「城かと思ったが…… まさか学び舎だとはな」
テーブルシティの最奥にそびえ立つグレープアカデミー、その校長室に、一人の青年が立っていた。
彼こそはウルベア地下帝国の宰相・グルヤンラシュ。真の素性は、エテーネ王国の王子、クオードといった。
彼こそはウルベア地下帝国の宰相・グルヤンラシュ。真の素性は、エテーネ王国の王子、クオードといった。
「そうか。ここの長だったのか、あの魔物使いの老人は」
気まぐれに開いた教員名簿、その先頭に掲げられた写真と名前を見つめながら、
クオードはその男、クラベルの最期を思い起こしていた。
気まぐれに開いた教員名簿、その先頭に掲げられた写真と名前を見つめながら、
クオードはその男、クラベルの最期を思い起こしていた。
あの男は己が死ぬことは分かっていたはずだ。
その上で、あの魔女に反抗の意志を示して見せた。人を教え導くという己の使命に殉ずるために。
その上で、あの魔女に反抗の意志を示して見せた。人を教え導くという己の使命に殉ずるために。
「立派な男だ」
教員名簿を机上に放りながらそう呟く。
その言葉とは裏腹に、彼の瞳に敬意や称賛の光は無い。
その言葉とは裏腹に、彼の瞳に敬意や称賛の光は無い。
あらためて部屋の中を見渡す。
据え付けられた様々な機械から見て、文明レベルはウルベアを優に超え、エテーネ王国と同じかそれ以上。
軍事に関する資料がまるで見当たらないことから、外敵はほぼ存在しないと推測できる。
興味深いのは、この世界では子供までもがポケモンという魔物を使役しているらしいということだ。
魔物という他者を傷つけうる力の所有が万人に認められ、それでもなお平和で安定した社会を構築している――
据え付けられた様々な機械から見て、文明レベルはウルベアを優に超え、エテーネ王国と同じかそれ以上。
軍事に関する資料がまるで見当たらないことから、外敵はほぼ存在しないと推測できる。
興味深いのは、この世界では子供までもがポケモンという魔物を使役しているらしいということだ。
魔物という他者を傷つけうる力の所有が万人に認められ、それでもなお平和で安定した社会を構築している――
「まるで全てが俺の選んだ道を否定しているかのようだな」
クオードは自嘲の笑いを浮かべた。
クオードは自嘲の笑いを浮かべた。
そして、魔物使いと聞くと、どうしても思い出す男がいた。
誘われるように殺し合いの名簿を開く。果たして、予期した通りの名がそこにはあった。
誘われるように殺し合いの名簿を開く。果たして、予期した通りの名がそこにはあった。
「本当にお前は、ボウフラのような奴だな、ハノン……!」
◇
エテーネ王国の王子であった頃は己を信じていられた。
自分の青臭い正義感を疑いもせず、姉や守るべき民を犠牲にしようとする父を止めることに間違いはないと確信していた。
あの頃は姉さんがいた。ザグルフやディアンジのような信頼できる部下もいた。
突然現れたハノンという変わった男とも、紆余曲折のすえ協力し合うこととなった。
彼らの力なくしては父の陰謀を明るみに出すことはできなかっただろう。
自分の青臭い正義感を疑いもせず、姉や守るべき民を犠牲にしようとする父を止めることに間違いはないと確信していた。
あの頃は姉さんがいた。ザグルフやディアンジのような信頼できる部下もいた。
突然現れたハノンという変わった男とも、紆余曲折のすえ協力し合うこととなった。
彼らの力なくしては父の陰謀を明るみに出すことはできなかっただろう。
だが、ウルベアに流れ着いてから、歯車が少しずつ狂い始めた。
エテーネ王国が滅亡するという歴史を知った自分は、その運命を変えるのが己の使命だと信じた。
グルヤンラシュを名乗り、ウルベアの政治に足を踏み入れ、宰相にまで上り詰めた。
エテーネ王国が滅亡するという歴史を知った自分は、その運命を変えるのが己の使命だと信じた。
グルヤンラシュを名乗り、ウルベアの政治に足を踏み入れ、宰相にまで上り詰めた。
権力を手にした自分は、エテーネルキューブの開発と地脈エネルギー、
エテーネ王国を救う為に必要なその2つを手に入れるべく暗躍を開始した。
だがその過程で、大量の血が流れ始めた。
ガテリアとの戦争、和平を画策した皇帝ジャ・クバの暗殺、ガテリアの皇子への冤罪と戦争の激化、そしてガテリアの滅亡。
手を尽くせば尽くすほどに、己の罪とその犠牲者は雪達磨のように増えていった。
エテーネ王国を救う為に必要なその2つを手に入れるべく暗躍を開始した。
だがその過程で、大量の血が流れ始めた。
ガテリアとの戦争、和平を画策した皇帝ジャ・クバの暗殺、ガテリアの皇子への冤罪と戦争の激化、そしてガテリアの滅亡。
手を尽くせば尽くすほどに、己の罪とその犠牲者は雪達磨のように増えていった。
自分の隣には誰もいなかった。
ウルベアを言わばエテーネの踏み台にしようとしていたのだから当たり前だ。
唯一同志と言えた錬金術師も自分の計画に賛同しなかったため監禁し、
後に残ったのは操り人形のウルタ皇女に、軍事技術に酔う技術庁の連中。
内心に溜め込んだ罪悪感と鬱屈を吐き出す術はなく、己の使命感でそれを塗り潰す以外に方策は無かった。
ウルベアを言わばエテーネの踏み台にしようとしていたのだから当たり前だ。
唯一同志と言えた錬金術師も自分の計画に賛同しなかったため監禁し、
後に残ったのは操り人形のウルタ皇女に、軍事技術に酔う技術庁の連中。
内心に溜め込んだ罪悪感と鬱屈を吐き出す術はなく、己の使命感でそれを塗り潰す以外に方策は無かった。
だから、ハノンが再び自分の前に姿を現したあの時、俺は本気で嬉しかったのだ。
エテーネ王国を救う為に共に戦ったあいつならば、俺の同志になってくれるかもしれないと、ありもしない希望を抱いた。
今考えれば、やはりあの時の俺はどうかしていたのだろう。
あいつが俺を見て何と言うかなど、分かり切っていたというのに。
エテーネ王国を救う為に共に戦ったあいつならば、俺の同志になってくれるかもしれないと、ありもしない希望を抱いた。
今考えれば、やはりあの時の俺はどうかしていたのだろう。
あいつが俺を見て何と言うかなど、分かり切っていたというのに。
『今の君は、ドミネウス王と同じだ。これ以上、罪を重ねるな!』
そう言って、ハノンは俺に突き付けた。
俺がひたすら目を背け続けていた、父と変わらぬ人間となったという事実を。
俺がひたすら目を背け続けていた、父と変わらぬ人間となったという事実を。
そして全ては潰えた。
ジャ・クバ暗殺の真相を暴かれ、地脈の結晶も奪われ、ウルタ皇女から己の所業を断罪された。
終わりを悟った俺は、敢えて皇女に己を撃たせ、流砂の海へと落下した。
身体が砂に飲まれ、視界が闇に包まれ、死を受け入れようとしたその時――
ジャ・クバ暗殺の真相を暴かれ、地脈の結晶も奪われ、ウルタ皇女から己の所業を断罪された。
終わりを悟った俺は、敢えて皇女に己を撃たせ、流砂の海へと落下した。
身体が砂に飲まれ、視界が闇に包まれ、死を受け入れようとしたその時――
「……皆さんには殺し合いをしてもらいます」
この殺し合いの場に招かれた。
◇
「願いなど、決まっている! この戦いで勝ち残り、今度こそエテーネ王国を救ってみせる!!
い、今更、犠牲など…… 死人が数十人増えたところで何が変わるものかっっ!!」
い、今更、犠牲など…… 死人が数十人増えたところで何が変わるものかっっ!!」
己の望みを血を吐くように叫ぶ。
例え父と同じ道を辿っていると突き付けられようとも、今更変えることなどできない。
エテーネ王国を救う。今の自分には最早それしか残っていないのだから。
例え父と同じ道を辿っていると突き付けられようとも、今更変えることなどできない。
エテーネ王国を救う。今の自分には最早それしか残っていないのだから。
だが、どうやって勝ち残るか。
剣術には自信があるが、長年宰相としての執務にその全てを捧げ、実戦からは遠ざかった身である。
仮にハノンとの闘いを想定した場合でも、やはり勝算は薄いと結論せざるを得ない。
剣術には自信があるが、長年宰相としての執務にその全てを捧げ、実戦からは遠ざかった身である。
仮にハノンとの闘いを想定した場合でも、やはり勝算は薄いと結論せざるを得ない。
「いや、それでも俺は負けん」
視線を校長室の最奥へ向ける。そこには人型の悪魔を模したかのような不気味な装置が鎮座していた。
これこそが彼への支給品の一つ。
名を、魔神器といった。
これこそが彼への支給品の一つ。
名を、魔神器といった。
説明書によれば星に眠るエネルギーを吸い上げる機械だという。
それは奇しくも己が利用しようとしていた地脈エネルギーと酷似していた。
それは奇しくも己が利用しようとしていた地脈エネルギーと酷似していた。
「魔神器とやら! 貴様のエネルギーを俺によこせ!!」
クオードは、魔神器に相対し叫んだ。
それに応えるかのように魔神器の眼が赤く光ると、噴き出されたエネルギーの奔流が渦を巻き、クオードの全身を呑み込んだ。
クオードは、魔神器に相対し叫んだ。
それに応えるかのように魔神器の眼が赤く光ると、噴き出されたエネルギーの奔流が渦を巻き、クオードの全身を呑み込んだ。
エネルギーに身を晒しながら、クオードは理解する。
かつて自分が利用した地脈エネルギーは、熱や電気のような物理的な動力源に近く、それ自体を人間の体に取り込むことはできない。
それが出来るのは一部の魔法生物や、人間をやめた怪物だけだ。
しかしこのエネルギーは違う。魔力のように生物の肉体に適合する類の力なのだ。
嵐のような力の激流が荒れ狂いながら全身を駆け巡り、己の血肉と同化していくのが分かる。
全身から力が湧き出し、体の奥底からは膨大な魔力が噴き出す。
かつて自分が利用した地脈エネルギーは、熱や電気のような物理的な動力源に近く、それ自体を人間の体に取り込むことはできない。
それが出来るのは一部の魔法生物や、人間をやめた怪物だけだ。
しかしこのエネルギーは違う。魔力のように生物の肉体に適合する類の力なのだ。
嵐のような力の激流が荒れ狂いながら全身を駆け巡り、己の血肉と同化していくのが分かる。
全身から力が湧き出し、体の奥底からは膨大な魔力が噴き出す。
「フフ、ハハハハハ、フハハハハハハハハハハハハ!!!!」
魔人王と化したドミネウスをも超える魔力、己が求めた大陸の地脈エネルギーが全て意のままとなったかの如き感覚にクオードは酔い、
狂ったように哄笑していた。
狂ったように哄笑していた。
◇
エネルギーの放出が終わり、部屋に静寂が戻る。
「この力で、俺は勝ち残る……
ハノン、お前にも邪魔はさせん……!」
ハノン、お前にも邪魔はさせん……!」
荒い息を吐きながら魔神器を回収する彼の瞳は、悪鬼のように紅く染まっていた。
かつて魔神器を作り出し、自らの国に栄華をもたらした女王がいた。
だが魔神器が吸い上げていたのは、星に寄生する生命体・ラヴォスに由来するエネルギーであった。
ラヴォスエネルギーは、女王の心を永遠の命への欲望とラヴォスへの狂信に支配せしめ、
ラヴォスという脅威を目覚めさせ、王国に滅亡をもたらしたことをクオードは知る由もない。
だが魔神器が吸い上げていたのは、星に寄生する生命体・ラヴォスに由来するエネルギーであった。
ラヴォスエネルギーは、女王の心を永遠の命への欲望とラヴォスへの狂信に支配せしめ、
ラヴォスという脅威を目覚めさせ、王国に滅亡をもたらしたことをクオードは知る由もない。
グルヤンラシュの名は、その業の深さゆえに、人でありながら伝説の魔物として後世に伝わった。
彼はこのまま、“あの日へ帰る”ことを夢見ながら、“悪鬼なる王”へと至る道を歩むのか。
あるいは、かつてのジール女王のように、彼の故郷への想いすらラヴォスという呪いに塗り潰されてしまうのか。
――それとも。
彼はこのまま、“あの日へ帰る”ことを夢見ながら、“悪鬼なる王”へと至る道を歩むのか。
あるいは、かつてのジール女王のように、彼の故郷への想いすらラヴォスという呪いに塗り潰されてしまうのか。
――それとも。
「…………姉さん」
彼は、自分がそう呟いたことも、一筋の涙が頬を伝っていたことにも、自分自身で気付いていなかった。
【C-3/グレープアカデミー校長室/一日目 深夜】
【クオード@ドラゴンクエストXオンライン】
[状態]:健康、精神消耗(中)、ラヴォスエネルギー吸収によるステータス上昇、赤眼化
[装備]:
[道具]:基本支給品、魔神器@クロノ・トリガー、不明支給品0~2
[思考・状況]
基本行動方針:優勝し、エテーネ王国を救う
1.勝ち残る。どんな犠牲を払ってでも
2.ハノンには今度こそ邪魔はさせない
3.(姉さん……)
【クオード@ドラゴンクエストXオンライン】
[状態]:健康、精神消耗(中)、ラヴォスエネルギー吸収によるステータス上昇、赤眼化
[装備]:
[道具]:基本支給品、魔神器@クロノ・トリガー、不明支給品0~2
[思考・状況]
基本行動方針:優勝し、エテーネ王国を救う
1.勝ち残る。どんな犠牲を払ってでも
2.ハノンには今度こそ邪魔はさせない
3.(姉さん……)
※バージョン4.3「砂上の魔神帝国」でウルタ皇女に撃たれた直後からの参戦です
※ラヴォスエネルギーを吸収したことにより『ジゴデイン』『覇王の征戦』(※悪鬼なる王の使用特技)が使用可能になりました
※ラヴォスエネルギーによる精神への影響は後の書き手に一任します
※ラヴォスエネルギーを吸収したことにより『ジゴデイン』『覇王の征戦』(※悪鬼なる王の使用特技)が使用可能になりました
※ラヴォスエネルギーによる精神への影響は後の書き手に一任します
【支給品紹介】
【魔神器@クロノ・トリガー】
魔法王国ジールが作り出したラヴォスエネルギーを吸い上げる機械。
原作ではジール戦時に単独でボスキャラとして戦闘を行ったが、本ロワでは自律戦闘を行う機能は封じられている。
【魔神器@クロノ・トリガー】
魔法王国ジールが作り出したラヴォスエネルギーを吸い上げる機械。
原作ではジール戦時に単独でボスキャラとして戦闘を行ったが、本ロワでは自律戦闘を行う機能は封じられている。
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