閃光のマリアンヌ ◆Z9iNYeY9a2
夜空の中に、ところどころ亀裂がはしっている。
何もないはずの場所が、まるでテクスチャを剥がすかのように少しずつ崩れている。
何もないはずの場所が、まるでテクスチャを剥がすかのように少しずつ崩れている。
儀式の会場がゆっくりと崩壊を始めていた。
そんな空間の中、2つの閃光が宙を飛び回っていた。
縦横無尽に飛行する光は、幾度もぶつかり遠目からでも確認できる火花と戦闘音を放っている。
縦横無尽に飛行する光は、幾度もぶつかり遠目からでも確認できる火花と戦闘音を放っている。
ランスロットsiNはナイトメアフレームの中でも最新の技術を詰め込み化け物とも称された機体、ランスロット・アルビオンの発展型。
機体性能においてはスザクの知る最強の機体を凌駕したものであり、これに追随する性能をもったKMFはそうはいないだろう。
マリアンヌの乗ったトリスタンは数世代前のもの。
とはいえスザクの知る機体とは大きく形・姿を変えておりその認識が正しいとは言えないだろうが、こちら以上の性能であることは有り得ないのは剣を打ち合った最初の数合で読んでいる。
機体性能においてはスザクの知る最強の機体を凌駕したものであり、これに追随する性能をもったKMFはそうはいないだろう。
マリアンヌの乗ったトリスタンは数世代前のもの。
とはいえスザクの知る機体とは大きく形・姿を変えておりその認識が正しいとは言えないだろうが、こちら以上の性能であることは有り得ないのは剣を打ち合った最初の数合で読んでいる。
だというのに。
「…っ!」
スザクの額から汗が滲む。
一騎打ちに移行してからの戦い。
ヴァリスやハーケンを使うも逆に隙となり、間合いを詰められてしまう。
MVSを交えての切り合いへと切り替えたものの、それが仇となっている。
ヴァリスやハーケンを使うも逆に隙となり、間合いを詰められてしまう。
MVSを交えての切り合いへと切り替えたものの、それが仇となっている。
まるでこちらの動きが読まれているかのような太刀筋。
ナイトメアフレームとは思えぬ細かく素早い身のこなし。
ナイトメアフレームとは思えぬ細かく素早い身のこなし。
ゼロが超常の力をもって挑みかかってきた相手だとしたら。
目の前の彼女は純粋な自らの技量のみで圧倒してくる、全く異なる驚異だ。
目の前の彼女は純粋な自らの技量のみで圧倒してくる、全く異なる驚異だ。
(…っ、やはり閃光のマリアンヌ、一筋縄ではいかない相手か…!)
スザクとて剣術には自信がある。体術も並のものではない自負がある。
搭乗したナイトメアフレームがランスロットのように高性能なものになりがちなのは、その体の反応速度に並の機体ではついてくることができないから。
搭乗したナイトメアフレームがランスロットのように高性能なものになりがちなのは、その体の反応速度に並の機体ではついてくることができないから。
その反応速度をもって、目の前から迫る剣撃を受け切るのが精一杯だ。
ナイトメアの規格の違いか、まるで生身の人間が剣を振るっているかのようにも思える挙動をしている相手なのもあるが。
その挙動そのものは、マリアンヌの技量あってのものであることが間違いがないだろう。
その挙動そのものは、マリアンヌの技量あってのものであることが間違いがないだろう。
「だが、…だとしても!」
後ろに引き、手のヴァリスとハーケンを同時に射出する。
相手はヴァリスを回避、ハーケンを腕で反らしながらも前進。そのまま剣を振りかぶる。
いくつかの想定した動作パターンの中の一つ。だからこそ対応可能な動作も瞬時に見出す。
相手はヴァリスを回避、ハーケンを腕で反らしながらも前進。そのまま剣を振りかぶる。
いくつかの想定した動作パターンの中の一つ。だからこそ対応可能な動作も瞬時に見出す。
「僕たちの未来のために、負けるわけにはいかないんだっ!!」
攻めに転じたトリスタンの体に、瞬時にヴァリスを捨てて持ち替えたMVSを振るう。
「未来、ねぇ」
しかしその一手はまるで読まれていたかのように、身をかがめたトリスタンの頭上を空振りしていく。
次の瞬間に全く警戒していなかったトリスタンの脚部が目の前に迫っていたのをどうにか受け止めたのはスザク自身の咄嗟に働いた勘のおかげだろう。
次の瞬間に全く警戒していなかったトリスタンの脚部が目の前に迫っていたのをどうにか受け止めたのはスザク自身の咄嗟に働いた勘のおかげだろう。
「果たしてあなたに未来なんてものがあるのかしら」
反動で後ろに下がりつつも、腕のハーケンを放つトリスタン。
飛来する6つの短刀はどの方向に避けてもどれか一つが機体を捉える軌道を描いている。
故にその場に剣を構えてやりすごすランスロット。
肩や脇腹、脚部を捉えるも装甲の厚いところで受けることで機体ダメージを最小限に抑える。
飛来する6つの短刀はどの方向に避けてもどれか一つが機体を捉える軌道を描いている。
故にその場に剣を構えてやりすごすランスロット。
肩や脇腹、脚部を捉えるも装甲の厚いところで受けることで機体ダメージを最小限に抑える。
その飛ばされたハーケンが腕を横に動かすことで薙ぎ払う動きへと切り替わり、ランスロットの身を縛りつつ体勢を崩させる。
倒れ込むより先に、背のエナジーウィングを展開。すると刃がハーケンのワイヤーを切り裂くより早く、トリスタンのハーケンはランスロットの体から離れトリスタンの手元に戻っていく。
倒れ込むより先に、背のエナジーウィングを展開。すると刃がハーケンのワイヤーを切り裂くより早く、トリスタンのハーケンはランスロットの体から離れトリスタンの手元に戻っていく。
「顔も無くし、名前も無くし。自分の犯した罪を贖うためにただ世界に尽くす。
それが生きているって言えるものなのかしらね」
それが生きているって言えるものなのかしらね」
投げつけられた剣がエナジーウィングを捉える。
翼の付け根が切り裂かれ、片翼を失った機体がバランスを崩して傾く。
翼の付け根が切り裂かれ、片翼を失った機体がバランスを崩して傾く。
「それでも、それが自分への、世界を混乱に貶めたことに対する罰だ!」
崩した体勢を整えるより先に迫りくるトリスタンへと意識を割くスザク。
傾いた姿勢のまま、MVSを振るい迎撃。
すれ違いざまに剣を受け止めつつも、直後にフライトユニットへ一撃を入れていた。
振り返ったトリスタンの背から煙が上がる。
傾いた姿勢のまま、MVSを振るい迎撃。
すれ違いざまに剣を受け止めつつも、直後にフライトユニットへ一撃を入れていた。
振り返ったトリスタンの背から煙が上がる。
「罰、か。だとしたら、敗北し世界に弾かれて尚もこうしてまた同じことをやろうとしている私は、一体何なのかしらね」
自嘲するようにマリアンヌの口から漏れた言葉。
言い終わる頃には、飛行機能に障害を生じさせた2機は同時に地に足をつけた。
緑の草地やコンクリートの地面は少しずつ形を崩壊させている中で、ただ視界だけが狂っているかのように何もない空間に着地している。
緑の草地やコンクリートの地面は少しずつ形を崩壊させている中で、ただ視界だけが狂っているかのように何もない空間に着地している。
「別にどこに足をおいてても落ちたりはしないわ。会場を生み出した時点で空間としては完成してるんだもの。
ただ貼り付けていたものが剥がれただけ」
ただ貼り付けていたものが剥がれただけ」
ハーケンを繰り投擲した剣を回収しながら言うマリアンヌ。
スザクもまたエナジーウィングの片方を失った機体への影響を確かめバランスを取りつつ体勢を直す。
スザクもまたエナジーウィングの片方を失った機体への影響を確かめバランスを取りつつ体勢を直す。
一瞬の沈黙の後、一気に距離を詰め両手の剣を同方向に振り下ろすランスロット。
片手で受け止めるには難しい一撃。左右両方の剣で受ける必要がある一撃。
そう考えていたスザクの思惑を裏切って、トリスタンは片手の剣で受け止めた。
予想外であるが、そう動くのであれば次の一撃を予想するのは容易い。受け止めるのではなく受け流しつつもう一方の剣で攻め込むのだろう。
その一撃に対応するため体を屈めた傍を過ぎていく剣の軌跡を切り替え構え直すスザク。
片手で受け止めるには難しい一撃。左右両方の剣で受ける必要がある一撃。
そう考えていたスザクの思惑を裏切って、トリスタンは片手の剣で受け止めた。
予想外であるが、そう動くのであれば次の一撃を予想するのは容易い。受け止めるのではなく受け流しつつもう一方の剣で攻め込むのだろう。
その一撃に対応するため体を屈めた傍を過ぎていく剣の軌跡を切り替え構え直すスザク。
しかし次の瞬間機体に強い衝撃が走る。
警戒していなかった一撃。トリスタンの脚部がランスロットの胴体を捉えていた。
機体の駆動が止まる。カメラが捉えたのは、明確な殺意をもって剣を振りかざす敵の姿。
瞬間、思考より早く体が勝手に動いた。スピナーを駆動させて大きく後ろに後退。
トリスタンが空振りした一撃は、もしあのままその場所に留まっていればコックピットごと切り裂かれていただろう。
警戒していなかった一撃。トリスタンの脚部がランスロットの胴体を捉えていた。
機体の駆動が止まる。カメラが捉えたのは、明確な殺意をもって剣を振りかざす敵の姿。
瞬間、思考より早く体が勝手に動いた。スピナーを駆動させて大きく後ろに後退。
トリスタンが空振りした一撃は、もしあのままその場所に留まっていればコックピットごと切り裂かれていただろう。
攻めきれない状況、徐々に収まっていくギアスの衝動に歯噛みしながらも息を整えるスザク。
その時だった。
「ぐべっ!!」
小さな悲鳴と共に何かが地面にぶつかるような音が響いた。
「痛た…、あれ、ここは…」
打ち付けた顔面を押さえながら立ち上がった、白い服に銀の鎧を纏った少女。
大空洞での戦いの後、崩壊する空間から抜け出すために空間の歪に飛び込んだイリヤ。
どこにたどり着くのかも分からぬまま、ただ直感でここに飛び込むべきだと判断し入り。
いきなり視界が開けた途端、地面に追突していた。
どこにたどり着くのかも分からぬまま、ただ直感でここに飛び込むべきだと判断し入り。
いきなり視界が開けた途端、地面に追突していた。
『おや、そのロボットは…、スザクさんですか!』
「イリヤスフィールか!」
「そう、あなたがそこにいるってことは、あの子が洞窟に呼び出した護衛は全滅したのね」
「イリヤスフィールか!」
「そう、あなたがそこにいるってことは、あの子が洞窟に呼び出した護衛は全滅したのね」
離れた位置でマリアンヌはイリヤがここにいる状況を把握する。
「間桐桜と乾巧の二人はどうしたんだ?」
イリヤは一人で出ていったわけではなくキュゥべえの導きでその二人を伴って出ていったはず。
「桜さんは攫われちゃって、巧さんは…」
「――そうか」
「――そうか」
声色が下がる様子から察するスザク。
『それでそちらの状況ですが、あれは敵ですか?』
「ああ。彼女は説明したアカギの協力者の一人。マリアンヌ・ヴィ・ブリタニアという騎士だ。
会場施設破壊の最中に襲撃を受けた。その中で、…月をやられた」
「ああ。彼女は説明したアカギの協力者の一人。マリアンヌ・ヴィ・ブリタニアという騎士だ。
会場施設破壊の最中に襲撃を受けた。その中で、…月をやられた」
イリヤのトリスタンを見る表情が鋭くなる。
手にした剣を構えてランスロットの横で対峙する。
手にした剣を構えてランスロットの横で対峙する。
『つまり、あれが我々にとってのボスということになるわけですね。
…それにしても、空間の歪から抜け出したらお二方の戦う場に送り出されたというのは、何らかの意図みたいなものを感じますが』
「当然でしょ。多くの屍の上で生きているあなた達の因果は、収束しつつあるんですもの。
運命はあなたが進むべき路へと導くはずよ」
…それにしても、空間の歪から抜け出したらお二方の戦う場に送り出されたというのは、何らかの意図みたいなものを感じますが』
「当然でしょ。多くの屍の上で生きているあなた達の因果は、収束しつつあるんですもの。
運命はあなたが進むべき路へと導くはずよ」
言いながらも剣を構えるトリスタン。
ランスロットだけを相手取っていた先程と違い、今度はイリヤの存在も意識しているかのように複数の敵を、複数の己の部位を意識するような構えとなっている。
ランスロットだけを相手取っていた先程と違い、今度はイリヤの存在も意識しているかのように複数の敵を、複数の己の部位を意識するような構えとなっている。
「さて、ナイトオブゼロと、アーサー王の力を宿した身の実力、見せてもらおうかしら」
言うが早いか、大きく横に軌道を描きながら二人の元に突撃をかけるトリスタン。
弧を描くように開かれた脚はイリヤの小さな体へと迫る。大きく上に飛び上がってその水面蹴りを避けるイリヤ。
その勢いのままにランスロットへと剣を振り抜く。
ランスロットもまたMVSを振り抜き剣を押し返さんと打ち合うが、移動の勢いも加わった一撃を弾く力を加えるには一瞬タイミングがズレてしまい後ろに弾き飛ばされる。
バランスを崩したところに腕の短刀型のハーケンが飛来。
構えたランスロットの脇の下をワイヤーが過ぎ去っていき。
大きく振るった腕にかかった遠心力がランスロットの体を絡め取る。
ブースターを吹かせながらMVSでワイヤーを切り裂こうと手に持った剣を繰るランスロット。しかしワイヤー回収の反動を生かして一気に距離を詰めてきたトリスタンの蹴りの衝撃で動きが止まる。
バランスを崩した方向に、思い切り腕を振り抜くトリスタン。
弧を描くように開かれた脚はイリヤの小さな体へと迫る。大きく上に飛び上がってその水面蹴りを避けるイリヤ。
その勢いのままにランスロットへと剣を振り抜く。
ランスロットもまたMVSを振り抜き剣を押し返さんと打ち合うが、移動の勢いも加わった一撃を弾く力を加えるには一瞬タイミングがズレてしまい後ろに弾き飛ばされる。
バランスを崩したところに腕の短刀型のハーケンが飛来。
構えたランスロットの脇の下をワイヤーが過ぎ去っていき。
大きく振るった腕にかかった遠心力がランスロットの体を絡め取る。
ブースターを吹かせながらMVSでワイヤーを切り裂こうと手に持った剣を繰るランスロット。しかしワイヤー回収の反動を生かして一気に距離を詰めてきたトリスタンの蹴りの衝撃で動きが止まる。
バランスを崩した方向に、思い切り腕を振り抜くトリスタン。
「うぇっ!?」
投げ飛ばされたランスロットの体は、飛び上がった空から風を纏った剣を振り下ろそうと迫ったイリヤの元へと迫っていた。
衝撃に吹き飛ばされる小さな体。ランスロットとイリヤの体が漆黒の地面を滑る。
衝撃に吹き飛ばされる小さな体。ランスロットとイリヤの体が漆黒の地面を滑る。
「この程度かしら―――っ」
一息つきかけたマリアンヌは、咄嗟に剣を構えた。
地面を転がっていたはずのイリヤが、剣に纏っていた風を放出しその勢いで一気に距離を詰め、その体勢のままにトリスタンへと向けて剣を振り抜いてきた。
地面を転がっていたはずのイリヤが、剣に纏っていた風を放出しその勢いで一気に距離を詰め、その体勢のままにトリスタンへと向けて剣を振り抜いてきた。
4メートル以上はある巨体に振り下ろされた少女の身長ほどの刃渡りの剣。その聖剣の直撃を受けるのはまずいが、受ける事自体は難しいものではない。
受け止められた一撃は質量差から拮抗することもなく一瞬で弾き飛ばされる。
その後ろから4つのスラッシュハーケンが飛来した。
イリヤに気を取られ一瞬反応が遅れその身に受けつつもその一つをつかみ取り逆に引き寄せる。
腕のハーケンを引かれたランスロットは、その勢いのままにトリスタンへと蹴りを放つ。
剣とハーケンで両手を塞がれたトリスタンもまた、マリアンヌの咄嗟の判断で回し蹴りを放って迎え撃つ。
受け止められた一撃は質量差から拮抗することもなく一瞬で弾き飛ばされる。
その後ろから4つのスラッシュハーケンが飛来した。
イリヤに気を取られ一瞬反応が遅れその身に受けつつもその一つをつかみ取り逆に引き寄せる。
腕のハーケンを引かれたランスロットは、その勢いのままにトリスタンへと蹴りを放つ。
剣とハーケンで両手を塞がれたトリスタンもまた、マリアンヌの咄嗟の判断で回し蹴りを放って迎え撃つ。
衝撃で風圧が周囲に巻き上がり、イリヤの視界をなびいた前髪が塞ぐ。
互いの機体が反動で後ろに後退。
互いの機体が反動で後ろに後退。
「共闘するのは初めてのはずなのにね。ずいぶんと思い切ったことに息を合わせられるじゃない」
大小2つの白い体を見ながら呟くマリアンヌ。
枢木スザクの技量は高く、多少の事態にはアドリブが効かせられる。
イリヤスフィールもその鋭い直感と周囲をよく見る目はこちらも目を見張るものがある。
枢木スザクの技量は高く、多少の事態にはアドリブが効かせられる。
イリヤスフィールもその鋭い直感と周囲をよく見る目はこちらも目を見張るものがある。
二人を同時に相手にするのはよろしくない。長期戦になればなおのこと粘り続けた末に一瞬の隙を突かれる可能性もある。
そう隙を与えるつもりもないが、ただ念には念を入れておく必要がありそうだ。
そう隙を与えるつもりもないが、ただ念には念を入れておく必要がありそうだ。
「なら、こういうのはどうかしら?」
「えっ?」
「えっ?」
そう言ってトリスタンの背部のコックピットが開き、中から一人の少女が飛び出す。
イリヤの前に着地したのはイリヤの頭一つ高い身長の、桃色の髪をした少女。
身長とは裏腹にまだ少女にしか見えない顔つきをしているが、なぜかその雰囲気は少女の持つものには見えなかった。
むしろ先に戦った黒きアイリスフィールのそれに近いものを感じる気がするほどだった。
イリヤの前に着地したのはイリヤの頭一つ高い身長の、桃色の髪をした少女。
身長とは裏腹にまだ少女にしか見えない顔つきをしているが、なぜかその雰囲気は少女の持つものには見えなかった。
むしろ先に戦った黒きアイリスフィールのそれに近いものを感じる気がするほどだった。
「よそ見をしていていいのかしら?」
その言葉はイリヤに対してではなくその隣で行動の意図を図りかねていたスザクに向けたもの。
直後に隣に立っていた無人のはずのトリスタンがおもむろにランスロットへと距離を詰めて剣を振るった。
驚きつつも辛うじてその一撃を受け止めるスザク。
直後に隣に立っていた無人のはずのトリスタンがおもむろにランスロットへと距離を詰めて剣を振るった。
驚きつつも辛うじてその一撃を受け止めるスザク。
「あなたもよ、お嬢ちゃん!」
今度は思わずそっちを見てしまったイリヤへと向けられた言葉。
聖剣が少女の握っていた直剣を受け止める。
聖剣が少女の握っていた直剣を受け止める。
受け止められた剣には騎士王の力を宿したイリヤの体を押し込む力はなかった。
すぐさま押し返して反撃に転じようとした一閃は大きく空振る。
次の瞬間、屈んだ体から放たれた蹴りがイリヤの顎を捉えて蹴り上げる。
すぐさま押し返して反撃に転じようとした一閃は大きく空振る。
次の瞬間、屈んだ体から放たれた蹴りがイリヤの顎を捉えて蹴り上げる。
「っ」
目の前に火花が散る感覚に五感を乱されながらも、追撃の突きを手甲で受け止める。
直後、五感の調子も戻らぬ間にアーニャの細い脚がイリヤの首を絡め取る。
ふらつく視界の中に、迫る地面が映る。
直後、五感の調子も戻らぬ間にアーニャの細い脚がイリヤの首を絡め取る。
ふらつく視界の中に、迫る地面が映る。
イリヤの脳裏によぎったのは、地面に叩きつけられた後自身の体に剣が突き立てられる光景。
咄嗟に剣に風圧を纏い周囲に発散。マリアンヌの体は至近距離からの風に弾き飛ばされた。
咄嗟に剣に風圧を纏い周囲に発散。マリアンヌの体は至近距離からの風に弾き飛ばされた。
「やっぱり英霊っていう存在は生身の人間を相手にするのとは勝手が違うわね。
むしろギアスユーザーを相手にしてるのに近いのかしら」
むしろギアスユーザーを相手にしてるのに近いのかしら」
イリヤは頭を抑えながら立ち上がり、距離を取りながら着地したアーニャ/マリアンヌの姿を見る。
突如横から轟いた音に耳を奪われる。
感覚が戻りつつあることを確認しつつ、アーニャへの警戒をそのままに視界を横にやると、トリスタンに押し込まれ後退したランスロットの姿があった。
感覚が戻りつつあることを確認しつつ、アーニャへの警戒をそのままに視界を横にやると、トリスタンに押し込まれ後退したランスロットの姿があった。
「くっ、何だ、この動きは。さっきまでとまるで変化がない…!」
スザクの口から漏れた言葉には強い困惑があった。
トリスタンには誰も搭乗していない。だというのにその挙動は先程までのマリアンヌが乗っていた時と遜色ないものだった。
自動操縦でここまでの動きは不可能だ。
トリスタンには誰も搭乗していない。だというのにその挙動は先程までのマリアンヌが乗っていた時と遜色ないものだった。
自動操縦でここまでの動きは不可能だ。
「どうしてって、当然でしょ。あなたが戦っているそれも、お嬢ちゃんの前にいる私も、どちらもマリアンヌなんだから」
このトリスタンは通常のナイトメアフレームとは仕様が異なる。
スザクの知らないことだが、マリアンヌの世界、ナナリーやアリスのいた世界においてはギアス能力をナイトメアフレームに反映させるための伝導回路が組み込まれているものがある。
他のナイトオブラウンズの機体もシャルルのザ・デッドライズが反映されるよう組み込まれており、このトリスタンも例外ではなかった。
スザクの知らないことだが、マリアンヌの世界、ナナリーやアリスのいた世界においてはギアス能力をナイトメアフレームに反映させるための伝導回路が組み込まれているものがある。
他のナイトオブラウンズの機体もシャルルのザ・デッドライズが反映されるよう組み込まれており、このトリスタンも例外ではなかった。
そして自身のギアスによりエデンバイタルと繋がったマリアンヌは集合意識の中でも自我を保つことができていた。
そのギアスをナイトメアに反映することで、今行っているような、ナイトメアを己の手足のように動かしつつ少女の剣を捌くことを造作もなく行えるようになっていた。
そのギアスをナイトメアに反映することで、今行っているような、ナイトメアを己の手足のように動かしつつ少女の剣を捌くことを造作もなく行えるようになっていた。
「乗って動かす時と比べたら少しは技量も落ちてるかもしれないけど、あなた達を同時に相手にするのに比べたらこっちの方が楽よ」
言ってイリヤに向けて距離を詰めるアーニャと、ランスロットに向けて腕のハーケンを射出するトリスタン。
油断を切り捨て、改めてマリアンヌと対峙した時の意識を取り戻すスザク。
マリアンヌは技量が落ちていると言ったが、こちらに向けての嵐のような連撃と踏み込みには衰えがあるようには全く見えない。
操縦者が不在となったことで自動操縦だと考えた自分に隙があった。マリアンヌが乗っていた時と変わらないならばその前提の元で戦えばいい。
かといって、それで戦っても勝てる相手かと言われれば、動きを見るに容易い相手とは思えなかった。
マリアンヌは技量が落ちていると言ったが、こちらに向けての嵐のような連撃と踏み込みには衰えがあるようには全く見えない。
操縦者が不在となったことで自動操縦だと考えた自分に隙があった。マリアンヌが乗っていた時と変わらないならばその前提の元で戦えばいい。
かといって、それで戦っても勝てる相手かと言われれば、動きを見るに容易い相手とは思えなかった。
トリスタンの射出したハーケンを大きく跳んで避けたスザクはブースターを吹かせて突撃、同時に腰のハーケンを打ち出す。
ハーケンを凌いだ体勢で大きく振り抜かれた剣は受け止め切れない。かといってあの大ぶりの剣は少しの回避動作で避けられるものではない。無論ハーケンを受けるのも致命傷になる。
大きく後ろに飛び退いてハーケンとその後ろから迫る剣を回避。飛び退いた状態で、再度ランスロットに向けて手のハーケンを全て射出。
避けようとしたスザクだが、その軌跡が全てランスロットに当たることなく横をすり抜けるものだと気付き即座にその場に停止。
地面に突き立ったハーケンを切り落とそうと剣を振るいかけたスザクは、視界に映った光を見てそこに向けてMVSを構えた。
トリスタンの投擲した剣が一直線にランスロットへと向かってきていた。思い切り剣を振るって弾き返す。
直後、ハーケンを戻した反動でこちらへと飛びかかるトリスタンの姿を目にする。
飛びかかり蹴りを放つトリスタンに向けて、腕にブレイズルミナスを展開した拳を叩き込む。
ハーケンを凌いだ体勢で大きく振り抜かれた剣は受け止め切れない。かといってあの大ぶりの剣は少しの回避動作で避けられるものではない。無論ハーケンを受けるのも致命傷になる。
大きく後ろに飛び退いてハーケンとその後ろから迫る剣を回避。飛び退いた状態で、再度ランスロットに向けて手のハーケンを全て射出。
避けようとしたスザクだが、その軌跡が全てランスロットに当たることなく横をすり抜けるものだと気付き即座にその場に停止。
地面に突き立ったハーケンを切り落とそうと剣を振るいかけたスザクは、視界に映った光を見てそこに向けてMVSを構えた。
トリスタンの投擲した剣が一直線にランスロットへと向かってきていた。思い切り剣を振るって弾き返す。
直後、ハーケンを戻した反動でこちらへと飛びかかるトリスタンの姿を目にする。
飛びかかり蹴りを放つトリスタンに向けて、腕にブレイズルミナスを展開した拳を叩き込む。
強い衝撃に押し返される2機。しかしブレイズルミナスを展開していたことで機体に直接的なダメージはなかった。
トリスタンを弾き飛ばした方を見上げるスザク。そこで目に入ったのは弾いた剣を宙で回収して振り下ろすトリスタンの姿。
トリスタンを弾き飛ばした方を見上げるスザク。そこで目に入ったのは弾いた剣を宙で回収して振り下ろすトリスタンの姿。
軌道は直撃コース、しかし今の体勢では受け止めることができない。
瞬間、本能的に機体を動かし、剣を持った腕に向けて膝蹴りを放つように機体のブースターを吹かせた。
トリスタンは大きく勢いを削がれるも、振り抜いた剣の軌道は変えられずランスロットの胴体に傷をつけた。
瞬間、本能的に機体を動かし、剣を持った腕に向けて膝蹴りを放つように機体のブースターを吹かせた。
トリスタンは大きく勢いを削がれるも、振り抜いた剣の軌道は変えられずランスロットの胴体に傷をつけた。
着地に失敗したトリスタンから距離を取るスザク。
その額には汗が滲んでいた。
その額には汗が滲んでいた。
ギリギリの戦いを強いられている。しかし相手はこちらの手は知っているようで、よほどの一手でなければ致命打となる攻め込みを行ってこない。
生きろのギアスが受動的に発動させられづらい状況の中で、終わりの見えない長期戦を行うことがスザクにとっての大きな負担となっていた。
生きろのギアスが受動的に発動させられづらい状況の中で、終わりの見えない長期戦を行うことがスザクにとっての大きな負担となっていた。
一方でアーニャと対峙するイリヤもまた、相手の技量に振り回され苦戦していた。
自身の性格と夢幻召喚したカードの英霊の特性から、どうしても踏み込みが一直線になりがちだったイリヤ。
それでも騎士王のサーヴァントとしての力があるならば並大抵の相手を蹴散らすことはできるだろう。だが目の前にいる相手は並大抵の範疇にいない存在だった。
対してマリアンヌは、その剣を真正面から受け止めずいなし、流してカウンターを打ち込み続けていた。
決定打にこそなっていないものの、一撃一撃は着実にイリヤの体にダメージを与えていた。
自身の性格と夢幻召喚したカードの英霊の特性から、どうしても踏み込みが一直線になりがちだったイリヤ。
それでも騎士王のサーヴァントとしての力があるならば並大抵の相手を蹴散らすことはできるだろう。だが目の前にいる相手は並大抵の範疇にいない存在だった。
対してマリアンヌは、その剣を真正面から受け止めずいなし、流してカウンターを打ち込み続けていた。
決定打にこそなっていないものの、一撃一撃は着実にイリヤの体にダメージを与えていた。
「少し剣と力に振り回されすぎね。それじゃ私には届かないわよ?」
膝をつきかけたイリヤに、更に幾撃もの剣が叩き込まれ続ける。
全てを捌ききれないと判断したイリヤは致命打になりそうなものだけを集中して対処。
腕や腹を切りつけられるが、頭や首、心臓を狙ったものや踏み込みが深い箇所は守り、防ぎ切った。
当たった攻撃も通常であれば大ダメージだっただろうが、英霊を宿しサーヴァントに近付いた身であればどうにか耐えられた。
全てを捌ききれないと判断したイリヤは致命打になりそうなものだけを集中して対処。
腕や腹を切りつけられるが、頭や首、心臓を狙ったものや踏み込みが深い箇所は守り、防ぎ切った。
当たった攻撃も通常であれば大ダメージだっただろうが、英霊を宿しサーヴァントに近付いた身であればどうにか耐えられた。
(だけど…ダメだ、こんなのじゃ…)
これまでのような、力押しで勝てる相手ではないことはひしひしと感じていた。
最優のクラスであるセイバーだから戦えている。弓や槍のクラスのカードを使っていた場合、きっと押し切られていた。
英霊が弱いのではなく、自分が届いていないのだ。
最優のクラスであるセイバーだから戦えている。弓や槍のクラスのカードを使っていた場合、きっと押し切られていた。
英霊が弱いのではなく、自分が届いていないのだ。
もっと、相手をよく見ないと。
もっと、精神を研ぎ澄ませないと。
もっと、精神を研ぎ澄ませないと。
(――もっと…、セイバーの力を…!)
(諦めない心、ってのはやっぱり驚異になりえるものね)
そんなイリヤと剣を交えるマリアンヌは、冷静にイリヤの姿を分析していた。
こちらの動きについてこれていないが、そのこちらを見る目は諦めどころかこちらの動きに追随しようとさらに鋭さを増している。
こちらの動きについてこれていないが、そのこちらを見る目は諦めどころかこちらの動きに追随しようとさらに鋭さを増している。
一気に決めるのが得策なのだろうが、あの剣の英霊の体に致命打を加えることはマリアンヌの技量をもってしても容易なものではなかった。
増してや今は枢木スザクも同時に相手をしている状況。
増してや今は枢木スザクも同時に相手をしている状況。
(状況を動かせる何かでも起こればいいんだけどね…っ!)
剣舞を繰り広げ続ける2人の少女。
ワイヤーと剣を武器に舞い続ける2機の白い機体。
ワイヤーと剣を武器に舞い続ける2機の白い機体。
互いの戦いに集中し気付かぬ一同、そのすぐ傍の空間にも小さく亀裂が入っていた。
【枢木スザク@コードギアス 反逆のルルーシュ】
[状態]:「生きろ」ギアス継続中、疲労(大)、両足に軽い凍傷、腕や足に火傷、精神疲労
[装備]:ランスロットsiN@コードギアス 復活のルルーシュ
[道具]:基本支給品一式(水はペットボトル3本)、スタングレネード(残り2)@現実
[思考・状況]
基本:アカギを捜し出し、『儀式』を止めさせる
1:マリアンヌ・ヴィ・ブリタニアを倒す
[状態]:「生きろ」ギアス継続中、疲労(大)、両足に軽い凍傷、腕や足に火傷、精神疲労
[装備]:ランスロットsiN@コードギアス 復活のルルーシュ
[道具]:基本支給品一式(水はペットボトル3本)、スタングレネード(残り2)@現実
[思考・状況]
基本:アカギを捜し出し、『儀式』を止めさせる
1:マリアンヌ・ヴィ・ブリタニアを倒す
【イリヤスフィール・フォン・アインツベルン@Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ】
[状態]:疲労(大)、ダメージ(中)、右目の周りに火傷の跡、クロ帰還による魔力総量増大
[装備]:カレイドステッキ(ルビー)@Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ、クラスカード(セイバー)転身中@Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ
[道具]:クラスカード(キャスター、ランサー、アサシン、アーチャー、ライダー、バーサーカー、バーサーカー(転身制限中))@Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ
ファイズギア一式@仮面ライダー555
[思考・状況]
基本:皆と共に絶対に帰る
1:スザクと協力してマリアンヌに対処。
[備考]
[状態]:疲労(大)、ダメージ(中)、右目の周りに火傷の跡、クロ帰還による魔力総量増大
[装備]:カレイドステッキ(ルビー)@Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ、クラスカード(セイバー)転身中@Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ
[道具]:クラスカード(キャスター、ランサー、アサシン、アーチャー、ライダー、バーサーカー、バーサーカー(転身制限中))@Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ
ファイズギア一式@仮面ライダー555
[思考・状況]
基本:皆と共に絶対に帰る
1:スザクと協力してマリアンヌに対処。
[備考]
【マリアンヌ・ヴィ・ブリタニア】
[状態]:疲労(小)
[装備]:トリスタン(遠隔操作中)@コードギアス ナイトメア・オブ・ナナリー、MVS、長身両刃の剣
[思考・状況]
基本:今の己の役割に従い、目の前の二人を殺す
[備考]
[状態]:疲労(小)
[装備]:トリスタン(遠隔操作中)@コードギアス ナイトメア・オブ・ナナリー、MVS、長身両刃の剣
[思考・状況]
基本:今の己の役割に従い、目の前の二人を殺す
[備考]
| 174:シンセカイ | 投下順に読む | 176:時間よ止まれ/時間は止まらない |
| 時系列順に読む | ||
| 170:黄昏の騎士達の輪舞曲 | 枢木スザク | 177:EndGame_LastBible |
| 172:決斗・アヴェンジャー&ライダー | イリヤスフィール・フォン・アインツベルン | |
| 170:黄昏の騎士達の輪舞曲 | マリアンヌ・ヴィ・ブリタニア |