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8:「泉鏡花の冒険 その1」の巻

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pusan

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「フゥ~~~~…………」

泉鏡花はその日、いつにもましてテンションが低かった。というのも、昨日はりきって杜王公園を40往復してしまったのだ。
筋肉痛。思ったほどひどいものではないな、と鏡花はしみじみ思っていたが、傍らにいるこいつは違う。
『全身が痛いでし、鬼畜でし、アナルはやめてでし』とわけのわからないうめき声をあげるこの豚は、非常に耳障りである。

その上、

「鏡花! 今日もガンバッテ走るッスよ!」

この健康優良児世界代表が今日も朝っぱらから家の扉を蹴破って鏡花の部屋まで来る。
いかに幼馴染といえどこの所業は許していいのだろうか? はなはだ疑問である。
しかし、鏡花の母親はそれをとがめる様子もなく、むしろ「元気があるっていいわね~。ね、白さん?」などと日和っている。

「だが断る」

朝っぱらから ちゅみちゅみ うるさい豚を右手で押さえつけて黙らせた鏡花は、
カニ子の申し出を4文字(ひらがな表記では6文字)で拒否した。

「返事は聞いてないッス!」

……拒否したのだが。

「鏡花のおかーさん、白さん! 鏡花借りるッスね――!!」
「あらぁ、もう行くのぉ? 朝ご飯食べてったらどお?」
『ママさん、子供はあーやって成長してくもんだべ。それを止めるのは酷だべ』
「そぉねぇ、遅くならないうちに帰るのよー、お夕飯カニ子ちゃんも食べるー?」

絶賛ノホホン中の鏡花の母親はそんなことを言いながら掃除に戻る。
ちなみに今鏡花の母親を諭したのは彼女のスタンド『スカイブルー・ヒッチハイカー』(カニ子命名)だ。
埃を集める事のできるスタンドであり、きれい好きな彼女にはもってこいのスタンドだとか。
一応、正式名称は『スカイブルー・ヒッチハイカー』というのだが、長いしハイカラなので「白さん」と呼ばれている。
『スカイブルー』なのにオレンジ色でさらに「白」さんというのも奇妙だが、
常に埃を纏っていて白っぽいのでやっぱり「白さん」で間違いない。白さんは自我を持ったスタンドで、
その自我は鏡花の母親が子供のころに飼っていた犬のイメージが大半を占めているようだ。

「鏡花のおかーさん、お昼ご飯食べに一回戻るッスー!!」

元気娘は、そういい残すと鏡花を掴んで風のように走り去っていった。


…………杜王公園。
そこに、彼女たちとは違う二人組が歩いていた。
一人は泉よりも小柄な少女。そしてもう一人は屈強な肉体を持った初老の男。
少女の名は、「千秋寺明日香」と言った。

「ねえ、執事。退屈」

「申し訳ありませんお嬢さま」

「……ごめんなさいとか、いいからさぁ。退屈。ねえ、退屈。ねえ、ねえ、ねえ、ねえねえねえねえねえ!」
「申し訳……ございません」

いらだった様子の明日香は、頭を下げるしかしない執事にさらにいらいらを募らせる。
彼女は、ただ退屈だった。何かがあったわけではない。むしろ、何もなかった。
暇すぎて、暇をもてあましすぎたからやってきた杜王公園。しかし、何の変化もなかった。
彼女は、この街の”平和さ”に、いよいよ怒りを抑えきれなくなっていた。

「もう、いいやぁ。何もない、何もないって、与えられるのを待ってちゃダメだよねぇ。ねぇ、執事?」
「……はい?」

「執事は、明日香の奴隷だよねぇ?」


8:「泉鏡花の冒険」の巻



――杜王公園――


鏡花「そんなわけでやってまいりました杜王公園ー……」フゥ~
カニ子「テンション低いッスよ!」

キャッツ『も゛う゛筋゛肉゛痛゛は゛い゛や゛で し゛~』

鏡花「朝っぱらからこんなうめき声を隣で聞かされてる身にもなってほしいわね……」

カニ子「…………」

カニ子「スタンド消せばいいんじゃね?」ッス

鏡花「…………!」ハッ

キャッツ『走゛る゛の゛は゛延゛期゛で 』ズゥ・・・

鏡花「ぶっちゃけその発想はなかったわ……。フゥ~~……」

カニ子「じゃあ走るッスよォ!」

鏡花「おお!」


――杜王公園 散歩道――


鏡花「…………なんかおかしいわね」
カニ子「…………?」

鏡花「静か過ぎる」

ド ド ド ド ド ド ド

シィィィ――――――ン

カニ子「夏休みだし、お昼前だし、こんなもんじゃないッスか?」
鏡花「馬鹿ね、夏休みのお昼前だからこそ静かすぎるんじゃない。
    普通このくらいの暑さだったら噴水広場の方から子供たちの声が聞こえてもおかしくないわ」

鏡花「……キャッツ、どうなってるのか、ちょっと偵察してくれない?」

キャッツ『筋゛肉゛痛゛……』
鏡花「消すぞ」

キャッツ『がんばるでし!』フワァァ~


――sideキャッツ――


ド ド ド ド

キャッツ『まったくあねさんの鬼畜っぷりはマジはんぱねぇでし。あねさんから離れられるこんなときくらいしか
    愚痴れないから今のうちにたっぷり愚痴るでし! あねさん何でスタンドに攻撃できるんでしか!? はんぱねぇでし!』

キャッツ『いつも早く起きてでし! 分が悪くなったら「フゥ~」で片付けるのやめてでし! キャッツを殴らないででし!
    あと残飯をキャッツに食べさせるのはやめてでし! キャッツは電池しか食べたくないでし! キャッツを殴らないででし!

    「聞 こ え て ん ぞ」

キャッツ ビクゥ!

キャッツ ド ド ド ド ド

キャッツ ソロ~

キャッツ チラッ

鏡花 ド ド ド ド ド ド

キャッツ『……………………。

    さ、さあ~て、真面目に偵察するでしかね~』

キャッツ チラッ

ド ド ド ド

幼女「     」

ド ド ド

キャッツ『(…………? 大勢の人がちんまい女の子に跪いてるでし。ちんまい女王さまでし)』

キャッツ『(もうちょい近くに寄ってみるでしかね? ……いや、あんなちんまい女の子に大勢の大人が跪くなんておかしいでし。
    なかにはコワそうな不良もいるでし。ぜったいああいう人種は女の子に頭下げたりしないでし)』

キャッツ『(多分、スタンド能力でし。しかもかなり強力そうでし。うかつに近づいたらボコボコでし。
    キャッツはあねさんがいないとただのよわっちい遠隔操作スタンドでし。あねさんの頭脳あってのキャッツでし)』

キャッツ『(だからここは一旦あねさんに報告するでし! これは決してビビって逃げてるわけじゃないでし!)』フワァ~


――合流――


鏡花「どうだった? ここらへん一体が静かな理由、分かった?」

キャッツ『(これは言外に「分かんなかったらぶちのめすぞ」って言ってるでしね)』

キャッツ『もちろんでし! これは十中八九スタンド能力でし!』キリッ

鏡花 フゥ~~

鏡花「で?」

キャッツ『向こうの、噴水広場のところにおおぜいの人がいたでし。中心にはちんまい女の子がエラソーに座ってたでし。
    女の子以外の人は女の子に向かって跪いてたでし』

鏡花「まあキャッツの見てることはわたしにも見えるから知ってるんだけどね」フゥ~
キャッツ「………………」

鏡花「フゥ~~……穏やかじゃないわねぇ~~」
カニ子「そっ! そんなの! 止めさせるっきゃねえじゃねえッスかぁ!」
キャッツ『……でしよねっ!』グッ

鏡花「いや? 別に放っといていいと思うけど」

カニ子・キャッツ『「……え?」』ポカーン

鏡花「だって、向こうは別に跪いてる人に危害を加えてるわけじゃあないんでしょ?
    ガキの自己満足くらい やらせておいてあげなさいな……。わたしたちがわざわざ止めさせることでもないわ……」

カニ子「そ、そんなあ……」

キャッツ『じゃ、じゃあ、せめて見に行くだけでも! そっちの方まで走ってみたいでし!』

鏡花「ええ~~……なんか妙な因縁つけられそうな気が……」

カニ子「じゃあ、あたしとキャッツだけで行くッス」
鏡花「いいけどキャッツはわたしから50mくらいしか離れらんないわよ」

カニ子 ・ ・ ・

カニ子「それでも行くんス――ッ!」ウガー

鏡花 フゥ~~

鏡花「分かったわよ……行くわ。行けばいいんでしょ? フゥ~~~……。最初の目的はどこへやら……」


――噴水広場近く――


幼女「       」

鏡花「なんか言ってるわね……」
カニ子「こっからだと何言ってるかわかんないッス」

鏡花「じゃあ、キャッツ、ちょっと偵察に行って」
キャッツ『敵地に偵察とかマジ勘弁でし』

鏡花「噴水が広いではないか、行け」
キャッツ『イエスマムでし』


――sideキャッツ――


コポポ・・・(キャッツは呼吸しなくていいのでこの音はイメージだが)

キャッツ『(このくらいの距離でいいでしかね)』

幼女「うん、このくらいの人数でいいよねぇ」

キャッツ『(聞こえるでし! これで聞いた内容を、キャッツの能力であねさんの近くのスピーカーから垂れ流しにするでし!
     音量はちゃんと小さめにするからバレる心配はいらないでし)』

幼女「これだけいれば、十分街をボロボロに出来るよね」

キャッツ !!


――side鏡花――


スピーカー『十分街をボロボロに出来るよね』ガガビ

鏡花 !!

カニ子「穏やかじゃあ……ないッスね」ドドド

カニ子「どうするッスか? こりゃあ知らん振りできないッスよ?」
鏡花「そうね……。譲華さんに連絡して、到着を待つしか……」

カニ子「んなスットロイことやってたら絶対暴れだすッスよ!
    譲華さんを待ってたら遅いッス! あたしたちだけでも行動しないと!」

鏡花「あのねぇ、カニ子。確かに街をメチャクチャにするなんて見過ごせないわ。
    でも、わたしたちにあの跪いてる人たちを全員倒せるほどのスタンドパワーがある?
    あんたの『マクシミリアン・シェル』だって、大勢に襲い掛かられたらさばききれないでしょ?
    確かに被害は出るかもしれないけど、譲華さんを頼るのが一番「賢い」選択。
    あんたのは「アホ」のすることよ。そーいう勝算のないことをするのは「英雄」じゃあないわ」

カニ子「それならッ! みすみす悪から目をそらすくらいなら! あたしは英雄じゃなくていいッス!!」

鏡花「…………」ググ

鏡花「(あれ? なんでわたしこんなに真剣になってこの街を守ろうとしてるんだろ?
     そもそも譲華さんに連絡する義理さえないのに……。警察にでも任せとけばいいのに……)」

鏡花 ジッ
カニ子「   」

鏡花「…………。 (フゥ~~~……。決まってるじゃない……。警察に任せるなんてチンタラやってたら、
             目の前のこの英雄(アホ)は絶対に無茶して、怪我をする……。そんなことみすみす見過ごせはしない……)」
                                          .. .. . . . . ..
鏡花「『キャッツ』! 戻ってきなさい! 偵察はもう終わりよ! こっちから仕掛けるわ!」
カニ子「鏡花!」パァッ

鏡花「勘違いするんじゃあないわよ……。フゥ~~~……。あんたみたいな馬鹿をほっぽってたら、
    どんなアホなことをしでかすか不安だからやるまでのことよ……。危なくなったらすぐ逃げるからね」フン
カニ子「…………」

カニ子「分かったッス!」ニコッ

キャッツ『ただいま戻ったでし!』

キャッツ グイィ

キャッツ『カニ子ちゃん……あねさんはあー言ってるでしけど、
    基本「ツンデレ」でしから、間に受けないでほしいでし。
    いざとなったらあねさんは多分身を挺してでもカニ子ちゃんを守るでしから、無茶はしないでほしいでし』
カニ子「分かってる、分かってるッスよ」ニコニコ

鏡花「そこぉ! 何無駄話してんの!」

キャッツ『はいはいでし~』

鏡花「まず、カニ子の『マクシミリアン・シェル』。この能力は「高山病にする鎧」を着せることだけれど、
    おそらくこれが主な攻撃・防御手段になるわ。『カニの鎧』って、部分的に装備させることってできる?」
カニ子「どーいうことッスか?」

鏡花「たとえば、わたしの『腕』にだけ『マクシミリアン・シェル』を発現させる――ってことよ」

カニ子「ん~~、やったことないからわかんないッスけど、多分できるッス。その場合は「高山病」にはならないッスけど」

鏡花「じゃあ、まずはわたしたちの「頭」以外に『マクシミリアン・シェル』を装備させること。
    『マクシミリアン・シェル』は大気でできてるから、行動の邪魔にもならないしね」

カニ子「わかったッス! 『マクシミリアン・シェル』!」ズォア!

鏡花
カニ子 ズシンッ

鏡花「これでよし……っと」

鏡花「次に、「キャッツ」は陽動ね。
    あんたの『マクシミリアン・シェル』は近距離でしか発現できないから(一度発現すれば長持ちだけど)
    わたしと「キャッツ」で上手く『敵本体』をおびきだして、そして『マクシミリアン・シェル』で動きを封じる、
    ……って言う流れが理想的な戦闘の流れ、ってとこかしらね」

鏡花「相手が『近距離パワー型』だった場合も考えて、絶対に相手から「5m」には近づかないこと。ここまでいい?」

カニ子「な、なんとかッス……」
キャッツ『右に同じでし』

鏡花「カニ子はともかくあんたは『なんとか分かる』じゃあダメなのよ……フゥ~~~……」

鏡花「それじゃあキャッツ。公園のチャイムを操作して音を鳴らしてちょうだい」

キャッツ『でしッ!』ピリリッ

チャイム CHA-LA-HEAD-CHA-LA~♪

幼女「 ねえ、執事。まだ12時じゃあないよね?」

執事「はい、お嬢さま」

幼女「じゃあさ~……どうしてチャイムが鳴り始めてるのかな?」

執事「分かりかねます」

幼女「フンッ使えないヤツ」

ド ド ド ド

チャイム 胸がバチバチするほどォ~

幼女「(うるさい……)」

鏡花「この騒音にまぎれて接近する……」ボソッ
キャッツ『け、けっこう大胆で怖いでし!』ボソ

鏡花「大丈夫よ。わたしたちは結構小柄だし……。わたしたちが見えないとなると、あとは人間は聴覚に頼るしかない。
    その聴覚は今わたしたちが封じてるから、バレる心配はないわよ」ボソ
キャッツ『影とか……』ボソ
鏡花「今何時だと思ってるの? 影なんかはわたしたちの真下よ」ボソ

執事 ピク

執事 ボソボソ
幼女 コクコク
     .. ... .. . .. . .. .
幼女「そこでちょこまかしてるあなた」

鏡花 ! ・ ・ ・

幼女「出てきてよ……。今なら仲間にしてあげるよ?」

鏡花「(何故バレたっ!? あたりの動物には気を配っていたはず……) キャッツ!」ボソッ
キャッツ『人間はおろかノラの犬猫もいなかったでし……』ボソ

鏡花「(何故バレたのかは分からないけど……。バレた以上、この場所に留まるのは愚策……!)」

鏡花 バッ

幼女「へぇ……意外と小さい子供なんだね」

鏡花「(テメーに言われたくないわよっ!) キャアアッツッ!!

キャッツ『逃げるんでしね!』

鏡花「逆よッ! この場は突っ切るッ!!」

キャッツ「!?

鏡花「『電灯』をジャックしなさいッ! 光量を全開よッ!」

電灯 カッ

幼女「ううっ! まぶしい……」

ド ド ド ド

鏡花「今だあああ――っ! 突っ切れッ!」ダダッー!

幼女「ふっふふ、追い込まれてヤケクソになったの? 明日香の『マーシフル・フェイト』はそんなヤケクソじゃあ止まらないッ!」

MF ズオオオッ

鏡花「フゥ~~っ……! ガキのくせして立派な『人型スタンド』じゃない!
    わたし、ナマイキ言うのは好きだけどナマイキなガキは嫌いなのよね……!」

明日香「何を……」

鏡花「『噴水』! フゥ~~~~……。
    その歴史は古く、最古の噴水は1861年に作られたと言われているッ!
    昔は落差を利用して水を噴き上げるっていう面倒な仕組みだったらしいけど、
    最近はノズルが可動式になってるのとかもあるっていう話よ……!」

鏡花「この杜王公園の噴水もねェ! フゥ~~」

明日香「きゃあっ!」ビシャアッ!

執事「明日香お嬢さまッ!」バッ

鏡花「やっぱり。本体であるそこの幼女を攻撃すれば、他のやつらの意識はそっちに移ってしまう……」

キャッツ『そしてキャッツたちはこの隙に逃げるでしよ!』ダダダーッ


・・・



鏡花 ハァーッハァーッ

カニ子「鏡花ッ! 無事でよかったッス」

鏡花「ヤツの『スタンド能力』について分かった事がいくつかあるわ……」ハーハー

鏡花 スゥ

鏡花「1.ヤツは少なくとも生物を自在に支配下に置く能力がある。
    2.そしてその能力はわたし――おそらくスタンド使いには効果がない。
    3.近距離パワー型のスタンド能力である。
    4.そしてまだ説明のつかない謎の能力を持っている可能性がある」

カニ子 ド ド ド ド

カニ子「確かに、さっきの鏡花の尾行……。こっちから見てたッスけど、誰かに見つかった様子はなかったッス。
    いきなり男がビクッと動いて、それからさっきの明日香とかいう女の子に耳打ちしてたッス」

鏡花「敵スタンドの能力の謎を解かない限り……わたしたちのスタンド能力で勝つのは難しいわよ。
    とりあえず引きつけてるけど、カニ子。譲華さんに連絡はした?」

カニ子「したんスけど……。譲華さん、忙しいみたいで。電話に出んわ状態ッスよ」
鏡花「サムい死ね」


――そのころの譲華――レストラン「トラサルディー」――


譲華「なゆたんーっ! こっちにお水持ってきてよ~っ!」                  コントルノ
寒月「さすがイタリア料理店だけあって、本当にすばらしい味だよ。あ、なゆたんトニオに副菜もって来てくれって」
慧「なゆたん! プリン持って来いプリン!」

那由多「なゆたん言うんじゃあないッ!」ガオー

同僚「なゆたん大変ね~」
那由多「ショコラまで…………」ガクッ


――杜王公園に戻り――


鏡花「マズイわね……。別に譲華さんをアテにしてたわけじゃないけど、助けが望めないとなると
    なんとなく「心の支え」みたいなものがなくなる気分ね…………」

ガササッ

カニ子 !!

犬 ガルルルルル・・・

鏡花「犬……! フゥ~……。やはり人間だけじゃなく動物も『支配下』における能力のようね……!」

犬「GRRRROOOOOOOOHH―――ッ!!

カニ子「『マクシミリアン・シェル』!」

犬 ズシンッ

犬「ガッ ガバッ! グギギギギギギギ……」ガクガク

カニ子「『高山病』……。人間と違って「呼吸」をコントロールできない犬には効果絶大ッスよ」

ド ド ド ド

鏡花「フゥ~~~……しかしこの犬……。ノラみたいね……。
    暴れた傷跡もないし……。譲華さんのように「触れて発動する」能力には思えないわね……」

カニ子「というと?」

鏡花「ある意味わたしの『キャッツ・グローブ』と似たタイプのスタンド、ってことね。
    キャッツはたとえば家に尻尾を差し込めば、家の中の電化製品は大体操ることができる。

    こいつの場合は、射程距離内の人間なら大体『支配下』に置ける、ってことでしょーね。フゥ~」

鏡花「夏休みのお昼前だし、せいぜい射程距離内には数十人くらいしかいないと思うけど。
    戦闘能力の低いわたしやあんたにとっては、この能力は結構厄介かもしれないわよ……フゥ~……」

鏡花「譲華さんの言うことには、「スタンドは本体の深層心理」らしいわ。フゥ~……他人を支配下に置く能力ってことは、
    敵本体は相当プライドが高い……。水浸しにされて、きっと怒り心頭で支配下に置いたやつらを動かしてるはずよ」

カニ子「つまり、敵本体の周囲は手薄、ってことッスね!」

鏡花「そういうこと。10人くらいだったらあんたの『マクシミリアン・シェル』でなんとかさばける」

鏡花「キャッツの能力を使って連中を足止めさせるわ……。その間に、あんたは敵本体を叩く!」

カニ子「了解ッス!」


・・・



カニ子『こちらカニ子……。視界、オールグリーンッス。どーぞ』ジジッ

鏡花「あんたの「ごっこ遊び」に付き合ってる場合じゃあないのよ……フゥ~~」

カニ子『釣れないッスねえ~』

鏡花「いい? わたしが電灯を『点滅』させて警備を手薄にさせるから、その隙をついて攻撃するの。いいわね?」

カニ子『りょーかいっ! 頼りにしてるッスよォ~』ジジッ
    ミッション  スタート
鏡花「作戦……開始!」

カニ子「(しっかりノリノリじゃないッスか……)」


――sideキャッツ&カニ子――


キャッツ『数千人のポケモン視聴者を恐怖のどん底に陥れたこの攻撃を食らうでしッ!』チカチカッ

――このキャッツの認識は間違いではあるが…………

.   「光の点滅」というのは人間の視覚に大きなダメージを与えるのは間違いない――

――強い光の点滅を見た後、人の「明るさ知覚」(明るさを知覚する感覚のこと)は

.   著しく低下するということが研究によって分かっている…………。

.   (鏡花はこのことを「そういう研究がある」と言うよりは経験からそう判断したのだが)――


男「ぬ、ヌウ……?」

カニ子「ナイスッス! 鏡花!」

カニ子 ダダダーッ

オオオオ

明日香 オオオオオ

明日香 ニヤッ

カニ子 

執事「オオオオオオオッ!!」ゴオゥン!

カニ子「ながっ!?」ドバギッ

カニ子 ドッパアア――ッ

カニ子 ドザッ

カニ子「ば……かな……! 鏡花の「光の点滅」作戦はとっさに対応なんて……できないはずッ!」

カニ子「(それにこの『パワー』……。「マクシミリアン・シェル」の上からでも意識がトビそうだったッス……)」

明日香「ふっふっふ、何故だと思う? まだあなたたちが解明できてない明日香のスタンドの『謎』のせいかもねぇ?」

ド ド ド ド ド

カニ子「ま、周りには『手下』以外誰もいないのに……電灯と木々くらいしかないのに……」

カニ子「(ハッ! まさか! こいつの能力の『謎』とは!!)」

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