『不快なる快勝』◆7KTvmJPRwQ
「すごい……」
ポケモン城と名付けられている城に足を踏み入れた織莉子は思わず言葉を発した。
美国織莉子はそれなりに知られた政治家の一人娘であり、なればこそ名家の子女に相応しい教育も感覚も備えている。
その彼女をして、いやだからこそ驚嘆の声を上げるほどに荘厳な造りであった。
外観からも荘厳な建造物であることは予感させてはいたが、内部の造りもそれを裏切らぬもの。
ギリシア・ゴシックの流れを汲む隔絶した空間を表現しながらも、華美な装飾とまでは取れないモダニズム様式を基本とする建造。
多くない窓にはキリスト教の流れを組むステンド・グラスが見るものの目を引き。
天井に目を向ければ大樹の枝のごとく張り出した柱が、組み合わされ、壮大な空間を作り出す。
そして、その殆どはコンクリートではなく、石とレンガを用いている。
西洋建築のさほど造詣があるわけではない織莉子でも、何かしら名のある建物であると理解させた。
美国織莉子はそれなりに知られた政治家の一人娘であり、なればこそ名家の子女に相応しい教育も感覚も備えている。
その彼女をして、いやだからこそ驚嘆の声を上げるほどに荘厳な造りであった。
外観からも荘厳な建造物であることは予感させてはいたが、内部の造りもそれを裏切らぬもの。
ギリシア・ゴシックの流れを汲む隔絶した空間を表現しながらも、華美な装飾とまでは取れないモダニズム様式を基本とする建造。
多くない窓にはキリスト教の流れを組むステンド・グラスが見るものの目を引き。
天井に目を向ければ大樹の枝のごとく張り出した柱が、組み合わされ、壮大な空間を作り出す。
そして、その殆どはコンクリートではなく、石とレンガを用いている。
西洋建築のさほど造詣があるわけではない織莉子でも、何かしら名のある建物であると理解させた。
「ふん、確かに良くできた建物ではあるな」
「あまり、お好きではなさそうですね」
「なに、そういう物には大して興味も無いのでね。 それよりも気を付けることだ、今の君はまるで無防備だったぞ」
「…………」
「あまり、お好きではなさそうですね」
「なに、そういう物には大して興味も無いのでね。 それよりも気を付けることだ、今の君はまるで無防備だったぞ」
「…………」
警告された事に押し黙る織莉子を余所に、サカキは悠然と城の内部へと歩みだす。
強大な建造物というものは権威として作るものであり、その持ち主、あるいは作り手の虚栄心という側面を持つ。
荘厳かつ巨大な建物という点には何の異論もないが、夢見がちな女子中学生のようにただ憧れを抱いたりもしない。
サカキにとって重要なのは見た目よりも中身であり、なおかつそれが自らの手に入るものかどうかだ。
いまのところ、この城はサカキには単なるビルの一棟と何ら変わらなかった。
強大な建造物というものは権威として作るものであり、その持ち主、あるいは作り手の虚栄心という側面を持つ。
荘厳かつ巨大な建物という点には何の異論もないが、夢見がちな女子中学生のようにただ憧れを抱いたりもしない。
サカキにとって重要なのは見た目よりも中身であり、なおかつそれが自らの手に入るものかどうかだ。
いまのところ、この城はサカキには単なるビルの一棟と何ら変わらなかった。
「ところで、もし仮にこの城のどこにも移動手段が無いとしたらどうする?」
「……どう、とは?」
「……どう、とは?」
問われた織莉子は若干警戒した声を出す。
移動手段が無い場合、とり得る手は一つであり、そのことを織莉子は理解しているからだ。
移動手段が無い場合、とり得る手は一つであり、そのことを織莉子は理解しているからだ。
「ククク、冗談だよ」
その織莉子の警戒を解くように、サカキは低く笑う。
それが最初から冗談なのか、それとも織莉子の警戒ゆえにかは、彼女には判断できなかったのだが。
そんな織莉子を余所に、サカキはモンスターボールからニドキングを呼び出す。
それが最初から冗談なのか、それとも織莉子の警戒ゆえにかは、彼女には判断できなかったのだが。
そんな織莉子を余所に、サカキはモンスターボールからニドキングを呼び出す。
「このニドキングもそうだが、意思のあるものとは厄介だ。
言うことを聞かせるには力を用いるしかなく、仮に従ったとしても何かしらの反抗手段を講じる。
そういう相手を手下として使うのは容易いことではないよ」
「あのバイクも、そうだと?」
「さあな、ただ私ならその前提の上で行動する、ということだ」
言うことを聞かせるには力を用いるしかなく、仮に従ったとしても何かしらの反抗手段を講じる。
そういう相手を手下として使うのは容易いことではないよ」
「あのバイクも、そうだと?」
「さあな、ただ私ならその前提の上で行動する、ということだ」
ニドキングが織莉子に一瞥をした後、ボールに戻す。
少なくとも、ニドキングはサカキに忠実であることが織莉子には理解できただろう。
そこまでの心配をしている訳ではないが、織莉子がサカキからニドキングを奪う可能性は減少したと言っていいだろう。
逆に織莉子はオートバジンについて詳しく知らない以上、サカキに奪われた際の行動は予想できない。
仲間とは呼べない間柄であるために、自身の優位はある程度はっきりさせておく。
それはサカキ自身が己の力こそ頼れるものであると認識している証でもある。
少なくとも、ニドキングはサカキに忠実であることが織莉子には理解できただろう。
そこまでの心配をしている訳ではないが、織莉子がサカキからニドキングを奪う可能性は減少したと言っていいだろう。
逆に織莉子はオートバジンについて詳しく知らない以上、サカキに奪われた際の行動は予想できない。
仲間とは呼べない間柄であるために、自身の優位はある程度はっきりさせておく。
それはサカキ自身が己の力こそ頼れるものであると認識している証でもある。
「逆にお聞きしますが……、この城に移動手段があるとしたら、どんなものだと思いますか?」
「さて、船でも用意してあるか、はたまたワープ装置でもあるか」
「ワープ装置、ですか?」
「それも君らは知らないのか。 特定の場所同士を行き来できる装置のことだ。」
「さて、船でも用意してあるか、はたまたワープ装置でもあるか」
「ワープ装置、ですか?」
「それも君らは知らないのか。 特定の場所同士を行き来できる装置のことだ。」
人が一人乗ることの出来る大きさの円形の床のことであり、その上に立つことでどこか別の場所にある同型の床の上へと移動できる装置。
ロケット団のアジトには導入されていなかったが、新たな本部として狙っていたシルフカンパニーには存在しており、ここ数年で普及したとも聞く。
細かい仕組みなど技術者が把握していればよいことなどでサカキは興味などないが、便利なものだとは理解していた。
基本的には同じ場所を行き来するだけのものだが、中には一方通行のものなども存在する、ということまで説明する。
この状況でそういった知識を隠すことは、最終的にはサカキにもマイナスにしかならないのだから。
ロケット団のアジトには導入されていなかったが、新たな本部として狙っていたシルフカンパニーには存在しており、ここ数年で普及したとも聞く。
細かい仕組みなど技術者が把握していればよいことなどでサカキは興味などないが、便利なものだとは理解していた。
基本的には同じ場所を行き来するだけのものだが、中には一方通行のものなども存在する、ということまで説明する。
この状況でそういった知識を隠すことは、最終的にはサカキにもマイナスにしかならないのだから。
「あるいはこの城に『空を飛ぶ』か『波乗り』を覚えたポケモン、または『波乗り』の秘伝マシンがあれば移動は可能になるな」
ニドキングの最大の特徴である多彩な取得技。
外見に似合わず、水タイプの秘伝技である波乗りすらも習得できるのだから、それがあれば問題は解決する。
そしてその事を抜きにしても、サカキはある程度技の変更も必要と考えていた。
多彩なタイプの使い手を相手することを考慮し、手持ちに役割を分担させていたがニドキング一体ではそうもいかない。
手持ちが増えるかも不明な以上、可能ならば現在より強化しておきたいところではある。
外見に似合わず、水タイプの秘伝技である波乗りすらも習得できるのだから、それがあれば問題は解決する。
そしてその事を抜きにしても、サカキはある程度技の変更も必要と考えていた。
多彩なタイプの使い手を相手することを考慮し、手持ちに役割を分担させていたがニドキング一体ではそうもいかない。
手持ちが増えるかも不明な以上、可能ならば現在より強化しておきたいところではある。
「その子が泳ぐのですか。 ポケモンというのは面白いものですね」
「フン……未だに信じられんな、ポケモンを知らんとは」
「フン……未だに信じられんな、ポケモンを知らんとは」
情報交換の結果、織莉子はポケモンの事を何も知らなかった。
それが、アカギの言っていた可能性宇宙ということだろうか。
織莉子の言う魔法少女というものは秘匿されているものであるが、ポケモンを知らないなどサカキの常識ではあり得ないのだから。
それが、アカギの言っていた可能性宇宙ということだろうか。
織莉子の言う魔法少女というものは秘匿されているものであるが、ポケモンを知らないなどサカキの常識ではあり得ないのだから。
「ワープ装置が仮にあったとして、君はそれを使うわけにもいかない。 そう考えると可能なら船か水タイプのポケモンが欲しいか」
「そうですね、あの子を置いていくのはあまり得策とも思えませんし」
「そうですね、あの子を置いていくのはあまり得策とも思えませんし」
流石に城内の細々した場所までは入れないため、外に待機させている織莉子の支給品、オートバジン。
具体的な性能は把握できていないが、あの巨体をそのまま捨て置くというのは勿体無いと言える。
もっとも、その場合でも場所を決めておいて合流するという手段はあるのだが。
具体的な性能は把握できていないが、あの巨体をそのまま捨て置くというのは勿体無いと言える。
もっとも、その場合でも場所を決めておいて合流するという手段はあるのだが。
□
「ニドキング、シャドークロー!」
薄暗い地下に、サカキの声が響く。
やはり理想としては船が欲しいところであり、それがあるとすれば地下にしかあり得ない。
そうして地下へと降りてきた二人の目に映ったのは、これまでとはまるで異なる場所。
荘厳な城にまるで似合わぬ、薄暗い研究施設だった。
いくつもの透明なカプセルの並ぶその場所は、織莉子には不気味に、サカキにはどこと無く見慣れたものに映った。
その樹立する、と言っていいほどに並ぶカプセルの中を通り抜けようと進む中、突如襲い来る影。
織莉子が警告を発するよりも早く、サカキはニドキングに対応をさせていた。
やはり理想としては船が欲しいところであり、それがあるとすれば地下にしかあり得ない。
そうして地下へと降りてきた二人の目に映ったのは、これまでとはまるで異なる場所。
荘厳な城にまるで似合わぬ、薄暗い研究施設だった。
いくつもの透明なカプセルの並ぶその場所は、織莉子には不気味に、サカキにはどこと無く見慣れたものに映った。
その樹立する、と言っていいほどに並ぶカプセルの中を通り抜けようと進む中、突如襲い来る影。
織莉子が警告を発するよりも早く、サカキはニドキングに対応をさせていた。
突撃してくるオレンジ色の影に対して、カウンター気味に放たれた影の突き、現在持つ技の中では最も威力の高い、シャドークロー。
それを受け、襲撃者は吹き飛ばされる。 最も一致でもなければ弱点でもないその一撃では倒すことはできなかったようだが。
オレンジ色の身体と翼と持つ、直立したトカゲのような襲撃者は、戦闘態勢を解かない。
それを受け、襲撃者は吹き飛ばされる。 最も一致でもなければ弱点でもないその一撃では倒すことはできなかったようだが。
オレンジ色の身体と翼と持つ、直立したトカゲのような襲撃者は、戦闘態勢を解かない。
「リザードンか、この地下がそこまで広くないのが幸いだな」
空を飛べる相手には、攻撃できる手段は限られる。
そして今のニドキングの手持ち技ではその手段は無いのだが、この場ならその心配は不要なようだ。
最も、その口から吐き出される炎の射程を考えれば、最低もう一度は攻撃を受けることになるが。
そして今のニドキングの手持ち技ではその手段は無いのだが、この場ならその心配は不要なようだ。
最も、その口から吐き出される炎の射程を考えれば、最低もう一度は攻撃を受けることになるが。
(その際に火傷でも負えば手負いとはいえ一撃で削りきるのは厳しいか。
すでに与えたダメージからすれば最終的に負ける可能性は極めて低いが、それでもこの状況では損耗はなるべく避けたいところだな)
すでに与えたダメージからすれば最終的に負ける可能性は極めて低いが、それでもこの状況では損耗はなるべく避けたいところだな)
ニドキングはすでに最初の一撃――鋼の翼によって傷を負っている。
上手く対応したため傷薬でもあれば回復する程度のものだが、この状況ではそれが命取りにならないとも限らない。
そんなサカキの思考を余所に、リザードンが炎を吐こうとする。
危険を冒してでもニドキングを飛びこませようとした時。
上手く対応したため傷薬でもあれば回復する程度のものだが、この状況ではそれが命取りにならないとも限らない。
そんなサカキの思考を余所に、リザードンが炎を吐こうとする。
危険を冒してでもニドキングを飛びこませようとした時。
「渦のような炎を吐いてきます!」
「!?」
「!?」
突如として響く織莉子の声。
その言葉に従い、とっさにニドキングを後方に下がらせるサカキ。
そして、次の瞬間にその付近一帯に巻き起こるのは、まさしく渦巻く炎、『炎の渦』
少なくない驚愕と共に織莉子の方を見れば、そこには白いドレスのような格好をした織莉子の姿。
その言葉に従い、とっさにニドキングを後方に下がらせるサカキ。
そして、次の瞬間にその付近一帯に巻き起こるのは、まさしく渦巻く炎、『炎の渦』
少なくない驚愕と共に織莉子の方を見れば、そこには白いドレスのような格好をした織莉子の姿。
「今度はまっすぐに炎を吐いてきます! 下がって!」
その格好をいぶかしむ間も無く、再び発せられる警告。
だが、その言葉を信じるならば……
だが、その言葉を信じるならば……
「…………」
「えっ、あ、なるほど。 確かに横に逃げればいいのですね」
「えっ、あ、なるほど。 確かに横に逃げればいいのですね」
織莉子の言葉の通り、二度目にリザードンが吐いたのは真っ直ぐ伸びる炎、『火炎放射』
炎の渦よりも遠くに届く代わりに、この技は横の幅は狭い。
乱立するカプセルの陰に隠れれば、やり過ごすのは容易だ。
そうして二度の攻撃を避けたサカキは、改めて織莉子の姿を見る。
炎の渦よりも遠くに届く代わりに、この技は横の幅は狭い。
乱立するカプセルの陰に隠れれば、やり過ごすのは容易だ。
そうして二度の攻撃を避けたサカキは、改めて織莉子の姿を見る。
白いドレス姿の織莉子は最初にいた位置から動かず、モンスターボールよりも小さい銀色の球体を一つ投げつける。
それは爆発を起こし、サカキに注意が向いていたリザードンはまともに受けることになった。
倒れこそしないものの、最早体力は半分を切っているだろう。
そこに織莉子は再び球体を投げようとし、
それは爆発を起こし、サカキに注意が向いていたリザードンはまともに受けることになった。
倒れこそしないものの、最早体力は半分を切っているだろう。
そこに織莉子は再び球体を投げようとし、
「待て!」
「え?」
「え?」
サカキはそれを声を上げて止める。
理屈は不明だが、織莉子は相手が出そうとしている技がわかるのだろう。
そして、威力は決して低くない爆発する攻撃。
なるほど、魔法少女という言葉は正しいようだ。
ただ、彼女はあくまで何をしようとしているのかが判るだけで、相手の事を理解しているわけではない。
だからこそ、サカキは織莉子を止めた。
理屈は不明だが、織莉子は相手が出そうとしている技がわかるのだろう。
そして、威力は決して低くない爆発する攻撃。
なるほど、魔法少女という言葉は正しいようだ。
ただ、彼女はあくまで何をしようとしているのかが判るだけで、相手の事を理解しているわけではない。
だからこそ、サカキは織莉子を止めた。
「美国織莉子、悪いが渦を巻く炎を吐きそうな時は伝えてもらえるかな?」
「え、かまいませんけど、どうして」
「あれは必要以上に手傷を負わせるのは良くないポケモンなのだよ」
「え、かまいませんけど、どうして」
「あれは必要以上に手傷を負わせるのは良くないポケモンなのだよ」
有無を言わせぬ調子で、織莉子の行動を抑える。
であって間もないがこういうタイプの相手ならその言葉に嘘は混ぜまいと見越した上で。
であって間もないがこういうタイプの相手ならその言葉に嘘は混ぜまいと見越した上で。
(鋼の翼、火炎放射、炎の渦……最後の一つは不明だが問題ない)
織莉子の攻撃は悪くないものだが、恐らくリザードンを仕留め切るには足りないだろう。
そうなると、リザードンは確実に『猛火』の特性を発動させることになる。
威力が倍になった炎をかいくぐってリザードンを仕留めるには、かなりの損害を覚悟することになってしまう。
だが、織莉子が相手の攻撃を読めるなら、そんなことをしなくても簡単に倒せる。
そうなると、リザードンは確実に『猛火』の特性を発動させることになる。
威力が倍になった炎をかいくぐってリザードンを仕留めるには、かなりの損害を覚悟することになってしまう。
だが、織莉子が相手の攻撃を読めるなら、そんなことをしなくても簡単に倒せる。
「来ます!」
「おう、ニドキング! 乱れ突きだ!」
「おう、ニドキング! 乱れ突きだ!」
織莉子の合図に合わせて、サカキはニドキングに命令を下す。
無論リザードンの炎の中を掻い潜る事になってしまうが、炎の渦は技そのものの威力は極めて低く、火傷状態になることも無い。
『猛火』も発動していないその攻撃ならば、ダメージなど無いに等しく、ニドキングは炎を潜り抜ける。
そして、近寄ってしまえば最早手負いのリザードンなど敵ではない。
無論リザードンの炎の中を掻い潜る事になってしまうが、炎の渦は技そのものの威力は極めて低く、火傷状態になることも無い。
『猛火』も発動していないその攻撃ならば、ダメージなど無いに等しく、ニドキングは炎を潜り抜ける。
そして、近寄ってしまえば最早手負いのリザードンなど敵ではない。
「きあいために、乱れ突き。 ここまで動きが読めていれば五発当てるのは容易いな」
急所に当たり易くなっている攻撃を、五発。
手負いのリザードンは悲鳴を上げて倒れる伏す。
手負いのリザードンは悲鳴を上げて倒れる伏す。
「お見事です」
「……フン」
「……フン」
見事、ではない。 あれだけお膳立てされれば誰でも出来るだろう。
もっとも織莉子自身はあまり理解していないようだが。
もっとも織莉子自身はあまり理解していないようだが。
「君は、ポケモントレーナーとしての資質がありそうだな」
織莉子の賞賛に振り返りもせず、サカキは付近の探索を始める。
ポケモンの存在をさっき知ったばかりの小娘の指示に従う。
自発的に行ったことではあるし、それが効果的であったのも事実だが、それでも多少苦い感情は禁じえない。
ポケモンの存在をさっき知ったばかりの小娘の指示に従う。
自発的に行ったことではあるし、それが効果的であったのも事実だが、それでも多少苦い感情は禁じえない。
それを振り払うように、どこかで見たことあるようなカプセルが乱立する中を歩く。
リザードンのボールは見当たらず、手持ちに加えるのは不可能なようだ。
あるいは野生ということも考えモンスターボールを捜すが、手近な机の上には技マシンが一つあるのみ。
目当ての波乗りでない事の落胆は見せずに、さらにボールを捜そうとした所で、
リザードンのボールは見当たらず、手持ちに加えるのは不可能なようだ。
あるいは野生ということも考えモンスターボールを捜すが、手近な机の上には技マシンが一つあるのみ。
目当ての波乗りでない事の落胆は見せずに、さらにボールを捜そうとした所で、
「ニドキング!」
横合いから響いてくる重い足音に、身構える。
近寄ってくるということは物理タイプなのだろうが、薄暗い為相手の姿が見えず、とっさに何を命じるか迷う。
近寄ってくるということは物理タイプなのだろうが、薄暗い為相手の姿が見えず、とっさに何を命じるか迷う。
「サカキさん! 岩のような身体の怪獣です!」
「……っニドキング! にどげり!」
「……っニドキング! にどげり!」
コンマ数秒、織莉子のほうが早かった。
岩のような身体と聞こえた時点で、シャドークローではなく二度蹴りを使わせる。
その選択は正しかったらしく、襲撃してきたポケモンを僅かに後退させる。
シャドークローでは、こうはいかなかったかもしれない。
岩のような身体と聞こえた時点で、シャドークローではなく二度蹴りを使わせる。
その選択は正しかったらしく、襲撃してきたポケモンを僅かに後退させる。
シャドークローでは、こうはいかなかったかもしれない。
「……お前は」
だが、その事にサカキが苦い感情を抱く前に、別の感覚が彼を襲った。
たったいま襲撃してきたポケモン。
一致ではないとはいえ、弱点であるはずの攻撃を受けてあっさり立ち上がるという力量を感じさせるポケモン。
岩のような肌と鼻先のドリルが印象深い、直立した犀のような巨躯。
ドリルポケモン『サイドン』
彼自身がかつて手持ちとして使っていたのと同じ……いや、まさしく訳あって手放したその個体そのもの。
たったいま襲撃してきたポケモン。
一致ではないとはいえ、弱点であるはずの攻撃を受けてあっさり立ち上がるという力量を感じさせるポケモン。
岩のような肌と鼻先のドリルが印象深い、直立した犀のような巨躯。
ドリルポケモン『サイドン』
彼自身がかつて手持ちとして使っていたのと同じ……いや、まさしく訳あって手放したその個体そのもの。
「サカキさん! 右からもう一体!
……っ、ニドキングです!」
……っ、ニドキングです!」
一瞬呆然としていたサカキだが、織莉子の言葉に振り向く。
サイドンのように走ってはいないが、こちらにむかっているのは確かにニドキング。
その個体もまた、サカキの手持ちとして使っていたもの。
今まさに、サカキの隣にいるニドキングそのものに、他ならない。
サイドンのように走ってはいないが、こちらにむかっているのは確かにニドキング。
その個体もまた、サカキの手持ちとして使っていたもの。
今まさに、サカキの隣にいるニドキングそのものに、他ならない。
「…………」
迫るサイドン、そしてニドキング。
どちらも見覚えがあり、そして無いもの。
いや、それだけではなく。
どちらも見覚えがあり、そして無いもの。
いや、それだけではなく。
「これは……」
ピカチュウ、ガブリアス、グレッグル、噂に聞いたのみの三つ首のドラゴンタイプや、鋼タイプと思わしき人型ポケモン。
リザードンとの戦いを聞きつけたのであろう、沢山のポケモンがサカキ達を包囲しようとしていた。
リザードンとの戦いを聞きつけたのであろう、沢山のポケモンがサカキ達を包囲しようとしていた。
「フ……ククク」
「サカキさん……?」
「いや、失礼。 フフ、ギンガ団とやら、噂以上にやるじゃあないか」
「サカキさん……?」
「いや、失礼。 フフ、ギンガ団とやら、噂以上にやるじゃあないか」
じりじりと後退する織莉子に構わず、サカキは愉快そうな声をあげる。
周囲の機械が何であるのか、理解できた。
いや、忘れていたというべきなのか? 何の目的で用意しようとしたのかわからないが、間違いない。
かつてロケット団でも研究していた、ポケモンのクローン装置。
研究を止めた理由は思い出せないが、どうやら彼らは完成させた。
なるほど、シンオウ地方を脅かす組織という評判は伊達ではないようだ。
周囲の機械が何であるのか、理解できた。
いや、忘れていたというべきなのか? 何の目的で用意しようとしたのかわからないが、間違いない。
かつてロケット団でも研究していた、ポケモンのクローン装置。
研究を止めた理由は思い出せないが、どうやら彼らは完成させた。
なるほど、シンオウ地方を脅かす組織という評判は伊達ではないようだ。
「余裕がおありなのはいいですが、この場をどうにかしませんと」
「ああ、わかっているさ。 ニドキング」
「ああ、わかっているさ。 ニドキング」
そして、この場は引くしかない。
サイドンとニドキングを放置するのは屈辱ですらあるが、この場は甘んじて受けよう。 その全てが、後々の力をなるのだから。
こちらには広範囲の攻撃は織莉子のものしかないと見ての包囲だろうが、甘い。
サイドンとニドキングを放置するのは屈辱ですらあるが、この場は甘んじて受けよう。 その全てが、後々の力をなるのだから。
こちらには広範囲の攻撃は織莉子のものしかないと見ての包囲だろうが、甘い。
「だいちの力」
□
「ふむ、あったのはこれだけか」
大地の力を用いたことで生じた揺れに際してから逃げる際、視界の端に見えたので持ち出したCD。 使い捨てである技マシン。
探査中に手に入れたものと併せて二枚。 片方はニドキングが使用することが出来るが、さし当たっては必要ではない。
そして何よりも、結局この島から出る手段は見つかっていない。
探査中に手に入れたものと併せて二枚。 片方はニドキングが使用することが出来るが、さし当たっては必要ではない。
そして何よりも、結局この島から出る手段は見つかっていない。
「あら、それでしたら」
そう言って、織莉子はデイパックから同じ形のディスクを取り出す。
水色をしたそれこそは、まさしく捜し求めていた秘伝マシン『波乗り』
水色をしたそれこそは、まさしく捜し求めていた秘伝マシン『波乗り』
「…………」
「ど、どんなものだか知らなかったのですから、仕方ないです!」
「ど、どんなものだか知らなかったのですから、仕方ないです!」
一応の収穫らしきものはあったとはいえ、最初からあったということは、城の探索に費やした時間は全くの徒労だったということだ。
サカキならずとも、文句の一言くらいは言いたくもなる。
サカキならずとも、文句の一言くらいは言いたくもなる。
「あ、えーとそれよりも、ポケモンが覚える技は4つまでではなかったのですか?」
「……まあいい。 それなら簡単なことだ、あの場で覚えたんだよ」
「……まあいい。 それなら簡単なことだ、あの場で覚えたんだよ」
あの時、リザードンを倒したことでニドキングはレベルが上がった。
そして丁度『大地の力』という地面タイプの技を習得できたのだ。
特殊タイプではあるがニドキングは特殊も低くなく、そして何よりもタイプの一致した技。
乱れ突きの代わりに習得したのだが、予想以上に早く役に立った。
そして丁度『大地の力』という地面タイプの技を習得できたのだ。
特殊タイプではあるがニドキングは特殊も低くなく、そして何よりもタイプの一致した技。
乱れ突きの代わりに習得したのだが、予想以上に早く役に立った。
「波乗りを習得させるとなると少し技が厳しいが仕方が無い。 ひとまずこの島から出るとするか」
「ええ、この城の探索にはもう少し準備が必要なようですしね」
「ええ、この城の探索にはもう少し準備が必要なようですしね」
コピーポケモンたちは地下からは出てこなかった。
とはいえ、地下の捜索は断念せざるをえず、こうなると上層の探索も何かしらの危険が無いとも限らない。
幸い移動手段は確保できたのだし、ここは引くことは共通した思考となる。
最も、サカキは自らのプライド故、この場所には必ず戻ると決めていたが。
とはいえ、地下の捜索は断念せざるをえず、こうなると上層の探索も何かしらの危険が無いとも限らない。
幸い移動手段は確保できたのだし、ここは引くことは共通した思考となる。
最も、サカキは自らのプライド故、この場所には必ず戻ると決めていたが。
「…………」
「なんですか?」
「いや、なんでもないさ」
「なんですか?」
「いや、なんでもないさ」
オートバジンに向かう織莉子に答えず、サカキは秘伝マシンを取り出す。
織莉子の能力があれば、あるいは可能なのではないか。
何十何百と最善手を選び続けられるなら、あるいはニドキングと二人であの場を突破できるのではないか。
そう、織莉子にサカキ並のポケモンの知識があるなら。
織莉子の能力があれば、あるいは可能なのではないか。
何十何百と最善手を選び続けられるなら、あるいはニドキングと二人であの場を突破できるのではないか。
そう、織莉子にサカキ並のポケモンの知識があるなら。
「……ニドキング」
若い才能に苦味をかみ締めつつ、ニドキングを呼び出す。
そんなもの、気の迷いだと断じながら。
そんなもの、気の迷いだと断じながら。
【H-8/ポケモン城城門前/一日目 黎明】
【美国織莉子@魔法少女おりこ☆マギカ】
[状態]:健康、SGの穢れ(極小)、白女の制服姿
[装備]:オートバジン@仮面ライダー555
[道具]:共通支給品一式、ひでんマシン3(なみのり)@ポケットモンスター(ゲーム)
[思考・状況]
基本:何としても生き残り、自分の使命を果たす
1:鹿目まどかを抹殺する。ただし、不用意に他の参加者にそれを伝えることはしない
2:キリカを探し、合流する。まずはそのために、市街地エリアへ向かう方法を探す
3:積極的に殺し合いに乗るつもりはない。ただし、邪魔をする者は排除する
4:サカキと行動を共にする
5:海を渡る。
[備考]
※参加時期は第4話終了直後。キリカの傷を治す前
※ポケモンについて少し知りました。
※ポケモン城の一階と地下の入り口付近を調査しました。
[状態]:健康、SGの穢れ(極小)、白女の制服姿
[装備]:オートバジン@仮面ライダー555
[道具]:共通支給品一式、ひでんマシン3(なみのり)@ポケットモンスター(ゲーム)
[思考・状況]
基本:何としても生き残り、自分の使命を果たす
1:鹿目まどかを抹殺する。ただし、不用意に他の参加者にそれを伝えることはしない
2:キリカを探し、合流する。まずはそのために、市街地エリアへ向かう方法を探す
3:積極的に殺し合いに乗るつもりはない。ただし、邪魔をする者は排除する
4:サカキと行動を共にする
5:海を渡る。
[備考]
※参加時期は第4話終了直後。キリカの傷を治す前
※ポケモンについて少し知りました。
※ポケモン城の一階と地下の入り口付近を調査しました。
【サカキ@ポケットモンスター(ゲーム)】
[状態]:健康
[装備]:高性能デバイス、ニドキングのモンスターボール@ポケットモンスター(ゲーム)
[道具]:共通支給品一式 、技マシン×2(サカキ確認済)@ポケットモンスター(ゲーム)
[思考・状況]
基本:どのような手段を使ってでも生き残る。ただし、殺し合いに乗るつもりは今のところない
1:『使えそうな者』を探し、生き残るために利用する
2:織莉子に同行する
3:海を渡る。
4:力を蓄えた後ポケモン城に戻る(少なくともニドキングとサイドンはどうにかする)
5:『強さ』とは……何だ?
6:織莉子に対して苦い感情。
[備考]
※『ハートゴールド・ソウルシルバー』のセレビィイベント発生直前の時間からの参戦です
※服装は黒のスーツ、その上に黒のコートを羽織り、黒い帽子を頭に被っています
※魔法少女について少し知りました。 織莉子の予知能力について断片的に理解しました。
※ポケモン城の一階と地下の入り口付近を調査しました。
※『ギンガ団』についての知識はどの程度持っているかは後続の書き手さんに任せます
※サイドンについてはパラレルワールドのものではなく、修行中に進化し後に手放した自身のサイドンのコピーだと思っています。
[状態]:健康
[装備]:高性能デバイス、ニドキングのモンスターボール@ポケットモンスター(ゲーム)
[道具]:共通支給品一式 、技マシン×2(サカキ確認済)@ポケットモンスター(ゲーム)
[思考・状況]
基本:どのような手段を使ってでも生き残る。ただし、殺し合いに乗るつもりは今のところない
1:『使えそうな者』を探し、生き残るために利用する
2:織莉子に同行する
3:海を渡る。
4:力を蓄えた後ポケモン城に戻る(少なくともニドキングとサイドンはどうにかする)
5:『強さ』とは……何だ?
6:織莉子に対して苦い感情。
[備考]
※『ハートゴールド・ソウルシルバー』のセレビィイベント発生直前の時間からの参戦です
※服装は黒のスーツ、その上に黒のコートを羽織り、黒い帽子を頭に被っています
※魔法少女について少し知りました。 織莉子の予知能力について断片的に理解しました。
※ポケモン城の一階と地下の入り口付近を調査しました。
※『ギンガ団』についての知識はどの程度持っているかは後続の書き手さんに任せます
※サイドンについてはパラレルワールドのものではなく、修行中に進化し後に手放した自身のサイドンのコピーだと思っています。
【オートバジン(バトルモード)@仮面ライダー555】
現在の護衛対象:美国織莉子
現在の順護衛対象:サカキ
[備考]
※『バトルモード』時は、護衛対象の半径15メートルまでしか行動できません
※『ビークルモード』への自律変形はできません
※順護衛対象はオートバジンのAIが独自に判断します
現在の護衛対象:美国織莉子
現在の順護衛対象:サカキ
[備考]
※『バトルモード』時は、護衛対象の半径15メートルまでしか行動できません
※『ビークルモード』への自律変形はできません
※順護衛対象はオートバジンのAIが独自に判断します
【サカキのニドキング♂@ポケットモンスター(ゲーム)】
[状態]:レベル43、ダメージ(小)
[備考]
※取得技はシャドークロー きあいだめ にどげり だいちのちから
※波乗りの代りに何を忘れさせるかは次の書き手さんにお任せします。
[状態]:レベル43、ダメージ(小)
[備考]
※取得技はシャドークロー きあいだめ にどげり だいちのちから
※波乗りの代りに何を忘れさせるかは次の書き手さんにお任せします。
【ポケモン城@ポケットモンスター(アニメ)】
映画ミュウツーの逆襲に登場した城。 モデルはサグラダ・ファミリア。
上層は手付かず、地下にはポケモンの研究施設があり、この島に支給されたポケモンのコピーたちが行く手を阻む。
(サカキ達が確認した範囲ではコピーポケモンだけですが、他のポケモンもいるかも?)
映画ミュウツーの逆襲に登場した城。 モデルはサグラダ・ファミリア。
上層は手付かず、地下にはポケモンの研究施設があり、この島に支給されたポケモンのコピーたちが行く手を阻む。
(サカキ達が確認した範囲ではコピーポケモンだけですが、他のポケモンもいるかも?)
| 048:携帯獣の愛護と適切な管理 | 投下順に読む | 050:ロスト・ワールド |
| 時系列順に読む | ||
| 028:殺さねばならない相手がいます | 美国織莉子 | 056:わが臈たし悪の華 |
| サカキ |