Destination Time〜因果からの刺客

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Destination Time〜因果からの刺客 ◆Z9iNYeY9a2



「上書き、夢幻召喚(オーバーライト・インストール)!」

バーサーカーの体を貫く光。
ライダーを夢幻召喚したイリヤの放った宝具、騎英の手綱で体を貫かれるバーサーカーの体。

そのまま間髪入れずに反転したイリヤは、上書きしたカード、ランサーの力をその身にまとって高く跳び上がる。

「刺し穿つ死棘の槍 (ゲイボルク)!!!」

再生を完了しこちらへと振り返ったバーサーカーは、上から飛来した赤き閃光に体を貫かれて吹き飛んだ。

「ルビー、これであといくつ?!」
『具体数まではちょっと。正直何回かオーバーキルしてる気はしますし!』

バーサーカーの威圧感に最初は気圧されたが、実際に戦うと息こそ切らせているものの自分で驚くほど戦えている。

クラスカードが手元に何枚も揃っていることもある。
だがそれ以上に大きな要因にはイリヤ自身既に気付いていた。

(やっぱり…。このカードから生み出された英霊には、魂がない)

確かに常人ならばその覇気には圧倒されるだろう。
しかしイリヤは本物の、狂化と黒き泥に侵食されながらも守るものを忘れることなく戦いを続けた英雄と相対した。

それと刃を交えたのに比べれば、目の前にいる相手に怯えるようなことは決して起こらなかった。


胸から紅槍を引き抜きながら起き上がるバーサーカー。
そこに、吹き飛んできた黒い体が勢いよく衝突して更に後ろに吹き飛ばした。。

それはファイズ・ブラスターフォームの放つフォトンバスターに体を吹き飛ばされたセイバーだった。

ファイズの体にはいくつかの切り傷こそあるものの、致命的なものは見受けられない。

イリヤがバーサーカーと刃を交えた経験があるように、巧にもセイバーとは剣を交えたことがあった。
黒騎士の姿を夢幻召喚した桜の呼び出したシャドウサーヴァント。その中にはセイバーの姿も存在していた。
本物と比較すればその基本的な性能は比べるまでもないものだが、剣の技量は英霊自身の力量もあってそれなりの再現がなされていた。
その剣を交えた経験からすれば、巧には剣の癖をある程度は見切ることができる。少なくとも決定的な一撃を叩き込む小さな隙を伺うくらいは。

本来のセイバーであれば太刀筋を見切られたと察すれば、その癖を変えるくらいはできただろう。しかしここにいるのは魂のない再現しただけの現象。
そこまで臨機応変に動く判断力など持ち合わせていなかった。


壁面に押し付けられた二体の英霊。
そこに、高く飛び上がった巧の、赤き竜巻を纏ったキックが炸裂する。

渦巻くエネルギーの中で体を切り裂かれながらも抗い、自身の持つ魔力で吹き飛ばそうとするセイバー。

「投影 ( トレース )――」

その中心に向けて、イリヤは弓を番える。
構える矢は、身に宿した英霊が生み出せる武具の中で最上級に位置するもの。
イリヤ自身も知るその剣の名を約束された勝利の剣という。

当然本物と比べれば質は大きく劣る。
しかしこれを構成する魔力を、弾丸として撃ち出せば。
それは宝具にも匹敵する威力の爆弾となる。

「壊れた幻想(ブロークン・ファンタズム)!!」

巧の離脱を確認したイリヤは、その竜巻の中心部に向けて構えた矢を放った。

放たれたその剣は一直線に、セイバーとバーサーカーの体を諸共に貫いて。
洞窟の空洞内を揺るがすほどの爆発を引き起こした。

思わず爆風に巻き込まれないように構えた二人。

やがて光と爆風が収まった爆心地には、二枚のカードが地面に落ちていた。

「セイバーと、バーサーカー…。そういえばこれでカードは全部揃ったんだよね?」
『ですね。クラスカードは全部使っちゃったところですから、ここで戦力補充ができたのはよかったです』
「で、この奥まで行けばいいんだよな」

空洞の先に目をやる巧。
そこに現状の目的である聖杯がある。

『聖杯の破壊ですか。
 まあ最悪、セイバーのカードさえあるなら宝具で吹き飛ばせるでしょうし、それで終わりでしょうね』
「…そう、なのかな」
「どうした、何か気になることでもあるのかよ?」
「だって、ほむらさん言ってたよね?
 『立ちふさがる運命に打ち勝てたなら』って。セイバーとバーサーカーが運命だっていうのは、何か引っかかる気がして」
『なるほど、何か門番がこの先にいるかもしれないと。
 どちらにしても警戒はしておくべきですね。巧さん、変身を解くのは待ってもらっていいですか』

そうしてイリヤは魔法少女の転身を、巧はブラスターフォームの変身を解除することなくその奥に向けて走った。


やがてたどり着いたのは、巨大なオブジェのようなものが爛々と光を放ち続けている広い空間。

「あれが…大聖杯…」

周囲に意識をやる二人。
人の気配はなく、ルビーの探索にも引っかかるものは存在しなかった。

「よし、行くぞ」

と、足を一歩踏み出した時だった。

聖杯からまばゆい光が放たれ、暗所に慣れていた二人の目を焼く。
思わず目を閉じる二人。

「何だ!?」

周囲を見回すが何かが起こっている気配はない。

「う、ぅ、目が痛い…」
「おい、大丈夫か―――?!」

と、イリヤの肩に手を置こうとした巧。
しかしその手は触れることなく、イリヤの体をすり抜けた。

「な、何だこれ?!」
『これは…、二人の空間位相がずれています!
 視覚、聴覚的な感覚には影響なく確かに存在していますが、物理的干渉ができない状態になっています!!』
「何か来るってこと?」
『言うなればボス戦前の退路経ちとか、その手のやつでしょうね…!
 言っている間に、聖杯から何かが出てくる反応が!!』

動揺を抑えて構える二人。

『この反応は…、サーヴァントに近い存在です!
 巧さんの方にはライダーが、そしてこちらには……、え、なんですかこのクラス反応は…?』
「ルビー?」

動揺するルビーを気にかけるように呼びかけるイリヤ。

その時だった。


――――――イリヤちゃん

「えっ?」

耳に届いたのは、イリヤを呼びかける声。
どこか優しく、自分を包み込むような感覚を覚えるその声は、イリヤにとって聞き慣れた声色をしていた。

顔を上げた先には、一人の人影が見えた。

白い帽子と服を着たその人を、イリヤは知っている。

「お、お母さん…?」
「良かったぁ、やっと会えたのね、イリヤちゃん」

満面の笑みを浮かべてこちらに手を広げている、その自分と同じ銀髪を持った女性。
アイリスフィール・フォン・アインツベルン。
イリヤもよく知る人物、何しろ己の母親なのだから。

「さ、もう怖がることはないのよ。
 こっちに来て、イリヤちゃん。一緒に帰りましょう?」

アイリの笑顔を前に、一歩踏み出したイリヤは。

その顔の横を通り過ぎる形で、魔力砲を撃ち込んだ。

「はぁ…、はぁ…、…あなたは、誰?」

自身の母親と同じ顔をした相手に対して向けた攻撃。
その事実に対する強い抵抗を押し込めながらかろうじて放った威嚇。

「私のお母さんは、そんなところで手を広げて待ってたりなんてしない。
 車で突撃して無理やりにでも手で引っ張って帰るのが、私のお母さんなの」

それでも今向けているイリヤに対する笑顔は変わらないだろうが、とは言わなかった。

少し困ったように笑みを浮かべながら、目の前にいる女は応える。

「なるほど…、随分と活発になっているのね、そっちの世界の私は。
 確かに私はあなたの知るアイリスフィールではないわ。どちらかというと衛宮士郎や間桐桜さんたちのいた世界の私に近い、と言ったところかしら」

と、不意にその姿がかき消えた。

「そう、聖杯の器として捧げられ、愛しい娘とも離別させられた私。
 泥に侵され、この世全ての悪へと変貌して。それでも、イリヤスフィールへの愛だけは忘れることはなかった私」

言葉は耳元から聞こえてきた。
背後から体を静かに、体を包むように抱きしめられている。

同時に、その触れられた箇所から何かが侵食してくるような感覚が走った。

「…っ!止めてっ!!」

咄嗟に振りほどいて飛び退いたイリヤ。
振り返った目に入ったアイリの姿は、今までのそれとは大きく変わっていた。

間桐桜が操っていた泥の色を思わせる、漆黒のドレスを身にまとっている。
その放つ魔力は禍々しく、

「あれに呼ばれた私のクラスは、いうなれば復讐者(アヴェンジャー)。この世の人類全てに悪をもたらすもの。
 だけど今は嬉しいのよイリヤちゃん。どんな形でも、どんな平行世界の存在でも、こうしてまたあなたと会えたんだから」

なのにこちらに向ける笑顔は、それに反するかのような母性と慈愛に満ちたものだった。

(平行世界の…お母さん…。
 私は、戦えるの…?)
「さあ、おいでイリヤちゃん。
 これまでできなかった分も、存分に愛してあげる」

そう告げたアイリの足元から、漆黒の泥が溢れ始めた。



【B-2/柳洞寺・地下大空洞/二日目 早朝】

【イリヤスフィール・フォン・アインツベルン@Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ】
[状態]:疲労(小)、ツヴァイフォーム使用による全身の負荷(回復中)、クロ帰還による魔力総量増大
[装備]:カレイドステッキ(ルビー)@Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ
[道具]:クラスカード(キャスター、ランサー、アサシン、アーチャー、ライダー、バーサーカー(転身制限中))(セイバー、バーサーカー)@Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ
[思考・状況]
基本:皆と共に絶対に帰る
0:平行世界の、お母さん…?
1:アイリスフィール・フォン・アインツベルンに対処
2:桜に手を差し伸べる
3:巧のことも気がかり
[備考]

【アイリスフィール・フォン・アインツベルン(黒聖杯)】
[状態]:健康、歓喜、クラス・アヴェンジャー
[装備]:聖杯の泥
[思考・状況]
基本:娘、イリヤを愛し、その果てに自分と同じ泥に侵す
[備考]
外見、能力は黒アイリ@Fate/Grand Orderコラボイベント「Fate/Accel Zero Order」です。
人格、記憶はFate/Stay night世界線に属するアイリのものとなっています。


そうしてイリヤがアイリと対峙している同じ頃。

巧の元にも向かい来る驚異があった。

その耳に届いた、何かが飛来するような音。
回転するプロペラのそれだと気付いた巧は上を見上げ。

迫りくる一機の戦闘機が、こちらに向けて砲撃を放った。
バルカン砲が着弾し、ブラスターファイズの体を吹き飛ばす。

「…っ!!」

痛みにうめきつつもその戦闘機から目を放さず見据え、フォトンバスターを構える巧。
その時、上空で旋回したそれの下部から、何かが飛び降りた。

人型にも見える何かは、両手両足を広げ、まるでムササビのように皮膜を広げて滑空する。
それが、手足を閉じ、態勢を取り直す。

何故だかは分からない。
ただ直感的に、体は回避を選択するように大きく交代した。

その態勢が、まるで空中からの飛び蹴りのようで。


「―――ライダーーーキック!!」

オルフェノクにとどめを刺す時に使う技、クリムゾンスマッシュのようにも見えたからかもしれない。


回避されたその飛び蹴りは、巧がいたはずの場所を轟音と共に砕き土煙を巻き上げた。

向き直った巧の目に入ったのは、そこから飛び出した人影がこちらに拳を突き出す瞬間。

「ライダーパンチ!!」

咄嗟の判断だった。
十メートルはあろうかという距離を一気に詰めてくるそれが突き出した拳に対し。
巧はグランインパクトを起動させ迎え撃った。

ぶつかり合う拳。
衝撃と共に、二つの体は吹き飛ぶ。

地面を転がるファイズに対し、迫ってきたそれはバランスを取って地面に着地した。

顔を上げた巧はその姿をはっきりと目にする。

飛蝗を思わせる茶色がかった鈍い緑色の体。
全身はプロテクター、頭部はフルフェイスヘルメットと思わせる鎧に包まれ、瞳に当たる部分は爛々を赤く輝いている。
その腰には、謎の回転が生み出されている特徴的なベルトが装着があった。

何故だろうか。
似ても似つかないはずのその姿が、どこかファイズに、ベルトで変身して戦ってきた自分たちの姿に被って見えた。

「…久しぶり……、いや、今のお前とははじめまして、だな。
 今のは挨拶代わりだ。この程度で落ちるようなやつだとは思っちゃいない」
「…何だ、お前は。誰なんだよお前は!!」

その疑問をぶつけるように、思わず叫ぶように問いかける巧。
フ、と笑いながら手を顎に当てながら、それは答えた。

「仮面……、いや、今のお前にこの名を名乗る意味はないか。
 言ったところで分からないだろうが、もし名が必要というのならこう呼べ。
 俺は、『4号』」
「4号…?」
「分からないだろうな、俺とお前の間にある因果など。
 だが、それでもいい。今の俺はお前を倒すために召喚されたモノでしかないのだから」

起き上がり、グランインパクトを撃ち込んだ衝撃に震える右腕を振るいながら。
それは首元に親指を近づけて横に動かしながら告げた。

「乾巧。
 その夢と後悔を抱いたまま、地獄へ送ってやろう」



【B-2/柳洞寺・地下大空洞/二日目 早朝】

【乾巧@仮面ライダー555】
[状態]:疲労(中)、ダメージ(小)、皆の死に対する強い悔恨、ブラスターファイズ変身中
[装備]:ファイズギア一式(ドライバー、フォン、ポインター、ショット、アクセル)@仮面ライダー555 、ファイズブラスター@仮面ライダー555
[道具]:共通支給品、、クラスカード(黒騎士のバーサーカー)、サファイアの破片
[思考・状況]
基本:ファイズとして、生きて戦い続ける
1:4号に対処し、イリヤと合流する
2:見知った人や仲間がいなくなっていくことに対する喪失感
3:間桐桜を絶対に死なせない
[備考]


【仮面ライダー4号】
[状態]:健康、クラス・ライダー
[装備]:スカイサイクロン
[思考・状況]
基本:己が呼ばれた役目に従い、乾巧を殺す
[備考]


168:PASTS 投下順に読む 170 :黄昏の騎士達の輪舞曲
時系列順に読む
166:憐れみをください 乾巧 172:決斗・アヴェンジャー&ライダー
イリヤスフィール・フォン・アインツベルン
間桐桜 171:あなたと私は友達じゃないけど
キュウべぇ 追放
164:暁美ほむらの退屈 暁美ほむら 171:あなたと私は友達じゃないけど
初登場 アイリスフィール・フォン・アインツベルン(黒) 172:決斗・アヴェンジャー&ライダー
初登場 仮面ライダー4号


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