最強の竜

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最強の竜 ◆zYiky9KVqk


「どうして…? 聖杯戦争は起こらないんじゃなかったの…?」


 クロエ・フォン・アインツベルンは名簿を見ながら疑問を口にする。
 あのアカギという男が演説していた広間で確かに見た。
 英霊、バーサーカーを。
 それだけならばクラスカードが顕現したと考えただろう。
 しかし名簿にはバーサーカーのみならずセイバーの名もあった。
 それはつまり…?


 正直何が起きているのかは分からない。
 だが、イリヤやミユ、リン達にシロウお兄ちゃんまで参加させられているのだ。
 特にシロウお兄ちゃんは一般人。もしもサーヴァントと会うことがあれば……


 「急がないと…! お兄ちゃん、絶対に死なないで…」


 クロは走りだし、


 爆風に飲み込まれた。


 ◆


「へえ、あれで死なないんだ。君なら楽しめそうだねぇ」


 声の主は偶然見つけたクロに対して支給されていたRPG-7を発射した。
 その行為に特に意味はない。
 ただ支給されていた武器を特に意味もなく、それこそ殺意すらなく人に向けてぶっ放した。
 それだけだ。その結果相手が死んでしまおうと、特に気にすることは無い。
 彼、北崎はそういう男だ。


「っ! ぐっ、何すんのよ…?!」


 少女は爆風前と比べて服装が変わっており、左腕を押さえていた。
 爆風で怪我でもしたのだろう。


「ま、それでも少しぐらいは楽しませてくれるよね?」



 そう言って北崎の顔に紋様が浮かび上がり、その姿を灰色の怪人へと変える。
 ドラゴンオルフェノク。オルフェノクの中でも上位に位置するラッキークローバーの中でも最強といわれる存在。


「あの時の怪人の同類…?!」


 クロはその姿を見て、アカギによって灰にされた怪人を思い浮かべた。
 そして直感的に感じる。この男はサーヴァントと同じくらいに危険な存在だと。


 見逃すには危険。だが片腕では弓撃はできない。
 動かせる右腕に干将を構え、突っ込んでいくクロ。
 北崎は避けることも守ることもせずただその剣をその身に受ける。
 その一撃は万全なときのクロの全力とは程遠い威力しかなかったが彼女なりの本気の一撃。
 しかしそれは北崎の身を揺るがせただけであった。

「…?」

 表情は見えないがなぜか怪訝そうに首をかしげる北崎。傍からみれば隙だらけである。
 もう一撃と返す腕で斬りつけるが北崎も腕の装甲を振り上げ、迎え撃ってきた。
 あまりの怪力に干将は吹き飛び、遠くへ飛んでいった。


「なら、こいつで…」


 クロは北崎の頭上に跳び、そこで偽・射殺す百頭を投影。
 片腕では扱えないこの石剣を重力に任せて叩きつける。

 ―――ガァン!

 さすがに直撃はまずいと思ったのか、左腕の装甲で受け止める北崎。
 装甲が砕けるもまだ大したダメージは与えられてそうには無かった。




(じゃあ、もっと強力な――あれ?)

 クロの視界がふらつく。
 この感覚は魔力不足に陥ったときの物と同類だった。

(どうして? まだそんなに魔力は使っていないはず…)

 あの攻撃からの防御、二度の投影。
 まだ魔力が切れるには早すぎる――

「…ぐっ!」


 だがそんな状態を見逃してくれるはずも無く、近付いてきた北崎に放り投げられる。
 地に伏せられるクロ。
 北崎はその上に容赦なく足を乗せて踏みつける。

「うあっ……!」

 足を離させようともがくも傷ついた体ではその巨体を動かすこともできない。
 そしてクロは気付く。
 足が触れている所、胸を覆うプロテクターが少しずつ灰となっている事に。
 これ以上はまずい。そう思ったところでどうすることもできない。
 このまま踏み続けられると間違いなく体が灰になっていくだろう。
 だがそれが分かったところでどうすることもできない。


「こんな奴に…!」
「こんな奴っていわれるのも何かむかつくね。
 いいよ。殺してあげる」

 そして踏みつけられた体勢のまま腕の巨大な爪をこちらに向かって振り上げ――






「ドラゴンダイブ!!」




 何かがクロの上を通り過ぎ、北崎を吹き飛ばした。

「間一髪ってところだったわ。大丈夫?」

 金髪のロングヘアーに黒のロングコートの女の人がそばに駆け寄り手を差し伸べてきた。
 その手を取りつつクロは北崎の吹き飛んだ方向に目をやると、そこではサメとドラゴンを合わせたかのようなモンスターがこっちを庇うかのような位置に立っていた。


「ガブリアス、こっちよ」
「ガウッ!」

 そう言うと素早くその竜、ガブリアスは女の人、シロナのそばまで寄ってきた。

「へえ、それ、ベルトの力でもオルフェノクの物でもないね。
 それと戦ったほうが面白そう」




「ガブリアス、頼める?」
「コクッ」
「なるべく攻撃は避けるように素早く動くのよ。噛み砕く!」


 指示と同時にガブリアスはかなりのスピードで北崎の目前まで迫り、その牙をもって噛み付く。
 北崎は残った右腕の装甲で受け止める。



「ストーンエッジ!」


 ガブリアスの周りに岩の破片が漂い、食らい付いたままの至近距離で発射された。
 さすがに効いた様子で後ろに下がる北崎。
 反撃とばかりに装甲の爪を振り上げて突き刺そうと迫るもガブリアスは軽々と避ける。


「ドラゴンダイブ!」


 死角に回りこんだタイミングでシロナは北崎を吹き飛ばしたあの技を指示。
 食らえば大ダメージは免れない、しかし北崎の動きでは回避は困難。


 しかしそんなシロナの予想は外れた。
 ドラゴンダイブが当たる直前、北崎の全身が弾け、中から細い何かが飛び出してきたのだ。

 ドラゴンオルフェノク龍人態。
 さっきまでとはうって変わって目で追うのもやっとな動きを始める北崎に今度はガブリアスが防戦一方に追いやられる。


 北崎が移動、攻撃をするたびに雷が辺りに迸り、ガブリアスを襲う。
 幾度も繰り出される拳を決定打を避けるようにかろうじて防いでいく。
 しかしバチリ、と輝いた雷がガブリアスの目を焼く。一瞬の目潰し、しかし今の北崎を相手にしていては致命的な隙。
 そこに再度振りかざされた北崎の拳が迫った。

 もしも、この場にいるのがガブリアスだけであればこの状況を抜け出すことはできなかっただろう。



「地震!!」


 シロナのその指示を聞いて、北崎の攻撃の一瞬の合間にガブリアスは吼えた。

 二竜の戦っている周囲の地面が揺らぐ。
 高速で動いていた北崎はその揺らぎに足場のバランスを崩され、動きを止めざるを得なくなる。


「今よ! ドラゴンダイブ!!」


 宙に飛び上がったガブリアスは今度こそ決めるためにドラゴンダイブを仕掛ける。
 バランスを崩して地に膝を付けた北崎は瞬時にその身を魔人態へと変化。
 復活した両腕の装甲で受け止める体勢を作り、

 ガブリアスのドラゴンダイブが炸裂した。


 ◆


「…すごい……」

 クロはその光景を見ながらそう呟く。
 あのドラゴンの強さもさる事ながら、戦いの中で相手を見定め的確な指示を出していくこの女性も。
 また、その指示をまた的確に反映していくことからもドラゴンと女性がどれだけ信頼し合っているかも分かる。

 しかし、

「随分とタフなのね。まだ戦えるというの?」

 それでもあいつは立っていた。
 両腕の装甲は砕けていたがまだ戦えそうな雰囲気を出していた。
 女の人は予想していたのか、あまり驚いた様子はなかったが。


「あー、何だか疲れた」
「?」


 そう言って怪人は人間の姿に戻った。
 さすがにこの展開は予想していなかったのか、女の人は少し驚いていた。


「なんか今日は妙に疲れるし、特別に見逃してあげる。
 本調子なら当然僕が勝つんだけどね」
「……」
「君、なんていう名前なの?」
「私はシロナ。この子はガブリアスよ」
「ふーん。次に会ったらどっちが強いかをちゃんと決めてあげる。
 これ、貰っていくよ」


 名前を聞いておいて自分は名乗りもせず、少し離れた所にある巨大なバイクに乗り込む。
 ていうかそれ、


「そのバイクわたしの! 返せ!!」


 抗議の声を上げるが特に耳を貸す様子もなく、そのまま走り去っていってしまった。


 ◆


 北崎は機嫌がよかった。
 あのRPG-7を発射したのも、それが理由である。
 いままで彼の触れた物はほんの一部の物を除いて全て灰になってしまう。
 ダーツもできないし紙飛行機も飛ばせない。
 しかし、ここではこのデイパックも中のものも一切灰になることはなかった。
 それが嬉しかったのだ。
 体に掛けられた制限による弱体化も、それでゲームが楽しめるならいいかと思ってしまうほどに。


「そういえばあのガブリアスって竜、あそこにいたあれと同類かな?」


 思い出すのは最初のホールにいたアカギの背後に一瞬現れた影。
 うっすらと見えたそれはなんとなくあの竜と近いもののように思えた。


「ま、どうでもいいか」


 しかし特に気にもせず北崎はバイク、ジェットスライガーを走らせ続ける。
 その顔に無邪気な笑みをたたえて。



【E-6/砂地/一日目 深夜】
【北崎@仮面ライダー555】
[状態]:疲労(中)、ダメージ(中)(両腕のダメージが若干大)
[装備]:ジェットスライガー@仮面ライダー555
[道具]:基本支給品、使用済RPG-7@魔法少女まどか☆マギカ、不明支給品0~2
[思考・状況]
基本:ゲームを楽しみ、優勝する
1:見つけた参加者は殺す
2:村上と会ったときはその時の気分次第でどうするか決める
3:シロナとガブリアスとはまた会えれば戦いたい
[備考]
※参戦時期は木場が社長に就任する以前のどこかです
※灰化能力はオルフェノク形態の時のみ発揮されます
 また、灰化発生にはある程度時間がかかります


 ◆


「行ったようね」
「追わないの?」
「それがこの子もかなりダメージを受けてるみたいで…。
 正直この子無しだと彼と戦うのはかなり厳しいのよね。
 あなたのバイクのことはごめんなさい」
「気にしないでいい、むしろこっちがお礼をいう立場なんだし」
「どう? 立てる?」
「あ…、ちょっとキツイ…」

 あの怪物相手に魔力を消耗しすぎてしまったようだった。
 加えて片腕の怪我。
 正直立つこともままならない。
 魔力回復の手段は………

「………」
「どうしたの?」

 初対面の人に頼むことじゃないのは分かっている。
 助けてくれた相手をあんな状態にするのも気が引ける。
 何より、今となっては何故かすごく恥ずかしい。
 だが………―――背に腹は変えられない。

「あ、ああ、あの、一つお願いが…」
「何かしら、私にできることなら遠慮しなくてもいいのよ?」
「わ、わたしと……」


「わたしと…キスして欲しいんだけど…」


【E-6/平地/一日目 深夜】
【クロエ・フォン・アインツベルン @Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ】
[状態]:疲労(中)、魔力消費(大)、左腕不調
[装備]:戦闘服(胸部プロテクター無し)
[道具]:基本支給品、不明支給品0~2
[思考・状況]
基本:みんなと共に殺し合いの脱出
1:魔力回復をしたいけど…
2:みんなを探す。お兄ちゃん優先
3:お兄ちゃんに危害を及ぼす可能性のある者は倒しておきたい
4:どうしてサーヴァントが?

[備考]
※3巻以降からの参戦です
※通常時の魔力消費は減っていますが投影などの魔術による消耗は激しくなっています


【シロナ@ポケットモンスター(ゲーム)】
[状態]:健康
[装備]:ガブリアス(ダメージ中)@ポケットモンスター(ゲーム)
[道具]:基本支給品、不明支給品0~1
[思考・状況]
基本:殺し合いを止め、アカギを倒す
0:え?
1:少女の保護
2:ゲームを止めるための仲間を集める
3:ゲーチス、N、サカキを警戒

[備考]
※ブラックホワイト版の時期からの参戦です


【ジェットスライガー@仮面ライダー555】
スマートブレインモーターズ製の超高性能バイク。
最高時速1300km。 ホイールを倒して滑空、並行移動、飛行が可能。ミサイルも装備している。
本ロワでは普通のバイクより少し早い程度の速度しか出せず、ライダーズギアによる呼び出しも不可。

【RPG-7@魔法少女まどか☆マギカ】
暁美ほむらがワルプルギスの夜戦にて使用した対戦車榴弾砲。
魔力による威力強化がなされている。

【シロナのガブリアス@ポケットモンスター(ゲーム)】
チャンピオン・シロナの切り札。ドラゴン、地面タイプ。メス。
細身の肉食恐竜のような体系に鮫のような鰭、頭部を持つ。
能力は全体的に高く、チャンピオンのポケモンであることも合わさってかなりの実力がある。


012:あ、やせいの タイガー がとびだした 投下順に読む 014:終人たちのプロローグ
時系列順に読む 015:オンリー/ナンバー ワンを夢見た 少女/男
初登場 北崎 046:超絶バイクと探偵とドラゴン
初登場 クロエ・フォン・アインツベルン 031:『魔女の口付け』
初登場 シロナ


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