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Juggernaut-黒き零の魔人達

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Juggernaut-黒き零の魔人達 ◆Z9iNYeY9a2



「で、あんたは一体なんなのよ?
 ポケモンって言ってもシロナさんのガブリアスとかニャースとかと比べるとかなり違って見えるんだけど」

「人間によって作られた唯一のポケモン、それが私だ。
 ミュウというポケモンのクローンとして、最強の名を与えられた」

「へー。所謂禁断の好奇心ってやつかしらね」

「私を生み出した研究者は言った。生物を生み出せるのは神と人間だけ。
 しかし試験管から生き物を作れるのは人間だけ、だと」

「うわっ、流石にその発言はエゴ丸出しで引くわ」

「もし神によって生み出されるのがポケモンであるとすれば、人間によって作られた私は何なのだ?
 試験管から生まれた私は、世界にとって異常な存在ではないのか?
 そんな考えから、人間に逆襲しようと、そんなことを考えて生きていたこともあった」

「ちなみにその方法って言うのは?」

「私は強きトレーナーたちを集め、そのポケモン達からクローンを作り出した。
 そしてそのオリジナルとクローンを戦わせ、どちらが強いかということを確かめさせた」

「……、ねえ、それって」

「ああ、私を作った人間と同じことをした。これに関しては私も同罪だ。
 だが、私は確かめたかったのだ。作られたポケモンがオリジナルに勝てるのなら、本物より優れているのなら。
 それこそが我々の…、いや、私の存在の証明にならないか、とな」

政庁出発後、クロはゆっくりしすぎもせず、かと言って変に疲労が溜まることもないような速度での移動を続けていた。
下手に体力を使うと、クロに限っては魔力残数にも関わる。
そしてミュウツーもそれにあわせた速度でクロに付いてきていた。
地面から微かに浮いた位置からの浮遊は何というか、見ていて不思議なものではあったが。

そして、その最中、雑談にしては少々込み入ってはいないかという話を二人で移動と同時にしていたのだ。

「で、見つかったの?その存在の証明は」
「いや、見つからなかった。だがある一人の少年に身をもって教えられた。
 その戦いの無意味さにも、そして私の過ちにも」

あの時の、多くのコピーポケモンがオリジナル達と同じく涙を流す姿。
それを見てはっきりと思い知らされたのだ。

その少年はもう既にこの世にいないが、と。
そう付け加えたミュウツーの心中はクロには察することはできなかった。
きっと彼自身も分かっていないのかもしれない。己の気持ちが。

「私には分からないのだ。私自身の居場所が。
 私達は世界の理から外れてはいるが、世界に存在してはいけないものではない。
 だが、我々は人間と共にあることが許されるのか?」

強い力を持ったものは人間が管理しようとする。もし管理できないならば、排除することを選ぶのが人間だ。
最強といわれるほどの力を持った自分が人と共にあるためには、人間の管理下になければならないかもしれない。
あのサカキの下にいた時のように。
だが、それはミュウツー自身望む形ではない。
では、私はどうすればいいのか。

「どこか一目に付かないところで静かに――っていうのは…ダメか」
「私もそうしようとしたところで、ここに呼ばれたのだ」



あの時の美樹さやかの攻撃もおそらくは自分が人間ではないからだというもの。
その事実は、ミュウツーの心を少なからず傷つけていたのだ。あの少女が、サトシやタイガのように善に位置する人間と判断できるからなおのこと。
それが多くの人間の下す判断であるとするなら、私はこの場でどうあればいいのか。

「で、それを人間じゃない私に聞きたい、と」
「……」
「案外聞かれても困るのよね、そういうの。
 確かに私は人間じゃないけど、パッと見人間と変わらないから、別に人間の中に混じるのに何の不都合もないし。
 うーん、でもあんたは納得しそうにないしなぁ、…まあいいか。ちょっとした身の上話なんだけどさ」

クロエ・フォン・アインツベルン。
そもそもこの名前自体、親につけられたという名前ではない。本当の名前は、自分もまたイリヤなのだ。
聖杯としての役割を与えられ、そして封印された記憶、人格が表出したもの。
本来ならば一般社会に生きるイリヤにとっては不要の知識、人格を揃えた存在、それがクロなのだ。

そんな自分が何故こんなところに存在しているのか。
生きたいと願ったからだ。
肉体を得た、大空洞でイリヤがアーチャーを夢幻召還したあの瞬間、そして自分の居場所がない現実に絶望したあの瞬間。
もし自分が生きたいと思わなければ、今ここに存在なんてしていなかった。

で、実際に自分の居場所そのものが見つけられたかと聞かれれば、別に見つかってはいない。
毎日イリヤと共に学校に行って、遊んで、食事して、お風呂入って、寝る。
まあ時々執行者が襲ってきたりする日常だけど、ぶっちゃけそれが本来のあり方ではないというのは自分自身分かっている。

「まあ、ぶっちゃけちゃえばさ、存在意義とか居場所とか、そんなの分かって生きてる人なんて人間でもそうはいないのよ。
 そんなの生きてりゃ後から付いてくるものだったりもするわけだし。
 だからアンタはそんな小難しいこと考えずに自分のやりたいことやってればいいんじゃないの?」
「そういうものなのか?」
「そういうものよ」

正直、クロ自身ミュウツーに回答が示せるとは思っていない。
これはミュウツー自身が見つけ出さねばならない答えだろう。
だが答えを見つけられない=己の意義がないということについては否と言っておく必要はあるだろう。
作られたものであったとしても、その存在を否定することは神にだってしていいことではないのだから。

「ところでさ、さっきタイガって名前言ってたけど、もしかして藤村大河って人?」

と、ここで話を切り替える。
先の話の中で出てきたタイガという名前にふと心当たりがあったのだ。


「ああ、知り合いか?」
「知り合いってか私達の学校の先生よ。聞いてなかったの?」
「妙だな…、私は確かにタイガの知り合いについては聞いたが、クロエ、お前の名はなかったぞ?」
「ちなみにその聞いた知り合いの名前は?」
「確か――」

衛宮士郎、セイバー、間桐桜、遠坂凛。
士郎、桜は自分の舎弟みたいなもので、凛は自分の学校の生徒だと言っていたように思う。
セイバーは、ある日突然士郎の家に引っ越してきた衛宮士郎の父の親戚の人、と。

「セイバーって…、まさか…」
「心当たりがあるのか?タイガはその4人は何か隠し事をしていると言っていたが」
「そうね、もし私の想像が正しければ、かなり厄介なことになってるわよ。その藤村先生が来た世界って」

セイバー。それは剣士を意味するサーヴァントのクラス。
もし伊達や酔狂でそんな名を名乗っているのでないとすれば、間違いなくそのセイバーは聖杯戦争の参加者であるはず。
自分達の世界と対応した平行世界、それはまさか―――

「聖杯戦争の起きた…、世界…」

だとすればこの名簿に載っているバーサーカー、そしてセイバーは本当の意味で正規のサーヴァントということになる。
かつてのあの黒化英霊とは違う、正真正銘の。
特にバーサーカー。こいつが万が一にでもあの自動蘇生の宝具を持ったあいつであったなら。

「相当にまずいわよ…」

クロは焦る気持ちを抑えつつ、速やかに移動を続けた。
嫌な予感を心に残したまま。




若干の時を遡る。
そんな二人の元からそう離れていない場所。
しばらく進んだ先にはある世界を統べた組織の建造物、スマートブレイン社の跡地がある場所。
未だ市街地の体裁を保っているはずの場所。

そこに建っている建築物が一つ、轟音を立てて倒れた。

濛々と上がる土煙の中、一つの影が宙に飛び出した。
そこにいたのは人間よりも一回り巨大な、鮫のような竜。
その背には金髪の女性を背負い、空を飛びながらも振り落とすことがないように慎重にバランスを取っている。
さらにそれを追うように黒い影が布のようなものをたなびかせながらも竜に向かって飛び掛った。

高速で飛び掛るその何かを、竜はまるで飛行機がカーブを描くかのような軌跡を取りながら避け、着地する。
と、その着地した瞬間、今度はそこに灰色のケンタウルスのような魔人が大剣を振りかざして飛び掛った。
鮫竜はその持ち前の素早さで剣を紙一重で回避、後ろに下がって空中に作り出した岩の刃を飛ばしつつ、地面を踏みしめて咆哮。
降り注ぐ岩片と揺れ罅割れる地面に脚を取られてよろけるケンタウルスの魔人。
しかしもう一人の魔人、黒き仮面とマントを纏った男が光る手の平を地面に叩きつけた。

その瞬間、揺れていたはずの大地が一瞬にして静寂を取り戻す。
驚愕する竜の元に、仮面の魔人は先ほどの光を向ける。
直感的にまずいと感じた竜はその場を離れつつ、再度岩片を飛ばすもそれらは翻したマントに阻まれ魔人に到達することはない。

その後ろから馬の魔人が高速で突撃してくるのを視認した竜は、再度宙に浮き上がりそのまま二人の魔人に背を向けて飛び去っていった。


「中々に素早い。随分と戦い慣れしているようだな、あの竜は」
「言っている場合か。早く追うぞ。
 幸いやつらの向かった先は俺たちの進行方向だ。目的に支障はない」

金髪の女と竜を襲った二人の魔人。
ゼロ、そしてホースオルフェノク。
互いの目的のために一時的な共闘を申し出た彼ら二人は休息後出発したところで空を往く竜を発見、襲撃をかけることにしたのだ。
その竜の飼い主が殺し合いに乗っている可能性も考えないではなかったが、こちらを視認した女の目には敵意、警戒心がはっきりと見えたのだ。
おそらくはあのスマートブレイン崩壊跡の戦いを生き残った者から情報を得た人間だろう。それを聞いて敵意を向ける相手ならば手を組めるはずもない。
二人の行動は迅速だった。

想定外だったのは、あの竜がかなりの手慣れであったことだろうか。
まさか二人がかりで逃がしてしまうとは。


「追うのはいいがな、ここには他にも何者かの一団が近寄ってきているようだぞ。そっちはいいのか?」

追おうとするホースオルフェノク、木場勇治。しかしゼロはふと、近くに他の参加者の気配があることに気付いていた。

「一団?何人だ?」
「数は人間のものが4つ。まあ中身まで人間とは限らないが」

つまりは最低4人を一度に相手することになるのかもしれない。
ゼロとてあの時乾巧、巴マミ、佐倉杏子、村上峡児、そして木場勇治という数の暴力には押されたのだ。
ダメージこそ大分治まったとはいえ油断できる相手ではない。
しかし、見逃すのもどうだろうかと考えてしまう。

と、ゼロの感覚が一つの動きを捉えた。

「どうやら一人、集団から離れたようだな。
 向かっている先は…、あの女の向かった方だ」

集団から離れた一人分の存在。
あの竜を視認し、追ったのだろう。


「なら、俺がそっちに向かう。ゼロ、残った三人の相手は任せられるか?」
「問題などないな。お前こそ問題ないのか?
 二人がかりで逃がしてしまった者にさらに一人追加して相手取るなど」
「大丈夫だ、今度こそ確実に仕留めてみせるさ」
「そうか、なら生きていたなら3時間後までにD-5の病院で合流としようか」
「分かった」

言うが早いか、疾走態へと変化した木場勇治は女の逃げた方に向かって駆けていった。

「では、私の今すべきことは―――」

木場を見送ると同時、ゼロもそのマントを翻し、その場を立ち去った。





巧、士郎、イリヤ、バゼットの4人の進む先、ふと耳に届いたのは巨大な爆砕音だった。
建物一つ潰したような音、それは士郎の後ろで眠っていたイリヤが目を覚ますほどのものだった。

「な、何…?」
「どうやら、この付近で戦っている者がいるみたいですね。
 それも建造物一つを壊すほどの力を持った者が」

建物をあのような衝撃を立てて壊すような存在。
実際巧は高層ビルを潰した相手と戦ったというのだ、不思議というほどのものではないのだろう。
だが、そんな相手が近くにいるというのは、イリヤを怯えさせるには十分だった。

と、ふと空を見上げた一同の視界に、飛行機のような何かが宙を滑空している姿が目に入った。
バゼット、イリヤの視力ではそうはっきり見えたものではなかったが、巧、士郎の二人にはそれが何なのか、はっきり視認することができた。

鮫のような竜の背に乗った一人の女性の姿だった。

それを認識した瞬間、巧の顔色が変わった。

「あれって、もしかして巧がさっき言ってた?」
「………」

士郎の問いかけに沈黙で返す巧。
巧にとっては人間に拒絶された(ように見えた)という苦い記憶。進んで語りたいものではなかった。
無論、そんな相手と顔を合わせることに消極的になるのも無理からぬこと。

そんな巧をじっと見つめ(たような動作をして)、辛辣な言葉をルビーは投げかけた。


『逃げられるのですか?』
「…!」
『まあ別に止めはしませんけど。ただ問題を後回しにしてばかりでは何も進歩しませんよ?』
「止せ」

巧の心中を察してか察せずかは分からないが、そう煽るルビーを士郎が止めた。

「俺が先に行って様子を見てくる。だから巧達は落ち着いたら追ってきてくれ」
「お兄ちゃん?!」
「待てよ、何でそこでお前が行くんだよ」
「何でって、この中じゃ一番怪我とか少なくて大丈夫なのは俺だろ?」

巧は夜中の連戦のダメージを未だに体に残し、さらにあの人と対面することに抵抗を覚えている。
イリヤは戦えるとはいってもまだ子供。先のキリカ戦の時にも状況判断力においては未熟な点も見られた。
そして、バゼットは腕の傷が深く、未だ癒えてはいない。

「心外ですね。この程度の傷があろうと、あなたよりは戦える自信はあります」
「でも怪我をしているのは事実だ」
『まあ確かにこの人にコミュニケーション取らせるとなると嫌な予感しかしないものではありますが――おっと、危ない』

ルビーの軽口に拳を唸らせているバゼットだが、ある意味ではその点もあのキリカとの情報交換で浮き彫りになってしまった欠点ではある。
理には適っている。いや、適いすぎているというべきなのだろうか。

「お兄ちゃん…、待ってよ。行くなら私もいっしょに行かせて!」
「ダメだ、もし万が一戦いにでもなったらイリヤのことは守りきれないかもしれない。
 巧やバゼットと一緒に居てくれた方が俺も安心できるから、な」
「あ、あうう…」

そう優しい声で言いながら頭を撫でる士郎に、イリヤは閉口してしまう。
だが、黙るわけにはいかない理由もある。

『士郎さん、その腕のことですが、』
「大丈夫だよ、俺にはこれらの剣がある。こっちで作らなくてもどうにかなるさ」

勝利すべき黄金の剣。かつて最も信頼した少女が、己の聖剣を手にする以前に使っていた黄金の宝剣。
干将・莫耶。赤き弓兵が愛用した、扱いやすく汎用性の高い双剣。
武器としてはこれ以上のものはない。

「でも…」

それでも、イリヤにとっては不安なものは不安なのだ。
もしここで別れたら、もう戻ってこないのではないかという感覚を覚えるほどには。

しかし、こうしている間にも宙を飛ぶモノは視認できない場所に向かおうしとしている。

「じゃあ、急がないと見失っちゃうから、行くよ。大丈夫、すぐ戻るから!」
「お兄ちゃん!」

イリヤの声に一度振り返って手を挙げた士郎は、そのままあの女性を追って走り去った。

「…これで良かったのかよ?」
『そこは士郎さんを信じるしかありませんが、でも乾さんにも責任の一旦があることを忘れてはいけないですよ』


ここで彼らは、一つの事実を見落としていたことになる。
巧の遭遇した女性、クロと共に行動していた人がいたという事実に気を取られ、状況認識を遅らせてしまった。
そもそも、彼女達の逃げてきた方では何があったのか。
そう、戦闘から発生するであろう轟音。つまりは彼女らは戦闘行為を行っていたのだ。
戦闘をしていたということは、襲撃者がいたということ。

そして、逃げるものがいれば追うものがいる。
巧の耳に聞こえてきたのは、馬が地を蹴る嘶きにも似た音。
そう、巧はこの足音を知っている。

「…まさか…木場?!」

士郎はもう見えない。
もしあの女を追っているのが木場だとすれば、士郎の命が危ない。

どうして気付かなかったのか。
自分のことばかりに気を取られ、回りを見るのを遅らせてしまった。
万が一などではない。戦いが起こるのは必然なのだ。

「おい、士郎のやつを止めてくる!お前らは後から――」
『待ってください!何かが近づいてきています!…何ですかこの反応は…!?』




「数時間ぶり2度目の再会、かな。乾巧よ」

声がすると同時、地面を衝撃が抉り取った。

巧、イリヤは咄嗟に変身、転身し、バゼットも構える。

「てめぇ…、まだこの近くにいたのかよ…!」
「生憎連戦続きというのは私にとっても骨の折れるものでな。今しがた移動しようとしたところだ」
『乾さん、まさか彼が…』

今は既に禁止エリアとなった空間を廃墟へと変えるきっかけになった存在。
黒い魔王、ゼロ。
三人の前に立っていたのはまさしくその本人だった。




「ガブリアス…、大丈夫?」
「グゥ…」

金髪の女、シロナは物陰に身を潜め、鮫竜、ガブリアスに薬を使いながら声をかける。

力を過信していたかといわれればもちろん否だが、心のどこかに僅かにでも油断があった可能性は否めない。
ガブリアスの受けたダメージは最初に出会ったあの竜のオルフェノクとの戦い以上のものが、あの二人との戦いで蓄積されていた。


政庁へと向かう途中、遭遇してしまった存在。
視界に映った黒い仮面の魔人と、そんな存在と共にいる男。

佐倉杏子という少女の話ではあの魔人はゼロという、恐ろしく強力な力を持った参加者であるという情報だった。
空から見えたそんな存在を、チャンピオンとして倒すべきなのか、それとも今は引いて戦う体勢を整えるべきか。
一瞬の迷いはきっとガブリアスにも伝わったのだろう。そして、それこそが命取りとなってしまった。

こちらを発見した彼らの反応は早かった。
二人は協力してこちらへと襲い掛かってきたのだ。
あるいは一人だけならば相手をすることもできたかもしれない。しかし二人がかりというのがまずかった。
仮にこちらにもう一人、あるいはもう一体のポケモンでもいればこうはならなかったかもしれない。

これがポケモンバトルであれば2対1であってもまだ戦えただろう。ドラゴンオルフェノクの時のようにシロナが少し離れた場所で指示を出せたのだから。
しかしこれだけの力量をもった相手を二人敵に回す際それを行ってしまうと、ガブリアスが一方を押さえている間にシロナを狙われる可能性が非常に高い。
だからこそ、ガブリアスはシロナを背負ったまま戦うこととなったのだ。

そして、背負った人間がいる状態でガブリアスは接触技を使うわけにはいかない。
鋭い牙によって相手を噛み砕く攻撃も、竜の闘気をまとっての突撃も封じられた状態での戦闘。
まともなものになるはずもなかった。それでも食らいつき続けられたのはガブリアスの戦闘経験故だろうか。

今ガブリアスの全身にはホースオルフェノクの魔剣が掠った傷が多く目立ち、左胸部付近にはゼロの攻撃によるダメージが残っている。
また、それ以外にも様々な攻撃を受け止めた腕のダメージ、あまりに密度の高い戦闘からの疲労もその体を蝕んでいる。

「ありがとう…、あとは大丈夫よ。ゆっくり休んで」

と、モンスターボールを取り出したシロナ。
しかしその手を押さえてボールに戻ることを拒否するガブリアス。
まだ大丈夫だという意思表示なのだろうが、シロナとしては心配でならない。

「ダメよ、今は戻って。ポケモンセンターまでは遠いわ…。無理はさせられないのよ…」

政庁からは離れてしまった。時間も過ぎているし合流は無理になってしまったが仕方ない。
とにかく、今はここから離れることを優先しなければならない。さすがにあれだけの距離を離せばそう追いつかれることもないだろう。

そう思った瞬間、ガブリアスが顔を上げた。
何かに気付き警戒するかのような態勢を見せたその瞬間、背後にあった建築物を飛び越えて現れたのは、先に戦ったホースオルフェノクだった。

蹄が地面を叩く音を響かせながらこちらを振り向き、その魔剣をこちらに向ける。

総合的にみればその戦闘力はドラゴンオルフェノクにも匹敵するものかもしれない。
そんな相手を前に、ガブリアスはシロナの前に立って威嚇するように吼える。

「ガァァァァァ!!」
「…何故だ。お前は何故そうまでしてその人間を守る?」

何か理解できないものを見るように、ガブリアスを見るホースオルフェノク。
やがてホースオルフェノクは下半身を人間のそれに近づけたものに戻し、高速の突きを繰り出した。

それをガブリアスは腕の力で受け止める。
白羽取りのような形となったが、それでも手が小さいガブリアスが押されつつあった。

「何故、そうまでしてその人間を守る?お前にはその人間がそんなに大事か?」
「グルルルルゥ」
「ならば、お前も俺の敵だ」

剣を受け止めたことで空いた脇をホースオルフェノクは蹴りつける。
その勢いに吹き飛ばされるガブリアス。

「ガブリアス!」
「終わりだ」

と、その魔剣を引き、心臓を狙う一撃を突き出そうとしたところで。
横殴りの衝撃がホースオルフェノクを襲った。

吹き飛ばされたガブリアスが放ったドラゴンダイブ、
それにより組み合い縺れつつ地面を転がる一人と一匹。

至近距離で振られた剣は両腕のヒレで受け止め弾き、その腕に鋭い牙を突きたてる。
痛みに呻きつつもホースオルフェノクは腕を振り払い、ガブリアスに向けて頭部をぶつける。
頭に生えていた鋭い角がガブリアスの肩を貫き血を滴らせる。

「もう止めて!戻りなさいガブリアス!」

叫ぶシロナを見て、ホースオルフェノクはガブリアスを放り投げてそちらへと注意を向ける。
痛みからか動けず蹲るガブリアス。そんな彼にモンスターボールを向けるその手をホースオルフェノクは払う。
ボールは地面を転がりあらぬ方向へ飛んでいった。

「っ…!」

と、再度振りかざした剣で今度は斬り付けようと迫った。


その瞬間、彼の元に二振りの双剣が軌跡を描きながら飛び掛った。

「?!」

それらを盾と剣で弾いた瞬間、その向こうから黄金の西洋剣を振りかざしてくる赤髪の少年が映った。
振りかぶられた上段斬りを受け止め、オルフェノクの怪力をもって押し返す。
そのまま着地した少年は、シロナの近くに駆け寄り声をかけた。

「大丈夫か?」
「え、ええ。あなたは?」
「俺は衛宮士郎。乾巧って男に、聞き覚えはないか?」
「…!あなた、乾巧という人を知ってるの?!」
「ああ、だけど詳しい話は後だ」

と、意識をホースオルフェノクに向ける士郎。

「あんたもオルフェノク、なんだよな?」
「乾巧の仲間か」
「ああ。もしかしてあんた、木場勇治か?」

巧の言っていた危険なオルフェノクに上げられた村上峡児、北崎、そして木場勇治。
しかし巧がこの中で木場勇治の名前を上げるときの顔が、どことなく悲しそうな表情だったのが印象深かったのだ。
だからこそ、もし相手がその木場勇治ならば確かめておきたいことがあったのだ。

「人間と話すことなど、何も無い」
「巧は、オルフェノクだったけど俺なんかよりずっと人間らしいやつだった。
 優しくて強くて、でも傷付きやすくて脆い、そんなやつだった。
 同じオルフェノクなのに、何であんたは殺し合いに乗ったんだ!」
「俺は殺し合いに乗ったわけじゃない。
 薄汚い人間を抹殺する。そのために戦っているだけだ」
「何でそんな…!」
「言っただろう。人間と話すことなど何もないと。
 俺は人間を…、いや」

と、そう言った木場は地面に伏せるガブリアスに一瞬視線を向け、剣を突きつけてこう言い放った。

「人間の味方をするなら、誰であろうと俺は倒す!」

言うが早いか、士郎に向けて刃を振り下ろす木場。
それを士郎はカリバーンで受け止める。

(くっ、何だこの憎悪は…。あの男と同じオルフェノクだっていうのに、…どうしてそんなにも、人間を憎めるんだ…!)

オルフェノクは人間の進化系。いくら魔術師であっても未熟な士郎にはその差は容易に埋められるものではない。
力に圧し負けギリギリと後退する士郎。
しかしその剣圧を受け流し、振り下ろされた剣を回避する。

咄嗟にカリバーンを仕舞い、干将・莫耶を取り出す。
僅かとはいえ底上げされた身体能力を持って、ホースオルフェノクに斬りかかる。
しかし同時に振り下ろされた双剣は片腕の大剣で受け止められ、もう片腕に装備された盾で殴られ吹き飛ばされる。

受身を取りつつ着地した士郎は、双剣を投擲。
同時に再度構えたカリバーンを向けて斬りかかる。

カリバーン―――勝利すべき黄金の剣。約束された勝利の剣には劣るとはいえ、その神秘性、宝具としての格は上位のもの。
たとえそれで斬られればオルフェノクとて無傷ではすまない。

振り下ろされた剣を受け止めつつも、ブーメランのようにこちらに迫る双剣を知覚する木場。
咄嗟に頭部の角を魔剣の下に支え、振り上げることで士郎を打ち上げる。
その瞬間迫ってきた双剣を、剣、盾の両方で弾き飛ばした。
そして宙を舞う士郎にトドメを刺そうとしたが、士郎の姿は既に空には無かった。

見回すと、地に伏せていたはずのガブリアスが士郎を受け止め地に下ろしていた。

「ありがとう…」

一言礼を告げた士郎。頷くと同時に傷が痛むのかよろめくガブリアス。
そして士郎は、木場を見据える。

(ああ、確かにアイツは強い…。だけど…)

その身体能力、耐久力はあるいはサーヴァントに匹敵するものかもしれない。
しかし、士郎は知っている。最優と言われたかつての己がサーヴァントの剣捌きを。

(剣の扱いなら、セイバーに比べたらそこまでじゃない!)

そう、そこを突けば隙ができる。
この腕は、あのセイバーに稽古されたものなのだ。剣の戦いで負けるわけにはいかない。

双剣に警戒しつつも、その手にされたのが西洋剣だけということを確認した木場は、一気に斬りかかる。
そして振り下ろされた剣を受け止めた士郎。

剣というのは力任せに振り下ろせばいいというものではない。
もし振り下ろして空振り、受け流されてしまうのでは大振りになった分隙が大きくなってしまう。

「はぁ――…は…!」

先ほどのような受け止めをされないように、相手の様子を見据える。
木場も同じ手を使おうとは思わないのか、今度は両腕で剣を押さえている。
つまりはこの聖剣ごと、叩き切るつもりなのだ。

だが、士郎は知っている。
この剣がただの剣ではないことを。かつて国を治めた王が愛用していた武器であることを。
それを容易く破壊することなど、オルフェノクであってもできることではない。

「はぁっ!」

剣を引き、力を一瞬抜くと同時に一気に引き抜いた。
それにより重心をずらされバランスを崩した木場は、そのまま振り下ろした剣を地面へとたたきつけてしまう。

「今だ――」

その一瞬で、木場の体に大きく振りかぶったカリバーンを横切りに切りつける。

が、しかし。

次の瞬間、士郎に見えたのは巨大な馬の脚が自分の体を蹴り飛ばす姿だった。

「ガハッ…」

一瞬で疾走態へと変化した木場は、カリバーンが体を切り裂く一瞬前に士郎の体を蹴り上げたのだ。
馬の脚力で蹴り上げ壁へとたたきつけられた士郎は、口から血を吐く。

そのまま通常形態へと戻った木場は静かに剣を構えて迫る。
起き上がりカリバーンを構えようとするも、内臓を若干やられたのか、うまく立つことができない。

「終わりだ」

そう死の宣告を告げた木場の目の前で、衛宮士郎の姿が消え去った。

「…」

人間にはそれが一瞬の出来事であり視認もできないことだっただろうが、木場には見えていた。
ガブリアスが背にシロナを乗せたまま、そのシロナが士郎の体を掴むと同時に飛び去っていくのが。

遠距離攻撃のないホースオルフェノクには、どうすることもできない。
それを分かった上で追跡してくると踏んだ上での逃走なのだろう。確かに速度は二人連れているせいか、先よりは遅い。
だが、こちらにはまだ手はある。

木場勇治は人間の姿へと戻り、携帯を取り出してコードを入力した。




「あなた、無茶しすぎよ!」
「ぐっ…」

士郎を連れたシロナは、ガブリアスに乗って逃走を図った。
傷付いたガブリアスは、無理をしてでも飛行すると言った。もしあのまま足で逃げても追いつかれるだけだろう。
同じ、いずれ追いつかれるにしても、せめて少しでも体勢を立て直す時間が欲しい、そう思っての逃走である。

「ちょっと苦しいかもしれないけど、しっかり掴まってて!
 どこか降りられる場所を探すわ!」
「ぐ……―――あ」

と、前を向いていたシロナはそれに気付くのが遅れた。
それを最初から見ていたのは士郎だけだろう。

木場の体に閃光が走り、黒い装甲服のようなものを身に纏っていた。
さらに、その手の剣から巨大な光が発し、膨大なエネルギーを巨大な光の剣へと形作っていた。

「あ、危ない…」
「くっ、ガブリアスは…、ダメ…、避けきれない!」

二人の人間を乗せて飛ぶという行為自体が無茶なのだ。急激な回避行動など取れるはずもない。
そして光の大剣はこちらに狙いを定めている。

オーガへと変身した木場は、そのまま一気に剣をこちらに向け。
ガブリアスの離した距離を一気に詰めんという勢いで射出。

光――フォトンブラッドの刃、オーガストラッシュが放たれた。


「十字斬撃(クロイツ)!!」

魔力で形成した十字の斬撃がルビーから射出、ゼロを捕らえる。
しかしそれが命中したと思った瞬間、ゼロの前面で掻き消えた。

「えっ、当たったの?!」
『いいえ、おそらく当たっていません!
 何故か魔力反応が彼の前で消滅しました。これは一体…』

と、困惑するルビーとイリヤの前で、バゼットと巧が拳を振りかざして殴りかかる。
が、その腕をゼロのマントが絡め取り、後ろへと投げつけた。
成す術なく地面に叩きつけられる巧と、空中で体勢を立て直して起き上がるバゼット。
そんなバゼットの元にゼロの拳が迫っていた。

「どうやらこの中では貴様が最も手練のようだな」
「っ…!―――硬化(ARGZ)!」

ルーンを発動させ、拳を受け止める体勢を取る。
と、その時ゼロの拳が光り、まるで羽ばたく鳥をイメージするような紋様が浮かび。
次の瞬間、殴りつけられたバゼットの肉体が錐揉みしながら吹き飛んだ。

「バゼットさん!?」
「てめえ!」

吹き飛ばされるバゼットの姿を見て、巧が壁を蹴りながら空中へと跳び、そこから跳び蹴りを放つ。
しかしゼロは再度その手を光らせ、一瞬で移動した後オルフェノクとなっている巧の肉体を吹き飛ばした。

「収束放射(フォイア)!!!」

その後ろから、イリヤが魔力の砲撃を放ち狙い打つ。
が、その光も宙を静止したかと思えば一瞬で消滅した。

『イリヤさん!』
「はっ?!」

十数メートルはあったはずの距離を一瞬で詰め、その拳をまたも光らせるゼロ。
イリヤはそれを受け止めるために眼前防御壁を張り。

それは破壊されることもなく、拳の光に触れただけで掻き消えた。

『強制転移!』

それを見たルビーの瞬時の判断により、イリヤの肉体をその場から転移、ワープさせた。

「バゼットさん、巧さん!大丈夫?!」
「硬化のルーンが無効化されたとは…、一体何が…、ぐっ」
「ふん、やはりお前の心臓にこのギアスは効かないようだな」
「ちっ…」

血を口から滴らせるバゼットを尻目に、巧に向かってそう言葉を投げかけるゼロ。
対して巧は既に一度戦っていることである程度力量は把握しているのか、その能力にも戦闘力にも驚くことなく立ち上がっている。

『ゼロ、一つ伺わせて貰いたいことがあります』
「ほう、喋るステッキとはな。まるでファンタジーの国のアイテムのようだな」
『いえいえ、あなたほどファンタジー――幻想的な存在ではありませんよ。
 あなた、その力どうやって手に入れました?』
「この力が何か、ではなくどうやって手に入れたか、と問うか」
『何かという点についてはある程度の分析は可能です。
 それは光に触れたもののエネルギー、ないしは物質活動を停止、消滅させるものですね。
 転移でも分散でもなく、質量保存の法則を完全に無視しての消滅、まさしく有から無を生み出すかのような』

有から無を生み出す。そのような非効率な魔術を研究する魔術師などそう存在するものでもなかったが、少なくとも目の前の魔人はそれをやってのけた。
魔術を、エネルギーを、のみならず生命活動すらも無へと帰しかねない、無から有を生み出すこととは正反対の、質量保存の法則を完全に無視したその力。
おそらくそれは、まさしく神をも殺しうるほどのものだ。

では、それほどの力をどうやって手に入れたというのか。その肉体は今だ生きている人の身でど、うやってそれほどまでの神秘を宿したというのか。
心当たりはある。とは言っても、それを魔術師の前で言うと失笑されかねないものであるが。
自分の製作者が、それを目指して魔法使いとなった、まさしくその到達点。

『まさかあなた、見たのですか?根源を』

全ての魔術師が、その身どころか血筋までをかけて到達しようとしている最終目的、根源。
究極の知識、最初にして最後を記したもの、アカシックレコード。
様々な呼び名が存在するものではあるが、まさかこの男はそのいずれかに何らかの手段で到達したというのか。

「根源―――なるほど、多くの神々の名を持つエデンバイタルのことをそう呼ぶ世界もある、ということか。
 生憎だが違う。私は一人の魔女と契約をしただけだ」


と、ゼロは光をふわふわと浮かぶカレイドルビーに向ける。
その光を慌てて回避するルビーを黒いマントが捕える。

『は、離して下さい!セクハラですよ!』
「あの門に関わるかもしれないものの知識を持っている存在。
 興味深いが今の私には特に必要なものでもないのでな。悪く思うな」

マントに手繰り寄せられ宙を舞うルビーを手の光が照らした。
その瞬間、巧がルビーを受け止め、それと同時にバゼットの拳がゼロのマスクを捉えた。

「…只人にしては悪くない拳だ」
「只人かどうかは試してみるといいでしょう。私はあなたのような存在を相手にすることを生業にしていますので」

そのまま地面に拳をたたきつけ、砂埃を巻き上げる。
周囲の視界を一斉に塞いだことで視認できなくなったバゼットを警戒していると、背後から巧の鋭い爪が襲い掛かった。
腕で受け止め、そのまま回し蹴りを放って吹き飛ばした。
しかし爪を受け止めた部分には傷跡が残る。

視界を晴らそうとザ・ゼロを発動させようとしたところで、バゼットがいたであろう箇所から妙な光が発しているのを見て発動をとめる。
地面を蹴り土ぼこりの中から飛び出した先のバゼットの脇には小さく鋭い短剣が浮遊していた。

「ちっ!」

ネタに気付かれたかと言わんばかりの舌打ちと共に短剣を仕舞ったバゼットは、ゼロにその素早い拳の連撃を繰り出し、ゼロもそれを掌底で受け止め続けた。




『イリヤさん、ここは逃げましょう。あの二人にもそう伝えなければ――』

イリヤの目の前で繰り広げられているのはかつての黒化英霊の時を思い出すような戦い。
そういえばあの時は本当に命がけで、幾度となく死にかけたなと、そんなことを思い出す。
目の前で戦っているバゼットさんにも、正直命の危機まで感じたこともある。クロと美遊と、凛さんやルヴィアさんもいたのに交渉に持ち込むのがやっとだった相手を。
そんなすごい人を、あの仮面の男は乾さんとの二人がかりで圧倒しているのだ。

きっと、今の自分の魔力砲や斬撃など片手で捌くだろう。
今の私にはそれくらいの力しかない。

「逃げるの…?」
『あの能力は危険です。我々だけではどうにもなりません。
 もっと準備を整え、彼を倒しうる仲間を集めてからでなければ』
「……」

脳裏に、こんな男の存在を知らない兄の顔が思い浮かぶ。
優しく頭を撫でて笑顔でここから離れていった姿が。
もしここで逃げれば、きっと彼にも危険が及ぶだろう。
いや、もしかするともう危険が及んでいるかもしれない。

なら。私がここですべきことは何だろうか。

乾さんの灰色の体が膝をつき、バゼットも防戦一方だ。
今の私には、あの男と戦い得るような力はない。

―――本当に?

いや、持っている。
今はそのほとんどを持っていないが、最初に来たときに入手した、たった一枚のカード。

『?!イリヤさん!?それは無茶です!今までそれをやっていたのはクロさんなんですよ?!』
「ううん、できる。美遊だってできたんだから。それにやったのはクロでも、それも私なんだから―――」

人が空想できること全ては起こり得る魔法事象。
なら、イメージすればいい。己の姿を。
魔術師のクラスのサーヴァントの衣を纏う、己が姿を。

そうだ、あの日やったように。
カードの力を解き放つのだ―――

「―――――夢幻召喚(インストール)!」



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