巡りゆく星たちの中で > 共存の決意

デモンストレーション終了後、“監視”を付ける条件で開拓を許可されたというわけで、
なんとシナリス星系でセレモニーが開かれることになったのだった……

イズモ「真面目だわぁー」
宇宙服の襟を軽く直しながら、ため息まじりに呟く。

イズモ「わざわざうちらなんかのために開かんでも、その予算別に回せばいいのにさぁ」

KAEDE「まあ、そういわないで」
微笑みながら、穏やかに諭すように言った。

イズモ「なんか、ポータル艦アリス、エリス、エミリの処女航海式典思い出すなぁ」

KAEDE「ですね」
ふと懐かしそうに目を細め、言葉を返さず微笑んだ。

イズモ「あんとき大変だったなぁ」

イズモ「エラーでクデュックの前身組織とクデュック創立前の時間軸飛ばされてさ、で、11次元行って帰ってきたと思ったら……創造能力持った敵に記憶サーバーぶっ壊されてさぁ~」
肩をすくめながら、笑い交じりに振り返る。

※その時の話のリンク:https://syosetu.org/novel/334508/

その後、シナリスIVに到着した。

青緑色の星が軌道上に浮かび、淡く脈動する光が宇宙空間に広がっている。赤道付近の「エメラルド盆地」では、まるで星そのものが鼓動するようにクリスタルの鉱脈が星光を反射し輝いていた。
その軌道上には、巡航艦50隻が扇状に広がり、監視ドローン200機が緻密な隊列を維持している。

イズモ「なんだこの星……」
思わず息を呑む。

その目に映るのは、紫がかった燐光とエメラルドの地表が織り成す幻惑的な風景。まるで別次元に来たかのような――そんな錯覚を起こす。

KAEDE「これはちょっと……すごすぎないか!?」
驚きの色を隠せず、しっかりと目を見開いていた。

イズモ「すごい圧巻だぁ……ここを自分らが開拓していくのかぁ……」
モニターで船内の様子を振り返りながら呟く。

すると――背後から、小さな足音とともに、くるくると回る気配と声が聞こえてきた。

「すごいすごーい」
小さな子供のような無邪気な声。振り向くと、KAEDEがくるりと一回転していた。

声に出さずとも、彼女の心は明らかに興奮していた。いつもの冷静さの裏にあった緊張が、ついにほどけた証。
そのいじらしさと、ここに来るまでの苦難を思い出したイズモは、
――思わず泣いてしまった。

袖でそっと目元をぬぐい、後ろを向きながらも、KAEDEがそっと見ているのを感じた。
イズモは、何気なく笑顔を見せた。

そして艦隊の誘導に従い、シナリスIVへと着陸。

着地の振動が静まり、扉が開いた瞬間――

2人はその光景に言葉を失った。

「な、なんだこれ……」

地平線まで広がる緑一色の大地。
その中心に、セレモニー会場が設営され、真紅のレッドカーペットが引かれていた。

一糸乱れぬ隊列で奏でられる共立機構の生演奏――その荘厳な音色に空気が震え、二人の胸に直接響いてくる。

KAEDE「……綺麗」

その言葉は本心だった。
そして、2人は確信した――

「この場所なら、信頼できる」

たとえ、今後困難や問題が起きたとしても――
この場に立ち会った事実だけは、2人の心に大きな決意を残した。

「共立機構と、共に歩んでいこう」

「新たなピースギアのように、この星と共に未来を築いていこう」

セレモニーは、無事に――温かく、そして力強く幕を閉じた。

最終更新:2025年06月27日 20:21