接触

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匿名ユーザー

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接触 ◆qbc1IKAIXA


「ここがしばらく禁止領域にならない。なら今は動かなくても構わないってことね」
 片目を隠している少女は自分に確認するようにつぶやいた。
 日は昇っているもの、廊下の窓は西側にあるため校内は暗い。
 彼女、マオはショーヘアの銀髪をかきあげながら、いまだ目を覚まさないオーキド博士を見下ろした。
 彼女のギアスは相手の目を見なければ発動しない。
 かつ、意識を失っている相手の思考を探るなど不可能だ。
 殺すにしても情報を探ってから始末したいものである。
 先ほどのやり取りと荷物を見たところ、抵抗する手段はないのだろう。彼に関してはこのままでいい。
 確認後、ひと通りゼロの行方の手がかりがないか探ってみたが、それらしきものはない。
 単純に方角から責めるべきか。もしくはゼロに勝てないため、逃げるか。迷ったが、結論は出ない。
 そのため、マオは思考を切り替える。
 死者の名に知っているものがいた。
 ルルーシュ・ランペルージ。接触を望む相手、ナナリー・ランペルージの兄だ。
 事情は知らないが、より自分のギアスが効果的になる好材料と判断した。今のナナリーは感情的になり、付け入る隙はいくらでもあるだろうから。
 もっとも、ゼロとウィッチ・ザ・ブリタニアがわかれている以上、会いに行くべきかは疑問だ。
 もしかしたら魔導器が分離している可能性がある。
 そのため、ゼロと魔女の二人にわかれたのではないか。
 だが、そんなことが起こりうるのか疑問でもある。
 たとえナナリーと魔導器が分離しても、ゼロやウィッチ・ザ・ブリタニアのどちらかと同等の存在ができるとは思えない。
 生き延びるため、魔導器を求めるマオとしては判断を誤るわけにはいかない。
 ナナリーか、魔女か。どちらを追うか思考を続ける。
 答えのでない苛立ちか、床で眠るオーキド博士を軽く蹴った。
 瞬間、靴が床を叩く音が聞こえる。
「正直に答えていただきたい」
 落ち着いた男の声が廊下に低く響く。
「あなたの蹴った男性は生きていますか? そして、危害を加えたのはあなたですか?」
 高級スーツを包まれた、歳の割には若々しそうな男がマオを睨んでいた。


 マオの不運は一つ。
 寝ているオーキドを放って移動しなかったこと。ただそれだけに尽きる。
 まだそのことに気づかず、距離をとって精悍な目を覗き見た。
 シナプスサーキットを通し、相手の思考を認識できるのは、ギアス・リフレインの副次的なものだ。
 だが、副産物は副産物でも強力な代物である。今までこの能力で生き延びてきた。
 今もまた、相手の思考を読み取り、こちらの優位に進める。
 そのつもりだった。
「…………まいったな。あなた、アカギに殺されたオルフェノクの仲間ね」
「ほう? どこかでお会いしましたか?」
「いいえ。ただ、ボクには隠しごとは……」
 マオはすぐさま前方に転がった。薔薇の花びらがいつの間にか待っている。
 一瞬遅れて、先ほどまでマオが立っていた場所が粉砕される。
 粉塵を巻き上げ、片手でコンクリートを破壊しているのは白いスマートな怪人だ。
 村上の姿はとっくにない。
「せっかちねぇ」
「申し訳ありません。あなたの能力を確かめさせてもらいました」
 悪びれもせず、本心を語る相手にマオは顔をしかめた。
「さて、確かに隠しごとは無理そうですね。差し支えなければ、あなたの能力を教えていただけないでしょうか?」
「嫌味ね。だいたい当たりはついているのでしょう?」
「ということは、私の推測で間違いないわけですね」
「『ならば人の思考を読むことが出来るか。この能力を持ったままオルフェノクになれるのなら、上の上にふさわしい』。これでいいの?」
「ええ、証明としては充分です。ついでに、あなたなら続きも読めるでしょう?」
 自信満々な相手で不快になる。
 この村上峡児という男は『ここまで能力を明かすということは、別の本命の力があるということだ』と考えていた。
 事実ではあるが、敵の言いようにされるのは好きじゃない。
「喋りすぎちゃった?」
「しかたありません。心を読める以上、駆け引きの経験は自然と浅くなります。それはこれから学んでいけばいい。
お嬢さん、そろそろお名前を教えていただけないでしょうか? そして我々と共に行きませんか?」
「そうねえ、それもいいわね」

 などと、心にもないことをいう。今の目的はこの男から離れること。
 すでに相手はこちらの切り札に警戒を払っているが、このギアスを避けれる奴はいない。
 頬に手を当てるふりをして、いつでも眼帯を取れるようにする。
「オルフェノクになるのも悪くわないわ……なんて、ボクが言うとでもおもった?!」
 素早く眼帯を上げ、隠された左目を晒した。
 C.C.細胞に侵食されて体が痛むが、音を上げず続ける。
 今、この期を逃すほどマオほど頭が悪くない。

「ボクのギアスで幸福の監獄へ行くといい!」

 左目に刻まれた刻印が村上へと放出される。
 ギアスの光を通じて、永遠の夢へと意識を案内された。


「ぐぅ……くっ」
 マオは魔女因子に蝕まれた右手を掴み、歯を食いしばる。
 抑制剤を今消費するわけにはいかない。やはりいつもより消耗が激しくなっていることを自覚しながら、今後のことを考える。
 これで村上は無力となったはずだ。今どのような過去を見ているか、仕上げに入る。
「さて、君は……えっ?」
 戸惑いのつぶやきが上がる。ギアスをかけたはずの相手は優雅ささえ感じる佇まいのまま、こちらに近寄ってきた。
「幸福の監獄。なんのことかと思えば、過去の幸せだった記憶を見せる能力なのですね。
確かに人間相手ならば効果的でしょう。ですがひとつ覚えてください」
 コッ、コッ、と硬い床を革靴が叩く音を聞きながら、マオは左頬に手を添えられるのを黙って見ていた。

「オルフェノクは例外なく、未来にしか幸福はありません。
それさえ理解すれば、あなたの力はもっと上に行けます」

 優しい口調で語りかける村上峡児から、必死で離れた。
 相手は追いかけず、こちらがどう動くか観察している。
 マオは小さなボールを握りしめ、地面に叩きつけた。
「ほう」
 感心する村上の声が聞こえる。
 ボールの中から飛び出したのは、二メートル近い大きさの怪獣だった。
 鼻の上に存在する角が、ドリルのように旋回する。
「あいつを足止めしろ!」
 マオの指示通り、サイドンが村上に突進を開始した。
「サイドン、でしたか。おやめなさい」
 だが、その進みはあっさりと止まる。
 村上峡児の雰囲気が変わったのだ。
「くっ……」
 無意識にうめいてしまうほどの、圧倒的な殺気。
 気圧されながらも、サイドンの方へ視線を動かす。
 背中しか見えないポケモンは、まったく動かなかった。目を見ずともわかる。
 野生の生物であるからこそ、目の前の男に絶対勝てないと理解してしまったのだ。
「私としては貴重なポケモンを失いたくありません。そしてあなたに危害を加えるのも気が進まない。
ポケモンを収めて、私たちとともに行動をしませんか? 上の上たるあなたの能力なら、我々とも対等な関係を結べる。そう信じています」
 村上峡児は笑顔を浮かべ、手を差し出してきた。
 本心を読まれているというのに、豪胆な男だ。
 もちろん、仲間になって欲しいというのは本心だ。ただ、危害を加えない、というのは若干怪しい。
 彼には自分をオルフェノクにするつもりだからだ。若干、とつけた理由は、村上峡児本人はそのことを『危害』と認識していないゆえである。
 マオはため息を小さくつく。迷う余地などない。
「戻りなさい、サイドン」
 ボールを握ったまま、降参のポーズを取る。相手は満足そうに頷いていた。
「歓迎します。それではお嬢さん、あなたの名前をお聞かせください」


「なるほど。ギアスユーザーについて、だいたいは理解しました。魔女因子の侵食、抑制剤。なるほど」
 校内の保健室で、マオは自分の持つ情報を全て開示しなければならなくなった。
 別に脅されているというわけではない。村上峡児の態度は、マオの素性や能力のことを詳しく教えても教えなくても良い、というものだ。
 ただ、相手に能力を向けたため、詳しく話さない場合は監視が厳しくなりそうだったのだ。
 魔女を探したいマオにとって、実力のある村上の警戒心は解きたい。
 ゆえに、オルフェノクの寿命に目をつけて、彼が興味を持ちそうな話題をした。
「そうさ。ボクは能力で君たちの問題を知っている。ギアスユーザーの解決策である魔女因子は、君たちにも有益なものだと思うけど?」
「もちろんです。マオさん、よく私に打ち明けてくれました。魔女因子の解析を我が社で行い、あなたにも技術提供をすることを約束します。
もっとも、この状況を打破しなければなりませんが」
「どうにかするつもりなのね。まあ、その実力なら当然かしら?」
「実力など関係ありません。やるべきことを、やれる人がやるだけ。それだけの話しですよ、マオさん」
 マオは肩をすくめて、村上が煎れたコーヒーを口に運ぶ。
 苦味を味わい、心地良い匂いを堪能してからまたも問いかける。
「まあ、ボクがあなたたちの支援を受けるには、世界を超える技術が必要だけどね」
「もちろん奪うつもりですよ。そんな技術、あんな輩に預けておくわけにはいきません。もっと有効に使うべきです」
「あっそ」
 割と失礼に会話を打ち切ったが、村上が気分を害した様子はなかった。もちろん、力で読み取っている。
 そういえば心を読むために目を覗く必要があるのを伝えているはずだが、今まで逸されたことは一度もなかった。
 本心を読まれるくらいどうとでもない、という自信があるのだ。うんざりするほどぶれない男である。
「そういえば、私たちは確かめなければならないことがある。
私が魔王と名乗る男、ゼロと接触したことはお伝えしましたね」
「そうね。ボクもこの校舎で出会っている。魔王の力であなたと出会ったあと、ここに移動したと考えるのが自然ね」
「そのことですが、時間帯を整理しませんか?」
 マオは彼の意見とすりあわせ、それぞれのゼロと出会った時間を照らしあわせた。
 すると不可解なことがわかる。
 村上が魔王と出会った時間と、マオが目撃した時間は重なる部分が多いのだ。
「どういうことなの?」
「考えられることは、魔王が分身できるのか。それとも二人いたのか、と言ったところでしょうか」
「二人いたとすれば、片方が偽物と考えたほうがよさそうね。けど、ボクが目撃した方もギアスユーザーにふさわしい身体能力だった」
「私と戦った相手は、私や上の上のオルフェノクを数名束ねても、苦労しそうな実力者でしたね。これは調査を進める必要があります。よろしいですか?」
「どのみち会ってみないと、ってわけね。了解」
 マオが納得の意を伝えた後、人のうめき声が聞こえる。
 どうやらオーキドが目覚めたようだ。村上がベッドの方に向かった。
 彼女はコーヒーに息を吹きかけ、口元に運ぶ。
 ポケモンはマオが預かることになった。村上に渡そうかと尋ねたが、それはこの儀式を潰してからでいいと言われた。
 こちらが反抗しても簡単に潰せるという自信から来るのだろう。
 自分をオルフェノクにしたい、という追求からどう避けるか。目下一番の悩みである。
 だが、悪いことばかりではない。
 村上はあの魔王(らしき相手)に互角に渡り合った。心を読めるため、本当であることを確認した。
 それ程の実力者を敵に回さずに済んだのは、素直に幸運によるものだと感謝する。
 ならば、マオがすべきことはオルフェノクになることを避けつつ、村上を敵に回さないことだ。
 そうであるかぎり、彼は自分をどうこうするという気はない。
 希望が少し湧いた、と右手の痛みに耐えながら、目を覚ましつつあるオーキドに視線を向けた。


【C-3/アッシュフォード学園 校庭/一日目 朝】

【マオ@コードギアス ナイトメア・オブ・ナナリー】
[状態]:魔女細胞の浸食(中)
[装備]:左目の眼帯
[道具]:共通支給品一式、魔女細胞の抑制剤@コードギアス ナイトメア・オブ・ナナリー、モンスターボール(サカキのサイドン・全快)@ポケットモンスター(ゲーム)
コイルガン(5/6)@コードギアス 反逆のルルーシュ、ランダム支給品0~3
[思考・状況]
基本:ナナリーの魔道器を奪って魔女となり、この『儀式』から脱出する
1:村上と行動。オルフェノク化は避けたい
2:ナナリー、C.C.、二人のゼロに接触したいが、無理は出来ない。
3:『ザ・リフレイン』の多用は危険。
4:抑制剤を持つものを探す
5:この『儀式』から脱出する術を探す
[備考]
※日本に到着する前からの参戦です
※海砂の記憶から断片的なデスノート世界の知識と月の事、及び死神の目で見たNの本名を知りました。
※スザク以外の学園に居たメンバーの事を大体把握しました(あくまで本人目線)


【村上峡児@仮面ライダー555】
[状態]:疲労(中)、人間態
[装備]:なし
[道具]:基本支給品×3、拡声器、不明ランダム支給品0~2(確認済み)
[思考・状況]
基本:オルフェノクという種の繁栄。その為にオルフェノクにする人間を選別する
 1:マオのギアス、魔女因子に興味。
 2:ミュウツーに興味。
 3:選別を終えたら、使徒再生を行いオルフェノクになる機会を与える
 4:出来れば元の世界にポケモンをいくらか持ち込み、研究させたい
 5:魔王ゼロはいずれ殺す。
[備考]
※参戦時期は巧がラッキークローバーに入った直後


【オーキド博士@ポケットモンスター(ゲーム)】
[状態]:ダメージ(小)
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、不明ランダム支給品0~3(確認済み)
[思考・状況]
基本:ポケモンの保護、ゲームからの脱出
0:現状の把握。
1:プラズマ団の思想には賛同できない。 理解は出来なくもないが。
2:ミュウツーについては判断できる材料を持ちきれていない。
3:オルフェノクに興味
[備考]
※プラズマ団について元々知っていることは多くありません。
※桜とマオとスザク以外の学園に居たメンバーの事を大体把握しました(あくまで本人目線)


078:接触 投下順に読む 080:憤怒
時系列順に読む
053:私はいざというとき、アナタを殺します(後編) 村上峡児 089:平穏の裏に潜む影
057:「Not human」(後編) オーキド博士
マオ


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