ゴゴゴゴゴゴゴ・・・・
女「あんた達、矢を持ってる奴を知らないかしら?
越智「矢・・・?
もしかしてあの男の事か?
女「君、何か知ってるのね?
こいつらをやっつけたら、それを教えてくれない?
H・N「イイゼイイゼ!モウ何デモ教エチャウッ!
ダカラ早クコイツラヲブッ飛バシテ~~ッ!!
カゴをガタガタと揺らしながらH・Nが喋る。
女「フフッ・・面白いスタンド。
じゃ、約束よ?
ドドドドドドド・・・
薄野「おいおいおいぃ~?
あの女、俺たち二人に勝つ気でいるぜぇ?
こいつはメチャムカつくじゃねえかよ、おいぃッ!!
L・Iッ!!
―ドズルルゥ~ッ!!
薄野が端末から引きずり出したものは先ほどの戦車・・・
薄野「フゥアハハハハハ!!
バラバラになっておっ死ねぇーッ!!
女「あら・・・戦車ごときで勝った気になってもらっちゃ困るわね。
薄野「うるせェー!バラバラに吹き飛んでもその減らず口が利けるかよ!?
発射ぁああああッ!!
―ドゴォオオンッ!
耳をつんざく轟音と共に、砲身から弾丸が発射される!
女「オォオッ・・ラアァッ!!
女が掴んだ弾丸を空中に放ると、女のスタンドが拳でそれを撃ち出す!
―ドギューーンッ!!
―カッ!!
―ドッゴオォオオンッ!!!
女の撃ち出した弾丸は、戦車の弾丸と衝突し、激しい爆発を引き起こした!
越智「す・・・すごい。
H・N「感心シテル場合ジャネー!スグニ炎ト爆風ガ来ルゼエェエエッ!!
越智「あ、そうか。
女「私の後ろにいなさい。
そう言って越智の前に立った女の目前には、炎をはらんだ爆風が迫っていた・・・!
越智「危ない・・・ッ!!
女「オラオラオラオラオラオラララァアーッ!!
―ドババババババババアァッ!!
越智「ッ!?
スタンドのラッシュにより巻き起こる風圧は、爆炎を真っ二つに切り裂く。
―ズバアァーッ!
薄野「でえぇーッ!?んな馬鹿なぁ~!!
吉原「なんと・・・!
ドドドドドドド・・・・
女「終わりかしら?
薄野「・・・へっ!
だったら今度はミサイルをぶち込んでやるよッ!
―ガッ!
薄野のL・Iが端末に手を伸ばす
しかし
その腕は目的の物を掴めなかった。
薄野「あ・・あれ?
俺のip○dが壊れてる・・・!?
薄野の持つ端末の画面中央には、銃弾で打ち抜かれた様な穴が開いていた。
女「アンタがそこから何か出してるのを見させてもらったからね・・・ぶっ壊させてもらったわ。
薄野「・・・は?ふざけんな、こんだけ距離が離れてて出来るわけがねぇだろが!
女「・・ま、どう思おうが勝手だけど。
これで戦車やら鉄砲は出せなくなったわよッ!
―ダッ!!
そう言うや女は薄野へ向けて駆け出す!
女「このままボコボコにブン殴るッ!!
薄野「げ!?おま・・!普通どうやって壊したとか、私の能力は~だ。とか、説明すんだろッ!?
女「なんで私がそんな事しなきゃなんないのよ・・・?
このまま、アンタの非力そうなスタンドごとブン殴ってそれで終わりよ!
薄野「でえぇ~~ッ!?
女「オラァ!
女の屈強なスタンドが拳を振り上げる!!
―ドゴドゴドゴドゴッ!!
女「きゃぁあッ!?
―ガシャアァッ!!
何者かに横から殴られ、吹き飛ばされる女。
吉原「俺を忘れてもらっちゃっちゃあ困るぜ?
薄野「よ、吉原!助かったぜッ!
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・
女「う・・・ぐッ!
今のは・・危なかった。アラキニウム繊維を使ったコートを着てなかったら、完全に戦闘不能だったわ・・・
それにしても今のは一体・・・?
※「本日ご紹介するのは
アラキニウムを繊維に練り込んだ特殊なコート!
その着心地は絹より滑らかで、羽毛よりも軽いんです。
それなのに、衝撃を受けることでアラキニウムは鋼鉄を越える強度と抜群の衝撃吸収性能を得るのです!
優れた防刃、防弾性能を誇り非常に実用的なこのミリタリーコート、デザインは世界的デザイナー「ア・ニキ」の渾身のデザインです。
商品は一点一点、熟達した職人が仕上げる完全ハンドメイド。
見て下さいこの仕上がり、服でありながら何故か凄みを感じるでしょう?
「スゴいですねー・・・でも、お高いんでしょう?
「いえいえ!なんと今回は定価の半分近いお値段でのご提供です。お値段ズバリ
$198,000ッ!!
「えぇ~!?このコートが$198,000~!?
「お申し込みは今すぐ!
吉原「薄野、お前は越智を殺せ。
この女は俺が引き受ける。
ゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・
薄野「あぁ・・・分かったぜ!
越智「・・・!(そうだった・・・2対1が、2対2になっただけだったんだ。
つまり、コイツは僕が倒さなきゃいけないッ!!)
H・N「無理無理無理無理!!
薄野「ライト・インフェクション!
―ゴオッ!
L・Iが越智に襲いかかるッ!
女「ち・・ッ!
女は止めようと飛び出すが、その前には既に吉原が立ちはだかっていた
ドドドドドドド・・・!
吉原「お前の相手はこの俺だ・・・!【ハンドレット・アイズ】ッ!
―ズズズズズ・・・
体中に目のついた人型のスタンドが吉原に重なるように見えたかと思うと、女の目の前に見慣れたスタンドが現れるッ!
女「な・・・!コイツは・・・!このスタンドはッ!!
目の前に現れたのは、彼女自身のスタンド・・・
しかも、炎を切り裂きながら突きの連打を繰り出していた。
女「――ッ!オラオラオラオラ!!
―ゴガガガガッ!
―バガアァッ!!
女のスタンドが自身のスタンドと拳をぶつけ合い
そして、打ち勝つ。
吉原「・・・!
これは驚いたな、さっきのは本気じゃあなかったのか。
ゴゴゴゴゴゴ・・・
女「はぁ・・・はぁ・・・!
コピーを作り出すのがあんたの能力・・・
吉原「半分正解ってとこだが・・・
それだけじゃあないぞ?
―ズズズズズズズ・・・・!!
またしても彼女と同じスタンドのヴィジョンが現れる・・・
しかも今度は2体。
女「――なッ!?
吉原「それを更に複製可能だ・・・!
今度はさっきほど優しくないぞ、単純に二倍の攻撃を捌ききれるか・・?
やれッ!H・Eッ!!
―ゴアァアッ!!
2体のスタンドが再び炎を裂きながら拳打を繰り出すッ!
女「・・・オォオオオッ!!
―ドゴドゴドゴドゴッ!
女「ぐ・・・・はッ・・・!?
再び攻撃を受け吹き飛ばされる女・・・
吉原「フハハハッ!俺のスタンドは更に強くなるぞッ!!
次は4体だ!
―・・・キラッ。
吉原「ッ!?H・E!ガードしろッ!!
炎の赤の中に、何か光るものを見た吉原は反射的にガードをする!
―ギュウゥーンッ!!
H・E「ショアァアアアーーッ!!
―バババババッ!!
―・・・チュインッ!
H・Eの突き出した腕に当たった何かは軌道が逸れ、吉原の肩をかすめる!
―バズウッ!
吉原「・・・うぐッ!
ゴゴゴゴゴゴゴ・・・
女「私の能力は、触れたものを光らせる能力・・・
炎の中に赤く光らせたボタンを撃ち込んだの。
バレないように狙ったつもりだけど・・・感が良いのか洞察力が鋭いのね。
芸人じゃなくて記者の方が向いてるんじゃない?
吉原「・・俺の前職は、記者さ。
一を糾弾するような記事を書いたら一発でクビになった・・・
だから俺はアイツとコンビを組んで、暗に一の本性を世に知らしめるために芸人になったんだ。
ゴゴゴゴゴゴゴ・・・・
女「その一ってのがどんだけ悪人か私は知らないけど・・・
あんたらのしている事だって、かなり悪い事よ?
いたいけな男の子を殺そうとするなんて。
吉原「・・・・一を倒すための障害となる可能性が1%でもあれば、排除しなくてはならない・・・!
我々の計画が成功すれば分かる。きっとあの世で感謝するさ。
女「・・・駄目だこりゃ。
言って聞かなきゃ体に教え込むしかないわね・・・
・・・・・・【スター・ゲイザー】
吉原「ハンドレット・アイズ・・・
―ズズズズズズ・・・
吉原の前に百目のスタンドと、女のスタンドが4体現れる。
女と同じスタンド達は一時停止をしたかのように微動だにしない・・・
ゴゴゴゴゴゴ・・・・
女と吉原は互いにスタンドを挟み、射程距離ギリギリに相対した。
女「随分な自信ね・・・
吉原「互いのスピードが同じなら、数が多い方が勝つ・・・
俺が負ける道理が無いだろう?
女「さぁ・・やってみれば分かると思うけど。
女のスタンドの拳が、にわかに輝きだす・・・!
吉原「H・Eッ!!
先に動いたのは吉原。
女のスタンドと同性能の4体のコピースタンドの一時停止を解く命令を下す!
吉原「(勝った!4体の猛攻を防ぎきれる筈はないッ!
恨むなら自分のそのパワフルなスタンドを恨・・・・・
ッ!?)
吉原の顔から笑みが消える。
女を殴り倒すはずのスタンド達は、ガラガラと音を立てながら崩れていくのを見たからだ。
ドドドドドドド・・・・!
吉原「き・・貴様ッ!何をしたんだ!?
女「あら・・・分からなかったの?
じゃあ今度は、そのたくさんの目ェ使って良く見なさい。
―バチイィイッ!!
吉原「うぼあぁッ!
目の前が真っ白になり、鼻先に殴られたような強い衝撃を受けて仰け反る吉原・・・
だが、女のスタンドが動いた気配は微塵も感じ取れない。
吉原「(な・・何だッ!?
何のトリックだ!?
まるで【時間が止まったみたい】に、奴の動きが全く見えない・・・!!)
ドドドドドド・・・・
女「まるで時が止まっているかのようだ・・・
そう思えるんでしょうね。
だけど、時が止まっただとか、トリックがあるとか、そんな大層なものじゃないわ。
あんたの目に光が入って、それを脳が認識するよりも私の攻撃が早いだけ・・・それだけよ。
―ザッ・・・
吉原「・・・や、やめろッ!
来るなッ!
女「嫌よ。
よくも散々殴ってくれたわね・・・
吉原「~~ッ!
(い、今、思い出したッ!
この女・・薬売りの探してる・・・
女「オラオラオラオラオラオラオラオラオララァ~~ッ!!
―ドゴボゴボゴボゴ・・・ッ!
吉原「ふぎぃやぁあああーーッ!!
―ドッガシャアアンッ!!
今度は吉原が無数の拳打をその身に受け、吹き飛ぶ。
勝った。
そう思って、女が後ろを振り向くと越智の姿が見えなかった・・・
女「・・・いない?
あの薄野って奴も・・・
―ガシャッ
女「ッ!
倒したはずの吉原が突然起き上がり、女に向かって声をあげる。
吉原「ばばばばばばばはぁーッ!!
恐ろしい女・・・!!
だが、お前が追っている男は
お前の想像を遥かに越える能力を持っている!
断言しようッ!お前ではあいつに勝てない!!
小便漏らしながら命乞いするのが関の・・・山・・・さ・・・
―・・・ドサッ
そこまで言って、吉原は倒れ
動かなくなる・・・
ゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・
女「・・・・・
あ~・・・・うん、死んでないわね。
さて、いなくなった彼を追わないと・・・
吉原「・・・・(無視かよ)
ドドドドドドドド・・・・
吉原(下の名前は不明)
【スタンド】ハンドレット・アイズ
――――再起不能(リタイア)
越智「マズい・・・非常にマズいぞ・・・!
薄野「おらぁ!出てこいよ僕ちゃんッ!!
出てこないとコイツが痛い目見ることになるんだぜぇ~!?
女子「嫌・・!離して・・・!
ゴゴゴゴゴゴゴ・・・・
越智が校舎内に身を隠した事により、越智を見失った薄野が
たまたま近くにいた女子生徒を捕まえて人質にしてしまったのだ。
越智「人気のない場所を選んだってのに・・・
うまくいかないもんだね。
H・N「ソンナ事ヨリ、コノ状況ヲドウスルカ考エヨウゼェ~ッ!?
薄野「3秒だけ待つ!
それで出てこなかったらこの女の顔に、一生消えない傷がつくぞッ!
越智「・・・待ってもらえないよな。
行くしかない・・・か。
おいやめろッ!その子は関係ないだろッ!!
―バッ!
H・Nの制止も聞かず、越智は薄野の前に飛び出してしまう。
H・N「ナンテコッタ・・・アトチョット待テバ、アノ女ガ来タカモシレナイノニ~!
嫌ダ~!死ニタクネェヨ~ッ!!
ドドドドドドドドド・・・!
越智「・・・男なら男らしく、素手で勝負だ。スタンドも無しで!
薄野「・・・・・・
相対し、構える越智に対して
反応を見せない薄野。
越智「・・・・・!
(奴の耳、HNが噛み千切ったのは左だった筈・・・
なのに右耳が千切れてる。
これは・・・鏡を・・・
しまっ
―ドンッ
その時、越智は背中に何か強い衝撃を受ける。
薄野「一丁上がりだ・・・
ドドドドドドド・・・・
越智「・・・・・!
―ゴプッ
数拍ののち、越智の口から鮮血が溢れ出す。
と、同時に目の前が真っ暗になっていくのを越智は感じていた。
越智「そん・・・な・・・
こんな・・・あっけなく・・・!
―ドサッ・・・
そのまま前のめりに倒れ、動く事が出来ない。
薄野「フゥアハハハハ~!
間ぁ~抜けぇ~!
てめぇがやられるのが分かってて飛び出してくるなんてなぁ~ッ!?
H・N「オ、俺ガ・・・!消エテイク・・・ッ!!
背中の衝撃を受けた辺りから、熱い何かが流れ出ているのを感じながら
越智の意識は暗いまどろみの中に落ちていく。
暗く温かな闇が越智の周りをぐるぐるとうねる様にして、深く深くその体を呑み込んで行く。
――――――――――
越智「・・・ここは?
どこだろう?背中を刺されたような気がしたんだけど・・・
まぁ・・・いいか
何だかすごく温かいし、眠くなってきた・・・
ゆっくりと瞼を閉じようとする越智の前にH・Nが現れ、
何事か騒ぎ立てていた。
H・N「死ヌナッ!オイ死ヌナヨ!!
越智「ハローナスティ・・・
どうして君がここにいるんだ?
H・N「オイラハアンタノスタンドダカラダ!
良イイトコ無シデ死ヌノカヨッ!?
越智「・・・そんな事言われても、無理だよ。
背中刺されてるし・・・
僕は眠いんだ・・・放っておいてくれ・・・よ・・・
越智は夢を見ていた。
夢・・・と言うよりは走馬燈のようなもの。
暖かく暗い場所でモーツァルトを聞いた事。
そこから引きずり出された時に、息が出来なくて背中を叩かれた事。
それから色々。
お気に入りのオモチャで遊んだり
自分だけの言葉を作ったり
ヒーローごっこをしたり。
だが、自分だけの世界は、成長して世を知るにつれ少しずつ崩れ
越智はいつしか現実世界の一員として、常識ある人間を演じるようになっていった。
生まれた時は完全な「個」であった筈なのに。
―ガブッ!
越智「あ痛ッたぁあッ!?
H・N「死ヌナァ~!死ヌンジャネエ!!
鼻の頭を思い切り噛まれ、越智は再び暖かい闇の中へと引き戻される!
越智「・・・ちょうど良いところで目が覚めたよ。
H・N、君は僕が小さい頃に考えたランプの精だ。
あのころの僕には、僕だけの世界があったんだ。
H・N「・・・・・!
越智「君の能力は噂を現実に変える能力・・・言い換えれば願いを叶える能力だ。
そして今、ここには僕と君しかいない。
つまり僕だけの世界。
・・・君は僕の願いを叶えてくれるのかい?
ドドドドドドドド・・・・
H・N「・・・・・・!!
YES!YES!YES!
YES!マイマスタァーッ!!
―ビキビキ・・・ッ!
H・Nの体にヒビが入り、そこから強い光が漏れ出る!
―バキャアァッ!
そしてその体が二つに裂けると眩い光に満ちたトンネルが現れる・・・!
H・N「楽園へようこそ・・・!
薄野「アヒャッヒャア~ッ!!あっさり死にやがってこのガキがぁー!!
越智「・・・・・
薄野「おっと、そうだ。
ナイフを回収するついでに携帯も頂いておくか・・・
―ゴソゴソ・・・・
薄野「あったあった。さてと、ここにSDカードを入れて・・・おし、OK。
―ズボッ・・・
薄野「ナイフも回収完了っと・・・
これで一人潰したし、あとは決行までどっかに身を隠せば・・・・
ゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・
薄野「・・・・?
後ろで何かが動いたような気配を感じ、薄野はゆっくりと振り向く。
薄野「・・・お、お前は・・・確かに死んでたはずじゃ・・・ッ!!
越智「・・・その携帯、返してくれよ。
限定のピンクダークモデルなんだ。
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・!
薄野「・・・ふんッ!
―グオッ!
今し方抜いたばかりのナイフを再び越智の腹へ突き立てようと腕を振るう薄野!
だが
―パキィイイッ!!
薄野「なにぃッ!?
真っ二つに折れた刃が石膏ボードで出来た天井へ突き刺さる。
越智「無駄だよ・・・無駄無駄・・・
今の僕は核ミサイルだって殺すことは出来ないんだ。
そんなちゃちなナイフじゃあどうこう出来ないよ。
今、僕は【無敵のスーパーヒーロー】なんだから。
ドドドドドドド・・・!
薄野「・・・・・
・・・・・・
・・・は?
何お前?頭イカレたのか?
越智「・・・いいや
信用出来ないなら試してもらっても構わないよ。
薄野「あ・・・そ。
じゃあ遠慮なくやらせてもらうぜェ~ッ!!
ライト・インフェクション!!
―ズルルルゥ~ッ!!
薄野「蜂の巣になりやがれ~ッ!!
引きずり出されたのは自動小銃を構えた兵士。
そして兵士は表情一つ変えずに引き金を引いた。
―パラパララララララッ!!
小銃は乾いた音を響かせ、鉛の弾を吐き出す。
―ビシビシビシッ!!
その弾のいくつかが越智の体に当たり・・・ひしゃげて廊下へと落ちる。
越智「うん・・・全ッ然、痛くないや。
薄野「えぇ~ッ!?
これなら・・・どうだぁッ!!
―ズルウゥッ!
次に引きずり出されたのは、戦車の砲身・・・
そしてその砲身も自動小銃と同じく、火を噴く!
―ドゴオォンッ!!
超至近距離からの砲撃・・
だが、越智にはその弾が「蝿が止まっちまいそうな程スッとろく見えていた」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・
越智「(ん~・・・どうしようかなぁ・・・
避けても良いけど校舎が壊れちゃうよなぁ・・・
と言うか、この人さっきも戦車の弾防がれてなかったっけ?
何とかの一つ覚えって言うの?
僕なら別の手を試すけどな・・・例えば毒ガスとか
あぁでもガスは自分も危ないか。
でも戦車の弾だってこの距離で爆発したら危ないよ?
その辺ちゃんと考えなきゃ。
あ~そういえば、この騒ぎどうやって収めれば良いんだろ?
H・Nを使ってもみんなが噂してくれなきゃいけないし・・・警官も殺されてるから一筋縄じゃあいかないぞ。
そういえば今日お弁当とりに一回帰らなきゃいけなかったんだ・・・帰れるのかなぁ~
いや、無理か。やっぱ帰れないよね・・・購買部に行くしかないか。今月ピンチなのになぁ~
と言うか、まだ弾があんなとこまでしか動いてないし、やっと砲身から頭が出てきたのか。長いなぁ・・・
なんか・・・面倒くさくなってきた。
あんなにのろいんじゃあ当たっても大した事なさそうだから避けないでみようかな
痛くないよね、どうせ。
―メギメギメギイィイイ・・・ッ!
薄野「――ッ!?
越智が片手を前に出す。
すると手のひらに当たった弾丸はひしゃげ、指の形に五等分され音を立てて落ちた。
ドドドドドドドド・・・・
薄野「い・・一体、何がどうなってるんだ?
お前・・・何をしたんだ?
越智「・・・・
僕のスタンドは「噂を現実にする能力」
死にかけたおかげで「僕だけの世界」に気が付いたんだ。
僕だけって事は他に人はいない。
他に人がいないって事は、僕という「個」が世界中の人間なんだ。
世界中の人間が同じ事を考え、それを現実に変えた・・・
そして僕は「絶対無敵のヒーロー」になった。
ゴゴゴゴゴ・・・・
薄野「・・・・!(何だか分からねえがコイツはやばい・・・
パワーもそうだが、何を言ってるのか分からねぇーッ!
こういう頭がイカレた野郎とマトモにやりあっちゃいけねえぜ・・・逃げるか!)
―ズッ!
越智「・・・?
薄野「今だッ!くらえ
火炎ビ・・・違った、閃光弾!
―ビシャアアァアッ!!!!
昼間だというのに、視界が真っ白になるほどの光が放たれ
薄野は隙をついて逃げだそうとするッ!
薄野「(ヘヘヘッ!どんなに強かろうが強い光を浴びれば目が眩むさッ!今のうちに逃げ
―ドンッ
薄野「・・・?
薄野は何かにぶつかり、眩しげな顔をしてそれを確認する・・・
越智「武装ポーカーは嫌いじゃあない・・・
だけど、閃光弾なんかじゃあ逃げられないよ?
薄野「あ・・・あの・・・
どうして・・・前に?
それにそのサングラス・・・
ゴゴゴゴゴゴゴ・・・・
越智「・・・・5分だけ「時間を止めた」って言ったら信じる?
まず光が目に入る前に時間を止めて、それから職員室に行ってサングラスを手に入れる。
ついでにトイレで用を足してから、ここに来た・・・って言ったら信じる?
薄野「・・まさか、そんな・・・!?
越智「まぁ信じてもらわなくても良いよ。
―・・・ピトッ。
越智の手が薄野に触れる。
薄野「な、何を・・・?
―ボゴオッ!!
薄野「ッ!?
次の瞬間、薄野の体に陥没したかのような穴が開き、その部分が消失する!
―ボゴボゴボゴォ・・・ッ!
薄野「こ・・れはッ!!?
ドドドドドドド・・・・
越智「僕は人は殺さない・・・
でもあんたを、酷い目に遭わせないと気が済まない。
いきなり殺されかけたしね。
だからあんたの肉体を消滅させて、魂だけをここに未来永劫縛り付けておく事にした・・・
宇宙が一巡したってあんたはあんたのまま。たった一人で永遠を生きるんだね。
薄野「い・・嫌だッ!そんなの・・!あんまりだぁ~ッ!
―ボゴッシュウゥウウ~ッ!!
薄野「あああああああああ~ッ!!
――――――――――
―――――――――
ゴゴゴゴゴゴゴ・・・
越智は、廊下に落ちている携帯を拾い、中のSDカードを握り潰す。
粉末と化したカードが手のひらからこぼれ落ちて行くのを確認すると、窓を開け足を掛けた。
H・N「・・・ご主人、どちらへ?
越智「僕は絶対無敵のヒーローになったからね。
このまま、彼らの親玉の所に行ってくるよ・・・
そう言って、窓枠に掛けた足に力を込め、天高く飛び出そうとした瞬間。
誰かが越智を呼び止めた。
「君ッ!馬鹿な真似はやめろ!
何があったか知らないが、悩みなら私が聞いてやるから!
「あぁそうか。そりゃあ、傍目には投身自殺に見えるよね」
そんな事を思いながらゆっくりと窓枠から足を降ろし、越智は振り向く。
越智「あ・・・上城先生。
上城「君は確か図書委員会の・・・
越智「越智です。
上城「あぁ、越智くんだったね。
悩みがあるなら先生が聞こう、だから馬鹿な真似はやめなさい。
越智「あ、いや、違うんです。これは・・・
―・・・ツツー・・
越智「・・・?
ゴゴゴゴゴゴゴ・・・・・・
越智の背中に暖かいものが流れる。
背中に手をやり、それが何か確かめた越智の顔からは血の気が引いていく・・・
上城「・・・どうしたんだ?
おもむろに突き出された手を見て、教師は言葉を失った。
上城「・・・・・・!!
越智「どう・・・し・・・て?
―ガク・・・ッ
上城「おいッ!しっかりしろ!
・・・・・あぁ、こんなに血が・・・!
今、救急車を呼ぶからなッ!
諦めるな!絶対助かる!!
H・N「先生と接触する事で、ご主人の世界は外の世界と融和されたのですよ。
この世界はご主人だけの世界ではありませんから・・・
ですが、貴方はこれも望んでらっしゃったでしょう?
たった一人で無敵のスーパーマンをやっているより、今いるこの世界の方が価値があると。
もうすぐ救急車が来ます。
命が助かって良かったですよ、本当・・・
上城に抱えられ、薄れゆく意識の中で越智はサイレンの音を聞いていた。
吉原
【スタンド】ハンドレット・アイズ
―――再起不能(リタイア)
薄野
【スタンド】ライト・インフェクション
―――肉体の消滅により再起不能(リタイア)
越智博文
【スタンド】ハローナスティ
―――重傷により入院・・・
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・・・
風呂戸「・・・なぁ比留間さん、どこに行くんだよ?
追いかけてくる奴なんてとっくにいないぜ?
大和久「だな。
この辺で降ろしてもらってもいいか?
探してる奴がいるんだよ。
比留間「あぁ・・・江藤君を襲った男ですか。
ですがその件は、後回しにしていただきましょう。
いづみ様を取り巻く事態はそれよりももっと深刻なのです。
それに私の予想では、この町でそんな派手な動きを起こせば
いづみ様を狙う一団に目を付けられ、殺されるか引き込まれるか・・・
殺されているなら良し。
引き込まれたなら、否応なく相まみえることでしょう
ですから、ここは一つ後回しでお願いいたします。
中条「えーっと、比留間さん・・・
あなたは色々と知っていそうなので、も
比留間「申し訳ありません、その質問も後でお願いします・・・!
またも敵のようです。
・・・そして、車をやられました。
一同「・・・え?
中条が、道路の真ん中に突っ立っている黒いコートの男の姿を確認したと同時に
何かが破裂するような大きめの衝撃が、床下から伝わってくる。
大和久「・・・!タイヤをッ!?
比留間「皆様、しっかり掴まっていてくださいッ!!
――ズギャギャギャギャギャ・・・!!
タイヤを失った事で、一同を乗せた車はコントロール不能に陥り
車体を左右に振りながら道路を滑る!
―ドガッシャアァアアッ!!
電信柱に突き刺さった車を見て満足そうな笑みを浮かべるコートの男・・・
男「クククッ・・・わけねえなぁ?
ゴゴゴゴゴゴゴ・・・
―・・・ザッ
ご機嫌な足取りで車に近づき、中の様子を確認しようと
男は車をのぞき込む・・・・
男「さ~てっと・・・死~んだかなぁ~?
大和久・・・中条・・・風呂戸・・・それから女二人と・・・・一 いづみ・・・・って、アレ?
運転手はどこに行ったぁ?
ドドドドドドド・・・・
――――――――――――
―――――――――――
上城「私もついて行きます。
私はこの高校の教師です!
救急隊員「分かりました。
さ、出発します!早く乗って!
―バタン!・・ブロロロ・・・
越智と上城を乗せた救急車がサイレンを鳴らしながら去って行くのを見送る女。
女「・・・あの子大丈夫かしら?
背中刺されたって言ってたけど、あの怪我で敵を倒したってんだから根性あるのね、きっと。
だから、大丈夫だろうけど・・・今度お見舞いに行かなきゃ。
【矢】について聞きたい事もあるし・・・・
そう呟いて、女は校門へ向かって歩き出す・・・
なるべく目立たないよう、うつむき気味に校門の周りの人だかりを縫うように進む女だが、ふと顔を上げると
生徒達の携帯電話が目に付いた。
生徒「すげー!マジ死んでるよ・・・
警官「君達!下がりなさい!
生徒「うわッ!きもー!
警官の制止も聞かず、無数のフラッシュがたかれる。
生徒達の注目は先ほどの侵入者に殺された警官達に集まっていた為、女は誰にも気に留められずその場を後に出来た。
しかし・・・女の心の内は穏やかではなかった。
一体、彼らは何の為に命を失ったのか?
・・・生徒達の安全を守る為に任に着いたはずなのに、守られた生徒達はそれに気付こうともせず、暴言を吐き、カメラによる冒涜している。
ゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・
名も知らぬ英雄に小さく敬礼を送ったあと、女のスタンドは拳を振り上げる。
校門が砕ける音とともに、無数の破片が飛び散る。
そして不幸にも門の近くにいた生徒達が、その破片にぶつかり悲鳴をあげた。
女「・・・(この国は病んでる。矢を持つものが正しい導き方をしないから・・・やっぱり【矢】なんて要らないのよ)
そう心の中で呟いた女の眼には、先ほどまでとは違う
冷徹な何かが潜んでいた・・・・
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・
今回新しく使用させていただいたスタンド
No.278
【スタンド名】スター・ゲイザー
考案者:ID:a/m060uQO様
絵:ID:yhvPlaj50様
女「あんた達、矢を持ってる奴を知らないかしら?
越智「矢・・・?
もしかしてあの男の事か?
女「君、何か知ってるのね?
こいつらをやっつけたら、それを教えてくれない?
H・N「イイゼイイゼ!モウ何デモ教エチャウッ!
ダカラ早クコイツラヲブッ飛バシテ~~ッ!!
カゴをガタガタと揺らしながらH・Nが喋る。
女「フフッ・・面白いスタンド。
じゃ、約束よ?
ドドドドドドド・・・
薄野「おいおいおいぃ~?
あの女、俺たち二人に勝つ気でいるぜぇ?
こいつはメチャムカつくじゃねえかよ、おいぃッ!!
L・Iッ!!
―ドズルルゥ~ッ!!
薄野が端末から引きずり出したものは先ほどの戦車・・・
薄野「フゥアハハハハハ!!
バラバラになっておっ死ねぇーッ!!
女「あら・・・戦車ごときで勝った気になってもらっちゃ困るわね。
薄野「うるせェー!バラバラに吹き飛んでもその減らず口が利けるかよ!?
発射ぁああああッ!!
―ドゴォオオンッ!
耳をつんざく轟音と共に、砲身から弾丸が発射される!
女「オォオッ・・ラアァッ!!
女が掴んだ弾丸を空中に放ると、女のスタンドが拳でそれを撃ち出す!
―ドギューーンッ!!
―カッ!!
―ドッゴオォオオンッ!!!
女の撃ち出した弾丸は、戦車の弾丸と衝突し、激しい爆発を引き起こした!
越智「す・・・すごい。
H・N「感心シテル場合ジャネー!スグニ炎ト爆風ガ来ルゼエェエエッ!!
越智「あ、そうか。
女「私の後ろにいなさい。
そう言って越智の前に立った女の目前には、炎をはらんだ爆風が迫っていた・・・!
越智「危ない・・・ッ!!
女「オラオラオラオラオラオラララァアーッ!!
―ドババババババババアァッ!!
越智「ッ!?
スタンドのラッシュにより巻き起こる風圧は、爆炎を真っ二つに切り裂く。
―ズバアァーッ!
薄野「でえぇーッ!?んな馬鹿なぁ~!!
吉原「なんと・・・!
ドドドドドドド・・・・
女「終わりかしら?
薄野「・・・へっ!
だったら今度はミサイルをぶち込んでやるよッ!
―ガッ!
薄野のL・Iが端末に手を伸ばす
しかし
その腕は目的の物を掴めなかった。
薄野「あ・・あれ?
俺のip○dが壊れてる・・・!?
薄野の持つ端末の画面中央には、銃弾で打ち抜かれた様な穴が開いていた。
女「アンタがそこから何か出してるのを見させてもらったからね・・・ぶっ壊させてもらったわ。
薄野「・・・は?ふざけんな、こんだけ距離が離れてて出来るわけがねぇだろが!
女「・・ま、どう思おうが勝手だけど。
これで戦車やら鉄砲は出せなくなったわよッ!
―ダッ!!
そう言うや女は薄野へ向けて駆け出す!
女「このままボコボコにブン殴るッ!!
薄野「げ!?おま・・!普通どうやって壊したとか、私の能力は~だ。とか、説明すんだろッ!?
女「なんで私がそんな事しなきゃなんないのよ・・・?
このまま、アンタの非力そうなスタンドごとブン殴ってそれで終わりよ!
薄野「でえぇ~~ッ!?
女「オラァ!
女の屈強なスタンドが拳を振り上げる!!
―ドゴドゴドゴドゴッ!!
女「きゃぁあッ!?
―ガシャアァッ!!
何者かに横から殴られ、吹き飛ばされる女。
吉原「俺を忘れてもらっちゃっちゃあ困るぜ?
薄野「よ、吉原!助かったぜッ!
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・
女「う・・・ぐッ!
今のは・・危なかった。アラキニウム繊維を使ったコートを着てなかったら、完全に戦闘不能だったわ・・・
それにしても今のは一体・・・?
※「本日ご紹介するのは
アラキニウムを繊維に練り込んだ特殊なコート!
その着心地は絹より滑らかで、羽毛よりも軽いんです。
それなのに、衝撃を受けることでアラキニウムは鋼鉄を越える強度と抜群の衝撃吸収性能を得るのです!
優れた防刃、防弾性能を誇り非常に実用的なこのミリタリーコート、デザインは世界的デザイナー「ア・ニキ」の渾身のデザインです。
商品は一点一点、熟達した職人が仕上げる完全ハンドメイド。
見て下さいこの仕上がり、服でありながら何故か凄みを感じるでしょう?
「スゴいですねー・・・でも、お高いんでしょう?
「いえいえ!なんと今回は定価の半分近いお値段でのご提供です。お値段ズバリ
$198,000ッ!!
「えぇ~!?このコートが$198,000~!?
「お申し込みは今すぐ!
吉原「薄野、お前は越智を殺せ。
この女は俺が引き受ける。
ゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・
薄野「あぁ・・・分かったぜ!
越智「・・・!(そうだった・・・2対1が、2対2になっただけだったんだ。
つまり、コイツは僕が倒さなきゃいけないッ!!)
H・N「無理無理無理無理!!
薄野「ライト・インフェクション!
―ゴオッ!
L・Iが越智に襲いかかるッ!
女「ち・・ッ!
女は止めようと飛び出すが、その前には既に吉原が立ちはだかっていた
ドドドドドドド・・・!
吉原「お前の相手はこの俺だ・・・!【ハンドレット・アイズ】ッ!
―ズズズズズ・・・
体中に目のついた人型のスタンドが吉原に重なるように見えたかと思うと、女の目の前に見慣れたスタンドが現れるッ!
女「な・・・!コイツは・・・!このスタンドはッ!!
目の前に現れたのは、彼女自身のスタンド・・・
しかも、炎を切り裂きながら突きの連打を繰り出していた。
女「――ッ!オラオラオラオラ!!
―ゴガガガガッ!
―バガアァッ!!
女のスタンドが自身のスタンドと拳をぶつけ合い
そして、打ち勝つ。
吉原「・・・!
これは驚いたな、さっきのは本気じゃあなかったのか。
ゴゴゴゴゴゴ・・・
女「はぁ・・・はぁ・・・!
コピーを作り出すのがあんたの能力・・・
吉原「半分正解ってとこだが・・・
それだけじゃあないぞ?
―ズズズズズズズ・・・・!!
またしても彼女と同じスタンドのヴィジョンが現れる・・・
しかも今度は2体。
女「――なッ!?
吉原「それを更に複製可能だ・・・!
今度はさっきほど優しくないぞ、単純に二倍の攻撃を捌ききれるか・・?
やれッ!H・Eッ!!
―ゴアァアッ!!
2体のスタンドが再び炎を裂きながら拳打を繰り出すッ!
女「・・・オォオオオッ!!
―ドゴドゴドゴドゴッ!
女「ぐ・・・・はッ・・・!?
再び攻撃を受け吹き飛ばされる女・・・
吉原「フハハハッ!俺のスタンドは更に強くなるぞッ!!
次は4体だ!
―・・・キラッ。
吉原「ッ!?H・E!ガードしろッ!!
炎の赤の中に、何か光るものを見た吉原は反射的にガードをする!
―ギュウゥーンッ!!
H・E「ショアァアアアーーッ!!
―バババババッ!!
―・・・チュインッ!
H・Eの突き出した腕に当たった何かは軌道が逸れ、吉原の肩をかすめる!
―バズウッ!
吉原「・・・うぐッ!
ゴゴゴゴゴゴゴ・・・
女「私の能力は、触れたものを光らせる能力・・・
炎の中に赤く光らせたボタンを撃ち込んだの。
バレないように狙ったつもりだけど・・・感が良いのか洞察力が鋭いのね。
芸人じゃなくて記者の方が向いてるんじゃない?
吉原「・・俺の前職は、記者さ。
一を糾弾するような記事を書いたら一発でクビになった・・・
だから俺はアイツとコンビを組んで、暗に一の本性を世に知らしめるために芸人になったんだ。
ゴゴゴゴゴゴゴ・・・・
女「その一ってのがどんだけ悪人か私は知らないけど・・・
あんたらのしている事だって、かなり悪い事よ?
いたいけな男の子を殺そうとするなんて。
吉原「・・・・一を倒すための障害となる可能性が1%でもあれば、排除しなくてはならない・・・!
我々の計画が成功すれば分かる。きっとあの世で感謝するさ。
女「・・・駄目だこりゃ。
言って聞かなきゃ体に教え込むしかないわね・・・
・・・・・・【スター・ゲイザー】
吉原「ハンドレット・アイズ・・・
―ズズズズズズ・・・
吉原の前に百目のスタンドと、女のスタンドが4体現れる。
女と同じスタンド達は一時停止をしたかのように微動だにしない・・・
ゴゴゴゴゴゴ・・・・
女と吉原は互いにスタンドを挟み、射程距離ギリギリに相対した。
女「随分な自信ね・・・
吉原「互いのスピードが同じなら、数が多い方が勝つ・・・
俺が負ける道理が無いだろう?
女「さぁ・・やってみれば分かると思うけど。
女のスタンドの拳が、にわかに輝きだす・・・!
吉原「H・Eッ!!
先に動いたのは吉原。
女のスタンドと同性能の4体のコピースタンドの一時停止を解く命令を下す!
吉原「(勝った!4体の猛攻を防ぎきれる筈はないッ!
恨むなら自分のそのパワフルなスタンドを恨・・・・・
ッ!?)
吉原の顔から笑みが消える。
女を殴り倒すはずのスタンド達は、ガラガラと音を立てながら崩れていくのを見たからだ。
ドドドドドドド・・・・!
吉原「き・・貴様ッ!何をしたんだ!?
女「あら・・・分からなかったの?
じゃあ今度は、そのたくさんの目ェ使って良く見なさい。
―バチイィイッ!!
吉原「うぼあぁッ!
目の前が真っ白になり、鼻先に殴られたような強い衝撃を受けて仰け反る吉原・・・
だが、女のスタンドが動いた気配は微塵も感じ取れない。
吉原「(な・・何だッ!?
何のトリックだ!?
まるで【時間が止まったみたい】に、奴の動きが全く見えない・・・!!)
ドドドドドド・・・・
女「まるで時が止まっているかのようだ・・・
そう思えるんでしょうね。
だけど、時が止まっただとか、トリックがあるとか、そんな大層なものじゃないわ。
あんたの目に光が入って、それを脳が認識するよりも私の攻撃が早いだけ・・・それだけよ。
―ザッ・・・
吉原「・・・や、やめろッ!
来るなッ!
女「嫌よ。
よくも散々殴ってくれたわね・・・
吉原「~~ッ!
(い、今、思い出したッ!
この女・・薬売りの探してる・・・
女「オラオラオラオラオラオラオラオラオララァ~~ッ!!
―ドゴボゴボゴボゴ・・・ッ!
吉原「ふぎぃやぁあああーーッ!!
―ドッガシャアアンッ!!
今度は吉原が無数の拳打をその身に受け、吹き飛ぶ。
勝った。
そう思って、女が後ろを振り向くと越智の姿が見えなかった・・・
女「・・・いない?
あの薄野って奴も・・・
―ガシャッ
女「ッ!
倒したはずの吉原が突然起き上がり、女に向かって声をあげる。
吉原「ばばばばばばばはぁーッ!!
恐ろしい女・・・!!
だが、お前が追っている男は
お前の想像を遥かに越える能力を持っている!
断言しようッ!お前ではあいつに勝てない!!
小便漏らしながら命乞いするのが関の・・・山・・・さ・・・
―・・・ドサッ
そこまで言って、吉原は倒れ
動かなくなる・・・
ゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・
女「・・・・・
あ~・・・・うん、死んでないわね。
さて、いなくなった彼を追わないと・・・
吉原「・・・・(無視かよ)
ドドドドドドドド・・・・
吉原(下の名前は不明)
【スタンド】ハンドレット・アイズ
――――再起不能(リタイア)
越智「マズい・・・非常にマズいぞ・・・!
薄野「おらぁ!出てこいよ僕ちゃんッ!!
出てこないとコイツが痛い目見ることになるんだぜぇ~!?
女子「嫌・・!離して・・・!
ゴゴゴゴゴゴゴ・・・・
越智が校舎内に身を隠した事により、越智を見失った薄野が
たまたま近くにいた女子生徒を捕まえて人質にしてしまったのだ。
越智「人気のない場所を選んだってのに・・・
うまくいかないもんだね。
H・N「ソンナ事ヨリ、コノ状況ヲドウスルカ考エヨウゼェ~ッ!?
薄野「3秒だけ待つ!
それで出てこなかったらこの女の顔に、一生消えない傷がつくぞッ!
越智「・・・待ってもらえないよな。
行くしかない・・・か。
おいやめろッ!その子は関係ないだろッ!!
―バッ!
H・Nの制止も聞かず、越智は薄野の前に飛び出してしまう。
H・N「ナンテコッタ・・・アトチョット待テバ、アノ女ガ来タカモシレナイノニ~!
嫌ダ~!死ニタクネェヨ~ッ!!
ドドドドドドドドド・・・!
越智「・・・男なら男らしく、素手で勝負だ。スタンドも無しで!
薄野「・・・・・・
相対し、構える越智に対して
反応を見せない薄野。
越智「・・・・・!
(奴の耳、HNが噛み千切ったのは左だった筈・・・
なのに右耳が千切れてる。
これは・・・鏡を・・・
しまっ
―ドンッ
その時、越智は背中に何か強い衝撃を受ける。
薄野「一丁上がりだ・・・
ドドドドドドド・・・・
越智「・・・・・!
―ゴプッ
数拍ののち、越智の口から鮮血が溢れ出す。
と、同時に目の前が真っ暗になっていくのを越智は感じていた。
越智「そん・・・な・・・
こんな・・・あっけなく・・・!
―ドサッ・・・
そのまま前のめりに倒れ、動く事が出来ない。
薄野「フゥアハハハハ~!
間ぁ~抜けぇ~!
てめぇがやられるのが分かってて飛び出してくるなんてなぁ~ッ!?
H・N「オ、俺ガ・・・!消エテイク・・・ッ!!
背中の衝撃を受けた辺りから、熱い何かが流れ出ているのを感じながら
越智の意識は暗いまどろみの中に落ちていく。
暗く温かな闇が越智の周りをぐるぐるとうねる様にして、深く深くその体を呑み込んで行く。
――――――――――
越智「・・・ここは?
どこだろう?背中を刺されたような気がしたんだけど・・・
まぁ・・・いいか
何だかすごく温かいし、眠くなってきた・・・
ゆっくりと瞼を閉じようとする越智の前にH・Nが現れ、
何事か騒ぎ立てていた。
H・N「死ヌナッ!オイ死ヌナヨ!!
越智「ハローナスティ・・・
どうして君がここにいるんだ?
H・N「オイラハアンタノスタンドダカラダ!
良イイトコ無シデ死ヌノカヨッ!?
越智「・・・そんな事言われても、無理だよ。
背中刺されてるし・・・
僕は眠いんだ・・・放っておいてくれ・・・よ・・・
越智は夢を見ていた。
夢・・・と言うよりは走馬燈のようなもの。
暖かく暗い場所でモーツァルトを聞いた事。
そこから引きずり出された時に、息が出来なくて背中を叩かれた事。
それから色々。
お気に入りのオモチャで遊んだり
自分だけの言葉を作ったり
ヒーローごっこをしたり。
だが、自分だけの世界は、成長して世を知るにつれ少しずつ崩れ
越智はいつしか現実世界の一員として、常識ある人間を演じるようになっていった。
生まれた時は完全な「個」であった筈なのに。
―ガブッ!
越智「あ痛ッたぁあッ!?
H・N「死ヌナァ~!死ヌンジャネエ!!
鼻の頭を思い切り噛まれ、越智は再び暖かい闇の中へと引き戻される!
越智「・・・ちょうど良いところで目が覚めたよ。
H・N、君は僕が小さい頃に考えたランプの精だ。
あのころの僕には、僕だけの世界があったんだ。
H・N「・・・・・!
越智「君の能力は噂を現実に変える能力・・・言い換えれば願いを叶える能力だ。
そして今、ここには僕と君しかいない。
つまり僕だけの世界。
・・・君は僕の願いを叶えてくれるのかい?
ドドドドドドドド・・・・
H・N「・・・・・・!!
YES!YES!YES!
YES!マイマスタァーッ!!
―ビキビキ・・・ッ!
H・Nの体にヒビが入り、そこから強い光が漏れ出る!
―バキャアァッ!
そしてその体が二つに裂けると眩い光に満ちたトンネルが現れる・・・!
H・N「楽園へようこそ・・・!
薄野「アヒャッヒャア~ッ!!あっさり死にやがってこのガキがぁー!!
越智「・・・・・
薄野「おっと、そうだ。
ナイフを回収するついでに携帯も頂いておくか・・・
―ゴソゴソ・・・・
薄野「あったあった。さてと、ここにSDカードを入れて・・・おし、OK。
―ズボッ・・・
薄野「ナイフも回収完了っと・・・
これで一人潰したし、あとは決行までどっかに身を隠せば・・・・
ゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・
薄野「・・・・?
後ろで何かが動いたような気配を感じ、薄野はゆっくりと振り向く。
薄野「・・・お、お前は・・・確かに死んでたはずじゃ・・・ッ!!
越智「・・・その携帯、返してくれよ。
限定のピンクダークモデルなんだ。
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・!
薄野「・・・ふんッ!
―グオッ!
今し方抜いたばかりのナイフを再び越智の腹へ突き立てようと腕を振るう薄野!
だが
―パキィイイッ!!
薄野「なにぃッ!?
真っ二つに折れた刃が石膏ボードで出来た天井へ突き刺さる。
越智「無駄だよ・・・無駄無駄・・・
今の僕は核ミサイルだって殺すことは出来ないんだ。
そんなちゃちなナイフじゃあどうこう出来ないよ。
今、僕は【無敵のスーパーヒーロー】なんだから。
ドドドドドドド・・・!
薄野「・・・・・
・・・・・・
・・・は?
何お前?頭イカレたのか?
越智「・・・いいや
信用出来ないなら試してもらっても構わないよ。
薄野「あ・・・そ。
じゃあ遠慮なくやらせてもらうぜェ~ッ!!
ライト・インフェクション!!
―ズルルルゥ~ッ!!
薄野「蜂の巣になりやがれ~ッ!!
引きずり出されたのは自動小銃を構えた兵士。
そして兵士は表情一つ変えずに引き金を引いた。
―パラパララララララッ!!
小銃は乾いた音を響かせ、鉛の弾を吐き出す。
―ビシビシビシッ!!
その弾のいくつかが越智の体に当たり・・・ひしゃげて廊下へと落ちる。
越智「うん・・・全ッ然、痛くないや。
薄野「えぇ~ッ!?
これなら・・・どうだぁッ!!
―ズルウゥッ!
次に引きずり出されたのは、戦車の砲身・・・
そしてその砲身も自動小銃と同じく、火を噴く!
―ドゴオォンッ!!
超至近距離からの砲撃・・
だが、越智にはその弾が「蝿が止まっちまいそうな程スッとろく見えていた」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・
越智「(ん~・・・どうしようかなぁ・・・
避けても良いけど校舎が壊れちゃうよなぁ・・・
と言うか、この人さっきも戦車の弾防がれてなかったっけ?
何とかの一つ覚えって言うの?
僕なら別の手を試すけどな・・・例えば毒ガスとか
あぁでもガスは自分も危ないか。
でも戦車の弾だってこの距離で爆発したら危ないよ?
その辺ちゃんと考えなきゃ。
あ~そういえば、この騒ぎどうやって収めれば良いんだろ?
H・Nを使ってもみんなが噂してくれなきゃいけないし・・・警官も殺されてるから一筋縄じゃあいかないぞ。
そういえば今日お弁当とりに一回帰らなきゃいけなかったんだ・・・帰れるのかなぁ~
いや、無理か。やっぱ帰れないよね・・・購買部に行くしかないか。今月ピンチなのになぁ~
と言うか、まだ弾があんなとこまでしか動いてないし、やっと砲身から頭が出てきたのか。長いなぁ・・・
なんか・・・面倒くさくなってきた。
あんなにのろいんじゃあ当たっても大した事なさそうだから避けないでみようかな
痛くないよね、どうせ。
―メギメギメギイィイイ・・・ッ!
薄野「――ッ!?
越智が片手を前に出す。
すると手のひらに当たった弾丸はひしゃげ、指の形に五等分され音を立てて落ちた。
ドドドドドドドド・・・・
薄野「い・・一体、何がどうなってるんだ?
お前・・・何をしたんだ?
越智「・・・・
僕のスタンドは「噂を現実にする能力」
死にかけたおかげで「僕だけの世界」に気が付いたんだ。
僕だけって事は他に人はいない。
他に人がいないって事は、僕という「個」が世界中の人間なんだ。
世界中の人間が同じ事を考え、それを現実に変えた・・・
そして僕は「絶対無敵のヒーロー」になった。
ゴゴゴゴゴ・・・・
薄野「・・・・!(何だか分からねえがコイツはやばい・・・
パワーもそうだが、何を言ってるのか分からねぇーッ!
こういう頭がイカレた野郎とマトモにやりあっちゃいけねえぜ・・・逃げるか!)
―ズッ!
越智「・・・?
薄野「今だッ!くらえ
火炎ビ・・・違った、閃光弾!
―ビシャアアァアッ!!!!
昼間だというのに、視界が真っ白になるほどの光が放たれ
薄野は隙をついて逃げだそうとするッ!
薄野「(ヘヘヘッ!どんなに強かろうが強い光を浴びれば目が眩むさッ!今のうちに逃げ
―ドンッ
薄野「・・・?
薄野は何かにぶつかり、眩しげな顔をしてそれを確認する・・・
越智「武装ポーカーは嫌いじゃあない・・・
だけど、閃光弾なんかじゃあ逃げられないよ?
薄野「あ・・・あの・・・
どうして・・・前に?
それにそのサングラス・・・
ゴゴゴゴゴゴゴ・・・・
越智「・・・・5分だけ「時間を止めた」って言ったら信じる?
まず光が目に入る前に時間を止めて、それから職員室に行ってサングラスを手に入れる。
ついでにトイレで用を足してから、ここに来た・・・って言ったら信じる?
薄野「・・まさか、そんな・・・!?
越智「まぁ信じてもらわなくても良いよ。
―・・・ピトッ。
越智の手が薄野に触れる。
薄野「な、何を・・・?
―ボゴオッ!!
薄野「ッ!?
次の瞬間、薄野の体に陥没したかのような穴が開き、その部分が消失する!
―ボゴボゴボゴォ・・・ッ!
薄野「こ・・れはッ!!?
ドドドドドドド・・・・
越智「僕は人は殺さない・・・
でもあんたを、酷い目に遭わせないと気が済まない。
いきなり殺されかけたしね。
だからあんたの肉体を消滅させて、魂だけをここに未来永劫縛り付けておく事にした・・・
宇宙が一巡したってあんたはあんたのまま。たった一人で永遠を生きるんだね。
薄野「い・・嫌だッ!そんなの・・!あんまりだぁ~ッ!
―ボゴッシュウゥウウ~ッ!!
薄野「あああああああああ~ッ!!
――――――――――
―――――――――
ゴゴゴゴゴゴゴ・・・
越智は、廊下に落ちている携帯を拾い、中のSDカードを握り潰す。
粉末と化したカードが手のひらからこぼれ落ちて行くのを確認すると、窓を開け足を掛けた。
H・N「・・・ご主人、どちらへ?
越智「僕は絶対無敵のヒーローになったからね。
このまま、彼らの親玉の所に行ってくるよ・・・
そう言って、窓枠に掛けた足に力を込め、天高く飛び出そうとした瞬間。
誰かが越智を呼び止めた。
「君ッ!馬鹿な真似はやめろ!
何があったか知らないが、悩みなら私が聞いてやるから!
「あぁそうか。そりゃあ、傍目には投身自殺に見えるよね」
そんな事を思いながらゆっくりと窓枠から足を降ろし、越智は振り向く。
越智「あ・・・上城先生。
上城「君は確か図書委員会の・・・
越智「越智です。
上城「あぁ、越智くんだったね。
悩みがあるなら先生が聞こう、だから馬鹿な真似はやめなさい。
越智「あ、いや、違うんです。これは・・・
―・・・ツツー・・
越智「・・・?
ゴゴゴゴゴゴゴ・・・・・・
越智の背中に暖かいものが流れる。
背中に手をやり、それが何か確かめた越智の顔からは血の気が引いていく・・・
上城「・・・どうしたんだ?
おもむろに突き出された手を見て、教師は言葉を失った。
上城「・・・・・・!!
越智「どう・・・し・・・て?
―ガク・・・ッ
上城「おいッ!しっかりしろ!
・・・・・あぁ、こんなに血が・・・!
今、救急車を呼ぶからなッ!
諦めるな!絶対助かる!!
H・N「先生と接触する事で、ご主人の世界は外の世界と融和されたのですよ。
この世界はご主人だけの世界ではありませんから・・・
ですが、貴方はこれも望んでらっしゃったでしょう?
たった一人で無敵のスーパーマンをやっているより、今いるこの世界の方が価値があると。
もうすぐ救急車が来ます。
命が助かって良かったですよ、本当・・・
上城に抱えられ、薄れゆく意識の中で越智はサイレンの音を聞いていた。
吉原
【スタンド】ハンドレット・アイズ
―――再起不能(リタイア)
薄野
【スタンド】ライト・インフェクション
―――肉体の消滅により再起不能(リタイア)
越智博文
【スタンド】ハローナスティ
―――重傷により入院・・・
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・・・
風呂戸「・・・なぁ比留間さん、どこに行くんだよ?
追いかけてくる奴なんてとっくにいないぜ?
大和久「だな。
この辺で降ろしてもらってもいいか?
探してる奴がいるんだよ。
比留間「あぁ・・・江藤君を襲った男ですか。
ですがその件は、後回しにしていただきましょう。
いづみ様を取り巻く事態はそれよりももっと深刻なのです。
それに私の予想では、この町でそんな派手な動きを起こせば
いづみ様を狙う一団に目を付けられ、殺されるか引き込まれるか・・・
殺されているなら良し。
引き込まれたなら、否応なく相まみえることでしょう
ですから、ここは一つ後回しでお願いいたします。
中条「えーっと、比留間さん・・・
あなたは色々と知っていそうなので、も
比留間「申し訳ありません、その質問も後でお願いします・・・!
またも敵のようです。
・・・そして、車をやられました。
一同「・・・え?
中条が、道路の真ん中に突っ立っている黒いコートの男の姿を確認したと同時に
何かが破裂するような大きめの衝撃が、床下から伝わってくる。
大和久「・・・!タイヤをッ!?
比留間「皆様、しっかり掴まっていてくださいッ!!
――ズギャギャギャギャギャ・・・!!
タイヤを失った事で、一同を乗せた車はコントロール不能に陥り
車体を左右に振りながら道路を滑る!
―ドガッシャアァアアッ!!
電信柱に突き刺さった車を見て満足そうな笑みを浮かべるコートの男・・・
男「クククッ・・・わけねえなぁ?
ゴゴゴゴゴゴゴ・・・
―・・・ザッ
ご機嫌な足取りで車に近づき、中の様子を確認しようと
男は車をのぞき込む・・・・
男「さ~てっと・・・死~んだかなぁ~?
大和久・・・中条・・・風呂戸・・・それから女二人と・・・・一 いづみ・・・・って、アレ?
運転手はどこに行ったぁ?
ドドドドドドド・・・・
――――――――――――
―――――――――――
上城「私もついて行きます。
私はこの高校の教師です!
救急隊員「分かりました。
さ、出発します!早く乗って!
―バタン!・・ブロロロ・・・
越智と上城を乗せた救急車がサイレンを鳴らしながら去って行くのを見送る女。
女「・・・あの子大丈夫かしら?
背中刺されたって言ってたけど、あの怪我で敵を倒したってんだから根性あるのね、きっと。
だから、大丈夫だろうけど・・・今度お見舞いに行かなきゃ。
【矢】について聞きたい事もあるし・・・・
そう呟いて、女は校門へ向かって歩き出す・・・
なるべく目立たないよう、うつむき気味に校門の周りの人だかりを縫うように進む女だが、ふと顔を上げると
生徒達の携帯電話が目に付いた。
生徒「すげー!マジ死んでるよ・・・
警官「君達!下がりなさい!
生徒「うわッ!きもー!
警官の制止も聞かず、無数のフラッシュがたかれる。
生徒達の注目は先ほどの侵入者に殺された警官達に集まっていた為、女は誰にも気に留められずその場を後に出来た。
しかし・・・女の心の内は穏やかではなかった。
一体、彼らは何の為に命を失ったのか?
・・・生徒達の安全を守る為に任に着いたはずなのに、守られた生徒達はそれに気付こうともせず、暴言を吐き、カメラによる冒涜している。
ゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・
名も知らぬ英雄に小さく敬礼を送ったあと、女のスタンドは拳を振り上げる。
校門が砕ける音とともに、無数の破片が飛び散る。
そして不幸にも門の近くにいた生徒達が、その破片にぶつかり悲鳴をあげた。
女「・・・(この国は病んでる。矢を持つものが正しい導き方をしないから・・・やっぱり【矢】なんて要らないのよ)
そう心の中で呟いた女の眼には、先ほどまでとは違う
冷徹な何かが潜んでいた・・・・
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・
今回新しく使用させていただいたスタンド
No.278
【スタンド名】スター・ゲイザー
考案者:ID:a/m060uQO様
絵:ID:yhvPlaj50様