最強の敵 ◆vNS4zIhcRM
同行者の歩みに合わせ、のんびりと南西に向かっていた歩みを、止める。
ようやく日が差し始めた中、Lはたった今流れたばかりの放送の中身を思考する。
ようやく日が差し始めた中、Lはたった今流れたばかりの放送の中身を思考する。
(松田に美空ナオミ、それと弥海砂……)
頼りになるというよりは足を引っ張られる事の方が多かった相手だが、それでも数少ない協力者、正義感を持った警察官。
とある事件で知り合い、婚約者の仇を取る為にキラ事件へと足を踏み入れ、命を落とした女性。
そして第二のキラ。 死神の目なるものを持つキラの協力者、いや信奉者というべきか。 キラ特定の際に色々と状況をかき混ぜた、犯罪者。
とある事件で知り合い、婚約者の仇を取る為にキラ事件へと足を踏み入れ、命を落とした女性。
そして第二のキラ。 死神の目なるものを持つキラの協力者、いや信奉者というべきか。 キラ特定の際に色々と状況をかき混ぜた、犯罪者。
いずれも、死んだ。
Lと何ら関わりの無い所で、Lが何らかの意図を抱くことすら出来ぬままに、死んだ。
Lと何ら関わりの無い所で、Lが何らかの意図を抱くことすら出来ぬままに、死んだ。
(それに、ルルーシュ・ランペルージ)
今わの際の篠崎咲世子との約束は、半ば果たせなかったということになる。
まだ片割れが残っている、などという思考はLに無い。 信じられ、託された約束を果たせなかったという思いのみを抱く。
だが、そういった諸々の感情を表に出す事などない。 人間嫌いにすら見える外見と異なりLは熱いものを心の底に秘めているが、それは後回し。
まだ片割れが残っている、などという思考はLに無い。 信じられ、託された約束を果たせなかったという思いのみを抱く。
だが、そういった諸々の感情を表に出す事などない。 人間嫌いにすら見える外見と異なりLは熱いものを心の底に秘めているが、それは後回し。
「熱心だねぇ」
名簿と地図に印を付け、同時に知る限りの死者の情報、性格など何でもいいので思いついた情報を記す。
Lならば一々印を付けずとも記憶する事は容易いが、彼はそのような過信とは無縁な男だ。
あらゆる情報を、あらゆる側面から集め、整理し、解を導き出す。 それが彼を世界最高の探偵たらしめている要素だ。
そういう行動をしているLに至極のんきそうな声が掛けられる。
Lならば一々印を付けずとも記憶する事は容易いが、彼はそのような過信とは無縁な男だ。
あらゆる情報を、あらゆる側面から集め、整理し、解を導き出す。 それが彼を世界最高の探偵たらしめている要素だ。
そういう行動をしているLに至極のんきそうな声が掛けられる。
「あなたはメモしなくてもいいんですか?」
「うーん、したほうがいいのかなぁ?」
「うーん、したほうがいいのかなぁ?」
シャルロッテ印なるお菓子をポリポリと食べながらも作業するLとは正反対に、何もしていない北崎。
誰もが行うはずの行為を、必要なのかと論じるほどの、不遜。
誰もが行うはずの行為を、必要なのかと論じるほどの、不遜。
「……私があなたに忠告するのもおかしいですが、言うまでもないことです」
「そーお? じゃあさ、僕の分も書いておいてよ」
「そーお? じゃあさ、僕の分も書いておいてよ」
言いながら、己のディパックをしゃがみこんでいるLに手渡す北崎。
北崎を打倒することを公言しているLに対して、己の支給品全てを渡すという、非常識な行為。
いやそれどころか、誤った情報を書き込まれれば、それが死につながるかもしれないというのに、この余裕。
北崎を打倒することを公言しているLに対して、己の支給品全てを渡すという、非常識な行為。
いやそれどころか、誤った情報を書き込まれれば、それが死につながるかもしれないというのに、この余裕。
「……私もそんな面倒は御免なのですがね。 というかいいのですか? 間違えた情報を書き込むかもしれませんよ?」
「へーきへーき、3つくらい覚えられるし、何より君はそんな事はしないよねぇ」
「へーきへーき、3つくらい覚えられるし、何より君はそんな事はしないよねぇ」
確かに、禁止エリアが二桁もあるのであれば一つ二つ偽ることも可能だろうが、3つとなるとそうもいかない。
そして何より、そのような方法で北崎を討ったとしても、意味がない。
Lは、世界一の探偵である。 それは数多の犯罪者を罪に服させてきたということだ。
犯罪者に対しては卑怯な事でも法に触れることでも何でもするが、それは犯人逮捕の為。 その後に犯した罪に相応しい刑に服させる為だ。
仮に北崎が死刑に相当するとしても、ただ騙まし討ちで殺したのでは、何の罰にもなっていない。
あくまでも、己の手で倒す。 自分が犯した罪の重さを自覚させる。 そうすることで初めて、Lは北崎に勝利したと言えるだろう。
そして何より、そのような方法で北崎を討ったとしても、意味がない。
Lは、世界一の探偵である。 それは数多の犯罪者を罪に服させてきたということだ。
犯罪者に対しては卑怯な事でも法に触れることでも何でもするが、それは犯人逮捕の為。 その後に犯した罪に相応しい刑に服させる為だ。
仮に北崎が死刑に相当するとしても、ただ騙まし討ちで殺したのでは、何の罰にもなっていない。
あくまでも、己の手で倒す。 自分が犯した罪の重さを自覚させる。 そうすることで初めて、Lは北崎に勝利したと言えるだろう。
「ああ、面倒くさい」
そう言いながらも、Lはデイパックを受け取る。
もともと雑事は全てワタリに任せているだけに、Lはこういう作業は好きではない。
だがそれでも、何らかの新情報を得れるかもしれないチャンスを見過ごすなどということはない。
北崎の性格からすると何らかの悪ふざけくらいは仕掛けられている可能性も考慮して中身を探るが、どうやら杞憂だったようだ。
Lのものと同じ支給品の数々と、虎を模したの飾りの付いた竹刀が一本、それだけ。
それは無視しつつ、綺麗とも汚いとも言いがたい文字で禁止エリアを塗りつぶし、死亡者の名に印を付ける。
Lの菓子を勝手に食べながら横目で見ていた北崎が、その中に含まれている施設を見て村上なる人物が可哀相に、と言っていたが後回しだ。
反応からすれば、死者の中に北崎の知り合いは存在しないようだが、そのときについでに聞けばいい。
もともと雑事は全てワタリに任せているだけに、Lはこういう作業は好きではない。
だがそれでも、何らかの新情報を得れるかもしれないチャンスを見過ごすなどということはない。
北崎の性格からすると何らかの悪ふざけくらいは仕掛けられている可能性も考慮して中身を探るが、どうやら杞憂だったようだ。
Lのものと同じ支給品の数々と、虎を模したの飾りの付いた竹刀が一本、それだけ。
それは無視しつつ、綺麗とも汚いとも言いがたい文字で禁止エリアを塗りつぶし、死亡者の名に印を付ける。
Lの菓子を勝手に食べながら横目で見ていた北崎が、その中に含まれている施設を見て村上なる人物が可哀相に、と言っていたが後回しだ。
反応からすれば、死者の中に北崎の知り合いは存在しないようだが、そのときについでに聞けばいい。
「ヒカリ、千歳ゆまと。 これで全てですね」
「ご苦労さま、まあ茸しかないけどたんとお食べよ。 茸派とか無いよねぇ」
「ご苦労さま、まあ茸しかないけどたんとお食べよ。 茸派とか無いよねぇ」
たんとお食べとは言うがそれは先ほどまでLが食べていたお菓子に他ならない。
お菓子を取られた事と筍派という事実で、Lは北崎はやはり許されざる敵であるという認識を新たにした。
お菓子を取られた事と筍派という事実で、Lは北崎はやはり許されざる敵であるという認識を新たにした。
「ところで、平然としておられますが、貴方の知り合いの名は呼ばれなかったのですか?」
「うん、知らない人ばかりだよ」
「そうですか」
「うん、知らない人ばかりだよ」
「そうですか」
仮に親や恋人が死んだとして北崎がどのような態度を取るのか想像も付かないが、少なくともこうも平然としてはいまい。
死んでいたとしても顔見知り程度だろうと考えていたが、どうやらその通りのようだ。
死んでいたとしても顔見知り程度だろうと考えていたが、どうやらその通りのようだ。
「そういえば、あなたにはどのような知り合いがいるのですか?」
「ん~、僕の知り合い? そうだねぇ」
「ん~、僕の知り合い? そうだねぇ」
僅かに、北崎が考え込み、そして何かを思いついたように笑みを浮かべる。
「聞きたい?」
「ええ、教えて頂けるのでしたら」
「うん、じゃあ、教えてあげなぁい」
「ええ、教えて頂けるのでしたら」
「うん、じゃあ、教えてあげなぁい」
返事には、悪ふざけの成分が多大に含まれていた。
その笑顔は、策略とか嫌がらせとかそういう意図ではなく単純にからかっているのだと雄弁に語っていた。
その笑顔は、策略とか嫌がらせとかそういう意図ではなく単純にからかっているのだと雄弁に語っていた。
「…………」
「あ、怒った? ウソだよ、ちゃんと教えてあげるよぉ」
「あ、怒った? ウソだよ、ちゃんと教えてあげるよぉ」
ちょっと待ってね、とLより渡された名簿を持ち上げる。
その様子からすれば、さほど真剣に名簿を読んでは居なかったのだろう。 いかにも北崎らしい。
見た目からしてLよりもいくらか若い少年であるが、中身の方も外見相応というところだろう。
その様子からすれば、さほど真剣に名簿を読んでは居なかったのだろう。 いかにも北崎らしい。
見た目からしてLよりもいくらか若い少年であるが、中身の方も外見相応というところだろう。
「うん、やっぱり僕が知ってるのは村上さんだけだよ。 琢磨くんは死んじゃったし、冴子さんもいないし。
もしかしたら向こうが僕を知ってるかもしれないけど、それって知り合いとはいわないよねぇ」
「そうですね、それはその通りです」
もしかしたら向こうが僕を知ってるかもしれないけど、それって知り合いとはいわないよねぇ」
「そうですね、それはその通りです」
村上さん、というのは村上峡児という人物で間違いないだろう。
琢磨くんというのはあの時死んだ男で、冴子さんというのが何者かは知らないが、北崎とはそれなりに親しい位置にいたのであろう、女性。
この場合問題になるのは、琢磨という男がくん付けなのに対して、村上はさん付けで呼ばれている。 それはつまり北崎から何らかの敬意を勝ち取れている存在ということになる。
琢磨くんというのはあの時死んだ男で、冴子さんというのが何者かは知らないが、北崎とはそれなりに親しい位置にいたのであろう、女性。
この場合問題になるのは、琢磨という男がくん付けなのに対して、村上はさん付けで呼ばれている。 それはつまり北崎から何らかの敬意を勝ち取れている存在ということになる。
「あ~、そういえばこの木場勇治と乾巧って人も知ってるかな?」
その辺りの人間関係も出来れば把握しておきたいと考えていたLだが、北崎は他の何かを思い出したようだ。
「木場勇治、木場勇治……とその一味。 間違いないね、琢磨くんがよく失敗してベソかいてたよ」
「失敗、ですか?」
「失敗、ですか?」
琢磨という男の失敗でも思い起こしたのだろう、意地の悪い笑みを浮かべる北崎に、問う。
「うん、オルフェノクなのに人間を殺すのが嫌な人は処分されちゃう事に村上さんが決めたんだけど、彼は何度か琢磨くんが襲って、そのたびに生き延びてたんだよねぇ」
「一味、ですか。 他の何人かもこの場にいるのですか?」
「さぁ、知らないなぁ。 何度か顔を見たような気もするけど一味としか覚えてないし」
「そうですか……」
「一味、ですか。 他の何人かもこの場にいるのですか?」
「さぁ、知らないなぁ。 何度か顔を見たような気もするけど一味としか覚えてないし」
「そうですか……」
これは朗報、ということになるのだろうか。
オルフェノクの中にも、人間に友好的な存在があり、それもこの場にいるということだ。
無論、実際に本人に会うまでは何とも言えないが、それでも北崎らを相手に何度か戦ったのは事実なようだ。
オルフェノクの中にも、人間に友好的な存在があり、それもこの場にいるということだ。
無論、実際に本人に会うまでは何とも言えないが、それでも北崎らを相手に何度か戦ったのは事実なようだ。
「で、この乾巧っていうのは、確かJの代わりに村上さんが連れてきた、僕たちラッキークローバーの新しい仲間なんだけど……」
その事についてさらに問おうとするLであったが、北崎は続けてもう一人の説明に入ろうとする。
進んで解説してくれるなら文句はない、後で細かい点を補足してもらえばいいか、などとLは考え話に意識を戻したのだが、
進んで解説してくれるなら文句はない、後で細かい点を補足してもらえばいいか、などとLは考え話に意識を戻したのだが、
「■■■■■■■■■■■■■■■――――――!!!」
それは、突如として響いた怖気の走るような咆哮によって、中断された。
「………………は?」
一瞬の、自失。
それが何かの声であることすら、Lは咄嗟に理解できなかった。
ただ、半ば呆然と振り向いた先に、家々を破壊しながら進む人型の物体があったことで、それが声であったのだとかろうじて理解出来た。
その物体は、Lに一瞬死神の仲間かと感じさせたほど、Lの常識からはかけ離れた存在であった。
2メートルの半ばを越す長身と、その肉体の全ての箇所を覆う灰褐色の筋肉。
巨人を象って彫られた石像と呼ぶほうがしっくりくる、まさに岩の塊のような、紛れも無い「人体」
それを何か得体の知れない赤黒いもので表面をコーティングし、よりいっそう非生物的な外観を作り出しながらも、それは紛れも無く生物として駆動していた。
それが何かの声であることすら、Lは咄嗟に理解できなかった。
ただ、半ば呆然と振り向いた先に、家々を破壊しながら進む人型の物体があったことで、それが声であったのだとかろうじて理解出来た。
その物体は、Lに一瞬死神の仲間かと感じさせたほど、Lの常識からはかけ離れた存在であった。
2メートルの半ばを越す長身と、その肉体の全ての箇所を覆う灰褐色の筋肉。
巨人を象って彫られた石像と呼ぶほうがしっくりくる、まさに岩の塊のような、紛れも無い「人体」
それを何か得体の知れない赤黒いもので表面をコーティングし、よりいっそう非生物的な外観を作り出しながらも、それは紛れも無く生物として駆動していた。
「うわぁ……おっきいねぇ」
本能的な嫌悪感と恐怖感で咄嗟に声も出せなかったLを尻目に、北崎は暢気に述べる。
非人間的な造詣ならばオルフェノクで見慣れているし、巨体ならば仮面ライダー・カイザの駆るサイドバッシャーのほうが大きかった。
流石に密度という面で見ればここまでの代物は北崎にも初めてではあるが、それでも恐れとは無縁だ。
非人間的な造詣ならばオルフェノクで見慣れているし、巨体ならば仮面ライダー・カイザの駆るサイドバッシャーのほうが大きかった。
流石に密度という面で見ればここまでの代物は北崎にも初めてではあるが、それでも恐れとは無縁だ。
「いっくよー」
走り寄る巨体に向かい走り出しながら、オルフェノクへと変身を遂げる。
巨人の目的は完全に不明だが、少なくとも友好的な存在には到底見えない。
最も、北崎は相手が友好的かなどは元より気にしてはいない。 ただ、向かって来ているのが戦って面白そうな相手と認識しただけだ。
巨人の目的は完全に不明だが、少なくとも友好的な存在には到底見えない。
最も、北崎は相手が友好的かなどは元より気にしてはいない。 ただ、向かって来ているのが戦って面白そうな相手と認識しただけだ。
「■■■■■■■■■■■■■■■――――――!!!」
敵意を剥き出しにして、咆哮をあげながら迫り来る巨人など、これほど面白そうなオモチャが存在しようか。
先だって倒した咲世子という女性も中々楽しめた相手だったが、こっちは見た目からしてワクワクする。
北崎の胴ほどもありそうな腕に、Lの腕よりも太い指という、当たれば唯ではすまないかもしれない凶器のスリル。
それがハンマー、いやむしろロードローラーと呼ぶべき勢いで、叩き付けられる。
先だって倒した咲世子という女性も中々楽しめた相手だったが、こっちは見た目からしてワクワクする。
北崎の胴ほどもありそうな腕に、Lの腕よりも太い指という、当たれば唯ではすまないかもしれない凶器のスリル。
それがハンマー、いやむしろロードローラーと呼ぶべき勢いで、叩き付けられる。
「おっと」
流石の北崎でもこれは後ろに避け、後ろにあった家の外壁が砕け散る。
本気出せば受け止めても大丈夫だとは思っているが、それでも万一ということはある。
叩き付けた威力で、離れたところで見てたLの身体が僅かに跳ねるが、巨人も北崎も気にしない。
巨人はただ振り下ろした右手を支点にして左手を振り回し、北崎はまた後ろに下がりそれを避ける。
そこに向かい今度は右手が振り回される。 下がるのがそこまで好きでない北崎は横に逃げる。
だが巨人の正面側故に左手が間髪居れず叩き付けられ、再び後退する。
本気出せば受け止めても大丈夫だとは思っているが、それでも万一ということはある。
叩き付けた威力で、離れたところで見てたLの身体が僅かに跳ねるが、巨人も北崎も気にしない。
巨人はただ振り下ろした右手を支点にして左手を振り回し、北崎はまた後ろに下がりそれを避ける。
そこに向かい今度は右手が振り回される。 下がるのがそこまで好きでない北崎は横に逃げる。
だが巨人の正面側故に左手が間髪居れず叩き付けられ、再び後退する。
右手、 叩き付ける
左手、 振り回す
左手、 叩き付ける
右手、 振り回す
左手、振り回す
右手叩き付ける
左手、 振り回す
左手、 叩き付ける
右手、 振り回す
左手、振り回す
右手叩き付ける
「ちょ、ちょっと、ずるいよぉ?」
北崎とて相手のリーチが上な以上はある程度の防戦という形は覚悟していた。
だがこの速度、まるで黒い渦のように止まらずに迫り続けるというのは予想外に過ぎた。
力で劣るなどとは微塵も考えていないが、あの密度では一度や二度止めた所で弾き飛ばされてしまいそうだ。
だがこの速度、まるで黒い渦のように止まらずに迫り続けるというのは予想外に過ぎた。
力で劣るなどとは微塵も考えていないが、あの密度では一度や二度止めた所で弾き飛ばされてしまいそうだ。
「攻撃しっぱなしっているのは反則取られるんだよぉ?」
「■■■■―――」
「■■■■―――」
何のどういうルールかは不明な言葉をつぶやいた途端、状況が変わる。
巨人の正面方向から後退を続けるしか無かった北崎が、一瞬の間に巨人の後方へと回り込む。
その姿は先ほどまでの力に優れた魔人態ではなく、速度に優れたスリムな龍人態へと転じていた。
巨人の正面方向から後退を続けるしか無かった北崎が、一瞬の間に巨人の後方へと回り込む。
その姿は先ほどまでの力に優れた魔人態ではなく、速度に優れたスリムな龍人態へと転じていた。
「■■■■■――――――!!」
姿が変わっていることには何の反応も示さずに、巨人は裏拳気味に右手を振り回す。
本来隙の生まれ易い動作ではあるが、巨人のそれには付け入るべき隙など殆ど見えず、巨人はこれまでの野生めいた態度には反して優れた技術を持っているようであった。
本来隙の生まれ易い動作ではあるが、巨人のそれには付け入るべき隙など殆ど見えず、巨人はこれまでの野生めいた態度には反して優れた技術を持っているようであった。
「あはは、こっちだよぉ」
だが、その攻撃が届く前に北崎は再びもと居た位置に戻る。
どれ程の威力のある攻撃だろうと、当たらなければ意味が無い。
再び巨人は両腕で暴渦を巻き起こすが、北崎は決してその範囲には入らない。
どれ程の威力のある攻撃だろうと、当たらなければ意味が無い。
再び巨人は両腕で暴渦を巻き起こすが、北崎は決してその範囲には入らない。
「今度はこっちだねぇ」
北崎本人とて言葉ほど余裕があるという訳ではない。
龍人態なら楽に回避できるとはいえ、その状態で万一にも喰らえば重傷は免れない。
かといって魔人態でも防ぎきれるという自信があるわけではなく、何より速さで巨人に劣る。
龍人態なら楽に回避できるとはいえ、その状態で万一にも喰らえば重傷は免れない。
かといって魔人態でも防ぎきれるという自信があるわけではなく、何より速さで巨人に劣る。
「反則したし、こっちもペナルティ行くよぉ?」
だから北崎は、早々に勝負に出る事にした。
叩き付け、振り回し、裏拳という今まで見た行動パターンから、最も隙の大きい裏拳を、誘う。
そしてその隙を突き、僅かに腕に触れる事を覚悟しつつ、龍人態の速度で懐に飛び込み、その臓腑を貫く。
本来、北崎は灰化能力を持つ故に相手の身体が触れるのはむしろ優位な行為であるが、これほどの質量差のある相手だと北崎自信もダメージを受けかねない。
それでもそうしたのは、北崎自信が巨人を相当の強敵と感じてたからだ。 無論、己の暇つぶし道具の範囲内としてではあるが。
叩き付け、振り回し、裏拳という今まで見た行動パターンから、最も隙の大きい裏拳を、誘う。
そしてその隙を突き、僅かに腕に触れる事を覚悟しつつ、龍人態の速度で懐に飛び込み、その臓腑を貫く。
本来、北崎は灰化能力を持つ故に相手の身体が触れるのはむしろ優位な行為であるが、これほどの質量差のある相手だと北崎自信もダメージを受けかねない。
それでもそうしたのは、北崎自信が巨人を相当の強敵と感じてたからだ。 無論、己の暇つぶし道具の範囲内としてではあるが。
「■■■■■■■■■――――――!?」
今まで後退一方であった相手の突然の突撃。
元より北崎の早さに付いていけていなかった巨人は、その動きに対応しきれない。
結果として、北崎はさしたるダメージもなく巨人の懐に飛び込むことに成功する。
元より北崎の早さに付いていけていなかった巨人は、その動きに対応しきれない。
結果として、北崎はさしたるダメージもなく巨人の懐に飛び込むことに成功する。
「じゃあね、バイバイ」
念のため、と魔人態に変身しなおし、心臓目掛けて腕を振るう。
石像のような筋肉を持つと言っても、実際に石の硬度を持つ訳ではない。
北崎の両腕の竜頭より伸びた突角を持ってすれば確実に貫けるだろう。
肉が厚く上背もある為、内臓まで確実に届かすにはかなりの力を要するが、その程度はどうにでもなる。
多少の脅威であろうと、大きいだけの巨人では、最強のオルフェノクの前では敵足り得ない。
そうして、突角は鈍い金属音を上げながら、巨人の肉体に突き立てられた。
石像のような筋肉を持つと言っても、実際に石の硬度を持つ訳ではない。
北崎の両腕の竜頭より伸びた突角を持ってすれば確実に貫けるだろう。
肉が厚く上背もある為、内臓まで確実に届かすにはかなりの力を要するが、その程度はどうにでもなる。
多少の脅威であろうと、大きいだけの巨人では、最強のオルフェノクの前では敵足り得ない。
そうして、突角は鈍い金属音を上げながら、巨人の肉体に突き立てられた。
□
「…………」
Lには、言葉が無かった。
警察権力と世界的に繋がりがある以上、Lとて荒事には不慣れではない。
だが、Lの知る全ての経験のどれと比べても、目の前の光景は非現実過ぎた。
咲世子の動きもLからすれば未知の領域であったが、それでもそれは人間の範疇ではあった。
警察権力と世界的に繋がりがある以上、Lとて荒事には不慣れではない。
だが、Lの知る全ての経験のどれと比べても、目の前の光景は非現実過ぎた。
咲世子の動きもLからすれば未知の領域であったが、それでもそれは人間の範疇ではあった。
眼の前のこれは、違う。
これは、御伽噺の、神話の領域だ。
暴走するダンプよりも遥かに早く、遥かに効率的に家々を廃墟に変える巨人と、それに対峙する北崎。
無人の荒野を行くが如く、人類の築いた生息領域を蹂躙し、無に返すその姿は到底生物のようには見えない。
そして、それほどの存在を相手にしながらも、人類を超えた種の最強と名乗る北崎は、互角に戦い続けている。
それどころか、姿を変えた事で戦闘は一方的な物へと転じ、災厄としか思えない巨体すら、翻弄する。
これは、御伽噺の、神話の領域だ。
暴走するダンプよりも遥かに早く、遥かに効率的に家々を廃墟に変える巨人と、それに対峙する北崎。
無人の荒野を行くが如く、人類の築いた生息領域を蹂躙し、無に返すその姿は到底生物のようには見えない。
そして、それほどの存在を相手にしながらも、人類を超えた種の最強と名乗る北崎は、互角に戦い続けている。
それどころか、姿を変えた事で戦闘は一方的な物へと転じ、災厄としか思えない巨体すら、翻弄する。
「じゃあね、バイバイ」
北崎の動きが変わったことで、最早Lにはどちらが優勢なのかすら理解できない戦いは、そこで終わる。
いつの間にか巨人の腕の内側に飛び込んでいた北崎は、勝利宣言を上げながら巨人の胸に突角を突き立てる。
鈍い金属音が辺りに響き、そこで戦いは終わった。
いつの間にか巨人の腕の内側に飛び込んでいた北崎は、勝利宣言を上げながら巨人の胸に突角を突き立てる。
鈍い金属音が辺りに響き、そこで戦いは終わった。
「…………あれぇ?」
おかしい。
何かが、おかしい。
鈍い金属音が響くなどという事は、あり得ない。
鋼のような筋肉と称されることはあれど、それが人体として稼動している以上は、硬度を持つことなどあり得ない。
北崎の硬度が不明であるが、生物の肉体は生物の突角を前にしては、貫かれるのが摂理なのだ。
いや、前に見た能力からすれば、それが仮に本物の石像だったとしても、胴体から二つに砕かれるはずであろう。
それが、刺さらない。
何かが、おかしい。
鈍い金属音が響くなどという事は、あり得ない。
鋼のような筋肉と称されることはあれど、それが人体として稼動している以上は、硬度を持つことなどあり得ない。
北崎の硬度が不明であるが、生物の肉体は生物の突角を前にしては、貫かれるのが摂理なのだ。
いや、前に見た能力からすれば、それが仮に本物の石像だったとしても、胴体から二つに砕かれるはずであろう。
それが、刺さらない。
「おかしいなぁ、手加減しちゃったのかなぁ? ……よっと」
己の手に伝わる異様な感触……まるで人間の姿のまま巨大な金属の塊を殴ったかのような反動に、北崎は戸惑う。
思わず呆けたような声を上げてしまったが、戸惑いは一瞬の内に消し去り、逆の手で同じように突くが、結果は同じ。
まるで同等か、それ以上の硬度を持つ物質を相手にしているかのように、刺さってくれない。
思わず呆けたような声を上げてしまったが、戸惑いは一瞬の内に消し去り、逆の手で同じように突くが、結果は同じ。
まるで同等か、それ以上の硬度を持つ物質を相手にしているかのように、刺さってくれない。
「■■■■■■■■■――――――!!」
「わっ、ちょ、ちょとぉ!?」
「わっ、ちょ、ちょとぉ!?」
起きた現実を信じられないように攻撃を続けようとする北崎だが、それ以上の行動は巨人が許さなかった。
捕まえることの出来無かった相手が、己の懐に飛び込んできたのだ、もう逃がす理由はない。
捕まえることの出来無かった相手が、己の懐に飛び込んできたのだ、もう逃がす理由はない。
「は、離せ……よぉ」
片手のみでも容易く掴めるであろう北崎の肉体を、両の掌でしっかりと掴む。
いや、掴むのではなく、押しつぶす。
いや、掴むのではなく、押しつぶす。
「■■■■■■■■■■■■■■■――――――!!!」
「は、な…………」
「は、な…………」
力で抗し得るなどという北崎の自信など、過信に過ぎなかったのだろう。
力比べには圧倒的に不利な姿勢とはいえ、力に優れる魔人態でもまるで相手にならない。
Lからは北崎の表情は読み取れないが、その動きは明らかに苦悶にもがいていた。
力比べには圧倒的に不利な姿勢とはいえ、力に優れる魔人態でもまるで相手にならない。
Lからは北崎の表情は読み取れないが、その動きは明らかに苦悶にもがいていた。
「バーサーカー……」
不意に、そんな単語がLの口から漏れ出でた。
古い伝承に存在する、理性も意思も失い、ただ全ての者を破壊するだけの狂戦士。
名簿にあった名前の、一つ。
何の証拠も無いが、そうなのだろうと理解出来た。 させられてしまった。
推理も確認も反証も、LをLたらしめるありとあらゆる行為を、強制的に放棄させられる明確な存在感。
古い伝承に存在する、理性も意思も失い、ただ全ての者を破壊するだけの狂戦士。
名簿にあった名前の、一つ。
何の証拠も無いが、そうなのだろうと理解出来た。 させられてしまった。
推理も確認も反証も、LをLたらしめるありとあらゆる行為を、強制的に放棄させられる明確な存在感。
「…………」
血が出ても構わない、というほどに拳を握り締める。
バカバカしい。 何が数々の難事件を解決した世界最高の探偵だ。
この戦いのどこに、そんなものが入り込む余地がある?
最初から、己の仕業であると憚る事無く主張する圧倒的な暴力を前に、探偵ごときに何ができる?
バカバカしい。 何が数々の難事件を解決した世界最高の探偵だ。
この戦いのどこに、そんなものが入り込む余地がある?
最初から、己の仕業であると憚る事無く主張する圧倒的な暴力を前に、探偵ごときに何ができる?
北崎は、死ぬ。
これは確定事項だ。
Lの情報も策動も何も、全く関係ないところで死ぬ。
Lの情報も策動も何も、全く関係ないところで死ぬ。
その後にLも……死ぬ。
「■■■■■――? ■■■■■■■■■■■■■■■―――――!!!」
「う、わーーーー!!??」
「う、わーーーー!!??」
そして、その役立たずな探偵の考察は、ここでも外れる。
巨人――バーサーカーは、突如として北崎の肉体を放り捨てる。
飛ばされた北崎には目もくれず、己の掌を一瞬省みるような動作をした後、出鱈目に両手を振り回すだけだ。
それで、ようやく思い出す。 北崎には触れた物体を灰にするという能力があったことを。
突角は通じなかったが、灰化能力自体はどうやら効いたようだ。
だが、触れた部分を灰にするという小さな攻撃が、あの巨体を殺しきるまでにどれだけの時間を必要とするのか。
そして、もう一つLは気づく。
巨人――バーサーカーは、突如として北崎の肉体を放り捨てる。
飛ばされた北崎には目もくれず、己の掌を一瞬省みるような動作をした後、出鱈目に両手を振り回すだけだ。
それで、ようやく思い出す。 北崎には触れた物体を灰にするという能力があったことを。
突角は通じなかったが、灰化能力自体はどうやら効いたようだ。
だが、触れた部分を灰にするという小さな攻撃が、あの巨体を殺しきるまでにどれだけの時間を必要とするのか。
そして、もう一つLは気づく。
(目が、……見えていない?)
適当に放り捨てられた北崎を追うこともせず。
いや、追おうとしているのかもしれないが、ただ出鱈目に周囲を破壊しているだけだ。
呆然と眺めていたLの方にも、向かってこようともしない。
いや、追おうとしているのかもしれないが、ただ出鱈目に周囲を破壊しているだけだ。
呆然と眺めていたLの方にも、向かってこようともしない。
「…………」
充分に身を潜めてから、適当な小石を適当な方向に、投げつける。
「■■■■■■■■■――――!」
反応は、無い。
自分の咆哮で気づかなかったという可能性もあるが、聞こえていないのだろうか。
自分の咆哮で気づかなかったという可能性もあるが、聞こえていないのだろうか。
「…………」
今度は、あえてバーサーカーの視界を通るように小石を投げるが、やはり反応しない。
それどころか、バーサーカーは家々を破壊しながら、そのまま西の方に移動を開始する。
それどころか、バーサーカーは家々を破壊しながら、そのまま西の方に移動を開始する。
「■■■■■■■■■■■■―――――!」
「待て……よぉ」
「待て……よぉ」
その後姿に向かい、北崎が弱弱しく声を上げるが、それにも反応しない。
もしかしたら居場所を捜す為にわざと見えない振りをしているという可能性を考慮に入れながらも、Lは北崎の元に向かう。
そんな動きなど考慮の外とばかりに、周囲を破壊する暴風の姿は、徐々離れていった。
もしかしたら居場所を捜す為にわざと見えない振りをしているという可能性を考慮に入れながらも、Lは北崎の元に向かう。
そんな動きなど考慮の外とばかりに、周囲を破壊する暴風の姿は、徐々離れていった。
「…………」
「……何で、邪魔するのさぁ」
「……何で、邪魔するのさぁ」
たっぷり、五百は数えただろうか。
北崎が動かないよう、デイパックごしに身体を押さえていたLは、立ち上がる。
ついで、北崎の不満そうな声。 そう言いながらも、彼は立ち上がる気配を見せない。
北崎が動かないよう、デイパックごしに身体を押さえていたLは、立ち上がる。
ついで、北崎の不満そうな声。 そう言いながらも、彼は立ち上がる気配を見せない。
「もうちょっとだったのに……何で邪魔したのさぁ」
「もうちょっと、ですか。 ちゃんちゃら可笑しいですね……だってあなた、震えてるじゃないですか」
「…………っ!」
「もうちょっと、ですか。 ちゃんちゃら可笑しいですね……だってあなた、震えてるじゃないですか」
「…………っ!」
北崎は確かに最強を名乗るだけの能力を持ち合わせている。
人類を超越したオルフェノク種の中でも上の上の能力を持ち、触れた物を灰にするという能力に加えて、堅牢さと素早さに特化した二種類の形態までも使いこなす。
だが、その全ては彼がドラゴンオルフェノクとして再生した際に得たものであり、言ってみれば彼はその才能だけでオルフェノク種の頂点に立ったという事だ。
彼より強い者など誰もおらず、全ての他者は彼の退屈を満たすための玩具でしかない。 そんな認識の中で生きてきた16歳の少年。
北崎は、自身より強いものを知らない。 そんなものに出会うという想像すら、したことが無かった。
人類を超越したオルフェノク種の中でも上の上の能力を持ち、触れた物を灰にするという能力に加えて、堅牢さと素早さに特化した二種類の形態までも使いこなす。
だが、その全ては彼がドラゴンオルフェノクとして再生した際に得たものであり、言ってみれば彼はその才能だけでオルフェノク種の頂点に立ったという事だ。
彼より強い者など誰もおらず、全ての他者は彼の退屈を満たすための玩具でしかない。 そんな認識の中で生きてきた16歳の少年。
北崎は、自身より強いものを知らない。 そんなものに出会うという想像すら、したことが無かった。
「や、やだなぁ、これはアレだよ、ほら、武者震いっていうヤツさ」
「そうですか、ならとりあえずアレを追うとしましょうか」
「追う……?」
「そうですか、ならとりあえずアレを追うとしましょうか」
「追う……?」
その言葉に、北崎は動きを止める。
ああそうだ、Lが言うまでもなく北崎自身の本能が理解していた。
ああそうだ、Lが言うまでもなく北崎自身の本能が理解していた。
アレには、勝てない。
目にも止まらぬ速度で動ける?
触れた物を灰にする能力を持つ?
それが何だというのだ。
触れた物を灰にする能力を持つ?
それが何だというのだ。
力。
ただ圧倒的なだけの、力
あんなものは唯の反則だ。
交渉の余地も何もない、ただの暴力機関。
最初から、これは戦いでも何でも無かった。
ただ、災害が通り過ぎたというだけの、事だった。
ただ圧倒的なだけの、力
あんなものは唯の反則だ。
交渉の余地も何もない、ただの暴力機関。
最初から、これは戦いでも何でも無かった。
ただ、災害が通り過ぎたというだけの、事だった。
「そうです。 追うの、ですよ。
恐らくは目も耳も機能していないような存在なんて、最強様には楽勝でしょう?」
恐らくは目も耳も機能していないような存在なんて、最強様には楽勝でしょう?」
そして、これからそれを追いかけなければならない。
追いかけて、そして打倒しなければならない。
そう、何の交渉も無いままに、ただ打倒する。
元より、目も耳も効かない相手に、どんな対話を行えるというのか。
追いかけて、そして打倒しなければならない。
そう、何の交渉も無いままに、ただ打倒する。
元より、目も耳も効かない相手に、どんな対話を行えるというのか。
(認めましょう)
逮捕でも屈服でもなく、ただ一方的に打倒しなければならない相手の存在を。
死神という超常の存在を認めたように、Lの知略など最初から眼中に無い暴力というものが存在するということを。
死神という超常の存在を認めたように、Lの知略など最初から眼中に無い暴力というものが存在するということを。
認めよう。
認めて、そしてそこから考えるのだ。
何が出来るのか。
何をするべきなのか。
認めて、そしてそこから考えるのだ。
何が出来るのか。
何をするべきなのか。
だから、Lは北崎を止めた。
北崎は倒すべき敵ではあるが、アレは敵ですらない。
誓いも願いも、何もかも一切合財を無視しうる、黒い禍。
北崎は倒すべき敵ではあるが、アレは敵ですらない。
誓いも願いも、何もかも一切合財を無視しうる、黒い禍。
「では、行きますよ」
言葉に出して、Lの身体が震える。
あまりに強大すぎて、麻痺していた恐怖が今更ながらにLの身体に蘇る。
一度は捨てた命であるのに、それでも恐ろしさが拭いきれない。
だからと言って、諦めという事象は、Lには存在しない。
あまりに強大すぎて、麻痺していた恐怖が今更ながらにLの身体に蘇る。
一度は捨てた命であるのに、それでも恐ろしさが拭いきれない。
だからと言って、諦めという事象は、Lには存在しない。
「……わかってるよぉ」
そう言いながら、北崎が立ち上がる。
その姿は、オルフェノクのものではなく、元に戻っている。
その姿は、オルフェノクのものではなく、元に戻っている。
「キミの狙い。 アレと僕をぶつけて、共倒れを狙っているんだろぉ?」
「まあ、そんなところです」
「まあ、そんなところです」
正確に言えば、共倒れになるかすらわからない、という所か。
圧倒的な力だけでも脅威であるのに、それ以上に恐ろしいのがあの謎の防御力だ。
灰化能力だけはどうやら通じたようだが、あの巨体を殺しつくすのに、どれだけの時間が必要なのか。
圧倒的な力だけでも脅威であるのに、それ以上に恐ろしいのがあの謎の防御力だ。
灰化能力だけはどうやら通じたようだが、あの巨体を殺しつくすのに、どれだけの時間が必要なのか。
「いいよぉ、キミの狙いに乗ってあげる。 僕は必ずアレを殺す、そしてソレをキミに見せてあげる。
そういう約束の誓いを、握手を、しようよ」
そういう約束の誓いを、握手を、しようよ」
言いながら、北崎は右手を差し出す。
その手を前に僅かに眉を動かしつつも、やがてLも手を出す。
その手を前に僅かに眉を動かしつつも、やがてLも手を出す。
「勇気があるねぇ、恐くないの?」
「別に、手が片方無くなろうと、最早関係ありません。
それに、そんなことをしても貴方の最強とやらの証明にはなりません」
「ふーん、琢磨くんとは違うねぇ」
「別に、手が片方無くなろうと、最早関係ありません。
それに、そんなことをしても貴方の最強とやらの証明にはなりません」
「ふーん、琢磨くんとは違うねぇ」
北崎の手を握り続ければ、いずれLの手は、腕は灰になるだろう。
事実、Lは掌に妙な感触を覚えつつある。 だが、かまわず握り続ける。
やがて、どちらともなく手を離し、無言でバーサーカーの後を追う。
事実、Lは掌に妙な感触を覚えつつある。 だが、かまわず握り続ける。
やがて、どちらともなく手を離し、無言でバーサーカーの後を追う。
最強の背中を、最強でありたいと願う存在と、最強になど興味のない存在は、追いかける。
【E-5/南西/一日目 朝】
【L@デスノート(映画)】
[状態]:右の掌の表面が灰化。
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、スペツナズナイフ@現実、クナイ@コードギアス 反逆のルルーシュ、ブローニングハイパワー(13/13)@現実、
予備弾倉(9mmパラベラム)×5、シャルロッテ印のお菓子詰め合わせ袋。
[思考・状況]
基本:この事件を止めるべく、アカギを逮捕する
1:北崎を用いて、バーサーカーを打倒する。
2:月がどんな状態であろうが組む。一時休戦
3:魔女の口付けについて、知っている人物を探す
[備考]
※参戦時期は、後編の月死亡直後からです。
※北崎のフルネームを知りました。
※北崎から村上、木場、巧の名前を聞きました。
[状態]:右の掌の表面が灰化。
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、スペツナズナイフ@現実、クナイ@コードギアス 反逆のルルーシュ、ブローニングハイパワー(13/13)@現実、
予備弾倉(9mmパラベラム)×5、シャルロッテ印のお菓子詰め合わせ袋。
[思考・状況]
基本:この事件を止めるべく、アカギを逮捕する
1:北崎を用いて、バーサーカーを打倒する。
2:月がどんな状態であろうが組む。一時休戦
3:魔女の口付けについて、知っている人物を探す
[備考]
※参戦時期は、後編の月死亡直後からです。
※北崎のフルネームを知りました。
※北崎から村上、木場、巧の名前を聞きました。
【北崎@仮面ライダー555】
[状態]:疲労(大)、ダメージ(大)
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、使用済RPG-7@魔法少女まどか☆マギカ、虎竹刀@Fate/stay night
[思考・状況]
基本:バーサーカーを殺し、Lに見せ付けた後で優勝する
1:バーサーカーを追う。
2:バーサーカーには多少の恐怖を感じている。
3:村上と会ったときはその時の気分次第でどうするか決める
[備考]
※参戦時期は木場が社長に就任する以前のどこかです
※灰化能力はオルフェノク形態の時のみ発揮されます
また、灰化発生にはある程度時間がかかります
[状態]:疲労(大)、ダメージ(大)
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、使用済RPG-7@魔法少女まどか☆マギカ、虎竹刀@Fate/stay night
[思考・状況]
基本:バーサーカーを殺し、Lに見せ付けた後で優勝する
1:バーサーカーを追う。
2:バーサーカーには多少の恐怖を感じている。
3:村上と会ったときはその時の気分次第でどうするか決める
[備考]
※参戦時期は木場が社長に就任する以前のどこかです
※灰化能力はオルフェノク形態の時のみ発揮されます
また、灰化発生にはある程度時間がかかります
【FN M1935 ブローニングハイパワー】
9mmパラベラム弾を13発装填可能なベルギーのハンドガン。
カナダ軍をはじめ、イギリス軍の空挺部隊や特殊部隊を中心に使用されている。
9mmパラベラム弾を13発装填可能なベルギーのハンドガン。
カナダ軍をはじめ、イギリス軍の空挺部隊や特殊部隊を中心に使用されている。
□
北崎には、運が無い。
例えばこれがこの島に居るもう一人のサーヴァント、セイバーを相手にしていたのであれば、不利でありつつも勝機は存在しただろう。
あるいは、仮に最強のサーヴァントと称されるギルガメッシュが相手であったとしても、勝算は限りなくゼロに近くなるというだけだ。
例えばこれがこの島に居るもう一人のサーヴァント、セイバーを相手にしていたのであれば、不利でありつつも勝機は存在しただろう。
あるいは、仮に最強のサーヴァントと称されるギルガメッシュが相手であったとしても、勝算は限りなくゼロに近くなるというだけだ。
唯一
そう唯一、この存在こそ、勝利という事象のひとかけらも存在しない相手。
バーサーカー、英霊ヘラクレス。
神々より課せられた十二の試練を乗り越えた、ギリシャ最高の英雄。
その偉業は、そのまま彼の肉体に宝具という形で刻まれている。
バーサーカー、英霊ヘラクレス。
神々より課せられた十二の試練を乗り越えた、ギリシャ最高の英雄。
その偉業は、そのまま彼の肉体に宝具という形で刻まれている。
即ち、加護と、蘇生。
彼の肉体傷付けるには最高の位階の攻撃を用いるしかなく、それとて一度乗り越えた後は無効とされる。
灰化能力で一度バーサーカーを殺したとしても、未だ彼には8つの命が残されている。
たとえ最強のオルフェノクが最善を賭しても、一人では一度しか殺し得ない。
灰化能力で一度バーサーカーを殺したとしても、未だ彼には8つの命が残されている。
たとえ最強のオルフェノクが最善を賭しても、一人では一度しか殺し得ない。
そんな最悪の暴風は、進む。
元より理性は残っておらず、感覚を失い、今はもう主すらいない。
ただ、遥か遠くにある僅かな魔力を頼りに。
遠く、つかめない星空のようにきらめく、幾つかの魔力を目指し、進む。
元より理性は残っておらず、感覚を失い、今はもう主すらいない。
ただ、遥か遠くにある僅かな魔力を頼りに。
遠く、つかめない星空のようにきらめく、幾つかの魔力を目指し、進む。
その中に、己の目指すものがあると、どこかで理解しながら。
【D-5/南/一日目 朝】
【バーサーカー@Fate/stay night】
[状態]:黒化、十二の試練(ゴッド・ハンド)残り9、両の掌の表面が灰化
[装備]:なし
[道具]:なし
[思考・状況]
0:■■■■■■
[備考]
※バーサーカーの五感は機能していません。直感および気配のみで他者を認識しています
[状態]:黒化、十二の試練(ゴッド・ハンド)残り9、両の掌の表面が灰化
[装備]:なし
[道具]:なし
[思考・状況]
0:■■■■■■
[備考]
※バーサーカーの五感は機能していません。直感および気配のみで他者を認識しています
| 072:Signum malum | 投下順に読む | 074:MEMORIA-黒き騎士の記憶 |
| 時系列順に読む | 075:少女地獄 序章 | |
| 046:超絶バイクと探偵とドラゴン | L | 080:憤怒 |
| 北崎 | ||
| 034:クレイジー・トレイン | バーサーカー |