時は西暦2010年ッ!といっても世界は何も変わらず……
依然平和そのものだったッ!!
依然平和そのものだったッ!!
場所はS市杜王町ッ!!
……より数百キロ離れた都心の街、
Y市必府 町。この新たな街で、スタンド使いの奇妙な冒険が始まるのだ――。
Y市
我々が今回その奇妙な事件を目の当たりにする街――
「必府町」は、国際湾岸都市として、昭和の時代からにぎわっている街だ。
しかし歴史は古く、縄文時代の住居跡があり、侍の時代にはペリーの
艦隊が遊びに来た歴史のあった土地だ……。
「必府町」は、国際湾岸都市として、昭和の時代からにぎわっている街だ。
しかし歴史は古く、縄文時代の住居跡があり、侍の時代にはペリーの
艦隊が遊びに来た歴史のあった土地だ……。
街のマークはこれ。
____
/ \ /\
. / (ー) (ー)\ <「輪切りのやる夫」だお
/ ⌒(__人__)⌒ \
| |r┬-| |
\ `ー'´ /
街の鳥はカモメ。
~⌒Y⌒
特産品は海軍カレー。
2010年4月の国勢調査によると、
街の人口は10万人以上だが、必府の街には不気味な数字がある。
街の人口は10万人以上だが、必府の街には不気味な数字がある。
2010年つまり今年に入って、行方不明者が81人もいるのだ。
うち50人が少年少女だ……。家出がいるとしても、日本の同等の街の
平均にくらべ、7~8倍という数だ。
うち50人が少年少女だ……。家出がいるとしても、日本の同等の街の
平均にくらべ、7~8倍という数だ。
しかし「必府町」のこの異常な数字に、今のところ特別な関心をはらう者はだれもいない…………。
2010年も、はや4ヶ月が過ぎた。
去年も今年も世界滅亡の危機などはまったくなく、あの有名なノストラダムスの恐怖の大予言の年、
1999年もすでに11年前になり、あれからリーマンショックやら、不況やら、
いろいろなことがあったが、たいていの人々は晴れ晴れとした気分ではないにしても、
いつも生活しているように春を迎えた。
1999年もすでに11年前になり、あれからリーマンショックやら、不況やら、
いろいろなことがあったが、たいていの人々は晴れ晴れとした気分ではないにしても、
いつも生活しているように春を迎えた。
俺の名前は――(まー……おぼえてもらう必要はないけどな)
川端 靖成 15歳……。ダチコーからは靖(ジョウ)成(ジョウ)でJOJOって呼ばれてるがな。
俺の場合は……受験の合格とこれからかよう新しい学校への期待と不安などまったくなく、
ただただ「めんどくせー」で頭がいっぱいの3ヶ月だった。
俺の場合は……受験の合格とこれからかよう新しい学校への期待と不安などまったくなく、
ただただ「めんどくせー」で頭がいっぱいの3ヶ月だった。
……最初から最後までめんどくせー女、「佐野 亜希」に出会うまでは……。
「彼」――靖成 は、無事何事もなく入学式――高校最初の日を終え、やはり高校も退屈だ……ということを再実感していた。
せっかくだからと、高校の内部をくまなく歩き回ったが、面白いものなど何もない。
しかもおかげで すっかり遅い時間になってしまった。憂鬱である。
せっかくだからと、高校の内部をくまなく歩き回ったが、面白いものなど何もない。
しかもおかげで すっかり遅い時間になってしまった。憂鬱である。
突然だが、JOJOは自らが通う高校に、バスで通学している。自宅近くのバス停から、高校近くのバス停まで10分、
高校近くのバス停から高校まで10分の、のべ20分かかる。
この日、JOJOは少し遅い時間ながらもいつもどおり――といってもまだ一日目だが――高校から近くのバス停への道を歩いていた。
高校近くのバス停から高校まで10分の、のべ20分かかる。
この日、JOJOは少し遅い時間ながらもいつもどおり――といってもまだ一日目だが――高校から近くのバス停への道を歩いていた。
(本当に……何にも起こらねェなァア~~~ッ。高校に行ったら少しは喧嘩売られたり……
っていう幻想を抱いていたのがそもそもの間違いだったのか?いくら21世紀になったとはいえ
絶賛大荒れ中なガクセーが居たって俺は全然問題ねーと思うがよォオ~~~~。)
っていう幻想を抱いていたのがそもそもの間違いだったのか?いくら21世紀になったとはいえ
絶賛大荒れ中なガクセーが居たって俺は全然問題ねーと思うがよォオ~~~~。)
と、JOJOは何かとぶつかった。彼は何かにぶつかった瞬間、「しまった」と思った。
彼は何かにぶつかった瞬間、とっさに自分がぶつかったものを見た。「女」だった。
それも、190cmある自分の身長より少なくとも30cm以上は小さいような「小柄な女」…………。
ぶつかった衝撃でカバンの中身をブチ撒け、その長い黒髪を振り乱していた。
「女」という生き物は総じて自分に迷惑が及ぶとギャーギャーわめきたてる生き物だということを、
JOJOは今までの経験から理解してきたし、女のそういうところがJOJOは嫌いだった。
彼は何かにぶつかった瞬間、とっさに自分がぶつかったものを見た。「女」だった。
それも、190cmある自分の身長より少なくとも30cm以上は小さいような「小柄な女」…………。
ぶつかった衝撃でカバンの中身をブチ撒け、その長い黒髪を振り乱していた。
「女」という生き物は総じて自分に迷惑が及ぶとギャーギャーわめきたてる生き物だということを、
JOJOは今までの経験から理解してきたし、女のそういうところがJOJOは嫌いだった。
『ならば喚きたてられる原因を作らなければいい』。
一般人には行き着きがたい結論に、JOJOは至っていた。
(この俺の……『奇妙な腕』さえあればな)
女がまさにブッ倒れそうになって傾いているその時!
JOJOの腕から炎のような模様がプリントされている『腕』が現れるッ!
その『腕』は人間――いや生物では考えられないほどの速度を以って、まだ空中を浮遊している女の手荷物をバッグに突っ込み、
そして女の体勢を元に戻してやる。これまでも何度か考え事をしていて人にぶつかる経験があったJOJOにとって、これは手馴れたものだった。
(まー……その結果JOJOに惚れた女もいるわけなのだが、本人は「ウゼー」としか思っていない)
JOJOの腕から炎のような模様がプリントされている『腕』が現れるッ!
その『腕』は人間――いや生物では考えられないほどの速度を以って、まだ空中を浮遊している女の手荷物をバッグに突っ込み、
そして女の体勢を元に戻してやる。これまでも何度か考え事をしていて人にぶつかる経験があったJOJOにとって、これは手馴れたものだった。
(まー……その結果JOJOに惚れた女もいるわけなのだが、本人は「ウゼー」としか思っていない)
(この俺の『腕』……今年に入ってから急に現れるようになった…………。
何度か試しているうちに分かったが、人間以上の『パワー』と『スピード』、『器用さ』を備えている……便利なモンだぜ。)
何度か試しているうちに分かったが、人間以上の『パワー』と『スピード』、『器用さ』を備えている……便利なモンだぜ。)
「大丈夫か?悪いな、余所見してた。」
JOJOは、もう何かにぶつかった直後とは思えないほど体勢の整った女に声をかけた。
「どこ見て歩いてんだクソアマ」と言わないで、先に謝罪しておく方が波風立たないというのもJOJOは心得ていた。
「どこ見て歩いてんだクソアマ」と言わないで、先に謝罪しておく方が波風立たないというのもJOJOは心得ていた。
「あれ……?私……確かにカバンの中身をブチ撒けたと思ったのに……。
そして吹っ飛んで転びそうになったと思ったんだけど…………?」
そして吹っ飛んで転びそうになったと思ったんだけど…………?」
女はJOJOの言葉にも気づかないほど混乱してる様子だった。
「(耳クソがつまっているのか?)……歩けるか?」
JOJOは若干イラつきを覚えつつ、女に声をかける。
「え?あっ、ゴメン!ビックリしすぎて聞いてなかった……。」
女は申し訳なさそうに答える。
JOJOのこの女への第一印象は、「馬鹿か?コイツ」だった。
しかし、それを露骨に顔に出すのも大人気ない。
JOJOのこの女への第一印象は、「馬鹿か?コイツ」だった。
しかし、それを露骨に顔に出すのも大人気ない。
「いや……もういい。別に大したことじゃあないしな」
やれやれ、とため息をつくJOJO。この女との会話はこのとき初めて成立したが、
JOJOはそれだけでとてつもない精神的疲労を感じた。
こんな女とツルむと精神が崩壊する。これっきりの付き合いにしよう。
そう思ってJOJOは黙ってバス停への道を再度歩き始めた。
JOJOはそれだけでとてつもない精神的疲労を感じた。
こんな女とツルむと精神が崩壊する。これっきりの付き合いにしよう。
そう思ってJOJOは黙ってバス停への道を再度歩き始めた。
そして、自宅近くのバス停に向かうバスの中。
「ねえねえ、その制服ウチの学校だよね!君って何年生?
あ、私は1年なんだけどさ…………あ、名前は『佐野 亜希』。」
あ、私は1年なんだけどさ…………あ、名前は『佐野 亜希』。」
……しかし、世の中とはそううまくできたものではない。
何の因果か、JOJOとこの女は「同じ方面」から通学していた……。
そういうわけで、女は今JOJOの隣の座席に座っている。
何の因果か、JOJOとこの女は「同じ方面」から通学していた……。
そういうわけで、女は今JOJOの隣の座席に座っている。
「……1年生だ。1年B組……名前は川端 靖成。ダチコーはJOJOって呼ぶ。」
「えッ!ウッソ!私も1年B組!奇遇だねぇ~~っ。
私あなたがいるの全然気づかなかったッ!よろしくね!JOJO!」
「えッ!ウッソ!私も1年B組!奇遇だねぇ~~っ。
私あなたがいるの全然気づかなかったッ!よろしくね!JOJO!」
「……オーマイ…………」
JOJOは、この世の中には『どうしようもないパワー』が働いていて、
それは自分にとって最悪な形で動いているであろうことを一人悟ろうとしていた。
それは自分にとって最悪な形で動いているであろうことを一人悟ろうとしていた。
バスから降りる二人の学生。片方はやつれ、片方はハツラツ。
周りには人気(ひとけ)もなく、少なくとも半径10m内にいる人間はこの二人だけらしかった。
周りは既に夕暮れになりつつある。
と、急に女――亜希の態度が変貌する。こう……妙に「甘ったるい」感じに――
周りには人気(ひとけ)もなく、少なくとも半径10m内にいる人間はこの二人だけらしかった。
周りは既に夕暮れになりつつある。
と、急に女――亜希の態度が変貌する。こう……妙に「甘ったるい」感じに――
「……ねえ……JOJO…………?」
しなだれかかってくる。
「……私……ちょっと君に話があるんだけれど……」
先ほどまでの快活な雰囲気などどこへやら、妙に大人げな雰囲気だ。
が、JOJOはもうこの女との会話にいい加減嫌気が差していた。
が、JOJOはもうこの女との会話にいい加減嫌気が差していた。
「……何だ?用件があるなら手短に頼むぜ」
「もう。釣れないなあ。ここだと……ちょっとアレだから、公園に行こうよ。
この時間なら大した人もいないだろーし…………」
「もう。釣れないなあ。ここだと……ちょっとアレだから、公園に行こうよ。
この時間なら大した人もいないだろーし…………」
コロッと雰囲気を切り替えてむくれる亜希。
JOJOはこのとき、「この女何がしたいんだ?」としか思っていなかった。
知り合ったばっかの男子学生につきまとったり、挙句の果てには公園だ。
何か?野外プレイでもしたくって、その為に後腐れのない相手を探しているのか?
その程度しか彼は考えが及ばなかった。しかし、彼はこのあと体験することになる――。
『スタンド使いは引かれ合う』、その絶対的かつ運命的ルールを…………。
JOJOはこのとき、「この女何がしたいんだ?」としか思っていなかった。
知り合ったばっかの男子学生につきまとったり、挙句の果てには公園だ。
何か?野外プレイでもしたくって、その為に後腐れのない相手を探しているのか?
その程度しか彼は考えが及ばなかった。しかし、彼はこのあと体験することになる――。
『スタンド使いは引かれ合う』、その絶対的かつ運命的ルールを…………。
「そら、公園についたぜ。早く本題を言え。」
公園についたJOJOは気持ち不機嫌そうに亜希を促す。
「もぉ~そんなにせかさなくったっていいじゃん……。
じゃあ、本題に入るけど…………。」
じゃあ、本題に入るけど…………。」
一瞬、場を静寂が包む。亜希は少しだけ、緊張しているようだった。
JOJOはさっさとしろよためるなよとか考えていた。
JOJOはさっさとしろよためるなよとか考えていた。
「君 、スタンド使いだよね ?」
「――ああ?」
「――ああ?」
『スタンド使い』。われわれにとっては何よりも聞き覚えのある単語。
しかしJOJOは聞いたこともない単語である。わけも分からず聞き返す。
しかしJOJOは聞いたこともない単語である。わけも分からず聞き返す。
「とぼけなくってもいいよ?分かってるから……。
バス停の近くで、私とぶつかったとき、君がスタンドを使ったの、目の前で見てたもの。」
バス停の近くで、私とぶつかったとき、君がスタンドを使ったの、目の前で見てたもの。」
亜希は静かに話す。その様子は、今までのスキだらけの少女とは違い、何か殺気のような迫力さえ感じられた。
……大気が振動しているようである。
……大気が振動しているようである。
「『スタンド』?あの『奇妙な腕』がか?あれは『スタンド』ってものなのか?」
JOJOは混乱する。JOJOがこの『奇妙な腕』に目覚めてから数ヶ月、
一生この『腕』が見える奴は現れないだろうと半ば諦めかけていた。そこに沸いてきたこの少女。
JOJOはいよいよわけが分からなくなってきた。
一生この『腕』が見える奴は現れないだろうと半ば諦めかけていた。そこに沸いてきたこの少女。
JOJOはいよいよわけが分からなくなってきた。
「うん、そうだよ。『スタンド』。君の精神力が形を持って現れた像(ヴィジョン)。
傍に立ち(Stand by)、立ち向かう(Stand up to)者だから、『スタンド』っていうの。」
傍に立ち(Stand by)、立ち向かう(Stand up to)者だから、『スタンド』っていうの。」
「そして、『スタンド』は本体の精神力によって生まれるものだから……当然人それぞれ、千差万別あるんだよ。
例えば君のスタンドは「炎の模様が描かれた腕」……だけど、私の『スタンド』は……」
例えば君のスタンドは「炎の模様が描かれた腕」……だけど、私の『スタンド』は……」
亜希がそう言った瞬間。大きな地響きとともに亜希の背後に「棒」が現れる。
いや、これはもはや『柱』だ。2本の大きな柱が、亜希の背後に忽然とあらわれた。
いや、これはもはや『柱』だ。2本の大きな柱が、亜希の背後に忽然とあらわれた。
「勘違いしてるみたいだけど、『柱』じゃあないよ?私のスタンドは。
もうちょっと顔を上げてみなよ……全体が見えるよ」
もうちょっと顔を上げてみなよ……全体が見えるよ」
亜希に言われたとおり、顔を上げるJOJO。
……そこには、中世の騎士のような人が……佇んでいた。ただし、全長は3m以上あるわけだが。
頭部には王冠を模した西洋風の兜があり、上半身は鎖が幾重にも巻き付いている。
下半身は布一枚という、ワイルドなスタイル――男性だ。
亜希の直前の発言がフラッシュバックする――『スタンド』は本体の精神力が形をもって現れた像(ヴィジョン)――。
……そこには、中世の騎士のような人が……佇んでいた。ただし、全長は3m以上あるわけだが。
頭部には王冠を模した西洋風の兜があり、上半身は鎖が幾重にも巻き付いている。
下半身は布一枚という、ワイルドなスタイル――男性だ。
亜希の直前の発言がフラッシュバックする――『スタンド』は本体の精神力が形をもって現れた像(ヴィジョン)――。
「……お前、女……だよな……?」
「ああーっ!やっぱりそれ言うと思ったッ!私の『スタンド』を見た人はいつもそういうもん!!」
「ああーっ!やっぱりそれ言うと思ったッ!私の『スタンド』を見た人はいつもそういうもん!!」
亜希は悔しそうに地団太を踏む。
本来ならここでほほえましい光景だ、と思うのが普通なのだろうが、JOJOはそうは考えなかった。
本来ならここでほほえましい光景だ、と思うのが普通なのだろうが、JOJOはそうは考えなかった。
「……『私の『スタンド』を見た人』?『いつも』?……
スタンド使いってのが複数いることは分かったが、そんなに『スタンド使い』がたくさんいるものなのか?」
「私が知ってるだけで、あと一人いるよ」
「……オーマイ。『スタンド使い』の神秘性が一気になくなったぜ」
スタンド使いってのが複数いることは分かったが、そんなに『スタンド使い』がたくさんいるものなのか?」
「私が知ってるだけで、あと一人いるよ」
「……オーマイ。『スタンド使い』の神秘性が一気になくなったぜ」
やれやれ、というゼスチャーをするJOJO。その様子を見て亜希は苦笑し……次の話を切り出し始めた。
「……それでね、『スタンド』はそれぞれ「特殊能力」を持ってるんだ……。私は『スタンド能力』って呼んでるんだけどね。
例えば「時」を止めたり、物を「治し」たり、「重く」したり。私はそんなスタンドには出会ったことがないけどね…………。」
「『能力』だと?俺のスタンドにはそんなものはないが……。目覚めて数ヶ月だしな。」
「……やっぱり。君『スタンド使い』の存在を知らないみたいだったし、たぶんスタンドに目覚めたばかりだと思ってたんだ。
……そこで質問なんだけど、君、ど う や っ て ス タ ン ド に 目 覚 め た か、覚 え て る?」
例えば「時」を止めたり、物を「治し」たり、「重く」したり。私はそんなスタンドには出会ったことがないけどね…………。」
「『能力』だと?俺のスタンドにはそんなものはないが……。目覚めて数ヶ月だしな。」
「……やっぱり。君『スタンド使い』の存在を知らないみたいだったし、たぶんスタンドに目覚めたばかりだと思ってたんだ。
……そこで質問なんだけど、君、ど う や っ て ス タ ン ド に 目 覚 め た か、覚 え て る?」
亜希が語気を強める。何か切羽つまったような、そんな緊張感を感じさせる語調だ。
これにはJOJOも少したじろぎ……
これにはJOJOも少したじろぎ……
「……どうやっても何も、今年になって、数日したらいつの間にか目覚めてた。
別に何かされたってわけでもねーしな……で、それがどうしたんだ?」
「いや……私……君と違ってある人間に『目覚めさせられた』んだよね
だから、君がもし私と同じなら、……私の仲間になってほしかったんだけれど……。」
「『仲間』?それはどういうことだ?」
別に何かされたってわけでもねーしな……で、それがどうしたんだ?」
「いや……私……君と違ってある人間に『目覚めさせられた』んだよね
だから、君がもし私と同じなら、……私の仲間になってほしかったんだけれど……。」
「『仲間』?それはどういうことだ?」
亜希は心なしか残念そうな面持ちになる。
それに若干の興味を惹かれつつ、JOJOは亜希に質問を繰りだす。
それに若干の興味を惹かれつつ、JOJOは亜希に質問を繰りだす。
「私を『目覚めさせた』人の正体を探すのっ。
スタンドには固有の能力があることも、スタンドの概念も、教えたのは私を『目覚めさせた』人。
それっきり私は彼と出会うことはないけど……仲間がたくさんいたら、その内会えると思って。」
「会って、何をしようって言うんだ?」
スタンドには固有の能力があることも、スタンドの概念も、教えたのは私を『目覚めさせた』人。
それっきり私は彼と出会うことはないけど……仲間がたくさんいたら、その内会えると思って。」
「会って、何をしようって言うんだ?」
「ううんっ。どうもしない。ただ、『何でスタンド使いを目覚めさせるの?』って、一言聞きたいだけ。
だって、何も分からないままよく分からないものを与えられるって、夢見が悪いじゃない?
誰が、どんな目的で、何を与えているのか、ハッキリさせたいんだよね。」
だって、何も分からないままよく分からないものを与えられるって、夢見が悪いじゃない?
誰が、どんな目的で、何を与えているのか、ハッキリさせたいんだよね。」
亜希はそういって微笑む。夕日が彼女の顔を照らす。意外と綺麗だ。
彼女のスタンドが『男』である理由が、よく分かったJOJOだった。
彼女のスタンドが『男』である理由が、よく分かったJOJOだった。
「ちなみに、スタンドにはそれぞれ名前があるの。これも『目覚めさせた』人から教えてもらったんだ。
私も自分でつけたんだよ?」
「へえ、興味がある。何ていうのか言ってみろよ。」
「私のスタンドの名前は……」
私も自分でつけたんだよ?」
「へえ、興味がある。何ていうのか言ってみろよ。」
「私のスタンドの名前は……」
ここで、亜希は間を空ける。つくづく上手い話の持ち運び方をする女だとJOJOは思った。
「『グラットニー』。
それが私のスタンドの名前だよ。君は?」
「俺のスタンドの名前か――。」
JOJOはここにきて、少し悩んだ。何せ自分のスタンドはただの『腕』だ。
特徴といってもすごいすばやくパワーもあり、炎の模様がある。それだけだ。
特徴といってもすごいすばやくパワーもあり、炎の模様がある。それだけだ。
「……名前はまだない。いつか考えよう。」
だから、この時点ではこういう他なかった。
「んじゃ、もう暗いし用がないならまた明日学校でな。」
少々の間が空き、JOJOはそういって亜希に背を向けた。
……返事はない。そのまま公園の出口へ歩を進め……
……返事はない。そのまま公園の出口へ歩を進め……
「ちょっとまって!」
後ろから呼び止められる。今度はなんだと思いつつ、亜希のほうを向き、次の言葉を待つ。
亜希はというと、別に思いつめた表情でもなく、何だかお得情報を考え付いたみたいな顔だった。
亜希はというと、別に思いつめた表情でもなく、何だかお得情報を考え付いたみたいな顔だった。
「JOJO……君さっき「年が明けて数日したらいつの間にか目覚めてた」って言ってたよね?
それってもしかしたら、君の近くに強大なスタンド使いが現れて、その影響でスタンドに目覚めたのかも!」
それってもしかしたら、君の近くに強大なスタンド使いが現れて、その影響でスタンドに目覚めたのかも!」
溌剌と、そんなことを話す亜希。その「強大なスタンド使い」がもしかしたら『目覚めさせた』人で、
JOJOの知り合いかもしれない――そんな想像をしているようだった。
そんな亜希を一瞥し、そっけなく踵を返し、歩みを再開する。
JOJOの知り合いかもしれない――そんな想像をしているようだった。
そんな亜希を一瞥し、そっけなく踵を返し、歩みを再開する。
「ま、それとなーく探してみるぜ。面倒だからなァア~ッ。」
去り際にJOJOがかけた一言で亜希の顔は明るくなった。
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