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02話「『ブラック・アイズ・ピース』とJOJOの『腕』 その1」の巻

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orisuta

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四月上旬、ある晴れた日の放課後。JOJOは亜希とともに帰路に就いていた。

「あれから色々あったけど、結局何にも見つからないよー……。」
「……まあそんなもんだろ。」

 こいつは――佐野 亜希……。
 高校生活初日の放課後に知り合った女だ。あとで知ったところによると
 年齢は15歳。(同い年だから当然だな。)父親は研究者をしていて、
 学会ではなにやらムズカシイ論文で有名な人らしい。(『理由』にこだわるのはこの父の影響かもな。)
 こいつに俺は 恐怖は感じなかった。女らしくない言葉遣いはしているが
 知性と親しみやすい態度があった。恐怖を感じたのはこのあと出会った奴だ。
 「アクター」というあだ名で呼ばれた男だった。

「何しとんじゃッ!」
「なんのつもりだ きさまッ!」

バスを待っていると、向こうのほうからガラの悪そうな男たちが数人で、少年にたかっていた。

「……。」

少年は、「いまどきはやるのかそんなヘアスタイル?」と言いたくなるような髪形――
いわゆるリーゼントだった。
しかも気合の入った学ランを着ている。タバコも吸っている。

「なにってよォ~~ッ、この池のカメが冬眠から覚めたみたいだからただジィーッと見てただけだぜ。
 カメってちょっと苦手なもんでよォオ~~~~ッ。さわるのも恐ろしいモンで……。
 その怖さ、克服しようかなァ~~~と思ってさ……。」
「……んなこたァ聞いてんじゃあね――ッ!」
「立てッ!ボケッ!」

ゴロツキどもに言われ、渋々……といった様子で立ち上がる少年。急に立ち上がったもんだから煙が顔に被って苦しそうだ。
……でかい。JOJOと同じくらい(190cm)はある。

「ほほォ~~~、一年坊にしてはタッパあるっちゃ~~~っ。」
「おいスッタコ!誰の許可もらってそんなカッコウしとるの?中学ん時はツッパってたかもしんねーがッ!」

そういって、ゴロツキの一人はカメを掴む。それを少年に突き出し……。

「うちに来たら、わしらにアイサツがいるんじゃあッ!」

「ちょ……、ちょっと爬虫類ってやつはニガテで……やめてくれよ」

それを少年はよけようとしている。口元がニヤついている。自分が置かれた状況を分かっていないのか?

「ウダラ何ニヤついてんがァ―――ッ!」

当然、ゴロツキのうちの一人はいい気分にはならない。顔を思い切りはたく。
唇の端から、血がにじむ。(当然だが)その瞬間、少年の顔から笑顔が消えた。

「…………。」
「何黙りコクってんだこのボケナスがァ――ッ!さっさと詫びいれねーと
 てめーもこのカメのように……」

そう言ってカメを振りかぶり、

「してやろうかッ!コラ――ッ!」

壁に投げつける。カメは床にしたたかに叩きつけられた。あれだけの勢いで投げられれば、もう命は助からないだろう。

「さ……さいてェー。」

亜希が呟く。
ゴロツキたちはというと、カメをいたぶったことで多少気が晴れたようだ。

「ケッ!心がけよくせーよー。今日のところはカンベンしてやる」
「その学ランとボンタンぬいで、おいていきな。それと銭だな。献上してってもらおうか。」

「…………。」

少年は無言だ。

「自業自得ってヤツだ。目つけられるのがいやならあんなカッコウするなってことだ……。
 逆にムカつくのはカメをあんな風にされて、怒らねえあいつの方だ。」

JOJOが亜希に語りかける。

「おい!腰抜け!きさまの名前をきいとくか!」

ゴロツキのうちの一人が少年に声をかける。

「……1年B組、芥川……」

そのクラスを聞いた瞬間、JOJOと亜希の体が反応した。

「なにィ……1年B組……!
(オーマイ……!どーして俺の周りにはこういう奴らが出てくるんだ……!?)

「芥川? 草冠に介護の「介」」
「「川」?」

ゴロツキのうちの数人が確認を取る。

「けっ!これからてめーを芥川!アクターって呼んでやるぜ!」
「それでおい!下の名前は教えねーつもりじゃあねえよな!
 ただでさえ腰抜けなのにさらに腰が抜けてるわけじゃねえよな!」

そういわれた瞬間、芥川の動きが完璧に止まった。

「『辰助』だ……」

ボソリ、と、芥川が呟く。

「後生大事に覚えておけよ……今からきさまらをぼこぼこにする男の名前だ……。」
「え?」
「え?」
「え?」

芥川が突然、不穏な言葉を持ち出す……。

瞬間、芥川がくわえていたタバコの煙が、『人の腕』の形を成す。

「!!」
(なにッ!スタンド(●●●●)!)

そして、次の瞬間…………。
煙で形作られた『腕』が、力強くゴロツキの顔を打つ。

「ホゲェ―――ッ!」
「うわ――ッ!」

殴られたゴロツキは吹っ飛び、他のゴロツキに衝突する。

「鼻がッ!ハガがッ!」

苦しそうに響くゴロツキの悲鳴。最早阿鼻叫喚といっても過言ではなかった。
しかし、芥川の逆襲は終わらない。ゴロツキの口元……に、煙が纏わりついている。
さっき殴ったときにタバコの煙がくっついたのか……?そして、その方向へ向かう芥川。

「てめーさっきから黙ってりゃアつけあがりやがってッ!挙句の果てにこの俺を
 『腰抜け』だとォ?ふざけんのも大概にしやがれッ!」
「わ、悪かった……悪かったから許してく」

あまりの迫力に、ゴロツキが謝りはじめる。

「れ」
「今更謝ったって虫がよすぎんだよ、コラ――――ッ!」

倒れたゴロツキの頭を踏み潰した!外道だ……外道がここにいる……。と、亜希は思った。

「ひええええ」

他のゴロツキたちはその恐ろしさにいっせいに逃げ惑う。

(こいつ……『スタンド』を見せた……。今確かに……背後に何らかのスタンドが見えた!)

「あっ!ねえ見てJOJO!」

亜希が驚いてJOJOの肩を叩く。指差すその先には、カメを持ち上げている芥川の姿が。
カメは――

無傷だ。怪我なんて何一つしていない。それを、元の池に返す芥川。

「? あ……あれ?お……おかしいよ。カメ……の……カメの傷がないよ……
 あれだけの勢いで叩きつけられたんだから、甲羅がイタイタしく割れているはずなのに。」

「なっ!」

先ほど頭を踏み潰されたゴロツキも声を上げる。
見るとゴロツキは顔を真っ青にして煙をかきむしっている。

「なんだあ~~~っ!」
「いま煙が殴ったときについた煙の残滓が!」

件のゴロツキがついに白目をむき始めた。

「口に纏わりついて窒息させてやがる!!」

「てめーのおかげでさわりたくもねーのに……、
 カメにさわっちまったぜ……そっちのほうはどーしてくれるんだ?ア?」

そしていつの間にかゴロツキの背後に来ていた芥川が手を前に突き出す。
何だかバッチイものを触ったあとのような感じになっている。

「う、うわああああああ――――!」

ゴロツキたちは、恐れおののいて逃げていった。……一人を除いて。
煙が纏わりついて窒息させているゴロツキは、依然倒れたままだ。
白目をむいて、口から泡を吹き出し始めている……このままでは死んでしまうだろう。

「オーマイ(何てこった)……こいつが……

 こんなのがこれからおれのクラスメイトになるであろう人間だとは!」

そう言って、JOJOは足を前に進める。その足には「闘気」がこもっていた。

「!」

その「闘気」に、芥川も気づいた。

「それ以上はよォ~……やめとくのが賢明ってヤツだぜ。本気で死んじまうからよ……ソイツ。」

芥川の方へ向かいつつ、話しかけるJOJO。

「うるせ―なッ!俺のスタンドの加減は俺が一番よく分かってる!こういうナメたことするやつはなァァ~~……、
 ちょっとばかし『痛い目』見さして、格の違いってもんを見せてやるのがやさしさよッ!」

言うが早いか、タバコの煙がさらに増し、人型のスタンドを作り出す。

「……!こいつも亜希と同じように『人型』を……!やはり『腕』だけじゃあねーのかッ!」
「邪魔するってんならよォォ~~~~ッ!俺の『ブラック・アイズ・ピース』!きさまも同じように
 白目剥いて泡吹かせてやるぜッ!」

人型スタンドが、ファイティングポーズをとる。
……上半身だけが、はっきり見えている。下半身はタバコからでる煙へとつながっていて……、
そして随所に車の「排気口」のようなものが生えている……。

「……!コイツ……!いいよ!JOJO!君がやる必要はない!私が……」
「いいや、亜希。お前はそこで見ててくれ。こいつは俺が……

 この川端 靖成がじきじきにブッ飛ばす!」

JOJOが『両腕』を発現する。

「ほほォ~~ッ。お前その『両腕』だけで俺の『ブラック・アイズ・ピース』に勝てると思ってんのか!
 いいだろう!その自信、根っこから叩き折ってやるぜッ!」




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使用させていただいたスタンド


No.246
【スタンド名】 ブラック・アイズ・ピース
【本体】 芥川辰助
【能力】 煙の密度によりパワーと射程が変わる




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