プロポスレ@Wiki

輝夜4

最終更新:

orz1414

- view
管理者のみ編集可
「輝夜さま、今晩はいきなりどうしたんですか?」
「ん? あぁ、晩酌?」
「そうです。普段はイナバに頼むのに」

そういいながら俺は輝夜様の差し出した杯に酒を注ぐ。
一息にそれを飲み干して、輝夜様はため息をついた。

「いい加減に気付いてくれないかしら……って思ったの」
「は? どういう……?」
「はぁ、鈍感ね。ヒントをあげるわ、考えなさい」

こほん、と咳払いを一つ輝夜様はした。
そして、朗々と歌を詠みあげる。

「"秋の夜の月の光はきよけれど 
        人の心の隈は照らさず"」
「……相変わらず美しいお声ですね」
「褒めてないで考えなさい。全く……鈍感なんだから」

また、ため息を一つ。乱暴に杯を俺に向ける。
俺は杯に酒を注ぎながら、言った。

「意味は……存じております」
「え?」
「だから、その和歌の意味は存じております」
「え……冗談おっしゃい、貴方が何で知ってるのよ!?」
「以前輝夜様が口ずさんでおられたのを聞きまして。意味を自分で調べたのです」

笑顔でそこまで言った。段々と輝夜様が赤くなっていって、終いには俯いてしまった。

「知ってるなら……分かるわよね」
「はい、それはもう十分に」
「じゃあ……返して」
「返すって……返歌ですか?」
「そう。きちんと返してちょうだい」

これはしまった。返歌なんて考えていなかった。
少ない知識をひっくり返して、歌を詠む。

「"いつとても恋しからずはあらねども 
            秋の夕べはあやしかりけり"」
「……………………」
「……どう…ですか…………?」
「…………へったくそ」
「勘弁して下さい……。勉強不足でして」
「じゃあ私のところで勉強なさい」
「それって、いつもと変わらないんじゃないですか?」
「確かにそうね」

小さな小さな俺たちの笑い声が真っ黒な空にとけていった。

9スレ目 >>457

───────────────────────────────────────────────────────────


「姫様? 何してるんですか?」
「ちょっとね。……ふふふ、これで良し。反応が楽しみだわ」
「まぁ~たネットですね? 夜更かしはいけませんよ」
「あら、肌が荒れたくらいじゃ○○は私のことを嫌いにはならないでしょ?」
「そんなことくらいじゃなりませんけど……。迷惑かけちゃいけませんよ」
「そうだけど……幻想郷で一番のカップルは私と○○だもの。それだけは譲れないわ」
「そうですね。…じゃ、もう寝ますんで。姫様はどうします?」
「私はもう少し反応見るわ」
「そうですか。じゃあ、お休み」
「あ、ねえ! 寝る前にキスしてあげる」
「あ゛~、いや、寝る前にそれはちょっと……」
「添い寝?」
「いや、ですから、そんなことをされたら悶々として寝れないじゃないですか」
「本望じゃない?」
「確かにそうですがっ!」
「分かったわよ、じゃあキスだけね」
「――んむ゛っ!? ……ぷはっ。いきなりは止めてくれよ…」
「悶々とする? ねえ、する?」
「ああ、するな」
「じゃあお布団へ行きましょ。めくるめく大人の世界よ」
「反応見なくていいのか?」
「○○の?」
「ちがうっ!」

9スレ目 >>826

───────────────────────────────────────────────────────────

永遠亭宝物殿
隠し部屋の奥には豪奢なベッドで眠る少年
その傍らに、蓬莱山輝夜は佇んでいた

「今晩は、○○……」

輝夜は穏やかに囁き、少年の頬を撫でて唇を重ねた。
満足げな笑みを浮かべると彼に覆い被さり
恍惚とした表情で彼の寝顔を見つめる。

「美しいわ○○
 ……そう、貴方は美しいまま眠り続ける」

それは輝夜の永遠を操る能力
彼女の能力に囚われた彼は、年を取ることも死ぬこともなく
ただ、眠り続ける

「愛おしいわ○○
 ……貴方を誰にも渡しはしない」

彼の存在を知るものは居ない
ただ一人、輝夜を除いては……

「私のエンデュミオン……決して貴方を喪いはしない」

月明かりさえ届かない薄暗い部屋、輝夜は少年の衣服を丁寧に脱がせていく
永い年月、彼はずっとそうやって愛されてきた。
そして、彼女に愛され続ける限り、彼が目を覚ますことはない。
永遠に……

10スレ目>>484

───────────────────────────────────────────────────────────

輝夜、永遠を生きるお前にとって例え須臾の間であっても隣に居させてくれないか?

11スレ目>>364

───────────────────────────────────────────────────────────

○「輝夜、正月といえばなんだ!?」
輝「正月といえばお雑煮に凧揚げでしょう。今更何を…」
○「ちっがーう! 正月といえば姫初めに決まってるじゃないか!」
輝「姫初m……///」

11スレ目>>717

───────────────────────────────────────────────────────────


【Who's Raw!? Who's Sick!?】








俺が幻想郷に迷い込んでそろそろ1年。
所謂“昔ながら”の生活にも大分慣れてきたところだ。
博麗の巫女やワーハクタクの慧音さんには帰る事を勧められたが、結局俺は幻想郷に残った。

今更外の世界には戻れない。
“落雷を操る程度の能力”の持ち主なんかが外の世界に居ても迷惑なだけだと自覚している。
(ちなみに“雷を呼ぶ”訳ではない。雷雨の時にしか仕えない微妙な能力だ)
こっちに来たお陰で能力の制御も上達したというのもあるし、俺を受け入れてくれた幻想郷に恩返しもしたい。

それに。


「○○、遅いわよ。まったく、相変わらず時間にルーズね」
「この竹林って何回来ても迷うんですよ。そこまで言うなら目印でも立てて下さいよ、姫」
「自分で立てなさい」
「酷いな」


永遠亭のお姫様と仲良くなれた。
彼女に出会って“帰りたい”と思わなくなったし、彼女も帰らせてはくれないだろう。

まぁそれでも――いずれ別れは来る。
彼女は不老不死ではあるが、俺の死は流石に避けられないから。
……その辺の話をしたら本気で泣かれてしまった事があった。
慰めるのに七時間を要したのも、今となっては良い思い出……だ。恐らく。


「さて、○○。貴方を今日呼んだのは他でも無いわ。もうすぐバレンタインデーね」
「あー、そうですね。俺が来たのは弥生の月でしたから、こっちでその行事が来るのは初めてですよ」
「流石“元”外界人ね。話が早いわ。あのね、バレンタインデーには……」
「俺にチョコをくれるから楽しみにしておけ、と?」
「惜しいわ。貴方が作るチョコを永遠亭一同楽しみにしてるわ。頑張ってね」
「惜しいどころの話じゃないですねぇ!!」


流石は輝夜姫。ワガママ具合も超一流だ。
かつて『五つの難題』を出された貴族達に同情する。菓子を用意するだけで済む俺は恵まれてるのだろうか。
とはいえ、目の前に座って楽しそうに笑う彼女を見ると、それくらいならいいかとも思ってしまう。
俺みたいな特に目立たない風貌の男と仲良くしてくれる礼というのも兼ねておこう。


バレンタインデーの本分を忘れてる気がするが、気にしない。


「私のは勿論、瑛琳やイナバ達の分も用意するようにね。ああ、私への本命チョコは手作りを希望するわ」
「…イナバ、って鈴仙やてゐ……だけ、じゃ、ないですよね?」
「ええ、この永遠亭に住む“全てのイナバ”に、よ」
「はいぃっ!?」


前言撤回。俺は今、『六つ目の難題』に直面している。
アレか?姫がこないだ語ってた『新難題』ってこれのことか?


「そんなわけで帰って作業に取り掛かりなさい。これは命令よ」
「……どんだけ重労働を俺に強いるんですか、アンタは」
「あら……不満そうね。だったら……」


当然のように俺は文句を言うのだが、姫がこちらへと座ったままジリジリと近寄る。
膝を突き合わせるような距離まで近付いたところで、彼女は俺の手を握り。


「……お返しは奮発するわよ?永遠亭を上げて、ね?」
「 頑 張 り ま す 」


気がつくと即答していた。
「そう、嬉しいわ」と微笑む輝夜の表情は、絶世の美女という言葉が相応しいと思った。
実際に俺の顔は真っ赤だったし、心臓も破裂するんじゃないかという勢いで鼓動を繰り返していた。
100mを全力疾走したような勢いだ。


お返し云々はともかくとして、だ。(0.3倍返しウサ、とかあり得なくも無い)
何はともあれ、俺が彼女達の為にチョコをプレゼントするのは決まってしまった。


……かつて彼女の難題に挑んだ貴族の気持ちが良くわかる。



こんな可愛いお姫様に頼まれたら、断れない。




「それじゃあ楽しみにしてて下さいよ。俺もお返しを楽しみにしますから」
「ええ、頑張ってね?」



頑張りますとも、お姫様。



……頑張れ、俺。







「……姫、無茶を言うのも程ほどにしなさいな」
「いいのよ、永琳。これが私と○○の付き合い方なんだから」
「随分と○○が気に入っているのね」
「そりゃあ、ね。助けられちゃったし」


彼女は思い出す。


彼が永遠亭に運び込まれたのは、夏頃のことだった。

雷混じりの夕立が降り出した頃――○○は落雷を至近距離で受けて永琳の元へ運び込まれた。

そこで交えた会話が、輝夜と○○の出会いだった。


『自分の能力なのに制御を失敗したの?未熟者ね』
『誰が未熟者ですか?……ああ、俺ですね』
『すぐ自覚できない辺り重症ね。病気なんじゃないの?頭が残念になる病気』
『誰が病気ですって?……頭が残念なのは、昔からですよ』


今でも思い出せるほどだ。
運び込まれたのが“外界人”だと聞いて、興味本意で話し掛けたのがキッカケだった。
○○のような「普通の青年」と接点が少なかった輝夜には、久しぶりの新鮮な刺激だった。

その後も何度か交流があり、今ではすっかりいい仲である。


「そこでね、永琳。……○○へのお返しにお菓子を作ってあげようと思うんだけど」
「はいはい、教えればいいんでしょ?」
「流石ね、永琳。それじゃあ早速始めるわよ」
「……本当に、手の掛るお姫様ね」

勝手知ったる仲、という具合で二人は台所へと消えて行った。



――輝夜と○○の二人が、慣れないお菓子作りに苦しむ姿を射命丸文に撮られてたとか。
――「永遠亭の姫、熱愛発覚!?お相手は○○かっ?!」という記事を作られたりとか。
――○○に輝夜ファンである村の男達からカミソリレターを送り付けられたりするのだが。


それは別の話。

12スレ目>>807 うpろだ885

───────────────────────────────────────────────────────────

どうして私がネトゲに熱上げてる時に後ろで(・∀・)ニヤニヤと笑ってやがりますか(゚Д゚)ゴルァ!
どうして私が悪いのにケンカになると先に謝りますか(゚Д゚)ゴルァ!
どうしてお小遣かっぱらったのに文句一つ言いませんか(゚Д゚)ゴルァ!
どうして部屋の掃除を嘘ついてあんたに押し付けたのに怒りませんか(゚Д゚)ゴルァ!
どうして子供が出来ないのは私のせいなのに謝りますか(゚Д゚)ゴルァ!
どうして自分が体調悪い時は大丈夫だと私を突き放して私が倒れるとつきっきりで看病してくれますか(゚Д゚)ゴルァ!
どうして妻の私に心配掛けたくなかったからって病気の事を隠しますか(゚Д゚)ゴルァ!
おまけにもって半年とはどう言う事ですか(゚Д゚)ゴルァ!
妻の私には何も言わないで医者の永琳に相談するなんてどういうことですか(゚Д゚)ゴルァ!
申し訳なさそうな顔で俺の事は忘れていい男見つけろとはどう言う事ですか(゚Д゚)ゴルァ!
こっちの気持ちは無視ですか(゚Д゚)ゴルァ!
正直、あんた以上のお人よしで優しい男なんかググっても絶対見つかりませんよ(゚Д゚)ゴルァ!
私みたいなニート嫁にすんのはあんた位ですよ(゚Д゚)ゴルァ!

言い忘れてましたが私、赤ちゃん出来たんですよ(゚Д゚)ゴルァ!
親子でモンハンするって約束が叶いそうなのに何で生きられないのですか(゚Д゚)ゴルァ!
そんな状態じゃ言い出せ無いじゃないですか(゚Д゚)ゴルァ!
それでも言わない訳にはいかないから思い切って言ったら大泣きしながら私を抱きしめますか(゚Д゚)ゴルァ!
泣きたいのはこっちですよ(゚Д゚)ゴルァ!
生まれる頃にはあんたはこの世にいないんですよ(゚Д゚)ゴルァ!
元気な子だといいなぁってあんた自分の事は蔑ろですか(゚Д゚)ゴルァ!
見舞いに来た黒白とか紅白に何自慢してやがりますか(゚Д゚)ゴルァ!
病気で苦しいはずなのに何で姓名判断のサイト覗いてやがりますか(゚Д゚)ゴルァ!
どうして側に居てあげたいのに一人の身体じゃ無いんだからと私を部屋に帰そうとしますか(゚Д゚)ゴルァ!
どうしていつも自分の事は二の次何ですか(゚Д゚)ゴルァ!
永琳にいよいよダメだと言われ泣いてる私に大丈夫だよとバレバレの慰めを言いますか(゚Д゚)ゴルァ!
こっちはあんたと幻想郷なくなっても生きて行きたいんですよ(゚Д゚)ゴルァ!
それがもうすぐ終わってしまうんですよ(゚Д゚)ゴルァ!
私からあんたを取ったらネトゲしかなくなるんですよ(゚Д゚)ゴルァ!
忘れろと言われても忘れられる訳ないでしょ(゚Д゚)ゴルァ!

死ぬ一週間前に俺みたいな奴と一緒になってくれてありがとなですか、そうですか(゚Д゚)ゴルァ!
こっちがお礼を言わないといけないのに何も言えず泣いちまったじゃないですか(゚Д゚)ゴルァ!
あんなに苦しそうだったのに最後は私の手を握りしめて逝きやがりましたね(゚Д゚)ゴルァ!
何で死に顔まで(・∀・)ニヤニヤしてやがりますか(゚Д゚)ゴルァ!

(゚Д゚)ゴルァ!

(゚Д゚)ゴルァ!

そんなのは良いから起きて下さい(゚Д゚)ゴルァ!
生まれてくる子どもを抱いて下さい(゚Д゚)ゴルァ!
子どもに微笑みかけて下さい(゚Д゚)ゴルァ!
ちゃんと働くから永琳○○を助けてやって下さい(゚Д゚)ゴルァ!
家事一つ出来ない私に子供を育てろと言いやがりますか(゚Д゚)ゴルァ!
私はアンタがいないとだめなんですよ(゚Д゚)ゴルァ!
そんなあんたが死んで5ヶ月...
子どもが生まれましたよ(゚Д゚)ゴルァ!
私に似て元気な女の子ですよ(゚Д゚)ゴルァ!
目元はあんたにそっくりですよ(゚Д゚)ゴルァ!
どこかでやっぱり(・∀・)ニヤニヤしてますか(゚Д゚)ゴルァ!
私はこの子と何とか生きてますよ(゚Д゚)ゴルァ!
あんたも遠くから見守って居てください。

-----------------------------チラシ裏--------------------------------------
2chの有名なコピペ改変。
改変っていえるほど変わってはいないけど。
>>364を見ていたらどうしても。つまんなくてごめんなさい。
イチャってなくてごめんなさい。
改変前はこれです⇒ttp://ameblo.jp/waros/entry-10005755860.html
---------------------------------------------------------------------------

13スレ目>>370 うpろだ980

───────────────────────────────────────────────────────────

月の姫が彼を拾った理由。それは気まぐれ以外の何者でもなかった。
強いて言うなら、永遠亭が男手不足だったから、という理由になるのだろうか。

「今日から私に仕えなさい。力仕事を貴方に任せるわ」

彼は月の姫の言葉に従った。
幻想郷という右も左もわからない見知らぬ土地で、縋るものは彼女しか居なかった。

「素直なのは美徳よ。私の名は蓬莱山輝夜。貴方の名は?」
「その……私には名がありません。あったかもしれませんが、もう忘れてしまいました」
「そうね、ならば今日から貴方は○○と名乗りなさい。良い名だと思わない?」
「はい…光栄です、輝夜様」
「姫でいいわ。私の力になりなさいね、○○」

こうして、幻想郷で一つの新たな主従関係が結ばれた。
彼は彼女に対して深い敬意と絶対の忠誠を露わにし、その内心にある想いを隠した。
主従である以上、主に恋心を抱くなど不忠にも程がある。
そう考えた彼は想いを心の奥底に沈みこませ、蓬莱山輝夜の配下として、新しい人生をスタートさせた。



が、一日、一週間、一ヶ月、一年と過ぎていくうちに。



「姫ー、朝ですよー。鈴仙が朝飯作って準備してくれてますよー」
「ん……ぅ……あと少し待って、○○……」

時間は容赦なく“慣れ”を産み、固い誓いも石が川を流れた後のように丸くなっていく。
二人は主従でありながら、世話焼き気質な兄と手間の掛かる妹のような関係になっていた。
勿論、彼は一年前と変わらぬ思いを抱いているし、輝夜もまた彼を従者として信頼していた。

とはいえ、ここは幻想郷である。従者が主にツッコミを入れるなど日常茶飯事。
程よいヌルさが二人の関係を少しずつ軟化させていたのもまた事実であった。


「ほら、布団被ってないで起きなさい。いい天気ですよ……っ?!」
「う……ん?」


無理矢理○○が布団を引っぺがすと、寝巻きをはだけさせた輝夜の肢体が露わにされた。
○○はそのまま凍り付いたように動かない。主であり、想い人である人物の半裸を直視してしまったのだから、仕方ないとも言える。
一方の輝夜はというと、○○を意に介する事もなく枕もとの着替えに手を伸ばす。


「○○、おはよう。…どうしたの?そんなところで石化して」
「……誰のせいだと思ってるんですか、姫」
「勿論、乙女の布団を引っぺがした○○の責任よ」
「でしょうね!」

朝から全責任を擦り付けられながらも(実際、布団を捲ったのは他でもない○○だったのだが)、輝夜を起こすという仕事を終えた彼は部屋の外に出た。
着替えが終わると、二人で下へと降りていく。居間には食卓を囲んで輝夜の到着を待っている永遠亭の面々。
上座にあたる位置に腰を下ろすのを見届けると○○は一礼して、

「それじゃ、行って来ますんで。姫、あんまり永琳さんに迷惑掛けないようにお願いしますよ」
「あまり遅くならないようにね。それに、そんな心配されるほど子供じゃないわ」
「永琳さん、姫をお願いします。鈴仙とてゐも、頼んだぞ」
「わかってるわよ」「はい、○○さんも気をつけて」「んー、いってらっしゃーい。モグモグ…」

彼の仕事は永遠亭における雑務全般だ。主に力仕事を一手に引き受けている為、永遠亭で一番忙しい人物だとも言える。
今日は先日襲撃してきた藤原妹紅と主・蓬莱山輝夜の激闘の爪痕を修復しなければならない。

主な被害は屋根の一角の瓦が全部吹き飛んでいる点に尽きる。
これを修繕する為、人間の里まで瓦を調達に行く。○○が朝食も取らずに出かけたのはこの為だ。

「さーて、瓦は何枚要るんだろうな。…ま、3往復もすればなんとかなるか」
「相変わらず働き者ですねー」
「ん?その声は…文サンか。おはよう」
「どーも、おはようございます」

丁度竹林を出たところで上空からの声に前を向いたまま返事をした。
上を向かないのは「男としての礼儀(by○○」らしい。まぁ、文の服装に理由があるわけだが。
文は降りてくると同時にペンをメモ帖に走らせつつ、満面の営業スマイルで○○に問い掛けた。

「で、昨日の名勝負数え歌の結果はどうだったんですか?」
「俺乱入でノーコンテストだ。というより、取っ組み合いになったところで後ろからゲンコツをこう…」

ぶん、と振り下ろすような仕草を交えて答える。文の取材に対し当然のように答えるのは、最近では○○と山の上の神様くらいである。

「お陰で被害を最小限に抑えられたんだけど、結局瓦が酷い事になって……やれやれ」
「……なんていうか、貴方も変わりましたね。昔はもっとこう、ガチガチの頑固者、って感じだったのに。輝夜さんに手を上げるなんて、
一年前の貴方からは想像も出来ませんよ?」
「幻想郷(ここ)じゃ肩肘張るだけ無駄って気付いただけさ。あの新しい神社の巫女さんにもそう伝えておいて欲しかったんだけどね。
あと、俺が姫を殴るのは永琳さんが怒る前に止める為だ。永琳さんを怒らせると姫がゲンコツより酷い目に合うからな」
「あはは、そうかもしれませんね。そうそう、件の新しい巫女さんなら霊夢さんに倒されて少しは落ち着いたみたいですよ?」
「そりゃ何よりだ。それじゃ、俺は里まで出かけるんで長い取材はまた今度にしてくれるかい?」
「ええ。あ、最後に一つだけ」
「ん?」
「輝夜さんとの仲は進展しました?」
「っ!……はっはっは、何の事だかな?」
「いえ、別に~?それじゃ失礼しまーす!」

ニヤニヤ笑いを浮かべながら高速で飛び去る文を○○は忸怩たる思いで見送るしかなく。
溜め息を一つ付くと、里に向かってトボトボと歩き出した。







大工の棟梁、石材店の主と相談する事、数十分。
なんとか瓦を確保する事はできた。しかも大きな荷台まで用意して貰い、○○としては嬉しい誤算だった。

「いやー、日頃の行いが良かったのかな。これで往復しないで済みそうだ」

しかしそんな浮かれ気分も永遠亭到着と同時に打ち砕かれることになる。



「…あ、○○おかえりー」「おかえりなさい……」

永遠亭の外で○○を出迎えたのは呆れ顔のてゐと憔悴しきった鈴仙の二人。
輝夜と永琳の姿は見えないが、屋敷の置くから爆発音やら何やらが響いているのが聞こえ、○○は暫し茫然となった。


「……魔理沙がね。実験に使うから私が死ぬまで薬を借りてくぜー、って」
「今、姫と師匠が止めようとしてるんですけど……」
「……もうやだ」

○○が弱弱しくその場に座り込むのと同時に白黒の影が玄関から超高速で駆け抜けて行った。
それを追うように輝夜と永琳が飛び出してきて、一旦着地する。
立ち止まった二人を見て空中に静止した魔理沙は息を切らせながらも、罪悪感を全く感じていない声で言い放つ。

「ケチケチしなくてもいいだろ?死んだら返すぜ」
「うちを紅色の屋敷の図書館と一緒にしないで頂戴。いいから止まりなさい!」
「永琳、こうなったら実力行使よ!」

輝夜の合図で二人が再び魔理沙を捕まえるべく飛び立とうとしたその刹那……

「おっと、そうはいかないぜ。恋符―――!」


魔理沙が何の迷いもなくミニ八卦炉を、玄関前に並んでいた面々に構えた。
彼女からすれば、紅魔館の門を強行突破する時と何一つ変わらない気分だったのだろう。
しかし魔理沙の行動に慣れていない永遠亭の面々は完全に不意を突かれた格好になり――

「―――『マスタースパーク』!!」
「姫!!みんな!!伏せろー!!」


事実上、永遠亭の門番も兼任している○○が真っ先に飛び出して、懐から符を取り出して――


「石符――『マーブル・タイタン』!!」


輝夜や永琳、てゐ、鈴仙を庇うように両手を広げて、マスタースパークの直撃をその身で受けた。


「…………」


「なっ……アイツ……」

魔理沙はミニ八卦炉を構えたまま、驚愕の表情で立ち尽くしていた。
マスタースパークの直撃を受けた相手が微動だにせず、その場に両手を広げて立ち尽くしている。
それだけでも十分、驚くべき事だ。
相手がスペルカードを使ったも、予想外といえば予想外だ。
とはいえ、永夜異変の時には居なかった相手なので単なるリサーチ不足とも言える。

魔理沙が驚いた最大の理由、それは。


「…………」


人間だと思っていた○○が、物言わぬ大理石の像と化していたことだった。


「人間じゃなくて妖怪――だったのか?」



「そうよ。彼は外の世界で幻想と化したガーゴイル」

魔理沙の背後から、永琳の冷静な声が。

「能力は確か、“硬と軟を操る程度の能力”ね。自分の体限定らしいけど」

右手側からは、てゐの妙に楽しそうな声が。

「一年前、姫に仕えてから…ずっと私達の手伝いをしてくれてる人よ」

左手側からは、目を赤く染めた鈴仙の声が。

「――そして、私の大事な人。石の妖怪であるが故に、共に永遠を生きてくれるかも知れない人」

そして、眼前から静かな怒りに満ちた輝夜の声が響く。


「まて、話せばわかる」

「「「「 問 答 無 用 」」」」


顔面蒼白の魔理沙に四者四様のスペルカードが放たれ、本日最大の爆発が起きた。
その爆音の壮絶さは、遠くはなれた博麗神社の巫女がうたた寝から目を覚まし、すぐ二度寝するほどのものだったという。







「痛いぜ痛いぜ痛くて死ぬぜ……」
「それだけ軽口叩ければ十分よ。今度から、紅魔館気分で永遠亭を襲撃しない事ね」
「そうした方が利口だな……うう、こんな目にあったのは何時以来だ……」


四者の猛攻を受けた魔理沙は、そのまま永遠亭にUターンして永琳の治療を受ける事となった。
鈴仙とてゐは荒れた部屋の片付けに奔走していた。


そして、



「アレが噂のマスタースパークですか……マジで死ぬかと思いました」
「もう無茶しちゃ駄目よ。貴方は魔力さえあれば永遠に生き続ける。でも、体が砕けてしまったら修復できないのだから」
「だから“切り札”まで切ったじゃないですか」
「弾幕を飛ばさないスペルカードのどこが切り札よ。それに大理石ってモース硬度3の柔らかい物質じゃない」
「……クリスタライザー加工済みってことで一つ」

玄関でまだ下半身が石像化していた○○の前に輝夜は立っていた。
彼の能力は一つの硬度に安定させる事を目的としている。
故に、一度石化すると少なくとも半日は完全に戻ることは出来ない。
戻るにしても頭から順にゆっくりと人間の体と同程度の硬度に戻さないといけない、という制約があった。

無理に硬化と軟化を繰り返せば、体が耐え切れずにコナゴナに砕けてしまうだろう。

「でも、助けてくれてありがとう。私だけでなく、永琳やイナバ達も庇ってくれたのが嬉しいわ」
「お褒めに預かり光栄ですよ、姫」
「これは褒美よ、取っておきなさい」
「え……?あ、ちょっと待っ……!」

動けない○○の体に身を寄せ、彼に短い口付けを交わす。


「……どう取っておけばいいんですか」
「そのまま再び石化すればいいんじゃないかしら?」
「……勘弁してくださいよ……」

先程まで白い大理石の像だった○○の顔は真っ赤に染まり、輝夜は静かな笑みを浮かべる。
赤い頬に手を添えて、輝夜は静かに尋ねる。



「貴方は私と永遠を共にしてくれるかしら?」
「石像風情でよろしければ、いつまでも」




-END-


-ここからチルノの裏-

ガーゴイルって普通永遠に生きるわけじゃないと思うんだけど、気にしないでください。

-ここまでチルノの裏-

13スレ目>>459 うpろだ995

───────────────────────────────────────────────────────────

     輝夜にプロポーズされたい。難題を出したい。

    僕の子供を産んでください。
    僕が死んでも、僕のことを忘れないでください。
    でも、僕のことで何時までも泣き続けないでください。みたいな。

    ‥‥五つも思い浮かばないorz

365 :名前が無い程度の能力:2008/03/05(水) 23:10:17 ID:2KOq28HU0
    >>364見て何か幻視した


    「○○!私と結婚しなさい!」
    「だが断る」

    「えぇえええっ!?なんでよ!かぐや姫よ私!?伝説のかぐや姫が求婚してるのよ!?
     数多の男性から求婚された伝説の美少女かぐや姫が求婚してるのよ!?」
    「いや……そうは言われても…色々と難題がだな」

    「何!?難題って何よ!二人でイクところまでイッちゃった仲じゃないの!えーりんだって○○ならおkって言ってたのよ!」
    「おkって……まぁ、兎に角色々と難題が」

    「だからその難題って何よ!忌々しいわね、私と○○の愛の旅路を邪魔するヤツ…………ッ!
     そうか妹紅ね妹紅だわええそうよ妹紅に決ってるわあの小娘考えたわね事もあろうに人のダンナに手を出すなんて」
    「いや…ちょっと落ち着け輝夜」

    「止めないで頂戴○○これは流石の私も鶏冠に来たわフフフあの芋娘久々に私の逆鱗に触れたわねジャンクにしてあげるわ!」
    「あーほら落ち着け(ぎゅっ」
    「ふぇええっ!?」

    「妹紅は関係ないぜ。その問題っていうのはだな」
    「……………(ぱくぱく」

    「ん?どうした輝y」
    「…………きゅ~(ぱたん」

    「……気絶しやがったよコイツ」
    「流石は○○ね。抱きしめるだけでイかせちゃうなんて」

    「わざわざカタカナ表記にしなくてもいいです永琳さん。で、なんで冷蔵庫から出てくるんですか」
    「気にしちゃダメよ。ところで、難題って何かしら」

    「…難題というかお願いというか」
    「例えば?」

    「俺の子供を産んでくれ。
     俺が死んでも、俺のことを忘れないでくれ。
     でも、俺のことで泣いたりしないでくれ。
     あと…」
    「言うわねぇ」
    「茶化さないで下さい…」

    「むぅ、あと何なのよ」
    「あら、おはようございます姫」
    「ちょっと幸せすぎて死にかけたわ。で、あとのお願いはなんなの?」

    「それは…まだ思いつかん」
    「何それ」

    「輝夜のように難題を5つ出そうとしたんだが……ぶっちゃけ思い浮かばない」
    「…そんな事で私の求婚断ったっての…?いい度胸してるわね」

    「そりゃ輝夜の恋人やってるからな」
    「上手いわね」
    「ちょっとそれどういう意味よ」

    「○○、結婚してから考えたらどうかしら?」
    「……それもそうですね。よし、じゃあ結婚するか輝夜」
    「―――」

    「ん、どうした?」
    「あー……フリーズしちゃってるわね。というか昇天してるわね」

    「えー」
    「ああもうこういう所が可愛らしいわ……兎に角リザレクションするまで待ちましょうか」

13スレ目364、365

───────────────────────────────────────────────────────────



初夏の空気。
最近めっきり蒸し暑くなってきた陽気に押されて、夕涼み。
周りを竹林に囲まれた永遠亭は、常に涼しく、心地よい風が吹いている。
宵の口。
今日は薪拾いやら薪割りやら、重労働だった俺は珍しく一番風呂を頂いていた。
風呂をあがってみれば、太陽はすでに顔を隠し、残照だけが空を紫色に染めている。
縁側に腰掛ければ、御影石のたたきが裸足に心地良い。

クイッ

冷酒を呷る。
今日はちょっと趣向を凝らして、竹の水筒に竹のぐい飲み。
さっき山に入った時に、青竹をちょいと拝借して作ったもの。
取れたての竹の青臭い匂いも、こんな暑い日にはむしろ清々しく思える。

「いい香りだ」

酒も、竹も。
そう呟いたとき、

「それって、私のこと?」

後ろから声がかかった。
恋人の輝夜の声。
振り向いた先には――いつもと違った彼女が、いた。

「その動きってことは、私に気づいてなかったのね……」

拗ねたような声も、半端にしか耳に届かない。
そこにいたのは、

黒髪をアップにして、ポニーテールにまとめた輝夜だった。

「ねえ、何か言いなさいよ」

振り向いたきり、反応を示さない俺の頬を、つんつんとつつく輝夜。
いつもにまして身軽な浴衣でこそ、できる行動と言えなくもない。

「綺麗だ……」
「え?」
「あ、いや、その、思わず本音が出たというか、いつもと髪型が違って新鮮だったというか、
 風呂上りの火照った顔が色っぽくて凄く可愛いうなじがえーとそのー……」

いかん。動揺しきっていて自分でも何を言っているかわからない。
しかし、輝夜は機嫌が直ったのか、

「ふふっ。ありがとう。嬉しいわ。
 ……ここ、座るわね」
「あ、ああ……」

ふわりと、左隣に腰を下ろした。
そして、俺の肩にそっともたれかかる。

「私、綺麗だった?」
「あ、ああ。ポニーテールって新鮮だったから」
「うふふっ。
 たまたま、湯浴みのあとに髪を解くのを忘れてきてしまったのだけれど、
 あなたがいいのなら、何よりだわ」

照れて庭の灯篭のほうをなんともなしに見ている俺に、
そんな俺を見ていたずらっぽく微笑む輝夜。

「でも――」
「ん?」
「振り向く前に、私が来ていることに気がついて欲しかったわ。
 “かぐや”の意味は、“輝く”を表すと同時に、“かぐわしい”をも表すもの」

輝夜は、先ほどより体を近づけると、そのまま胸に体を預けてくる。
頬が触れて、柔らかい感触が走った。

「たまさかには、髪を纏めてみるのもいいわね。
 いつもは髪が邪魔で触れ合えない頬が、こんなに近く、直接触れられるのだもの。
 ――どう? 馨しいでしょう?」
「ああ。なんだか爽やかな匂いがする。
 若竹のような、柑橘系のような、そんな感じ――」
「一言で言うと?」
「うーん……。おいし、そう?」
「もう……。でも、あなたらしいわ。そうね、
 味わって、みる?」
「へ?」
「葡萄酒のソムリエだって、そうでしょう?
 目で色を見て、吸気で香りを感じて。
 そして、味をみる――」

輝夜は、俺の膝に左手を置いてバランスを取ると、俺の顎に右手を添えて、
静かに、唇を重ねた。
唇を割って、舌が入り込み、絡まりあう。
上に、下に、右に、左に。
舌同士で追いかけっこを、相撲を、逢瀬を愉しむ。
唾液が交叉して、輝夜は、
こくん、と。
おとがいを鳴らして、それを飲み込んだ。
どちらからともなく唇を離すと、そこには一筋の橋。

「どうだった?」

懐紙を袂から取り出して俺の唇を拭いつつ、そんなことを尋ねる輝夜。

「甘かった」

正直に答える。というよりも、それしか答えようがない。
語彙のないことが悔やまれる。

「そうね、私も甘かったわ。
 和三盆よりも甘くて、カステラよりも舌で蕩ける感じ。
 私としたことが、もうすでにあなたに蕩かされているのね」

言葉と裏腹に、嬉しそうな輝夜の声。
そんな時、一陣の風が舞い降りる。
小さく、体を震わせる輝夜。

「初夏とは言え、夜風はまだ寒いわね。私はそろそろ行くわ。
 ……たまには、一緒に寝る?」
「やめておく。このまま一緒に寝たら、輝夜に溺れそうだ」
「私は別に構わないんだけど……。
 そうね。じゃ、今日のところは諦めるわ。
 あなたには、あなたに溺れている私が掴まる、大きな太い棒でいて欲しいもの。
 お休みなさい、○○」

チュッ

頬に可愛いキス、丸い息の感触。
そして、そのまま立ち上がると、彼女は奥へと音も立てずに入っていった。

「ふぅ」

俺は思い出したように、青竹の香の利きすぎた酒を含む。
物足りなさが残る。

「実際のところ、俺もすでに輝夜に溺れているんだろうな……」

ざわざわ――、ざわざわ――。
そんな呟きを聞いた竹たちが、隠れてそっと囁きあっていた。

>>うpろだ1147


───────────────────────────────────────────────────────────


「あれ……? もしかしなくても私寝てた?」
「おはようございます」
 卓に突っ伏していた顔を上げ、両目をこすりながら輝夜が○○に聞いた。
「ええ。この世のものとは思えないくらい美しい寝顔でしたよ」
「……褒めても何も出ないわよ。でもその好意は受け取っておくわ。ありがとう」
 輝夜は満更でもないように笑う。
「『橘のにほふあたりのうたたねは夢も昔の袖の香ぞする』」
 伸びをし、輝夜は一首詠んだ。
「この歌の意味、○○には分かる?」
「いえ、全然。覚えている歌は何首かありますけど、その歌は知らないです」
 意味はこうよ、と言いながら輝夜は○○の隣に移動する。
「橘の香りがする場所でうたた寝してしまったせいで、橘の香を服に焚き染めていた昔愛したあの人の夢を見てしまった……」
 何かを問うような瞳で輝夜は○○の顔を見上げる。
「でも、ここに橘はない。ただ単に詠んだだけなの。愛しいあの人の夢を見てしまったのは事実だけどね」
 お互いの視線が交わり、暫く見詰め合うががどちらも口を開かない。ただ○○だけが何か言おうとして迷っている。
「夢に出てきた愛しいあの人が誰か知りたい?」
 ○○は答えない。
 輝夜はそれを肯定と受け取った。

「あなたのことよ」

「――えっ?」
 呆けた顔をして○○は目しばたたかせる。
「――うたた寝をしてしまう前に見ていたあなたのこと」
 輝夜は一呼吸の間を置き、続きの言葉を紡ぎだした。
「前から言っているでしょ? 私はあなたに恋しているの」
 うっとりとした表情で輝夜は○○を見つめ、ごく自然に口付けをする。
「さて、ここで問題があるわ。あなたの香りは橘じゃないの。いったいどんな香りかしら」
 これは私に与えられた難題ね、と輝夜は自嘲するかのように笑う。
「あなたの香りはあなただけのもので、他に同じ香りはない。――そんな答えもいいけど、それじゃあ面白みに欠けるわ。あなたの香りを詩に詠んでみたいの」
「あ、それじゃあ……俺も輝夜さんの香りを知りたい――歌に詠んでみたいです」
 ○○は真剣な面持ちで輝夜を見つめる。
「あら、○○に出来るのかしら。外の世界では私がいた頃の歌は廃れてしまったと聞いているわよ」
「う、確かに……」
 かつて学校の授業で作った歌を思い出し、○○は内心で悶絶して激しい後悔に襲われた。
「無理はしない方がいいんじゃない?」
 表情の変化から○○の心境を察する輝夜。
「そうですね……」
 ○○はがっくりとうなだれ、嘆息した。
「さてと。私は○○の香りがどんなものか知りたいわけだけど……」
「どうするつもりです? 永琳さんに分析してもらうとか?」
「何を言っているのよ。私が知りたいのはそういうことじゃないの。香りの成分なんて歌に詠んでも風情がないじゃない」
 それもそうですね、と○○は苦笑する。
「『時鳥鳴くや五月の菖蒲草あやめも知らぬ恋もするかな』」
「どういう意味です?」
「分別のつかない恋をしてしまう、という意味よ。分かる?」
 輝夜は○○の首に両手を回した。
「恋に落ちて分別のつかなくなった男女の物語くらい、あなたも読んだことがあるでしょ?」
 二人の顔の距離が吐息がかかるほどに近くなる。
「……はい」
 口付けをされた時とは違う香りに○○は戸惑いつつも輝夜の顔を見つめる。○○の視線は輝夜の整った眉の上をすべるように落ちていき、すっと通った鼻、先ほど触れたふくよかな唇、小さく綺麗におさめられたおとがいへと移動していく。
「今の私は分別を失っているわよ……?」
 輝夜の夜天色の髪がさらりさらりと流れ、そこから漂う芳香が○○の心を誘惑する。
「か、輝夜さん……?」
 先ほどの口付けと同じようにごく自然に○○を押し倒し、輝夜はその上に馬乗りになる。
「あなただけの香りを知りたいの。――永琳が言っていたわ。私が攻めで○○が受けだって」
「いったい何を根拠に……」
「月の頭脳と謳われた永琳よ。私達に気づかれずに調べることくらいわけないわ。それに満更でもないみたいじゃない」
 妖艶な笑みを浮かべ、○○の顎を撫でる輝夜。
「そ、それは……」
「素直じゃないのね。それとも、私が勘違いしただけで、私に魅力がないのかしら。○○は永琳のような扇情的な体つきの方が好みなの?」
 ○○は必死に首を横に振って否定する。
「で、でも、流石に昼間からこんなところでは……!」
「今の私は分別を失っていると言ったじゃない。歌にも詠んだわよ」
 色を宿した瞳で○○を見つめる輝夜。
「だ、だからって――!」
「じゃあ夜だったらいいのかしら」
「そ、それは……」
 ○○の顔がどんどんと赤くなっていく。
「いつだったらどんなことをしていいのかしら。はっきりと言って」
 輝夜は意地の悪い笑みを浮かべながら○○の耳元で囁いた。
「あー、その……アレですよアレ。男女が懇ろになるのは夜と千年以上前から相場になっているじゃないですか」
 出来る限り婉曲的な表現を使おうとする○○とそれを見て満足げに笑う輝夜。
「背の君がそうお望みならば、私は従います」
 表情をいつものおっとりとしたようなものに戻し、輝夜は○○の体から自身の身を離した。
「……からかわれる方の身にもなってくださいよ」
 ○○は半ば疲れきったような表情で身を起こし、乱れた衣服を整える。
「ごめんなさい。あなたを見ていると放っておけないのよ。それにね、からかいは愛情表現のひとつよ。からかえるかどうかで相手との距離をはかることが出来るわ。難題をふっかけるのとはわけが違うの」
「まあ、殺し合いをされるよりはマシですけど……」
「確か、○○が私を初めて見たのは私の上半身が吹き飛ぶ瞬間だったわよね」
「ええ」
 ○○は言葉と同時に息を吐き出し、嫌なものでも思い出したように額を押さえる。
「私が最期に見たのはあなたを見つけて驚く妹紅の顔だったけど、あれは滅多に見られるものじゃないわ」
 対する輝夜は珍しいものを見た時のことを思い出すように微笑んでいる。
「あんなところで殺し合いなんかしてたら、誰だって驚きますよ」
「普段は誰も来ないもの。けど、卒倒した○○を妹紅がここまで運んでくれたおかげで私達は出逢うことが出来た。言わば、あの殺し合いがきっかけね」
「まあそうですけど……」
 身もふたも無い発言する輝夜だが、○○もその内容に同意する。
「長い時の中で、無限にやってくる過去の中で、あなたに出逢えたあの一瞬に本当に感謝しているわ」
 今までとは違い、悪戯心のない曇りなき瞳で輝夜は○○を見た。

「過去は無限にやってくるから、その一瞬を大切にする」

「そうよ」
 輝夜は○○を抱き寄せ、宝石を知らない子供が宝物にした硝子細工を扱うように、優しく愛おしそうに頭を撫でる。
「よく覚えていてくれたわね」
「……大切な人の生き方くらい覚えますよ」
 ○○は顔を赤くしているが、抵抗する素振りもみせず全てを輝夜にゆだねている。
「――ありがとう」
 輝夜はきゅっと○○を抱きしめた。

「ありがとう」

>>うpろだ1162


───────────────────────────────────────────────────────────

ある満月の夜

輝夜「…………」
永琳「どうかしましたか?」
輝夜「昔のことを思い出していたの」
永琳「昔……というと月にいたころですか?」
輝夜「1300年くらい前よ」
永琳「外の世界にいたころですね。今でいう飛鳥・奈良時代あたりですか」

しばらく沈黙が続く

輝夜「知ってる?」
永琳「?」
輝夜「私ね、後悔していることがあるの」
永琳「……心当たりが多すぎて特定できませんが」
輝夜「ある人間に私が幻想郷入りすることを伝えたかった……でもできなかった……」
永琳「姫に想い人ですか。是非その話、聞きたいですね♪」
輝夜「そ、そんなんじゃないわよっ!!」
永琳「違いましたかー♪でも私が地上に来る前の話には興味あります」
輝夜「うぅ……わかったわよ……」


-1300年前-


竹取の翁の小屋……
そこはかぐや姫の噂を聞きつけて足を運ぶ男は後を絶たない。
今宵満月の夜も例外ではなかった。

男「いときよらなり……」
輝夜「……次」

こんなやりとりが何十回も続いていた。
この男はかぐや姫こと輝夜に求婚している。
しかしどんな言葉を投げかけようが宝物を貢ごうが拒み続けている。

輝夜(何でこんなおじさんの相手をしないとならないのよ。
   もう今夜は打ち切ろうかな……)

次に入ってきた男は今までと違って10代半ばの少年であった。
おまけに同じくらいの年齢の少女を連れている。

少年「かぐや姫……?」
輝夜「いかにも」

少年「……こんなものか」

この言葉によって小屋どころか後ろの列まで沈黙が支配した。
そして当の本人である輝夜は目が点になっている。

少女「ば、バカ!何てこと言うんだ!!」
少年「あ……か、帰るか」

輝夜「今日の面会はこれで終わりにするわ……」

後ろに並んでいる貴族は色々な思いを抱いていた。
ある者はこれでライバルが一人減った、ある者はあのガキのせいで会えなかったなどなど……

輝夜「おじいさん、四半刻ほど時間をもらうわ」

と言って返事を聞かずに小屋から出て行く。

-小屋からやや離れた場所-

少女「アホか!ヘタすると晒し首だぞ!」
少年「けどさ、いくら美しいといっても妹紅と比べたら大差ないし……」
少女「え……」

少女の顔が少し紅くなったのは気のせいではないだろう。

少年「それよりさぁ、かぐや姫はどうだった?」
妹紅「おかげで助かったよ。これも○○が協力してくれたおかげね」
○○「少しばかり興味があったからお礼を言われるほどのことじゃないって」
妹紅「それでもおかげで顔を見れたのは事実なんだし。だけどかぐや姫って年は私とあまり変わらないように見える」
○○「母上になっても傍から見れば姉妹だな」

こんな風に駄弁っているところに彼女は現われた。

輝夜「よかった。まだいたのね」

妹紅「おいおい、あれって……」
○○「かぐや姫っ!?」
輝夜「何よ、妖怪でも見た顔をして」
妹紅「い、い……」
○○「いかで……」
輝夜「無理してそういう言葉使わなくていいわよ。聞いている私まで疲れるわ」
○○「……けど姫がこういう言葉を使っていいものなの?」
妹紅「お前だって貴族のご子息様なのに普通に使っているじゃないか」
○○「妹紅と違って普段はご子息様やって固い言葉を使っているんだよ」
妹紅「私だって普段は貴族の娘をやっているんだ。○〇の前くらい楽させてもらってもいいだろ」
輝夜「私もああいう言葉はあまり好きじゃないわ。あんなのしゃべっていると頭まで固くなりそう」
妹紅「それは言えるかもね」
○○「頭だけじゃなくウンk…ぐえっ」
妹紅「それ以上言うな、バカ」
輝夜「ふふっ、仲がいいのね」

輝夜はこの二人が羨ましかった。
月から追い出された身ゆえ、地上には友人と呼べるのはいないのだから……

妹紅「こんなやつの友人やっている自分が信じられないよ」
○○「それ結構傷つくんだけど」
妹紅「娯楽としては十二分だから一緒にいて楽しいけどね」
○○「フォローしているつもり?」
妹紅「さあね、その蜘蛛の巣だらけの脳味噌で考えたら?」
輝夜「……二人ともいい友人なのね」
○○「三人」
輝夜「三人?」
妹紅「……ああ、三人だね」
輝夜「私も……いいの?」
○○「断る理由はないだろ?」
妹紅「そういうこと」
輝夜「本当に……ぐすっ……ぅ……」
妹紅「うわっ、泣き出したぞ。私じゃないからな」
○○「と、とにかく落ち着いて、かぐや姫」
輝夜「輝夜…っ…」
妹紅「姫……?」
輝夜「姫……らない……か…や……って呼ん……」
○○「輝夜、ほら泣かないで。きれいな顔が台無しだよ」
妹紅「……私は綺麗じゃないの」
○○「見た目は五分と五分だけど性格は……」
妹紅「死ね!○○なんか消えろ!富士山の火口で蒸発しろ!!」
輝夜「ごめん…私のせいで……」
○○「いつものことだから気にしなくていいって。それよりもう戻ったほうがいいんじゃない?」
輝夜「また…来てね?」
○○「約束するよな、妹紅」
妹紅「勝手にすれば。私たちも帰るよ」
輝夜「ほんとだ。何だかんだいって仲がいいのね。待っているわ。」


-現代-


永琳「当時は妹紅とも仲が良かったのですね」
輝夜「今思うとあんな奴と仲良くして自分が嫌になるけど」
永琳「続き、聞かせてくれます?」
輝夜「気が向いたらね」
永琳「では気が向くまで待っています♪」



───────

永琳「失礼します」
輝夜「永琳?研究はいいの?」
永琳「はい、あとは時間を待つだけですから。ところで続きを聞かせてもらえますか?」
輝夜「……何のことかしら」
永琳「姫の初恋の話です」
輝夜「だーかーらーそうじゃないって!」
永琳「覚えているのですね。聞かせてもらえます?」
輝夜「………………」


-1300年前-


竹取の翁の小屋にて三人で団欒をしている

○○「勝手に上がっていいの?」
輝夜「おじいさんは竹を取りに行っているし今は私が主だからいいの」
妹紅「父上は人様の小屋を自分のもののように振舞う娘に求婚していたのか……」
輝夜「へー、あの中に妹紅のお父様がいたんだ。○○も求婚しに来たの?」
○○「いや、それがさぁ……」
妹紅「うわぁっ!頼むから言わないでくれ!」
○○「言っても減るようなものじゃないだろ」
妹紅「恥ずかしくて死んじゃう!!」
○○「黙っていてもバレるんだから今言っても同じだって」
輝夜「そんなに恥ずかしい話?余計聞きたくなったわ」
○○「さっき妹紅の父上が輝夜に求婚しに行ったっていうのは聞いたろ」
輝夜「うんうん」
○○「もし輝夜が妹紅の父上に嫁入りしたら妹紅の母君になる」
輝夜「そうね」
○○「だから自分の母君になるかもしれない相手を見たいからって誘われたんだ」
輝夜「それだったら○○が一緒に来る必要ないんじゃない?」
○○「そうそう、そうなんだけど妹紅ったら……」
妹紅「言うな!言うなぁ!」
○○「女が一人でかぐや姫に会うのはおかしいから……」
妹紅「……もう好きにしてくれ」
○○「僕がかぐや姫に求婚し、妹紅はその付き添いという形にしてほしいって言われたんだ」
妹紅「………………」

三人の表情を天気に例えるなら
○○は快晴、妹紅は豪雨、輝夜は雪である。

輝夜「別に恥ずかしいことじゃないんじゃない?」
○○「だよね」
輝夜「どんな人物か気になるのはごく自然だし、男の中に一人で女が混じるのも変な光景だし」
○○「ところで相手は決まった?」
輝夜「何の相手?」
○○「この話で"相手"と言ったら一つしかないって。そうだろ、妹紅」
妹紅「……あっ、そうね。誰の申し出を受け入れるの?」
輝夜「決まっていないわ」

○○と妹紅は開いた口が塞がらなかった。

妹紅「あれだけいれば一人くらいは……」
輝夜「いないの」

○○「んじゃあどうやって決めるんだ?」
輝夜「どうやって決めようかなー」

呆れてものも言えない二人である。

○○「だけど輝夜は羨ましいな。各地から名のある貴族からモテモテで」
輝夜「私は○○と妹紅の方が羨ましいわ」
妹紅「嘘!?どうして!?」
輝夜「私は一日に何十何百もの男を相手にしないといけないの。
   それに引き換え二人はこうして自由に外に出られる……」
妹紅「私は貴族の娘だって公にされていないからできることよ。
   それにこいつは変わり者で有名だから外に出ても当たり前に見られるだけ」
○○「変わり者なら妹紅に負けるけどな」
妹紅「わけない!」
○○「ほー、屋敷の塀を乗り越えて僕の屋敷に侵入して藤原氏にこっ酷く叱られたのは誰だったかな?」
妹紅「あれ一回だけだろ!それ以降は普通に門から入っているじゃないか」
○○「普通に貴族の屋敷の門を素通りできる時点でおかしい」

輝夜「………………」

妹紅「どうかした?」
輝夜「私も町を普通に歩いてみたいなって」
○○「んじゃ歩くか」
妹紅「はぁ、本気で言っているの?」
輝夜「無理とわかって言ったことだから気にしないでいいのよ」
○○「輝夜ってバレなければ歩けるんだろ?」
妹紅「そうだけどそれができれば苦労しない」
○○「変装すればいいじゃないか」
輝夜「変装?」
○○「別人になりすますこと」
妹紅「どうやってやるんだ?」
○○「三人で考えれば一つくらい案が浮かぶはず」

輝夜「くすっ……」
妹紅「ふっ……」
輝夜「くっ…ふふふふふっ」
妹紅「ははははははっ!○○らしい」
○○「やるんだろ?」
妹紅「ああ、そのバカげた案に乗ってやる」
輝夜「ふふっ、できるの?変装」
○○「三人そろえば文殊の知恵って言葉があるからなんとかなるさ」


-現代-


永琳「くすくすっ、バカですね」
輝夜「バカ!?」
永琳「違いますよ、その○○という貴族です。まさか手段を考えずに結論を出すなんて……」
輝夜「あの思考には笑わずに入られなかったわ。……これが始まりだったのかも」
永琳「何か言いました?」
輝夜「な、何でもない!今日はここまで!」
永琳「では明日以降続きを楽しみにしていますよ」
輝夜「……期待しないでよ」

──────────

永琳「姫」
輝夜「はいはい、わかっているわよ」
鈴仙「どうしたんですか?」
輝夜「永琳が続きを聞きたいんだって」
鈴仙「続きですか?」
永琳「姫の婚約者の話よ」
輝夜「初恋の人ッ!!」
永琳「初恋の人って認めてくれたのですね。ウドンゲも聞きたいでしょう?」
鈴仙「わ、私は……」
永琳「ウドンゲも興味があるみたいです」
輝夜「もう好きにして……」
鈴仙「恐れ入りますが、私は古語はよくわからないので現代語でお願いします」


-1300年前-


輝夜を町案内する作戦についての会議は毎日のように行われた。
初めに竹取の翁の小屋で変装する案が出たが、これでは翁に迷惑がかかるということで輝夜に反対される。
そうすると藤原家か○○の屋敷に絞られるのだが、妹紅の父親である庫持皇子に見つかったらとんでもないことになる。
結果○○の屋敷で行うことになった。

そして決行の日
○○と妹紅のおかげで輝夜は○○の屋敷の前までたどり着くことができた。

輝夜「大きい屋敷ね」
○○「妹紅の屋敷はこれより大きいぞ」
妹紅「んなこと言っているとすぐに夜になるよ。早く中に入らないと」
○○「じゃあ僕は見張りを引き付けておくから妹紅は輝夜を例の方法で敷地内に入れて」
妹紅「了解。輝夜はこっちね」

○○は門から屋敷の敷地内へ入っていった。

輝夜「どうやって入るの?」
妹紅「私が○○の屋敷に入って父上に叱られたって話覚えてる?」
輝夜「まさか……」
妹紅「そのまさかだよ。よっと」

妹紅は塀に軽々と登った。

輝夜「……確かにこれじゃあ貴族の娘だと言っても信じないでしょうね」
妹紅「悪かったね、貴族の娘に見えなくて」
輝夜「私にもそれをやれって?」
妹紅「そう決めたでしょ。手伝ってあげるから」

輝夜は妹紅の手助けにより屋敷に入ることに成功した。

妹紅「後は○○の部屋まで行ければ第一段階は終了ね」
輝夜「また妹紅のお父様に叱られるんじゃない?」
妹紅「バレてないから大丈夫。もしバレていてもその時はその時ね」
輝夜「くすっ……その言い方○○に影響された?」
妹紅「かもね」

二人は笑いながら○○の部屋へ行った。

○○「よかった。二人とも無事だったか」
輝夜「おかげさまで」
○○「次は輝夜を変身させる方だね。化粧だけでも行けると思うけど一応代えの着物も用意しておいたから」
輝夜「ありがとう。私のために……」
○○「ありがとうは全てが上手くいって後に聞かせて欲しい」
妹紅「そうそう、まだ半分しか成功してないからね。始めるから○○は外に出て」
○○「?」
妹紅「着替え中に誰か入ってきたらまずいでしょ。それとも生着替えを覗く趣味でもあるの?」
○○「あー、はいはい」

○○は部屋の外に出て行った

妹紅「どれを着る?」
輝夜「結構多いわね。この国になさそうなものまであるわ」
妹紅「○○の家は貿易商と繋がっているから異国の着物が結構あるんだよ」
輝夜「あっ、これなんかよくない?」
妹紅「上は桃色で月の刺繍……下は赤色で竹や楓とか……変なの」
輝夜「着てみないとわからないわよ。私はこれにするわ」
妹紅「変わった趣味ね。まあこれくらいの方がバレなくていいか」

-部屋の外-

臣下「○○様?」
○○「どうしました?」
臣下「何故○○様が廊下に?」
○○「藤原の娘が着替えておられます。嫁入り前の女子の裸体を見るわけにはいきません」
臣下「○○様、おなごに足元を見られるようなことは決して……」
○○「わかっています。しかし今日のところは多めに見ていただけないでしょうか」
臣下「○○様のことでしょうからお情けをかけたのでしょう。失礼しました」

-部屋の中-

輝夜「○○って妹紅に劣らず貴族っぽくない貴族ね」
妹紅「私に劣らずっていうのが気に入らないね。けど前にも言ったけど変わり者で有名だし」
輝夜「私に会いに来ていた貴族は使用人を奴隷のような目で見ていたわ。
   それに引き換え○○は臣下にも丁寧に接しているのよ」
妹紅「○○の父上のように放任主義じゃなかったら叱られているだろうね。それでも貴族かって。
   だけどあのような態度のおかげで臣下の忠誠心もかなりのものだとか」
輝夜「妹紅に聞きたいことがあるの。ちょうど女同士だし」
妹紅「何?」
輝夜「○○のこと……どう思っている?」
妹紅「どうって……バカでお調子者で……だけど一緒にいないと寂しいかな。かけがえのない親友ね」
輝夜「じゃあ私が○○に娶ってもらっても文句ない?」
妹紅「な、何ッ!?」
輝夜「そんな大きな声出すと見つかるわ」
妹紅「悪かった……けど本気で言っているのか?」
輝夜「冗談よ。あくまでも例えばの話」
妹紅「じゃあ輝夜はどう思っているの?」
輝夜「私?だいたいは妹紅と同じよ。違うのは会ってからまだ日が浅いくらいかな」
妹紅「そう。○○が私が着替え中って言ったから念のために私も着替えておくか」
輝夜「妹紅は何にするの?」
妹紅「上はこの白いやつ、下は……この赤い変なものでいいか」
輝夜「下のものって男が着るようなものじゃない?」
妹紅「まっ、いいじゃないか」
輝夜「私のこと変わった趣味って言ったけど妹紅も人の事言えないわよ」

部屋の外と中でこんなやり取りが四半刻ほど続いて着替えも化粧も終わった

妹紅「もう入ってきていいよ」
○○「やっとか」

ふすまを開けると現代と々服装の輝夜と妹紅の姿だった。
ただし輝夜は化粧をしているのを除いて。

○○「これはまたすごいな」
輝夜「どう、似合う?」
○○「とても似合っているよ」
妹紅「最初はどうかと思ったけど着てみれば何とかなるものね」
○○「さすがにこんな化粧をして着物を着ていればかぐや姫だとは思わないだろう」
妹紅「それって私の化粧のウデがヘタってこと?」
○○「違う違う、一目見て輝夜だとわからないくらい上出来っていう意味。
   あれ、妹紅も着替えたのか」
妹紅「もし誰かが来たときのためだよ。私はどうかな」
○○「妹紅、男になってみるか?」
輝夜「ほら言われた」
臣下「失礼します」

突然さっきの臣下が部屋に入ってきた。

臣下「○○様……そちらの方は?」
○○「先ほど申した藤原の方と……」
輝夜「蓬莱山と申します」
臣下「蓬莱山様ですか」
妹紅「……そうそう、この方は京から参られた方よ」
臣下「京……それは大変だったでしょう。○○様のことをよろしくお願いします」

ふすまが閉じる

妹紅「ふぅ……」
○○「ごまかせたぁ。だけど蓬莱山って変わった姓だね」
輝夜「だってさっきとって付けたようなものだし」
○○「取って付けた?」
妹紅「姓があるのは貴族だけで、庶民は名前だけしかないの。それくらい知っているでしょ?」
○○「そっか、輝夜はあの翁と嫗のとこだったか。だけどたいそうな名前だよ、蓬莱山って」
輝夜「着物と化粧でこんなに効果があるのね」
妹紅「ただ輝夜のことを知らないだけかもしれないけどね」
○○「いいじゃないか。これで外に出られるんだから」
妹紅「そのことなんだけどさ、私は屋敷に戻らないといけないんだ」
輝夜「どうして?」
妹紅「父上が話したいことがあると言っていたの」
○○「それなら仕方がないか。輝夜は僕が案内するよ」
妹紅「ごめん、二人とも……」
輝夜「謝らなくていいわ。もともとは私のわがままなんだし……」
妹紅「あっ、もう一度さっきの着物に着替えないと」
輝夜「というわけで○○は外に出てね」

妹紅が着替え、屋敷から出て行った。

○○「それでは姫、私○○が案内させていただきます」
輝夜「喜んでお供させていただきます、○○様」
○○「………………」
輝夜「………………」
○○「…………ぷっ」
輝夜「……ふふっ」
○○「あははははっ」
輝夜「ふふふふっ」
○○「やっぱりこういうのは性に合わないや。行こう、輝夜」
輝夜「私も普通に話している○○の方がいいわ。よろしくね」

こうして輝夜と○○は町へ行く。

輝夜「とっても賑やか、これが地上の町……」
○○「地上の?」
輝夜「違う違う、この地の町よ」
○○「輝夜って他の町を見たことあるのかい?」
輝夜「それは……ないんだけど。それよりさ、勝手に着物を持ってきてよかったの?
   ○○のお父様のものなんでしょ?」
○○「大丈夫、少しくらい消えたって気付かないよ」
輝夜「性格悪いわよ」
○○「国の男全員が狙っているというのを知りながら町に出たいという誰かよりはいいと思う」
輝夜「むー」

輝夜は顔を膨らせている。

○○「別に輝夜の事とは言ってないよ」
輝夜「じゃあ私のことを言っているの?」
○○「当たり」
輝夜「はっきり言うのね」
○○「ウソをついても意味がないからね」
輝夜「ひーどーいー」
○○「いいじゃん、性格の悪さは互角なんだから」
輝夜「……そういうわけね」
○○「どうかした?」
輝夜「妹紅が○○の屋敷に入り浸りになる理由がわかった気がするの」
○○「それは是非聞きたいね」
輝夜「その常に前向きな考えとバカさ加減」
○○「かわいい顔してなかなか毒舌なこと」
輝夜「か、かわ…………」

輝夜の顔がほんのり赤みを帯びた。

○○「色々な人に言われているんだから今更だろ?」
輝夜「………………」
○○「……輝夜?」
輝夜「えっ、ごめん何?」
○○「美しいとか貴族たちにさんざん言われているでしょ?」
輝夜「そ、そうだけど……」
○○「はっはーん、意識してる?」
輝夜「わけないわ、バッカじゃない?」
○○「うわー、姫が面と向かって『バカ』って言葉使ったぞ」
輝夜「今に始まったことじゃないわ。それに○○や妹紅だって使っているし」
○○「僕はそんな言葉は使いません」
輝夜「ウソなんでしょ」
○○「はい、ウソでございます」
輝夜「……ふふっ、私○○のそういうところが好き」
○○「それはどうも。僕も輝夜のこういう冗談に付き合ってくれるところが好き」

こうして町案内は特に問題が起こらず終わったのである。

輝夜「ところでさ、この着物もらってもいいかな」
○○「さっき言ったはずだよ。なくなっても問題ない代物だって」
輝夜「なくなっても気付かれないの間違いでしょ。遠慮なくいただくわ
   ○○、今日は私のわがままに付き合ってくれてありがとう。
   ○○と妹紅が協力してくれなければこんな事できなかったわ」
○○「どういたしまして。成功したことを妹紅に伝えたら喜ぶと思うよ」

輝夜「○○……さっき私のこと好きって言ってくれたこと……」
○○「んっ、何か言った?」
輝夜「な、何にも……?そろそろ小屋に戻らないとお客さんが来ちゃうわ
   また会うのを楽しみにしているわ」


-現代-


永琳「あらあら、さすがの姫も恋には臆病なのですか」
輝夜「私はいつでもおしとやかよ」
永琳「と姫は言うけれどウドンゲはどう思う?」
鈴仙「その……姫は……」
永琳「おてんばと言いたいみたいですよ」
輝夜「イーーナーーバーー」
鈴仙「それは師匠の考えじゃないですか!」
永琳「あら、私はウドンゲの気持ちを代弁してあげただけよ」
輝夜「イナバは今日の晩ご飯抜きね」
鈴仙「姫、師匠……酷いですよ」



───────


輝夜「やっぱり今日も聞くんでしょ?」
永琳「もちろんです。女はいくつになっても恋の話には興味がありますから」
輝夜「もう永琳は億単位なのに……」
永琳「そうれは姫も同じでしょう」
鈴仙「町でデートした後はどうなったんですか?」
永琳「ウドンゲも積極的に聞くようになったわねぇ」
鈴仙「あっ、いや……そのぉ……」

さすがに昨日晩ご飯抜きにされたのが答えたのだろう。

輝夜「今までどおり昼間に会って三人で話していたわ」
永琳「では五つの難題を出した時はそのことを○○に伝えたのですか?」
輝夜「私が伝えなくとも妹紅から伝わっていたわ。もちろん全員失敗に終わったことも」


-1300年前-


○○「輝夜……」
輝夜「言わなくていいわ。妹紅は来ないんでしょ?」
○○「ああ……最近は僕の屋敷に来る回数まで減った」
輝夜「ごめんなさい……」
○○「……帰るよ、僕も輝夜も今はまともに話せそうじゃないから」
輝夜「ごめんなさい……」

五つの難題によって輝夜、妹紅、○○の関係は崩れるのは予想していたことだが
現実に起こるとやはり三人には辛かった。
それから数日後も○○が翁の小屋にやってきた。もちろん一人で……

○○「聞かせて欲しい。なぜ求婚を断り続けるのか」
輝夜「………………」
○○「帝にも求婚されたのに断ったらしいね」
輝夜「………………」

輝夜(私は月の民だから、近いうちに蓬莱の薬の罪が許されて月に帰る日が来てしまうから)

言えなかった。
こんな事を言ったら○○ともう会えなくなる
それなら帰るその日までこのことは黙っていてそれまで○○話したい
そう輝夜は考えていた。

輝夜「ごめんなさい……今は言えないの」
○○「そう……」


こうして3年の時が経ち……


夜になると輝夜は外の月を眺めることが多くなった。

翁「かぐや姫、近頃月をよくご覧になられますな」

輝夜(そろそろここともお別れ……か)

輝夜「う……う゛ぅ……」
翁「かぐや姫!?」

地上で親しくなった人たちと別れなければならない。
そう思うと輝夜は泣き出してしまった。

そして8月の満月の日に月と地上の道ができ、月から輝夜を迎えに使者が来る
そう翁に伝えた。

翁「まさか……」

帝が輝夜を無理矢理都に連れ帰ろうとしたときに
輝夜は姿を消し、地上の人間でないことを見せた。
そのため帝の求婚を断ることができたのだった。

輝夜(……これで○○や妹紅ともう会えないのね)

翁は自分の娘のようにかわいがっていた輝夜を手放すのは辛かった。
結果このことを帝に知らせ、当日の夜には軍隊が翁の小屋に配備されたのだった。


-現代-


永琳「そこからは私も知っています」
輝夜「じゃあ終わりね」
鈴仙「ちょっと待ってくださいよ。○○さんとはどうなったのですか?」
永琳「ウドンゲも言うようになったじゃない。私も是非聞きたいです」
輝夜「わかったわよ。あと少しだから最後まで話すわよ」


-1300年前-


使者の一人である永琳の手によって月の使節団は消えた。
輝夜が月に帰るのを拒んだためである。
帝に蓬莱の薬等を送り、輝夜は月に帰ったことにしてもらった。

永琳「姫、ここにいてはまた使者が送られてきます」
輝夜「そうなの?」
永琳「はい、ここから離れましょう」
輝夜「ま、待って!明日じゃ無理?」
永琳「月が私の裏切りを知ればすぐにでも追手を送り込みます
   そんなに時間はありません」
輝夜「じゃあ半刻……いいえ四半刻でいいから時間をちょうだい」
永琳「何をなされるんですか?」
輝夜「歌を書いてある人に渡すの」
永琳「その程度なら……まあ大丈夫でしょう」



-さらに3年前 五つの難題を出す前-


輝夜「そういえばさ、○○は誰かに求婚とかしないの?」
○○「そうだね、父上も誰かに歌を送れとか言っていたよ」
輝夜「歌を送る?」
○○「そう、5・7・5・7・7の文字で一つの歌が完成する」
輝夜「面倒な制限ね」
○○「だけど5文字と7文字は聞こえがいいでしょ」
輝夜「~~~、確かにそうね。歌で恋文を書くの?」
○○「残念、それだけだと半分不正解」
輝夜「後の半分は何なのよ」
○○「文字通り半分だよ。上句である5・7・5で求婚する。
   そして下句の7・7で返事を書く」
輝夜「それだとおかしな歌になるんじゃない?」
○○「だから上句と下句で筋が通っていれば承諾、
   通っていなければ拒否、そんなところだよ」
輝夜「本当にそんなことやるのか怪しいけどなかなか面白い方法ね。
   あれ、じゃあ私のときは……」
○○「これは貴族同士での求婚方法なんだ。
   輝夜はおじいさんのところの娘だから当てはまらなかったんだよ」
輝夜「じゃあ例えば私から○○に送るっていうのはあり?」
○○「いやいや、基本的に男から女に送るものだからそれはちょっと……
   それにこれは僕個人のやり方だし……」
輝夜「じゃあ普通の貴族は?」
○○「歌を歌で返す、それが一般的だよ」


-3年後-


輝夜はすずりと筆を取り、しばらく考える。
そしていい句が浮かんだのか書き出す。

永琳「書けたようですね。どんな歌ですか?」
輝夜「だめ!見ないでよ!」

こんなムキになる輝夜を見て永琳は微笑んだ。

永琳(とても大事なことなのね)

歌を書き終えると二人は翁と嫗、そして帝にお礼を言って小屋を後にした。

輝夜「永琳、少しだけ寄り道させて」
永琳「重要なことですか?」
輝夜「私にとっては重要なことよ」
永琳「わかりました」

寄った先は○○の屋敷である。
永琳を含む使者が来たのは今で言う午後11時。
あれからいくらか時間がたっているので見張りを除けば寝ている。

永琳「この屋敷に入るのですか?」
輝夜「そうよ。1分経たずに終わらせるわ」

輝夜は空から敷地内に進入し、○○の部屋の外まで来た。
そして先ほど書いた歌を窓から部屋の中に入れた。

輝夜(もう二度と会えないのよね……
   本当は歌じゃなくて口で気持ちを伝えたかった。
   こんな歌送られても返す相手がいないなんて○○はどう思うんだろう。
   最低よね、私……)

輝夜は屋敷から出て永琳とともにこの地を去った。


-現代-


永琳「結局片思いか両思いはわからずじまいですか……」
輝夜「せっかく話してあげたのにそれはないでしょ」
永琳「いいえ、聞いていて楽しかったですよ。姫の初恋の話」
鈴仙「○○さんはどうなったんですか?」
輝夜「知らないわよ。あれから一度も会わないでここに来たんだから」
永琳「もしかしたら転生していて、案外近くにいたりするかもしれませんね」
鈴仙「ところで姫、どんな歌を作ったんですか?」
輝夜「それは私と○○の間だけの秘密よ」
永琳「大丈夫ですよ。17文字で表現できるのには限りがありますから」
輝夜「永琳にだって教えないんだから」
永琳「姫様ぁ~お願いしますよぉ~」
輝夜「いーや。そんな駄々こねたような言い方しても教えない」



──────


鈴仙「では行ってきます」
永琳「ナンパされてもホイホイついて行かないようにね」
鈴仙「ついてきません! それにナンパなんて……」
輝夜「何? 私をハブいて楽しいおしゃべり?」
鈴仙「姫、聞いてくださいよー
   師匠ったら薬を売ったのはいいけど
   私がナンパされてそのまま男人の部屋に行っちゃうなんて言うんですよ」
輝夜「へぇー、イナバなら騙されやすそうだし十二分にありえるんじゃない?」
鈴仙「ありえないです!!」
輝夜「そうそう、イナバはどこへ行くつもり?」
鈴仙「人里へ薬を売りにですよ」
輝夜「なら私も一緒に行くわ。外に出ないと体が鈍っちゃって妹紅に殺されるし」
永琳「あらあら、姫が自ら外出なんて珍しいでね」
輝夜「何よ、私がインドア派だって言うの?」
永琳「今までの経験からだと姫はインドア派ですね」
輝夜「永琳ひどーい」

今日の永遠亭もにぎやかである

輝夜「私は外に出るからね。アウトドア派だっていう証明にもなるし」
永琳「それなら私もお供します。さすがに二人であれば妹紅も手を出しにくくなるでしょうし
   だからウドンゲはお留守番お願いね」
鈴仙「は、はぁ……」

こうして輝夜と永琳は永遠亭を後にし、人里で薬を売りに行った

永琳「症状がかなり悪化しているわ。もう少し治療が遅ければ命にかかわっていたかもしれないわね」
輝夜「治療代は1000万ね。ビタ一文まけられない」
永琳「姫……」
輝夜「わかってるわよ、ジョークジョーク」

また、多少の医療行為もしたのであった。

薬も完売した後は、二人で里を散歩していた
そして慧音が教えている寺子屋の前まで来たところ……

輝夜「………………」

輝夜は立ち止まって一点を見ている

永琳「どうかしましたか?」

輝夜は無言のまま右手で指をさした
その先には……

慧音「ご苦労、やはり男がいると荷物運びが楽になるな」
少年「たしか慧音さんって半分獣ですよね。人間の僕よりも力があるn…」
慧音「そんな失礼な言葉を生み出す脳みそを頭突きで揺らしてやろうか?」
少年「け、結構です……」
慧音「まったく…… だが午前の授業はこれで終わりだしお昼にするか
   ……おい、●●どうした?」
●●「こっちを見ている人が二人いるのですが」
慧音「んっ?確か……」


永琳「姫、あの二人がどうかしましたか?」
輝夜「似てる……」
永琳「?」

輝夜が二人の方向へ歩き出した
それにつられて永琳も輝夜の後をついていった

慧音「ここにある消毒薬とかは前回受け取ったはずだが」
永琳「そうみたいね。私も今日は寺子屋には寄ることはないと思っていたんだけど……」

輝夜は●●をじーっと見つめている

●●「あの…どうかしましたか?」
輝夜「ほーんとそっくりね」
●●「失礼ですがどなたでしょうか。僕はここで慧音さんのお手伝いをしている●●と申します」
輝夜「●●…… 私は輝夜。今日は薬を売りに来たの」
●●「輝夜さんですか」
輝夜「輝夜でいいわ。それにタメ口で話して」
●●「しかし初対面の方相手ですから、敬語は当然として敬称くらいは付けるべきでしょう」
輝夜「私がいいって言ったからいいの。それにあなたにさん付けされると気持ち悪いし」
●●「わかった。これでいい?」
輝夜「うん、やっぱり●●とはこっちの方がいいわ」

慧音「輝夜、お前の話にはちんぷんかんぷんなことが多くないか?」
永琳「同感♪」
輝夜「私、変な事言った?」
永琳「まるで●●のことを知っているかのようですね」
慧音「●●は輝夜のことを知らないみたいだけどな」
輝夜「永琳、この前話したアレよ」
慧音「アレ?」
永琳「アレ…ですか? ああ、竹取物語ですか。
   慧音、いろいろ説明することがあるからどこか座れるところない?」
慧音「まあいいだろう。空き部屋があるからそこにするか」
永琳「では姫、後でゆーっくり聞かせてくださいね♪」

慧音は永琳を空き部屋に案内しに行く
と同時に輝夜は「また今夜も話すことになるのか」とため息をついた

輝夜「●●、私たちものんびりできるところへ案内してくれる」
●●「んっ、いいけど」

と、こちらの二人も別の部屋へと向かった

●●「悪いね、お茶も出せなくて」
輝夜「別にいいわ。お茶を飲みにきたわけじゃないから」
●●「ところであの薬師さんが言っていたように、輝夜は僕を知っているの?」
輝夜「半分正解半分不正解。1000年と少し前に●●と似たような人がいたのよ」
●●「僕に似た人、ねぇ…… 1000年!?1000年って言った?輝夜って何さ…うぎゃっ!」

輝夜のビンタが炸裂

輝夜「淑女に年齢を聞くようなものじゃないわよ」
●●「いきなり張り手をするような人が淑女だとはとても思えない……」
輝夜「う、うるさいわよ!!●●が変なこと聞かなければ何もなかったんだから!」
●●「何か納得いかない」
輝夜「こんなバカなことを言うところまでソックリよ……●●と○○は」
●●「ところでその人と輝夜は何だったの?」
輝夜「えっ? そ、それは……だからぁ……」

輝夜は顔を赤くして動揺していた
まさか初恋の人に似ているからここまで上がりこんだなんて言えるわけがなかった

●●「はっはーん、輝夜はその○○って人にホの字だったっでわけか」
輝夜「わー!わー!わーっ!それはっ!!」

肯定はしていないが否定はしていない
そんな輝夜の態度から図星だと●●は確信した
優越感に浸っている●●の様子を見て輝夜はもう諦めたようだ

輝夜「……ところでよく私の惚れた人の名前わかったわね」
●●「さ っ き 言 っ て い た か ら」
輝夜「言った?」
●●「言わなかったら当てられないよ」
輝夜「もしかして○○のこと知っているからじゃない?」
●●「1000年も前の人のことを知っているわけないよ」
輝夜「そう…よね……」

輝夜はやや落ち込んだ表情をしている

●●「だけど不思議なんだよね。今日初めて会ったはずなのにすごく懐かしい感じがする。
   一緒に出かけたりとかさ。あと誰か一人と三人でつるんでいたような」
輝夜「──ッ!?」

輝夜は驚いている
当然であろう、まさにかぐや姫として地上で過ごしていた頃をずばり言っているからだ

輝夜「●…●…… 和歌って知っている?」
●●「5・7・5・7・7で季語を入れて一句作るやつ?」
輝夜「わかっているじゃない。これには……そう、面白い遊び方があるの」
●●「面白い遊び方?」
輝夜「そうよ、ある人に教えてもらったの。最初に上句を歌い、相手が下句で返す」
●●「それだとめちゃくちゃな歌ができない?」
輝夜「文句なら考案者に言って。私が上句を歌うから●●は下句を歌って」


望月の
  つれなく見えし
        別れより


●●はボーっとしている

輝夜「変な歌だった?結構自信あったんだけど」
●●「いいや、人の求婚手段を勝手に面白い遊びにされているのに呆れてね」
輝夜「求婚手段?」
●●「知っているはず、これは僕専用の方法だって輝夜に言っただろ?」
輝夜「●●……?」
●●「●●でもいいけど輝夜はそれでいいのかい?もっとふさわしい呼び方があるはずだけど」
輝夜「……○○」
●●「そうそう、久しぶりにその名前で呼ばれたよ」
輝夜「本当…に、○…○……?」
○○「信じられない?じゃあさっきの歌に抜けている箇所を教えようか
   最後に名前である『蓬莱山』が抜けている」
輝夜「○○!!」

輝夜は●●、つまり○○に飛びついてきた
そしてしばらく○○の腕の中で泣いていた


輝夜「だけど何で私のこと覚えているの?人間なら死んでいるはずよ」
○○「ああ、僕は死んだ。おそらく転生したんだろうね」
輝夜「でも転生するときに過去の記憶は消されるって聞いたけど……」
○○「完全に消えていなかったってことかな。閻魔様にでも聞けばわかると思うけど」
輝夜「聞いたところ閻魔様は説教好きだから会いたくない」
○○「僕も説教はごめんだね」
輝夜「……くすっ」
○○「だけど酷いよなー。人が寝ている間に勝手に歌を置いて蒸発しちゃうなんてさ」
輝夜「だ、だって……」
○○「でも月に帰ったんじゃなかったけ?」
輝夜「表向きはね。けど私はここにいるわ」
○○「確かにあの時のまんまだよ。何一つ変わっていない」
輝夜「で、さぁ…… 下句なんだけど……」
○○「ほーんと輝夜って酷いなー。せっかく下句を作ったのに伝えるべき相手がいないなんて」
輝夜「わかったわよ。悪かったわよ、でもそれ以外の方法はなかったの!」
○○「そっか…… 下句聞きたいかい?」
輝夜「むーっ、わかっているのに言わせる気?」
○○「はいはい、では初披露でもしますか」


宵月ばかり
    憂きものはなし


輝夜「意味は……」
○○「上句にぴったりの下句だろ」
輝夜「意味…繋がってる……」
○○「だから輝夜は酷いって言ったんだよ。せっかく求婚に答えているのに勝手にいなくなるなんて」
輝夜「今、なんて……」
○○「輝夜が二番目によく知っているはず。このやり取りにどんな意味があるかは」
輝夜「一番は?」
○○「考案者以外に誰が?」

輝夜は座り直してまっすぐ○○を見つめている

輝夜「不束者ですが、こんな私を娶ってもらえないでしょうか」

○○はにっこり笑って輝夜の手を取る

○○「さて、返事はどのような方法がお望みかな?」

○○は輝夜を引き寄せる。輝夜も抵抗するどころか○○の首に手を回した
そして○○は輝夜に口づけをした……


○○「さて、もう言えない理由を教えてくれるよね?」
輝夜「言えない理由って何よ」
○○「帝たちの求婚を断った理由。本人たちはもういないのだから大丈夫だろ?」
輝夜「ああ、そっちね。帝は関係ないわ。あれは私自身に問題があるの」
○○「と、言うと?」
輝夜「私は月のお姫様、永遠を生きる者、それから……」
○○「月の人っていうのは本当なのか。それから?」
輝夜「……言わなくてもわかるでしょ」
○○「99.9%合っているとは思うけど、0.1%で間違っている可能性もあるからね
   だから聞かせてもらうよ」
輝夜「性格悪いわよ」
○○「昔からわかっているさ」
輝夜「……でもそんな○○が好きッ… 1000年前からずっと好きなのッ! これでいいでしょ?」
○○「十分すぎるよ。これで勝手に消えたのは帳消しだ」


●●もとい、○○は永遠亭に移り住むこととなった
○○は寺子屋の手伝いの心配していたが、慧音は

「一人で永遠亭と里を行き来できるまでは停職だ」

と言った
もちろん普通の人間である○○には一人で竹林を歩けるほど強くはない
事実上○○は寺子屋の手伝いをやめるよう宣告されたのである


-数ヵ週間後-


鈴仙「師匠ーっ」
永琳「どうしたの、○○に恋しちゃった?
   ダメよ、○○は姫専用なのだから」
鈴仙「違います! 姫と○○さんの歌の意味って何ですか?」
永琳「本人に直接聞いてみるのが一番じゃないかしら」
鈴仙「そうなんですけどね……」

鈴仙の顔が赤くなっていく……

永琳「見てはいけないものを見てしまって、とても聞けるような状態ではなかったと」
鈴仙「は、はい……」
永琳「仕方ないわね、教えてあげるわ。この歌はね……」


-輝夜の部屋-


輝夜「満月も○○も冷たく思えたあの別れ以降……」
○○「……夜、月が出ている時ほどつらい時間はない

   だけど冷たいのはむしろ輝夜じゃないか?」
輝夜「いいじゃない、今こうして同じ屋根の下で暮らしているんだから
   私が○○に出した難題覚えているよね?」
○○「『私を永遠に幸せにする』……」
輝夜「蓬莱人になった○○でも絶対に解けない難題よ。
   99%の次は99.9%、その次は99.99%と決して100%にはならないの」
○○「でも限りなく100%に近づけることはできる」
輝夜「○○……」


望月の つれなく見えし 別れより
            蓬莱山 輝夜

宵月ばかり 憂きものはなし
            ○○

○○が永遠亭に来てからの満月は
二人にとっては"憂きもの"から"あはれなるもの"となっていた
今夜も月の明かりが二人を照らすであろう



新ろだ15,18,21,45、108

───────────────────────────────────────────────────────────

「輝夜、外に出ないのか?
 イナバたちとか、もう始めてるぞ」

七夕の夜。
ここ、俺がお世話になっている永遠亭では、七夕祭りの真っ盛り。
子イナバたちが、思い思いに願い事を短冊に結び付けている姿は、傍から見ていても微笑ましい。
……時々の「世界征服」とか「百億万ドル」とかはどうかと思うが。
飾り付けも終わり、あとは主賓の到着を待つばかり。
……だったのだが。

「私、行かない。
 あなたも、ここにいてくれない?」

返事は、にべもないものだった。
残念ながら、俺の恋人たる輝夜は、お気に召さないようだ。
まあ、可愛らしい我侭はいつものことだし、なんだかんだ言って結局出てきてくれるのがいいところなのだが。

「おいおい。もうみんな待ってるんだぞ。
 あんまり、困らせないでくれよ」

苦笑気味に言う。
彼女は、そっぽを向いたまま。

「……言ってくれたら」
「ん?」
「あなたが私と七夕を見たいって言うのなら、仕方ないから参加してあげる」

蚊の鳴くような声。
だが、こんなお願いもいつものこと。

「わかったわかった。
 輝夜、お前と七夕を過ごしたいんだ。出てきて、くれないかな?」
「わかったわ」

二つ返事でOKすると、手元にあった手文庫から蒔絵の手鏡と鼈甲の櫛を取り出す輝夜。
……すべて、計算ずく、か。

「じゃあ、先に行っているから」
「あ、ちょっと待って!」

急いで髪を整えると、俺の右腕に抱きつく。
碧の黒髪が、ふわりと肩を撫でた。

「さあ、行きましょう」

そして、皆の待つ中庭へと歩き出す。





「どうした、暇か?」

七夕祭りも一段落した頃。
俺は、一人でぽつんと縁側に座っている輝夜に声をかけた。

「ほれ、ジュース」

仏頂面をしている輝夜に、貰ってきたキャロットジュースの片割れを渡す。
もう一方は、俺のもの。
ぼうっと星空を眺めている輝夜に紙コップを持たせると、彼女の隣に座った。

「あら、来てたの?」

わずかにきしむ板の音が原因だろうか、今初めて気づきました、という顔の輝夜。

「酷いな、全然気づかなかったなんて」
「ええ、ごめんなさい。ちょっと考え事してたものだから」

それから、手に持った紙コップに気づくと、親の仇でも見つけたような顔で、一気に呷った。
沈黙。
俺も、いつもとは違う輝夜の様子に、何となく言葉が出ない。
気の早い松虫が、背中をかき鳴らし始めた。
時折の風が、七夕の笹を爪弾く。
向こうで星空の講義をする、永琳とイナバたちの声が、ひどく遠くにあるような錯覚を覚える。
そう、まるで、俺と輝夜だけ取り残されてしまったかのような。

「私、あの星、嫌いなのよ」

しばらくして、輝夜が口を開いた。
指差すのは、今日の主役、織姫星。

「織姫はね、いつも彦星を待っているだけ。
 自分から会いに行こうとしないし、唯一会う機会だっていう七夕も、彦星が来るのを対岸で待っているのみ。
 じれったいのよね。
 どうして、自分から動かないのか。自分で運命を切り開こうとしないのか」
「でも、神様が決めたことなんだろう。どうしようもないんじゃないか?」
「じゃあ、あなたは私と離れ離れになったら、私が行くまでただ待ってる?」
「そんなことはない! 絶対に会う方法を見つけ出す!」
「でしょう。
 私も同じ。あなたが傍にいない世界なんて、意味がないもの。
 でも、彼女は違うのよ。ただ、待ってるだけ」
「だから、嫌いってか」
「そう。それに――」

コトン、と。
輝夜は、頭を俺の肩に乗せた。

「一年間も、会わないでいられるなんて信じられないわ。
 この温もり。この優しさ。
 私は、一日と耐えられない」
「だな。俺も同じだ」

俺は、彼女の頭に手を回すと、手櫛でさらさらと髪を梳く。
気持ちよさそうに眼を細める輝夜。

「ずっと、こうしていたいわ。
 そして――。
 いつか、この世が終わりになった時、あなたとの物語をハッピーエンドで迎えたいわ」

うpろだ1231

───────────────────────────────────────────────────────────

外を少し出歩くだけで氷精が蒸発しそうなほどの炎天下。
こんな日は大人しく部屋に引き篭もってのんびり過すに限る。
一人なら退屈でだらけきっていたのだけども、最近は○○がよく遊びに来てくれてるので退屈はしない。
春は仕事が忙しいとかで余り来てくれなかったけど、夏になってから毎日来てくれるようになった、夏だから開放的になって私を求めてくれてるのかしら。
その気なら私はいつでもALLOK、なんでもバッチ来いよ!
なのに、○○は至って健全だった。
外界から持ち込んだというゲーム機を持ってきて一緒にプレイするだけなんてゲームは面白いけど……私のような美少女と二人っきりなのにそれはないわと思わず口に出しそうなほど自分に自信を無くしそうだ。
こうなったら、一度○○の本心を問い質しておいたほうがよさそうね。
「ねえ、○○」
「んー?」
私の膝を枕にしながらゲームをやっていた○○が気だるそうにこちらに顔を向ける。
あ、睫毛が意外に長い、くそぅやっぱりいい男だな……私の目に適うなんて光栄に思いなさいよ?
「何だー?」
おっとついつい見惚れちゃってた、いけないいけない。目的を果たさないと。
「○○は何で最近は毎日来てくれるのかしら?」
やっぱり、私に会いたいの? もしそうだったら凄く嬉しいわよ。
「てるよの部屋涼しいから」
は? それだけ? 思わず目が点になってしまった。
え? 何? それじゃ私に会いに来てるわけじゃなくて涼みに来てるだけってこと?
…………何だろう、凄い敗北感。そして物凄く悔しい。
涼みに来てるだけとか悔しすぎるので覆い被さるように抱き着いてやる事にした。
「やめろー離せー暑いー」
「あはははは、乙女の純情を踏みにじりやがってこの野郎」
顔を真っ赤にして私の抱擁から逃れようと○○が暴れる。
ん? 顔を真っ赤に? そこまで暑いわけじゃないと思うのだけど。
暴れるのを抑えるために力を込めたら今度は大人しくなった、観念するのが早いのね。
「てるよ、当たってる」
大人しくなった○○が顔を赤くしながら小さく呟いた。
「あたってるって何が?」
「…………胸」
胸……あーそういえば私の薄い胸でもこれだけ密着すれば当たるわね。
でも、これで○○が私の魅力に少しでも気づけば。
「あの輝夜さん?」
「当ててるのよ」
蠱惑的な笑顔を浮かべ言い放ってやる、○○ったら照れちゃってかわいー。
その様子をニヤニヤしながら眺めていたら、不意にキスされた。
「据え膳食わぬなんとやらってね」
ちょっ……そのまま体を入れ替えられ床に寝かされる。
「ま、待ってこんな昼間から……んっ」
「いーや、待たないね。火をつけたのはそっちだからな」
抗議の声が○○の再度のキスで途切れさせられる、あ、舌入ってきた。
「っ……だめ、だって○○から私は」
そうだ、私は○○から何も聞いていない言われていない、女はいつだって証明が欲しいのだから。
「輝夜愛してる」
言った瞬間に間髪入れず○○が私の欲しい言葉をくれる。
もうずるいなぁ、○○はここぞという時には外さないんだから。
「私もよ」
返事を返しながら、○○を抱きしめて私は身を任せた。






「鈴仙、2~3時間はここに誰も近づけないようにしといてね」
「はい、師匠」

うpろだ1275

───────────────────────────────────────────────────────────
ウィキ募集バナー