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『魔女の口付け』

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『魔女の口付け』 ◆7KTvmJPRwQ



「えーっと……?」

 これは、どういう状況なのだろうか。
 たった今起こった事をありのまま話すなら、悪漢から少女を助けたらその少女にキスをせがまれた。
 な、何を言っているのかわからないと思うが、助けたシロナにも何が何だかわからない。

悪漢「ヒャッハー略奪だー!」
村娘「あーれーお助けー」
王子「待ていそこの悪漢、必殺何たら剣!」
悪漢「ウボァー」
王子「大丈夫だったかい(ニコッ)」
村娘「は、はい(ポッ)」

 という話はたまに目にはする。
 しかし、だ。

王女「大丈夫だったかしら(ニコッ)」
村娘「は、はい(ポッ)」

 というのは何か色々とおかしくは無いだろうか。
 というか、

王子「大丈夫だったかい(ニコッ)」
少年「は、はい(ポッ)」

 とかそういう事もあるのだろうか。

 そういう世界がある、とは風のうわさには耳にしていたものの、シンオウ地方のチャンピオンとして、またポケモンの研究者として生活してきたシロナは、基本色恋沙汰には疎い。
 見た目という立ち振る舞いといい、本人がそういう目を向けられた事は幾度と無くありそうではあるが、その辺りも疎さゆえに無縁でいられたのだろう。

(あ、もしかしたら……)

 と、そこで気づく。
 聞き間違い、という可能性もあるのではないか。
 つまり、〇ス、またはキ〇と言って、それを聞き間違えたのだと。
 あるいは、何かシロナの知らない言語やスラングにそういう物があり、それを求めているのか。

「……っ、お、お願いします……わたしと…その……ちゅーを」

 が、そんなシロナのはかない希望は、いとも容易く崩れ去る。
 まだ名も知らぬ少女は、苦しそうに息を乱し、頬を上気させながら、哀願するかのように手を唇に添える。
 褐色の、健康的な無垢さを持つ肌の中、そこだけが誘うように赤い、唇。
 幼い、まだ花開く前の少女に似つかわしくない、鮮やかな華。
 普段なら何とも思わないのに、キスと口にされた事でつい、その部分を意識してしまう。

(…………っ)

 少女のそれが伝播したかのように、シロナの頬もわずかに朱に染まる。
 健康な成人女性な以上、シロナにも人並み程度の色恋沙汰への願望は存在する。
 だが、このような同性同士、それも年端もいかない、その意味すら理解しているかも怪しいような年齢の少女に、唇を求められる。
 そんなことは言語道断であるはずなのに、何故だか少女から目を離す事ができない。

「え……えっと、ね、その……」

 元よりシロナは理性的な人間である。
 なんだか状況がおかしな事になりつつあるが、それでも状況を冷静に判断しようとする。
 一体どうしてこんな事になっているのかまるでわからないが、それでもなんとかこの場を穏便に抑えようとし、

「ご、ごめんなさい!」
「んむっ!?」

 少女に対して、致命的な隙を作ってしまった。
 そして、その隙を逃すほどの余裕は、少女にはなかった。

 少女――クロエ・フォン・アインツベルンことクロは、普通の人間と異なり、その肉体構成には魔力というものが密接な関係にある。
 先ほどの戦闘でその魔力がかなり枯渇した状態である彼女の身体は、既に限界に近かった。
 それも、この会場のせいか普段とは多少異なり、いうなれば圧倒的な『乾き』。
 砂漠で遭難した旅人のように、クロは魔力という名の水への欲求を、抑えきれなくなっていた。

「んっ……ちゅ……」
「~~~~~~!?」

 その結果が、これである。
 抱擁する少女と女性、重なる唇。
 見た目こそ、母娘が交わす挨拶のようなそれであるが、実態は違う。
 クロは流れ込んでくる魔力にて喉を潤し、シロナは初めて味わうその感触に抵抗できないでいる。。
 そう、それは紛れもなく『捕食』という状態。

「…………ふぅ、ごちそうさま」

 しばらくして、その状態は終わりを告げる。
 シロナの頬に当てていたクロの手がゆっくりと離され、シロナはふらりと両膝を着く。

 クロは多少ではあるが魔力が満たされたことと、充足感によって満たされた表情で。
 シロナは、魔力の吸引による恍惚と脱力感から呆然とした表情で。
 それはどうやっても言い逃れようのない、犯罪現場であった。

「あ、えーとおねーさんごめんなさい、でもね」
「…………ガブリアス」

 その時、ようやく己の所業を振り返ったクロが弁解を試みようとしたが、すでに遅し。
 普通の少女ならしばらくは動けないだろうが、状況ゆえにクロが多少軽めにしておいたのと、シロナ自信の強靭な精神力により、

「ぎゃわー!?」

 クロは、己の所業にふさわしい罰を受ける事になるのであった。


 □


「そう、魔力というのが枯渇して、それで、ねぇ」
「は、はい、その」

 頭に大きなコブを作ったクロが自発的に正座し、自供を強要されてる最中。
 怒り心頭にシロナに、クロは自分は魔法少女(のようなもの)と名乗った。
 先ほどの男と対峙した事で魔力を使いすぎてしまい、説明してる余裕も無かったのだと。
 まあ、仮に説明されていたとしてもシロナが承諾したかは不明な以上、クロの行動に酌量の余地は……ないか。
 それでも簡単な魔術を用いた事で、一応は状況に理解は得られた。
 納得はされなかったが。


(ふむ)

 とりあえず悪い子には反省させておくとして、別の事を考える。
 まだ半信半疑ではあるが、シロナは魔力とはポケモンのPP(技ポイント)のようなものだと解釈した。
 仮に体力が満タンであろうと、PPが尽きればポケモンは『悪あがき』しかできないように、クロ(魔法少女?)も魔力が無ければ戦えないのだろう。
 そして、魔法少女は他人と口腔接触することで、魔力を吸い取ることが出来る。
 それを吸い取られた訳だが、正直なところシロナ自身には魔力というものは必要というわけではない。
 そんな物の存在自体を今知ったわけだし、多少ふらつくという弊害を除けば座れたという事実はまあ無視してもいい。
 それよりも問題なのは、その方法だ。

(この子は、あの子たちと同じくらいの年かしら)

 かつてシンオウ地方や、イッシュ地方で巨悪と対峙した少年少女達と、クロは同じくらいの年だろう。
 だから魔法少女として戦える、という事はあまり疑う理由はないのだが……

(……問題ね)

 それくらいの年の子が、他人の唇を奪おうとするなど、言語道断である。
 家族相手、あるいは友達同士でじゃれあうように行う事はないでもないが、クロは明らかに理解した上でやっている。
 クロ自身の精神的にもよくないし、周囲の人間としても非常によくない。
 どうにかして、それ以外の方法で魔力というのを補充させるようにするべきだろう。

「そう、ね。貴女の魔力といのは、あんなことしてもまだ完全じゃない、と」
「はい、ご、ご迷惑をお掛けします……」
「あら、いいわよ反省してるなら。そう、反省してる、なら」
「…………」

 PPのようなものなら、丁度支給品の中にあったピーピーリカバーで回復しないか、とも一瞬思うが思い返す。
 何しろピーピーリカバーはショップでも売っていない貴重品であることだし、手持ちがガブリアスのみな今は可能ならば温存しておきたいものだ。

「ガブリアスも傷ついているし、貴女も魔力というのが回復しても、怪我までは治らないからそっちの治療も必要かしらね。
 そうなると、行くべきなのはポケモンセンター、フレンドリーショップ、それと病院という所かしら」

 ポケモンを回復してくれる施設、ポケモンセンター。
 勤務するジョーイさんに頼む事で、無料でポケモンの回復を行ってくれるという大変頼もしい施設。
 この状況ではジョーイさんはいない可能性が高いが、幸いシロナはポケモンセンターの施設も操ることは出来る。

 そして、ポケモンに関する道具の販売を行うフレンドリーショップ。
 傷の治療、戦闘の補助など役に立つ道具が手に入る。 残念ながら、PPのみはポケモンセンターを頼るしかないが。
 一度に全て回復するポケモンセンターに比べれば効率は落ちるが、何しろ道具ゆえに持ち運びできるというのが最大の強み。
 今はお金が無いので、この状況では万引きすることも考えねばならないか。

 どちらの施設も使えるという保障はないが、病院も含めて地図に記載してある以上、何もないとも言い切れない。
 この状況下なら、どこも行ってみて損はないと思われる。 使用可かどうか確認しておくだけでも、取りうる戦術に大きな違いが出てくるのだから。

「とりあえず、ここからだと病院が一番近いのかしら」


 □


「このポケモンセンターというのはにゃ~達ポケモンが回復出来る施設なのだにゃ~す」
「ポケモンの病院、ということか。
 それならそのサカキというのもそこを目指す可能性はある、か」
「にゃにゃ、サカキ様がポケモンセンターなどに頼るとも思えないのだにゃ。
 でも効率よく行動するために抑えるという可能性は十分あると思うのだにゃ~」

 ニャースの言葉には、幾分尊敬の意がこもっている。
 そういうのは大抵、その相手を見誤らせる原因になるので、話半分くらいに聞くべきだろう。
 普通の人間であれば怪我をすればまず病院を目指すところではあるが、サカキらポケモントレーナーは最初にポケモンセンターを目指す、という所か。
 多少回り道になるが病院もあるし、そこを経由してポケモンセンターを目指すのが良いか。

「にゃにゃにゃ、人間は不便だからにゃ~」

 特に反対するでもなく、ニャースは病院経由を納得する。
 そしてC.C.を先導するかのように北東に歩き出す。
 その動きにはまるで迷いが無く、方角などもちゃんと理解しているようだ。

(…………)

 それを眺めながら、C.C.はある衝動を感じ始めた。
 このニャースというポケモン、とにかくよく動く。
 二足で歩くのは元より、飛ぶは跳ねるは転ぶは。
 挙句の果てには腕組みして悩んだりもしている。
 正直、ぬいぐるみ代わりに抱きしめたいという衝動が浮かんでこなくもない。

(持って帰って……いや、眺めている分には面白いが寝具代わりに使うには鬱陶しいか)

 今は敵となった黒の騎士団、その古参メンバーにして宴会太政大臣(役立たず)の玉城という男のような、眺めている分には面白い存在。
 つまりこのニャースというのは例えて言うなら、外見が愛らしくなった玉城という事か。
 遠くで見ているならともかく、寝るときに抱いているのには適さないだろう。

(やはり眺めるだけに……だが……)

「ところで、それなりに距離はあるようがお前はそんなに歩けるのか?」
「にゃ? ポケモンを見くびって貰っては困るにゃ、おみゃーみたいな弱そうなのとは比べ物にならんのにゃ!」
「……そうか」

 その言葉を証明するかのように、スキップするように跳ね歩く。
 その速度は、確かに人が走るくらいはありそうだ。
 大きく揺れる手足や尻尾がとても愛らしい。

(まあ……そのうち機会もあるだろう)

 置いていかれるかとも思ったが、ああいうタイプは着いて来ていないと気づけば引き返してきて煽るだろう。
 適当に返せばまた何か面白い反応をする、そう考えながらC.C.はのんびりとニャースの後を歩み始めた。


 □


「にゃにゃ~! お、お前はシロナ!」
「喋る……ニャース?」

 しばらく、一時間ほどそうしてニャースが進んでは戻り、また先に行くを繰り返しただろうか。
 これはこれで良い偵察と暇つぶしにはなっているな、と人知れず楽しんでいたC.C.の耳に、ニャースと誰かの声が届く。

(誰か知り合いとでも遭遇したか?)

 距離があるため最初の叫び以外はほとんど聞こえないが、僅かに届く言葉の内容は、明らかに知り合いとのそれ。
 よくわからないが、特に害はないだろうとのんびりと進む。
 サカキというのと出会ったのでなければ、まだニャースを抱く機会もあるだろうと。


「あの、おねーさん、その服は何……?」
「ん? これか」

 たどり着いてみれば、そこにいたのは女性が二人、と言っても見た目でいえば片方はがC.C.より年上で、片方は年下。
 そのうち年上のほうは、ニャースと何やら会話している。
 と言ってもニャースが一方的に騒ぎ立てるだけで、女性の方は何事か思考してるようだが。
 話の内容からすると、シロナという女性だろう。 ニャースによれば一つの地方における最強のポケモントレーナーだとか。

 そして、話に入れない方の少女が近寄ってきて、最初の言葉がこれだ。
 言われてC.C.は思い出したが、彼女が着ているのは他人から見れば明らかに妙な服。
 装飾としての要素がまるでなく、明らかに負の実用性のみの富んだ衣装。
 着用者の事など全く考慮していないデザインでありながら、拘束目的のベルトによって細身ながら女らしい部分にのみ豊かな肉が、強調されている。

「まあ普段着だ、気にする事はない」
「いや、普段着って……おかしいでしょうが。
 んと、でもそういう人なら……」

 ニャースとの会話の中、耳に届いたクロの言葉から、シロナは不吉なものを感じ取る。
 元々、魔力というのが足りていないと先ほどから訴えてはいた。
 だからといって初対面の、それもまだほとんど話もしてない相手となど……やった前例があるか。

「あとで状況が許すなら守ってあげるから……ごめんなさい!」
「ま、待ちなさい!」

 遅かった。
 クロが言葉で止まるはずもなく、また何も知らない少女がどうにかできるはずもなく。
 元々C.C.が目線を合わせる為か下を向いていたため、少々の身長差などものともせず、その唇を合わせた。

「……?」
「にゃ!?」
「っ! 遅かった!」

 見た目が多少おかしいとはいえ、何も知らぬ少女をクロの毒牙にかけさせてしまった。
 おかしなニャースはそれほど悪い相手でもないようだが、カントー地方にて暗躍した組織、ロケット団の手持ちらしい。
 しゃべるということは、そこで受けた違法な研究実験の成果だろうか、などと考えていたことで、出遅れた。
 まだあの少女、ニャースが言うにはC.C.というらしいが、彼女がどんな相手かわからない以上、相当こじれる事も覚悟しなければならない。
 そう思い、とりあえずクロを引き離そうとして、


「ん……ん~~~~!!??」

 様子がおかしいと思ったのは、その時だ。
 本来驚愕を口にし、暴れて拒否するのはC.C.のはずなのに、何故か驚愕の声はクロのものだった。


 C.C.の顔を押さえるように、頬から頤に添えられていたクロの両の手が、離される。
 何かに驚くようにパタパタと振るわれたあと、それはC.C.を拒否するかのように、彼女の肩を押す形になる。
 だが、それよりも早く、自由な位置にあったC.C.の手が、クロの小さな身体を抱きしめる。
 それは母親が子にするような、愛情を感じさせるような抱擁ではあったが、当事者のクロと、傍観者のシロナとニャースには犯人確保のそれようにしか感じられなかった。

 そのまま、身長に差があることも合わさりクロは抱き上げられる。
 木に吊るされた獲物は、最早逃げる事はかなわず、ただもがくように届かぬ足を振るうのみ。

 具体的に何が起きているのかは不明だが、普通のキスと違い、緩急を付けて動く双方の頬。
 合わされた唇の隙間から、時たま覗く、絡み合った双方の舌。

 そこから聞こえるかき回される液体、恐らくは唾液の音。

 僅かに漏れる、足掻く獲物の声にならない喘鳴。

 捕食、という二文字が、傍観する一人と一匹の脳裏によぎったという。


「ふぅ……」

 しばらく、そう、砂時計の砂が落ちよりは短いくらいの時間だろうか。
 当事者たちにはもっと長く感じられる時間だったのだろうが、の後それは終了する。
 本来被害者であるはずのC.C.は平然と唇を指でぬぐい、魔力を吸引されたという片鱗すら感じられない。
 逆に、加害者であるはずのクロは、力任せに振るわれた足が、今は力尽きたように垂れ下っているのみ。
 抱擁から解き放たれても、もはや膝を尽くこともできず、腰が砕け、地面に崩れ落ちるのみ。
 過度の快感と酸欠に襲われた頬は燃えるように上気し、唇の端から零れた唾液をぬぐう事もできない。
 目の端から一筋の涙を零しながら、惚けた、それでいてどこか幸せそうな顔で地面に横たわるのみ。

「ふん、小娘が。
 いきなり唇を奪う馬鹿など久しぶりだが、自分でやっておいてこの体たらくか」

 幼女と少女という見た目の差以上に大きな違いを感じさせる言葉。
 先ほどのクロは、美味しそうな餌に引かれて底なし沼に落ちたと呼ぶのが相応しかったのだろう。
 シロナは、心の中でクロの冥福を祈った。死んでないが。

「で、これはどういう事なんだ?」

 先ほど何も無かったように平然としているC.C.は、あくまでも心外だったとばかりにシロナに問う。
 実際、C.C.としてはやられたから反撃しただけで別にやりたくてやった訳ではないのだが。

「え、えっと、クロちゃんは魔法少女というものらしくて、魔法という力を使えるらしいの。
 でも今はその元になるっていう魔力を消耗していて、それは口付けで補充できるって……」
「魔法少女……か」

 その名を聞いたC.C.は倒れているクロになんとはなしに目を向ける。
 支給品でその名前は知っていたが、まさかいきなりキスしてくるようなものとは思わなかった。
 未だに忘我の粋にあるクロは小刻みに震えるのみで、動きだす気配はない。
 思春期前の少女らしいすらりとしたお腹の中、年齢に似合わぬ赤い紋章の刻まれた臍が、呼吸の度に上下する。

「はは、何かと思えば……成長途中にすぎない少女が魔女を食い物にしようとするとは片腹痛いな」

 特に誰かに言うつもりもないが、C.C.は見た目通りの年齢ではない。
 未だ人の身を保っていた時期には異性同性問わずに多数の経験もあるし、人でなくなってからは、神の代理人と名乗る輩による異端審問も一度や二度ではない。
 本人としては多少不本意ではあるが、そういう方面の経験は恐らくこの場の誰よりも豊富。
 不意打ちと魔力吸引だけが武器の小娘など相手にもならない。


「ほら、さっさと起きて魔力とやらを吸え、守って下さるのだろう?」
「んー!?」

 半ば失神状態にあるクロをC.C.は首筋に片手を添えるように抱き上げ、再び唾液に濡れた唇を合わせる。
 抱き上げる動作も合わせる唇も、先ほどよりもさらにやさしく、見た目だけなら完全に愛情に溢れている。
 もっとも、この場にいる誰もがそのようには受け取りはしなかったが。


 結局、見かねたシロナが恐る恐る止めるまで、それは続いたという。

 □


「ク……クロエ・フォン・アインツベルン、です。
 ど、どうかクロとお呼びください」
「C.C.だ、好きなように呼べ」

 一見すると自己紹介のようではあるが、実際にはかなりニュアンスが異なる。
 どちらかと言えば主従契約とか姉妹契約とかそんな響きである。 

「ああ、そういえば、これはお前に一つ渡しておこう」
「……何これ?」
「グリーフシードとかいう、お前たちの使うものだろう? そう書いてあったぞ」
「私はそんなの知らないよ……です」

 クロには正直必要ないが、それでもいらないとばかりに渡されては仕方が無い。
 少し考えてもどう使っていいのかまるでわからないので、とりあえずしまっておくことにする。

 と、その時、


 ズゴゴゴゴゴ………………


「ん?」
「あれっ?」
「にゃ!?」
「あれは……!」


 西の方角、当面の共通した目的地よりもさらに向こう。
 一際高い大きさのビルが、崩壊していた。

「……っ!」

 どうしてああなっているのかはシロナにはわからないが、崩壊する際に見えたのは、『だいばくはつ』の光。
 あの場所で、誰かがポケモンにその技を使わせる事態が起きているのだろう。
 そう考え、シロナは走り出そうとし、

「まあ待て」

 C.C.の声に止められる。
 振り返れば、C.C.はシロナを追って走り出そうとしていたらしいニャースを抱えていた。
 その隣のクロは走り出そうとして、どうしようか悩んでいる風であった。

「お前のことは殆ど知らんが、行ってどうするつもりだ。ここからではどう考えても間に合わんぞ?」
「……そうね、けど」

 目算でどのくらいかはわからないが、直線距離で走ったとしても20分くらいは掛かるだろう。
 かなりの傷を負っているガブリアスに乗ることもできないし、他に移動手段もない。
 いや、ガブリアスの現状では、着いたとしてもいつも通りに戦うことは出来ないだろう。

「別にお前が死にに行きたいなら止める理由は私には無いが、こいつらは多分嫌がる。
 あの場所に行くことに特に反対はしないが、まずは準備を整えてからにしたらどうだ?」

 ニャースがどれくらい戦えるかわからないし、クロはまだ完全ではない。
 なにより、その二人をシロナの都合で勝手に戦わせるわけにはいかない。
 ポケモンセンターは崩壊したビルよりもさらに北にあるが、それでも病院ならここからの道のりにある。
 上手くすれば、傷薬くらいはあるかもしれない。

「決まりか、なら行くぞ」

 言葉に反して、まるで行く気のない緩やかな歩きで、C.C.は先に進もうとする。
 その手にニャースを抱えたままなのが気になったが、とりあえずシロナも後に続くことにした。


【E-5/北部/黎明】

【C.C.@コードギアス 反逆のルルーシュ】
[状態]:健康、魔力減少(中)、ニャースを抱っこ中
[装備]:なし
[道具]:基本支給品一式、グリーフシード×1@魔法少女まどか☆マギカ
[思考・状況]
基本:とりあえず生き残る
0:思ったよりふわふわしてるな
1:知り合いとの合流、ルルーシュ優先
2:ナナリーの保護、ゼロ、二人のロロ、マオ、ユーフェミアについて調べる
3:特に興味はないが病院を経由して崩壊したビルに向かう
4:魔法少女か……片腹痛い
[備考]
※参戦時期は21話の皇帝との決戦以降です
※ニャースの知り合い、ポケモン世界の世界観を大まかに把握しました
※ディアルガ、パルキアというポケモンの存在を把握しました
※グリーフシード×2は支給品二つ扱いです
※魔法少女について誤った知識を得ました


【ニャース@ポケットモンスター(アニメ)】
[状態]:健康、C.C.に抱っこされている
[装備]:なし
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1~3(確認済)
[思考・状況]
基本:サカキ様と共にこの会場を脱出
1:サカキ様を探し、指示をいただく
2:しばらくはC.C.と行動する
3:ジャリボーイ、ジャリガールとはできれば会いたくない
4:病院を経由して崩壊したビルに向かう
[備考]
※参戦時期はギンガ団との決着以降のどこかです
※ディアルガ、パルキアへの考察はあくまで仮説レベルです
※C.C.の知り合い、アニメ版コードギアスの世界観を大まかに把握しました
※魔法少女について誤った知識を得ました


【クロエ・フォン・アインツベルン @Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ】
[状態]:疲労(中)、魔力消費(小)、左腕不調、精神高揚
[装備]:戦闘服(胸部プロテクター無し)
[道具]:基本支給品、グリーフシード×1@魔法少女まどか☆マギカ、不明支給品0~2
[思考・状況]
基本:みんなと共に殺し合いの脱出
0:すごかった……
1:みんなを探す。お兄ちゃん優先
2:お兄ちゃんに危害を及ぼす可能性のある者は倒しておきたい
3:どうしてサーヴァントが?
4:病院を経由して崩壊したビルに向かう
[備考]
※3巻以降からの参戦です
※通常時の魔力消費は減っていますが投影などの魔術による消耗は激しくなっています
※C.C.に対して畏敬の念を抱いています


【シロナ@ポケットモンスター(ゲーム)】
[状態]:健康、魔力減少(小)
[装備]:ガブリアス(ダメージ中)@ポケットモンスター(ゲーム)
[道具]:基本支給品、ピーピーリカバー×1@ポケットモンスター(ゲーム)
[思考・状況]
基本:殺し合いを止め、アカギを倒す
1:病院を経由して崩壊したビルに向かう
2:ゲームを止めるための仲間を集める
3:ゲーチス、N、サカキを警戒
[備考]
※ブラックホワイト版の時期からの参戦です
※魔法少女について誤った知識を得ました
※ニャースの事はロケット団の手持ちで自分のことをどこかで見たと理解しています


030:ばーさーかーとのそうぐう 投下順に読む 032:探し物はなんですか?
時系列順に読む
001:そんなの絶対ありえない C.C. 047:後悔しない生き方が知りたい
ニャース
013:最強の竜 クロエ・フォン・アインツベルン
シロナ


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