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Signum malum

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Signum malum ◆bbcIbvVI2g



「何?それは本当なのか!?」

夜神総一郎とメロ、佐倉杏子は移動中であった。
理由は簡単。あのスマートブレイン跡地から爆発音のようなものが響いてきたからだ。
あの戦いの後であそこに向かった誰かがゼロと戦っているのだろう。
今余波が向かってきても戦うことはできない。そう思い、そこから離れるために移動を開始したのだった。
当然時間は無駄にはできない。その最中にも情報交換をしておくのだった。

最初は佐倉杏子だった。
ここに来るまでの杏子のことなどこの場では本人にしか分からないため判断は難しかった。
だが、これまで魔法少女として基本的に一人で生きてきた佐倉杏子にはゆまという少女を助けた記憶など、増してや連れて行ったことなどないという。
そこはあえて保留にしておいた。
そして先ほどの声はメロと総一郎の互いの情報を明らかにしたときに総一郎があげた驚きの声だった。

「ああ、本当だ。まさかそんなことがあったとは…」

パラレルワールド、平行世界。
まさかそんなものを目の当たりにするとはメロも思っていなかった。
総一郎の世界ではLとキラ、月の戦いはLの勝利となったという。
一方メロの世界ではLは敗北し、キラが正義となりつつある世界が広がっていったという。
お互いの知り合いについての情報を開示しているところで気付いた事実だった。

(道理で夜神月がキラだったことを知っているわけだな)

メロにはLがキラに勝ったのだということを聞いて、複雑な気分になった。
Lが勝ったのは良かっただろうが、もしそうなっていたら自分がニアを超える機会など到底来なかっただろう。
その為にワイミーズハウスを抜け出したのだから。
一方で夜神総一郎はやはりショックを受けていたようだ。
息子が道を誤ったまま世界がそれを認めてしまったという事実に。
彼の脳裏には息子のあの叫びが蘇っていた。


「…それで、君は月を止めるために戦っていたというのか?」
「ああ、死神のノートの存在も知っている」

大体のことは話したものの、夜神粧裕にしたことは伏せておいた。
メロとしてもあれには若干の負い目もある。そしてそれ以上に今変な感情を持たせることはマイナスにしかならない。

「あー、それで、一体どういう事だっていうんだ?もちっと分かりやすく言って欲しいんだけど」

そんな中、二人の会話についていけなくなった様子の杏子は支給品に入っていた羊羹を齧っていた。
総一郎はなるべく分かりやすいように杏子に説明する。といっても総一郎自身もよくは分かっていないのだが。


「う~ん、よく分かんないけど、要するにさっき言ってたゆまって奴があたしのこと言ってたっていうのは…」
「佐倉杏子と千歳ゆまが共に過ごしていた世界があったということだろうな」

そう言うメロもあまりに突拍子のない事実に若干困惑していた。
それならば今までのことに説明がつくとはいえ、簡単に受け入れられる事実ではなかった。

「…そういえば、今は何時だ?」
「そろそろ六時に近いけど、それがどうかしたのか?」
「どうやら時間のようだな」



「クロちゃん、大丈夫?」
「…別にそこまで気にしてないわ」

シロナとクロエは向かった先で拾った少女、巴マミを連れて救急車を走らせていた。
その少女は未だ目を覚まさず、後ろで眠り続けている。
そしてスマートブレイン社へと向かおうとしたところで放送が始まったのだった。

「正直殺しても死にそうな人じゃなかったんだけどね」

遠坂凛。イリヤとカレイドルビーの出会いのきっかけとなった人物。おそらく彼女がイリヤと出会わなければ自分が誕生することもなかっただろう。
いつもルヴィアと喧嘩しては騒ぎを巻き起こすトラブルメーカーだった。
死んだからといってそこまでショックだったわけではない。魔術師とは常に死とは隣り合わせなのだから。イリヤはともかく、クロエはそれを弁えている。
ただ、あのルヴィアとのやり取りが、騒がしいあの声がもう聞けないのだと。
そう思うと何だか寂しいものがあった。

「ねえ、シロナさんはアカギって男のこと知ってるんだよね?」
「ええ」
「少しはニャースから聞いてるけど、詳しく教えて欲しい」

その問いかけは果たして失ったものへの悲しみを紛らわせるためか、あるいは放送者への怒りからか。

「そうね。ちゃんと言っておかないといけないわね」

さっきは己の行動の遅れでゲーチスに遅れを取るようなことになってしまった。
アカギのこともちゃんと話しておかねばならないだろう。




「そんな物が…」
「信じられないかもしれないけど、本当よ。それに本来ならあのディアルガとパルキアは神話の存在なの。
それをアカギは手に入れる方法を発見したの」

説明を受けたが、クロエには信じられるものではなかった。
シロナの連れているガブリアスのような存在の中に、時間と空間を司るような存在がいることなど。
そんなものがあるとすればもはや魔法の領域にいるようなものではないのか。

「でもそれって本物なの?その…、力を借りた模倣品とかじゃないの?じゃなきゃ神話の存在なんて…」

聖杯が呼び出すサーヴァントのような存在ではないのかと、むしろそうであったほうが納得ができるという思いを込めてクロエは問いかける。

「いえ、私はこの目で本物を見たことがあるの。アカギがどうやってあの二匹の力を再び手に入れたのかは分からないわ。彼が何を考えてこんなことを始めたのかも、ね」

彼の野望とこの状況にどんな繋がりがあるのか、それを考えるにはまだ情報が足りなかった。
そういえば、野望といえば言っておかなければならないことが一つあった。

「あと、一つ言っておかなければいけないことがあるの」
「あ、ちょっと待って。前に人がいるわ」


「松田…!バカ野郎…」

総一郎が部下の死に悲しむ一方でメロと杏子は優先する人物の名前が呼ばれなかったことに安堵していた。
L、ニア、美樹さやかに鹿目まどかといった者たちはまだ生きているようだった。
夜神月の駒が一つ減ったという事実もいい知らせなのだろうか。
最もメロとしては手放して喜べるわけでもなかったが。

「なあ、お前」
「メロだ」
「その千歳ゆまって、どんなやつだったんだ?」

放送で呼ばれた、知る中でおそらく唯一であろう魔法少女。佐倉杏子を慕っていたという子供。
今この場で唯一それを知っているメロにその少女についてを問いかける。

「…そうだな、最初に会ったときはコンビニから食い物と金を持ち出していたな。
ガキにしてはよくやると関心したもんだ」

それを聞いてやはりその少女をその世界で連れていたのが自分なのだなということを考える杏子。
それもそうだ。もし目の前に人のいないコンビニがあれば、自分も同じことをしただろう。
別の自分が面倒を見ていたという魔法少女。これほど近くにいながら出会うことはなく死んでいった。
果たして自分はどんな思いで千歳ゆまと過ごしていたのだろうか。
もう捨て去った過去、あの巴マミと過ごした記憶が脳裏をよぎり、

「―って巴マミ?」

杏子のソウルジェムが巴マミの魔力の反応を捉えた。つまり巴マミがこちらに向かってきているということだ。

「む?あれは、救急車か?」

見ると救急車がこちらに向かってきていた。あれに巴マミが乗っているということなのだろう。
マミが乗っているのならばあれに殺し合いに乗った人間は乗っていないだろう。乾巧は大丈夫だったのかも気になる。
止めようとして前に出ると、向こうから止まってきた。
そして目の前で金髪の女性と肌が黒い少女が降りてきた。

「あなた達は…」
「そんなに警戒しなくても殺し合いに乗ってねえよ」

こちらに向かってくるのにも慎重な動きをしていた二人にそう言って警戒を解かせる。

「そっちに巴マミはいんのか?」
「何で知って…――ってあれ?あんた、もしかして佐倉杏子?」
「へぇ、知ってるのか。なら大丈夫だな。
乾巧ってやつは一緒なのか?」
「?いいえ、私達二人とその巴マミって子だけよ」
(なんだ?マミのやつ失敗したのか?)

乾巧の連れ戻しに失敗したのなら出てこないのも無理はないのだろうか、と自分を納得させる。
顔を見せることができないというなら無理に出す必要もない。

「もしかしてあなた達あのビルが崩れる現場にいた?」
「ああ、あそこで化け物みたいなやつと戦っていたよ
行くならやめとけ。さっきまでまだ戦ってるやつがいるみたいだしもうすぐ禁止エリアになるんだろ?」
「そうね…。じゃああそこで何があったのか教えて。こっちも出しうる限りは情報を出すから」
「そういえば名乗ってなかったわね。わたしはクロエ・フォン・アインツベルンよ、クロでいいわ。こっちはシロナさん」
「あたしの名前は知ってるんだよな。こっちは―」
「いい、自分で名乗る。メロだ」
「夜神総一郎、警察の者だ」

二人が自分で名乗ったのはやはり住んでいた世界ゆえだろう。
顔と名前を知られることが死につながる敵と戦っていたことで名前を他人の口から言われることに抵抗があった。

「メロ…、それに夜神、ね」
「クロちゃん?どうかしたの?」
「ねえ、ソウイチロウ、あなた夜神月って人の家族?」
「何?!」
「月に会ったのか?!!」

夜神月、という名前を出したとき二人は大きな反応を示した。どうやら夜神総一郎は夜神月の父親らしい。
サヤカの聞いていたことが正しければこのメロという人物は危険人物ということになる。
だがそれが正しいという保障もない。それにメロは聞いていた印象とは違う気がする。
ならば先にするべきなのは――

「その前におじさんに聞きたいんだけど、夜神月ってどういう人物なの?」

無論父親とて知らないこともありえる。だがもしその彼が警戒する人物ならばまず間違いはないはずだ。

「それは夜神月に何か言われたという事か?ちょっと詳しく聞かせろ」

その問いかけにいの一番に反応したのは最も頭の回転が早いメロだった。
もし夜神月について何か手がかりがあるというならばそれを逃がすわけにはいかない。

「あーうん、言っていいのかな?…ま、いっか」

どうも様子もおかしいし言ってしまったことは仕方がない。そう考えて全部を話してしまうクロエ。
当然警戒していなかったわけではない。
しかし直接月から聞いたさやかに対して、クロエが聞いたのはそのさやかから又聞きしたものであった。
そのためキラという存在の脅威性や悪質さなどの部分までははっきり分かっておらず、漠然としたものとしか分かっていなかったのだ。

「俺とニア、L、松田桃太に美空ナオミがキラの手先の危険人物だと?それは夜神月が言ったのか?」
「正確には美樹さやかって子からそれを伝えられたんだけどね」
「さやか?おい、お前、さやかに会ったのか?!!」
「え?ああ、うん。会ったよ。会ったけど――」
「どうして先に言わねぇんだよ!」
「いや、だってサヤカからはそんな仲よさそうな印象なかったから…」
「佐倉くん、落ち着くんだ」

興奮する杏子を窘めたのは総一郎だった。だがそんな彼も突然現れた息子の情報に対する驚きを抑えているのが分かる。

「そのさやかって子から月とどこで会ったかは聞いているかい?」
「確か、来てすぐのところでD-4の間桐って家で会ったって言ってたような」
「そうか、意外と近くにいたんだな…」
「まあその後どっちに行ったかまでは聞いてないけど
シロナ?どうかしたの?」
「え、あ、いえ。何でもないわ」

何か考え込んでいる様子であったシロナに声をかけたクロエ。
シロナは月が嘘をついていると言われたとき、ふと思った。もしかしたら美樹さやかという子はかなり危ない状況なのではないかと。
その月という人物の嘘を真に受け、さらにはあのゲーチスとも共に行動することになっていたのだから。
ゲーチスにその誤解を利用されて良からぬことを起こされるのではないか、とふと心配になったのだ。

「でさ、そろそろそっちで何があったのか聞かせて欲しいんだけど」
「あれ?マミのやつから聞いてないのか?」
「それがあの子見つけた時にはかなりの怪我を負ってて気絶していたの。
まだ目を覚ましていないのよね…」
「そうなのか」

色々なことに納得しつつ、まだ未説明のメロと総一郎にもあのビルであったことを話す杏子。
化け物としか言いようのない仮面の男、ゼロとそれと戦っていた乾巧というオルフェノクの男。
乾巧と自分とさらに戻ってきた巴マミ、さらにその場に現れた村上というオルフェノクとおそらく一時的な協力をしてゼロを撤退へと追いやったこと。
そして乾巧を裏切ったらしい木場勇治というオルフェノク。巴マミはゼロと戦う前にその男と戦っていたらしい。
さらに彼に殺されたという乾巧の仲間、菊池啓太郎と魔法少女の千歳ゆま。
仲間の死にショックを受けて去っていった乾巧と彼を追っていった巴マミ。
ここまでが杏子があそこで見た全てだった。
と、話を終えて気付くとシロナとクロエ二人の顔が心なしか青いような気がする。

「何だ?どうかしたのか?」
「…もしかしてあなたの言う乾巧って人、全身から刃みたいなものが突き出た狼みたいなオルフェノクだった?」
「え、まあそんな感じだったとは思うけど、何で知って―ってまさか」

シロナは頭を抱えたくなった。その後何があったのかは分からないが味方となり得た者に攻撃をしてしまったということは確かだ。
話を聞く限りでは、仲間を失ってショックを受けていたのを立ち直らせた少女を連れて逃げていたところを攻撃してしまった、ということになるのだろうか。

「シ、シロナは悪くないわ。最初に攻撃しかけたの私だし…」
「クロちゃん、いいのよ…。
あの、どちらか車を運転できる方はおられますか?」
「運転なら私はできるが…」
「この先の政庁という場所に仲間との集合を約束しています。もしよければ向かってもらえますか?」
「構わないが、君は大丈夫なのか?」
「ええ、私は大丈夫です。ガブリアス、お願い」

そう言って白と赤のボールを投げ、ガブリアスを呼び出すシロナ。
視線の先は巴マミを発見した場所に向いている。どうやら乾巧を探しにいくようだ。

「クロちゃん、先に戻っていて。もし移動することになっても私に気を使う必要はないわ」
「え、ならわたしも一緒に―」
「駄目よ。これは私の失敗なの。自分でけじめをつけさせて。
それにあなたまで付いてきたらあの子が起きたときに説明できないわ」
「……」
「ああ、そういえば一つ言い忘れていたわね。
クロちゃん、ゲーチスには気をつけて。あの男は危険よ」
「え…?」

その言葉を最後にシロナは飛び立つガブリアスに乗って去っていった。

「おい、あれは何だ?」
「えーっと、なんかポケモンっていう生き物らしいわ。詳しく聞きたかったら移動しながらでいいなら話すけど?」
「分かった。確か政庁だったな。佐倉くんも行くか?」
「…おい、さやかはどっちに行ったって言った?」
「アッシュフォード学園ってとこに行ったあとで友達の家に向かうって言ってたわ」
「そうかい。じゃあしばらくは大丈夫だな。あたしもそこに連れてけ。マミのことも気になるしな」
「メロ君はどうするんだ?」
「…悪いが俺はここで抜けさせてもらう」
「おい、何でだよ?夜神月ってやつ探すんだろ?おっさんと行ったほうがいいんじゃねえのか?」
「こっちにも色々あるんだよ」

メロとしては仲間がいらないというわけではない。一人で行動するデメリットはよく分かっている。
だが、それを差し引いても夜神総一郎と共に行動するのは気が進まなかった。
夜神総一郎の人格は分かっているし、敵対していないのであれば同行するのも吝かではない。だがもし月を見つけた時のことを考えると共に探すのは止めておきたかった。

「分かった。なら私に止めることはできないな。気をつけて行くんだぞ」
「最後に一つ聞きたい。
夜神月はたぶんあんたの知ってる夜神月じゃない。俺の知ってる方の夜神月だろう。
それでもあんたはやつを探すのか?」
「ああ」
「そうか。そっちもせいぜい気をつけろよ」

そう言い残して一人バイクを走らせて行った。


「それにしてもマミのやつ、ボロボロじゃねえか…」

救急車の処置室に寝かされているマミは自分が最後に見たときよりボロボロになっているように見えた。
魔法少女としての力が肉体を修復しているため、傷自体はそれほど残っていない。
それでも体や服についた汚れからある程度の判断はできる。特に胸の辺りには明らかに何者かに撃たれたかのような血痕が見える。

(そういや、マミのやつあの事知らないんだよな…)

きっと巴マミはソウルジェムの秘密は知らないはずだ。
だからさやかのように変な気負いをすることなく戦うことができる。

さやかはまどかの家に向かっているといった。なら今のところは親友を気にかけるくらいは可能な精神状態なのだろう。
あの時のように自暴自棄な行動はしない――と思いたい。ともあれこっちが片付いたら追いかけよう。
とりあえず今は、今だけは巴マミの方を優先したかった。
かつて共に戦ったもののあれの後にその下を離れ、その後も一人で戦い続け、そして気がついたら死んでいた存在。
そんな思いなどとうの昔に捨てたはずだったのに、千歳ゆまという少女の話を聞いて思い出してしまった。

(…たく、あたしもヤキが回ったもんだよな。早く起きろよバカ)

眠り続けるかつての師ともいえる存在の傍で、杏子は羊羹を齧りながら目覚めを待った。





(ゲーチスは危ないって言ってたけど…、サヤカってそいつとずっと一緒にいたんじゃなかったっけ?)

美樹さやかはここに来てからずっとゲーチスと共に行動しており、これからの予定も一緒に行動するというものだったような気がする。
彼が病院ではずっとシロナと会話していたこともあり、クロエにはゲーチスがどんな人物なのかイマイチ掴めていない。だからさやかからの話のなかでそれを想像するしかなかった。
もしやばいのならば杏子には説明しておくべきだろうか?
さやかから聞く限りは殺し合いに乗るかどうかは微妙なところと言っていたが、杏子のほうはどうもかなりさやかに入れ込んでいるような印象だった。
などと考えているとふと気になったことがあった。

「ねえ、あんたは息子を追わなくていいの?」

隣の運転席で操縦している夜神総一郎に問いかける。
これまでの会話から彼が息子を探しているということは想像できた。そしてその息子を探しているらしいもう一人の男は一人で探しに出て行った。
なら彼も追いたいはずなのではないか?

「息子が他の人に迷惑をかけるようなことをしているのなら、それを放置することは私にはできない」

夜神総一郎にはLやキラと戦う皆が悪人として扱われることは我慢できなかった。もしそのまま誤解が広がればよからぬことが起きるのは目に見えている。
息子の不始末は父親である自分がつけねばならないと、そう考えていた。例えそれが己の知る月とは別の月であっても。
総一郎はこの場にその別世界の月がいるというのは何かの運命かもしれないと思っていた。
Lに勝ったことで道を外し続けている息子の道を正すこと。それがこの場に呼ばれた自分の役割なのかもしれないと。
一つ不安なことがあるとすれば、約束の時間までに流星塾に間に合うかどうかということだが。
まあ行く先に草加雅人の探している少女がいる可能性も否定はできない。
ともあれ自分の都合だけを優先するわけにはいかなかった。

「ふ~ん、そんなものなのかな?」
「君にもお父さんはいるだろう?父親とはそんなものだ」
「お父さん…かぁ」

クロエには父親のことを言われてもイマイチピンとこなかった。
何はともあれさやかのことだ。今はそんな空気には見えないが言うべきだろうか。

考えている間に4人を乗せた救急車は確実に政庁に近付いていた。


勢いに任せて出てきたものの、正直はっきりとした行き先は特になかった。
やはり早急だっただろうかとメロはふと思う。

「それにしても何を焦っている…?夜神月」

一人になったメロはクロエから聞いた夜神月の情報を考えていた。
彼らとの情報交換はメロにとって大きな進歩であった。何しろ夜神月の動きも把握することができたのだから。
だが、だからこそ腑におちないことがある。

メロ自身は夜神月がキラであることはほぼ確信に近いものだったのだ。しかし夜神月自身は決して尻尾を握らせようとはしなかったはずだ。
それほどまでに慎重に動いていたはずの月が、なぜここにきてこのような行動に出たというのか?
この場ではキラの知名度は低く悪評としては有効ではあるが、それは月=キラと考えている人間に確信を抱かせるリスクも合わせている。
それにニア、自分、松田桃太、美空ナオミ、Lの5人全てというのはいくらなんでも多い。さらに松田桃太までというのはどういうことなのだろう。
正直今までのキラらしくない。

そもそもこういったものはうまい具合に作用すればいいが、今回のようにいかないことだってあり得るのだ。
騙され易く正義感の強い者ならともかく注意深く慎重な者はそうすぐに行動に出るものではない。

(今の夜神月は何かおかしい…。それは何だ?)

平行世界のことを聞いたが、それでもこの夜神月がキラであり、それも自分の世界の月であることは間違いがない。
だがまだ何かが欠けている。まだピースが足りない。


(ニアなら何て言うのか…。いや、これは俺一人ですることだ)

おそらくLやニアならば何かしらの仮説くらいは立てているだろうが。
答えを導き出すには夜神月を見つけることができれば一番手っ取り早い。だがやはり一人で行動するにはカードが足りない。
さっきのような怪獣や杏子の言ったゼロとかいう怪人などを相手にするには拳銃と呪術入りらしい宝石一つでは逃げられるかどうかも怪しい。
それに加えて月自身が広めている悪評のこともある。やはり夜神月を先に探すべきだろうか。
あるいはいっそのことシロナとかいう女を追ってみるのもありだろうか。

(一人…か)

ふとバッグをまさぐると出てきたのはあのコンビニで今は亡き少女が持ち出した一枚のチョコ。
それを無造作に食べきると、メロは考察のために止めていたバイクを再び走らせた。

【D-3/東部/一日目 朝】

【シロナ@ポケットモンスター(ゲーム)】
[状態]:健康、魔力減少(小)、罪悪感
[装備]:モンスターボール(ガブリアス)@ポケットモンスター(ゲーム) 救急車
[道具]:基本支給品、ピーピーリカバー×1@ポケットモンスター(ゲーム)、病院で集めた道具
[思考・状況]
基本:殺し合いを止め、アカギを倒す
1:乾巧を探す
2:ゲームを止めるための仲間を集める
3:N、サカキを警戒 ゲーチスはいずれ必ず倒す
4:間に合うなら9時に政庁に集合する
[備考]
※ブラックホワイト版の時期からの参戦です
※ニャースの事はロケット団の手持ちで自分のことをどこかで見たと理解しています
[情報]

「まどか☆マギカ」の世界の情報(ソウルジェムの真実まで)
「ポケットモンスター(アニメ)」の世界の情報(ニャース談)
「プリズマ☆イリヤ」の世界の情報(サーヴァントについても少々)
「コードギアス 反逆のルルーシュ」の世界の情報
バーサーカー、ボサボサ髪の少年(北崎)は危険人物

【D-3/西部/一日目 朝】

【クロエ・フォン・アインツベルン @Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ】
[状態]:疲労(中)、魔力消費(小)
[装備]:
[道具]:基本支給品、グリーフシード×1(濁り:満タン)@魔法少女まどか☆マギカ、不明支給品0~2
[思考・状況]
基本:みんなと共に殺し合いの脱出
1:みんなを探す。お兄ちゃん優先
2:お兄ちゃんに危害を及ぼす可能性のある者は倒しておきたい
3:どうしてサーヴァントが?
4:崩壊したビルに向かう
5:9時に政庁に集合する
[備考]
※3巻以降からの参戦です
※通常時の魔力消費は減っていますが投影などの魔術による消耗は激しくなっています(消耗率は宝具の強さに比例)
※C.C.に対して畏敬の念を抱いています
[情報]
「まどか☆マギカ」の世界の情報(ソウルジェムの真実まで)
「ポケットモンスター(アニメ)」の世界の情報(ニャース談)
「プリズマ☆イリヤ」の世界の情報(サーヴァントについても少々)
「コードギアス 反逆のルルーシュ」の世界の情報
バーサーカー、ボサボサ髪の少年(北崎)は危険人物


【夜神総一郎@DEATH NOTE(映画)】
[状態]:健康
[装備]:救急車(運転中)、羊羹(2/3)羊羹切り
[道具]:天保十二年のシェイクスピア [DVD]@現実、不明支給品1(本人未確認)
[思考・状況]
基本:休んでいる暇はない。警察官として行動する。
1:政庁に行き、月の嘘についてを説明する。
2:警察官として民間人の保護。
3:真理を見つけ、保護する。
4:約束の時間に草加たちと合流する。
5:月には犯罪者として対処する。だができればもう一度きちんと話したい。
6:佐倉杏子から、事のなりゆきを聞きたい。
[備考]
※参戦時期は後編終了後です
※平行世界についてある程度把握、夜神月がメロの世界の夜神月で間違いないだろうと考えています。

【佐倉杏子@魔法少女まどか☆マギカ】
[状態]:ダメージ(中)、疲労(中)、ソウルジェム(汚染率:小)、ストレス少々
[装備]:羊羹(1/4)印籠杉箱入 大棹羊羹 5本入@現実
[道具]:印籠杉箱入 大棹羊羹 5本入×4、不明支給品1(本人未確認)
[思考・状況]
基本:今はマミの様子を見つつ休む
1:とりあえず今だけはマミの面倒を見る
2:その後鹿目邸に向かっているらしいさやかを探す
3:真理を見つけたら草加たちのことを一応伝える
4:いずれ巧への借りは返す
5:夜神月は気に入らない
[備考]
※参戦時期は9話終了後です
※夜神月についての情報を得ました

【D-3/???/一日目 朝】

【メロ@DEATH NOTE】
[状態]健康
[装備]ワルサーP38(8/8)@現実、原付自転車
[道具]基本支給品一式、呪術入りの宝石(死痛の隷属)@Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ
[思考]基本・元世界に戻り、ニアとの決着をつける。
1:今は夜神月を優先して探す。シロナは追うか?
2:死者(特に初代L)が蘇生している可能性も視野に入れる。
3:必要に応じて他の参加者と手を組むが、慣れ合うつもりはない。(特に夜神月を始めとした日本捜査本部の面々とは協力したくない)
4:可能ならばおりこに接触したい。
5:夜神月の行動に違和感。
[備考]
※参戦時期は12巻、高田清美を誘拐してから、ノートの切れ端に名前を書かれるまでの間です。
※協力するのにやぶさかでない度合いは、初代L(いれば)>>ニア>>日本捜査本部の面々>>>夜神月
※ゆまから『魔法少女』、『魔女』、『キュゥベぇ』についての情報を得ました。(魔法少女の存在に一定の懐疑を抱いています)
※平行世界についてある程度把握、夜神月が自分の世界の夜神月で間違いないだろうと考えています。




気がつくと巴マミは真っ暗な闇の中にいた。

ここはどこなの?どうしてこんなところにいるの?
確か私はたっくんと一緒に行動していたはず…。

『マミお姉ちゃん』

ふと声が聞こえる。それはもう聞くことのないはずの声。あのとき木場勇治に殺されたはずなのだから。

「ゆまちゃん?」

闇のなかで少女が立っているのが見える。声をかけながら駆け寄る。

「ゆまちゃん!大丈夫だった――」
『どうしてゆまをみすてたの?』

触れた瞬間そう言って振り返り、同時にゆまの首が落ちた。

「っ!?!?」

ショックで腰を抜かすマミ。そしてゆまの姿は消える。
すると遠くに見覚えのある二人の少女が見える。佐倉杏子と暁美ほむらだ。

「あ、暁美さん、佐倉さん!」

必死で呼びかける。しかし、

『こんなやつと一緒に行けないね』
『私達に触らないで』

返ってきた言葉は強い拒絶だった。

「そ、そんな…、どうして…?」
『それはお前がよく知っているのではないか?』

声が聞こえて振り返ると、後ろにはあの仮面の男、ゼロがいた。

「…っ!あなた…!」
『いいのか?そこで人が殺されそうになっているぞ』

ゼロが指をさした方には、ルルーシュと名乗った人が金髪の女に銃を向けられていた。
腰を抜かしている場合ではない。襲われたからといって死んでいいなどとは思っていない。それに金髪の女も捕らえなければ。
そう思って立ち上がって走り寄るが、間に合わずルルーシュは撃たれてしまった。

「あ、あなたどうしてこんなこと……え?」

撃った人間を見据える。そこに立っていたのは、紛れもなく自分、巴マミだった。

「私が、ルルーシュさんを…?」
『逃げる背後を容赦なく撃ち抜くか。中々の覚悟だな』
『綺麗事を並べていても所詮は人間か。つくづく失望させてくれる』
「ち、ちが……、私は…」

気がつくと、そんな言葉を投げかけたゼロも木場勇治もいなくなっている。
自分と同じ姿をした何かとルルーシュもどこにもいない。
そしてしばらく先に、茶髪の男性がこちらに背を向け歩いている。

「た、たっくん!!」

それは自分が人を見捨てそうになったときのことを任せた男、乾巧だった。

「待ってたっくん!たっく…、巧…さん?」

近付く度に何かがおかしいことに気付く。そして彼は、

『もう、俺に関わるな』

振り返ることなくそう言って消えていった。

再び一人きりとなったマミ。

ああ、そうなんだ…。全部私のせいなんだ…。
ゆまちゃんが死んだのも、ルルーシュが死んだのも、たっくんが傷ついたのも。
こんな私が誰かと一緒にいるなど…―――――



無論そんな光景は現実のものではない。巴マミはまだ眠り続けている。
だがそんな彼女のソウルジェムが、グリーフシードを使ったばかりにも関わらず、回復に魔力を使ったにしては多い濁りを持っていることは紛れもない現実だった。


【D-3/西部/一日目 朝】

【巴マミ@魔法少女おりこ☆マギカ】
[状態]:ソウルジェム(汚染率:小)、絶対遵守のギアス発動中(命令:生きろ) 、気絶中
[装備]:なし
[道具]:共通支給品一式、遠坂凛の魔術宝石×10@Fate/stay night、ランダム支給品0~2(本人確認済み)
[思考・状況]
基本:魔法少女として戦い、他人を守る
0:……
1:????
[備考]
※参加時期は第4話終了時
※ロロのヴィンセントに攻撃されてから以降の記憶がかなり曖昧です
※見ていたものはあくまで夢です。目が覚めたとき内容をどこまで覚えているかは不明です 
[情報]
※ロロ・ヴィ・ブリタニアをルルーシュ・ランペルージと認識
※金色のロボット=ロロとは認識していない


071:REINCARNATION 投下順に読む 073:最強の敵
時系列順に読む
053:私はいざというとき、アナタを殺します(前編) メロ 090:引かれ合うチルドレン
佐倉杏子 078:独りの戦い
夜神総一郎
055:だが…信用できないのはルルーシュ・ランペルージだ…!(前編) 巴マミ
クロエ・フォン・アインツベルン
シロナ 091:ガブリアスが見てる


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