――翌日。
窓から差す朝の日差しがベッドを照らしている・・・
大和久「・・・・・
心地よい日射しを浴びているが、病院のベッドの上で大和久は憮然とした表情を見せていた。
風呂戸「よぉ、どうしたんだよ?そんな暗い顔して・・・
もしかして、昨日負けた事気にしてんのか?
隣のベッドから大和久と同じく傷だらけの風呂戸が話しかけてくる。
大和久「違ぇよ・・・
風呂戸「ふ~ん・・・・ま、良いんだけどよ。
お前も検査、異常なかったんだろ?さっさと退院の支度しねぇと学校遅刻するぜ?
着替えを済ませた風呂戸は荷物をまとめ「じゃ、学校でな」と言って部屋から出て行った。
大和久「・・・・(あいつの親父、誰かに似てると思ったんだが・・・思い出せねぇ)
―――――――――――
―ウィイイン・・・
病院の自動扉が開くと、そこには中条、風呂戸、川上、管尾・・・そして、いづみの姿があった。
大和久「・・よぉ。どうしたんだよ?さっさと行かねえと遅刻するぜ?
管尾「あ、大和久くん。おはよう。 危ないから一さんちの車が迎えに来てくれるんだって。
川上「礼司おはよう!
中条「おら、着替えないんだろ?取ってきてやったぞ。
そう言って鞄を大和久へ投げる中条。
―ボス・・ッ
大和久「あ・・あぁ、サンキュー・・・って!
てめぇ家に入ったのかッ!?
ドドドドドドド・・・・!
中条「入ったけど?
何を気にしてるのかなァ~?
(ニヤニヤ)
大和久「てめえ!見やがったなぁ~ッ!?ぶっ殺すッ!!
―ガシィッ!
中条「上等だゴルァ!!
―ガシィッ!
風呂戸「まぁまぁ、喧嘩すんなよ。
また怪我が増えるだろうが・・・
川上「(見られたくないものって何かしら・・・)
そうこうしているうちに、とてつもなく長い車・・・いわゆるリムジンというやつが病院の敷地内へとやって来る。
―ブロロロ・・・キッ
比留間「お嬢様、お待たせ致しました。
いづみ「ご苦労。
そう言って、いづみは車に乗り込み、中条達もそれぞれが感謝を述べながらそれに続く。
―ブロロロロ・・・・
中条は昨日出会った渡部という男との約束で、生徒指導の上城の娘に伝言をどう伝えたものかと思慮に耽っていた。
ただ伝えるだけなら訳ないが、果たして意味が通じるのかまず怪しいし
「おたくの娘さんが危ないことに首突っ込んでますよ」と言われて
「把握。任せるでござる」
などと、あの先生が言う筈もない。逆に問いつめられてしどろもどろになってしまうだろう。
だからと言って、直接会わせてもらうのも何だかおかしな話だ。
上手いことやんわりと、それとなく伝えなければ・・・
管尾「中条くん?
中条「あぁ、悪い。考え事してたわ。
管尾「昨日私さ・・・
一瞬だけ男に戻ったんだ。
中条「え?何?
どういう事だよ?治してもらったのか?
管尾「いや、お風呂に入ろうと思ったらさ・・・あの・・・生えてたんだ。
でも、またすぐ無くなって・・・
ゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・
中条「???
いづみ「・・・何の話?
川上「何で?仁美ちゃん?何で?
大和久「(仁美・・・?)そういやお前、男だったな。
風呂戸「げッ!マジかよ!?
管尾の発言にそれまで思い思いの話をしていた一同が食いつく。
ドドドドドドドド・・・・
比留間「あー、もし。
それなら多分私が説明出来るかと思いますが・・・
運転席からあがる声に一斉に顔を前へ向ける一同。
大和久「・・・何でアンタが分かるんだよ?
比留間「大変失礼かとは思いますが、昨日のうちにあなた方の情報は調べさせていただきました・・・
大和久さん、あなたはこの町に来る前はスタンドは使えなかった。
それがこの町に来て突然使えるようになりお嬢様のスタンドが見えるようになった、と。
ま、それは良いんですが。
管尾 仁義さん・・・今は仁美さんとお呼びした方がよろしいでしょうかね?
あなたを女性にしたスタンド使いは、昨夜死亡したと思われます。
管尾「・・・・え?
ゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・
比留間「彼女・・いえ、彼の名前は【皆川 彰生(ミナガワ アキオ)】
この町で、昨夜目撃されたのを最後に姿を消しています。
貴方が一瞬元に戻ったのは能力が解除されたから・・・ しかしあなたは女性である期間が長すぎたようです。
魂まで女性となってしまった為、肉体がそれにつられてしまったのでしょう。
風呂戸「ちょっと比留間さん。さっきから話がよく分からないんだけどさぁ・・・
比留間「・・・まぁ風呂戸さんには関係ない話なので、分からなくても問題は無いのですが。
とりあえず、追っ手を何とかしてから話しましょうか?
一同「え
―ギャギャギャギャギャ・・・ッ!!
中条らが質問をする間もなく、リムジンが向きを180度変えるッ!
中条「うおぉ~ッ!?
川上「きゃあッ!!
いづみ「ちょっと!比留間!?
大和久「ッ!!
比留間「当然と言えば当然ですが・・・・待ち伏せされていましたね。
では、このまま逃げますッ!
ゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・
?「おいおい~!
逃げられちまったぜ?
??「まぁ、あからさまに待ち伏せしてたからなぁ~~
物陰から揃いの黒いコートを来た男達が姿を現す。
?「・・・ちッ。
だがまぁいいか。あの車の中のほとんどがスタンド使いだってんなら、三人じゃあちょいとキツかったろうしな・・・・
ジワジワと1人ずつ・・・焦る事なくしとめて行けば俺達の目的は果たされる。
??「は?何言ってんだよ、俺たち二人だぜ?
?「え?
あれ?
アイツ・・・来てないのかよ?っとに!しょうがねぇな・・・
??「ま、あと9日もあるんだ。ゆっくり楽しもうぜ。
ドドドドドドド・・・・!
田村「う・・・う~ん・・・先輩~・・・
田村は病院近くのベンチで通りすがる人間の好奇の目に晒されながら、うなされていた。
彼の服は汚らしく、まともに帰宅していないのが見てとれる。
何故、帰宅しないのか
それは、彼が慕ってやまない男「江藤 透」がこの病院に入院しているから。
家族でもない者が連日病院内に泊まれる筈もなく、仕方なしに朝一番で付き添いが出来るように病院の近くのベンチで寝泊まりしているのだ。
―ザッ・・・
そして、そんな田村の元に一つの影が忍び寄っていた・・・
ゴゴゴゴゴゴゴ・・・
女「あんた…悪銭高校だよね?
田村「んあ?
声を掛けられ田村が目を覚ますと、そこには見たことの無い女が立っていた。
女「私は橘 弥栄。
あんた寝言で江藤先輩って言ってたけど、もしかしてその人ちょっとハゲてる?
その人がどうかしたの?
※【橘 弥栄】初期の頃、大和久の近くにいる川上を呪い殺そうとストーカーしていた所、それを越えたストーカー「江藤」との戦いに破れ、改心した女。
ちなみに足はグンバツにエロイ。
田村「・・・・・・
ゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・!
橘「・・・?
田村「・・・・
―ズズ・・・
田村の体が不自然に滑る。
もともとベンチに寝そべった体勢であったが、そこから下へ落ちようとしているかのように・・・
橘「ちょ、何?どうしたの?
田村「・・・・
―ズズズ・・・
田村の体がベンチから半分程出た所で橘は気付く。
ゴゴゴゴゴゴ・・・・
橘「(こ・・こいつッ!
寝ぼけたフリをしてスカートの中を覗こうとしてやがるぞッ!)
この・・・ド変態があぁあ~ッ!!
―ボッ!!
田村の顔面をめがけ、信じられないような速度で蹴りが放たれる!
田村「うわッ!?
―バギャアァアアッ!!
―ヒュンヒュンヒュン・・・
―ガランッ
田村の頭があった場所のベンチの欠片が音を立てて地面に落ちる・・・
田村「あ・・・危ねぇ・・・!(だがしかし、縞パンは確認済みだぁ~ッ!!)
橘「危ねぇじゃないわよ。
あんた今、パンツ見ようとしてたでしょ?
田村「いや、してない!
・・・つーか、お前江藤先輩を知ってるのかよ?
橘「・・・・やっぱり、あの江藤なのね。
ゴゴゴゴゴゴゴ・・・・
―ウィイイン・・・
橘「そんなに容態が悪いの?
エレベーターの中で、橘が田村に質問を投げかける。
田村「家族以外面会謝絶だとよ・・・
エレベーターの扉が開くと同時に田村がそれに答えた。
―ガコン・・・
江藤「おう田村!
田村「・・・え?
橘「家族以外面会謝絶じゃなかったの?
そこには、車いすに乗りエレベーターに乗り込もうとする江藤。
身体中に包帯を巻き、まるでミイラ男のようであったが
とても昨日まで意識不明だったとは思えない元気さだ。
江藤「ちょうど良かった。
ちょっと金貸してくれ、売店で本を買いてえんだ。
退院したら返すからよ。
田村「せ・・先輩ッ!?
体は大丈夫なんですか?
江藤「おぅ、この通りよ。
最先端の治療ってのはすげえよなぁ。
聞けばお嬢様ってのが手配してくれたらしいじゃねえか・・・
退院したらお礼しなきゃな。
橘「あの・・・
江藤「おぉ!?誰かと思えばストーカーの弥栄ちゃんじゃねえかッ!
最近どうよ?女子力磨いてんのか?
橘「え・・ま、まぁ、ぼちぼち!
そっちこそ元気そうじゃないの。
面会謝絶だって聞いたから・・・そ、その・・・ちょっと心配になってね!
橘の耳がみるみる赤くなっていくのを田村は見逃さなかった。
ドドドドドドド・・・・
田村「(ははぁ~ん・・・この女・・・・)
?「暇だなぁ~・・・
??「そんな事言ったって、逃げられちったんだから仕方ねぇだろ?
織須田高校の校門近くでウンコ座りをしながらくっちゃべる黒いコートの男達・・・・
?「そういや、この学校にもいるんだろ?
スタンド使い。
??「あぁ~、いるぜ。
名前は何て言ったか・・・
確か「オチ」とか言う男子だ。
?「おち!じゃあソイツをぶっ殺そうぜッ!!
??「・・・・・
まさかとは思うが・・・・
「おし」と、「おち」を掛けたとかそんなツマラねぇ~駄洒落を言ったんじゃねえだろうな?
?「ウハハハッ!分かった?
??「分かった?
じゃねえよ、このスカポンが。
見ろ、昨日この学校で馬鹿が暴れたせいでそこかしこに警察が立ってんじゃねえか。
?「・・・非スタンド使いの警察なんて、田んぼに立ってる案山子よりも役に立ちゃあしねえさッ!
え~と・・・どこに保存してたかな・・・っと。
・・あったあった。
上着からモバイル端末をとり出し、何かを探し出す男・・・
警官「おいッ!そこの2人!怪しい奴ッ!!
ゴゴゴゴゴゴゴ・・・・・
?「・・・・
??「・・・・・
警官「お前らそこで何を・・・・?
あ、あれ?
もしかして、君たち・・・
?「フフフ・・・気付いたようだな。
??「そうッ!俺たちはッ!!
?「新進気鋭のお笑いコンビッ!!
2人「【彼女いない】だッ!!
―バアァアア~ンッ!!
警官「ぉ・・おおぉ~!
やっぱりぃ~!
ねぇアレ見せてよ!
いつもテレビでやってるアレッ!
2人「ん~・・・一回だけだぞ?
警官「マジでッ!やったぜぇ~い!フヒヒヒ~ッ!
お~い!みんな!【彼女いない】の2人がいるぞー!!
警官B「うわ!マジだ!【あ~んスト様が死んだ】やってくれんの!?
警官C「後でサインください!
―ざわざわ・・・ざわざわざわ・・・
いつの間にか2人の周りには警官の人だかりが出来ている。
ゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・
??「(随分集まったな・・・半分くらいはいるか?)
?「(ハハッ!好都合だぜ・・・)
じゃあいつものやる前に新ネタいきま~す!
警官たち「新ネタだってぇ~~ッ!?
2人「ショートコント!【中東の傭兵】!
―・・・ズズズ・・・
男の1人がモバイル端末の画面から何かを【引きずり出す】。
警官「て、手品ッ!?
?「まままま、見てて下さいよッと!!
―ズル・・ズルルゥ~~ッ!!
画面から飛び出してきたのは、そのままズバリ中東の傭兵であった。
肩には自動小銃を掛けており、おもむろにそれを構える。
警官「外人の芸人さん?
警官「でもどうやって出てきたんだ?すげー!
―パララララ・・・・ッ!
警官たち「ぶっぎゃあぁああああ~ッ!?
傭兵の銃撃により、間近にいた警官達はあっと言う間に血ダルマとなる・・・!
異変に気付いた他の警官が駆け寄ろうとするが、次に男が取り出した何かを見ると
蜘蛛の子を散らすように逃げ出して行くッ!
男が取り出した何かとは・・・【戦車】である。
?「ブェアハハハハハッ!
撃て撃てぇ~ッ!!
―バゴオォオオオンッ!!!
その一撃は校門の柵を吹き飛ばし、校舎に巨大な穴を開けるッ!
?「俺は無敵だ・・・・!なぁ吉原ぁ・・!
吉原「【俺たち】・・・だろ?薄野ぉ・・!
ドドドドドドド・・・・!
―ズゴゴゴゴ・・・!!
校長「ひぃ~、な、な、何だって言うんだ・・・!
担任「校門が爆破されたようですッ!
校長「一が転入してきてからこんなんばっかじゃない・・・
もう嫌・・・
担任「修繕費でかなりお金かかりましたからね・・・
校長「いっそ引き渡しちゃう?
担任「いや、流石にそれは・・・これでも教育者ですから。
校長「じゃあどうするのさぁ~~ッ!毎日怯えなきゃならないなんて嫌だ嫌だ、嫌だぁああ~!
担任「はぁ・・・(子供みたいだな)
ゴゴゴゴゴゴゴ・・・・・!
H・N「(ヨーヨーヨー!
何カ知ラネエケド、サッサト逃ゲタ方ガ良イゼマスター!
アイツラ、アンタヲ探シテルゥ~ッ!!)
越智「・・・分かってるさ。
分かってる・・・だけど、僕が逃げたらアイツらはきっと他のみんなに手を出す。
そんな事はさせちゃいけないんだ。
校舎脇の自転車置き場に身を隠しつつ、越智は突然の襲撃者たちを視界に捕らえていた。
H・N「ンナ事言ッタッテ、アンタトオイラジャア、ヤツラニャア勝テネー事位分カルダロッ!!
越智「この学校は、今まで何度となく事件が起きている。
校庭が割れたり、襲撃された時には校舎が溶けたり、竜巻に見舞われたり・・・
だけど、一般生徒や教師に怪我人は全く出ていない。
それにみんな、それを大した問題とせずにすぐに事件を風化させてしまってる。
どうしてかな?
H・N「ドウシテカッテ?
ソリャア、コノ国ノ国民ト同ジデ【安全神話】ッテノヲ信ジテ・・・アッ!
越智「そう、ここの生徒は口に出したりはしないけど、無意識に安全なんだと思ってる・・・
今まで怪我人が出なかったのは只の偶然だったとしても【自分だけは大丈夫】【自分には関係ない】と思うその気持ちが事件を風化させてるんだ・・・
ゴゴゴゴゴゴ・・・
越智「だからその気持ちを
少しだけ煽ってあげれば・・・
H・N「コノ学校ハ安全ッテ事カッ!!
越智「そういう事・・・!
とりあえず放送室なら全校生徒にメッセージを伝えられる。
まずはそこに行くッ!
?「で、どうやって放送室とやらに行くつもりだぁ~?
越智「――ハッ!?
―バギャアァアアッ!!
―ガシャアッ!
打ち据えられ、自転車を巻き込んで倒される越智。
吉原「俺の目を盗んで、目的地にたどり着けるとでも?
薄野「お!見つけたのか~!
ゴゴゴゴゴゴゴ・・・・!
越智「・・・・!(くッ・・!こんなに早く見つかるなんて・・・一体何故・・・!?)
吉原「どうしてかって顔してるなぁ・・・?
―・・・ピッ
吉原の頬に切れ目が入る。
―グパァ・・・
そしてその切れ目が独りでに開く・・・!
越智「・・・・ッ!
そこには目が付いていた・・
ぎょろぎょろと動く目を見て、それが作り物でない事を越智は悟った。
吉原「ま、こういう事さ・・・
俺は360°全方位を自由に見ることが出来る。
それが俺の【ハンドレット・アイズ】・・・!
ゴゴゴゴゴゴゴ・・・・・
越智「(マズい・・・!非常にマズいぞッ!
何か手を打たなきゃ、殺される!)
越智博文はこれと言った特徴のない家庭で育った。
織須田生まれ織須田育ち。
広告代理店で働く父と普通の主婦の母、4つ上の姉と犬のロン。
四人家族とペットが一匹、極端に暗いわけでも底抜けに明るいわけでもなく、幾人かの友人もおり全くもって普通に暮らしてきた。
越智本人も「このまま普通に大学に進み、普通に職を得て、普通の結婚をして普通に死んで行くのだろう」
そんな風に思っていた。
だが、ある日突然現れた男の手により、越智の考える【普通の人生】はすっかり姿を消してしまった。
人気のない道で、首の後ろから何かが越智を貫いた。
頭の奥が痺れるような痛みに耐えながらソレを引き抜くと、
ソレは矢であった事が分かった。
「おめでとう、君は矢に選ばれた。」
いつの間にか自分の側に立っていた男が越智から矢を奪うと続けてこう言った。
「君が得たのは【スタンド】という心の力。
心の奥底に潜む願望を実現させるための力だ。
君が何を望むのか、それを見せてくれないか」と。
何の事やらサッパリ・・・ただただ、自分が首を貫かれて生きている不思議に困惑する越智の首を締め上げ男は更に続ける。
「スタンドを発現させるには、強い心の力が必要だ。
例えば、やってやるぞという覚悟。そして怒り。
危機的状況による恐怖・・・!
ギリギリと首を締める腕を掴んで引き離そうとするが、その腕に触る事は出来ない。
男の両腕はポケットに入れられたまま・・・
なのにその腕は男の背中辺りから生えていたのだ。
越智はそれを見て理解した。
今の状況は、理解できない事だと。
ゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・
越智「・・・・カ・・ハッ!
次に越智が目を覚ますと男の姿は既になく。
傍らにはバスケットボール程の大きさの肉の塊のようなものが落ちていた。
?「・・・アー・・アーアー・・・
ハローハロー・・・
オイラ、生キテル?
越智「ッ!!??
その肉塊からは手足が生え、沢山の口が表面に現れる・・・
越智「こ・・・これは・・・!?
―――――――
ある日突然得たスタンド能力は噂を実現するという能力。
しかも、半ば制御不能という使えるんだか使えないんだか分からないものであった。
そうして彼はスタンド使いの引力によって、中条達と引かれ合い出会った。
中条らとは、格別親しいわけではない。
ただ一度、共に戦った(と、言っても越智は囮として逃げ回っただけだが)というだけである。
しかし、そのたった一度の共闘は
彼の心に【立ち向かう勇気の種】を蒔いていた。
ドドドドドドドド・・・!
吉原「さて、どうする?
泣いて命乞いでもするか?
薄野「ま、泣こうがわめこうがてめぇが死ぬ事には変わりねぇ。
一の近くにいたのが不運だったな。恨むんなら一を恨みな。
越智「・・・・あんた達、見たことがある。
確かお笑いコンビの・・・
薄野「お?やっぱ俺たちかなり有名だなぁ~吉原ぁ?
吉原「アホッ!見え見えのご機嫌取りだろ!
・・・まぁ、悪い気はしないが。
越智「確か・・・【彼氏いない】
二人「・・・・!
ゴゴゴゴゴゴ・・・!
薄野「てめぇ・・・今なんつった?あ?
こめかみに青筋を立てながら薄野が越智に詰め寄る。
越智「あ・・ごめんなさい。
男二人だからてっきり「おホモだち」ってやつかと・・・
じゃあ、【彼氏いる】でしたっけ?
―ガシィッ!
乱暴に胸ぐらを掴み、薄野は恫喝する。
薄野「てめぇワザとか!?
ワザとかッ!?
【彼女いない】だッ!間違えんな!!
吉原「落ち着け!安い挑発に乗るんじゃあないッ!!
ゴゴゴゴゴゴ・・・
越智「げほッ!す、すいません。
【彼女以内】さん・・・
薄野「【以内】じゃねえッ!!
【いない】だッ!!
越智「え?【いない】さんでしたっけ・・・
ごめんなさい【稲井さん】。
で、コンビ名ってなんでしたっけ?
―・・・・ブチッ
薄野「あ゛あ゛ぁあ゛ああぁ~~ッ!!!!
うぜぇうぜぇうぜぇうぜぇ!!
殺す!絶対殺すッ!!
【ライト・インフェクション】!!!
―グバアァッ!!
越智「ハローナスティッ!
―ガッブウゥ~ッ!
薄野「あぎゃぁ!?イデデデデデッ!!
薄野のスタンドが拳を振り下ろすより先に、ハローナスティが薄野の耳に噛みつくッ!
―・・・・パッ
あまりの痛みに胸ぐらを掴む手が緩んだ隙を突き、越智は男達と距離を取る!
薄野「コイツッ!!
―ガシッ!
H・N「ウヒャ!?捕マッタ!
―ブンッ!!
H・Nを捕まえた薄野は、ボールのようにH・Nを地面へと叩きつける。
H・N「ピャー!
―ボンッ・・ボヨン・・ガシャア・・・ッ!
越智のスタンド、ハローナスティはそのままバスケットボールのように跳ねながら、自転車のカゴにカップイン・・・!
H・N「もごもご・・・ぺッ!
―ビチャッ・・・
H・がN何かを口から吐き出し、それが地面へ落ちる。
ゴゴゴゴゴゴゴ・・・・!
薄野「てっめぇ~・・・!
薄野の耳からはおびただしい血が流れ出ていた・・・
越智「・・!
(とりあえずダメージは与えたけど・・・怒らせただけみたいだ)
吉原「あのスタンド。良いな・・・
薄野「良いなじゃねえッ!
俺は耳を噛み千切られてんだぞッ!アイツは俺がぶっ殺すからな!!
吉原「好きにしろ。但し俺とあのスタンドを遊ばせてからにしてくれよ?
ゴゴゴゴ・・・
薄野「目玉だらけが口だらけに興味かぁ?・・・似た者同士って事か。
おし、まずは死なない程度に痛めつけてやる!!
ライト・インフェクションッ!!
―ズルウゥ・・・ッ!
薄野のモバイル端末から、銃を構えた兵士が引きずり出される!
越智「何もない場所から人間が・・・!?
―ガシャ・・・
その時、越智の背後から物音がした。
越智「・・・?
薄野「・・・チッ
吉原「・・・一般人か。
ゴゴゴゴゴゴ・・・・
女「・・・!
越智の後方には1人の女。
見たことの無い女であったが、年格好から察するに教育実習生のように見えた。
薄野「まぁ、見られたんじゃあ殺すしかねぇなッ!
越智「ッ!逃げ・・・
―パンパンッ!!
越智の声を、乾いた銃声がかき消すッ!
越智「(何て事だ・・・!僕のせいで無関係の人が・・)
ゴゴゴゴゴゴゴ・・・・・
H・N「マスター・・・ドウヤラ俺達ガ逃ゲル必要ハ、ナサソウダゼ・・・!
越智「え?
薄野「おい・・誰だよありゃあ?
吉原「情報にはないが・・・スタンド使いだな、ありゃあ。
ドドドドドド・・・・!
女の目の前で、弾丸は止まっていた・・・
正確には、女の傍に立つスタンドが掴んで止めていた。
そのスタンドは、女性にしては非常に大柄であり2mを越えようかという程。
紫色のコートに銀色の兜をかぶった屈強な人型であった。
?「・・・久々に日本に帰って来たついでにお父さんのとこに寄ったら早速か・・・
もうちょっと親子団欒ってのをしたかったんだけどねぇ。
運が良いんだか、悪いんだか・・・
ゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・!!
No.70
【スタンド名】ハンドレットアイズ
考案者:ID:4LVPVTPR0様
絵:ID:E3czc1sdO様
No.3123
【スタンド名】ライト・インフェクション
考案者:ID:JJgzRw4uQ様
絵:ID:b31eMRbN0様
窓から差す朝の日差しがベッドを照らしている・・・
大和久「・・・・・
心地よい日射しを浴びているが、病院のベッドの上で大和久は憮然とした表情を見せていた。
風呂戸「よぉ、どうしたんだよ?そんな暗い顔して・・・
もしかして、昨日負けた事気にしてんのか?
隣のベッドから大和久と同じく傷だらけの風呂戸が話しかけてくる。
大和久「違ぇよ・・・
風呂戸「ふ~ん・・・・ま、良いんだけどよ。
お前も検査、異常なかったんだろ?さっさと退院の支度しねぇと学校遅刻するぜ?
着替えを済ませた風呂戸は荷物をまとめ「じゃ、学校でな」と言って部屋から出て行った。
大和久「・・・・(あいつの親父、誰かに似てると思ったんだが・・・思い出せねぇ)
―――――――――――
―ウィイイン・・・
病院の自動扉が開くと、そこには中条、風呂戸、川上、管尾・・・そして、いづみの姿があった。
大和久「・・よぉ。どうしたんだよ?さっさと行かねえと遅刻するぜ?
管尾「あ、大和久くん。おはよう。 危ないから一さんちの車が迎えに来てくれるんだって。
川上「礼司おはよう!
中条「おら、着替えないんだろ?取ってきてやったぞ。
そう言って鞄を大和久へ投げる中条。
―ボス・・ッ
大和久「あ・・あぁ、サンキュー・・・って!
てめぇ家に入ったのかッ!?
ドドドドドドド・・・・!
中条「入ったけど?
何を気にしてるのかなァ~?
(ニヤニヤ)
大和久「てめえ!見やがったなぁ~ッ!?ぶっ殺すッ!!
―ガシィッ!
中条「上等だゴルァ!!
―ガシィッ!
風呂戸「まぁまぁ、喧嘩すんなよ。
また怪我が増えるだろうが・・・
川上「(見られたくないものって何かしら・・・)
そうこうしているうちに、とてつもなく長い車・・・いわゆるリムジンというやつが病院の敷地内へとやって来る。
―ブロロロ・・・キッ
比留間「お嬢様、お待たせ致しました。
いづみ「ご苦労。
そう言って、いづみは車に乗り込み、中条達もそれぞれが感謝を述べながらそれに続く。
―ブロロロロ・・・・
中条は昨日出会った渡部という男との約束で、生徒指導の上城の娘に伝言をどう伝えたものかと思慮に耽っていた。
ただ伝えるだけなら訳ないが、果たして意味が通じるのかまず怪しいし
「おたくの娘さんが危ないことに首突っ込んでますよ」と言われて
「把握。任せるでござる」
などと、あの先生が言う筈もない。逆に問いつめられてしどろもどろになってしまうだろう。
だからと言って、直接会わせてもらうのも何だかおかしな話だ。
上手いことやんわりと、それとなく伝えなければ・・・
管尾「中条くん?
中条「あぁ、悪い。考え事してたわ。
管尾「昨日私さ・・・
一瞬だけ男に戻ったんだ。
中条「え?何?
どういう事だよ?治してもらったのか?
管尾「いや、お風呂に入ろうと思ったらさ・・・あの・・・生えてたんだ。
でも、またすぐ無くなって・・・
ゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・
中条「???
いづみ「・・・何の話?
川上「何で?仁美ちゃん?何で?
大和久「(仁美・・・?)そういやお前、男だったな。
風呂戸「げッ!マジかよ!?
管尾の発言にそれまで思い思いの話をしていた一同が食いつく。
ドドドドドドドド・・・・
比留間「あー、もし。
それなら多分私が説明出来るかと思いますが・・・
運転席からあがる声に一斉に顔を前へ向ける一同。
大和久「・・・何でアンタが分かるんだよ?
比留間「大変失礼かとは思いますが、昨日のうちにあなた方の情報は調べさせていただきました・・・
大和久さん、あなたはこの町に来る前はスタンドは使えなかった。
それがこの町に来て突然使えるようになりお嬢様のスタンドが見えるようになった、と。
ま、それは良いんですが。
管尾 仁義さん・・・今は仁美さんとお呼びした方がよろしいでしょうかね?
あなたを女性にしたスタンド使いは、昨夜死亡したと思われます。
管尾「・・・・え?
ゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・
比留間「彼女・・いえ、彼の名前は【皆川 彰生(ミナガワ アキオ)】
この町で、昨夜目撃されたのを最後に姿を消しています。
貴方が一瞬元に戻ったのは能力が解除されたから・・・ しかしあなたは女性である期間が長すぎたようです。
魂まで女性となってしまった為、肉体がそれにつられてしまったのでしょう。
風呂戸「ちょっと比留間さん。さっきから話がよく分からないんだけどさぁ・・・
比留間「・・・まぁ風呂戸さんには関係ない話なので、分からなくても問題は無いのですが。
とりあえず、追っ手を何とかしてから話しましょうか?
一同「え
―ギャギャギャギャギャ・・・ッ!!
中条らが質問をする間もなく、リムジンが向きを180度変えるッ!
中条「うおぉ~ッ!?
川上「きゃあッ!!
いづみ「ちょっと!比留間!?
大和久「ッ!!
比留間「当然と言えば当然ですが・・・・待ち伏せされていましたね。
では、このまま逃げますッ!
ゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・
?「おいおい~!
逃げられちまったぜ?
??「まぁ、あからさまに待ち伏せしてたからなぁ~~
物陰から揃いの黒いコートを来た男達が姿を現す。
?「・・・ちッ。
だがまぁいいか。あの車の中のほとんどがスタンド使いだってんなら、三人じゃあちょいとキツかったろうしな・・・・
ジワジワと1人ずつ・・・焦る事なくしとめて行けば俺達の目的は果たされる。
??「は?何言ってんだよ、俺たち二人だぜ?
?「え?
あれ?
アイツ・・・来てないのかよ?っとに!しょうがねぇな・・・
??「ま、あと9日もあるんだ。ゆっくり楽しもうぜ。
ドドドドドドド・・・・!
田村「う・・・う~ん・・・先輩~・・・
田村は病院近くのベンチで通りすがる人間の好奇の目に晒されながら、うなされていた。
彼の服は汚らしく、まともに帰宅していないのが見てとれる。
何故、帰宅しないのか
それは、彼が慕ってやまない男「江藤 透」がこの病院に入院しているから。
家族でもない者が連日病院内に泊まれる筈もなく、仕方なしに朝一番で付き添いが出来るように病院の近くのベンチで寝泊まりしているのだ。
―ザッ・・・
そして、そんな田村の元に一つの影が忍び寄っていた・・・
ゴゴゴゴゴゴゴ・・・
女「あんた…悪銭高校だよね?
田村「んあ?
声を掛けられ田村が目を覚ますと、そこには見たことの無い女が立っていた。
女「私は橘 弥栄。
あんた寝言で江藤先輩って言ってたけど、もしかしてその人ちょっとハゲてる?
その人がどうかしたの?
※【橘 弥栄】初期の頃、大和久の近くにいる川上を呪い殺そうとストーカーしていた所、それを越えたストーカー「江藤」との戦いに破れ、改心した女。
ちなみに足はグンバツにエロイ。
田村「・・・・・・
ゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・!
橘「・・・?
田村「・・・・
―ズズ・・・
田村の体が不自然に滑る。
もともとベンチに寝そべった体勢であったが、そこから下へ落ちようとしているかのように・・・
橘「ちょ、何?どうしたの?
田村「・・・・
―ズズズ・・・
田村の体がベンチから半分程出た所で橘は気付く。
ゴゴゴゴゴゴ・・・・
橘「(こ・・こいつッ!
寝ぼけたフリをしてスカートの中を覗こうとしてやがるぞッ!)
この・・・ド変態があぁあ~ッ!!
―ボッ!!
田村の顔面をめがけ、信じられないような速度で蹴りが放たれる!
田村「うわッ!?
―バギャアァアアッ!!
―ヒュンヒュンヒュン・・・
―ガランッ
田村の頭があった場所のベンチの欠片が音を立てて地面に落ちる・・・
田村「あ・・・危ねぇ・・・!(だがしかし、縞パンは確認済みだぁ~ッ!!)
橘「危ねぇじゃないわよ。
あんた今、パンツ見ようとしてたでしょ?
田村「いや、してない!
・・・つーか、お前江藤先輩を知ってるのかよ?
橘「・・・・やっぱり、あの江藤なのね。
ゴゴゴゴゴゴゴ・・・・
―ウィイイン・・・
橘「そんなに容態が悪いの?
エレベーターの中で、橘が田村に質問を投げかける。
田村「家族以外面会謝絶だとよ・・・
エレベーターの扉が開くと同時に田村がそれに答えた。
―ガコン・・・
江藤「おう田村!
田村「・・・え?
橘「家族以外面会謝絶じゃなかったの?
そこには、車いすに乗りエレベーターに乗り込もうとする江藤。
身体中に包帯を巻き、まるでミイラ男のようであったが
とても昨日まで意識不明だったとは思えない元気さだ。
江藤「ちょうど良かった。
ちょっと金貸してくれ、売店で本を買いてえんだ。
退院したら返すからよ。
田村「せ・・先輩ッ!?
体は大丈夫なんですか?
江藤「おぅ、この通りよ。
最先端の治療ってのはすげえよなぁ。
聞けばお嬢様ってのが手配してくれたらしいじゃねえか・・・
退院したらお礼しなきゃな。
橘「あの・・・
江藤「おぉ!?誰かと思えばストーカーの弥栄ちゃんじゃねえかッ!
最近どうよ?女子力磨いてんのか?
橘「え・・ま、まぁ、ぼちぼち!
そっちこそ元気そうじゃないの。
面会謝絶だって聞いたから・・・そ、その・・・ちょっと心配になってね!
橘の耳がみるみる赤くなっていくのを田村は見逃さなかった。
ドドドドドドド・・・・
田村「(ははぁ~ん・・・この女・・・・)
?「暇だなぁ~・・・
??「そんな事言ったって、逃げられちったんだから仕方ねぇだろ?
織須田高校の校門近くでウンコ座りをしながらくっちゃべる黒いコートの男達・・・・
?「そういや、この学校にもいるんだろ?
スタンド使い。
??「あぁ~、いるぜ。
名前は何て言ったか・・・
確か「オチ」とか言う男子だ。
?「おち!じゃあソイツをぶっ殺そうぜッ!!
??「・・・・・
まさかとは思うが・・・・
「おし」と、「おち」を掛けたとかそんなツマラねぇ~駄洒落を言ったんじゃねえだろうな?
?「ウハハハッ!分かった?
??「分かった?
じゃねえよ、このスカポンが。
見ろ、昨日この学校で馬鹿が暴れたせいでそこかしこに警察が立ってんじゃねえか。
?「・・・非スタンド使いの警察なんて、田んぼに立ってる案山子よりも役に立ちゃあしねえさッ!
え~と・・・どこに保存してたかな・・・っと。
・・あったあった。
上着からモバイル端末をとり出し、何かを探し出す男・・・
警官「おいッ!そこの2人!怪しい奴ッ!!
ゴゴゴゴゴゴゴ・・・・・
?「・・・・
??「・・・・・
警官「お前らそこで何を・・・・?
あ、あれ?
もしかして、君たち・・・
?「フフフ・・・気付いたようだな。
??「そうッ!俺たちはッ!!
?「新進気鋭のお笑いコンビッ!!
2人「【彼女いない】だッ!!
―バアァアア~ンッ!!
警官「ぉ・・おおぉ~!
やっぱりぃ~!
ねぇアレ見せてよ!
いつもテレビでやってるアレッ!
2人「ん~・・・一回だけだぞ?
警官「マジでッ!やったぜぇ~い!フヒヒヒ~ッ!
お~い!みんな!【彼女いない】の2人がいるぞー!!
警官B「うわ!マジだ!【あ~んスト様が死んだ】やってくれんの!?
警官C「後でサインください!
―ざわざわ・・・ざわざわざわ・・・
いつの間にか2人の周りには警官の人だかりが出来ている。
ゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・
??「(随分集まったな・・・半分くらいはいるか?)
?「(ハハッ!好都合だぜ・・・)
じゃあいつものやる前に新ネタいきま~す!
警官たち「新ネタだってぇ~~ッ!?
2人「ショートコント!【中東の傭兵】!
―・・・ズズズ・・・
男の1人がモバイル端末の画面から何かを【引きずり出す】。
警官「て、手品ッ!?
?「まままま、見てて下さいよッと!!
―ズル・・ズルルゥ~~ッ!!
画面から飛び出してきたのは、そのままズバリ中東の傭兵であった。
肩には自動小銃を掛けており、おもむろにそれを構える。
警官「外人の芸人さん?
警官「でもどうやって出てきたんだ?すげー!
―パララララ・・・・ッ!
警官たち「ぶっぎゃあぁああああ~ッ!?
傭兵の銃撃により、間近にいた警官達はあっと言う間に血ダルマとなる・・・!
異変に気付いた他の警官が駆け寄ろうとするが、次に男が取り出した何かを見ると
蜘蛛の子を散らすように逃げ出して行くッ!
男が取り出した何かとは・・・【戦車】である。
?「ブェアハハハハハッ!
撃て撃てぇ~ッ!!
―バゴオォオオオンッ!!!
その一撃は校門の柵を吹き飛ばし、校舎に巨大な穴を開けるッ!
?「俺は無敵だ・・・・!なぁ吉原ぁ・・!
吉原「【俺たち】・・・だろ?薄野ぉ・・!
ドドドドドドド・・・・!
―ズゴゴゴゴ・・・!!
校長「ひぃ~、な、な、何だって言うんだ・・・!
担任「校門が爆破されたようですッ!
校長「一が転入してきてからこんなんばっかじゃない・・・
もう嫌・・・
担任「修繕費でかなりお金かかりましたからね・・・
校長「いっそ引き渡しちゃう?
担任「いや、流石にそれは・・・これでも教育者ですから。
校長「じゃあどうするのさぁ~~ッ!毎日怯えなきゃならないなんて嫌だ嫌だ、嫌だぁああ~!
担任「はぁ・・・(子供みたいだな)
ゴゴゴゴゴゴゴ・・・・・!
H・N「(ヨーヨーヨー!
何カ知ラネエケド、サッサト逃ゲタ方ガ良イゼマスター!
アイツラ、アンタヲ探シテルゥ~ッ!!)
越智「・・・分かってるさ。
分かってる・・・だけど、僕が逃げたらアイツらはきっと他のみんなに手を出す。
そんな事はさせちゃいけないんだ。
校舎脇の自転車置き場に身を隠しつつ、越智は突然の襲撃者たちを視界に捕らえていた。
H・N「ンナ事言ッタッテ、アンタトオイラジャア、ヤツラニャア勝テネー事位分カルダロッ!!
越智「この学校は、今まで何度となく事件が起きている。
校庭が割れたり、襲撃された時には校舎が溶けたり、竜巻に見舞われたり・・・
だけど、一般生徒や教師に怪我人は全く出ていない。
それにみんな、それを大した問題とせずにすぐに事件を風化させてしまってる。
どうしてかな?
H・N「ドウシテカッテ?
ソリャア、コノ国ノ国民ト同ジデ【安全神話】ッテノヲ信ジテ・・・アッ!
越智「そう、ここの生徒は口に出したりはしないけど、無意識に安全なんだと思ってる・・・
今まで怪我人が出なかったのは只の偶然だったとしても【自分だけは大丈夫】【自分には関係ない】と思うその気持ちが事件を風化させてるんだ・・・
ゴゴゴゴゴゴ・・・
越智「だからその気持ちを
少しだけ煽ってあげれば・・・
H・N「コノ学校ハ安全ッテ事カッ!!
越智「そういう事・・・!
とりあえず放送室なら全校生徒にメッセージを伝えられる。
まずはそこに行くッ!
?「で、どうやって放送室とやらに行くつもりだぁ~?
越智「――ハッ!?
―バギャアァアアッ!!
―ガシャアッ!
打ち据えられ、自転車を巻き込んで倒される越智。
吉原「俺の目を盗んで、目的地にたどり着けるとでも?
薄野「お!見つけたのか~!
ゴゴゴゴゴゴゴ・・・・!
越智「・・・・!(くッ・・!こんなに早く見つかるなんて・・・一体何故・・・!?)
吉原「どうしてかって顔してるなぁ・・・?
―・・・ピッ
吉原の頬に切れ目が入る。
―グパァ・・・
そしてその切れ目が独りでに開く・・・!
越智「・・・・ッ!
そこには目が付いていた・・
ぎょろぎょろと動く目を見て、それが作り物でない事を越智は悟った。
吉原「ま、こういう事さ・・・
俺は360°全方位を自由に見ることが出来る。
それが俺の【ハンドレット・アイズ】・・・!
ゴゴゴゴゴゴゴ・・・・・
越智「(マズい・・・!非常にマズいぞッ!
何か手を打たなきゃ、殺される!)
越智博文はこれと言った特徴のない家庭で育った。
織須田生まれ織須田育ち。
広告代理店で働く父と普通の主婦の母、4つ上の姉と犬のロン。
四人家族とペットが一匹、極端に暗いわけでも底抜けに明るいわけでもなく、幾人かの友人もおり全くもって普通に暮らしてきた。
越智本人も「このまま普通に大学に進み、普通に職を得て、普通の結婚をして普通に死んで行くのだろう」
そんな風に思っていた。
だが、ある日突然現れた男の手により、越智の考える【普通の人生】はすっかり姿を消してしまった。
人気のない道で、首の後ろから何かが越智を貫いた。
頭の奥が痺れるような痛みに耐えながらソレを引き抜くと、
ソレは矢であった事が分かった。
「おめでとう、君は矢に選ばれた。」
いつの間にか自分の側に立っていた男が越智から矢を奪うと続けてこう言った。
「君が得たのは【スタンド】という心の力。
心の奥底に潜む願望を実現させるための力だ。
君が何を望むのか、それを見せてくれないか」と。
何の事やらサッパリ・・・ただただ、自分が首を貫かれて生きている不思議に困惑する越智の首を締め上げ男は更に続ける。
「スタンドを発現させるには、強い心の力が必要だ。
例えば、やってやるぞという覚悟。そして怒り。
危機的状況による恐怖・・・!
ギリギリと首を締める腕を掴んで引き離そうとするが、その腕に触る事は出来ない。
男の両腕はポケットに入れられたまま・・・
なのにその腕は男の背中辺りから生えていたのだ。
越智はそれを見て理解した。
今の状況は、理解できない事だと。
ゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・
越智「・・・・カ・・ハッ!
次に越智が目を覚ますと男の姿は既になく。
傍らにはバスケットボール程の大きさの肉の塊のようなものが落ちていた。
?「・・・アー・・アーアー・・・
ハローハロー・・・
オイラ、生キテル?
越智「ッ!!??
その肉塊からは手足が生え、沢山の口が表面に現れる・・・
越智「こ・・・これは・・・!?
―――――――
ある日突然得たスタンド能力は噂を実現するという能力。
しかも、半ば制御不能という使えるんだか使えないんだか分からないものであった。
そうして彼はスタンド使いの引力によって、中条達と引かれ合い出会った。
中条らとは、格別親しいわけではない。
ただ一度、共に戦った(と、言っても越智は囮として逃げ回っただけだが)というだけである。
しかし、そのたった一度の共闘は
彼の心に【立ち向かう勇気の種】を蒔いていた。
ドドドドドドドド・・・!
吉原「さて、どうする?
泣いて命乞いでもするか?
薄野「ま、泣こうがわめこうがてめぇが死ぬ事には変わりねぇ。
一の近くにいたのが不運だったな。恨むんなら一を恨みな。
越智「・・・・あんた達、見たことがある。
確かお笑いコンビの・・・
薄野「お?やっぱ俺たちかなり有名だなぁ~吉原ぁ?
吉原「アホッ!見え見えのご機嫌取りだろ!
・・・まぁ、悪い気はしないが。
越智「確か・・・【彼氏いない】
二人「・・・・!
ゴゴゴゴゴゴ・・・!
薄野「てめぇ・・・今なんつった?あ?
こめかみに青筋を立てながら薄野が越智に詰め寄る。
越智「あ・・ごめんなさい。
男二人だからてっきり「おホモだち」ってやつかと・・・
じゃあ、【彼氏いる】でしたっけ?
―ガシィッ!
乱暴に胸ぐらを掴み、薄野は恫喝する。
薄野「てめぇワザとか!?
ワザとかッ!?
【彼女いない】だッ!間違えんな!!
吉原「落ち着け!安い挑発に乗るんじゃあないッ!!
ゴゴゴゴゴゴ・・・
越智「げほッ!す、すいません。
【彼女以内】さん・・・
薄野「【以内】じゃねえッ!!
【いない】だッ!!
越智「え?【いない】さんでしたっけ・・・
ごめんなさい【稲井さん】。
で、コンビ名ってなんでしたっけ?
―・・・・ブチッ
薄野「あ゛あ゛ぁあ゛ああぁ~~ッ!!!!
うぜぇうぜぇうぜぇうぜぇ!!
殺す!絶対殺すッ!!
【ライト・インフェクション】!!!
―グバアァッ!!
越智「ハローナスティッ!
―ガッブウゥ~ッ!
薄野「あぎゃぁ!?イデデデデデッ!!
薄野のスタンドが拳を振り下ろすより先に、ハローナスティが薄野の耳に噛みつくッ!
―・・・・パッ
あまりの痛みに胸ぐらを掴む手が緩んだ隙を突き、越智は男達と距離を取る!
薄野「コイツッ!!
―ガシッ!
H・N「ウヒャ!?捕マッタ!
―ブンッ!!
H・Nを捕まえた薄野は、ボールのようにH・Nを地面へと叩きつける。
H・N「ピャー!
―ボンッ・・ボヨン・・ガシャア・・・ッ!
越智のスタンド、ハローナスティはそのままバスケットボールのように跳ねながら、自転車のカゴにカップイン・・・!
H・N「もごもご・・・ぺッ!
―ビチャッ・・・
H・がN何かを口から吐き出し、それが地面へ落ちる。
ゴゴゴゴゴゴゴ・・・・!
薄野「てっめぇ~・・・!
薄野の耳からはおびただしい血が流れ出ていた・・・
越智「・・!
(とりあえずダメージは与えたけど・・・怒らせただけみたいだ)
吉原「あのスタンド。良いな・・・
薄野「良いなじゃねえッ!
俺は耳を噛み千切られてんだぞッ!アイツは俺がぶっ殺すからな!!
吉原「好きにしろ。但し俺とあのスタンドを遊ばせてからにしてくれよ?
ゴゴゴゴ・・・
薄野「目玉だらけが口だらけに興味かぁ?・・・似た者同士って事か。
おし、まずは死なない程度に痛めつけてやる!!
ライト・インフェクションッ!!
―ズルウゥ・・・ッ!
薄野のモバイル端末から、銃を構えた兵士が引きずり出される!
越智「何もない場所から人間が・・・!?
―ガシャ・・・
その時、越智の背後から物音がした。
越智「・・・?
薄野「・・・チッ
吉原「・・・一般人か。
ゴゴゴゴゴゴ・・・・
女「・・・!
越智の後方には1人の女。
見たことの無い女であったが、年格好から察するに教育実習生のように見えた。
薄野「まぁ、見られたんじゃあ殺すしかねぇなッ!
越智「ッ!逃げ・・・
―パンパンッ!!
越智の声を、乾いた銃声がかき消すッ!
越智「(何て事だ・・・!僕のせいで無関係の人が・・)
ゴゴゴゴゴゴゴ・・・・・
H・N「マスター・・・ドウヤラ俺達ガ逃ゲル必要ハ、ナサソウダゼ・・・!
越智「え?
薄野「おい・・誰だよありゃあ?
吉原「情報にはないが・・・スタンド使いだな、ありゃあ。
ドドドドドド・・・・!
女の目の前で、弾丸は止まっていた・・・
正確には、女の傍に立つスタンドが掴んで止めていた。
そのスタンドは、女性にしては非常に大柄であり2mを越えようかという程。
紫色のコートに銀色の兜をかぶった屈強な人型であった。
?「・・・久々に日本に帰って来たついでにお父さんのとこに寄ったら早速か・・・
もうちょっと親子団欒ってのをしたかったんだけどねぇ。
運が良いんだか、悪いんだか・・・
ゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・!!
No.70
【スタンド名】ハンドレットアイズ
考案者:ID:4LVPVTPR0様
絵:ID:E3czc1sdO様
No.3123
【スタンド名】ライト・インフェクション
考案者:ID:JJgzRw4uQ様
絵:ID:b31eMRbN0様