アットウィキロゴ

puzzle game

最終更新:

匿名ユーザー

- view
だれでも歓迎! 編集

puzzle game ◆4EDMfWv86Q



 聞こえるのは、ただ波の音。
 砂浜で潮の満ち引きの漣(さざなみ)が、やけに耳に残っている。
 もとは港町生まれだったからか、磯の香りが懐かしい。
 故郷の姿を僅かに脳裏に掠めながら、スーツ姿の女性は歩いていた。
 紫の髪と同じ、紫紺のスーツを違和感なく着こなす姿は、見ようによっては凛々しい美男にも映る。
 だが、纏う雰囲気は大の男以上に剣呑なものだった。
 適度に体を緩めつつも、戦場の兵士のように周囲への警戒は怠っていない。
 事実、彼女はある組織の兵士としての職に就いている。
 いや、単なる兵士よりもなお強烈で、凄惨な道に身を置いていた。

 バゼット・フラガ・マクレミッツ。
 封印指定執行者。
 世の裏側に隠れ神秘を求める魔導の探求者、魔術師。
 その中で、一代限りの才ある者に送られる最大の栄誉にして厄介の称号、封印指定。
 魔術師同士の協会から逃れたそれらを強制的に、時には命を奪ってでも連行する戦闘集団。
 膨大な数の魔術師のうち30余名ほどしか在籍しない選りすぐりのエリート部隊である。

 そして、長年任務をこなし数々の修羅場を切り抜けてきた彼女は今、かつてない事態に見舞われている。

「幻術下にはない……強制的に転移をさせられたということですか。
 もはや魔術の範疇を完全に逸した―――魔法級の業と見なすほかないですね」

 冷静に状況把握に努めるも、内心には焦燥が立っている。
 余りにも緊急で、余りにも異常で、余りにも不利な状態。
 体内に澱む不安を吐き出すように、口を動かし現状把握に努める。

「とりあえず任務を確認しておきましょうか。記憶の改竄が行われてないという証拠はない。
 私はクラスカード回収の執行者として冬木市に来訪。
 与えられた任務は、現クラスカード管理者の遠坂凛、並びにルヴィアゼリッタ・エーデルフェルトから全てのクラスカードを回収すること。
 ……よし、齟齬はない」

 しかし八枚目のクラスカードの存在が発覚し一時休戦。
 戦闘の折り、首に撃たれた呪印を、腕はいいが性格は最悪のシスターに解呪してもらったが、何故か崩壊したエーデルフェルトの屋敷の修理代を自費で払わせる羽目になり路銀が枯渇。
 道草を食む覚悟で日雇いのバイトを始めたあたりで記憶は途切れている。

「しかしこれだけのイレギュラー、協会側にとっても完全に想定外でしょう。
 彼らが独力でここを看破し事態の解決に乗り出す確率は、まずないと見ていい。
 いや、そもそもまだ失踪に気づいてない可能性すらありえる。
 ゼルレッチ卿ならあるいは可能ですが……どう動くか予想できない以上あまり期待はできないか」

 外部からの救助は絶望的。元より頼る気もない。
 今までと同じく、独力で解決に臨むしかあるまい。


「いずれにしても、ここで死ぬ気はない。何としてでも生き残らなければ」

 バゼットとてこんな場所で無駄死にはしたくない。
 死にたくないという欲求も人並みにはある。
 生還するために自分に可能で、そして最も単純な選択は―――

「優勝、ですか」

 この場に集う参加者を全て殺し、勝利者となること。
 それがアカギという男の提示した、唯一の勝利条件。
 信ずるに値するかはかなり怪しいが、だからといって無意味に生き残りを殺すとも思えない。
 わざわざ『儀式』と銘打った以上、これには必ず何らかの意味があるはずだ。
 魔術師であるバゼットにとって儀式とは聞き慣れた単語だ。
 形式は様々だが、そこに一つの結果を求めるものであることは共通している。
 そして大規模な儀式ほど多くの術師、魔力、供物を必要とする。

「蠱毒という術でしたか。
 大量の毒蟲を壺に詰め互いを殺し合わせ、最後に残った一匹に大きな力を付与する東洋の妖術。
 状況だけを見れば、これとひどく近似している」

 これはあくまで一例だが、やはり何らかの結果を求める儀式には違いない。
 島一つを完全に隔離し、参加者は全て強制連行、更には戦いを逃れられないよう呪術までも仕込んでいる。
 これだけの大がかりの準備をして無償で済むはずがない。
 相手方としては、何としても望む結果を欲しているはずだ。
 満足のいく結果を出し期限を損ねることなく勝つ、という必要もあるということか。

 彼女は任務に忠実だ。そして任務の対象、その障害には一切の容赦がない。
 例え年端もいかない女子供であろうと、敵対関係と判断すれば即時排除に移る。

「出切れば全て殺しを厭わない徒であればいいですが……そうはいかないでしょうね」

 バゼット本人の気質は、本来冷酷でも残虐でもない。
 相手が魔術師であり、そして上からの任務であればこそ、彼女は無心で事にあてていられた。
 しかし、突然意図せぬ事態により繋がれていた鎖が切れてしまった場合、彼女自身でどう判断すればいいのかはわからなくなってしまう。
 今の彼女の行動理由も、あくまで任務に復帰するためにでしかない。
 任務以外での生活において、とにかく彼女は不器用なのだ。


「……いけない、任務に集中しなければ」

 心に迷いを抱いたままで勝てるほど甘い戦いとは思わない。
 ざっと見渡した中で、参加者には明らかに人間とは思えない相手も複数いた。
 更にはクラスカードの英霊と思しき存在もいたのだ。
 雑念を捨て、後ろを振り返る。
 月に照らされた広大な空間。
 陸よりも高い位置にあり、時折緩やかに足場が揺れている。

「船、ですか」

 現在バゼットがいる場所、そこは船の甲板のブリッジだった。
 船といっても、漁船や船舶の類ではない。
 材質は固く、砲身が見え、艦首には大砲らしき形状をしている。
 バゼットの知識にはないものだが、それは戦艦と呼べるものだった。

「世界の技術は日々進歩していますね。これでは魔術が効率的に劣ると言われるのも肯ける」

 操舵技術を持っていれば戦力になるだろうが、生憎バゼットにその技術はない。
 それに、船とは閉鎖された巨大な密室空間だ。
 中に引きこもる分には便利だが、そんな臆病な選択肢は初めから考慮に与えられてない。
 よって、船が動く前に陸に上がるべきだ。
 ブリッジを後にし、清潔な白色の船内へと入り込む。
 人の気配はないが油断はしない。歩調を乱さず自然体で進む。
 そう、乱れといえば、体の不調もそうだ。

(……魔術回路の巡りが悪い。それに心なしか体が重い。この呪印のせいですか。厄介だな)

 魔術師が魔術師である所以の機能。
 魔力を生み出し体内に巡らせるための擬似神経に異常が感じられる。
 加えて、肉体にも何らかの不調―――重圧のようなものがかけられている。
 拳での直接戦闘を基本とするバゼットにとって前者はそれほど深刻ではないが、大きな後者は問題だ。
 一分一秒を争う戦闘では命取りとなる危険がある。

「――――――」

 少し進んだところで、足を止める。
 誰か、いる。
 執行者としての経験は伊達ではない。
 物音や話し声といった振動はないが、気配として生物の存在を感じ取った。
 気配の出所は、閉められたひとつのドア。
 ドアに取手はない。自動ドアというやつだろう。
 扉の前に立ち、開かれるのを待つ。


「……」

 十秒待つ。
 扉は開かれない。

「…………」

 二十秒待つ。
 扉は開かれない。

「……………………」

 三十秒待つ。
 扉は、


「シッ――――――!!」

 ばごん、という物理的にヤバイ音をたてて。

 中心部をへこませて錐揉み回転をしながらぶっ飛んだ。


 バゼット・フラガ・マクレミッツ。
 四十秒を待つことができない、日常生活においてとにかく不器用な女である。


 震脚で砕けた地面も、枠から外れたドアも気にせず、何事もなかったかのように足を踏み入れる。

「……籠城しようというなら無駄なことです。この通り扉は粉砕しました」

 果たして、力のない一般人が震えて隠れていたという発想に至ることはなかったのか。
 こんな現れ方をすれば、十中八九危険人物、それどころか殺し合いに乗ったと誤解されても仕方ない。
 当のバゼット本人はそれについて気づきもしなかったが。

「……失礼しました。開けようとしたのでが、扉の操作に手間取ってしまいまして」

 しかし、そんな神の視点からの不安は杞憂に終わり、更には冷静に弁明まで返してきた。

 その男の印象を一言で表すなら、何も描かれていない真っ白なミルクパズルだろうか。
 頭髪から、上下の服までが白で統一された姿。
 運動もしてないのか体つきは小さく、心なしか肌も白い。
 白と透明は違う、世界は決して白色ではない。
 白い男の存在は、周囲の黒(あく)を糾弾するように世界を塗り潰していた。

「私の名はニアといいます。貴女の名前もお聞かせ願いたいのですが」

「……バゼット・フラガ・マクレミッツです」

 船の中心部に位置することと、機材の多さからして、バゼットはここが操縦室だと推定した。
 その前面、恐らくオペレート席に足を抱えて座り、癖毛をいじりながら、白服の男―――ニアは名を名乗った。

「ではミスバゼット、ここでの貴女の行動方針をお聞かせ下さい」

 直球、しかし重大な意味を持つ質問だ。
 この答え次第で己の行動や命がかかっていると分かった上でなら、ある意味豪胆である。

「何においても生還することです。まだ私には任務が残っていますので」

「成る程、私と同じですか」

「貴方も、任務中に此処へ?」

「ええ。私の場合は任務というより己の意思ですが、決して捨てるわけにはいかない使命です」

 その目には不屈の精神、己の正義を疑わぬ信念が宿っている。
 この手の相手は簡単に考えを改めることがないことをバゼットは知っている。
 決断は、早かった。

「そうですか。ならば―――貴方は私の敵か」

 拳を上げファイティンポーズを取る。
 それに対しニアは体を動かさない。
 肉体的に優れているわけではないのは体つきを見ても明白だ。
 それでもバゼットが警戒の念をなくさないのは、彼女も多くの魔術師を屠ってきた戦闘者であるが故だ。
 肉体の優劣などを頼みとせず、磨いた魔術で挑むのが魔術師だ。
 目の視線、指の動き、マナの励起を片時も置かず注視する。

「……それは、貴女は全員を殺して勝ち残るという選択肢を取ると?」

「それしか手段が残されていないのであれば、そうしましょう」

 目的のためなら選択を問わない。魔術師にとって必要な冷徹さだ。

「つまり、脱出の手段があるならそちらに移る余地もあると」

「そのような手段があるとでも?」

 含みのある言い方をするニアに問いかけるバゼット。
 それを待ち構えていたように、ニアは傍のボタンに手をかけた。
 すると、正面のモニターに大きな画像が表示される。
 細かく文字が書かれ専門的な知識が必要なものありバゼットには理解できない。
 分かったのは、これが何かの設計図だということだ。

「この船の名称は斑鳩というそうです。
 なんとも馬鹿らしいものですが―――空中飛行ができる戦艦、だそうです。
 もっとも今は機関部をいじられてるようなので武装も没収、飛行は現状不可能で航行も低速でしか動けないようですが」

「それでは意味がない。ただ海に出るだけでここを出られるはずがない」

「はい、それは同感です。
 しかし海上に位置する船というアドヴァンテージは大きい。
 脱出に使う以外にも脱出派の拠点とすることも可能ですし、私もそう利用しようと思っています」

「……希望的観測ですね。そう上手く事が運ぶとは思えない」

 一箇所に集まるよう呼びかけて協力できるなら苦労はない。
 むしろ疑心暗鬼や権力争いでより凄惨な事態になる見込みの方が高いではないだろうか。
 アカギが参加者を意図して選出したのならなおのことだ。


「確率が低いというのなら、優勝することも同じです。
 一般人ならともかく、貴女単独で先ほどの灰色の化け物を倒せると?」

「問題ありません。私なら十分対処できます」

「複数いた場合は?ざっと周りにの人物を見回しましたが、あれと同等の存在がいる可能性はほぼ間違いないと見ていい。
 それに、敵となるのは怪物ばかりではありません。死の恐怖に負け錯乱する者も少なからずいるでしょう。
 無差別に殺し回れば善良なプレイヤーからも反感を買い無用な戦いを招くことになります。
 それら全てと戦うことになっても、命をなくさずに乗り切れると?」

「何が、言いたいのです」

 単なる命乞いではない、何らかの意図があっての言葉の羅列であることは理解できる。
 そしてその考えに自分を引き込もうとしていることも。
 もったいぶる話し方に琴線が揺れ、や高圧的に本題を迫る。

「脱出の計画を私が立てます。その間まで、積極的に他者を襲うのは控えて頂きたい」

「貴方には、それが可能だと?主催者を出し抜くことも、呪印を解くことも」

「さあ。しかし、やらないよりはマシです。
 それに、私が生き残るにはこの方法しかありませんので選ばざるを得ないのです」

 自嘲とも自信とも取れるような言い回し。
 否定的な意見を出し続けるバゼットだが、内心ではこの男の考えに引き込まれていることに気づいた。

「私は貴女の行動に一切の制約を求めません。貴女の思うまま自由に動けばいい。
 障害や敵対する者と遭遇しても制限は課しません。
 ただ、害意がない人物や有益と思しき人物に出会った場合は攻撃せず、私の存在を伝えてくれればいいだけです」

 成る程、つまり広告者の役割を課そうというわけだ。
 バゼット自身、戦いでそう遅れを取ることはない自負はあるし、危害を加えない相手を襲うのは、正直気が引ける。
 宣伝版としては、それなりに適任といえよう。

「……その行為に対する、私への報酬は?」

 別段欲望に駆られたわけではないが、確認のためだ。
 協力するに足るメリットを知りたいという、打算的な面から訪ねた。

 その言葉を待っていたとばかりに、ニアの口元が上三日月に動く。
 それは釣り針に魚がかかったのを感じたような、勝利の笑みだった。

「脱出の算段が立った場合、優先的に貴女を保護し乗船する権利を」

 予想していた通りの答え。
 その分、反論する弁を考えつかなかった。

 バゼットは任務を実行する側であり、発案、構築する側ではない。
 それらは上に任せきりでいたため、駆け引きには疎いものがある。
 結果、いつの間にか会話のイニシアチブを取られ、主導権を明け渡してしまっていた。
 つまり、交渉に持ち込まれた時点でバゼットの不利は決まっていたのだ。

「……いいでしょう。一考するには値する提案です。
 しかし現時点では信任するにはまだ材料が足りません。場合によれば反故にすることもありますが、それでもよろしいと?」

 出会って五分も経たずして、それも殺し合いが始まり一時間もない状況で自身の性質を見抜き計画を提案した観察眼と冷静さ、頭の回転の速さ。
 味方にしておく上でのメリットはあると、バゼットは判断した。

「ええ、構いません。私としても初対面でそこまで信頼を得られるとは思っていませんので。
 それでは、交渉成立ということで」

 そう言って、手を差し出すニア。
 どうやら、契約の代わりというわけのようだ。
 警戒する要素がないことを確認した後手袋を脱ぎ、白い華奢な手の平を握り返した。


 ■               □               ■


「ひとまず……第一段階は突破しましたね」

 毛先をいじくりながら、外に出ていくバゼットを見送る。
 ひとまず会場を回っていき、情報を集めるという方針で動いてもらうことになった。
 交渉の成果は、開始直後にしては及第点といったところだ。
 初期位置も移動できる船の司令室というのが、自分の足で動くことを不得手とするニアには都合がいい。
 路上の真ん中に放置されるよりはよほど幸先のいいスタートといえるだろう。

 先に言った通り、ニアの目的はここからの脱出にある。
 生に執着があるわけではないが、それでもこんな場所で死んでいくのは御免だ。
 せめてキラ―――夜神月の敗北を突きつけた後でもなければ、死んでも死にきれない。

 殺し合いを是としない者を集め、人材を集め、知識を結集させ、脱出のプランをまとめあげる。
 この船がそうであるように、この会場には明らかなオーバーテクノロジーが詰め込まれている。
 いかにニアといえども、これらを短時間で理解するには骨が折れる。
 今のところは監視モニターと船内放送ぐらいのものだ。

 アカギという男に挑み倒されたオルフェノクという化け物、瞬く間にこの場に瞬間移動させられたこと。
 『死神』という存在を認知ていたニアだからこそ、ある程度までは落ち着き払うことが可能だった。
 数多の時間、空間という可能性宇宙のひとつひとつと言っていたが、なるほど死神に死神界なる世界があるならそれ以外の世界があっても不可解ではない。
 それなら、この船についても知識を持つ人間がいるのではないか。ニアの発想はそこである。
 技術者などと手を組めれば、システムの復旧は飛躍的に進行するだろう。

 パチンと、ピースが置かれる音がする。
 隣り合ったピース同士は鋳型が一致し、互いを受け入れて溶け合っていく。
 今ニアは、床にばら撒かれたパズルを組み立ていた。
 その目的はなんのこともない、単なる暇潰しだ。
 どの道システムの把握には時間が必要になり、またそれも殆どがコンピューター操作だ。どうしても手持ち無沙汰になる。
 普段の感覚を取り戻す意味も含めて、こうしてパズルに興じているというわけだ。
 額縁は数種類あり、それに伴うピースの量も膨大だ。しかも、ピースは全て大きな袋にひとまとめにされており、碌に判別も出来やしない。
 しかし、ニアははじめから当てはまる場所が分かっているように、指を絶え間なく動かす。
 一枚、一枚と、ピースは次々とはめ込まれていく。
 ミルクパズルを真ん中からの組み立てを難なくこなすニアにとって、模様が入ってるこのパズルはむしろ楽なほうだ。

 もとはバゼットが、「私には意味がない物だし荷物がかさばるのでお譲りします」と言って置いていったものだ。
 フェアな関係を結ぶためと、こちらは使い道のない砲丸を渡しておいた。
 一瞬目が輝いたような気がしたが、手にとってすぐに落胆しているようだった。

 指先を止めることはせず、脳内では先ほど出会ったバゼットという人物について考えてみる。
 悪人ではないが、その価値観や判断基準には一般のものとはズレがある。
 人の命を見捨てるほど薄情でもないが、仕事とあれば冷徹に切り捨てることも厭わない。
 警察官というよりは追跡者、警察犬ではなく狩猟犬、そんなイメージだ。

 出切れば、危険人物といえど排除させるようなことはさせたくはなかったが、今のニアでは彼女を制止することはできなかった。
 国家の権限も組織の武力もない現状、暴力で迫れればニアは屈するしかない。
 危険思考寄りだったところを矛を収めさせるまで進展させただけ良しとしよう。
 それに扉を素手で壊した腕っ節の強さは、味方として扱えれば非常に魅力的だ。
 SPKのメンバーの中でもあれだけの使い手はいない。銃で武装し、複数で囲んでも勝てるかどうか。


 ひとまずバゼットには、こちらが知る人物の情報をかいつまんで渡しておいた。
 夜神月についてはあくまで、ある凶悪犯罪の容疑者であると、断片的にだけ伝えておいた。
 死神のノートを口外するわけにいかないし、その上で連続殺人犯・キラの名を出しても、その殺害方法について確たる論証ができなくなる。
 そもそも、キラの名は全世界にまで広まっている。
 そして度し難いことに、その信奉者も国家レベルで多数に渡るのだ。
 このプレイヤーの中に、キラ信奉者がいないと断言することは不可能だ。
 夜神月は自分達の世界の犯罪者だ。
 裁きは法が下すものであり、無法の地での私刑ではニアの勝利とはいえない。
 そのため業腹だが、月もまた生かしておくということにもなる。

 それに、向こう側も同様のことをしている可能性は高い。
 つまり、ニアこそが凶悪犯であり自分はその名を被らされた被害者だと触れ回ることだ。
 バゼットには月とかち合った場合、『その時は貴女の判断に任せます』と伝えてある。
 一方的に悪情報を押し付けるのはむしろこちらに悪印象を与えがちだからだ。

 そのためにも、この船に仲間を集める必要があるのだ。
 数を揃え、その中で一定以上の信頼を得ることができれば、発言の信用度も上がる。
 いざ月と相対した場合に、それは目に見える形で表れるだろう。
 ……もっとも、自分はそれほど人心掌握に長けているわけではないのだが。

 死んだはずのメロに夜神総一郎、そして『L』の名。
 考察するべき数多の事象。
 ケースは手に、ピースは遠くに。
 どんな難題(パズル)であろうと、数が揃えば解けない問いはない。
 その全ての謎を解き明かしてみせよう。
 世界一の探偵の正当たる後継者として。


 ……最後に。
 既に扉の用を成さなくなった残骸を見て。
 そして、未だ握られた痺れが残っている右手を見下ろして。

「……少し、人選ミスだったかもしれませんがね」

 小さく、悪態をついた。


【H-2/斑鳩司令室/一日目 深夜】
【ニア@DEATH NOTE(漫画)】
[状態]:健康、右手を強く握られた痺れ
[装備]:ジグソーパズル×n
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0~2
[思考・状況]
基本:この会場より脱出し生還する
1:脱出のためのプランを練る
2:斑鳩の機能を把握する
3:死んだはずの人物が気になる
4:夜神月は生かしたまま連れて帰りたい
[備考]
※メロの死亡より後、月との決着より前の時期


【ジグソーパズル】
数種類のジグソーパズル。ピースは全て袋にひとまとめにされているため全て完成させるのは困難。
描かれてる絵は不明。

【斑鳩@コードギアス 反逆のルルーシュ】
黒の騎士団の旗艦となる戦艦。R2での騎士団再結成後に入手した。
空海両方で航行でき、艦首にはハドロン砲を搭載し各種武装も充実している。
制限として火器類は没収、航行はできるが移動速度は遅めに設定されている。
飛行機能は現在使用不能。


【H-2/海岸/一日目 深夜】
【バゼット・フラガ・マクレミッツ@Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ】
[状態]:健康
[装備]:ルーンを刻んだ手袋
[道具]:基本支給品、砲丸@現実
[思考・状況]
基本:何としてでも生き残る。手段は今の所模索中
1:とりあえず会場を回ってみる
2:障害となる人物、危険と思しき人物は排除する
3:安全とみなした人物、有用な人物にはニアの存在と計画を教える
[備考]
※3巻の戦闘終了後より参戦
※「死痛の隷属」は解呪済みです


【ルーンを刻んだ手袋】
バゼットの標準装備。鋼鉄並の硬度がある。
これと同じものを自身の膝、肘、爪先に刻んでいる。

【砲丸@現実】
砲丸投げに使われる鉛玉。
サイズは手のひらに収まるくらい。フラガラックより一回り小さい。
重量は一般男子が競技に使う7.260kg(16ポンド)。
人に向けて投げると当然危険。


023:monster. ~愛故の狂気 投下順に読む 025:シュレーディンガーの猫?
時系列順に読む
初登場 ニア 054:填まるピースと起爆剤
初登場 バゼット・フラガ・マクレミッツ


タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
最近更新されたスレッド
ウィキ募集バナー