行する日が決まった・・・・
今から10日後、場所は国会議事堂・・・!
御子神の宣言を聞き、薄暗い部屋に集まった面々に一瞬だが、ざわめきが起こる。
「いきなり集められたと思ったら・・・・随分突拍子のない事言ってくれるじゃねえか?
ズイ、と前に出たのは薬売りの男・・・
切断された腕は何事も無かったかのようにくっついていた。
「まぁ、落ち着いて。
日本一警備の厳重なあの場所をわざわざ狙うって事は、それを破る策があるって事ですよ?
暗がりから肩を掴む腕が、御子神に喰ってかかろうとする薬売りを制する。
御子神「・・・君たちがいれば通常の警備など道端に転がる石ころ程の障害にもならない。
問題なのは一(にのまえ)私設兵団・・・スタンド使いの一団のみ。
「まぁ・・・何とかならない事もないか。俺たちはソイツらをぶっ殺せば良いだけで英雄になれるんだろ?
また別の男が声をあげる。
「・・・成功すれば、ね。
この国の国民全員の目を覚まさせる・・・これが目的よ。
ガムを噛む音を立てながら、女がその声に答えた。
御子神「一の側近に、何らかの方法で国民を操っている者がいる・・・
そのせいで国民の目は曇り、奴の悪行に気付く事すらしないばかりか、奴を崇め、破滅へと向かっているのだ。
君たちが兵団と一戦交えている間に、私は一を殺す・・・!
ゴゴゴゴゴゴゴ・・・・・
会話に参加した数名の他にも、闇の中からは数名の息づかいが聞こえてくる。
「ハァーッ・・・ハァーッ!!
一際荒い息づかいが聞こえたかと思うと、突然入り口の扉が開く!
「お、お、おお・・・俺はそこまでしたくないッ!!
悪いが後はお前らで勝手にやってくれ!
ゴゴゴゴゴゴゴ・・・・
御子神「・・・・好きにしたら良い。
その声を合図に、男は扉から外へ出ようとする。
―ドンッ!
それと同時に女が驚異的な跳躍を見せ、天井を使った三角跳びで男へと飛びかかるッ!
男「なッ!?
女「彼は好きにしろと言ったわ・・・!
だから私は裏切り者のアンタをぶっ殺すッ!!
―グオオオォッ!!
男「―――ひっ!?
御子神「さて・・・話を続けようか?
返り血の付いた手を拭いながらカップにコーヒーをいれる御子神。
女「・・・・・?
薬「ッ!?
他「・・・な、何だ?
ゴゴゴゴゴゴゴ・・・
確かに女は出て行こうとした男に飛びかかった・・・だが
今この時、女は椅子に座っており
他の面々と共に御子神の話を聞いていた。
開けられた筈の入り口扉は閉まっており、床には逃げだそうとし男が頭を砕かれ絶命していた・・・
まるで先ほどのやりとりが無かったかのように
まるで初めからそうであったかのように。
ドドドドドドド・・・・
御子神「同志とは言え能力はむやみに見せるんじゃあない。
つい、うっかり、誰かが口を滑らせ相手に突破の糸口を掴ませる事になるかもしれないんだからな・・・
女「・・・・
薬「・・・アンタは良いのかよ?
今のはアンタがやったんだろ?
御子神「察しが良いな。
だが、私の能力は分かった所で相手が何か出来ると言うわけでは無いのだよ。
時間でも止められると言うなら話は別だがね・・・
薬「・・・・・(上城 遥の事か・・・?)
ここで、薬売りはある事に気付く。
御子神の顔色が悪いのだ。
薄暗い照明のせいのようでもあるし、そうでないようにも見えた。
昨日会った時よりも更に頬は痩け、目ばかりがギラギラと狂気をはらんだ光を放っている・・・・
薬「・・(ははぁ~ん・・・成る程ね。
昨日はそんな素振りなかったのにいきなり何かと思ったが・・・何のことはねぇ。
てめえがくたばりかけてるから計画を前倒しにしただけの話じゃねえか。)
んじゃ、俺はその日がくるまで自由にさせて貰うぜ?
御子神「あぁ、そうだ。
皆に伝えなければいけないのだが、今日君が連れてくるのに失敗した一の娘・・・
彼女も我々の障害と成りうるだろうが、決して殺すな。
彼女には聞きたい事があるんでね・・・・
女「・・・了解しました。
男「ま、そんくらいなら大した問題じゃねえな。
薬「・・・分かったよ。
ゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・
全員いなくなった薄暗い部屋で、御子神は1人コーヒーを口に運ぶ。
だが、その対面にはもう一つのコーヒーが注がれたカップが置かれていた。
「・・・殺さなくて良かったの?アイツ、あなたの計画よりも金と怨恨に興味がいってるみたいだけど?
姿なき女の声。
御子神「・・構わんさ。
彼の目的は復讐、その標的は私の元へきっとやって来る。
この【矢】が私の元にある限りね。
指先で矢の欠片をつまみ上げると、それを首からかける。
御子神「彼は利害が一致している限り決して裏切らない・・・そういう男だ。
・・・少し疲れた。
1人にしてくれないか?
暗闇から返事は無い・・・
見れば、先ほどまで入っていた向かいのコーヒーが無くなっていた。
御子神「・・・行ったか。
姿なき暴君【クリスタル・エンパイア】・・・
ドドドドドドドド・・・・!
私の名前は中条 万次郎・・・
今は訳あって、見知らぬ男の部屋のベッドに腰掛けている・・・
―シャアァアアアア・・・
浴室からは水の音。
男がシャワーを浴びているのだ。
―キュッキュッ・・・ガチャッ
男が出てきた。
?「いや~、悪い。待たせたね。
・・・ビール飲む?
中条「いえ、未成年なので・・・
?「そりゃそうか・・・
よっこらしょっと。
男はベッドの向かいのソファへ腰掛ける。
?「あ・・・そういや自己紹介がまだだったな。
俺は渡部 准一。よろしく!
中条「中条 万次郎です・・・
准一「万次郎?
ふひッ・・・あ、いや、失礼。お母さんもしかして歴女?
中条「えぇ、はい・・・
准一「だよなぁ~、万次郎って言ったらジョン万次郎だもん。
じゃあさ、もしかしてあだ名とかも?
中条「中学の時は・・・黒船とか、デカチンとか、ジョンマン・・・色々と。(って、俺は見ず知らずの人間に何を話してんだ?)
准一「ふぅ~ん・・・ジョンマン君さぁ~
ジョジョって呼ばれた事ない?
中条「え?・・・いや、ないですけど。
准一「あ、そ。
そう言って渡部はビールを一口流し込み、「くぅ~!」などとオッサンじみた事を口にする。
一体この男は何を聞きたいのか、そう中条が訝しんでいると
先ほどまでのおちゃらけた雰囲気が消え、真面目な顔をして渡部がこちらを見ていた。
准一「いやね・・・俺が探してる人間もジョジョってあだ名なのよ。
そいつはスタンド使い絡みの揉め事によく顔を突っ込むんだが、今回はかなりヤバそうな相手らしくてさ・・・忠告しなきゃならねえんだ、社長命令でね。
上城っつー名前の女なんだが、心当たりないかい?
中条「・・・・上城?
ゴゴゴゴゴゴゴ・・・・
准一「ん・・・知ってるのかい?
中条「いや、知ってはいないですけど・・・ちょっとした心当たりが・・
全然違う人かもしれないんですが
生徒指導の先生が上城って言うんですけど、娘さんが外国に行ってて・・・
准一「あ~・・・それだ。
多分間違いないわ
ったく、社長もそういう情報教えてくれれば良いのによぉ~
「織須田にいるから行ってこい」じゃ分かんねーっての。
・・・最初は君たちの追ってる奴を追えば遭遇出来ると思ってたけど、その必要もなくなっちまったな。
中条「(うわ・・・殺人鬼の話に食いついてきたのはそっちなのに、それは無いわ)
そうなのだ。この男が車をぶつけてレッカーが来るまでの間に中条が話した殺人鬼の話に食いついたのはこの男なのだ。
先ほどの口振りから察するに、殺人鬼を追えばその女性と行き会う可能性が高いと考えたのだろう。
だが、生徒指導の上城の話をした事で、その気がすっかり失せてしまったらしい。
准一「何だよ・・・そんな軽蔑した眼で見るなよ。
心配しなくたって手伝ってやるよ。
君のおかげで探し回る手間が省けたんだから、それ位当然だろ?
そう言って、渡部は残ったビールを全て胃袋に流し込んだ。
中条「(その位って・・・簡単に言ってくれるぜ。どんだけヤバいのか分かってんのかね)
ドドドドドドドド・・・・
薄暗い幽霊アーケードの更に奥・・・【監視カメラのない場所】でそれは起きていた。
―タタタタタ・・・ッ!
「はぁ・・・はぁッ!
畜生!何で私がこんな目に遭わなきゃいけないのよ~ッ!?
その女は何者かに追われている様子で、しきりに後ろを気にしながら奥へ奥へと走っていく。
そして女が角を曲がろうとした瞬間。
―・・ジャキイィインッ!!
女「ぐ・・・あぁ~ッ!?
くっそ!痛ってえぇ~~!!
足!
あたしの足が切られたッ!!
―・・・ジャリ
女「・・・ッ!?
ゴゴゴゴゴゴゴ・・・・
背後からの足音に、女の心拍数が上がる。
・・・そして現れたのは江藤を半殺しにした殺人鬼、中島であった。
中島「・・・・諦めな。
一に関わったこの町のスタンド使いは全員殺せって言われてるんだ。
あんまし手間ぁ掛けさせんなよ?
女「あ・・・あたしが何をしたって・・!
中島「おいおい・・・すっとぼけんなよ。
一の周りにいる中条って奴・・・その連れの管尾ってのと、てめぇは接触しただろ?
女「あ、あれはただ単にちょっとした出来心で・・・!
リアルBLが見れるかもって・・・!
中島「リアルBLって・・・
まぁそんな事はどうでも良い。好奇心は猫を殺すか・・
運が悪かったな、嬢ちゃんよ。
・・リアル・ナイト!
女「――ッ!?
【セクシャル・バイオレット】ッ!!
―バシュバシュバシュウゥーッ!!
数回、互いの拳が交錯する!
中島「おおっと~ッ!?
フヘヘッ!意外と戦闘向きのスタンドじゃあねえか・・・
想定外の反撃に驚いたのか、中島は女との距離を開ける・・!
女「・・・・あんたなんかに黙ってやられる乙女じゃないわ。
ドドドドドドドド・・・・!
中島「そいつは・・・どうかな?
女「・・・・なに?
―ブシャアァアッ!!
女「これは・・・!切られていたッ!?
いつの間に・・・?
女の両腕には鋭い切り傷が無数に付けられていた。
傷は深くないが、気づかぬ間につけられたという事が女の頭に血を昇らせた。
中島「俺がその気なら、今のでお前の両腕はミンチになってたぜ?
ゴゴゴゴゴゴ・・・・
女「ふん、こんな傷・・・ッ!
セクシャル・バイオレット!!
―ズギュウゥンッ!!
中島「・・・!?
女のスタンドが女自身の腕を掴むッ!
すると変化はすぐに現れた・・・
―モココッ・・・モリモリモリ・・・
―ブチブチ・・ッ
中島「うへぇ~・・・これはこれは・・・
―ビッチイィイ・・・ッ!
筋肉の隆起により、両腕と足の傷がすっかり塞がり
か細い乙女だった女の体格は、中島より頭一つ高い筋骨隆々の男のものへと変貌していた・・・!
―ッバアアァアアァーンッ!!
ゴゴゴゴゴゴ・・・・
男「この姿は可愛くないから好きじゃあないんだけど・・・
ま、あんたの記憶がぶっ飛ぶ位ボコボコにするから問題ないか。
―・・・ピッ
そう言って何かを指先で弾く男。
―ボゴオォオッ!!
中島「うおッ!・・・痛うぅ~ッ!?
な、何だッ!?
それと同時に中島の肩に何かがめり込むッ!!
男「今のは小石を指先で弾いただけ・・・そうね、大体40%ってとこかしら。
中島「・・・なん・・だと?
男「力の差が理解出来た所で、70%いってみましょうか?
―ブンブンブン・・・ッ
そう言って、丸太より一回りは太い腕を男は回し始める・・・!
男「おぉおおおッ!
っらあぁあああ~ッ!!
―グオオォッ!!
中島「ちッ・・リアル・ナイト!ガードしろッ!!
―ドゴオォオオオッ!!
中島「うおぉお~ッ!?
男のパンチを両腕でガードした中島だが、その体は宙を舞っていた。
中島「(車にひかれたみてぇなパワーじゃねえか・・!
だが・・俺の能力を使って、こいつはバラバラの惨殺死体にするのに問題はねぇぜッ!)
―ズザザザザサッ!
地面にぶつかる寸前、体勢を整え靴底をすり減らしながら着地する中島・・・!
ゴゴゴゴゴゴゴ・・・・
ゴムの溶けた臭いが立ちこめる中、中島はゆっくりと立ち上がる・・・
男「パワーは・・それなりにあるみたいね。
だけど、次はそうはいかないわ・・・!
中島「ふん・・・!
てめえが男になろうが、ぶっ殺すのに何の問題もねえぜ?
―ガッ!
中島「うおッ!?
―ドシャアァッ
飛びかかろうとして、ズボンの裾を踏んで転倒する中島!
中島「・・・・!
ゴゴゴゴゴゴ・・・・!
足下を見ると、ズボンがダボついており・・・靴もガバガバの状態である。
中島「・・縮んだ?
・・・・ハッ!?
そして、自分の呟きを聞いて気が付いた・・・
中島「俺が・・・女になって縮んだのか?
中島「ッ!!
―バッ!!
中島「胸が・・あるッ!!
―バッ!!
中島「息子が、な・・・無いッ!!
ドドドドドドド・・・・!
男「次は・・・耐えられるのかしら?
噴ッ!!
―メキメキメキメキ・・・ッ!
男が力むと、大きな体が更にもう一回り大きくなる・・・!
中島「・・・・ッ!!
男「ふぅ~・・・・これが100%。
ちなみに、この姿を見て無事な奴は1人もいないわ。
中島「超人ハルクも真っ青だな、こりゃあ・・・
男「次の攻撃を受けてもその減らず口が叩けるかしらね?
じゃ、行くわよ。一発で死ぬとかシラケるからやめてよね?
―ドンッ!!
男が地面を強く蹴ると、コンクリが砕け、舞う。
中島「んなッ!速・・・
―ドガッシィイイッ!!!
意識的ではなく、ほぼ防衛本能で防御の姿勢をとった中島だが、男の強烈なフックは
防御をした腕の骨とあばらをへし折って中島の体を壁に叩きつけた!
―ビシビシッ・・!
老朽化したとはいえ、コンクリの壁に無数の【ヒビ】が発生する・・・!
中島「ぐ・・・はッ!
―ガシッ
男「お~っと・・・まだくたばるには早いわよ?
そう言って、男は中島の首を持ち壁に押しつける。
―グググ・・・ッ!
男「このまま首をへし折って欲しい?
それとも頭を引き抜いてあげようかしら?
中島「ぐあ・・・ぁッ!
(だが、くたばるのはてめぇだ・・・!俺のすぐ後ろの無数のひび割れ・・・串刺しにしてやるよッ!!)
ゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・!
―パン!パンッ!
爆竹の様な乾いた音が二発響く。
男「・・・・?
中島「・・・?
―・・・フッ
腕から力が抜けたかと思うと、男はそのままゆっくりと横に倒れていく・・・・
―ドサッ・・
ゴゴゴゴゴゴゴ・・・・
中島「な・・・何だ?何が起こった?
首を押さえながら男を見ると、こめかみの辺りに小さな穴が二つ・・・
頭からは綺麗な赤色の血が流れていた。
中島「拳・・・銃だと?
一体誰が・・・・
気が付けば、中島の体は既に男へと戻っていた。
?「無様ね?新人さん・・・
どこからか女の声が聞こえてくる。
辺りを見回すがその姿を確認する事は出来ない。
中島「・・・誰だ?
?「私は味方よ・・・ちょっと心配だから尾けてみただけ。
ゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・
中島「心配だと・・?
?「えぇ、そうよ。
実力も伴わないのに単独行動する新人の子守って訳。
中島「てめ・・・
?「まぁ良いわ、今回は特別に手伝ってあげただけ。
私は死体を処理するから、とっとと帰りなさい。
――スゥウウウ・・・・!
中島「ッ!!
足下に転がっていた男の死体が、ゆっくりと消えていく・・・!
?「じゃ、またね。
―グジャアァアァッ!!
何かを叩き潰すような音が聞こえ、中島の足に何か固い欠片のようなものが当たる。
中島は何かと思い、それを拾い上げる。
中島「・・・これって、【歯】だよな。
?「潰さなきゃゴミ袋に入らないでしょ?
中島「・・・・!
?「フフ・・・
気が付けば気配はすっかり消え、中島は1人路地に立っていた。
中島「あんなのが味方だと?
かなりイカレてやがるぜ・・・
だが、面白いじゃねえかッ!ふはははははッ!!
ドドドドドドドドド・・・・・!
謎の男(女)
【スタンド】セクシャル・バイオレット
頭を打ち抜かれ死亡。その後死体が見つかる事は無かった―――再起不能(リタイア)
御子神「さて・・・君たちに集まってもらったのは他でもない。
作戦を決行する日が決まった・・・・
今から10日後、場所は国会議事堂・・・!
御子神の宣言を聞き、薄暗い部屋に集まった面々に一瞬だが、ざわめきが起こる。
「いきなり集められたと思ったら・・・・随分突拍子のない事言ってくれるじゃねえか?
ズイ、と前に出たのは薬売りの男・・・
切断された腕は何事も無かったかのようにくっついていた。
「まぁ、落ち着いて。
日本一警備の厳重なあの場所をわざわざ狙うって事は、それを破る策があるって事ですよ?
暗がりから肩を掴む腕が、御子神に喰ってかかろうとする薬売りを制する。
御子神「・・・君たちがいれば通常の警備など道端に転がる石ころ程の障害にもならない。
問題なのは一(にのまえ)私設兵団・・・スタンド使いの一団のみ。
「まぁ・・・何とかならない事もないか。俺たちはソイツらをぶっ殺せば良いだけで英雄になれるんだろ?
また別の男が声をあげる。
「・・・成功すれば、ね。
この国の国民全員の目を覚まさせる・・・これが目的よ。
ガムを噛む音を立てながら、女がその声に答えた。
御子神「一の側近に、何らかの方法で国民を操っている者がいる・・・
そのせいで国民の目は曇り、奴の悪行に気付く事すらしないばかりか、奴を崇め、破滅へと向かっているのだ。
君たちが兵団と一戦交えている間に、私は一を殺す・・・!
ゴゴゴゴゴゴゴ・・・・・
会話に参加した数名の他にも、闇の中からは数名の息づかいが聞こえてくる。
「ハァーッ・・・ハァーッ!!
一際荒い息づかいが聞こえたかと思うと、突然入り口の扉が開く!
「お、お、おお・・・俺はそこまでしたくないッ!!
悪いが後はお前らで勝手にやってくれ!
ゴゴゴゴゴゴゴ・・・・
御子神「・・・・好きにしたら良い。
その声を合図に、男は扉から外へ出ようとする。
―ドンッ!
それと同時に女が驚異的な跳躍を見せ、天井を使った三角跳びで男へと飛びかかるッ!
男「なッ!?
女「彼は好きにしろと言ったわ・・・!
だから私は裏切り者のアンタをぶっ殺すッ!!
―グオオオォッ!!
男「―――ひっ!?
御子神「さて・・・話を続けようか?
返り血の付いた手を拭いながらカップにコーヒーをいれる御子神。
女「・・・・・?
薬「ッ!?
他「・・・な、何だ?
ゴゴゴゴゴゴゴ・・・
確かに女は出て行こうとした男に飛びかかった・・・だが
今この時、女は椅子に座っており
他の面々と共に御子神の話を聞いていた。
開けられた筈の入り口扉は閉まっており、床には逃げだそうとし男が頭を砕かれ絶命していた・・・
まるで先ほどのやりとりが無かったかのように
まるで初めからそうであったかのように。
ドドドドドドド・・・・
御子神「同志とは言え能力はむやみに見せるんじゃあない。
つい、うっかり、誰かが口を滑らせ相手に突破の糸口を掴ませる事になるかもしれないんだからな・・・
女「・・・・
薬「・・・アンタは良いのかよ?
今のはアンタがやったんだろ?
御子神「察しが良いな。
だが、私の能力は分かった所で相手が何か出来ると言うわけでは無いのだよ。
時間でも止められると言うなら話は別だがね・・・
薬「・・・・・(上城 遥の事か・・・?)
ここで、薬売りはある事に気付く。
御子神の顔色が悪いのだ。
薄暗い照明のせいのようでもあるし、そうでないようにも見えた。
昨日会った時よりも更に頬は痩け、目ばかりがギラギラと狂気をはらんだ光を放っている・・・・
薬「・・(ははぁ~ん・・・成る程ね。
昨日はそんな素振りなかったのにいきなり何かと思ったが・・・何のことはねぇ。
てめえがくたばりかけてるから計画を前倒しにしただけの話じゃねえか。)
んじゃ、俺はその日がくるまで自由にさせて貰うぜ?
御子神「あぁ、そうだ。
皆に伝えなければいけないのだが、今日君が連れてくるのに失敗した一の娘・・・
彼女も我々の障害と成りうるだろうが、決して殺すな。
彼女には聞きたい事があるんでね・・・・
女「・・・了解しました。
男「ま、そんくらいなら大した問題じゃねえな。
薬「・・・分かったよ。
ゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・
全員いなくなった薄暗い部屋で、御子神は1人コーヒーを口に運ぶ。
だが、その対面にはもう一つのコーヒーが注がれたカップが置かれていた。
「・・・殺さなくて良かったの?アイツ、あなたの計画よりも金と怨恨に興味がいってるみたいだけど?
姿なき女の声。
御子神「・・構わんさ。
彼の目的は復讐、その標的は私の元へきっとやって来る。
この【矢】が私の元にある限りね。
指先で矢の欠片をつまみ上げると、それを首からかける。
御子神「彼は利害が一致している限り決して裏切らない・・・そういう男だ。
・・・少し疲れた。
1人にしてくれないか?
暗闇から返事は無い・・・
見れば、先ほどまで入っていた向かいのコーヒーが無くなっていた。
御子神「・・・行ったか。
姿なき暴君【クリスタル・エンパイア】・・・
ドドドドドドドド・・・・!
私の名前は中条 万次郎・・・
今は訳あって、見知らぬ男の部屋のベッドに腰掛けている・・・
―シャアァアアアア・・・
浴室からは水の音。
男がシャワーを浴びているのだ。
―キュッキュッ・・・ガチャッ
男が出てきた。
?「いや~、悪い。待たせたね。
・・・ビール飲む?
中条「いえ、未成年なので・・・
?「そりゃそうか・・・
よっこらしょっと。
男はベッドの向かいのソファへ腰掛ける。
?「あ・・・そういや自己紹介がまだだったな。
俺は渡部 准一。よろしく!
中条「中条 万次郎です・・・
准一「万次郎?
ふひッ・・・あ、いや、失礼。お母さんもしかして歴女?
中条「えぇ、はい・・・
准一「だよなぁ~、万次郎って言ったらジョン万次郎だもん。
じゃあさ、もしかしてあだ名とかも?
中条「中学の時は・・・黒船とか、デカチンとか、ジョンマン・・・色々と。(って、俺は見ず知らずの人間に何を話してんだ?)
准一「ふぅ~ん・・・ジョンマン君さぁ~
ジョジョって呼ばれた事ない?
中条「え?・・・いや、ないですけど。
准一「あ、そ。
そう言って渡部はビールを一口流し込み、「くぅ~!」などとオッサンじみた事を口にする。
一体この男は何を聞きたいのか、そう中条が訝しんでいると
先ほどまでのおちゃらけた雰囲気が消え、真面目な顔をして渡部がこちらを見ていた。
准一「いやね・・・俺が探してる人間もジョジョってあだ名なのよ。
そいつはスタンド使い絡みの揉め事によく顔を突っ込むんだが、今回はかなりヤバそうな相手らしくてさ・・・忠告しなきゃならねえんだ、社長命令でね。
上城っつー名前の女なんだが、心当たりないかい?
中条「・・・・上城?
ゴゴゴゴゴゴゴ・・・・
准一「ん・・・知ってるのかい?
中条「いや、知ってはいないですけど・・・ちょっとした心当たりが・・
全然違う人かもしれないんですが
生徒指導の先生が上城って言うんですけど、娘さんが外国に行ってて・・・
准一「あ~・・・それだ。
多分間違いないわ
ったく、社長もそういう情報教えてくれれば良いのによぉ~
「織須田にいるから行ってこい」じゃ分かんねーっての。
・・・最初は君たちの追ってる奴を追えば遭遇出来ると思ってたけど、その必要もなくなっちまったな。
中条「(うわ・・・殺人鬼の話に食いついてきたのはそっちなのに、それは無いわ)
そうなのだ。この男が車をぶつけてレッカーが来るまでの間に中条が話した殺人鬼の話に食いついたのはこの男なのだ。
先ほどの口振りから察するに、殺人鬼を追えばその女性と行き会う可能性が高いと考えたのだろう。
だが、生徒指導の上城の話をした事で、その気がすっかり失せてしまったらしい。
准一「何だよ・・・そんな軽蔑した眼で見るなよ。
心配しなくたって手伝ってやるよ。
君のおかげで探し回る手間が省けたんだから、それ位当然だろ?
そう言って、渡部は残ったビールを全て胃袋に流し込んだ。
中条「(その位って・・・簡単に言ってくれるぜ。どんだけヤバいのか分かってんのかね)
ドドドドドドドド・・・・
薄暗い幽霊アーケードの更に奥・・・【監視カメラのない場所】でそれは起きていた。
―タタタタタ・・・ッ!
「はぁ・・・はぁッ!
畜生!何で私がこんな目に遭わなきゃいけないのよ~ッ!?
その女は何者かに追われている様子で、しきりに後ろを気にしながら奥へ奥へと走っていく。
そして女が角を曲がろうとした瞬間。
―・・ジャキイィインッ!!
女「ぐ・・・あぁ~ッ!?
くっそ!痛ってえぇ~~!!
足!
あたしの足が切られたッ!!
―・・・ジャリ
女「・・・ッ!?
ゴゴゴゴゴゴゴ・・・・
背後からの足音に、女の心拍数が上がる。
・・・そして現れたのは江藤を半殺しにした殺人鬼、中島であった。
中島「・・・・諦めな。
一に関わったこの町のスタンド使いは全員殺せって言われてるんだ。
あんまし手間ぁ掛けさせんなよ?
女「あ・・・あたしが何をしたって・・!
中島「おいおい・・・すっとぼけんなよ。
一の周りにいる中条って奴・・・その連れの管尾ってのと、てめぇは接触しただろ?
女「あ、あれはただ単にちょっとした出来心で・・・!
リアルBLが見れるかもって・・・!
中島「リアルBLって・・・
まぁそんな事はどうでも良い。好奇心は猫を殺すか・・
運が悪かったな、嬢ちゃんよ。
・・リアル・ナイト!
女「――ッ!?
【セクシャル・バイオレット】ッ!!
―バシュバシュバシュウゥーッ!!
数回、互いの拳が交錯する!
中島「おおっと~ッ!?
フヘヘッ!意外と戦闘向きのスタンドじゃあねえか・・・
想定外の反撃に驚いたのか、中島は女との距離を開ける・・!
女「・・・・あんたなんかに黙ってやられる乙女じゃないわ。
ドドドドドドドド・・・・!
中島「そいつは・・・どうかな?
女「・・・・なに?
―ブシャアァアッ!!
女「これは・・・!切られていたッ!?
いつの間に・・・?
女の両腕には鋭い切り傷が無数に付けられていた。
傷は深くないが、気づかぬ間につけられたという事が女の頭に血を昇らせた。
中島「俺がその気なら、今のでお前の両腕はミンチになってたぜ?
ゴゴゴゴゴゴ・・・・
女「ふん、こんな傷・・・ッ!
セクシャル・バイオレット!!
―ズギュウゥンッ!!
中島「・・・!?
女のスタンドが女自身の腕を掴むッ!
すると変化はすぐに現れた・・・
―モココッ・・・モリモリモリ・・・
―ブチブチ・・ッ
中島「うへぇ~・・・これはこれは・・・
―ビッチイィイ・・・ッ!
筋肉の隆起により、両腕と足の傷がすっかり塞がり
か細い乙女だった女の体格は、中島より頭一つ高い筋骨隆々の男のものへと変貌していた・・・!
―ッバアアァアアァーンッ!!
ゴゴゴゴゴゴ・・・・
男「この姿は可愛くないから好きじゃあないんだけど・・・
ま、あんたの記憶がぶっ飛ぶ位ボコボコにするから問題ないか。
―・・・ピッ
そう言って何かを指先で弾く男。
―ボゴオォオッ!!
中島「うおッ!・・・痛うぅ~ッ!?
な、何だッ!?
それと同時に中島の肩に何かがめり込むッ!!
男「今のは小石を指先で弾いただけ・・・そうね、大体40%ってとこかしら。
中島「・・・なん・・だと?
男「力の差が理解出来た所で、70%いってみましょうか?
―ブンブンブン・・・ッ
そう言って、丸太より一回りは太い腕を男は回し始める・・・!
男「おぉおおおッ!
っらあぁあああ~ッ!!
―グオオォッ!!
中島「ちッ・・リアル・ナイト!ガードしろッ!!
―ドゴオォオオオッ!!
中島「うおぉお~ッ!?
男のパンチを両腕でガードした中島だが、その体は宙を舞っていた。
中島「(車にひかれたみてぇなパワーじゃねえか・・!
だが・・俺の能力を使って、こいつはバラバラの惨殺死体にするのに問題はねぇぜッ!)
―ズザザザザサッ!
地面にぶつかる寸前、体勢を整え靴底をすり減らしながら着地する中島・・・!
ゴゴゴゴゴゴゴ・・・・
ゴムの溶けた臭いが立ちこめる中、中島はゆっくりと立ち上がる・・・
男「パワーは・・それなりにあるみたいね。
だけど、次はそうはいかないわ・・・!
中島「ふん・・・!
てめえが男になろうが、ぶっ殺すのに何の問題もねえぜ?
―ガッ!
中島「うおッ!?
―ドシャアァッ
飛びかかろうとして、ズボンの裾を踏んで転倒する中島!
中島「・・・・!
ゴゴゴゴゴゴ・・・・!
足下を見ると、ズボンがダボついており・・・靴もガバガバの状態である。
中島「・・縮んだ?
・・・・ハッ!?
そして、自分の呟きを聞いて気が付いた・・・
中島「俺が・・・女になって縮んだのか?
中島「ッ!!
―バッ!!
中島「胸が・・あるッ!!
―バッ!!
中島「息子が、な・・・無いッ!!
ドドドドドドド・・・・!
男「次は・・・耐えられるのかしら?
噴ッ!!
―メキメキメキメキ・・・ッ!
男が力むと、大きな体が更にもう一回り大きくなる・・・!
中島「・・・・ッ!!
男「ふぅ~・・・・これが100%。
ちなみに、この姿を見て無事な奴は1人もいないわ。
中島「超人ハルクも真っ青だな、こりゃあ・・・
男「次の攻撃を受けてもその減らず口が叩けるかしらね?
じゃ、行くわよ。一発で死ぬとかシラケるからやめてよね?
―ドンッ!!
男が地面を強く蹴ると、コンクリが砕け、舞う。
中島「んなッ!速・・・
―ドガッシィイイッ!!!
意識的ではなく、ほぼ防衛本能で防御の姿勢をとった中島だが、男の強烈なフックは
防御をした腕の骨とあばらをへし折って中島の体を壁に叩きつけた!
―ビシビシッ・・!
老朽化したとはいえ、コンクリの壁に無数の【ヒビ】が発生する・・・!
中島「ぐ・・・はッ!
―ガシッ
男「お~っと・・・まだくたばるには早いわよ?
そう言って、男は中島の首を持ち壁に押しつける。
―グググ・・・ッ!
男「このまま首をへし折って欲しい?
それとも頭を引き抜いてあげようかしら?
中島「ぐあ・・・ぁッ!
(だが、くたばるのはてめぇだ・・・!俺のすぐ後ろの無数のひび割れ・・・串刺しにしてやるよッ!!)
ゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・!
―パン!パンッ!
爆竹の様な乾いた音が二発響く。
男「・・・・?
中島「・・・?
―・・・フッ
腕から力が抜けたかと思うと、男はそのままゆっくりと横に倒れていく・・・・
―ドサッ・・
ゴゴゴゴゴゴゴ・・・・
中島「な・・・何だ?何が起こった?
首を押さえながら男を見ると、こめかみの辺りに小さな穴が二つ・・・
頭からは綺麗な赤色の血が流れていた。
中島「拳・・・銃だと?
一体誰が・・・・
気が付けば、中島の体は既に男へと戻っていた。
?「無様ね?新人さん・・・
どこからか女の声が聞こえてくる。
辺りを見回すがその姿を確認する事は出来ない。
中島「・・・誰だ?
?「私は味方よ・・・ちょっと心配だから尾けてみただけ。
ゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・
中島「心配だと・・?
?「えぇ、そうよ。
実力も伴わないのに単独行動する新人の子守って訳。
中島「てめ・・・
?「まぁ良いわ、今回は特別に手伝ってあげただけ。
私は死体を処理するから、とっとと帰りなさい。
――スゥウウウ・・・・!
中島「ッ!!
足下に転がっていた男の死体が、ゆっくりと消えていく・・・!
?「じゃ、またね。
―グジャアァアァッ!!
何かを叩き潰すような音が聞こえ、中島の足に何か固い欠片のようなものが当たる。
中島は何かと思い、それを拾い上げる。
中島「・・・これって、【歯】だよな。
?「潰さなきゃゴミ袋に入らないでしょ?
中島「・・・・!
?「フフ・・・
気が付けば気配はすっかり消え、中島は1人路地に立っていた。
中島「あんなのが味方だと?
かなりイカレてやがるぜ・・・
だが、面白いじゃねえかッ!ふはははははッ!!
ドドドドドドドドド・・・・・!
謎の男(女)
【スタンド】セクシャル・バイオレット
頭を打ち抜かれ死亡。その後死体が見つかる事は無かった―――再起不能(リタイア)