続く・ツナガル・円環の中で

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あるところに神様がいました。
神様は、たくさんの世界を見つめていました。

ある時、一つの世界が自分を見つめていることに気付きました。
その世界から、殺意を向けられていることに気付きました。

神様は怖くなりました。
怖くて怖くてどうしようもなくなって、その世界を壊そうとしました。

そこに、光に包まれた大きな生き物が現れました。
神様にも見たことのないその生き物は、世界を壊さないでと頼みました。
あなたがその世界を壊すと自分の世界も巻き込まれるからと。

神様は悩みました。

GAIM
AGITΩ
DECADE

そこに、金色の魔王様も現れました。

生き物と魔王様は、神様を説得しました。
世界を壊すのは考え直してほしいと。


『やあ、おかえり』
「……」

ベッドから起き上がったまどかを目覚め一番に出迎えたキュゥべえ。
それをまどかは渋い顔をして見つめる。

『そんな目で見ないでくれ。僕だって暁美ほむらに追い出されて困ってたんだ』
「……」

話すこともなければ話したくもなかった。
キュゥべえを無視して1階に降りる。

そこではお母さんがゆったり新聞を読んで、お父さんがご飯の準備をして。
家族で食卓を囲んでの朝食。いつもの日常だった。

まどかがいなくなって数日の時間が流れていた。
帰ってきた時、何と説明したものか、と悩んだまどか。
しかし両親は怒ることなくまどかを抱きしめた。

色々と誤魔化しながら聞いた話では、まどかがいなくなったのはさやかの葬式があった辺り。
つまり友達の死がショックで家出をしたのではないかと。そう解釈されたようだった。

(そっか…。さやかちゃんはもう…)

魔女となって魂は消え、抜け殻となった体だけが残された。それが自分のいたこの世界の美樹さやか
あの世界で、自分を守ってあの業火の中で消えていったさやかのことは、誰も知らない。

デリケートな問題だと思ったのだろう、深く追求してくることもなく、ただ悪いことや事件に巻き込まれていないかだけは心配して。
あとはいつもの日常に戻った。

幸運なことに今日は休日。
心を落ち着かせる時間は作ることができた。

家を出て、向かった先はさやかの家だった。
葬式に出られなかったことについて家の人、さやかの写真の前で謝罪しつつ焼香をあげた。

「まどかさん…っ!」

少しの滞在の後で家を出たところで、さやかの家に向かう志筑仁美とすれ違い、抱きつかれた。
仁美もまどかのことを心配していたと。

「ごめん…、心配かけて…」

さやかの家からの帰り道。話したいこともあると言って、仁美も着いてきてくれた。

「さやかさんがあんなことになって、私はショックでしたが…。まどかさんはもっと悲しかったでしょうね…」
「うん、その…、みんながさやかちゃんを見つける前に見つけちゃって…、何も分からなくなっちゃって…」

本当のことを伏せて話を合わせる。
前を歩くキュゥべえがこちらを振り向いてくるのを無視して歩き続ける。

「さやかさん、何か仰っていませんでしたの…?」
「………」

首を振る。
何を話せばいいのか、何を言えばいいのか。

あの殺し合いでの出来事も、有り得ないはずの再会も。
世界には何の影響も与えてはいなかった。

いや。

「だけど、さやかちゃん言ってたんだ。
 恭介くん、きっと仁美ちゃんにはたくさん苦労かけちゃうだろうけど、じっくり見守ってあげててほしい、よろしくって」
「…っ、さやかさん…!!」

堪えきれず涙を流す仁美。

「私があなたから聞きたかったのは、そんな言葉じゃありませんでした…!どうして…!」

泣く仁美を静かに抱きしめるまどか。
本当なら、さやかはこんな言葉を遺すことすらできなかった。

こんな小さなことでも、少しは何かを変えられていたら。
それはまどかにとって、とても嬉しいことだった。


『まどか、君は暁美ほむらの歩んだ道を見たんだよね?』

仁美と別れ、部屋のベッドに寝転がったまどか。
その枕元でキュゥべえは話しかける。

『彼女の死をもって、確かに引き継がれてきた因果の歴史は終焉を迎えるだろう。
 だけど、その場合どうなると思う?』
「…?」

無視していたかったが、その話題には意識を取られてしまった。

『暁美ほむらが繰り返さなかった本来の歴史では、まどか、君が魔法少女になったはずだ。
 そして魔法少女にならなかった暁美ほむらは魔法少女になった君に出会い、あとは分かるだろう?』

魔法少女になった私。
マミさんと一緒に戦い、ワルプルギスに挑んで死ぬ。
そしてそれを見たほむらちゃんが魔法少女になり、また因果が繰り返される。

『そういう意味では、全てのまどかを救いたい、っていう言葉は果たされなかったというわけだ』
「…!ほむらちゃんの戦いが、無意味だったって言いたいの!?」

色々とやり方を間違えてしまったけど、それでも彼女の戦いそのものを否定したくはなかった。
だからこそ、キュゥべえの言葉は聞き捨てならないものだった。

『そこまでは言わないよ。何より今こうして君が魔法少女になることなく生きている、それが成果だからね』
『だけど、平行世界は今も続いている。また時間を繰り返すほむらが生まれ、また因果を積み重ねるまどかが生まれる。
 その因果は続いていくんだよ。よほどの奇跡によってそれが切り拓かれでもしない限りはね』
「…キュゥべえ、私は、あなたとは契約しないから」
『だろうね。僕も今の君を無理に魔法少女にしようとは思わない。
 クラスカードを使って魔法少女になった時、有り得ざる現象の発現が君に蓄積されていた因果を大きく減らしていったみたいだ。
 だから、僕もそろそろ行かせてもらおうと思う。
 ただ、もし君の気が変わったならいつでも呼んでくれ。その時は君を魔法少女にしてあげるから』

ベッドから飛び降りたキュゥべえ。
そんな日は絶対に来ない、と無言を返すことで答えとした。


『最後に幾つか言っておきたいことがあるんだけど』

と、少し離れて振り返る。

『この街に接近していたワルプルギスの夜、暁美ほむらが戦っていた大きな原因だけどね。
 君が帰ってきて少し経った辺りで、いきなり消滅したんだ。前触れもなくいきなりね』
「…それがどうしたの」
『原因が一切分からない。魔法少女が戦ったっていう記録もないし、障害物があった進路でもない。
 ましてやあの儀式を通してこの世界に介入してきた何者か、というのもこの件に関しては無い。こちらとしては気味が悪いとしか言えない現象だ』

ワルプルギスの夜。
この街を通り過ぎていく災害級の魔女。
暁美ほむらが何度も戦い破れ、別の時間軸では自分も命を落としていた。
それが来れば街は崩壊するほどの被害を受け多くの人が死ぬ。
生還したまどかにとっても気掛かりなものには違いなかった。

『それで気になったんだけど、君の因果は確かに以前ほど強力なものではなくなっている。
 だけど君の中に何か不思議なものを感じるんだ。僕たちでも解析することのできない、まるで何か神に等しいものとの繋がりみたいなものが』
「……」
『まどか、君はほむらを倒した時にカードの記憶から知識を読み取ってイリヤスフィールと魔法少女の力を重ねたよね?
 確かに魔法少女は時として協力し合い、その中で互いの能力を合わせた攻撃を行うこともある。
 だけどあの時に使ったものは君から聞く限りではそういうレベルじゃない、もっと明確に体系化された能力だ』
「そんなこと言われても私にも分からないよ」

あの時は必死だった。
ただ記憶に浮かんできたものを使ってとにかく対応することに一生懸命だった。

『そう。君は分からないだろう、だけど僕にも分からないものなんだよ。
 エデンバイタルの力をもって平行世界を見てきた僕にも、そんなものは見えなかった。
 あれが使える世界が存在した、というのなら確かにそうなのかもしれない。だけどそれを君が見たっていうのは不可解なんだ。
 魔法少女の記録を引き出した君、というのはなるほど図に叶っている、だけどじゃあどの魔法少女である君の記録を持ってきたっていうんだい?』

どこかの時間軸にその技術が存在するなら、キュゥべえにも観測できるはず。しかしエデンバイタルを通してもそんな世界は見えてはいなかった。
つまり、まどかがアクセスしたものは、エデンバイタルと同等、あるいはそれ以上かもしれない何かである可能性がある。

『君がアクセスしたもの、その君に残った解析できない繋がり。そして消えたワルプルギス。
 鹿目まどか、本来の君は、一体どれほどの存在になり得たんだろうね?』

それだけ言い残して、キュゥべえの姿は消えていった。

もう会うことはないと、まどかは信じたかった。


私に何ができるかは分からない。
魔法少女という、望むものを叶えられる力もあったけど、その世界からは手を引いた。

でも、私が魔法少女になることを諦めても、それで世界が変わったりはしない。
こうしてただ生きている中でも、どこかで呪いが魔女を生み、魔法少女は戦っている。

戦いに背を向けた私に、彼女達にできることはない。

それでも私は忘れたくはなかった。無視したくもなかった。
この世界で誰に振り返られることもなく戦う魔法少女達のことを。

戦えなくても、私は私らしく生きることができる。
それをあの殺し合いの中で学んだから。

だから、魔法少女のことを。
さやかちゃんやマミさん、杏子ちゃん、ほむらちゃん、織莉子さん。
会ったことのないみんな、どこかで戦っている子達のことを。

絵に描いて、語り継いでいこう。

どうして絵なのかって言われたら、私が絵を描くのが得意だからって理由しかないんだけど。
落書き程度しかないかもしれないけど、それでもこの絵を通して、多くの人達に魔法少女の生きる姿を記憶してもらいたいって思うから。

だから描いていく。
出会ったみんなの絵。
噂、都市伝説として残っている、どこかで戦う魔法少女達の姿を想像した絵。

たくさんのものを、私の手で描いて残していく。



「ねえねえ、見た?この前ネットに上げられてた神浜の魔法少女の絵!」
「ああ、あの神浜市に伝わってる、戦う少女の噂をモデルに描いたっていう絵でしょ」

ふと街を歩いて通りすがったところで、そんな声を聞いた。
振り返ると、二人の女の子が魔法少女のことを話していた。自分の描いた絵についてを話している。

嬉しくて、笑みを浮かべて走り出す。

晴れた空。
いつもの通学路。
見上げた空の下で、誰かが笑いかけたような気がした。

世界は変わらない。
だけど、私の中の世界は、少しは変わってきている。

そう思いながら、いつもと同じ時間を、少しずつ変えていくように、前に進んでいく。



【鹿目まどか@魔法少女まどか☆マギカ エピローグ 了】



円環の理。
いつかの世界、いつかの時間にて魔法少女の契約によって神と呼ぶに相応しい存在にまで有り方を変えた鹿目まどかの呼び名。

彼女は殺し合いの儀式が行われている世界を感知していた。
それが自分に害を成すものであること、あるいは消滅させることもある儀式だということも全て見取っていた。

故に、干渉を行おうとした。
隔離され、触れることすら容易ではない世界。
しかし自分の命にも関わるものと、多少強引にでも干渉しようとした。それがその殺し合いの世界を滅ぼしかねないことにまでは意識が向かなかった。

そんな中で接触してきた二つの存在。

ある世界を創造したともされる始まりの神、アルセウス。
ある世界の概念的存在達を束ね君臨するとされる魔王、オーマジオウ。

共に、殺し合いに巻き込まれた者たちの世界における上位存在。

もし円環の理の干渉によって世界が破壊されれば、そこと枝葉のように繋がっている自分たちの世界にも影響を与える。
それを止めるため、干渉を避けるようにと接触を図ってきた。

円環の理は驚きつつも、自分と同じ立ち位置に存在する者達に興味を持ち、彼らの話を聞きつつ提案を受け入れることにした。
内部で戦う者達の可能性を信じてみようと。もし万が一の時にはアルセウスとオーマジオウが驚異から守るから、と。


しかし、殺し合いが終わる直前。
儀式の世界から放たれた攻撃は、一直線に円環の理の元に向かっていた。

円環の理を滅ぼし、世界の概念をも作り変える。
本来であればアルセウスやオーマジオウ達のいる世界にも影響を及ぼすもの、しかし儀式が完了しないまま放たれたそれは円環の理のみを狙いとしていた。
そして、それが円環の理を滅ぼしかねないほどの力を持っていることも一同は気付いていた。

迫る光に向けてアルセウスが構える。
頭部に収束した光を掲げ、打ち上げる。するとその光から礫のように小さな、しかし一つ一つが膨大なエネルギーを持った光が降り注ぐ。

光同士がぶつかり合い、円環の理目指して進むその力の侵攻を食い止める。
しかしアルセウスの放った光では抑えきれず、少しずつ前に進み始める。

オーマジオウが手に持っていた掌大の金色の時計を起動させる。
手を前面に掲げると、まるでその空間の時間の流れが歪んでいるかのように光の速度が緩やかになっていく。
しかしそれも時間稼ぎにしかならない。
更に複数の時計を起動させ空間を歪める。削れた空間はエネルギーをえぐり取るも、光は進み続ける。

まるで、これを放った少女の持った怨念とも言えるかもしれない強い感情が止まることを拒絶しているように。

「うん、そうだよね、ほむらちゃん」

そんな中、静かに胸を抱いて瞳を閉じていた円環の理は呟く。

「ほむらちゃんだったら、そうするのかもしれない。全ての私が幸せになれる世界。
 それを作るために、世界の理が邪魔なら、神様にも屈しないって」

カードの呼びかけに応じて、あの儀式の中で戦う鹿目まどかに力を貸した。
世界の因果を歪めることのない、今の円環の理に許された唯一の介入。

それによって、内での戦いを円環の理は見届けていた。
暁美ほむらと鹿目まどか、そして抗う人達の戦い。

ほむらがそれほどまでに自分のことを大事にしてくれていることに気付けなかった。
あの時自分が別れを告げた彼女も、きっと同じ気持ちを持っていたはずなのに置いてけぼりにしてしまった。
そのことに負い目があった。

あるいは、彼女の執念が自分を殺すならそれもいいかもしれないと思いかけてしまった自分がいた。

だけど。

「ごめんね、ほむらちゃん。私はそっちには行けないの。
 だって、壊れて作り直された世界には、その"私"は行けないから…」

それでも、と抗った鹿目まどかがいた。他にも、苦しみながらも戦い抜いた人達がいたのを彼女は見た。
そんな皆の戦いを無駄にすることはできない。

迫りくる光に目を向ける、まどか。

「だから、あなたのその呪いも全部、私が受け止めてあげる―――!!」

幾つもの円陣が浮かぶ中で弓を構え、そこから収束した光を、理を壊さんと迫る光に向けて放った。

暁美ほむらの最後の呪い。
鹿目まどかの未来への希望。

二つの閃光がぶつかり合う。

凄まじいほどの感情の渦。平時であれば受けられたかどうか、まどかにも分からなかった。

拮抗する光。
その時まどかの傍に一つの円陣が現れる。

戦いを通じて繋がった、今を生きる鹿目まどかの因果の力。
それを光に込めて、再度撃ち出した。

放たれた光は、一直線に向かい来る閃光の中心を貫いて。
小さく霧散して、やがて消滅していった。

「…苦労、かけちゃいましたね。すみませんでした」
「そういう約束であったからな。お主を守護すると」

申し訳無さそうに謝る円環の理。
自分が未熟だったばかりに、たくさんの世界に迷惑をかけるところだった。

「お二人を見てたら、私も神様としてはまだまだなんだなって気にさせられます」
「これから精進してゆけば良い。時はまだまだ充分になるのだろう、若き女神よ?」
「ふふ。こんな感じで誰かと話すの、久しぶりだったから何だか嬉しいな。
 またいつかこうやって話したいです」
「それは無理な話だ。我々は己の世界を守るためにこの場にいるのだからな。
 世界の理が崩れでもしない限りは、ここで別れだ」
「そうですか…。それじゃあ、元気で!ありがとうございました!」






そうして互いの世界に帰っていく中での、アルセウスとオーマジオウ。

「お前も食えぬ男よな。異世界の王よ」
「さて、何のことやら、時空神」
「とぼけるでない。もし余があの場所にいなければ、あの神をも手にかけあの世界を滅ぼすことも視野にいれておったであろう?」
「どうであろうな。だが、私の守る世界はあくまでも仮面ライダーの世界だ。必要とあれば滅ぼすことも辞さぬという意味では否定はせんよ」

アルセウスは、とある世界での眷属たるポケモンが捉えられたことからアカギの企みを知った。
介入しようともしていたが、アカギ以上に目の前の世界の危機としてこちらの神の乱心を止める方を優先せざるを得なかった。

オーマジオウは、ライダーの中で異世界での異常とそれによる世界の危機を察したとある神からの知らせによりこの世界に訪れた。
こういう状況下においては察知したその存在の方が解決には向いていたかもしれないが、その男はライダーのいない異世界を渡る術を持たない。
彼の力を借り受けた自分がその変わりとしてやってくることになった。

円環の理は気付かなかった様子だが、時空を渡ってきた時のオーマジオウからは明確な殺意を感じていた。
その時点での争いは望まなかったアルセウスが即座に牽制したことでオーマジオウは矛を収める形となったが。

だがもし戦いになったとて円環の理が統括する世界において、異なる時空に属する存在がどれほどの勝率を持っていたか。
アルセウスが戦いを避けた一因もそれだ。
しかしオーマジオウは、敗率が高い争いになると知っていても挑んだことだろう。自身の世界を守るために。そこが彼が王であり、同時に魔王でもある所以なのだろうとアルセウスは思った。

「一つ言えるのは、私の力は破壊することだけだ。
 お前こそ、自身の眷属を随分といいように扱われたようだが」
「それについては返す言葉もない。ギラティナを余の代わりに送り込んだはいいが、逆に取り込まれてしまったのは失態だ」

結局のところ自分たちはあの女神の機嫌取りで精一杯で。
儀式そのものを打ち破ったのは中にいる参加者達だった。
あまり円環の理のことを言えた存在ではないなとアルセウスは自嘲する。

「だが、それでよかったのかもしれぬな」

戦いは神が終わらせることなく、あくまでも今を生きる者達によって未来が切り拓かれた。
犠牲は少なくなく、アルセウスにとっては恩のあった人間もまた命を落としているのは悔やんでも悔やみきれぬ事実には違いないが。

オーマジオウはファイズの顔が映ったウォッチを見ながら語る。

「そうだな、我らの役割は今を生きる者達を見守り、世界の安定を守ること。
 今回のように彼らの手に負えぬことが起こるのならば立ち上がるが、世界の行く道はその道を進む者達が切り拓くべきだ」

アルセウスとオーマジオウの姿が互いに消滅しつつある。
各々の世界へと帰っていくのだろう。

ポケモンと人が生を営む世界へ。
多くの仮面ライダー達が平行世界で戦い続ける世界へ。

「戦い続ける者、その者達を覚えている者がいる限り、世界も私もそう簡単に消えることはない。
 世界の中に生きる者がいるのではない。生きる者達がいるその場所こそが、世界なのだから」





静かに一つの世界を見つめる円環の理。
そこは儀式を生き延びた鹿目まどかの帰還した世界。

円環の理がある限り、世界に魔女は生まれない。しかし全ての世界を網羅しきれているわけではない。
魔女が存在し、鹿目まどかが存在し、暁美ほむらが戦い続けている世界だって存在する。
あるいはまた円環の理に到達した鹿目まどかが生まれ、自分と一つになることもある。

そしてこの世界のまどかは、自分が選んだ未来とは別の道を進み始めた。
だから、この世界は静かに見守ろう。

ただ、その結果舞台装置の魔女の存在が浮いてしまった。
暁美ほむらがいなくなり撃退する者がいなくなった。
魔法少女がいない以上、見滝原を通るそれはただの天災でしかなく、キュゥべえの言葉を借りるなら何のエントロピーを生み出すこともない。
だから少しだけ干渉した。存在が浮いてしまったワルプルギスの夜を、人知れず静かに浄化した。

言うなればご褒美、よく頑張ったねの証として。

あとはあの子の世界。
あの子がどのような生を歩んでいくのかは自分にも分からない。その道を、見届けよう。

空を見上げるまどかを見守るように、小さな笑顔を浮かべて。

円環の理は、ただ世界を見守り続けた。




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