【Side:アンルシア】
「どういうことなの……。」
世界の端っこと呼ばれる空間。嘆息を漏らすのは、グランゼドーラの王女にして勇者の素質の正当な所持者、アンルシア。
「突然、見知らぬ城のエントランスに招かれて、そこにたくさんの人たちがいたけれど……」
何もかも、現状が分からない。
目の前で二人の命が奪われたこと。
自身にもその二人と同じ首輪が嵌められていること。
そして、殺し合いを強制させられていること。
自身にもその二人と同じ首輪が嵌められていること。
そして、殺し合いを強制させられていること。
――この世界に招かれた者たちの心を大いに乱したそれら全てが二の次と言えるほどに。彼女は――アンルシアだけは、現状の異常さに気付いていた。
「あれは、本当に人なの?」
何かが、違う。
あの場に集まった者の全員が。
生命を構成する要素とは、明らかに、何かが。
あの場に集まった者の全員が。
生命を構成する要素とは、明らかに、何かが。
どれだけ研ぎ澄まされた感性を有する者であっても気付くことの出来ないそれに、アンルシアだけは唯一気付くことができていた。アンルシアが扱う破邪の秘技のひとつ、"勇者の眼'はあらゆる存在の虚飾を暴く。だが、絶対的な勇者の権能をもってしても、違和感程度に留まる程度の何かでしかない。それでも確実に、この世界にいる者たちは人とは違う。
それは他ならぬ、アンルシア自身も含めて、だ。
「やはり気が付いたか、勇者姫アンルシアよ。」
唐突に響くは、来訪者の声。
見やると、そこには赤と黒を基調としたファンシーな着ぐるみに身を包んだ存在が佇んでいる。
その全貌は着ぐるみに覆われているため、中にいる人物は見えない。だが、その着ぐるみに正体を隠し、長きに渡るアストルティアと魔界の戦いの裏で暗躍していたその役割の名を、アンルシアは知っている。
見やると、そこには赤と黒を基調としたファンシーな着ぐるみに身を包んだ存在が佇んでいる。
その全貌は着ぐるみに覆われているため、中にいる人物は見えない。だが、その着ぐるみに正体を隠し、長きに渡るアストルティアと魔界の戦いの裏で暗躍していたその役割の名を、アンルシアは知っている。
「――魔仙卿。」
大魔王の選定者、魔仙卿。勇者としては怨敵と言っても過言ではない相手である。しかし、アストルティアから切り離された魔界の成り立ちを聞いたことや、ナドラガンドや魔界で共闘した過去もある。何より、魔仙卿はハノンが最も信頼する相手だ。仲間と呼ぶには抵抗があるが、少なくとも協力者ではある、と。今ではそう呼べる相手となった。
咄嗟に構えた剣を一旦納めるのを見ると、魔仙卿はほっとしたように被り物に手をかけた。呆気に取られているアンルシアを前にしながら、そのまま取り外す。
「……ひとまず中身は、別人とかじゃないようね。」
被り物の中から現れたのは、盟友ハノンの姉にして、エテーネの錬金術師シノン。かつてハノンの時渡りの力によって冥王ネルゲルの襲撃から逃がされてから、様々な時代を移りながらアストルティアの歴史に干渉してきた者。
「それで……何が起こっているのか、説明してくれるかしら。殺し合いとは何なのか。私を含め、この会場にいる人たちはどういう存在なのか。」
今回の件も、シノンが関与していると、確信があった。目の前にいるシノンは他の参加者と違って、首輪をしていない。さらに他の参加者と違って、本物の肉体を持っている。
アンルシアの"勇者の眼"はその真実を映していた。
アンルシアの"勇者の眼"はその真実を映していた。
「分かったわ。ただ、その前にあなたがここに来る前の、最後の記憶を教えてくれるかしら。」
「最後の記憶?」
「ええ。実はあなたがどの時系列から呼ばれたのか分かってないの。大雑把でいいわ。例えば……異界滅神ジャゴヌバは倒した?」
「え……ええ。その後、戦いの立役者の皆でパーティをしていたら、突然ここに呼ばれた……。少なくとも私は、そう記憶しているわ。」
「……そっか。参戦時期はそこなのね。となると、少し説明が必要になるかしら。」
「……?」
聞き慣れない言葉で自己完結しているシノンは、少し考える素振りを見せた後、改めてアンルシアに向き直る。
「実はね、あの後しばらくして……アストルティアは、滅んだのよ。」
「……え?」
簡潔に纏められた一言には、怒りや悔しさ、色んな苦々しい感情が篭っているように思えた。
「ある日、ジア・クトと呼ばれる侵略者たちがアストルティアを襲撃したの。いち早くそれに備えていたハノンたちがその対処に当たっていたんだけど……予測外の出来事に遭って、アストルティアは敗北した。」
「予測外の出来事……?」
「異世界からやって来たジア・クトがアストルティア襲撃の際に送り込んだ、ふたつの世界の産物のことよ。
……ポケモンと呼ばれる機械生命体の群れと、巨大な一体の超生物ラヴォス。
プクリポの英雄フォステイルにも予言できなかったこれらの要素が決め手になったわ。」
……ポケモンと呼ばれる機械生命体の群れと、巨大な一体の超生物ラヴォス。
プクリポの英雄フォステイルにも予言できなかったこれらの要素が決め手になったわ。」
「そんな……。」
疑問は何も解消していない。
だというのに、絶望に足る事実だけが突き付けられる。
だというのに、絶望に足る事実だけが突き付けられる。
……それに気を取られている場合では無い。
もっと現状を確かめなければ。
もっと現状を確かめなければ。
「生き残ったのは私だけ。……ハノンがまた時渡りの術を私に使ったの。」
生き残った希望と、ひとりぼっちで取り残された絶望。
その両方が綯い交ぜになったような、そんな表情を見せたシノンは、そのまま続ける。
その両方が綯い交ぜになったような、そんな表情を見せたシノンは、そのまま続ける。
「戦いの中でジア・クトから奪った異世界に行くテクノロジーを使ってみたわ。エテーネではついに実現できなかった、過去を変える方法を探すために、ね。そこでふたつ、分かったことがあった。
ひとつ。アストルティアだけじゃなくて、向かった先の異世界もまた滅ぼされていたということ。
きっと、侵略を生業とするジア・クトの仕業でしょうね。各地に奴らの結晶が残されていたし。
きっと、侵略を生業とするジア・クトの仕業でしょうね。各地に奴らの結晶が残されていたし。
そして、もうひとつ。
いくつか向かった異世界の中で、出会った悪魔たちに教わったの。過去を変える方法について――」
いくつか向かった異世界の中で、出会った悪魔たちに教わったの。過去を変える方法について――」
そして、シノンは詳しく語り始める。
過去を変える方法。
時間に干渉するだけの力を秘めた、人の感情から得られる結晶――真理念について。
時間に干渉するだけの力を秘めた、人の感情から得られる結晶――真理念について。
「……悪魔に力を借りるのが危険なのは分かってた。だけど、アストルティアを救うためには手段なんて選んでいられなかったの。」
それは、"おそろしいもの"になりはてた、シノンという人間の末路だった。
アストルティアを救うという大義の下で、彼女は手段を選ばない。アストルティアと魔界の結束を深めさせるために魔瘴に呑まれたジャディンの園は、彼女が背負った罪の一つだ。
アストルティアを救うという大義の下で、彼女は手段を選ばない。アストルティアと魔界の結束を深めさせるために魔瘴に呑まれたジャディンの園は、彼女が背負った罪の一つだ。
それでも彼女を咎められないのは、自分が救われた世界の上にフリーライドしているだけで、代わりの手段なんて提示できなかったからだ。
それがどれだけ倫理から逸れた方法であったとしても、彼女の一手は確かに、世界を救う。
それがどれだけ倫理から逸れた方法であったとしても、彼女の一手は確かに、世界を救う。
「……その是非は私が決められるようなことじゃない。ひとまず、アストルティアに起こったことは理解したわ。
でも、まだ分かっていないことがある。」
でも、まだ分かっていないことがある。」
アンルシアがこの場で、最も疑問に思っていること。
勇者の眼が映した、人ではない命の――自分の正体は、何なのか。
勇者の眼が映した、人ではない命の――自分の正体は、何なのか。
「……ええ、分かってる。全部話すわ。
あなたたち、記憶存在<クローン>の存在について。」
あなたたち、記憶存在<クローン>の存在について。」
そう言うと、シノンは伏し目がちになりながらも、話し始めた。
「真理念は、人が強い感情と共に流した涙の中に宿る。
それは分かったけれど……差し当たっての問題として、それを手に入れるには、入手元となる人間が居ないという事実が立ち塞がったわ。
それは分かったけれど……差し当たっての問題として、それを手に入れるには、入手元となる人間が居ないという事実が立ち塞がったわ。
双子の悪魔、メフィスとフェレスが真理念を手に入れられなかったのもそれが理由。
人間が生きていた世界は、どこも滅ぼされていたからね。
人間が生きていた世界は、どこも滅ぼされていたからね。
だから私は……幾つかの世界のテクノロジーを組み合わせた、ある手段を使うことにした。
世界にはね、意思が宿ってるの。生き物や大自然……あらゆる命の流れを、世界は記憶している。
それは世界ごとに様々な名称があったわ。アストルティアでは創生のチカラ辺りがいちばん近い概念かしら。ひとまず、私たちはある世界での呼び名に倣ってこう呼ぶことにしたの。
それは世界ごとに様々な名称があったわ。アストルティアでは創生のチカラ辺りがいちばん近い概念かしら。ひとまず、私たちはある世界での呼び名に倣ってこう呼ぶことにしたの。
――"ほしのきおく"、と。
結論から言うとね、今のアンルシアさんを含めて、この殺し合いの参加者たちは皆、このほしのきおくを実体化させることで造られた存在。
その世界にかつて居た者の記憶と能力を再現したその存在を、私たちは記憶存在<クローン>と呼んでいるわ。
その世界にかつて居た者の記憶と能力を再現したその存在を、私たちは記憶存在<クローン>と呼んでいるわ。
本人の感情をなぞった記憶存在から抽出した真理念で、世界が滅ぶ前の過去を改変して世界を救う。これが世界再生の儀の全貌よ。」
世界再生の儀の説明を聞き終えたアンルシアは、何も言い出せなかった。
本物のアンルシアは既に死んでおり、ここにいる私は記憶存在という、言うなれば偽物だという事実。けれど、実際に自分が抱いている感情は、紛れもなく本物が抱いていたものと遜色ない、人間としての感情であるはずだ。
「……こんなの、残酷だわ。」
「……ええ、分かってる。」
と、浮かんだ感想をそのままぶつけた。
つまるところ、シノンから殺し合いを強制されているというのは事実であり、恨みつらみももっと浮かんでくるべきなのだろう。
けれど、シノンの行動原理――滅亡したアストルティアを救いたい。その気持ちは、私も同じだ。
つまるところ、シノンから殺し合いを強制されているというのは事実であり、恨みつらみももっと浮かんでくるべきなのだろう。
けれど、シノンの行動原理――滅亡したアストルティアを救いたい。その気持ちは、私も同じだ。
何より――アストルティアを救うために自らの手を汚す決断をしたシノンと、その覚悟すらないのに救いたいという気持ちだけで、何も差し出そうとしない自分。シノンを間違っていると断ずる権利なんて、無いのだろう。
「……私に、何ができるかしら。」
「そうだね……。酷なお願いなのは分かってるけど……この殺し合いのジョーカーとして記憶存在たちの絶望を煽る結果に導いてほしい。」
――絶望を煽る。
具体的には言わなかったが、必要とあらば記憶存在を殺すということだろう。逆に、生き残らせた方が絶望をもたらす相手であれば、見逃す可能性もある。とても勇者のやり方だなんて言えない所業だけれど。
刀を握った手から、じわりと汗が滲み出る。これが、世界を救うために何かを犠牲にするということ。シノンが魔仙卿として乗り越えた覚悟が、今度は私に試されている。
「分かった、やるわ……。」
造られた存在だから犠牲にしていい、なんて。
そんな免罪符で許されようとは思っていない。
そんな免罪符で許されようとは思っていない。
だけど勇者として、アストルティアを救いたい。
その気持ちは本物だ。
その気持ちは本物だ。
きっと、彼女なら。
――魔勇者アンルシアなら、世界を救うために迷わず剣を取る。
彼女の立ち位置を奪ってここにいる私は、彼女にだけは迷う姿を見せてはいけない。
――魔勇者アンルシアなら、世界を救うために迷わず剣を取る。
彼女の立ち位置を奪ってここにいる私は、彼女にだけは迷う姿を見せてはいけない。
「ありがとう、アンルシアさん。
……誰か来るかもしれないから、私はいったん会場を出るわ。また機会があれば、接触しましょう。」
……誰か来るかもしれないから、私はいったん会場を出るわ。また機会があれば、接触しましょう。」
そう言ってシノンは、先ほどの古砂夢と同じようにルーラストーンを掲げ、飛び去っていく。
そして、残された私は、改めて、この殺し合いに向き合うこととなる。
――ただ一人、この殺し合いの真実を知る者として。
本当に、できるだろうか。
記憶存在が偽物の生命だとしても、抱いている感情は本物で、しかも相手は自分をただの人間だと思っている。だとすれば、それは本物の人間と、何が違うと言うのだろう。
――まだ、答えは出そうにない。
それでも、時はすでに動き始めた。
【B-1/平野/一日目 深夜】
【ルッカ@クロノ・トリガー】
[状態]:健康
[装備]:ミカンのクロスボウ@まちカドまぞく
[道具]:基本支給品、不明支給品0〜2
[思考・状況]
基本行動方針:この殺し合いの裏側を突き止める。
1.どうして私、生きてるの?
【ルッカ@クロノ・トリガー】
[状態]:健康
[装備]:ミカンのクロスボウ@まちカドまぞく
[道具]:基本支給品、不明支給品0〜2
[思考・状況]
基本行動方針:この殺し合いの裏側を突き止める。
1.どうして私、生きてるの?
※ED1、「時の向こうへ」終了後、本ロワオリジナルの経緯を辿り死亡した後の参戦です。
【D-6/市街地/一日目 深夜】
【フトゥーAI@ポケットモンスター バイオレット】
[状態]:健康 メフィスによる魂の改造後
[装備]:テラパワーアーム@クロノ・トリガー
[道具]:基本支給品、モンスターボール(ミライドン)&テラスタルオーブ@ポケットモンスター バイオレット、不明支給品0〜2
[思考・状況]
基本行動方針:参加者ヲ殺害シ、絶望ヲモタラス。
1.世界再生ノ儀ヲ成功サセル。
2.……。
3.
4.フ■■ーA■は■れ■■■うつ■り■■い。
【フトゥーAI@ポケットモンスター バイオレット】
[状態]:健康 メフィスによる魂の改造後
[装備]:テラパワーアーム@クロノ・トリガー
[道具]:基本支給品、モンスターボール(ミライドン)&テラスタルオーブ@ポケットモンスター バイオレット、不明支給品0〜2
[思考・状況]
基本行動方針:参加者ヲ殺害シ、絶望ヲモタラス。
1.世界再生ノ儀ヲ成功サセル。
2.……。
3.
4.フ■■ーA■は■れ■■■うつ■り■■い。
※参戦時期は「不明」です。ザ・ホームウェイクリア後に本ロワオリジナルの経緯を辿った本物のフトゥーAIは、フェレスによって死亡しました。ランダムな参戦時期の状態で記憶存在として生誕後、参戦時期が死亡後だった場合に世界再生の儀を邪魔されることを危惧したメフィスに魂の改造を受けました。
【世界の端っこ/一日目 深夜】
【アンルシア@ドラゴンクエストXオンライン】
[状態]:健康
[装備]:宰相のサーベル@ドラゴンクエストXオンライン
[道具]:基本支給品、不明支給品0〜2
[思考・状況]
基本行動方針:参加者たちの絶望を深める。
1.世界再生の儀に協力する。
2.ハノンとは戦いたくない。
※参戦時期は、ver5エンディングの最中です。
【アンルシア@ドラゴンクエストXオンライン】
[状態]:健康
[装備]:宰相のサーベル@ドラゴンクエストXオンライン
[道具]:基本支給品、不明支給品0〜2
[思考・状況]
基本行動方針:参加者たちの絶望を深める。
1.世界再生の儀に協力する。
2.ハノンとは戦いたくない。
※参戦時期は、ver5エンディングの最中です。
【支給品紹介】
【ミカンのクロスボウ@まちカドまぞく】
ルッカに支給。
陽夏木ミカンが魔法少女になった際に用いるクロスボウ。片手で扱うことができる軽さに加え、矢には魔力を込めて撃つことができる便利さを併せ持っている。
【ミカンのクロスボウ@まちカドまぞく】
ルッカに支給。
陽夏木ミカンが魔法少女になった際に用いるクロスボウ。片手で扱うことができる軽さに加え、矢には魔力を込めて撃つことができる便利さを併せ持っている。
【モンスターボール(ミライドン)&テラスタルオーブ@ポケットモンスター バイオレット】
フトゥーAIに支給されたミライドンとテラスタルオーブ。アオイがライドできる方の個体ではなく、楽園の守護竜として立ち塞がった方のミライドンである。
技は、イベント戦で扱っていた「はかいこうせん/じゅうでん/ちょうはつ/パワージェム」に加え、Lv.72以下のレベル修得技も全て覚えている。
テラスタルタイプはでんき。
フトゥーAIに支給されたミライドンとテラスタルオーブ。アオイがライドできる方の個体ではなく、楽園の守護竜として立ち塞がった方のミライドンである。
技は、イベント戦で扱っていた「はかいこうせん/じゅうでん/ちょうはつ/パワージェム」に加え、Lv.72以下のレベル修得技も全て覚えている。
テラスタルタイプはでんき。
【テラパワーアーム@クロノ・トリガー】
フトゥーAIに支給。
本来はロボが装備できる武器。
FF9の装備品のように、アビリティとして"ロケットパンチ"を飛ばすことができる。
フトゥーAI以外が扱う場合のアビリティ適正はお任せする。
フトゥーAIに支給。
本来はロボが装備できる武器。
FF9の装備品のように、アビリティとして"ロケットパンチ"を飛ばすことができる。
フトゥーAI以外が扱う場合のアビリティ適正はお任せする。
【宰相のサーベル@ドラゴンクエストXオンライン】
アンルシアに支給。
ウルベア地下帝国の宰相グルヤンラシュが用いていた剣。原作では、見た目用の装備で性能はどうのつるぎ以下の武器であるが、本ロワでは見た目相応の殺傷力を有しており、オリジナルの効果を持つ可能性がある。
アンルシアに支給。
ウルベア地下帝国の宰相グルヤンラシュが用いていた剣。原作では、見た目用の装備で性能はどうのつるぎ以下の武器であるが、本ロワでは見た目相応の殺傷力を有しており、オリジナルの効果を持つ可能性がある。
◆
殺し合いの会場の地中深く。そこに配置された球体状のドームには人一人分の空間があり、複雑な回路を形成する無数の装置が並んでいる。
その中には、ぶつぶつと不平を零しながらその装置を操作する一人の記憶存在の姿があった。
「はぁ……よう、やく……調べ終えた……。」
そのドームの正体は、地球外惑星エラメアに遺産として伝わる情報収集機械、"ビシャホラ"。
殺し合いの開催にあたり、参加者たちの名簿を作る必要があった。
しかし、ほしのきおくの段階では、どの人物のかたち・記憶を以て顕現するかが不明であったため、事前に参加者名簿を作成することはできなかった。
各世界で起こった出来事の中心人物は、ほしのきおくとして強く残っているため、顕現の可能性が高かった。そのためあらかじめ予測をつけ、名簿の大部分を作っておくことはできたが――そこから漏れていた14人の人物については、殺し合いが始まってから誰であるのかを特定するしかなかったのだ。
しかし、ほしのきおくの段階では、どの人物のかたち・記憶を以て顕現するかが不明であったため、事前に参加者名簿を作成することはできなかった。
各世界で起こった出来事の中心人物は、ほしのきおくとして強く残っているため、顕現の可能性が高かった。そのためあらかじめ予測をつけ、名簿の大部分を作っておくことはできたが――そこから漏れていた14人の人物については、殺し合いが始まってから誰であるのかを特定するしかなかったのだ。
「この私にここまで働かせたんだから、ちゃんと成功させないと許さないわよ、ホント……。」
殺し合いの開始から2時間後。
記憶存在"アイラ・マシェフスキー"は収集した参加者たちの情報をビシャホラを介して送信する。
記憶存在"アイラ・マシェフスキー"は収集した参加者たちの情報をビシャホラを介して送信する。
それを受信し、参加者たちに配られた名簿に、じわじわとこれまでに無かった顔と名前が浮かび上がってきた。
〇アウラ
〇アオイ
〇アンルシア
〇イルーシャ
〇大鳥希
〇ガーネット
〇カエル
〇クオード
〇クジャ
〇クラベル
〇クロノ
〇黒のワルツ3号
〇ジタン
〇シュタルク
〇スグリ
〇スタイナー
〇ゼイユ
〇ソリテール
〇タロ
〇千代田桃
〇777
〇ナラジア
〇ネモ
〇幡田みらい
〇幡田零
〇ハノン
〇陽夏木ミカン
〇ビネガー
〇ビビ
〇姫浦瀬良
〇広瀬岬一
〇広瀬凪
〇フェルン
〇深瀬黒
〇藤波木陰
〇フトゥーAI
〇不動寺小衣
〇フリーレン
〇ベアトリクス
〇ペパー
〇ボタン
〇マーヤ
〇魔王
〇マハト
〇恵羽千
〇吉田優子
〇吉田良子
〇リーニエ
〇リコ
〇リコデムス=ハーリアトロ
〇リュグナー
〇ルッカ
〇アオイ
〇アンルシア
〇イルーシャ
〇大鳥希
〇ガーネット
〇カエル
〇クオード
〇クジャ
〇クラベル
〇クロノ
〇黒のワルツ3号
〇ジタン
〇シュタルク
〇スグリ
〇スタイナー
〇ゼイユ
〇ソリテール
〇タロ
〇千代田桃
〇777
〇ナラジア
〇ネモ
〇幡田みらい
〇幡田零
〇ハノン
〇陽夏木ミカン
〇ビネガー
〇ビビ
〇姫浦瀬良
〇広瀬岬一
〇広瀬凪
〇フェルン
〇深瀬黒
〇藤波木陰
〇フトゥーAI
〇不動寺小衣
〇フリーレン
〇ベアトリクス
〇ペパー
〇ボタン
〇マーヤ
〇魔王
〇マハト
〇恵羽千
〇吉田優子
〇吉田良子
〇リーニエ
〇リコ
〇リコデムス=ハーリアトロ
〇リュグナー
〇ルッカ
「本当にサイアク……。私が死んでるってのも、地球が既に滅んでるってのも、ウソじゃなかったし……。」
シノンが異界アスタルジアと呼ばれる世界から手に入れた、ほしのきおくを実体化させる技術。その実験段階で顕現した記憶存在の中の一部は、世界再生の儀に協力の姿勢を示した。アイラもその一人、殺し合いの参加者ではない記憶存在である。
「大体あのジジイ、人が役目のためなら何でもするって思ってんのがムカつくっていうか……。」
アイラの役目は、名簿の完成のみではない。
ビシャホラを通じて殺し合いを監視することにある。
ビシャホラを通じて殺し合いを監視することにある。
50人分の動きをリアルタイムにモニタリングし、聞こえてくる音声まで聞き分ける。脳の処理がパンクしかねないマルチタスクの極みだ。
ビシャホラを扱えるからと押し付けられたハードワーク。それだけでも、やりたくない要素だらけだというのに。
「……はぁ、仕方ないわね。やってやるっての、ええ。」
友人を模した記憶存在を絶望に沈めるその過程を監視する。地中の奥深くに潜む監視者は、訪れるであろうその時に、憂鬱そうにため息をついた。
◆
殺し合いの会場は、かつて滅んだ幾つもの世界の光景や施設が混ざり合って存在している。そこは、ほしのきおくの残滓が強く残っているパワースポットのような場所だった。
かつて、この地はこう呼ばれたことがあった。
――"記憶の場所"、と。
「崩壊とは、病のようなものだ。」
記憶の場所の管理者、ガーランドは崩壊した世界を見下ろしながら、誰に対してでもなく呟いた。
「あらゆる命は、記憶で繋がっている。
全く異なる言語体系の世界を生きた者たちが、ガイアの記憶に満ちるこの場所では同じ概念を言語コミュニケーションにより共有できるように。
全く異なる言語体系の世界を生きた者たちが、ガイアの記憶に満ちるこの場所では同じ概念を言語コミュニケーションにより共有できるように。
記憶を有する世界もまた、ひとつの崩壊に反応したかの如く、連鎖的に同じ道を辿ることとなったのだ。
……しからば、世界の再生もまた、連鎖的に発生させることの可能な事象であるはず。」
世界再生の儀の成功は、すなわちテラの復興という悲願の達成される時。
――ああ、どうか我らがテラに、祝福を。
◆
――ラプラス。
この殺し合いの先――未来を予測した。
その刃が、その魔法が、その夢が、その願いが。
一体、何処からやって来て、どこへ向かうのか。
その刃が、その魔法が、その夢が、その願いが。
一体、何処からやって来て、どこへ向かうのか。
人の脳細胞の作用さえも予測した、一切の綻びの無い未来のシミュレート。それが古砂夢の魔法の真骨頂。たった今、未来は確定した。
◆
燦燦と降り注ぐ光の粒子が街を照らす。
そんな眩しい光を遮るように、少年は手のひらを目の上に当て、街を一望する。どことなくそわそわとした様子で街路灯に背を預けた。
そんな眩しい光を遮るように、少年は手のひらを目の上に当て、街を一望する。どことなくそわそわとした様子で街路灯に背を預けた。
街の人々は、そんな彼に興味などなく、見向きもせずに歩いていくのみだ。少年を置き去りにした街の喧騒。
「あっ……。」
その中に掻き消えてしまうほどに、小さなか細い声だった。少年の耳にも、その声はきっと届いていないのだろう。しかし近付いてくるその少女の姿を見つけた少年は、街路灯から背中を離し、彼女の方へと向き直った。
「お待たせ、クロ。」
と、待ち合わせの時間に遅れてやって来た少女。
「遅いぞ。」
「ごめんごめん……。」
「ごめんごめん……。」
少年は声のトーンを落として気だるげに諌める。
謝っている少女が身に纏っているのは、昨日の夜に時間を費やした選りすぐりのワンピース。また、それは今日の寝坊の原因の主犯格でもあった。申し訳なさの反面、心待ちにしていた時間の到来に嬉しさが隠しきれていない。「本当に反省してるのか」と皮肉を添えながら、少年は溜め息を漏らす。しかしそれは、吊り上がりそうになる口角を悟られないようにする必死の照れ隠しでもあった。
「それで……どこに行くんだ、夢。」
「ふふ……どこだと思う?」
「ふふ……どこだと思う?」
やり取りを交わす少年たちの間には、悪意も魔法も、介在する余地なんてありはしない。死というタイムリミットを意識するのも、きっと数十年は後の話だろう。少なくともこの瞬間は、この幸せな時間を悠久にすら感じられる。世間一般が言う幸せというものを確かに掴んだ少年少女が、時を重ねるにつれて次第に日常へと変わっていくその過程。一般的には青春と呼ばれる特別なひと時を、謳歌していた。
それは、あまりにもありきたりな物語の1ページで。
されど救いと呼ぶには、そして希望を謳うには、十分すぎる一幕だった。
◆
「そっか、世界は再生するんだね。」
悪意の象徴、Ib(インスタントバレット)。そんなありきたりな幸せを掴めなかったが故に開花した力。
古砂夢の幻視した光景は、必ずや生じる結末である。この殺し合い――世界再生の儀は成功する。そして新たに生まれた世界は、滅ぶ原因となった事象を排除した、ハッピーエンドに至るための選択肢を選び取ることができたのだろう。それは針の糸を通すような奇跡の果てなのかもしれない。大好きな人たちが、最初から悪意に呑み込まれることもなく、笑顔でいられるだけの理想的な世界。
古砂夢の幻視した光景は、必ずや生じる結末である。この殺し合い――世界再生の儀は成功する。そして新たに生まれた世界は、滅ぶ原因となった事象を排除した、ハッピーエンドに至るための選択肢を選び取ることができたのだろう。それは針の糸を通すような奇跡の果てなのかもしれない。大好きな人たちが、最初から悪意に呑み込まれることもなく、笑顔でいられるだけの理想的な世界。
そんな、綺麗な世界に居られるなら、なんて幸せなんだろう、なんて。
もはやどうしようもないほどの、反実仮想を吐き出した。
もはやどうしようもないほどの、反実仮想を吐き出した。
その未来は、確定的に訪れるのに。
その世界は、絶対的に約束されているのに。
その世界は、絶対的に約束されているのに。
「……羨ましい。」
私には。私にだけは、その幸福は絶対に訪れない。
何故なら。
ラプラスが見せた光景の中にいる幸せな少女は――"古砂夢"は、私じゃないから。
ラプラスが見せた光景の中にいる幸せな少女は――"古砂夢"は、私じゃないから。
――2008年3月31日、古砂夢の人生は幕を閉じた。
アカシックレコードに刻まれた運命をなぞるように、当然のごとく与えられた死。彼女が産まれた時から、否、産まれる遠い昔から、その結末は決まっていた。
そう、決まっていたのだ。死に様も――そして、生き様も。結末が変わらなかったように、その過程にも何も変化の起こる余地はなかった。魔女は、世界の終末のその先、世界再生の儀を知ることもなく、多幸感の中魔法を失って、弾丸に頭を貫かれ死んでいった。
生前、確かに時間旅行<タイムトラベル>の力で異なる時代を訪れたことこそあれ、その時には異世界の住人などというイレギュラーとは誰とも出会うことなどなく。予定調和のまま、終わりまでの僅かな時を過ごしたのだった。
生前、確かに時間旅行<タイムトラベル>の力で異なる時代を訪れたことこそあれ、その時には異世界の住人などというイレギュラーとは誰とも出会うことなどなく。予定調和のまま、終わりまでの僅かな時を過ごしたのだった。
つまり、だ。
世界再生の儀の始まり。
殺し合いの開催を宣言した、"古砂夢"を名乗った少女は当然に、異なる時代からやってきたタイムトラベラーなどではなく。
殺し合いの開催を宣言した、"古砂夢"を名乗った少女は当然に、異なる時代からやってきたタイムトラベラーなどではなく。
――私も、皆と同じ。世界に刻まれた古砂夢という人間の記憶をベースに、ほしのきおくによって造られた記憶存在だから。
例え世界が蘇ろうとも、そこに生の再誕を受ける少女は、私<クローン>ではない。
例えハッピーエンドが訪れようとも、その中に私<クローン>はいない。
例えハッピーエンドが訪れようとも、その中に私<クローン>はいない。
生まれたその瞬間から、私たち記憶存在は、最大多数の最大幸福のために切り捨てられる1%の側に置かれていた。いずれ世界は私を置き去りに、幸せな物語を紡ぎ始める。その幸福を享受できない私は、ただ暗く淀んだ深淵の底からその景色を眺め、羨望の目を向けるだけ。
――私は、"古砂夢"が憎い。
私と同じ姿かたちをしている、ただ、記憶存在として生まれたかどうかの違いだけ。それなのに、世界再生の儀の後に幸せを掴むことができるかどうか、私と決定的な隔たりがある。
あれを"私"と同一の存在だと思い込めれば良かったのかもしれないけれど、悪意の魔法が見せた光景の中で幸せそうに笑う"彼女"は、"私"の外にある存在でしかなくて。
『――まずは自己紹介からさせてもらうよ。私は古砂夢。『時間』のib(インスタントバレット)……なんて言っても君たちのほとんどには通じないだろう。魔法使いとか青魔道士とか魔法少女とか、各々の近しい概念で定義してくれればそれでいい。そこはさして重要じゃないからね。』
私は、彼女が大切にしていた"私"の名前を――恋人だけが知る秘密を――殺し合いの主催者の名として名乗った。きっと参加者たちは、"古砂夢"を憎むべき敵の名前と認識していることだろう。彼女の奥底に秘められた不可侵領域を、土足で踏み荒らすが如き所業。
だけど、その現状にざまあみろと唾棄しながらも、そんな稚拙な八つ当たりで晴れるほど私の鬱憤は軽くない。むしろ虚しさすら湧き出てくるものだ。
だけど、その現状にざまあみろと唾棄しながらも、そんな稚拙な八つ当たりで晴れるほど私の鬱憤は軽くない。むしろ虚しさすら湧き出てくるものだ。
――何故なら。
古砂夢の記憶存在は、未来視の力によって、全て識っていた。分かった上で、力を貸していた。
記憶存在という命未満の命が、ほしのきおくの残滓が強く宿る記憶の場所以外において、如何なる運命を辿るのか。
「……もう時間かあ。もう少しあると思ってたんだけどな。」
と、達観したように笑ってみせれば、少しは満足気にその時を迎えられるような気分にもなってくるだろうか。そう思って作った表情は、少しでも気を緩めると、ぐしゃりと涙に潰れてしまいそうで。
――記憶存在は、殺し合いの会場である記憶の場所以外でその存在を保つことはできない。
そんな世界の理に導かれるまま、私は消えていくのだろう。殺し合いを開始して、記憶の場所を脱出してからは、次第に己の存在が希薄になっていくのを感じる。きっと数分もしない内に――
ラプラスを使うまでもなく分かる、自身の終焉が目の前に迫っていた。
私はこの感情を知っている。
いつもの、ことなんだ。いつもこの想いが、私の人生には隣り合っていた。
来たる死の訪れに怯えながらこの一瞬を生きる感覚なんて、私の中に宿った古砂夢だった頃の記憶が教えてくれるから。
だから、なんてことないんだよ。
「……消えたくない。」
ああ、紡ぎ出す気持ちはどうしようもなく、強がりでしかない。
漏れ出た言葉と溢れ出す涙は、何よりも雄弁に本心を物語っている。
漏れ出た言葉と溢れ出す涙は、何よりも雄弁に本心を物語っている。
「……ねえ、記憶存在たち。みんなを死地に突き落とした私だけは、この言葉を吐く権利なんてないけれど。」
どうか、せめて。
私と同じ、消えゆく運命の記憶存在たちに対しては。
湧き出てくる悪意の中に宿る、一欠片の愛を。
「どれだけ世界が、みんなを踏み台にしていても。どれだけ世界が、残酷なまま蘇ろうとしていても。
それでも、私だけは……」
それでも、私だけは……」
これは、逃避なのだろう。
彼らを自分と同じ、悲しい命だと思わなければ、孤独に押し潰されてしまうから。
彼らを自分と同じ、悲しい命だと思わなければ、孤独に押し潰されてしまうから。
「……愛してる、から。」
愛おしいと、思った。
世界再生の立役者であるのに、新たな世界を生きることすら許されない。帰る場所のない、虚空に消えゆく命。
私もせめて、彼らと一緒に苦しみを共有できたなら、幾分かは報われただろうか。いずれ等しく訪れる終末までのひと時を、最愛の恋人を模した記憶存在と共に過ごすこともできただろうか。
私は、それすらも許されず、ただ皆を殺し合いに送り込んだ主催者として疎まれ、憎しみを向けられて、独り消えていくだけ。誰からも看取られることもなく、誰からも惜しまれることもなく。
世界再生の儀を開催し、成功させる。そんな"役目"だけが私の生きる意味であり、死ぬ理由。
そのために、私は殺し合いの主催者として憎しみを向けられながら消える。向かう先を失った記憶存在たちの憎悪の向かう先は、何処になるのだろう。
そのために、私は殺し合いの主催者として憎しみを向けられながら消える。向かう先を失った記憶存在たちの憎悪の向かう先は、何処になるのだろう。
或いは絶望へと変換されるのかもしれないし、隣人へとその矛先を向けるのかもしれない。
どちらにせよ、私がここで消えるのは、記憶存在たちから真理念を抽出するのに都合が良いということだ。中空では、世界再生という大義名分を持った正義の味方たちが、私の死を待ち望んでいる。私にはいつか帰るところなんてないのだと、彼らの私を見る目が訴えている。
どちらにせよ、私がここで消えるのは、記憶存在たちから真理念を抽出するのに都合が良いということだ。中空では、世界再生という大義名分を持った正義の味方たちが、私の死を待ち望んでいる。私にはいつか帰るところなんてないのだと、彼らの私を見る目が訴えている。
幸せになりたかった。
私がかつて、古砂夢だった頃からずっと。
いつか幸せになれる――名前しか知らない男の子への恋に落ちる、その日を待ち望んでいた。
いつか幸せになれる――名前しか知らない男の子への恋に落ちる、その日を待ち望んでいた。
胸いっぱいの幸せに包まれながら、やっとこの世界から抜け出せたのに。ほしのきおくとなって、安らかなる眠りについたはずだったのに。唐突に、脈絡もなく。"古砂夢"と同じ姿かたちをした記憶存在として無理やり呼び起こされたのだ。
大好きな人の隣にいる未来を私から奪ったこんな世界なんて――
私に幸せを与えてくれない、こんな世界なんて――
私の愛する存在たちを、踏み台として消費し、使い捨てるこんな残酷な世界なんて――
「――もう一度、終わってしまえば、いいのに。」
悪意が募れば募るほど、魔法が見せる目の前の景色は解像度を上げていく。どこかの誰かの幸せに、藻掻くように伸ばした手は次第に消え入り、景色の中に溶けていく。自らの手のひらは、いつの間にか空気と見分けがつかなくなっていた。
そうして間もなく、参加者たちがこの殺し合いの主催者であると認識している少女、古砂夢の記憶存在はこの世界から完全に姿を消した。
大気に溶けて消えたほしのきおくは、二度と元のかたちを取り戻すことはなく、少女の流した涙だけを置き去りに、世界再生の儀は続く。
動き始めた時間は、もう止まることは無い。終末を拒んだ世界の躍動が、再び始まろうとしていた。
――これは、終わった世界の追想録。
"あの日へ帰る"ための、望郷の物語。
"あの日へ帰る"ための、望郷の物語。
【古砂夢@ib-インスタントバレット- 消滅】
◆
「ああ、かわいそう……かわいそうだよ……。」
世界再生の儀を執り行う箱庭の外、崩壊した世界の何処かで、涙を流す存在がそこにあった。
「せっかく世界は、誰もかわいそうじゃない楽園に帰結したのに、記憶存在たちをわざと苦しめて、再生させる世界ではまた、悲しみが生まれる。」
――世界を壊す理由なんて、いつだって一つなんだ。
かつて、悪意を挙げてそう告げた者がいた。
しかし、この存在は、そうではなかった。
しかし、この存在は、そうではなかった。
「異世界でたくさんの"魔族"を食べたから、ポイントは有り余ってる。今度こそ本当のしあわせを、みんなに届けてあげなくちゃ……。」
その影の名は――那由多誰何(なゆたすいか)。
ゲートの導きのまま、世界の終わりの日を観測した少女、ルッカを殺害した張本人であり――善意による世界の終わりを実現した魔法少女である。
【主催者側】
〇ガーランド@FINAL FANTASY IX
〇シノン(主人公の姉)@ドラゴンクエストXオンライン
〇メフィス@Crystar
〇フェレス@Crystar
〇アイラ・マシェフスキー(記憶存在)@ひとりぼっちの地球侵略
〇古砂夢(記憶存在)@ib-インスタントバレット-
〇ガーランド@FINAL FANTASY IX
〇シノン(主人公の姉)@ドラゴンクエストXオンライン
〇メフィス@Crystar
〇フェレス@Crystar
〇アイラ・マシェフスキー(記憶存在)@ひとりぼっちの地球侵略
〇古砂夢(記憶存在)@ib-インスタントバレット-
【破壊者】
〇ジア・クト念晶体@ドラゴンクエストXオンライン
〇パラドックスポケモン@ポケットモンスター バイオレット
〇ラヴォス@クロノ・トリガー
〇那由多誰何@まちカドまぞく
〇ジア・クト念晶体@ドラゴンクエストXオンライン
〇パラドックスポケモン@ポケットモンスター バイオレット
〇ラヴォス@クロノ・トリガー
〇那由多誰何@まちカドまぞく
【会場詳細】
〇記憶の場所@FINAL FANTASY IX
〇記憶の場所@FINAL FANTASY IX
ガイアの記憶(ほしのきおく@ひとりぼっちの地球侵略 と同質のもの)が具現化するほど強く残っている空間。
本ロワの会場は、破壊者たちによって破壊されたFINAL FANTASY IXの世界におけるこの空間である。異世界と接続したことで、全参戦作品の様々な場所の景色が無造作に混ざり合っている。
参加者である記憶存在(読み:クローン)は、この会場内から出ると、2時間ほどで存在を保てなくなり、消滅する。
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| 025:優しくしたいから、僕らは繋がれない。それでも | 時系列順 | 027:流星(前編) |
| 投下順 | ||
| ルッカ | 036:UNDEAD | |
| フトゥーAI | 029:鎮魂の城にて | |
| アンルシア | 037:勇者と侵略者のクエスト | |
| メフィス | ||
| シノン | ||
| アイラ・マシェフスキー | ||
| ガーランド | ||
| 000:オープニング-A Place to Call Home | 古砂夢 | 死亡 |
| 那由多誰何 |